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昨年から導入された ポイント制 システム Points-based System ポイント制システム導入により、ビザに関して審査官の主観的な判断にまか されることはなくなったといえる。ビザ取得時の不公平感は免れるものの、 審査官に裁量権がないため、「情状酌量」の余地はゼロ。全ては提出書類にか かっているので、万全の準備が必要だ。 ５年経過後に パーマネント・ビザが 申請できるか Tier 1 英国経済に大きく貢献すると見なされる高度技術者が対象。旧「高度技術者移住プログラム」Highly Skilled Migrant Programme（HSMP）対象者、投資家、自営業者、Post-Study Work（学業修了後就労スキーム）対象者なども含まれる。 ○ Tier 2 ある程度特殊な技能を持つ者（旧ワーク・パーミット〈労働許可証〉保持者に相当） 。英国内に雇用主のいる就労者、駐 在員、現在英国で人材不足と思われる職種（政府の諮問機関「Migration Advisory Committee〈MAC〉- 旧 Skills Advisory Body」が決定）の就労者のほか、かつてワーク・パーミットが免除されていた就労者（宗教関係者、航空会社勤務者、新 聞社特派員など）もここに含まれる。 ○ Tier 3 非熟練就労者をどうしても必要とする職種で就労する者（例えば、 現行の「職種別スキーム」Sector Based Scheme〈SBS〉 の就労者など）が対象。厳しい条件が課されるとともに、対象国も限られ、受け入れ人数も制限される予定。実施開始時 期は未定。 × Tier 4 学生（旧「学生ビザ」に相当） 。パートタイム（週 20 時間以下）の就労が可能。 Tier 5 国際青年交流スキーム （日本をはじめとする、 英国が認めた国からの 18 歳から 30 歳までの若者が対象。最長 24 ヵ月の滞在、 フルタイムの就労が許される） 、およびスポーツ／創作／チャリティ／宗教活動などに従事する一時就労者、外国政府の 被雇用者が含まれる。創作／チャリティ活動従事者は最長 12 ヵ月（創作活動従事者は、雇用者が同じであれば最長 24 ヵ 月まで認められる） 、それ以外の場合は最長 24 ヵ月滞在が許可されるが（外国政府の被雇用者、あるいは外交官付きの使 用人は最長６年の滞在が可能。ただし、滞在許可の更新は 12 ヵ月単位でしかできない） 、許可期間が切れたら、いったん 自国に戻るのが原則。英国にいながらにして、他の Tier に移行することは不可。 Tier 外 ●サバイバー●取材・執筆／佐々木 敦子・本誌編集部 失業率の上昇を受け、 国内雇用を守ろうと必死の英国政府。 また、2001 年の米国中枢同時多発テロ以来、 テロ対策としての移民への締め付けも 緩められる気配はまったくない。 一時は Tier 2 の廃止さえも囁かれていたが、 今後ホーム・オフィスの方針はどこへ向かうのか。 まだまだ定まらぬビザの行方を追う。 現行の移民法が変わらない限り、 合法的に学生として 10 年滞在 した場合はパーマネント・ビザ 申請資格が与えられる。 滞在が６ヵ月以内の者（現行の「観光ビザ」に相当） 。また、現行の配偶者ビザ、扶養者ビザ保持者もこれに含まれる。 × （基本的には不可） × （配偶者ビザ、扶養者 ビザ保持者は除く） ※ 現行では Tier 1、Tier 2 保持者は滞在期間が５年経過した後にパーマネント・ビザ申請資格を得られる。これが８年間に延長される可能性あり。 ※「Migration Advisory Committee〈MAC〉」は、政府に対し、Tier 2 ICT の移住者に関してはパーマネント・ビザ申請権利を剥奪するよう勧告。政府がいつその勧告に従い、規定を変更するかは いまのところ未定。 ※ 市民権（英国籍）に関しても、2011 年７月ごろに法律が改定される予定。市民権はあくまでも『報酬』として取得を認めるものとするという考え方に変更される。Tier 1、Tier 2 保持者は滞 在期間が５年経過した後、1 年間のコミュニティ・サービスに従事すればパーマネント・ビザを得ることなくして、市民権申請権利が与えられるようになる見込み。 Tier 1 カテゴリー 資格条件 ポイント General 右表参照 （旧 HSMP） Entrepreneur ＊資金が 20 万ポンド以上。 （起業家） ＊資金が金融機関にある。 25 25 25 ＊資金を英国で自由に使える。 Investor （投資家） Post-Study Work 年齢 ＊自分名義の資金が 100 万ポンド以上、あるいは 200 万ポンド以上の財産を所有 し、それにより FSA（金融庁）の認めた金融機関から 100 万ポンド以上の融資 を得られることを証明できる。または、それらを自分で管理し、投資資金として 自由に英国で使うことができる。 75 ＊ IGS（※）または Fresh Talent Working in Scotland。 ＊イングランドとウェールズで認可されている学位を修了 ( 修士／博士号 )、ま たはスコットランドで認可されている HND (Higher National Diploma) を保持 ＊イングランドとウェールズ、またはスコットランドで認可されたリストに入っ ている、あるいは Tier 4 のスポンサーとしてライセンスを所持した教育機関で学 び、卒業。 ＊学生ビザ、扶養家族としてのビザを取得している。 ＊学位／資格取得後 12 ヵ月以内にこのビザを申請している。 75 20 学歴 20 収入 英語力 生計力 Tier 1 内のカテゴリーによって異なるが、投資家は英語力を証明する必要な し。また Post-Study Work 申請者は自動的に十分な英語力ありとみなされる。 General と起業家に関しては、Council of Europe の定めた C1 レベルの英語力 が必要。 投資家は証明する必要なし。それ以外の場合、過去３ヵ月の銀行ステートメン トを提出し、１ヵ月の生活費として最低 800 ポンド ( 英国外から申請する場合 は最初の１ヵ月分として 2,800 ポンドの残高が必要 ) が常に口座内に入っている ことを証明する必要がある。口座残高が 800 ポンドを１日たりとも下回っては ならない。また、扶養家族がいる場合は、これに加えて最低限１人あたり 800 ポンド× 2 / 3 ＝ 533 ポンド ( 英国外から申請する場合は 1,600 ポンド ) が必要。 必要ポイント 75 ＋ 英語力 と 生計力 10 10 13 Tier 1 General （旧 HSMP ） ■ Tier 1 はスポンサーを必要としない。 ■ 最長で３年間の滞在許可が発行される。その後２年の延長を 経てパーマネント・ビザ申請の資格を得る。延長の際は、各カテ ゴリーの基本条件を満たしているかどうかが審査される。 ■ Post-Study Work の場合は最長で２年間の滞在許可が発行 される。その間はスポンサーシップなしで自由に就労できる。 Post-Study Work としての延長は不可だが、Tier 2 などに切り 替えることで滞在延長が可能（同じ雇用主のもとで６ヵ月継続 1 OCT 2009 / No 594 75 27 歳以下 28 - 29 歳 30 - 31 歳 Masters（修士号） PhD（博士号） 20 15 10 ￡16,000 - 17,999 ￡18,000 - 19,999 ￡20,000 - 22,999 ￡23,000 - 25,999 ￡26,000 - 28,999 ￡29,000 - 31,999 ￡32,000 - 34,999 ￡35,000 - 39,999 ￡40,000 - ポイント 20 10 5 ポイント スポンサーシップ 証明 とは？ 35 50 ポイント 5 10 15 20 25 30 35 40 45 ※各国の収入レベルの違いは考慮される その他 10 学位や収入が英国内で得たも のである場合は、５ポイント 加算される（この項目で認めら れるのは最高５ポイントまで） 。 して働いた後、Tier 2 General に切り替えて引き続きその雇用 主のもとで働くのであれば、切り替えにあたり、Tier 2 General 申請時に求められる、求人広告を雇用主は出す必要はない） 。 ■現在、Tier 1 General を申請できるのは、修士号 (MA ＝ Masters) と博士号 (PhD) の取得者のみとなっている。 例えば、日本の４年生大学卒業者に与えられる学士号 （Bachelors）しか取得していない場合は、Tier 1 General の申請 ができなくなったので注意！ サバイバー 厳不 し況 くが な続 るけ 移ば 民続 法く ほ ど ■ポイント制システムの導入にあわせて、非 EEA 国籍者の受け入れを 希望する雇用主（企業など）や学校にはスポンサーシップ（sponsorship） の取得が義務付けられるようになった。スポンサーシップの取得とは、 ライセンスを得ることを示す。結果的に、雇用主／学校は「UK Border Agency（以下 UKBA）」の代理人として移住者の行動を細かく管理し、 何らかの異常があった場合は速やかに UKBA に通達するという、いわ ば「見張り番」としての責任を負わされたことになる。 ■「ライセンス」といっても、額縁に入れて飾るような表彰状スタイル のものではなく、正確にいうと単なる「番号」。これによりスポンサー 管理システム（Sponsorship Management System: SMS）へのオンラ イン・アクセスが可能になる。この管理システム経由で「Certificate of Sponsorship (CoS)」 ま た は「Confirmation of Acceptance for Studies (CAS)」を取得し、それを該当する移住者に付与。その移住者は付与さ れた CoS / CAS をもとに入国／滞在するという仕組み。 ■ライセンスにはＡとＢの２ランクが存在し、条件を充分に満たす雇用 主／学校であればＡの認定を受けるが、もし違法行為があったことが発 覚した場合、あるいはスポンサーとしての義務を怠れば、ランクはＢに 落とされる。さらに悪質な場合は、ライセンスを取り消される可能性も ある。 ■昨年２月から審査登録が開始されたが、スポンサーシップ取得申請は すべてオンラインで行うことが義務付けられている。 www.points.homeoffice.gov.uk/gui-sponsor-jsf/SponsorHome.faces ■ 申 請 後 10 日 以 内 に UKBA へ 必 要 書 類（ 会 社 の 種 類 に よ っ て 書 類 が 異 な る た め、www.ukba.homeoffice.gov.uk/employers/points/ sponsoringmigrants/supportingevidence/ で詳細を確認すること）を提 出。申請が承認されると UKBA 内のスポンサー・ライセンス・ユニッ トによる査定を受ける（査定の一環として、UKBA の担当官による会社 訪問を受ける場合もあり）→ スポンサーにふさわしいと認められ、書 類にも不備がなければライセンス番号が付与される → スポンサー管理 システムへのオンライン・アクセスが可能になる。 サバイバー 1 OCT 2009 / No 594 12 UKRP (UK Residence Permit) 関連 ◆ 非 EEA 国籍者が６ヵ月を超えて滞在する 目的で英国に入国する場合、各自の国にある 申請センターであらかじめエントリー・クリ アランスを申請（渡英の３ヵ月前から受け付 け可）することが義務づけられている。このエントリー・クリアランスは、 英国入国を許可するためのものであると同時に、滞在許可期間（長さはケー スによって異なる）もこのステッカーに記載される。 ◆エントリー・クリアランスに記載されている滞在許可期間が切れた後も英 国滞在を望む場合は、英国滞在許可を証明する UKRP を申請することにな る。UKRP には期限付きの滞在許可証、無期限滞在許可証（Indefinite leave to remain）の２種類があり、無期限滞在許可証はいわゆるパーマネント・ビザ のこと。審査の結果、 「UK Border Agency（UKBA） 」が許可すれば、いずれ もパスポートに UKRP のステッカーが貼られる。 結婚ビザ関連 ◆日本人を含む、非 EEA 国籍者が英国で結婚する場合、UKBA からの許 可（Certificate of Approval）の取得が義務づけられている。例えば、学 生ビザや Tier 2 などをもつ日本人が、英国人または英国居住のパーマネ ント・ビザを保有する者と結婚する場合、UKBA からの許可を取得しなければいけない。これには 以前 135 ポンドの費用がかかっていたが、今年 ４月９日の改正で無料になった。 ◆さらに、2005 年から 2009 年の間に Certificate of Approval を申請し、その費用を支払った者で、その支払いがいかに経 済的負担となったかを訴え、なおかつ UKBA を納得させられ た人に対する払い戻しも行われている。該当者は申請フォーム（Form COAFR）を UKBA に 2010 年７月 31 日までに送付すること。これ以降は 申請しても費用は戻ってこない。申請フォームは UKBA のサイト（www.ukb a.homeoffice.gov.uk）からダウンロードできる。 ◆英国居住のパーマネント・ビザをもった日本人が英国人または英国居 住のパーマネント・ビザを保有する者と結婚する場合は、UKBA に許可 知 � � � � � � 基 礎 知 識 を申請する必要はない。 ◆ また、英国で英国人または英国居住のパーマネント・ビザを保有する 者と結婚してから婚姻生活が２年続けば、配偶者はパーマネント・ビザ を申請する権利が与えられる。さらに、英国人と英国 外で結婚し、その婚姻関係が４年以上（例外あり）続 いていることを証明できる場合、配偶者が英国への入 国許可を申請する際に、パーマネント・ビザ申請の権 利も与えられる（ただし、入国後に「Life in the UK」 テストを受けることが条件） 。 パーマネント ・ ビザ関連 パーマネント・ビザ申請までに必要な最低滞在期間は、 クロイドンにあるルーナ・ ハウス ◆ Tier 2 保持者の場合は 5 年。その他、学生ビザを保持す るなどして、合法的に 10 年間の継続滞在（更新手続きも必ず英国で行って いることが必要）をしている人、英国国籍者または英国永住資格者と結婚し て英国で 2 年が経過している人、そして合法・非合法を問わず、14 年を超え て継続的に滞在している人なども申請資格をもつ。 パーマネント ・ ビザ申請のための必要書類 （Tier 2 保持者の場合） ＊パーマネント・ビザ申請用紙『Application for Indefinite Leave to Remain in the UK in One of the Employment or Other Categories Listed in this Form』、略して Form SET (O) これは UKBA のサイト（www.ukba.homeoffice.gov.uk）からダウンロードす れば入手できる。 ＊パスポート（最新のものに５年前のエントリー・スタンプがない場合は、 当時の古いパスポートも必要） ＊パスポート・サイズの写真２枚 ＊雇用主からのレター ＊３ヵ月分の銀行ステートメント、あるいは給料明細書等の、経済状態を 証明するもの ＊『Life in the UK』テスト合格通知（夫婦の場合、両方が合格している必要 がある。どちらか一方が不合格の場合、Tier 2 を更新することしかできない） ＊ 申請費 820 ポンド（カード、小切手、郵便為替での支払いが可能。当然な がら、 現金は郵送しないように。 なお、 当日申請の場合は 1020 ポンドかかる！） ＊ 扶養家族の場合、1 人あたり 50 ポンド（当日申請も同額）かかる。 ※国家職業資格「NVQ (National Vocational Qualification)」は、レベル１から、レベル５まで５カテゴリーに分かれ 難易度が上がるほど数字が大きくなる。このうち「レベル３」は、英語での説明では「Competence that involves the application of knowledge in a broad range of varied work activities performed in a wide variety of contexts, most of which are complex and non-routine. There is considerable responsibility and autonomy, and control or guidance of others is often required.」となっている。 Tier 2 カテゴリー 資格条件 ICT（Intra-Company Transfer ＝駐在員） ＊一般的な事務仕事ではなく、知識や経験を要し、自分の判断で仕事をすることが任される職務（※国 家職業資格 NVQ レベル３以上 )。 ＊派遣元企業で最低６ヵ月の就労実績がある（2010 年より、最低 12 ヵ月に変更される予定） 。 ＊英国国家に経済的な負担をかけない（福祉手当などを受けることなく生活することができる） 、十分 な資金がある（下の「生計力」の項参照） 。 30 就労者不足 ポジション ＊仕事内容が国家職業資格（NVQ）レベル３以上。 ＊どの職種が不足しているかは申請時の状況によって異なる。政府の諮問機関である Migration Advisory Committee (MAC) が決定し公示する。 50 日系企業や英国企業 での現地採用 （General） ＊仕事内容が国家職業資格（NVQ）レベル３以上。 ＊ EEA 国籍保持者の中では適した人材が見つからない、申請対象者でなければいけない十分な根拠を あげられる。 ＊英国国家に経済的な負担をかけない、十分な資金がある（下の「生計力」の項参照） 。 30 ※ ボーナス、残業代、交通費などの手当は含まれないが、住宅手当として現金が就労者に支払わ れる場合は、給与総額（基本給＋あればロンドン居住者用手当）を 70％として残りの 30％を、そ の住宅手当てから加算することが可能。 ※ ICT、General のいずれにしても、どの国から給与が 支払われても OK。 ※ 給与の額が適正かどうかは、UKBA のウェブサイト内の「the Occupation Codes of Practice UKBA」を常に参照すること。www.ukba.homeoffice.gov.uk/employers/points/ sponsoringmigrants/employingmigrants/codesofpractice/ 5 10 15 20 見込み給与 NVQ 3。 学士または修士号所持。 博士号所持。 英語力 。ただし ICT の場合、最初の申請にあたっては、 European Language Portfolio の Basic A1（下記参照） 英語力は問われない。 10 生計力 過去３ヵ月の銀行ステートメントを提出するとともに、最初の１ヵ月、給与が支払われるまでの生活費 があることを証明。目安は最低 800 ポンド。これに加え、扶養家族がいる場合は、最低限１人あたり 800 ポンド× 2/3 ＝ 533 ポンドが必要。なお、スポンサー（雇用主）が A ランクであれば、雇用主から の手紙（必ず CoS を記載すること）による保証のみで十分（ステートメントは不要） 。 10 50 昨年 11 月 27 日より、この Tier 2 General 申請 にあたり、２週間（土・日を含む）広告を継続し て出さなければならなくなった（年間給与が４万 ポンド以上の職であれば１週間のみでＯＫ） 。基本的には Job Centre Plus に広告を出さなければならないが、それ に加えて、職種に応じた求人サイト、あるいは新聞紙上な どにも広告を出すことを求められている。どの媒体を利用 すべきかは UKBA のホームページ内で確認すること。 なお、 給与が 13 万ポンド以上のダイレクター、社長、会長、リー ガル・パートナーなどについては、Job Centre Plus に広 告を出すことは不要（他の媒体への広告出稿は必要） 。 サバイバー 5 10 15 ※「Migration Advisory Committee〈MAC〉」は、政府に対して様々な勧告を行っている。Tier 2 についての主なものは以下の通り（いつから変更されるかは定められていない） 。 ● 職種や給与額にかかわらず、４週間（現行は２週間） 、求人広告を出稿すること ● Tier 2 の見込み給与の最低額を２万ポンド（現行は 1 万７千ポンド）とすること。 ※日本の高校卒業レベルでも、仕事内容が NVQ レベル３以上、かつ見込み給与が 3 万 2 千ポンド以上であれば、Tier 2 の申請が可能。 ■スポンサーシップ証明（CoS） が必要。 ■最長で３年間の滞在許可が発 行される。その後２年の延長を ＋ 経てパーマネント・ビザ申請の 英語力 と 生計力 資格を得る。 10 10 ■英語力を判断するための基 準検定テストについては、 「UK Border Agency（UKBA） 」 の指定機関でテストを受け、合格証明書を Tier 2 申請時 に提出する。テストのレベルについては、各機関で呼び 名が異なるが、Tier 2 申請に必要な英語レベルは Council of Europe の 定 め た 基 準 で あ る European Language Portfolio の Basic A1 に相当。例えば英検では、３級のレ ベルとされている。日本人になじみの深い機関としては 次の３機関が挙げられるだろう。英検 （www.eiken.or.jp） 、 ベネッセ・コーポレーション（www.benesse.co.jp/gtec/） 、 TOEIC（www.toeic.or.jp）。 ■日系企業などで現地採用を希望する場合、まずは EEA 出身者に採用候補者がいないかどうかを確かめることが 義務付けられている。これは、かつてワーク・パーミッ トの申請時に求められていた条件と同じで、求められれ ばいつでも求人広告を出したことを『証拠』として提出 する必要がある（下記参照） 。 1 OCT 2009 / No 594 ￡17,000 ～ 19,999 ￡20,000 ～ 21,999 ￡22,000 ～ 23,999 ￡24,000 ～ 50 その他 必要ポイント 15 ポイント サバイバー UKBA は、業種とそのポストごとに最低給与額の「目 安」を定めている。見込み給与額が UKBA の定める 基準に達していない場合、たとえポイント数の試算 合計が 70（50 ＋ 10 ＋ 10）を超えていても、Tier 2 が取得できない場合があるので十分な注意が必要だ。 下に例を挙げて説明しよう。 日本に本社のある電化製品メーカー A 社 の営業部長 B さんは、ロンドン支社への 転勤が決まり、スポンサーシップ証明（CoS）を含 む全ての書類を揃え、 「Tier 2 ICT」のビザを申請。 ↓ ところが、支社での見込み給与額を「年間給与３万 ポンド」と記したため、UKBA の定める基準、３万 732 ポンドにわずかに達せずビザ申請は却下された。 給与額の「目安」が記されたページにあるガイドライ ンに従えば良いのだが、 「適した」業種とポストのペー ジにたどりつくまでがひと苦労！ しかも、それが申請 者に関して本当に「適した＝正しい」ページであるか どうか、 「UK Border Agency」にたずねても教えてく れないという。どのようにして、適しているとおぼし きページを探し出すかは次の通り。 ① h t t p : / / w w w . u k b a . h o m e o f fi c e . g o v . u k / sitecontent/documents/employersandsponsors/ pointsbasedsystem/soccodesummarytables にアクセス。 1. Managers and senior officials 2. Professional occupations 3. Associate professional and technical occupations 4. Administrative and secretarial occupations 5. Skilled trades occupations 6. Personal service occupations 7. Sales and customer service occupations 8. Process, plant and machine operatives 9. Elementary occupations か ら、 該 当 項 目 を 選 択。 こ こ で は、「1. Managers and senior officials」を選び、クリックしてみる。 ② 30 ペ ー ジ に わ た っ て、 業 種 別 に 様 々 な マ ネ ー ジャー・クラスのポスト名が並ぶ。根気強く、ス ク ロ ー ル す る と、「111 Corporate managers and senior officials」 内 の「1132 Marketing and sales managers: Business development manager, Commercial manager, Export manager, Marketing manager, Product manager, Sales and marketing director, Sales manager」 を 発 見。「Section N administrative and support service activities」にジャ ンプできることが示してあるので、再びクリック。 もう一度クリック。 ③ 次の画面で「1132 」を探し出し、 ④ どの媒体に広告を出すべきか、また、給与はいく ら以上必要かを記したページにようやく到達！ B さ んのポストは職業コード番号 1132 の Marketing and sales manager に相当すると判断し、ガイドライン を確認。それによると職業コード番号 1132 の最低 賃金は時給 15.76 ポンド。全ての年俸は「週 37.5 時 間、年間 52 週」で計算されるため、職業コード番 号 1132 の年間最低給与額は３万 732 ポンドという ことになる。 ⑤ また、B さんは「 ICT」用ビザを申請するため、 広告を出す必要はないが、「General」用ビザの申請 には、同じくこのページから、どの媒体に広告を打 つべきかが記されている。それによると Job Centre Plus のウェブサイト（これは必須）のほか、業界紙 （ここでは３種紹介してある）、全国紙、他の求人サ イトのうち１つの媒体を選んで２週間、広告を出す よう指示されている。 ⑥ ま た、「Milkrounds（ 新 卒 者 リ ク ル ー ト 活 動 ）: Yes」 と あ る ポ ス ト に つ い ては、EEA 圏内で行われる、 新卒者を対象にした大学で の「合同就職相談会（careers fair）」 に 参加 し、 ブースを 出して説明を行えば（最低 ３校以上、訪れる必要あり）、 EEA 圏 内 の 大 学 の 新 卒 者 （非 EEA 国籍者）を求人広告を出さずに採用するこ とを許可していた。しかし、３月 31 日より、Job Centre Plus、Job & Benefits Office、あるいは Job Centre Northern Ireland に求人広告を出すことが義 務付けられるようになっている。ただし、８月 31 日までに CoS が付与された新卒者については、こ の義務は適用されない。 1 OCT 2009 / No 594 14 『Life in the UK』 テストについて パーマネント・ビザを獲得するにあたり必要なのが、『Life in the UK』テスト。英国の風習や政治システムに関する様々な質問が 出題される。ホーム・オフィス発行の専用テキスト『Life in the United Kingdom: A Journey to Citizenship』＝写真右下＝全９章の うち、第２～６章の中から計 24 問がランダムに出題される。制 限時間は 45 分で、合格に必要な正解率は 75% 以上。つまり 18 問以上の正解が必要だ。ちなみに解答は２者あるいは４者の中か ら正しいものを選ぶ選択方式。専用 テキストは Amazon などオンライ ン・ ブ ッ ク シ ョ ッ プ の ほ か、WH Smith でも販売中。定価は￡9.99。 批判の多い ID カードについて ■ホーム・オフィスは、2015 年の完了をめどに、英国に滞在す る非 EEA 国籍者を対象に、段階を追って ID カードの取得を義務 化。バイオメトリクス技術を利用した ID カードには、指紋、滞 在資格、滞在期間、就労資格の有無などの個人情報が盛り込まれ る。生体識別情報を含む個人情報を把握することで、テロや犯罪 対策に役立てるのが狙い。いずれは英国民全員に ID カードを携 帯させる計画もあるものの、それに対し、人権擁護の立場などか ら反対意見が噴出、現在は暗礁に乗り上げている。 ■昨年の 11 月 25 日以降、次のカテゴリーでビザを申請／延長す る非 EEA 国籍者は、ID カードを取得しなければならなくなって いる。料金はビザの申請／延長費用に含まれているが、紛失・盗 難などによる再発行の際は 30 ポンドが必要。 １）学生 ２）英国居住のパーマネント・ビ ザ保有者と結婚／婚約し、パート ナー・ビザや婚約者ビザを持つ者 ※来年からは Tier 2 申請者（更新も 含む）にも適用される見込み。 本 稿 執 筆 に あ た り、 ロ ン ド ン を 拠 点 に、 企 業 専 門 の 法 律 業 務 に 携 わ っ て い る BAKER & MCKENZIE および、同社のイミ グレーション・スペシャリスト である藤本静子氏には、多大な るご協力・ご助言をいただきま した。この場をお借りし、厚く 御礼申し上げます。 ※本稿内にある情報はすべて 2009 年 9 月 25 日現在のもので す。予告なく、毎日のように変更が加えられている状況であ る点、ご了解ください。 Tier 4 カテゴリー ＊学校からの入学許可証 ＊学費＋生活費 30 10 Child Student ＊学校からの入学許可証 ＊学費＋生活費 30 10 （18 歳未満） 昨年 11 月に施行された Tier 5 には、以前 Youth Exchange Scheme ( ワーキング・ ホリデー ) と呼ばれていた Youth Mobility Scheme（国際青年交流スキーム）が含ま れている。これは日本をはじめとする英国が認めた国（他にはオーストラリア、カ ナダ、ニュージーランド）からの 18 歳～ 30 歳の若者が対象で、最長 24 ヵ月の滞在、 フルタイムの就労が許される。 １年を通じて申請が可能だが、日本の場合に限り１年あたりの定員が定められて おり（1083 人）、定員に達した時点でその年の申請受付は締め切られる。ちなみに 2009 年度の受付は４月末に定員に達し、次回の申請受付は 2010 年１月１日より開 始される。Tier 5 のその他のカテゴリーには、スポーツ／創作／チャリティ／宗教 活動などに従事する一時的就労者、外国政府の被雇用者が含まれる。創作／チャリ ティ活動従事者は最長 12 ヵ月、それ以外の場合は最長 24 ヵ月の滞在が許可される が（本誌 12 ページの例外参照）、滞在許可期限が切れたら、自国に戻るのが原則。 必要ポイント 30 ＋ 年齢 と 生計力 10 10 Youth Mobility Scheme 必要ポイント：国籍 30 ＋ 年齢 10 と 生計力 10 年齢：18-30 歳（エントリー・クリアランスが発行された時 点で 18 歳になっている、あるいはエントリー・クリアランス 申請時点で 31 歳未満であれば良い） 滞在許可期間：最長 24 ヵ月。この期間中フルタイムの就労 が可能（改めてスポンサーシップ証明をとる必要はない）。延 長は不可。滞在許可期限が切れたら自国に戻るのが原則。 生計力：1600 ポンド以上（日本円で可）の預金が常に口座に 保持されていることを示す銀行ステートメント（申請時の１ヵ 月前からの日付のもの）。これは翻訳専門機関で英訳された書 類であること 申請費：125 ポンド 必要ポイント 40 ■スポンサーシップ証明（Confirmation of Acceptance for Studies: CAS） が 必 要。 入 学 す る 学 校 が ス ポ ン サー・ライセンスを取得済みであるか否かは、次のサ イトでチェックできる。www.ukba.homeoffice.gov.uk/ sitecontent/documents/employersandsponsors/ pointsbasedsystem/registerofsponsorseducation ■英語学校のコース・レベルは European Language Portfolio の Basic A2 程 度以上であることが必要。 ■ Adult Student（別称 General Student）は、16 歳以上を対象とした高等教 育を受けるために英国に来る 18 歳以上の学生を示す（16、17 歳の学生に関 しては、NQF のレベル３以上のコースで学ぶなら Adult Student、あるいは Child Student のどちらのビザを選んでも良い。ただし、語学学校〈コース・ レベルは Basic A2 程度以上〉に通う場合は Adult Student のビザを取得する ことになる） 。語学学校などの場合、最長でも滞在が３年が限度の目安であ ることに変わりはなく、英語コースでのそれ以上の延長は難しい。大学など Degree コース、あるいはそれ以上の場合は基本的にコース期間プラス一定の 期間（例：3 年のコースであれば、３年＋４ヵ月）の滞在許可が得られる。 ■週 20 時間以内の就労が可能（ただし、語学学校、Degree コースともに休 暇中はフルタイムの就労が認められている） 。 ■必要資金：学費＋生活費。生活費に関する最低必要額は学校の区 域により違いがある。詳細は以下の通り。 ・学校がロンドン市内にある場合＝最低 800 ポンド×滞在月数分（９ヵ月未 満のコースの場合）が必要。長期コースの場合は、学費＋最初の９ヵ月分の 滞在費でよい。 ・学校がロンドン市外にある場合＝最低 600 ポンド×滞在月数分（９ヵ月未 満のコースの場合）が必要。長期コースの場合は、学費＋最初の９ヵ月分の 滞在費でよい。 ※ロンドン市内とみなされる区域：Camden, City of London, Hackney, Hammersmith & F u l h a m , H a r i n g e y, I s l i n g t o n , Kensington & Chelsea, Lambeth, Lewisham, Newham, Southwark, Tower Hamlets, Wandsworth, Westminster （Tier 4 policy guidance page12/50 より） 非熟練労働者用ビザ 政府は外国からの非熟練就労者（「職種別スキーム」Sector Based Scheme〈SBS〉 就労者など）を徐々に締め出すことを狙っている。それでも、非熟練就労者をどう しても必要とする職種（Migration Advisory Committee〈MAC〉- 旧 Skills Advisory Body- によって決定される）については、問題があった際には自国へ当事者を送還 できる協定を英国と相互に結んでいる国の出身者を対象に、予め定められた受け入 れ人数の範囲内でのみ、厳しい条件を課したうえで受け入れることを認める。現在 ポイント数、導入時期は未定。 ■学費や生活費等の必要資金は日本の口座に入っていても構わない が、その場合は銀行ステートメントが必要。なお口座は定期預金 等ではなく、出し入れ可能な当座預金であること。銀行ステートメントを提 出する際は、最新のもの（申請日前から１ヵ月以内）が必要。なおかつ 28 日 間にわたり継続して「学費＋生活費」にみあった金額が入っていたことが証 明されなければいけない（もしも学費を振り込み済みであれば、その領収書 ＋生活費） 。なお、今年の８月 21 日より、口座は申請者本人名義のものでな くてもよくなった（例：保護者の口座など） 。申請者本人の口座に多額の残高 ホーム・オフィスの「窓口」 ルーナ・ハウス Lunar House 月～金 9:00-16:30 40 Wellesley Road, Croydon CR9 2BY 問い合わせ先 0870 606 7766 受付時間 住 所 ホーム･オフィス内 問い合わせ先 【各申請用紙を電話で取り寄せる場合】 0870 241 0645 【一般的な問い合わせ】 0870 606 7766 www.ukba.homeoffice.gov.uk 17 1 OCT 2009 / No 594 サバイバー サバイバー ポイント Adult Student （18 歳以上） 「ワーホリ」 や プロ選手 ・ 芸能人用ビザ 資格条件 40 があると、それ幸いとばかりに浪費に走る学生がでてくるようになったから という。この場合、申請者との関係を証明する書類（戸籍謄本など）が必要。 ■登録した学校やコースを変更する場合は、必ずホーム・オフィスへ知らせ ること。その際は CAS 等の証明書類が新たに必要になる。ただしメインのコー スに通いながらイブニング・コースなど、複数のコースにも出席する場合は、 それらについて届け出の必要はない。 ■ 学生が始業初日に出席しない、10 日以上の無断欠席があるなどの場合は、 学校側はホーム・オフィスに即時連絡する義務をもつ。UKBA は「優秀な学 生／人材を確保したい」としながらも、 「テロリストの温床になる違法な学校 の摘発」にも力を入れているため、スポンサーシップ制度の導入以降、学校 側は UKBA への協力を法律で厳しく要請されている。 ■全く英語ができない状態で、６ヵ月間、語学学校等への入学を希望する場合、 英国へは２通りの入国方法がある。 １） 「Student Visitor」 …英国の空港で入国時に申請。就労不可、 延長もできない。 ビザの期限終了後も勉強を続けたい場合は、 １度、 母国に帰国して改めて「Adult Student」として Tier 4 を申請すること。 ２） 「Adult Student」…あらかじめ日本でエントリー・クリアランスを取得し ておけば、週 20 時間以内の就労が可能。 ■ Tier 4 外のカテゴリーにある「Prospective Student」というエントリー・ク リアランスは、数校からの入学許可をもらい、現地入りして実際に見て比較 してから入学を決定しようという学生のた めにある、６ヵ月の短期ビザ。いったん入 学する学校を決めたら、英国内で Tier 4 に 切り替えることができる。 Tier 4 申請のための必要書類 ・パスポート ・CAS ・パスポートサイズの写真２枚 ・ビザ申請用紙（ここにするサインはパスポートと同じであること） ・入学証明書、翻訳機関で英訳された銀行ステートメントの原本＋コピー（日 本のビザ申請センター「VFS Global」のウェブサイトに翻訳サービス機関に 関する情報が掲載されている。 ） ・申請費 145 ポンド相当の日本円 日本でエントリー・ クリアランスを申請する場合について ■東京などにある在日英国領事館ではなく、東京と大阪に設置された申請セ ンター（VFS Global）を通す。08 年の５月から、申請時の混乱を緩和するため、 あらかじめ申請日時をオンライン予約するシステムがスタート。予約せずに いきなりセンターに行っても、申請を受け付けてもらえないので要注意。 ■今年の１月 26 日から申請センターで受領した申請書類は、全てマニラの 英国領事館へ送付され、そこで手続きが行われている。これはシステムの効 率化と人件費節約が理由だとされる。これに伴い、当初はエントリー・クリ アランスの発給には約４週間かかっていたが、今では約１週間という短期間 での受領が可能になった。ただ、申請場所やシステムはこれまでと同様だが、 銀行ステートメントを含む全ての日本語の提出書類には英語による正式翻訳 書類が必須なので、これに関しても注意が必要。なお書類等の翻訳サービス 機関については、同センターのウェブサイトを参照。 東京：東京都港区東新橋 2-3-14 エディフィチオ・トーコービル４F 大阪：大阪市中央区南船場 2-4-1 美貴ビル６F ■同センターではフィンガースキャン（指紋採取）とデジタル写真の撮影も 行うため、必ず本人が出頭し申請を行うこと。ただし、Tier 外で英国での滞 在期間が６ヵ月未満の場合、および Tier 5（スポーツ、創作など）で滞在期 間が３ヵ月未満の場合には、基本的にはエントリー・クリアランスは不要。 従ってフィンガースキャン等の必要もない。 ■センター連絡先や受付時間等の詳細は、同センターのウェブサイトで確認 すること。 www.vfs-uk-jp.com 1 OCT 2009 / No 594 16