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巡る水への恩返し
巡る水への恩返し 滋賀県立河瀬中学校 三年 菊地 悠希 広大な宇宙にぽっかり浮かぶ「水の惑星」地球。その名のとおり、表面の七十パーセ ントが水に覆われている。この水を容積にすると約十四億キロ立方メートルになる。こ の地球の表面にある九十七パーセントの水が海水である。つまり、地球上の七十億人の 人が地球上の三パーセントの水に頼って生きているのだ。地球の水の量は太古の時代か らほとんど変わっていない。地球に降り注ぐ雨や雪の量がどの場所にどのくらい降るの かということには変化があっても、地球規模で考えるとほぼ一定になっている。今、私 たちの身の回りにある水は今から何十億年も前に作られた水が何回となく循環を繰り 返しているだけなのである。今、川を流れている水が大昔の人たちの横を同じように流 れていた。今、降っている雨は大昔も同じように人々の上に降り注いでいた。今、私た ちが水道から出している水は、もしかしたら大昔の子供たちが川で遊んでいた時に横を 緩やかに流れていた水なのかもしれない。そう考えると水とは、私たちの近くで何度も 姿を変え、私たちが豊かな生活ができるように見守ってくれていることがとても良く分 かる。 ところが、最近では水が汚されてきている。工場排水や家庭排水、ゴミのポイ捨てな どと原因は様々だが、今まで私たちのそばにあった水が水本来の姿をなくしつつある。 本当にそれで良いのだろうか。私たちの生活に欠かせない水が私たちの手によって汚さ れていくことが今まで私たちがお世話になってきている水への恩知らずな行為ではな いのだろうか。私は水への恩返しがしたい。「いつも生活を支えてくれてありがとう」 と態度で示したいと思う。そのためには何ができるのだろうか。私が今すべきことは何 なのだろうか。そう考えているときにひとつの話が家族の中で持ち上がった。私の家は 祖父母の家との間に庭がある。その庭にはとても花が好きな祖母が一生懸命育てた花が たくさん植えられている。ボタン、芍薬、バラなど様々な種類があり、私は庭が大好き だ。花を育てるということは、夏になると晴れの日の水やりは欠かせない。その水は今 まで外の蛇口に繋いだホースを使っていた。もちろん節水をしようとは思っていたのだ が、なかなか花を育てようと思うと減らすことができなかった。そこで祖父は「とゆと ベランダに降った雨水をドラム缶に集めその水を使って水やりをしよう」と言った。私 と祖父はそこで二百リットルのドラム缶九缶を連結管で接続し雨水を集められるもの を作った。もうすでに九缶はかなり溜まってきている。祖母や私が大好きな花の水やり はこの水を使って行われることになった。節水もできて、今年もたくさんの花が見られ ることはとても嬉しい。雨水を使うことで私は水に恩返しができたような気がした。 水に関する視野を私が住んでいる滋賀県まで広げてみた。この間、母がお米を買って きたときにあるマークが気になった。母に尋ねてみると「環境こだわり農産物認証マー ク」だということを教えてくれた。農薬、化学肥料の使用を通常の五割以下に減らし、 琵琶湖や周辺の環境に配慮して栽培され県に認証された農産物にのみ付けられるそう だ。調べてみると滋賀県では環境にやさしい農業を積極的に取り組んでいることを知っ た。食べることで生産者を応援し琵琶湖を守ろうとする人が多いことも読み取れる。そ のことは滋賀県に住む私たちが誇れる滋賀県の良さだと思う。 私は自分の身の周りの水、一滴一滴に「いつもありがとう」の気持ちを持ち、少しず つでも恩返しができるように日々の生活をもう一度見直したいと思う。そして「水の惑 星」地球に住む人として水環境に優しい生活をしていけるように努力したい。