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2012/07/27 福岡 「第06回MRPユーザーサポート講習会」の模様(PDF)

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2012/07/27 福岡 「第06回MRPユーザーサポート講習会」の模様(PDF)
MRP Mail magazine
第 6 号 2012
2012年8月
◆特集◆
特集◆
第6回 MRP ユーザーサポート講習会
ユーザーサポート講習会
2012
2012年7月27 日(金)ホテルセントラーザ博多
ホテルセントラーザ博多
第1部 基調講演
経営層からみた用度・調達の役割と当院のコスト削減の取り組み
社会福祉法人恩賜財団
大阪府済生会泉尾病院
事務長 杉本 圭互 先生
第2部
コンサルタントからみた用度・調達業務について
-高額備品・委託業務の整備株式会社 システム環境研究所
常務取締役東京・大阪事務所長
竹原 潤 先生
第3部
診療材料・医薬品のコスト削減の取り組み -ベンチマークの活用など事例1)掛川市立総合病院 経営企画課 理財管理係
主任
事例2)京都大学医学部附属病院
経理・調達課物流管理掛長
鈴木 淳也
林 寿美子
先生
先生
2012年7月27 日(金)、
福岡にて、第6回 MRP ユーザーサポート講習会
を開催致しました。
真夏の暑い時期ではございましたが、
約 170 名の皆様にご参加いただき、この度も盛況のうちに
会を終えることが出来ました。
ありがとうございました。
<開催宣言>
開催宣言>
弊社 代表取締役
山中 榮二
おかげさまで第6回目の MRP ユーザーサポート講習会を開催する
ことができます。
MRP ユーザーサポート講習会は、
①MRPが有するコンサルティングや機能を効率的に活用して頂き、
病院の経営改善に今以上に役立てて頂くこと
②病院の事務の方々へ様々な情報を提供することによって、
少しでも病院マネジメントに貢献していくこと
③病院間の情報や人のネットワーク作りに貢献すること
を目的としております。
本日は、前回の開催で行ったアンケートにて、
病院現場で取り組まれている実例を聞きたいというご要望を多数頂いたため、
4 名の先生方に現場での取り組み事例のご講演をお願いしております。
また、今回は初めての地方開催ということで、福岡にて開催することとなり
ました。次回以降は中部地方・東北地方でも開催を予定しておりますので、
今後もご指導・ご鞭撻の程何卒宜しくお願いします。
以上、MRP ユーザーサポート講習会の開催を宣言いたします。
上記について、当日の様子とアンケートの集計結果を、次ページ以降に掲載いたします。
MRP Mail magazine
第 6 号 2012
2012年 8 月
第1部 基調講演:
経営層からみた用度・調達の役割と
当院のコスト削減の取り組み
社会福祉法人恩賜財団
大阪府済生会泉尾病院
事務長 杉本 圭互 先生
<平成17~23年の経営状況>
■ 泉尾病院の
泉尾病院の決算状況
V字回復
黒字
赤字
平成 18 年を底に経営状況が V 字回復、平
成 20 年にやっと黒字転換できた。その後は、
平成22年に経常利益が 1 億 3200万円ま
で回復したものの、23 年度は半額の 6800
万円と落ち込んだ。
平成17年の段階では、医師の数が少なく、
これ以上収入を見込むことは難しい状況であ
ったので、まず費用の削減をすることから取
り組み始めた。
■ 医業費用推移
平成17年度と 6 年後の平成 23 年度とを
比較すると、給与費、材料費、経費、委託費
等すべての項目で費用削減が出来てきている。
■ 職種別給与推移
医療技術員・事務員に関しては原則欠員不
補充とし、非常勤職員、派遣社員で対応する
など、給与費を削減するように取り組んだ。
また、医師の給与改定を実施し、人員増加
を図り、収入を見込める環境づくりを行った。
看護師の給与削減が顕著に現れているのは、
取り組みの効果ではなく、離職率が高まり、
自動的に給与費が減ったことによる。
このことが、現在の看護師不足につながり、
入院制限をせざるえない現在の状況を作り出
してしまったので、あまり喜ばしいことでは
ない。(今年中に改善したい)
-2-
MRP Mail magazine
第 6 号 2012
2012年 8 月
■ 年度別材料費内訳
平成 19 年の診療材料費の削減が顕著であ
る。これは、MRP のベンチマークシステムの
利用により、業者との交渉がしやすくなった
ことが一つの理由である。
<経営改善の取り組み>
■ 購入部門の
購入部門の年度別目標と
年度別目標と事例
まず、コスト削減の取り組みを実施するにあたって、購入部門には年度ごとに目標数値を設定
した。人事考課の 1 つとして取り入れたため、より真剣に取り組んでくれたと感じている。
削減事例1:泉尾医療福祉センター
コピーリース料
平成 22 年 4 月に全てのコピーリースの見直しを行った。また、これを機に全コピー機の管
理を一元化することになった。いままでバラバラで管理されていたため、契約期間が残っている
コピー機もあったが、一括して最新のコピー機を入れたことで、コストパフォーマンスが高まり、
台数の見直しもできた。取り組みの成果は、下記のように数値に表れている。
●8施設
15 台 → 13 台
●年額コスト
1,031 千円×12 ヶ月=12,372 千円
●551 千円×12 ヶ月=6,612 千円
●年間削減額
5,760 千円
しかしながら、一番の成果と感じているのは、事務職員の意識が変わったことである。すべて
のコピー機を一元管理することになったため、取り組みに対する連帯感が高まったと感じている。
-3-
MRP Mail magazine
第 6 号 2012
2012年 8 月
削減事例2:CT の更新
CT をリースからレンタルに、4 列 CT を 16 列 CT に変更した。その結果、年間のレンタル
料(保守料込み)のコストを削減することができ、かつ、診療報酬による収益増も見込めるよう
になった。さらには、4 列から 16 列に機器の性能を上げたことでオーダーも増えた。
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
4 列CTの年間保守費用
13,440 千円
16 列CTの年間レンタル料(保守料込み)
820 千円(月)×12 ヶ月=9,840 千円
年間4列CT稼動件数(23 年度) 2,400 件
4 列CTの改定後の点数
780 点
16 列CTの改定後の点数
900 点
更新後の増収見込み額 (900-780)×2,400×10=2,880 千円
6,480 千円/
CT更新後の経済効果
13,440 千円-9,840 千円+2,880 千円=6,480
千円/年
削減事例3:電子カルテの入替え
電子カルテシステムの入替えについては、操作の違い等で日常業務に影響が出るため、当初、
医師、看護師やコメディカル側の賛同を得ることができなかった。そのことが、すでに導入して
いるベンダーの立場を優位にさせ、うまく価格交渉ができなかった。
それでも、ベンダーを替えることにより大きな費用の削減に繋がった。マスタの再登録、デー
タの移行等で混乱が生じ、職員からよく苦情も届いていたが、導入して 4 ヶ月、徐々に苦情も
少なくなり、ようやく順調に運用できてきたように感じている。
削減事例4:訴訟費用の削減
訴訟を未然に防げるよう、サービス業(ホテル)経験者の雇用と医療訴訟専門の弁護士との顧
問契約を実施し、訴訟件数が大幅に減少しただけでなく、病院の評価も徐々に良くなってきてい
る。
■ 購入担当者に求めること ■
①
あなた方の交渉は経営を大きく左右する → 費用のマイナスは剰余のプラス
購入部門の成果は、数値にあらわれやすく、その分プレッシャーもかかるので大変だが、
病院経営の一翼を担っているという意識で担当してほしい。
②
メディカル部門に感謝される担当者に
→ 良いものをいかに安く調達するか
予算より安いものを購入するよう要求されることは少ないが、よりよいものを安く調達
できるよう、できるだけ業者と調整してほしい。
③
視点を変えて考えてほしい → 同じ視点からは新しい発想は生まれない
新しい商品や契約形態・購入方法等、常に新しいことに目を向けることが大切。既存の
やり方・知識に凝り固まらない。
■ 講演者からのメッセージ ■
私の経験上、他病院との交流を通じて、新しい知識や有益な情報を得られることが多い
ので、この場の出会いを大切にして、病院同士のつながりを深めていただきたいです。
特に、ユーザーサポート講習会のような購入担当者が集まるセミナーや交流会は少ない
ので、普段から業務で悩んでいることを質問するなど、有意義な時間にしていただけるこ
とを願っております。
-4-
MRP Mail magazine
第 6 号 2012
2012年 8 月
第 2 部:
コンサルタントからみた用度・調達業務について
-高額備品・委託業務の整備株式会社 システム環境研究所
常務取締役東京・大阪事務所長
竹原 潤 先生
■ 医療を
医療を取巻く
取巻く医療関連サービス
医療関連サービスの
サービスの状況
医療機関の業務は、医師による医療行為などの医療コア業務と、医療行為以外の医療ノンコア
業務に分けることができる。
医療コア業務:診断・治療などの医療行為・看護行為
医療ノンコア業務:上記以外でアウトソーシング可能な業務(医療関連サービス)
【業務委託の満足度調査結果一覧と要望一覧】
→全体的に満足しているものの人材確保、価格設定などに要望がある
■ アウトソーシング業務
アウトソーシング業務のこれまでの
業務のこれまでの課題
のこれまでの課題
調査では概ね業務委託に対して満足しているものの、以下の点で課題点も残っている。
病院
それぞ
れに個
別発注
①
単年度
契約が
基本
②
受託
企業A
×
受託
企業D
受託
企業C
受託
企業B
③
④
⑤
⑥
単年度契約による弊害
→毎年業者が変わることも
個別発注による業者横連携の皆無
→非効率な運用
仕様書と実業務の不一致
管理側対応の限界(知識の限界)
管理スタッフの頻繁な交代
改善項目・考え方が分かりづらい
×
×
-5-
MRP Mail magazine
第 6 号 2012
2012年 8 月
■ 課題解消の
課題解消の方法
上記のような課題点を解消するため、病院側は以下のような解消方法が考えられる。
①
複数年契約による提案型委託形態
医療機関が抱えている問題点に対し、病院の考え方・ビジョン等を共有した業者が解決策を提
案する。
②
グルーピングによる相乗効果期待
関連した複数業務の再編により委託費削減や業務の効率化・人員の統合化を行うこと。
(清掃・洗濯・滅菌管理など)
③
仕様書、業務区分表の再設定
業務区分表を作成することで、医療機関側と業者側の業務の境界線を引くことができる。
④
モニタリング項目の設定
業務がきちんと行われているか、医療機関側のチェックと業者のチェック(セルフモニタリン
グ)を行う。委託業者への業務の丸投げにならないように、医療機関もチェック体制・意識を
持つ。
⑤
組織体制構築・プロパー職員の育成
強い事務局を形成することで、統計データの蓄積や業務の可視化・評価ができるようになる。
⑥
改善項目の設定・考え方
課題解消に向け目標を設定し、実施方法や期待効果を費用対効果に照らし合わせて設定する。
また、医療機関側の努力だけでなく、業者側も以下のような点が求められる。
●今後、委託業者に求める内容の整理
改善提案
改善提案
改善すべき内容を把握で
改善すべき内容を把握で
きるセンサー機能を有し
きるセンサー機能を有し
ているか?
ているか?
改善提案が行える体制と
改善提案が行える体制と
なっているか?
なっているか?
定期的に改善を行おうと
定期的に改善を行おうと
いう姿勢がみえるか?
いう姿勢がみえるか?
セルフモニタリング
セルフモニタリング
病院に提出できるセルフ
病院に提出できるセルフ
モニタリング項目を持って
モニタリング項目を持って
いるか?
いるか?
病院に提出することが目
病院に提出することが目
的ではなく、本来の業務を
的ではなく、本来の業務を
チェックするためのセルフ
チェックするためのセルフ
モニタリング体制・項目を
モニタリング体制・項目を
有しているか?
有しているか?
病院経営への貢献
病院経営への貢献
病院経営へ直接的・間接
病院経営へ直接的・間接
的に貢献できる内容はあ
的に貢献できる内容はあ
るか?
るか?
そのデータはタイムリーに
そのデータはタイムリーに
取得・提供できるか?
取得・提供できるか?
会社を通じて共通の仕様
会社を通じて共通の仕様
となっているか?
となっているか?
-6-
MRP Mail magazine
第 6 号 2012
2012年 8 月
■ 医療機器整備における
医療機器整備における用度部門
における用度部門の
用度部門の果たすべき役割
たすべき役割
用度部門の役割として以下のような点が挙げられる。
1.
2.
3.
4.
5.
適正価格での購入
必要な機器の選定・調達・整備
機器の有効活用-効率的・効果的利用
予算管理-計画的な購入
その他上記以外の整備
また、医療機器の整備において、下記のような普遍的なテーマがある。
(1)医療機能との整合性
(2)適切な予算計画
(3)適切なスケジュール管理
(4)スタッフのモチベーション
(5)ライフサイクルコスト
イニシャルコスト(初期費用)にランニングコスト(維持費用)を合わせたコストのこと
メンテナンス・消耗品の購入などが機器導入業者の独占状態になるため、価格が下がりに
くい傾向にある。
(6)医療情報システムとの整合性
(7)中立性・透明性
(8)建築・設備との整合性
この普遍的なテーマに対し用度部門は、「しくみ作
り」
「データ収集」
「ルール化」で主導性を発揮するこ
とができる。
■ 医療機器の
医療機器の整備に
整備に関する具体案
する具体案
上記の解決策を具体的な案に落とし込んでみた。
① 機器材料委員会(仮称)の設置
医療機器の適正な配置を行うため、院長をはじめとする各部門長・実務者で構成される委員会。
中長期購入計画や共通使用機器の統一・標準化を策定する。
② 医療機器の台帳管理
購入・廃棄管理だけでなく、稼働状況・修理履歴、ロケーション(配置場所)の管理を行うこと
でより詳細に管理することができる。
③ ME管理体制の必要性
各部署で管理するよりも一括で管理すると無駄な投資を省くことが可能である。
-7-
MRP Mail magazine
第 6 号 2012
2012年 8 月
ME管理をせずに、各部署に管理を任せた場合
部署A
20
5
15
最大必要台数
平均必要台数
通常時余剰台数
部署B
15
5
10
部署C
18
8
10 ← めったに使わない
死機材となる
ME 管理を
管理を行った場合
った場合
通常時余剰台数が
通常時余剰台数が
極力少なくて
なくて済
極力少
なくて済む!
無駄 な投資を
投資を省くことが可能
くことが可能!
可能!
④ 中長期購入計画
医療機器の法定耐用機器年数をベースに中長期的に更新計画を策定する。
また、中長期購入計画に沿って予算計上を行ったり、機器使用上の計画も必要である。
⑤ 年度更新予算の設定
年度更新の予算を設定する際、重要度に応じて優先順位をつけて評価し、
購入検討ラインの設定を行い、想定予算ライン内にどこまで収まるかを検討する。
⑥ 調達方法の検討
購入だけでなく、リースや持ち込みなども視野に入れる。
購入でも一般競争入札や見積合わせ・プロポーザル方式など病院にとって最適な方法を模索する。
その他、補助金の対象有無やライフサイクルコストでの評価、他の医療機器システム
との整合性はあるか、検討をする必要がある。
また、整備後には、購入した機器の利用されるように、設置場所や管理方法も工夫が
必要である。
■ まとめ
まとめ ■
・
医療サービスをアウトソーシングする際、医療機関の理念やビジョンを共有し改善提案
できる委託業者が求められている。
・
医療機器を整備する際、用度部門は「しくみ作り」「データ収集」「ルール化」で主導を
発揮できる。
・
また、医療機器の管理は一括で管理をすれば無駄な投資を省くことが可能である。
-8-
MRP Mail magazine
第 6 号 2012
2012年 8 月
第 3 部:
診療材料・医薬品のコスト削減の取り組み
-ベンチマークの活用など-
診療材料の SPD 切り替えに伴う
調達業務の変化と当院の今後の課題
事例1)掛川市立総合病院
経営企画課 理財管理係 主任
鈴木 淳也
先生
平成22年10月、当院は院外 SPD での物品管理の方式を院内SPD(自前)に切り替えた。
同時に、診療材料価格交渉を開始する。
■ 院外SPD
院外SPD当時
SPD当時の
当時の診療材料の
診療材料の調達
・
・
SPD会社に定数も定数外の調達も一任していた。
価格交渉もSPD会社に任せる形で、導入時の
価格が基準額となり引き下げ後の金額の半分が
インセンティブになっていた。
・ 病院側で努力した場合も同様。商品を置き換え
た場合も置き換え前の基準額。
・ ケースバイケースのルールがあり、複雑すぎて
整理ができていない状況だった。
■ SPDの
SPDの切替えの経緯
えの経緯
平成20年度より MRP 支援の下、医薬品のみ価格交渉を開始。
※診療材料の交渉を同時スタートできなかった
→SPDとの契約があったため、
それを打ち切ってまで自前で価格交渉する準備ができていなかった。
→価格データも双方の合意がなければ活用することができなかった。
(SPD会社がマスタや実績データの提出について慎重だった)
上記のような状況でも、平成21年7月にベンチマーク価格分析を強行
→結果、購入価格が「非常に高い」と判定された。
また、SPD価格の事前分析により、納入業者から直接購入した場合に年間5千万円の効果
が出ることが明らかになった。
→調達方式だけでなくSPDそのものの見直しの機運が高まった。
結局、病院経営会議からトップダウンでSPD見直しの指示が降りて来た。
→他施設見学をしながら新SPDシステムや運用の検討を進めていった。
-9-
MRP Mail magazine
第 6 号 2012
2012年 8 月
① SPD在庫管理方式
SPD在庫管理方式の
在庫管理方式の変更
SPD定数品だけでなく、定数外品も管理できる方式に切り替えることにした。
=全在庫管理(業者預託品含む)+持込品管理
→院内倉庫型SPDへ
② 調達方式の
調達方式の変更
交渉は病院職員が行うこととなったため、
業務量は増えたが、これまで定数・定数外も
あわせて、SPD会社に相当の差益を取られ
ていた分を、病院の直接購入へ切替えたこと
で、値下げ分はすべて病院側の利益となった。
また、製品の切替えなどを検討する場合は、
業者の都合を気にせず、病院主導で行えるよ
うになった。
③ 切替え時の価格交渉
6 ヶ月で約 2600 万円の削減が実現でき、
非常に大きな成果を得ることができた。
■ 切替え
切替えメリット■
メリット■
・
院内にセンターを備えることにより、より精度の高い物品管理が出来るようになる。
・ 患者別に使用実績が把握できるようになり、診療科別金額の集計や医事請求との突合チェック
ができるようになる。
・ 委託会社の中間マージンがなくなるので、購入単価が下がる。
(折半方式なので過去の削減効果分も累積で委託会社にとられる構造。)
・
在庫が病院資産になるので、職員の物品管理意識やコスト意識が向上する。
・
委託費もランニング面では削減できる(SPD 職員+消耗品経費)。
・
購買価格が低減するため、コストを削減できる。
■ 講演者からの
講演者からのメッセージ
からのメッセージ ■
SPD の切替えはとても労力がかかりますが、自分たちでもやればできる!という自信がつき
ます。特に、院外から院内への変更については購入担当者の業務量が増えますが、同時に購入担
当者の知識も増えていきますし、自分たちの取り組みが直接成果につながるので、納得のいく管
理業務を行うことができるようになると思います。
SPD の切替えを検討されている方は、是非、無理やりにでも試みてください。やればできるよ
うになります!
- 10 -
MRP Mail magazine
第 6 号 2012
2012年 8 月
診療材料を削減する・・・
調達事務職員ができる診療材料のマネジメント
事例2)京都大学医学部附属病院
事務部 経理・調達課物流管理掛長
林 寿美子
先生
■ 診療材料費を
診療材料費を削減することになった
削減することになった経緯
することになった経緯
・ 国立大学の法人化が平成 16 年に行われ、当院でも収益性の確保を求められるようになった。
(収益の増加と支出の抑制)
・ 当院の経営状況は法人化前から厳しく、法人化 1 年目は黒字で持ちこたえたが、2 年目か
らは早くも赤字に転落した。
・ 法人化以前の材料調達は現場が製品を選定し、それぞれで業者に注文していたため、管理も
ばらばらであった。
・ 材料の価格交渉では業者の方が立場が断然強く、調達事務職員はただ業者の言われるがまま
事務処理と支払処理をするだけだった。
何も管理できていない状況をなんとかしたい、負の仕事(後ろ向きの仕事)をしたくないという
強い思いをきっかけに、本格的なコスト削減の取り組みが開始されることとなった。
■ 当院での
当院での取
での取り組みと調達事務職員
みと調達事務職員が
調達事務職員が行った診療材料
った診療材料マネジメント
診療材料マネジメントの
マネジメントの沿革
① 材料供給センター
材料供給センターの
センターの立ち上げと物流管理
げと物流管理システム
物流管理システム(SPD
システム(SPDシステム
(SPDシステム)
システム)の導入
法人化直前の平成 16 年 2 月、材料供給センターの立ち上げと物流管理システム(SPD シス
テム)が導入され、物品管理の方法が見直されることになった。
→購買管理は「調達事務職員」、物品供給と物品管理は「SPD スタッフ」が行う
物品管理業務(役務業務のみ)をアウトソーシングした“院内型SPD”を採用
○ SPD システムを
システムを導入してまず
導入してまず徹底的
してまず徹底的に
徹底的に取り組んだこと
下記のような取り組みを気がついたところから実施していった。
1、全製品のマスター化
2、適正な定数管理と購買管理
3、医事請求漏れの改善
4、在庫削減と不良在庫の削減
5、採用品目と同種・同効品の整理
○【よかったこと】
よかったこと】
・材料供給センター立ち上げをきっかけに、業者の襟を正し、購買管理体制を大幅に見直すことが
できた
・結果的に、SPD システムや業務に対する知識や世の中の状況など何も知らない中で、
手探りの状況でも自分たちで取り組んできたことで、業者まかせではなく病院職員主導で適切な運
用方法の基盤を作ることができた。
×【失敗したこと
失敗したこと】
したこと】
・最初に運用を「適当」に決めた部分もあり、時間が経って改善したくてもなかなかできないとこ
ろがある。そういった意味では、最初に運用をきっちり決めて周知と理解を得ることは大切
- 11 -
MRP Mail magazine
第 6 号 2012
2012年 8 月
○ 今後 SPD を導入する
導入する病院
する病院さんへの
病院さんへのアドバイス
さんへのアドバイス
・
・
SPD システムによる全商品の購買管理(できれば使用管理まで)は必要不可欠
大きな病院では、SPD はシステムと役務業務を一体で検討、アウトソーシングは日々
の監督が重要
・ SPD 業務にはいろいろなスタイルがある。専門誌や他施設の状況を学習し、自身の病
院にあった形態を選択することが大事
⇒「一括購買型 SPD」を選択すると、どうしても業者任せになってしまうので危険!
② 材料選定委員会の
材料選定委員会の見直し
見直し
不定期開催で、実質的に事後承認だけの場となっていた委員会を、適切な新規材料を選定する
場にするため、下記のようなことを行った。
1、新製品の採用手順を整理
⇒「医療材料取扱要領」を新たに策定
2、月1回の開催
⇒スピーディーな採用と採用品の管理を明確化
3、委員長
⇒経営担当を副病院長へお願いする
材料部長
4、材料担当医師
⇒診療科に1人、材料の調整役のドクターを置いている
最初の 2 年間は年 2 回程度、材料担当医師を集めてミーティングを実施
5、申請内容については調達事務職員が説明、申請者は委員会に参加せず、
異議が出たときのみ、次回の委員会で申請理由を説明
6、調達事務職員から見て、「同等品がある、コスト UP になる」など採用する必要がないと
判断されるものは、積極的に発言
7、新規材料は目標値に達成するまでは採用を保留
・
MRP のベンチマークを使って最初から安値で交渉
・
ベンチマークのない材料は同償還品や同等品を参考
8、近年は、積極的なデータの公表や状況報告を心掛けている
現在の課題点としては、OP・カテは未登録品(未採用品)の持込に規制なし、事後の“緊急申
請”という処理に留めているので、今後取り組んでいきたい。
③ 価格改善
平成 18 年より交渉を開始して1~2年目ぐらいは、△5%台の値下げを実現できていたが、
3 年目以降、単純な価格の値下げ交渉だけでは下がらなくなってしまった。
よって、平成 19 年以降は、値下げだけでなく、他社製品への切り替えも含めて交渉を進めて
いく。
1、 現採用品の
現採用品の価格を
価格を改善する
改善する(
する(平成 18 年~)
ベンチマークを用いた価格交渉。
現状:当院(国立大学病院)の購入価格は高い
手法:ドクターの協力は得ずに事務職員だけで交渉
- 12 -
MRP Mail magazine
第 6 号 2012
2012年 8 月
単位:万円
・交渉
交渉の
成果(削減率
削減率)
交渉の成果(
平成18
平成18年度
18年度
平成19
平成19年度
19年度
平成20
平成20年度
20年度
平成21
平成21年度
21年度
平成22
平成22年度
22年度
平成23
平成23年度
23年度
△5.4%
△2.5%
△1.9%
△1.5%
△1.2%
(下半期のみ
下半期のみ)
のみ)
△5.0%
2、 材料の
材料の変更、
変更、統一化に
統一化に着手(
着手(平成 19 年後半~)
年後半~)
他社製品への切り替え、メーカー・業者の統一化なども含めて検討していくことで、業者・メ
ーカーに対して圧力をかけ、さらなる値下げを要求。
→取引が活性化し、ベンチマーク交渉に好影響を与える。
(診療材料の切り替え事例)
・ CV カテーテル
・・・Dr からの依頼により、メーカー統一/規格削減を行った
・ ブラットアクセスカテーテル・・・材料選定委員会での採用申請をきっかけに、
メーカー統一/規格削減を行った
■ 大学病院の
大学病院の調達事務担当者としての
調達事務担当者としての私
としての私の考えるマネジメント
えるマネジメントの
マネジメントの基本
★
調達事務担当者の本来の役割は、病院の健全経営・健全運営に貢献すること
→経営のマネジメントは事務職員にしかできない。
①
ドクターフィーの材料(デバイス)は、「厳選して」できるだけ自由に使わせて医療と患者
に貢献する。
そのために・・・
1)材料を知る
2)高い材料は高いなりに安く購入する
3)メーカーと直接話をする
4)無駄を出さないために、管理の方法や買い方を工夫する
②
一般的な材料は、できるだけ標準化し、規格・品目数も限定・統一する、また、定期的に材
料を見直し、安価な材料に切り替える。業者・メーカーからの提案もメリットのあるものは積
極的に検討する。
そのために・・・1)材料を知る 2)とことん競争させる 3)メーカーと直接話をする
③
④
⑤
「京都大学病院」のネームバリューを目一杯に使う
「材料選定委員会」は調達事務がコントロールし積極的に発言する
医療者にさまざまな情報をわかりやすく発信する
■ まとめ ■
現在のところ、病院内で“診療材料”を専門とする職種は存在しないので、用度調達
の担当者が担当せざるを得ない。外部委託業者に頼る方法もあるが、病院の内情も踏ま
えてトータル的な「エキスパート」として機能することは難しいので、主体となる病院
職員の補助的な「パートナー」として考えるべきである。
よって、用度調達の事務職員の“プロの育成”は必要であり、急務といえる。
■ 講演者からの
講演者からのメッセージ
からのメッセージ ■
マスタ管理や材料委員会の見直しなど、明日からでもやれることはあります。課
題・問題が山積みだったりいろいろ大変ですが、大切なのは“やる気”です!
質問などありましたら、私でよければお答えしますので、どうぞお気軽にご連絡
ください。
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MRP Mail magazine
第 6 号 2012
2012年 8 月
「京大病院・
京大病院・供給センター
供給センターN
センターNewsLetter」
ewsLetter」
当院では、材料供給センターより広報
誌を発行して、医療現場とのコミュニケ
ーションに生かしています。
商品変更や定数変更、商品の切り替え
による削減効果などを伝達し、より職員
のコスト意識が高まるよう発行しており
ます。
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MRP Mail magazine
第 6 号 2012
2012年 8 月
■皆様の貴重なご意見を受け、弊社ではより一層、皆様のお役に立てるサポート・
コンサルティングを目指していく所存でございます。
また MRP ユーザーサポート講習会の内容も、より一層充実したものにさせて
まいります。
今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。
◆お知らせ
【予定】<平成 24年度の MRP ユーザーサポート講習会について>
平成 24 年度は、地方開催を含め数回の開催を予定しております。
開催予定場所
【名古屋】・・・・・・・・平成 24 年11月
【大阪】or【東京】・・・・平成 25 年 1 月
★テーマ・開催方式等については、皆様方から頂戴致しました。
アンケートの結果を反映させて頂きたく存じます。
皆様方のご参加、心よりお待ち申し上げております。
MRP ユーザーサポート講習会 事務局
株式会社 MRP 大阪オフィス
〒532-0004
大阪市淀川区西宮原 2 丁目 1 番 3 号 SORA 新大阪 21 17 階
TEL:06-6398-0561
FAX:06-6398-0562
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