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平成20年3月 北海道下川町 - オフセット・クレジット(J

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平成20年3月 北海道下川町 - オフセット・クレジット(J
平成20年3月
北海道下川町
はじめに
我がまち下川町は、明治34年
の開拓以来、名寄川流域の肥沃な
大地、豊かな自然と恵まれた森林
資源のもと、先人の英知とたゆみ
ない努力によってこれまで幾多の
困難を克服し、100年余の歴史
をこの地に刻み、今日まで着実に
発展してまいりました。
21世紀を迎えた今日、本町を
取り巻く情勢は、少子高齢化や過
疎化の進行、地方分権の進展、基
幹産業である農林業の環境変化な
ど、様々な問題が顕在し、大変厳
しさを増しております。
こうした状況の中、平成16年
3月に「当分の間は合併せず、単
独での行政運営」を選択し、同年
5月に下川町が下川であり続ける
ために、「下川町地域自律プラン」
を策定いたしました。
翌平成17年度は本町の「自律元年」と位置付け、我がまち100年余の歴史
と先達が残してくれた大きな財産を活用し「小さくともキラリと輝くまち下川」
を目指すべきと心に刻み、以来、町民と一丸となった意欲あるまちづくりを進め
ているところです。
ここに、下川町の概要を取りまとめました「町勢要覧」を発刊しましたので、
本要覧により当町の目指す姿をおくみとりいただき、より一層の発展のため、お
力添えをいただければ幸いに存じます。
下川町長
安
斎
保
町
民 憲 章
わたくしたちは、さく北の雄大な自然の中に生きる下川町民です。
未来に希望を持ち、農・林・鉱の資源を活用して、よりよい下川を
つくることに努めましょう。
1.心も、からだもすこやかに、あたたかい家庭をつくりましょう。
1.よい環境をつくり、青少年のつよく正しく育つまちにしましょ
う。
1.自然を愛し、美しいまちづくりに努力しましょう。
1.きまりを守り、みんな仲よく助け合い、明るいまちをつくりま
しょう。
1.町の歴史を大切にし、文化の高い郷土をきずきましょう。
町花
エゾリンドウ
町章
町木
トドマツ
− 目
次 −
1.しもかわの概要
(1)下川町の歴史
□しもかわ百年のあゆみ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
(2)自
然
□位
置
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
□気
象
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
□土
地
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
(3)人
口
□人口の推移
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5
□産業別就業者数 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6
2.しもかわの目指すべき姿
□第4期下川町総合計画「しもかわ夢プラン21」概要
・・・・・・・・
7
□町民主権のまちづくり
みんなで考えるこれからのまちづくり「自治基本条例」
・・・・・・・
9
住民参加型の効率的な行政運営「行政評価」 ・・・・・・・・・・・・
15
地域コミュニティの自律を支援「地域担当職員制度」
・・・・・・・・
17
・・・・・・・・・・・・・・・・・
19
□住民の手によるまちづくり
体験型手づくり観光「万里長城」
しもかわ発祥の冬の風物詩「アイスキャンドル」
日本最北の手延べ麺の里
・・・・・・・・・・
21
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
22
世界に誇る「スキージャンプ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
23
□森林資源循環型のまちづくり
も
り
持続可能な森 林 づくり「循環型林業」 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 25
世界基準の適正な森林管理「FSC森林認証」 ・・・・・・・・・・・ 29
も
り
森 林 づくりで環境保全「森林づくり寄付金」
「バイオマスタウン構想」の実現に向けて
・・・・・・・・・・・・ 30
・・・・・・・・・・・・・ 31
□大地の恵みを活かしたまちづくり
自然と共存・共栄する「しもかわ農業」
・・・・・・・・・・・・・・
農業振興の拠点施設「農村活性化センターおうる」
・・・・・・・・・
37
・・・・・・・・・・・・・
38
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
38
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
39
農業の資源循環システム「土壌改良施設」
酪農の新たな可能性「TMR」
33
□健康と福祉のまちづくり
みんなの幸せと健康を願って
3.行政
□特別職等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
41
□議会議員・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
42
4.しもかわの特産品
□とまとジュース元気
□手延べ麺
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
43
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
44
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
45
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
45
□山菜七拍子
□すももジャム
□笹茶、熊笹健康抹茶
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
□基礎化粧品 Meets シリーズ
45
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
46
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
46
□森のせっけん(洗顔用)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
46
□エッセンシャルオイル
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
47
□森のミスト
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
47
□芳香蒸留水
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
47
□FSC森林認証の割り箸
□ふるさとコンロ
□炭カン
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
48
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
48
5.まちの軌跡
□明治30年∼昭和 4年
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
49
□昭和
5年∼昭和25年
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
50
□昭和26年∼昭和42年
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
51
□昭和43年∼昭和56年
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
52
□昭和57年∼平成
元年
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
53
□平成
2年∼平成
7年
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
54
□平成
8年∼平成13年
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
55
□平成14年∼平成17年
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
56
□平成18年∼平成19年
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
57
【開
拓】
下川町は、明治34年(1901年)に岐阜県高鷲村(現郡上市)からの入植団
25戸によって開拓の鍬がおろされ、しもかわの歴史が始まりました。
【下川の独立】
明治30年代後半から40年代にかけて入植者が続々と増えた下川は、大正8年
の国鉄名寄本線の開通や道路等の整備などにより、農林業を中心とした各種産業が
成長し、人口の増加と社会の順調な発展に伴って大正13年に名寄町(現名寄市)
から分村し、3,684人(703戸)の「下川村」が誕生。独立したまちとして
の道を歩み始めました。
【農・林・鉱業の発展】
このころの農業は、第一次世界大戦による雑穀の暴騰に沸いた畑作好景気の時代
を経て、大正末期には水田の造成が急速に進み、昭和初期には酪農も本格化、第二
次世界大戦後には「農地改革」の実施により多くの自作農が誕生しました。
林業にあっては、大正12年に発生した関東大震災の復興資材の供給や昭和6年
の森林鉄道の敷設、昭和22年の下川・一の橋の両営林署の開庁などにより、製材
業などの木材産業とともに目覚しい躍進を遂げました。
また、大正15年に三井鉱山株式会社がサンル鉱業所を開設し、昭和16年には
三菱鉱業株式会社が下川鉱業所を開設したことにより、それまでの基幹産業である
農林業に鉱業が加わり、農林業と鉱業のまちとして発展してきました。
【陰
り】
昭和24年の町制施行後も、戦後の復興や高度経済成長、全国的なインフラ整備
による基幹産業の繁栄に伴い、まちは急速な発展を続け、絶頂期を迎えた昭和35
年には15,555人(3,210戸)の人口を記録、大変な活況を呈していまし
たが、この頃を境に農・林・鉱業といった基幹産業の成長に陰りが見え始めました。
- 1 -
【基幹産業の衰退】
農業では、昭和39年から3年連続で発生した冷害や、昭和45年から始まった
米の生産調整に加え、輸入農畜産物の増加などにより徐々に衰退し、林業にあって
は、昭和53年の第2次オイルショック後の木材価格の長期低迷や外材の輸入増加
などにより長期的な不振に陥り、同じく鉱業にあっては、昭和30年代からの貿易
の自由化や、昭和48年の第1次オイルショック後の円高による鉱物価格の下落等
により、経営が成り立たなくなるなど、国策や産業構造の変化等により、それまで
まちの発展を支えてきた基幹産業が衰退していきました。
【過疎化】
産業の衰退により雇用の場が減少し、就業機会を求めた若年層を中心に町外へ流
出、人口の減少でさらに産業が衰退するといった悪循環により、過疎化の波は急激
に加速し、昭和55年の国勢調査では人口減少率が全道1位、全国4位となり、過
疎化の進行が深刻化していきました。
さらに、昭和58年に下川鉱業株式会社(旧三菱金属工業)
・昭和61年には株式
会社合同資源産業(旧三井鉱山)が事実上の閉山、昭和63年には一の橋、下川(現
上川北部森林管理署)の両営林署の統廃合、平成元年にはJR名寄本線の廃止など
が相次ぎ、町民の多くが将来に不安を感じる状況となっていました。
【再生へ】
このような厳しい状況の中、将来に危機感を持った町民は、昭和56年から全国
の都市住民との交流を促進する様々な「ふるさと運動」を展開し、体験型の手づく
り観光「万里長城」の築城や、バケツの水を凍らせてつくる「アイスキャンドル」
など、多彩なアイディアを活かした取り組みを官民一体となって進めてきました。
その結果「万里長城」は、全国各地から12万5千人にも及ぶ人が石積みに訪れ、
2000年(平成12年)に2000メートルを築城し、本家中国の札幌総領事館
にお墨付きをいただいており、まち全体がアイスキャンドルの博物館となる「アイ
スキャンドルミュージアム」では、平成17年度過疎地域自立活性化優良事例表彰
で総務大臣賞を受賞しました。
また、地域資源を有効に活用する中から多くの特産品の開発や地場産業の育成、
基幹産業である農林業の振興策など、過疎化を抑制し、まちを活性化しようとする
事業が成果を上げつつあります。
入植から百年余り、下川町は地域の豊富な資源を活用しながら歩んできました。
これからも恵まれた自然環境と農・林産物などの地域資源の活用を柱に、活力ある
まちづくりを進めていきます。
- 2 -
【位
置】
下川町は、北海道上川支庁管内の北東部
に位置し、北見山地と天塩山地に囲まれた
名寄盆地にあって、町の中央を天塩川水系
名寄川が東西に貫流し、その流域沿いに拓
けた地域です。
□経緯度:東経142゜33'∼53'
北緯 44゜08'∼28'
□広ぼう:東西20.6km
南北31.4km
□面
【気
積:644.2k㎡
象】
□通年の気象
気
年
次
気象は、内陸性の気
温(℃)
最 高 最 低
平
(極値) (極値)
降水量 最深 降水 最大
積雪 日数 風速
均 (㎜) (㎝) (日) (m/s)
候で、年間の最高気温
1月
0.5
-29.0
-11.1
29.0
86
17
9
が約30℃、最低気温が
2月
6.6
-23.1
-7.3
50.0
142
18
11
約−30℃と、年間の温
3月
8.6
-20.5
-2.6
63.0
149
21
10
度差が約60℃にまで達
4月
18.6
-9.3
1.6
41.0
124
16
10
する我が国の中で、最
5月
28.0
-4.0
10.0
89.0
13
10
6月
27.1
1.5
14.5
54.0
11
9
7月
28.9
6.3
19.2
109.0
11
7
8月
30.9
12.4
21.7
209.0
13
6
ころから4月中旬ころ
9月
26.2
1.5
14.4
69.0
11
8
まで続き、北海道特有
10月
22.1
-7.5
7.5
195.0
15
9
の冬が長く夏が短い地
11月
17.2
-4.9
2.4
88.0
18
22
10
域です。
12月
3.8
-20.5
-4.6
64.0
41
22
8
30.9
-29.0
5.5 1,060.0
149
190
11
も「寒暖の差」が激し
18
い地域です。
降雪は、11月中旬
年
年
- 3 -
□気象の推移
①平均気温
観測開始後、昭和53年から昭和62年までの10年間の平均気温は 4.4℃です。こ
れに対して直近の平成9年から平成18年までの10年間の平均気温は 5.2℃で、約
0.8℃上昇しています。
②降水量
観測開始後、昭和53年から昭和62年までの10年間の平均降水量は803mmです。こ
れに対して直近の平成9年から平成18年までの10年間の平均降水量は981mmで、
178mm増加しています。
降水量
平均気温
1,400
7.0
6.4
5.9
1,200
1,000 4.5
4.9
4.8
4.1
800
3.9
4.24.3
4.74.7
4.5
5.7
5.6
5.65.5
5.15.0
4.8
5.8
5.6
5.1
5.5
5.3
5.0
4.9
4.9
4.4
3.7
5.0
4.0
3.0
400
2.0
200
1.0
749
787
715
1,281
652
747
654
893
742
809
836
889
880
919
1,021
755
1,047
1,049
900
843
1,051
964
1,233
1,134
901
777
917
931
1,060
600
0
SSSSSSSSSSSHHHHHHHHHHHHHHHHHH
53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18
【土
6.0
地】
地目別の土地面積
では、町総面積の約
9割が山林であり、
残り約1割の比較的
平野部に畑や田、宅
地等が広がっていま
す。
- 4 -
0.0
【人口の推移】
人 口
世帯数
18,000
16,000
15,018
14,000
13,420
12,000
15,555
14,210
11,568
11,155
10,000
9,241
9,275
8,938
8,000
7,173
6,316
6,000
4,000
2,000
0
5,730
4,831
3,684
25
M
34
703
3,363
2,780
1,926
3,210
1,617
2,418
1,153
1,667
5,065
4,747
4,413
4,146
3,998
2,759
1,979
3,103
1,837
1,771
2,351
1,848
1,809 1,856
T T S S S S S S S S S S S S H H H H H
13 14 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 2 7 12 17 18
※主なできごと
①明治34年(1901年) 岐阜県高鷲村から入植(正確な人数は不明 25戸)
②大正8年(1919年) 国鉄名寄本線の開通
③大正13年(1924年) 名寄町から分村、下川村の誕生(3,684人 703世帯)
④大正15年(1926年) 三井鉱山㈱のサンル鉱業所開設
⑤昭和5年(1930年) 分村後、初の国勢調査(6,316人 1,153世帯)
⑥昭和16年(1941年) 三菱鉱業㈱の下川鉱業所開設
⑦昭和22年(1947年) 下川営林署・一の橋営林署の開庁
⑧昭和24年(1949年) 町制施行
⑨昭和35年(1960年) 最多人口を記録した国勢調査(15,555人 3,210世帯)
⑩昭和55年(1980年) 過疎化率北海道1位を記録した国勢調査(7,713人 2,351世帯)
⑪昭和58年(1983年) 下川鉱業㈱(旧三菱鉱業)の休山(事実上の閉山)
⑫昭和61年(1986年) ㈱合同資源産業(旧三井鉱山)の休山(事実上の閉山)
⑬昭和63年(1988年) 一の橋営林署が廃止され、下川営林署に統合される
⑭平成元年(1989年) JR名寄本線廃止
※分村以降、昭和5年から平成17年までの人口は国勢調査。平成18年は住民基本台
帳より。
- 5 -
【産業別就業者数】
(単位:人)
種別
年
第1次
産
業
産
業
平成
平成
50 年
55 年
60 年
2年
7年
12 年
17 年
533
469
361
356
林業・狩猟業
394
321
275
162
109
46
40
漁業・水産業
0
1
0
0
0
0
0
1,126
983
872
695
578
407
396
(27%)
(28%)
(29%)
(26%)
(23%)
(18%)
(20%)
鉱業
598
312
38
4
4
9
2
建設業
508
468
404
395
404
337
236
製造業
547
487
405
394
355
250
205
1,653
1,267
847
793
763
596
443
(39%)
(35%)
(28%)
(30%)
(31%)
(27%)
(23%)
521
482
457
392
314
325
220
31
35
43
41
35
24
17
6
2
0
2
1
0
1
運輸・通信業
177
158
125
97
81
68
42
電気・ガス業
12
15
13
8
10
20
11
サービス業
539
493
489
500
561
605
660
公務
164
135
138
152
158
176
142
1,450
1,320
1,265
1,192
1,160
1,218
1,093
(34%)
(37%)
(43%)
(44%)
(46%)
(55%)
(57%)
4,229
3,570
2,984
2,680
2,501
2,221
1,932
計
計
不動産業
小
合
平成
597
金融・保険業
業
平成
661
卸・小売業
産
昭和
732
小
第3次
昭和
農業
小
第2次
度
昭和
計
計
5000
第1次産業
第2次産業
第3次産業
合計
4000
3000
2000
1000
0
S50
S55
S60
H2
- 6 -
H7
H12
H17
安心して子どもを生み育てられ、町民が健康で暮らせ
るよう、保健、医療、福祉サービスの充実を図り、互
いに支えあう温もりのあるまちをめざします。また、
次代を担う子供たちが伸び伸びと成長できるよう、幼
児教育や学校教育の充実、教育、文化、スポーツ分野
の生涯学習環境を整え、個性が光るまちを目指します。
四季折々の多彩な自然を活かし、人と自然が調和する
環境を次世代に引き継いでいくとともに、都市的な生
活空間を確保するために、より魅力的な生活環境の整
備、環境問題への対応、消防・防災・安全対策などを
進め、快適で安全なまちを目指します。
生活道路網の整備や公共交通機関の確保、地域情報化
の推進、魅力的な市街地の形成を図り、生活の向上や
交流、産業を育むまちをめざします。また、移住・定
住を促す地域形成のため、農・林・商工・観光の振興
を図るとともに、産業間の連携を強め、地域資源を活
用した産業を創出し活力のあるまちを目指します。
効率的で健全な行財政運営や職員の資質向上に努め
るととともに、公区活動の活性化や広報広聴活動の充
実、情報公開を推進し、町民の自主的・主体的な参加
のもとに町民と行政とが協力してまちづくりを進め
るほか、さまざまな分野における広域圏市町村との連
携を図り、参加と連携のあるまちを目指します。
- 7 -
□みんなで考えるこれからのまちづくり「自治基本条例」
□住民参加型の効率的な行政運営「行政評価」
□地域コミュニティの自律を支援「地域担当職員制度」
□体験型手づくり観光「万里長城」
□しもかわ発祥の冬の風物詩「アイスキャンドル」
□日本最北の手延べ麺の里
□世界に誇る「スキージャンプ」
□持続可能な森林づくり「循環型林業」
□世界基準の適正な森林管理「FSC森林認証」
も
り
□森林づくりで環境保全「森林づくり寄付金」
□「バイオマスタウン構想」の実現に向けて
□自然と共存・共栄する「しもかわ農業」
□農業振興の拠点施設「農村活性化センターおうる」
□農業の資源循環システム「土壌改良施設」
□酪農の新たな可能性「TMR」
□みんなの幸せと健康を願って
- 8 -
本町では、市町村合併の問題に対し、平成 16 年 3 月、当分の間合併せず
単独でのまちづくりを進めることを決意し、同年 5 月、まちづくりのあるべ
き姿を明確にした「下川町地域自律プラン」を策定。その中で掲げた行政運営
を推進するルールづくりから発展し、町政運営の基本理念と町民の権利や役
割など、自治の基本的なあり方を規定した「自治基本条例」を平成 18 年 10
月に制定しました。
また、住民ニーズの多様化や社会情勢の変化、地方分権化社会などに対応
できる自己決定・自己責任を原則とした簡素で効率的な行政運営を確立する
ため、「行政評価」システムを平成 17 年度から導入し、成果を重視した施策・
事業の執行と、行政運営の自律性の向上を図っています。
【みんなで考えるこれからのまちづくり「自治基本条例」
】
▽自治基本条例策定に向けた経緯
本町では、市町村合併問題において、様々な議論を行ってきましたが、町民及び
議会の意向を尊重して総合的に判断した結果、平成 16 年 3 月、当分の間、合併せず
単独のまちづくりを進めることを決意し、同年 5 月、これからのまちづくりのある
べき姿を明確にし、町民のみなさんが安心と納得をいただけるよう「下川町地域自律
プラン」を策定しました。
このプランは、「協働によるまちづくり」、「産業の振興」、「財政の健全化」の 3 本
柱で構成され、柱の 1 つである「協働によるまちづくり」を推進させるためのルール
として「自治基本条例」の制定を目指すこととなりました。
▽自治基本条例検討職員プロジェクト
平成 16 年 12 月、自治基本条例の策定に向け、その必要性などを先行して調査・
研究するため、公募職員 9 名の「自治基本条例検討職員プロジェクト」を設置。まず、
条例の必要性を認識することが重要であるとの意見が出され、レポートの提出など
- 9 -
を通じて論点整理などを行いました。また、総合計画後期基本計画の見直しの時期
と重なっていたこともあり、条例と併せて行政評価システムの検討も行いました。
▽職員間の議論
自治基本条例の必要性を全職員が認識するために、プロジェクトチームの議論の
ほか、職員研修(講演会)の開催や職別、各課での議論も実施しました。
平成 17 年 1 月、北海道大学大学院
神原勝教授(現北海学園大学教授)を講師に、
「自治基本条例の考え方と作り方」についての講演会で基本的な考え方を学び(参加
者 93 名。うち町議会議員 5 名)、2 月から 3 月にかけては、行政運営上の課題の洗
い出し及び解決策について職別によるグループ討議を行うとともに、課単位での議
論も行いました。
▽自治基本条例策定検討町民会議
自治基本条例の検討は、町民会議(定員 10 名うち 3 名公募)を設置し、約 1 年の間
に全 22 回の議論を行いました。平成 17 年 6 月に第 1 回町民会議を開催、同月、北
海学園大学法学部
神原勝教授を講師に講演会を開催し、基本的な考え方を学びま
した。
この講演会を皮切りに、職員プロジェクトと同様に必要性の確認や現状の町政運
営における課題の洗い出し、情報提供や町民参加などの現行制度の点検に時間を費
やしました。
9 月の第 9 回町民会議からは、職員プロジェクトメンバーも加わり平成 18 年 1 月
から「神原私案」を参考に、事務局で作成した原案を各章ごとに検討しました。3 月
に全条文の検討を終え、全体の整合性などを点検、4 月に素案と解説書の内容確認、
5 月に開催した素案に対する町民意見交換会で出された意見を整理し、条例案を作
成しました。
▽町議会での検討
自治基本条例は、町政運営の基本理念と町民の権利や役割、また町長、議会及び
行政の役割や責務とともに、町民参加のしくみなどを盛り込んだ自治の基本的な在
- 10 -
り方を規定するものであるため、町議会も議会に関する部分は「下川町自主自立ふる
さとづくり調査特別委員会」で検討、自治基本条例起草委員 4 名により素案を作成し、
委員会で審議しました。
▽町民との関わり
・まちづくり講演会
平成 17 年 6 月、自治基本条例検討アドバイザーの北海学園大学法学部 神原勝教
授を講師に「まちづくりの運営ルールをつくろう!∼自治基本条例の考え方∼」
を実施(参加者 120 名)。
・町民との意見交換会
平成 17 年 10 月に商工会青年部と、10 月から 12 月にかけて、全 18 公区 12 会場
で意見交換会を実施(参加者 132 名)。
▽パブリックコメントの実施
条例の素案ができあがったことに伴い素案に対する意見募集を行いました。平成
18 年 5 月、素案解説書を全戸に配布し、町内4会場で素案に対する意見交換会を開
催し、様々な意見が出されました(参加者 75 人)。
▽議会への提案及び議決
平成 16 年 12 月以降、職員プロジェクトや町民会議での議論、まちづくり講演会
の開催や町民との意見交換会、パブリックコメントの実施などを経て、平成 18 年第
2 回下川町議会定例会に「下川町自治基本条例」を提案、「下川町自主自立ふるさとづ
くり調査特別委員会」に付託され、継続審査となりました。7 月及び 8 月に特別委員
会で条例の審査が行われ、審査の結果、原案可決すべきものと決定。9 月 27 日に開
催された平成 18 年第 3 回下川町議会定例会において可決されました。
(平成 19 年 4
月 1 日施行)
- 11 -
下川町自治基本条例
―前 文―
私たちのまち下川町は、豊かな森林(もり)と大地、
清らかな名寄川の流れ、澄みきった空気に恵まれ、
明治34年(1901年)に開拓の鍬がおろされてから今日
まで、先人の英知と情熱を礎に幾多の困難を乗り越
え、尊い歴史を刻みながら発展してきました。
私たちは、先人が守り育てた歴史や文化、伝統を
未来の子どもたちに引き継ぎ、町民憲章の理念を大
切にし、ともに学び、力を合わせ、支え合いながら、
「自ら考え、決定し、行動する」新しい時代を築く
とともに、持続可能な地域社会の実現を目指します。
この条例は、町政運営の基本的な理念及び制度運
営の原則を明らかにするものであり、町民、町及び
議会が互いに連携かつ協力しながら、役割と責任を
果たし、町民主権による自治を確立するため、ここ
に下川町自治基本条例を制定します。
向上に努めます。
(6) 町及び議会は、町政に対する町民の信頼を確
保するため、説明責任を果たすとともに、公正
な町政運営を行います。
(7) 町及び議会は、より良い地域社会の形成や町
政運営における課題解決のため、多様な主体と
の連携かつ協力を進めます。
2 町は、この条例に基づき、町政運営の制度全般
を組み合わせて活用し、より効果があがるよう努
めます。
(条例の位置付け)
第4条 この条例は、町政運営における最高規範と
位置付け、 町及び議会は、この条例の趣旨を尊重
し、他の条例等の制定、改正及び廃止を行います。
2 町は、法令や条例等の解釈及び運用を行う場合
も、この条例に照らして判断します。
― 第1章 総則 ―
(目的)
第1条 この条例は、町政運営の基本理念及び基本
的な原則を定めるとともに、町民の権利と役割並
びに町及び議会の役割と責務を明確にし、町民主
権の町政運営を推進することにより、下川町の自
治の確立を図ることを目的とします。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語
の意義は、次のとおりとします。
(1) 町民 町内に住む人、町内に事務所がある法
人及び町内で活動する団体
(2) 町
町長をはじめとするすべての執行機関
(3) 町政 下川町における政治及び行政の全体
(基本理念)
第3条 第1条の目的を達成するため、次に掲げる
基本理念に基づいて、町政運営の仕組みを整備し
ます。
(1) 町及び議会は、町民の知る権利及び個人情報
の保護に関する権利を保障するとともに、積極
的な情報公開を行うことにより町民参加を推進
するための条件を整えます。
(2) 町及び議会は、町民が意欲的に町政運営に参
加できるよう、多様な参加の機会の保障と意見
の反映を行います。
(3) 町及び議会は、町政運営の質的向上を図るた
め、基本的な制度の確立及び運用の原則を明ら
かにします。
(4) 町は、社会経済情勢の変化や町政運営の課題
に対応するため、効率的で機動的な行政組織を
編成するとともに、職員の能力向上に努めます。
(5) 議会は、町民の意思を反映するとともに、町
政運営の監視、牽制機能を果たし、町民福祉の
― 第2章 情報の公開と保護 ―
(町民の知る権利)
第5条 町民は、町及び議会が保有する情報を知る
権利があります。
2 町は、保有する情報が町民と共有する財産であ
ることを認識し、積極的な公開に努めます。
3 町は、情報を正確で分かりやすく提供するとと
もに、町民が容易で速やかに得られるように多様
な媒体の整備と活用に努めます。
4 町は、第1項に規定する権利を明らかにするた
め、情報公開に関する制度を別に定めます。
(個人情報の保護)
第6条 町民は、自らに関する個人情報について、
開示、訂正及び利用停止を町及び議会に請求する
権利があります。
2 町は、町民の基本的人権を守るため、町が保有
する個人情報を保護します。
3 町は、第1項に規定する権利を明らかにするた
め、個人情報の保護に関する制度を別に定めます。
― 第3章 町民参加の推進 ―
(町民の参加)
第7条 町民は、町政の主権者として、町政運営に
参加する権利があります。
(町民参加の推進)
第8条 町は、次の事項を実施する場合は、法令の
規定によるものや緊急を要するものを除き、町民
の参加を推進し、意向を反映します。
(1) 総合計画及び分野別の基本的な計画の策定又
は見直しをするとき。
(2) 施策を効果的かつ効率的に推進するための行
政評価を実施するとき。
(3) 町民に義務を課し、又は町民の権利を制限す
- 12 -
ることを内容とする条例の制定、改正及び廃止
をするとき。
(4) 町民の生活に大きな影響を及ぼす施策を決定
するとき。
(5) 広く町民が利用する公共施設の管理運営方法
などの決定をするとき。
2 前項各号に規定するもののほか、町民が参加で
きる機会を設け、町政運営に反映するよう努めま
す。
(町民参加の方法と時期)
第9条 町は、次に掲げる方法を活用して、適切な
時期に町民参加を推進します。
(1) 審議会等(地方自治法(昭和22年法律第67号。
以下「法」という。)第138条の4第3項に規定する
執行機関の附属機関又はこれに類するもので町
が定めるもの)
(2) 意見交換会
(3) アンケート
(4) パブリックコメント手続(意思決定過程で素
案を公表し、町民から出された意見等を考慮し
て決定する制度)
(5) その他適切な方法
2 前項各号の方法に関し必要な事項は、別に定め
ます。
(町民投票)
第10条 町長は、次の事項のいずれかに該当し、
議会が町民投票の実施を議決した場合は、町民投
票を実施します。
(1) 町長が町政の特に重要な事項について、町民
の意思を直接に確認する必要があると判断した
とき。
(2) 町民のうち選挙権を有する者が法第74条の規
定により町民投票条例の制定を町長に請求した
とき。
(3) 議員が法第112条の規定により町民投票条例
を発議したとき。
2 町民投票に関し必要な事項は、その事案ごとに
別に定めます。
3 町長及び議会は、町民投票の結果を尊重します。
― 第4章 町政運営 ―
(総合計画等)
第11条 町は、総合的かつ計画的な町政運営を行
うため、目指すべき将来像などを明らかにした基
本構想とこれを具体化するための計画で構成する
総合計画を策定します。
2 町は、総合計画を最上位の計画と位置付け、町
が行う政策は、法令の規定によるものや緊急を要
するものを除き、総合計画に基づいて実施します。
3 町は、社会経済情勢の変化に弾力的に対応する
ため、第1項に規定する具体化するための計画を
毎年度見直すとともに、事業の進行を管理し、そ
の状況を公表します。
4 町は、特定分野別の基本的な計画の策定及び実
施に当たっては、総合計画との整合性を図りなが
ら進めます。
(行政評価)
第12条 町は、施策等の成果及び達成度を明らか
にするため、行政評価を行い、その結果を分かり
やすく公表します。
(財政運営)
第13条 町は、財政状況を総合的に把握して的確
な分析を行い、明確な方針のもとに、健全な財政
運営を行います。
2 町は、総合計画や行政評価等を踏まえた予算を
編成します。
3 町は、総合計画と連動した財政運営を行うとと
もに、中長期の財政計画を作成します。
4 町は、財政状況を明らかにするため、分かりや
すい資料を作成して公表します。
(法務体制)
第14条 町は、法令の解釈に当たっては、調査研
究を重ね自主的かつ適正な運用に努めます。
2 町は、自主的で質の高い町政運営を行うため、
法務に関する体制を充実し、条例等の整備を積極
的に行います。
(行政改革)
第15条 町は、効率的な町政運営を行うため、行
政改革大綱を策定し、行政改革を積極的に進めま
す。
2 町は、行政改革大綱及びその進捗状況を公表し
ます。
― 第5章 行政組織 ―
(組織体制)
第16条 町は、効率的で機動的な執行体制を整備
するとともに、社会経済情勢の変化や町政の課題
に対応できるよう常に見直しを行います。
2 町は、町政の戦略的な政策課題を調査、研究及
び検討するため、必要に応じて横断的な検討組織
を設置します。
(職員の能力向上)
第17条 町は、職員の能力の向上を図るため、研
修体制を充実します。
2 町は、職員の自主的な研修等に対し、必要な支
援を行います。
(審査会等)
第18条 町は、町民、学識経験者等の意見を町政
運営に反映するため、審議会等を設置することが
できます。
2 町は、前項の規定により審議会等を設置し、委
員を選任するに当たっては、公募委員を加えるよ
う努めます。
3 審議会等の設置及び委員の公募の方法は、別に
- 13 -
定めます。
4 審議会等の会議及び会議録は、原則として公開
します。
― 第6章 議 会 ―
(議会の基本的事項)
第19条 議会は、町民の直接選挙により選ばれた
議員によって構成する下川町の意思決定機関で
す。
2 議会は、町の町政運営を監視し、牽制する機能
を果たします。
3 議会は、法令の定めるところにより、条例の制
定、改正、廃止及び予算、決算の認定等を議決す
る権限並びに執行機関に対する検査及び監査の請
求等の権限を有します。
(議会の役割と責務)
第20条 議会は、常に町民の意思が町政運営に反
映されることを念頭において活動します。
2 議会は、その権限を行使することにより、下川
町の発展及び町民の福祉の向上に努めます。
3 議会は、政策提言と政策立案の強化を図るため、
積極的に活動します。
4 議会は、町民の意思反映を図るため、下川町の
施策の検討や調査等の活動として、町民との対話
の機会を設けます。
5 議会は、町民からの請願や陳情等に対し、必要
に応じて提出者と意見を交換する機会を設けま
す。
(情報の公開)
第21条 議会は、議会が保有する情報を公開する
とともに、町民との情報の共有を図り、開かれた
議会運営と町民への説明責任を果たすように努め
ます。
2 議会は、個人の権利及び利益が侵害されること
のないように、個人情報の保護に努めます。
― 第7章 公正と信頼の確保 ―
(行政手続)
第22条 町は、町民の権利利益を保護し、公正な
行政手続を行うため、行政手続に関する事項を別
に定めます。
(説明責任)
第23条 町は、公正で開かれた町政運営を推進す
るため、町民に積極的に説明する責任を果たしま
す。
2 町は、町政運営に関する意思決定の過程を明ら
かにし、施策及び事務執行の内容が町民に理解さ
れるよう努めます。
3 町は、町民からの苦情等があったときは、誠実
で速やかに対応します。
(政治倫理)
第24条 町は、町政の代表者である町長に対する
町民の信頼を確保するため、町長の政治倫理に関
する事項を別に定めます。
(職員倫理)
第25条 町は、職員の公務員としての自覚を促し、
公務に対する町民の信頼を確保するため、職員倫
理に関する事項を別に定めます。
(職員の勤務条件等に関する公表)
第26条 町は、公正と信頼の確保のため、職員の
勤務条件等の状況を分かりやすく公表します。
― 第8章 連携と協力 ―
(地域内の連携と協力)
第27条 町民、町及び議会は、それぞれの活動に
おいて連携かつ協力し、より良い地域社会を形成
します。
(他の市町村との連携と協力)
第28条 町は、効率的な町政運営や共通する課題
を解決するため、他の市町村との連携かつ協力を
進めます。
(国及び北海道との連携と協力)
第29条 町は、国及び北海道と相互に連携かつ協
力し、町政運営の課題を解決するよう努めます。
(様々な人々との連携と協力)
第30条 町民、町及び議会は、様々な活動や交流
を通じて、町外の人々の知恵や意見を町政運営に
活かすよう努めます。
― 第9章 役割と責務 ―
(町民の役割)
第31条 町民は、この条例の基本的な考え方を尊
重し、町政の主権者として、より良い地域社会の
実現に向け、自分のできる範囲で自ら行動するよ
う努めます。
(町長の責務)
第32条 町長は、この条例の理念や原則とこれら
に基づいて創設される制度を守り、町民の信託に
対する責任を誠実に果たします。
(議員の責務)
第33条 議員は、この条例の理念や原則を守り、
町民の信託に応え、公正で誠実に職務を遂行しま
す。
2 議員は、町民の多様な意向を把握し、議会活動
や意思決定に反映するように努めます。
(職員の責務)
第34条 職員は、常に町民が町政の主権者である
ことを認識し、この条例の理念や原則とこれらに
基づいて創設される制度を守り、公正で誠実に職
務を遂行します。
2 職員は、町民の意向や地域の政策課題に的確に
対応するため、政策能力の向上に努めます。
- 14 -
【住民参加型の効率的な行政運営「行政評価」
】
▽行政評価導入のねらい
(1)導入・実施の経緯
近年の本町を取り巻く情勢は、市町村合併や財政問題、また地方分権が実行段
階を迎えたことにより、地方公共団体は従来にも増して、自己決定、自己責任を
原則とする体制の整備、少子・高齢化、高度情報化等の社会経済情勢変化への対
応、多様化する住民ニーズに機動的かつ的確に応えていくことなどが必要となり、
簡素で効率的な地方行政体制の整備・確立が喫急の課題となりました。
それらの課題解決に向け、本町では、成果を重視した行政運営、限られた財源
の有効活用、町民への説明責任、職員の意識改革等行政運営の自律性をより向上
させるために、平成17年度から行政評価を本格的に導入し実施しています。
今後は、行政評価を活用した成果管理を行うとともに、町民への情報公開、情
報共有、平成19年4月1日に施行された、町の憲法である「下川町自治基本条
例」に定められた、町政運営の基本理念及び制度運営の実現に向け、さらなる取
組みが必要となっていきます。
(2)導入・実施の目的
□予算、決算、総合計画を相互に連携し、行政運営全体の見直しや改善などを
総合的かつ継続的に進めていくしくみを確立し、効率的かつ効果的な施策を
推進して行政サービスの「質的向上」を目指すもので、削減や減量化だけで
はなく、「行政運営システムの変革」にあります。
□町民委員会と職員で構成する行政評価委員会が合同で行政評価を行うことに
より、町民の意見を施策に反映し、その評価結果を広く町民にお知らせして、
町民との情報の共有、行政への関心、参加を推進し、行政運営に対する共通
理解を深め、「住民参加型の行政」を推進することを目的としています。
- 15 -
▽行政評価の基本的な考え方
(1)町民の視点に立った目的・成果を重視する行政運営への転換
□計画−実施−評価−改善のマネジメントサイクルの確立
□町民の視点に立って施策、それに付随する事務事業の目的を明確化し、改革、
改善の視点で評価を行います。
□施策・事務事業の結果や成果を数値化することにより、客観的な評価を行いま
す。
(2)情報の共有
□行政評価町民委員会と行政評価委員会が合同で総合計画基本計画の主要施策ご
とに評価を行い、その結果を町民に広く公表することにより行政の透明化を図
ります。
□評価結果を行政組織内で共有し、予算、決算、計画、組織運営などに活用して
総合的な行財政運営を行います。
(3)職員の意識改革、政策形成能力の向上
□評価を通して、問題発見能力、課題解決など職員の政策形成能力の向上や成果
主義への転換など、職員の意識改革を進めます。
行政運営サイクル
① 成 果 (決算)
②評価(行政評価)
行政評価町民委員会
意見
改善
総合計画審議会
主要施策、事務事業の
成果の検証
成果を検証、評価
し、総合計画実施計
画見直しや予算編成
へ反映
③計画(総合計画見直し)
総合計画実施計画を
見直し
④ 実 行
(予算編成)
総合計画(見直し
後)に基づき、実施
する施策、事務事業
を予算化
⑤ 事 業 実 施
決算後、行政評価の
実施
意見
- 16 -
【地域コミュニティの自律を支援「地域担当職員制度」
】
▽導入の背景と目的
地方自治体を取り巻く状況は、過疎化や少子高齢化の進展、財政問題、市町村合
併問題など大変厳しい状況が続き、さらに、地方分権の推進により自己決定・自己
責任が求められ、自治体運営の変革期を迎えています。
このような状況の中、本町は地域自律プランにおいて「協働によるまちづくり」
を柱の一つとして掲げ、自治基本条例の制定や行政評価の実施などに取り組み、「町
民主権のまちづくり」の実現を目指しています。
このような「協働によるまちづくり」を推進するため、地域担当職員を配置し、行
政と町民がより身近な存在として、これまで以上に話し合う機会を設けるとともに、
生活に密着した地域課題の解決などに努め、自治能力の高い活力ある地域づくりの
実現を目指しています。
▽役
割
公区長や公区役員、公区住民の皆さんと十分な話し合いのうえ、地域の協力のも
と、積極的に次のことに取り組みます。
1 町の実施する様々な事業や制度内容について情報提供を行います。
2
まちづくりへの提言やアイディア等を町の各種事業等に活かすように努めます。
3
地域に出向き、生活に密着した課題等について解決するための話し合いの場を
地域の皆さんとともにつくっていきます。
4
自治能力の高い活力ある地域づくりの実現に向け、町民や地域、企業、団体、
行政等をつなぐ調整役を努めます。
▽対象及び配置
1
全職員を対象とします。
2
主任、副主任及び担当員で5名程度のグループを作り全公区に配置します。
3 任期は2年とし、担当公区を含め任命します。
- 17 -
▽配置区分
各公区単位とします。(18公区)
▽その他
制度の充実を図るため、次のことを実施します。
1 各公区に対する各種説明会等を実施します。
2
地域担当職員の円滑な活動を推進するため、職員用活動マニュアルの作成や研
修会を実施します。
3
地域担当職員同士の情報交換や連携を図るため、会議を随時開催します。
4
課長会議等で活動の検証を行います。
▽協働によるまちづくりのイメージ
- 18 -
本町では、過疎化の進行と産業の停滞に危機感を抱き、昭和56年からま
ちを活性化する取り組みとして始めた「ふるさと運動」をきっかけに、住民
の手によるまちづくりが活発に行われています。
手づくり観光資源日本一を目指す「万里長城」の築城や、冬の寒さを利用
した「アイスキャンドル」など、多彩なアイディアによるまちづくりや都市
住民との交流促進など、様々な取り組みを地域住民が主体的に実施し、こう
した活動の中から手延べ麺や木炭関連製品など、多くの特産品を生み出して
います。
また、このようなまちづくり活動を推進していく中で、新しいまちづくり
のリーダーも育ってきており、こうした住民エネルギーを今後も積極的に活
かしていくように取り組んでいきます。
【体験型手づくり観光「万里長城」
】
▽背
景
桜ヶ丘公園の外周に築かれた万里長城は、基幹産業の低迷などにより急速に進む
過疎化の危機を打開し、まちの活性化を図るふるさと運動の第4弾として1986
年(昭和 61 年)から始まりました。
築城は、農地造成の際に出た石を利用し、
「モッコ」を使い人力による築城を基本
に、体験型の手づくり観光資源日本一を目指し、毎月第 3 日曜日を「町民石積みの日」
- 19 -
として実施したところ、積んだ石に名前やメッセージを残せることから話題を呼び、
全国各地から 12 万 5 千人にも及ぶ人が石積みに訪れ、
下川町開拓 100 年に当たる西
暦 2000 年(平成 12 年)に 2,000m築城を達成しました。
その際、お招きした中国駐札幌総領事館に、町民が心を合わせれば、大きなこと
も成し遂げられるという意味の「衆志成城」という言葉をいただきましたが、築城
はもとより、町民同士のふれあいや町づくり意識の高揚、都市住民との交流なども
含め、多くの目標が達成できました。
この公園では、毎年5月第3日曜日に「万里長城祭」を開催し、万里長城クロス
カントリー大会やエミューレース、焼き肉パーティー、城壁よこばいレースなどの
楽しいイベントを行っているほか、冬には「アイスキャンドルパ−ク」会場として、
万里長城や公園全体にアイスキャンドルを灯し、幻想的な世界を創り上げており、
町内外から多くの人々が訪れる場所となっています。
▽概
要
・1986 年 8 月築城開始
・1990 年中国駐札幌総領事館の了解で当時の名称「ミニ万里長城」から「ミニ」を
はずす
・1994 年メモリアルゲート完成
・2000 年(下川町開拓 100 年)築城 2,000m 達成(2,000m 築城記念セレモニー開催)
・毎年 5 月万里長城祭開催
- 20 -
【しもかわ発祥の冬の風物詩「アイスキャンドル」
】
平成 17 年度過疎地域自立活性化優良事例総務大臣賞受賞
▽背 景
日本有数の寒さを記録する本町で、まちおこしのグループ「コロンブスの卵」が、
故伊藤隆一教授(北海道教育大学)の著書からヒントを得て誕生させたのがアイス
キャンドルです。会のメンバーが昭和 62 年(1987 年)の冬祭りで数十個のキャンド
ルを作ったのをきっかけに、厳しい冬の寒さを逆手にとった楽しみとして広がりま
した。今では町をあげてのイベントに成長し、幻想的な景観が全国に知られるよう
になりました。
▽概
要
昭和 61 年に誕生したアイスキャンドルは、翌年のNHK「ゆく年くる年」で全国
放映されました。これに多くの町民が参加し、寺の境内に約 500 個のキャンドルを
点灯。以来、町民が家庭や職場でもキャンドルを作るようになり、翌年には冬祭り
を「アイスキャンドルフェスティバル」として開催。平成9年からは万里長城で9
日間点灯し続ける「アイスキャンドルパーク」も開催しています。
また、平成 13 年(2001 年)には、まち全体で約 6,000 個のキャンドルが灯り、平
成 15 年(2003 年)には、恵林館を「アイスキャンドルスクエア」会場として新たに
加え、アイスキャンドル「フェスティバル」から「ミュージアム」に名称を変更し、
まち全体がアイスキャンドルの博物館のように、琥珀色に輝くキャンドルが幻想的
な世界を創り出しています。
- 21 -
【日本最北の手延べ麺の里】
▽背
景
下川町の手延べ麺の歴史は、昭和45年(1970 年)に兵庫県から技術を導入した
ことに始まり、現在8軒の手延べ麺工場が操業しています。
下川手延べ麺は、食品添加物などを一切使わず職人の手によってつくられ、独特
の腰の強さと滑らかな舌ざわりで「日本最北の手延べ麺」として脚光を浴びていま
す。
本町の寒暖差のある内陸性の気候は、手延べ麺製造に適した環境であり、手延べ
麺をつくる産地としては日本最北であることから、こうした特性を前面に打ち出し
手延べ麺を含めた特産品のPRとまちの活性化を図るイベント「日本最北の手延べ
麺の里しもかわうどん祭り」を毎年開催し、手延べ麺を使った料理ショーや料理コ
ンテスト、早食い競争など様々な企画が行われ、毎年多くの来場者でにぎわう下川
の三大イベントの1つとなっています。
▽しもかわうどん祭り
と
き:毎年8月下旬の土・日曜日
ところ:下川町にぎわいの広場
- 22 -
【世界に誇る「スキージャンプ」
】
▽背
景
下川町のスキージャンプは、一の橋地区が
最も早くから盛んで、昭和10年頃にはスキ
ークラブが結成され、神社の階段を利用して
ジャンプが行われていました。
昭和14年頃には、全国的なジャンパーとして名を馳せた村上良雄選手が活躍し、
第一の先駆者として挙げられます。また、下川鉱山でも盛んに行われ、市街地では
昭和35年頃に近くの山に手作りのジャンプ台を作って中・高校生が飛んでおり、
スキージャンプは、地域特性である雪国ならではの冬の遊びとして定着していきま
した。
町では、昭和44年に30m級、昭和50年に20m級、昭和52年に50m級
のジャンプ台を整備し、昭和52年には下川スキージャンプ少年団が結成。先駆者
達が良き指導者となって選手の育成に努め、ジャンプ台が市街地に隣接していると
いう恵まれた環境のもと、少年少女がジャンプに親しみ、その中から国内、世界を
舞台に活躍する選手が多く輩出されていきました。
平成14年度にはジャンプ台改修など関連施設を整備し、道内外からスキー留学
生を受け入れています。現在は、下川商業高等学校スキー部も地域の指導者の手ほ
どきを受けることで、小学生から高校生まで一貫した指導により、選手たちは先輩
に続けと練習に励みながら夢を大きく膨らませ、国内外で活躍しています。
▽施
設
ミニヒル
K点
8m
スモールヒル K点40m
スモールヒル
K点26m
ミディアムヒル K点65m
※全てナイター照明完備
ジャンプハウス1棟(2階建、地下1階)
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▽主な出身者
○岡部孝信
1994 年
1995 年
1997 年
選手
○葛西紀明
リレハンメル五輪出場
1992 年
団体銀メダル、個人(LH)4位
1994年 リレハンメル五輪出場
2006 年
2007 年
個人(NH)1位
1998 年
ノルディック世界選手権出場
1999年 ノルディック世界選手権出場
長野五輪出場
個人(NH)7 位
団体2位
長野五輪出場
2002年 ソルトレークシティ五輪出場
団体金メダル、個人(LH)6位
2003年 ノルディック世界選手権出場
トリノ五輪出場
団体3位、個人(NH)3位
個人(LH)8位
個人(LH)3位
ノルディック世界選手権出場
2006年 トリノ五輪出場
団体3位
2007年 ノルディック世界選手権出場
○伊東大貴
2002 年
アルベールビル五輪出場
団体銀メダル、個人(NH)5位
ノルディック世界選手権出場
団体2位
1998 年
選手
団体3位
選手
世界ジュニア選手権出場
○伊藤謙司郎
個人2位
2006 年
トリノ五輪代表
2006 年
トリノ五輪出場
2007 年
ノルディック世界選手権出場
2007 年
ノルディック世界選手権出場
団体3位
選手
※LHはラージヒル、NHはノーマルヒルの略
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本町は、雄大な自然とみどり豊かな森林に恵まれ、古くから森林とともに
歩んできたまちです。
私たちは、その森林や自然から多くの恵みを享受し、その恵みを分かち合
うことで、今日ある産業や社会、文化、人材、人と人とのネットワークなど
を形成し、林業・林産業のまちとしてともに発展してきました。
森林は、時に厳しくも時には優しく、私たちの営みを支え、育んできてく
れた地域最大の資源であり、基幹産業に発展した林業・林産業の根幹を成す
ものであります。
このため、町では森林を活用した様々な取り組みを展開し、林業・林産業
の振興を図ることにより、地域経済、社会全体の活性化を目指すまちづくり
を進めています。
【持続可能な森林づくり「循環型林業」
】
渓和町有林の展望
▽背
下川町21世紀の森
景
本町の林業は、大正8年の国鉄名寄本線の開通や、大正12年に発生した関東大
震災の復興資材として多量の木材を供給したことにより、大きく成長し、本格的な
林業生産が始まりました。
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その後、昭和6年の森林鉄道の敷設や昭和22年の下川・一の橋営林署の開庁、
大戦中における軍需と戦後の復興、高度経済成長期にあっては社会資本の整備への
需要などにより、林産業とともに飛躍的に興隆し、本町の基幹産業の一つに発展し
てきました。
一方、町では、昭和28年に国有林から1,221ha の森林の払下げを受け、こ
れを契機に本格的な町有林の経営を開始しました。しかしながら翌、昭和29年に
本町を襲った台風15号(洞爺丸台風)により、壊滅的な風倒被害を受けました。
町は再生に当たり、将来、期待できる森林を造成していくため、毎年40∼50ha
も
り
程度造林し、将来的に一定の資源が確保できる森林づくりに取り組んできました。
その後、昭和50年代に入り、急激な人口減少に伴って産業が衰退していく中、
林業・林産業においても昭和53年の第2次オイルショック以降長期低迷を続けた
木材価格や、昭和63年の下川・一の橋営林署の統廃合、平成9年の消費税率引き
上げによる住宅着工数の大幅な減少に加え、国有林野事業の改革による素材生産量
の暫減などにより、長期的な不振に陥っていきました。
▽理
念
このような状況から、自然を活かした創造性に富む活力ある産業の創出と、持続
可能な地域社会の構築が重要な課題となっていた中、森林は再生可能な地域最大の
資源であり、また基幹産業である林業・林産業の基盤であることから、
『循環型林業』
も
り
を基本とした町有林の持続可能な森林づくりを中心に、森林を核としたまちづくり
に取り組んでいくことにより、地域経済・地域社会全体の持続的な発展を図ること
としています。
▽目
的
循環型林業は、毎年等量の施業を繰り返すことによって、
も
り
①資源が循環する持続可能な森林づくりが可能となること
②林業・林産業及び土木従事者の雇用の場の確保が図られること
③生産した素材を全量地域の林産業界に供給し経営安定を図ること
を目的としています。
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も
り
▽森林づくり
町有林の経営は、毎年50haを造林し60年間保育した後、伐採・収穫し、また
造林するというサイクルを繰り返すことで、3,000haの人工林資源を継続的に
循環することができる「循環型林業」を基本としています。
これを実現するため、平成6年度から平成15年度までに1,902haの国有林
を買い受け、現在は町有林の経営面積を4,470ha(国有分収林260haを含む)
とし、循環型林業の基盤を確保しています。
▽資源(経営面積)
区 分
町 有 林
分 収 林
人
工
林
2,633ha
天
然
林
1,557ha
1,557ha
そ
の
他
20ha
20ha
合
計
260ha
合計
4,210ha
260ha
2,893ha
4,470ha
※平成19年度森林調査簿による。
アカエゾマツ(矢文千古の森)
エゾヤマザクラ(渓和町有林)
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