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ルーマニア国 - 海外農業開発コンサルタンツ協会
ルーマニア国 国立野菜・花き研究所整備計画 食品加工・流通改善研究強化計画 ジェルジュ地区かんがい施設復旧計画 ブルガリア共和国 農業機械化制度策定計画 プロプデイブ地区農地保全計画 プロジェクトファインディング調査報告書 平成5年11月 社団法人海外農業開発コンサルタンツ協会 まえがき 本報告書は1993年10月28日より11月12日間での16日間、ルーマニア国およびブルガリア共 和国で実施したプロジェクトファインディング調査について取りまとめたものである。 ルーマニア囲およびブルガリア共和国も1989年に、一連の民主化の流れのなかで民主化要 求デモが起こり、共産党主導の政権が崩壊した。政治の自由化は軌道にのったものの、経 済改革による効果はほとんど現れておらず、経済の活性化は今後の大きな課題となってお り、日本からの援助を期待している。 新政権の経済改革プログラムのなかでの最大の目標は民営化であり、特に農業政策の一部 として、土地私有化法の制定により国営農場等を解体し、旧地主に農地の返還を行なって いるが、問題点は返還された旧地主の約半数はすでに農業に従事していない人達や高齢者 が多く、その結果、農業経営意欲がない人、農業従事経験者であっても、集団農場での農 業労働者としての経験であり、農業経営の経験がない人が多すぎることである.また、一 戸当たりの平均所有面積も2ba前後と土地の細分化が進み、今までの大農場を対象とした かんがいシステム、機械作業、集荷流通等のシステムの変化が必要とされている。このよ うな意向のもとに緊急案件としての無償案件と長期展望に立った開発調査案件のプロジェ クトファインディング調査を実施した。 調査の実施にあたり、在ウィーンJ ICA事務所、在ルーマニア国日本大使館、在ブルガ リア共和国日本大使館および日本企業関係者に対し深甚なる謝意を表する次第でする。 平成5年11月 事前詞査団 幕田 一郎 \ 貫こ:ニ -I  ̄テ ̄ ■ Sig墓 皇朝 戸7: j_p・・_:冒 -Jb 国立野菜・花き試旗揚の温室 1 L'i 同上試験圃場 (・ヨ √・ -llJ -Lit i=.J. ジェルジュの取水ポンプ場 ・・y A,■ ・-′・.: 1i ../ T「-・t-____- ii∃ 塩{_-i lr γ 事 1 iレ一 i4 妄_ 喜⊥溶L; 才 i, pて執 使用不能になった中継ポンプ(ジュルジュ) 1 :.如† ジェルジュのかんがい地区 ,( I ■l て-, ジュルジェニ次水路 iせ rt_々宅ヽJ iJL- _ ̄ ̄ よtヽ ;._r : ジュルジュの三次水路 -l〉- ◆'-rll ,/ II_ l}iT迦産土-「_-:ふ⊥ム+Lニーエ+ム+エこ一._ 農兼磯城サービス作業のモータープール 千 (同 -V 上) JL1-丁ニ- T ∴. プロプデブのかんがい地区 -Vl- 次 目 まえがき 現況写真 頁 Ⅰ.ルーマニア国 A.ルーマニア国の概要 1.国立野菜・花き研究所整備計画 位置図 7 7 00 9 1−1経緯・背景 ト2 研究所の概要 ト3 計画概要 1−4 総合所見 2.食品加工・流通改善研究強化計画 位置図 l 1 2 3 1 1 1 1 2−1経緯・背景 2−2 食品加工・流通研究の実態 2−3 計画概要 2−4 総合所見 3.ジェルジュ地区かんがい施設復旧計画 位置図 5 5 ご U 7 1 ユ l l 3−1経緯・背景 3−2 地区概況 3−3 計画概要 3−4 組合所見 Ⅱ.ブルガリア共和国 B.ブルガリア共和国の概要 1.プロブデイブ地区農地保全計画 位置図 トユ経線・背景 .〉lt− 一 4 一 5 2 2 2 況 要 見 概 概 所 区 画 台 地 計 絵 l 1 l − 一 l 2 3 4 6 2.農業機械化制度策定計画 位置図 つ り 0 0 3 3 1 ・V川− 2−4 組合所見 コ 2−3 計画概要 ∩ 2−2 機械化の現状 2 2−1経緯・背景 Ⅰ.ルー マニア国 Ⅰ.ルーマニア国 A.ルーマニア囲の概要 A-1歴史、政治 古くからローマ人の入植が進み、東欧で唯一のラテン系民族が中心の国である。 15世紀よりオスマントルコの支配下にあったが、 19世紀後半には独立を果たし、ル ーマニア王国を築いていた。第2次大戦中は枢軸国側に回ったため旧ソ連の侵攻を 受け、 1947年には王政が廃され人民共和国が樹立された。 その後、労働者党の一党支配が続いたものの、党内の国内派が親ソ派を抑えて徐々 1965年に労働者党第一書記長に就任した に民族色を強めた政権となった、その後、 チャウシェスクは、 1967年には国家評議会議長、 1974年には大統領を兼ね一族によ る専制支配をしいた。チャウシェスク政権は1989年には対外債務を完済するなど、 一定の成果を上Eヂたようにもみられたが、そのために国民生活に多大の犠牲を強い、 強権政治によって国民の声を抑え独裁体制を保持したことから、国民の不満は頂点 に達するに至った。 1989年12月、おりからの東欧民主化の流れを受けて反政府デモ が全国に拡大し、チャウシェスク夫妻は処刑され、その専制支配は崩壊した。その 後救戦線評議会が実権を握り、国名をルーマニア国と改めるとともに、複数政党制 を認め、政治経済の自由化を推進することとなった。 1990年5月には、大統領選挙、 上下院議員選挙が実施され、民主的手続きによって選出された新政権が発足して いる。 A-2 経 済 政治の自由化は軌道にのったものの、経済改革による効果ははとんど現れておらず、 経済の活性化は今後の大きな課題となっている。国内総生産(GDP)は毎年減少 傾向にあり、 、ている。 1990年の指数を100とした場合、 1991年は87.1、 1992年は75.3となっ 1990年8月に政府が打ち出した経済改革のプログラムによると、 6月までに市場経済への移行のための以下の改革を完了する予定であったD (1)価格自由化 (2)農地の私有化 (3)企業の民営化 (4)財政改革 ー1- 1992年 しかしながら、以上の改革は遅々として進んでおらず、依然として経済の停滞、高 いインフレ、失業率といった問題は解決していない。特に、現政権は穏やかな革命 路線を榛模しており、かなりな程度の国有化維持の姿勢が認められ、経済改革の足 取りは重い。 以上の政策の遅れに加えて、改革に伴なう国民の混乱と動揺、農産物等の主要輸出 先であったコメコン市場の崩壊、湾岸戦争に伴なう縮小等のマイナス要因によって、 早急な経済の回復は困難な状況にある。 主要経済指標 1988年 1989年 1990年 GNP 325億ドル 1人当たりGNP 1,401ドル 経済成長率 3.2% インフレ率 失業率 1991年 1992年 備考 世銀 1,080 2.8% -7.9% 0.8% -10.2% 4.2% -16.0% 344.5% 0.0% 0.0% 1.3% *4.7% -6.5% 世銀 EIU推定 IFS EIU推定 注) *政府発表値 同国のGDPに占める経済部門別の割合をみると、 1992年現在では工業部門が圧倒 的に多く45%を占めており、農業18.9%、商業13,2%がこれに続いている. A-3 自然、地理 ルーマニア国はヨーロッパの東南部、バルカン半島の東北部、北緯40o 20'、東経20o 50′ 一29o 30′ -48o 50′ に位置し、国土面積は235,000kdである.国の中央部 やや北よりに東・南・西カルパチア山脈がある。この山脈の内側がトランシルバニ 高原・トランシルバニア平原である。東カルパチア山脈の東斜面はモルトバ・サブ カルパチアとなり、モルトバ高原、モルトバ平原へと連なる。ここではウクライナ から続く黒土地帯の最西端であり、肥沃である。 南カルパチア山脈の南斜面はゲティシ・サブカルパチアで、ダニュ-プ川左岸の肥 沃な沖積平野・ルーマニア平原に連なる。ここはルーマニア国最大の畑作地帯であ り、東のバラガン平原、中央のプルナズ平原、西のオルチユニ平原に区分される。 西カルパチア山脈の西側は、広大なハンガリア・セルビア平原の一部、その東端を なすティセイ平原である。ここはシベリア・北氷洋からくる寒気団がカルパチア -2- 山系でさえぎられて吹き込まず、西側のアドリア海・地中海の影響を受けており、 ルーマニア国で最も気候に恵まれた畑作地帯で、野菜の大産地である。 ダニュ-プ川は、黒海近くでドプルジャ台地にさえぎられて北上し、ウクライナと の国境でプルト川と合流して再び東流し、黒海に注ぐ。 ルーマニア国の気候は、首都ブカレストで年平均気温は10.9℃、年降雨量は633mm と多くはないが、年間平均的に降っており、 (最低の2-3月で35-40皿m、最高の 5-6月で80-857nn) 、作物の生育に必要な水量が不足しているわけではないが、 かんがいシステムが不備で、要水期に水が不足し,年によって干ばっぎみになるこ ともある。 A-4 農 業 (1)生産状況 農業はルーマニア国経済のなかで依然として重要な位置を占めており、 の約20%、全就業者人口の約28%は農業部門に依存している。農業生産高は、 旧体制下時に1980年代後半には著しく誇張されて公表されていたが、実際には、 1980年頃をピークに主要農産物の生産高は頭打ちとなっているものと考えられ ている。主要農産物の生産高を以下に示す。 -3- GDP 主要農産物の生産高 (単位: 1,000t) 1980年 1985年 1986年 1987年 1988年 1989年 1990年 19,366.5 19,503.3 19,725.0 16,889.4 19,285.9 18,379.3 17,173.5 小麦・ライ麦 6,339.8 5,599.5 6,353.8 6,712.9 8,631.6 7,935.2 7,379.0 大麦 2,348.7 1,763.1 2,220.0 2,401.5 3,202.3 3,436.3 2,679.6 92.5 85.2 119.8 129.4 167.8 234.0 ll,903.2 10,900.9 7,526.9 7,182.2 6,761.8 6,809.6 99.1 282.4 252.0 255.4 261.5 255.9 113.0 1,306.7 1,080.9 1,301.4 1,159.8 1,069.4 1,034.3 739.4 ひまわり 800.6 695.9 862.7 746.7 705.0 655.8 556.2 大豆 434.8 307.5 380.4 361.2 295.1 303.9 141.2 てんさい 5,297.5 6,144.6 5,397.1 5,217.2 4,868.6 6,771.1 3,277.7 秋じゃがいも 3,503.7 6,075.8 4,739.1 3,802.3 3,205.1 3,892.1 2,830.9 野菜 3,368.7 5,353.6 4,082.2 3,736.4 4,096.9 3,726.6 2,225.5 果実 1,327.8 1,958.4 1,943.9 1,480.5 1,507.7 1,580.2 1,453.0 ぷどう 1,236.6 823.8 1,667.4 969.0 1,196.1 914.5 954.0 食肉(生態重量) 2,447 2,397 2,486 2,453 2,297 1,911 2,232 牛乳(1,000ⅡL) 51,328 52,479 50,726 50,086 52,331 45,254 44,229 6,259 7,242 7,848 7,321 8,072 7,040 8,077 穀物 燕麦 47.0 とうもろこし 豆類 採油作物 卵(100万個) 10,563.3 農業のなかでは穀物生産が中心であり、主食用、肥料用として穀類は最も重要 となっている。穀物生産量ははぼ1,600-1,900万トンを毎年生産しているが、 ルーマニア国の土壌、自然条件からするとそのポテンシャルは2,700万トン以 上とみられており、今後の改善が望まれている。生産量が低い最大の理由は、 単位面積当たりの収量が低いことであり、はぼ同条件下にあるとみられる西 ヨーロッパ諸国と比べると、収量の低さは歴然としている.政府は、肥料・農 薬の投与量増加、かんがい面積の拡大、農業機械化の推進によって収量の嘩加 を目指す方針である。 豆類はやはり飼料用として重要な作物であるが、主に作付け面積が伸び悩んで いるために生産量は上がっていない。油量作物も同様作付け面積の低下から生 産量は下降ぎみであり、特にダイズの落ち込みが激しい。 -4- 以上のように、以前はヨーロッパでも最も豊かな農業国の1つであったルーマ ニア囲も近年の農業生産の停滞によって食糧不足が心配されており、国民の食 糧消費量の低下が報道されているにも拘らず、大量の食糧を輸入する事態に直 面している。貿易統計によると、 1992年にはコムギ112万トン、トウモロコシ 26万トン、ジャガイモ24万トン、ダイズ13万トンがが輸入されている。特に、 1990年以降は干ばっの影響で大きな被害を受けているとはいえ、本来農業国で あるはずの同国がこれはど多量の食糧を輸入する状況は早急に改善されなけれ ばならない。貴重な外貨を生産部門に振り向けるためにも早急に農業を再建し、 農産物の自給体制を確立することが求められている。 (2)土地利用状況 ルーマニア国の国土面積のうち約62% (約14.8百万ba)が可耕地とみられてい るが、実際の耕作地は約9.4百万haと見られている。 ち65.7%に穀物が栽培され、他は豆類(0.9%) イモ(2.6%) 、野菜(2.1%) 1991年には、耕作地のう 、工芸作物(9.9%) 、ジャガ 、飼料作物その他(16.9%)となっている。 (3)土地改革 新しい政権の経済改革のプログラムのなかでの農業部門の最大の目玉は、土地 の私的所有を認め、旧地主に農地を返還することであった。土地私有化法の制 定によって農地の私有化が進められており、 1992年末現在70%以上の農地が民 間に返還され、それらの一部は協同組合(旧政権下の協同組合とは異なり、農 民達によって自主的に設立されたもの)が所有しているが,ほとんどは個人農 家の所有となっている。今後も土地の私有化が推進されるため、ルーマニア国 農業も私的経営が主流となっていくこは間違いないが、問題は今までの集団農 場的経営形態からの転換がスムーズに行なわれるかどうかである。 現在、土地の私有化によってルーマニア国が直面している最大の問題は、土地 が返還されたものの、現在の農地個人所有者の約1/3はすでに農業に従事して いない人達であり、また1/4は高齢者となっているこ.とである。その結果農地 の半分以上は実際に農業経営意欲を有していない人達に返還されたものと考え られている。また、農業従事経験者であっても、多くは集団農場での農業労働 者としての経験者であり、農場経営のノウハウを有する者は少ないと言われて いる.さらに、一軒当たりの所有農地は1.9haとなっており、土地の細分化に よって、今までの大農場を対象としたものではない、かんがい、機械作業、集 荷涜通等システムの変化が必要とされている。 -5- 生産者である農民自身に土地の所有権を与えることは、農家の生産意欲を大い に刺激することとなり、また、農地の分配は工業の私有化と再編成の複雑さに 加えると単純なものと見なされている。さらに、農業部門は生産増加によって 貿易のバランスの改善に寄与するとともに、今後考えられる工業部門の再編成 によって大量に生じる失業者の吸収をも期待されている。 しかしながら、現在生じている混乱は物事がそれほど単純でないことを示して いる。土地改革によって多数の個人農家を作り出しばしたものの、個人経営を 支える他の条件が満足に満たされていない現状では、果たして何人の個人農家 が生き残れるかといった状況である。土地の平等な分配、個人経営に合致した 投入財の補給、農産物の流通網の確立、農業経営ノウハウの指導、農業金融の 充実等、解決すべき問題は多岐に渡っている。これらの問題を解決せずに、土 地の分配だけで農業改革が事足りるとするなら、返って、農業の改革を遅らせ る結果となろう。 -6- '1.∴国立野菜・花き研究所整備計画 国立野菜・花き研究所整備計画 計画図: 位置図 ● ノ,:pTyJ..:_A:A ■●■● I ItCMOILQYA■l▲ 4 ylt∼ ■Itr●dJ lU16AAI AVIA yV61)SL ;1 ど/′ I )TALY ● )dl■ /-一' 1t14 c・・宙 .I- ▲l く可 Dt. I4.117 l-●l■ O W ○ ●H'■1. c空㌣γ qJ 声:===・=1. 1i ・一 ̄-ヽ\ r_1U^Kl 61t I(I I} L IIO Iq =こ≧≡岩 ̄-.■・・・・・一 ‡王.ニ+F虫==芦= ゝ0 1ゝ 仰 ヽ、 1小Il ● \ IJil YJllJ t=. r, OIl■●い -'f- t 。 i ○ lill..I) ∼(事■l HN・・/''-'、1、・7 ・・-ユーノーi・●仙= (+・こL::L打/. l .▲l●l \′ T I R - --、 ̄1 吃ニ'::tq. ・”-'・ ち;.: ○〟 ′ l ∫ I y・・i/ ∼ ′ l ll 己 ●【iq ヽ●l ( iJIPiAJ 。 、. I ■■●く■ ■ tt YIIl I l I:I.;I.:r l \ l% t hY, 計画対象地域 \- Vidra 'T.:iI LIT.'ニ ▼ t■J T叫●,illl くっ (I.;-].i Pnlli。 l■r∼ ・ A ll■I●● l P■lliLJ I) I ”L1.''L. ● ヽ ・l N 'dtJ・.,I.こ:.?、: r'(tl_・'・:.I,・:. ′ -.. ■り・い・ A ● ‡ 't.v; g'J. [;llJL M ′恥. -I- 0 レし ?:v VIll●- / n'1仙= .IとてP・'-rlb7・'・tT7・ tlJll I l D-i ;..; I 3<:i fH). NLll ● ltrl一l ●l●l+lJ・L' +1 ● ○ < 1・---I. I) \ ◎LtJ(Ml(Sl .+!1・_yl.㌦. 0 /Q .,,.i(二 ,..5. 11′ - :::::,A ・.i_ A. 01∧C∬ SEA I ,'=':・f,ib・・:; 1.国立野菜・花き研究所整備計画 緯 1-1経 ルーマニア国の野菜生産面積は約20万haと見られており、野菜は国民の重要な栄養源 となっている。生食用のみならず加工用としても多くが利用されており、 の消費量も多い。また、政府は、土地の民営化によって細分化された個人農家の収入 安定策のひとつとして,野菜栽培の振興をうたっている。 野菜栽培の振興の最も重要なテーマに、優良品種の育成、安定的な種子の供給が挙げ られる。特に、現在の野菜品種はその優秀さからFl品種が大半を占めているが、 同国の研究体制は立ち後れており、研究施設の老朽化等もあって、思うような成果を あげられないでいる。そのため、同国は毎年多量の野菜種子を輸入しており、国内で の優良品種の育成、種子の安定供給が強く望まれている。 また、野菜は生鮮品、加工品ともルーマニア国の代表的な輸出品目として重要であっ たが、近年の生産量の低下によってその輸出量が激減している。今後の経済的復興の ためには、野菜は貴重な外貨獲得源となるものと期待されており、特に、今後は高い 品質が要求される西側諸国への輸出を目指す必要があることを考えると、消費者の需 要に合致した新品種の育成は非常に重要となっている。 1-2 研究所の概要 国立野菜・花き研究所は、全国の野菜・花き研究の中心となるべく、農業・食糧省傘 下の研究所として1967年に設立された。研究所は、ブカレスト南西約20knのビドラに 位置し、研究施設とともに約50血aの農場を有する。また、以下の6ヶ所に支所を有し、 全国をカバーする研究体制が取られている。ビドラの本部には65人の研究者を擁し、 内14人が博士の資格を有している。 く支所の設置場所) Arad、 Bacau、 Braila、 Buzau、 Iernut、 本研究所には以下の役割が与えられている。 (1)新品種の育種 (2)野菜種子の生産(Basic Seed) -7- Isalnita 1人当たり (3)栽培方法の改善研究 (4)野菜を中心とした土地の有効活用法の研究 (5)病虫盲防除方法の研究 (6)低エネルギー栽培法の研究 (7)野菜栽培集団の組織化 (8)研究成果の発表、普及 以上の役割を果たすために、同研究所は以下の研究室を有している0 (1)野菜育種研究室 (2)種子生産研究室 (3)栽培技術研究室 (4)施設栽培研究室 (5)土壌、生化学、植物生理研究室 (6)植物防除研究室 (7)花き研究室 (8)菌類(キノコ頬)栽培研究室 (9)経済、広報研究室 以上の研究によって、同研究所は毎年10種はどの新品種を発表しており、また、農家 の需要の多いトマト、ピーマン、タマネギ、マメ類の種子の生産も行なっている。 少し古いデータではあるが、 1981-1986年の5年間で野菜の生産量は約25%増加して おり、これには同研究所の役割も大きかったものと評価されている。農地民営化の混 乱等によって野菜の減収が続く現在、技術的革新による野菜生産の増加が期待されて いる。 ト3 計画概要 国立野菜・花き研究所は、新品種の開発、栽培方法の研究、農家への技術移転、種子 生産等によってルーマニア国の野菜栽培振興に大きな貢献を行なってきた。今後も、 同国の野菜生産の重要性を考えるならば、同研究所の研究館力強化が重要となってい るが、現在、研究施設の老朽化が著しく、これらの整備改善が望まれている。 本計画では老朽化の激しい研究資機材、研究施設、圃場機械の整備を行なうことで、 同研究所の野菜研究水準の向上、野菜種子生産の安定を目指すものである。 -8- (1)担当省庁 農業・食糧省(Xinistry of Agriculture and Food) (2)実施機関 国立野菜・花き研究所(The Research lnstitute of Vegetable and (3)計画地 ビドラ(国立野菜・花き研究所敷地) (4)内 容 ・ 1)実験室研究機材 各種理化学機器、計測・分析機器、光学機器 2)圃場作業機器 播種機、収穫器、散布器、プラウ、かんがい施設、種子精選・包装施設 3)育種用温室(ファイトトロン含む) 1-4 総合所見 (1)技術的可能性、社会経済的可能性 ルーマニア国政府は、農地の私有化により細分化された個人農家の収入安定策の ひとつとして、野菜栽培の振興をあげているが、当国の単位面積当たりの収量は かなり低く、また、毎年多量の野菜種子を外国より輸入しており、国内での優良 品種の育成、■種子の安定供給が達成されることにより、貴重な外貨の流出も防 げる。 (2)期待する次の段階の計画(開調、無償)の概要案 本案件は無償の機材供与となり、まずビドラに位置する本所を整備し、次の段階 で6ヶ所の支所の整備を行なう。 -9- Flower) (3)現地政府・住民の対応 ルーマニア国政府は野菜は貴重な外貨獲得源と期待しており、今後の経済復興に 貢献し,生産者も収入増になる。 - 10- 2._食品加工・涜遵改善研究.強花計廟 食品加工・流通改善研究観化計画 SI.画図: 放置陶 ”Q /L_uJ.” ●●●仙 'Pl●P4 l.-ヽ′ヽ、一ヽ 【zfE州〉J一Oy▲IIA 61■LA一lr† ′ノ/ >J●仙● AUu▲ ∼l▲ / JltlN¢AAY ■lJ<ゝ--.+ ■叫t8ヽ ?・1 I 1TAtY Yl柑Oil AYtA ●一〟l■ 管 l■●・ t・・8 ▲l G■( ((J ・・6 E▲●l●●yJJI O■ ・..・h-. II L ヽ ● ・JJ●′JJJ* l I ■一り'′ …● ■lli■〟〃l l< e・ . O●-Ni l ち I V= 1iILlil● ;I.LiltI ,. -A(i r f yv'.:... A 1L::.::.:1'/,・!・- ●▲=l ∫ R - 0 A M 1P l I ) --・l ∫,ノ1 r・・・仙Il・・;.1J”l -I-ヽ一I f・■i・・ 1i-・Tt=l::= - i i,. ' I l+ I ● i ■ J l Y ▲t l・l= ''i, / ● '一i■l山 t●1 ●1;'I一&l ヽ一 '@Tu 叫・=・:し〆; 琵iブ:c・・ tlt叫h ◆t 4 ■一●、■Ilt′ヽ ▼ ヽ′ t> 0 rI.;'1,; ・■ー■ td ■l ∼ C ∼ J・l!y〆・ 翠.”(…川 :3-:It ■■ I: -- ̄・ヽヽL l EjJ3りI. †tJC()st^YIA \ぅ.・c,:,I.・.: ヽ、_■・l ● ((J・ rl.tILh ●一1■■} ヽ (::r .._J . uSSfL l < l、 ]1I11+J14 め爪 s(:iv…../'◆- ̄、\ 、'1 .Lと・・・一I.'l.7・-I:I \・ i.I( 1} ;.。::.'も 、rし ” 0 JOO +}O lO \■' ヽ. 1小l Y+llr ci'lLy ■∼'1 IO ●OJ 芦===三三,-6-嘩三味-I-・・・-・・- ● ・.・.,. q53 ○ †一ー、\ L+ LI ■●lJil ● 8LJLGA^l^ 計画対象地域 tb 、 \ () 芯7: ●.●-● -・斗至 もI kt1 il: ltJ SEA i;ふ. ・ ,':=--・・l・L ..i I;)・ 2.食品加工・流通改善研究強化計画 2-1経緯・背景 ルーマニア国は、農作物、その加工品である食料品の貿易で外貨を獲得してきた農業 国であり、事実かつてはこれら農産品、食料品は大きな輸出超過を記録していた。 ところが、政変後の1990年以降には大幅な赤字を記録するに至っている。このことは、 農業生産部門の低迷が1番の原因であるが、加工流通経路の混乱がそれに輪をかけて いるものと考えられている。 ルーマニア国の農業、食料品分野は、近い将来に発展が期待される分野でもあり、 農産・食料品の加工流通経路は、市場経済化に応じて根底から再組織されなければな らない状況にある。国家管理経済の旧制度下では、加工流通の独占形態によって、非 効率ながらも川上から川下までの垂直一貫工程が機能していたo しかしながら、民営 化の推進によって、川上部分の生産集荷の役割を担ってた集団圏場は分割され、川下 部分の流通加エを行なっていた国営工場は解体されてしまい、生産、集荷の場と加工 工場との間の結び付きが断ち切られてしまっている。それに対して、政府は適切な施 策を打てないできたため、流通加工に無政府状態が続いており、投機的な減少の多発 と中間業者が不当な利益をあげる事態が生じている。 また、ルーマニア国は1970年代の工業部門への投資によって高い経済成長を目指した が、この過程で自国の生産量を無視した食品加工部門の生産設備の増強が行なわれた 結果、かなりの過剰設備を有することとなった。そのため、現在の流通の混乱によっ て操業率は極端に低下しておら、新しい制度に対応した流通加工システムへのスムー ズな移行、それに適合した輸送、保存、加工技術の確立が強く求められている。特に、 近い将来の西欧諸国への農産物の輸出を目指すのであれば、農産物の涜通加工技術の 改善は、国家経済にとって非常に重要となっている。 2-2 食品加工・流通研究の実態 ブカレスト市内にある園芸作物加工研究所が、農業・食糧省傘下の研究所として、甲 芸作物(野菜、果樹)の涜適加工技術に関わる研究を行なっている。本研究所では流 通システム等のソフトの分野の研究も行なっており、流通加工改善のための総合的な アプローチが試みられており、現在の研究員は約100名を数えている。 - ll- 本研究所の活動内容は以下のとおりである。 (1)缶詰め技術の研究 (2)ジュース製造技術の研究 (3)その他加工技術の開発 (4)経済的な流通システムの研究 (5)流通加工施設の設計、エンジニアリング 以上の研究のため、研究室の他に、化学実験棟+試験低温貯蔵施設、小型プラントの 施設を有している。 しかしながら、これら資機材ははとんどが20年以上前のものであり、更新が必要と なっているが、政府の予算不足もあって思うような改善が行なわれないままとなって いる。 2-3 計画概要 ルーマニア国の農業生産の低迷のひとつに、農作物の流通加工の混乱を挙げることが できるo ルーマニア国政府によると、現在,世界銀行の支援を受けて全国の卸売市場 の整備計画を推進中ということであるが、それによって生じる新しい農作物の流通に 適合した輸送、貯蔵、加工技術の開発が今後必要になるものと考えられる。 本計画は、同国の園芸作物の貯蔵加工技術を開発する国立の研究機関である園芸作物 加工研究所の研究資機材、実験設備の整備を行なうことで、同国の園芸作物の流通加 工技術研究水準の向上を目指すものである。 (1)担当省庁 農業・食糧省(Xinistry of Agrictllture and Food) (2)実施機関 国立園芸作物加工研究所(The Turning to Acount of Research IIorticultural -12- and Products Development ) lnstitute for (3)計画地 ブカレスト(国立園芸作物加工研究所敷地) (4)内 1) 容 実験室研究機材 a.化学分析用 b.細菌分析用 c. ■ 微量分析用 d.物理感応試験用 2)実験加工用機材 a.乾燥機器 b.熱処理機器 c.各種加工機器 d.包装機器 3)実験用低温貯蔵施設 4) 2-4 コンピュータシステム 総合所見 (1)技術的可能性、社会経済的可能性 ルーマニア国は、 1970年代に食品加工部門の生産設備の増強を行なったが、生産 物の減少等により過剰設備を有することとなり、操業率は低下しており、新制度 に対応した涜通加工システムへの移行,それに適合した輸送、保存、加工技術の 確立が求められている。 (2)期待する次の投階の計画(開調、無償)の概要葉 木案件は無償資金協力にて園芸作物加工研究所の実験室研究機材、実験加工用機 材、実験用低温貯蔵施設を供与するものである。 - 13- (3)現地政府・住民の対応 西欧諸国に農作物の輸出を目指すルーマニア国政府にとって、農作物の流通加工 技術の改善は、国家経済にとって重要な課題となっている。また、流通加工シス テムが改善されれば、不当な利益をあげている中間業者より、生産者を保護する 目的もある。 - 14- 3. -tlジi-ルジュ地区かんがい施設復旧計画 :ジェルジュ地区かんがい施書投復旧計画 計画図: 位置図 ④. ノー' L16ENDA. J4 L一6ENl)E. lrISpl事○・=I一t●れHrrllt L<‖iJT)il● dL[ Jr)l▲巾● IIl●oli● 1ll山td thl●巾uIL[I ⊂or[41 d+ olJu亡IltJ8t ---ー D●Hy●Ir <4叫I Conol J'oJJLJくIioII C4^01 J4 -●■ SLJPPII ⊂orL41 OndA4れlor4 st叫o J4 Pd.I-I. ¢ILq暮v stl)II4 J4 PO111P-.● I=●POPP4'+ ㌔ LE6fND ㊥ J'l■rbollo11 ㌔ COMll J'ollJTl●rltOIIoA ∼ OiL['Olu sloliorl f1-1io11 ptJhPiq Olu-ohJ dt polYIPl)○● pu巾Pb9 Slotioll d4 ltOlloll 0rld.●punplq FIO{lPOt● ●l I ●■01T[POg I +rJJ9+ P4J PorLt Ao1)d to心t● l''・} 監喜 メ ・こ ■ト 41 L ⊃ 普 q】 ㌔\ :.+ / Vlさ∼in く U Risu⊂8ni /' ㌔ s4 / Va'ceni Guru♀ni ● cD^ ChiriaCU 8主n 6-) .】 J- < llVOZIrel くク● l⊃ U ● Plop?or-” Mi9Ur■ 5> f)LJr3ni 8.y i ⊂^L oJ U Mirヱinesti Cl)( ‡ (⊃ U 6 亡1 U lURGlu PL)IineiLI ● (+ Dr i瑞Leea,lて Q. 牛・ 3.ジョルジュ地区かんがい施設復旧計画 3-1経緯・背景 ルーマニアは農業国であるにもかかわらず、食糧生産は低迷を続けており、近年は主 要穀物である小麦トウモロコシ等を多量に輸入する事態となっており、食糧生産の強 化が強く望まれている。この原因は少ない農業生産資材の投下、未整備な土地制度と いった技術的な問題を加えて、土地の自由化によって土地は旧地主に返還されたもの の、彼らは高齢者であったり、都市生活者となっており、生産意欲が阻害されている。 また、農家も今までは集団農場で働いていた者が多く、農業経営の経験を有する者は それほど多くはない。 ジェルジュ地区はブカレストの南約65血に位置し、受益面積は104,490baで、ルーマ ニアを代表するかんがい農業地帯であるが、調査設計が1966年に、建設が1974-1977 年に実施されたものであり、施設の老朽化が進んでおり新たな国の制度に対応した施 設の見直しが必要となっており、その調査を日本政府に要請したいとのことである。 3-2 地区概況 ジェルジュ地区はブルガリア共和国との国境である.ドナウ川の近くに位置し、水源は ドナウ川である。本計画地区は大きく2つに分けられ、 1つは北側で幅8血にわたり 北より南に傾斜し、標高は20-25m、他方は北より西に傾斜し、標高87-92mで、 全体の90%はこのブロックに含まれる。 本地区の気象は、年平均温度が10.8-ll.3℃、年平均降雨量は530-580mmであるが、 作付期には330-350nnの降雨量があり、また、月平均降雨量日数は15-20日である. 現況の主な栽培作物はメイズ、小麦、砂糖大根、大豆およびアルファアルファ等であ る。単位面積当たりの収穫量は下記のとおり。 メ 小 イ ズ 10, 000kg/ha 麦 4, 000kg/ha 砂糖大根 40, 000kg/ba アルファアルファ 60, 000kg/ba 農業水利の主水源はドナウ川で77.5rn8/secを取水しているが、このバージタイプの - 15- プンブステ-ションは老朽化が進んでいる。また、単位用水量は0.72B /see./haで、 かんがいシステムの内訳は、ファロウかんがいが21,537ba,スプリンクラーかんがい が82,953baとなっている。 3 計画枚要 (1)構想・目標 本案件は1966年に設計が終了し、 1974年に建設が始まり1977年に完成した。設計 当時は社会主義下であり、大規模国営農場用として設計されたのであるが、新し い政策で農地の民営化が進み、農地が細分化(平均約2ha)された。前設計では パイプラインよりの吐出口が約70baに1ケ所と少なく、受益者の間でさまざまな 問題が起きている。 また、国営農場が解体され、旧地主に返還されるまでの間の維持・管理に問題が あり、二次水路以降およびポンプ(メインポンプおよびブスターボンプ)も老朽 化が激しく、水がかからないブロックも多いc 1990年以降は干ばっの影響も受け、多量の食糧を輸入する事態に直面し、 には小麦112万トン、メイズ26万トン、ジャガイモ24万トン、大豆13万トンが輸 入されている。 このような状況を打破することを目的に、ルーマニア国政府は世銀の資金にて全 国におけるかんがい施設の調査を行なった。その結果、ポテンシャルの高い本地 区の優先プロジェクトに位置づけている。 (2)主要施設諸元 現況の主要施設諸元は下記のとおりである。 取水量 77. 50Ⅱf/see. 導水路 7.55kn 幹線用水路 66. 80km 支線用水路 187. 501皿 かんがい付帯施設 分水工、橋梁、他 I 16- 1992年 3-4 総合所見 (1)技術的可能性・社会経済的可能性 本件の受益地はルーマニア国とブルガリア共和国の国境であるドナウ川の近辺で 首都グカレストの南方約65血に位置し、車で1時間足らずの交通の便の良いとこ ろである。小麦、メイズ、大豆等の生産地で当国の穀倉地帯である。 既存のかんがい施設を整備し、生産性を向上させる他、新たに野菜類を導入し、 農地の利用率を高める計画となっており、農家経済の安定・向上のためにも, またルーマニア国の政策でもある農産物の西欧への輸出計画にも貢献するもので ある。 (2)期待する次の段階の計画(開詞、無償)の概要案件 本案件の開発調査薬件となり、まず全地区のマスタープランを行ない、地区を数 ブロックに分けて優先順位をつけて、優良地区より無償案件として実施に移す。 -17- Ⅱ.ブルガリア共和国 Ⅱ.ブルガリア B.ブルガリア国の概要 B-1歴史,政治 7世紀にアジアの遊牧民プルガール人が侵入し王国を樹立したが、 -マ帝国領となった。 コに支配され, 1186年には独立を果たしたものの、 11世紀には東口 1396年にはオスマントル 1908年の大ブルガリア帝国としての独立までそれは続いた。 第2次大戦中は枢軸国側として戦ったが、旧ソ連の侵攻とともに祖国戦線が蜂起し て権力を握り、 1946年人民投票によって王制が廃され人民共和国となった。 1947年 より共産党の指導下に入り、その後第一書記となったジフコフが政権を固めた。 ジフコフは一貫した親ソ路線を取り「クレムリンの長女+とも呼ばれ、農業集団化 と重化学工業化を推し進めた。しかしながら、 1970年代後半から経済が停滞し、 少しずつ国内の体制批判勢力が国民の支持を持つに至った. の民主化の流れの中で、民主化要求デモが起こり、 1989年には一連の東欧 35年間におよぶジフコフ長期政 権に終止符が打たれた。 1990年には民主化を掲げるジュレフ氏が大統領に選出されたが、議会の第一党は旧 共産党系の社会党であったため,大胆な改革に手を付けられないでいた。しかしな がら、 1991年の総選挙で改革派の民主同盟が力を得たことから、今後の民主化の進 展が期待されている。 B-2 経 済 経済的に改革派がなかなかイニシアティブを取れなかったこともあり、経済の民主 化は大幅に遅れている。政府は遅ればせながら、価格・金融の自由化、緊縮財政と 高金利政策を実施したものの、インフレは収まる気配を見せておらず、工業生産等 の低下によってGDPも毎年低下している。失業率も非常に高いレベルのままであ り、同国は経済の最悪期を脱しきれないでいる.I -18- 主要経済指標 1988年 1989年 1990年 GNP 1991年 1992年 出所 世銀 192億ドル 2,233ドル 世銀 -0.4% 9.0% -ll.8% 70.0% -23.0% *473.7% -10.0% 250.0% EIU推定 0.0% 1.8% *8111% *18.0% EIU推定 1人当たりGNP 経済成長率 6.2% インフレ率 0.5% 失業率 0.0% EIU推定 注) *は政府発表値 同国のGDPに占める鐙済部門の割合を見ると, 1989年現在では工業部門が58.9% と大部分を占め、農業は11.5%を占めるに過ぎない。 B-3 自然、地理 バルカン半島の中央部に位置するブルガリアは東ヨーロッパ諸国中でもチェコスロ バキア、ポーランドと比べて、長らくトルコの支配下にあったこともあって西ヨー ロッパ的色彩の弱い国である。しかし、この国の位置は西、中部ヨーロッパと小ア ジア、西アジアを結ぶ最短路にあたる重要な地域であり、古くから往来の激しかっ たところである。現在でも北をドナウ川により境され、東が黒海に面したブルガリ アは内陸国チェコスロバキア、ハンガリーのアジア、地中海諸国への出口としての ブルガリアの地理的位置の重要性は変っていない。 バルカン半島の自然条件の多様性を反映して、ブルガリアの地形も面積の割には 著しく多様性に富んでいる。古代の結晶質岩山脈の断片と第三紀の摺曲山脈が多数 の山間盆地をつくり、平野はブルガリアの大面積を占める山地によって分断さ ̄れて いる。 また、ドナウ平原は領土の1/4以上を占め、西部で30-40kn、東部で100-120knの 幅をもっている。森林ははとんどなく、耕地化されている。東部は台地を成し、西 にルドゴリエ(Ludogorie) 、東にドブルジョア(Dobrudzba)台地がある。 ドナウ平原の南にあるスタラブラニナの丘陵地帯は摺曲作用を受け、多くの河谷に よって分離されているが、経済活動に広く利用されている。 - 19- ブルガリアはヨーロッパで南部に位置するため、 中部を緯線方向に走り、 1月の0℃の等温線はブルガリア 7月の24℃の等温線は沿岸を除いて中部を東西に延びてい る。このためブルガリアでは、綿、タバコ、コメなどの高温を必要とする作物も栽 培される。 しふし、この国が東ヨーロッパ大陸に属するとともに、地中海の縁辺にあるため、 国内で南部と北部で若干差異がみられる。 年間降水量は平均650mで、地形の影響でかなりの差異はあるが、大部分は作物成 育期間に降る。ただ、夏季の後半に降雨の少ないのと、降水量の少ない年には干ば つが起こり、過去にしばしば被害が生じたので、恒常的な収穫を維持するためにか んがいを必要とする。 北部のドナウ平原は大陸の大気の影響を受け大陸性気候を示す。冬には冷たい風が 北西から吹き、夏は熟して、はこりっぼいo年降水量500-650皿で大部分夏季に 降る。 Br4 農 業 (1)生産状況 第2次世界大戦後、ブルガリアは重工業化を優先したため、 業のシェアは大きく低下した。 GDPに占める農 1989年現在、農業のGDPシェアは11.5%であ り、全就業者人口に占める割合は18.6%となっている。しかしながら、食料工 業部門の生産高は工業部門の20%を占め、また、輸出品目の中でも食料原料、 食品のシェアは大きく、依然として農業は外貨獲得源としても重要な産業と なっている。 ブルガリアの農業の大きな特徴は、政府の畜産部門優先策と耕種部門の生産低 下によって、畜産部門の方が生産高が上回っていることである。畜産部門は耕 種部門と比較して、その生産が安定しているとはいえ、主要家畜・家禽飼育数 は、 1980年代後半より豚を除いて減少傾向にある。近年、農家の家畜農場売り 渡し価格が安すぎるため、農家は家畜飼育頭数を減少させていることが報告さ れており、農家の生産意欲を高める施策が必要とされている。 -20- 耕種部門は1982年をピークに生産量が低下しており、 傾向は続いている。 1990年代に入ってもその 1992年の生産量を見ても軒並みここ3年平均の生産量を下 回っており、僅かに、ヒマワリ、ジャガイモ、ブドウの生産が伸びているにす ぎない。耕種部門の中心となる穀物生産量については、政府は1,000万トンの 安定供給を目指してきたが、近年は一度もその日標を達成しておらず、 は664.4トンを生産したにすぎない(義-1参照) 1992年 0 1980年代後半の農業生産の低下は、大規模経営組織の官僚主義や独占化による 非効率な経営、他部門への労働力の流出や強制的な同化政策によるトルコ系住 民の流出が、その大きな理由として考えられているが、民主化以降の停滞は、 新しい制度への変化に農民が対応仕切れていないことが最大の理由となってい る。特に、最近は農地の再配分で問題が多発しており、多くの農家は、耕作し た土地が自身のものになるかどうかはっきりしないため、耕作する意欲を無く しているとの報告がなされている。そのため、 1993年の生産量も、コムギやオ オムギが前年実績を下回ることは確実とみられている。 しかしながら、耕地面債に比較して人口が少ないことから、同国の穀物自給は 心配ない状況であり、当面輸出余力を持っことば確実である。 (2)土地利用状況 1990年の実績によると、国土面積1,110万haのうち415万ba (約37.4%)が耕作 されており、そのうち約半分の200万ba強に穀物(コムギ、トウモロコシ、オ オムギ)が作付けされている。それ以外には、ヒマワリ(28万ba) (14.1万ba) 、ブドウ 、野菜、果樹(ともに約9万ba)の作付けが多くなっている。 (3)土地改革 ルーマニア同様、 1991年2月に農地の私有化を認めた土地法が施行され、集団 化直前の土地所有者の権利を認め、旧所有者に土地が返還されている。しかし ながら、政府の政策、行政処置の遅延等によって、土地の返還は思うように進 んでいない。もともと政府は、急激な私有化による農地の細分化を恐れ、土地 取り引きの自由化による土地統合効果を疑問視している。そのため、政府はす べてを市場のメカニズムに委ねるのではなく、行政的指導によって私的土地所 有制度の再構築を行なおうと試みており、それはルー与ニアのアプローチとは 好対照をなしている。 -21- 以上の政府の方針に加えて、特に優良農地において不服の申し立て、不在地主 の追跡などの問題が多発しており、 1992年までに全農地の27%が元の所有者に 戻ったに過ぎないと報道されている。政府は1993年末までに75%、 すべての農地の返還を完了する計画を立てていたが、この計画は大幅に遅れる 模様である。 以上のように、その速度は遅いものの、農地の民営化は着実に進んでおり、ル ーマニア同様、農業はその変化に対応するために多くの困難を抱えている状況 にある。市場経済原理を導入するとはいえ、個人農創設に伴ない、それを支え るさまざまな新しい農業支援制度が必要となっているにもかかわらず、政府の 対応は十分でなく、今後の改善が必要とされている。 -22- 1994年には 義-1 Area, Area(1,000ha) 1989 Totalgrain 1990 and production of some Yiels(tonnes/ha) 1991 2,156 2,273 yield 2,337 1992 1989 2,291 1990 1991 in crops 1989 - 1992 Products(1,000tonnes) 1992 1989 1990 Percentagechangetothepreviousyear 1992 1990 1991 1992 9,114 6,644 86 111 73 74 3.8 3.9 2.9 9,547 1.6 1.3 456 392 432 619 86 110 143 145 17.8 984 601 889 303 61 148 34 37 1,049 927 562 620 240 280 270 476 1.9 1.4 Sugarbeen 40 36 28 17 24.6 16.7 Fruittotal' 91 90 91 90 23.4 8,193 61 110 73 88 25 198 62 1,068 94 86 79 70 _88 E3 22 Vegetables*事 102 21 21 21 93 90 78 1989-1991 4.2 Sunflower Apples* 1992/average 1991 16.7 15.4 3.8 7.5 367 1,662 323 1,565 80 1,347 158 TomatoesH 29 26 23 17 27.2 29.1 24.8 23.8 789 757 570 405 96 75 71 57 Potatoes 40 41 43 48 13.7 10.5 ll.7 ll.8 548 431 503 566 79 117 113 115 ■11 9 15 14 1.1 0.9 1.2 0.6 12 8 18 8 67 225 44 63 60 42 43 42 1.1 1.3 1.3 1.3 66 55 56 55 83 102 98 93 Cotton Orientaltobacco Grapestotal' 139 141 139 137 5.3 5.2 5.4 5.6 737 733 751 767 99 102 102 104 Vinegrapes' 127 127 124 121 4.6 4.4 4.6 4.7 584 559 570 569 96 102 100 100 Sofia; Ploshti, Source * * * : Statisticheski rekolta  ̄Area under Area shown 1992, Godishnik National bearing is under trees na Republica Statistics and vegetables Bulgaria・ lnstitute, bearing vines Only. only, While the 1991・ Sofia; output 1992・ National Statisticheski figures include Statistics spravochnik, green house lnstitute, 1992 National production. Statistics Dobivii lnstitute, Proizvodstvo Sofia. ot vsichki kultu,i, 1∴プロプチイブ地区農地保全計画 プロプデブ地区農地保全計画 / 計画図: 比定図 1 4dJPIJI ^UAAAN(A HUN6A^▼ 一 ●ヽぺb414)l ○●lサ■■● ● TUGOSLAVIA ヽ ∼ ∼ lit4 ▲l ● 〟l▲ tl CA((【t ce3 ′ Ned,( ヽ- ● lOO 事○ -L e し 110 ” 声■貞一--■ ㌔ tFI 'M ■ ti'ltT ーAIA=A ヽ〆 ■っ Ee一 faJnfJLn y 一l'JLL'tll AOIJA∼l▲ 仁一i+ ・ 7) n rJ 叫 TJ■▲■■ ● +AJf∼ { ●仙q-γd 'pl・.・・ ■ TUCOSLAYIA lLd●l●■ YrNヰ _ IJ'-I-rJt' - L+trJ▲● AJ;ll●▼LL■ 良 -て l.,.tこ r- ∼ 一If;tti■● ●′d Td■IqJ lr∼l. ′ヘ●ー ㌔ L†●J lf一▲コ ・ j I-A一▼T-;小l ■JJ亡▲ ー・、′ノー・ ̄ tL;I-I lLJ ■11i▼●■ I t -rちIi-` yI仁一● ・tJ1'山 .i.I I 3<t-∼” し G A ∩ l I I/ メ JL dFllAJ 書+ l'c r′ハて, ご\京 5EJ tI+rJ J I ■11A▲Jl▲ I-ooo,( ● lL<q. r∫_ ∧tJA TLl■KE▼ l rlさ ALBAN[A i■l山● /'l・b: &l ・_ I.A'・l''1 JtlJJ● . /I JCai O■′●一叶●  ̄t■ヽ GJlt(亡(` .忘 CO■′ Ll ∼ \ ▲●9●●巾 SLJ / -J5;.Tし ∼JtnIJ(J ・「■w ∼ LftJ. /「 謬 計画対象地域 sLrLJI \ Vl■●Lipi ● ) I;一IL>l■ IJhヽl 一-I● ・・-・甜 - . ̄ J 、 t1 ■「t ̄ 24''' くフ こSと- 1.プロプデイブ地区農地保全計画 1-1経梓・背景 バルカン諸国中ブルガリア共和国の土地利用の特色は、耕地の比率が高くて牧地の少 ないことである。耕地の多くはドナウ平原と上トラキア平原にあり、ここでは耕地率 60-70%に達するo 一方、山地では15-20%である.樹園地は8%を占めるが、ブル ガリア共和国の経済で重要な意義を持ち、主にスタラプラニナの北斜面、ロドぺ山地、 中部山地南斜面、キュステンゲル盆地に集中している。 降水量が少なく、しばしば干ばつに集われることから、農地はかんがいを必要とし、 干ばっ年には耕地の約半分がかんがいを必要とする。内陸河川、ドナウ川、地下水が かんがい用水源として利用されるが、ブルガリア共和国の河川は短く、河水は年間不 均等に光れるため、人工貯水池の建造が急がれている。また、ドナウ川はドナウ平原 の用水蘇であるが、ブルガリア共和国のドナウ川岸の多くは水面より高くそびえ、 80- 100m以上もポンプによって汲み上げねばならず、それには多大の電力を要する。 1990年までに全農地の26%、約124万ha程度がかんがいされているに過ぎない。 また、ブルガリア共和国では、市場経済化を図るために、さまざまな政治、経済改革 が行なわれてきたが、農業においては、旧土地所有者への土地返還が行なわれ、農業 分野における民営化が進められている。しかしながら,このような農地改革は、遅々 として進展していない。その最大の理由として、法的整備が今なお不十分であること が挙げられているが、返還すべき農耕地が荒れ果てており、旧土地所有者に返還でき る優良な土地が十分に残っていないことも大きな理由となっている0 共産党政権下により農業の集団化が強制されて以来、多くの農地が荒廃していること が報告されており、一部は産業用に転換したと伝えられているが、多くは作物の輪作 等の土地保全対策が取られていなかったことから、土壌侵食の被害による荒廃が生じ ているので、日本にマスタープランの作成を要請したいとのことであるo 1-2 地区概況 プロプデイブ地区は、旧土地所有者への農地の返還率が35%と未だに低い数字ではあ るが、ブルガリア共和国の中では一番進んでいる地区である。 -24- かんがい面積も全国で一番多く(別表参照) 、また60%以上のかんがい施設が普及し ていたが老朽化がすすみ、現在、利用可能な施設は少なく、農地保全対策としても早 急にかんがい施設の復旧が望まれる状態である。 本地区は、かんがい面積の約80%がダラビティかんがいで、地形、気象および土壌等 の自然条件に恵まれ、非常にポテンシャルが高い地区である。 1-3 計画概妻 (1)構想・目棲 計画地区の主要作物は、大麦、小麦、テンサイ、ヒマワリ等であるが、 作付率は約50%との報告もあり、これらの問題を解決するためには、下記の項目 を調査する必要がある。 かんがい地区の水管理システム 当初の水源計画の見直し 新規水源(地下水を含む)開発の可能性 必要水量の定量的評価 (2)関係機関の事業遂行能力、持続性等 本計画の実施携関は農業省であり、プロプデイブには地方農業サービスセンター 事務所がある。この事務所では既存のかんがい施設の維持・管理を行なっており、 本件の事業遂行には問題はないと思われる。 (3)本事業の予想されるインパクト 本地区は、首都ソフィアより車で約2.5時間で道路事情もよく、農産物の流通に は問題がない。したがって、かんがい施設の復旧が行なわれ、作付けが可能にな れば、荒廃した農地の保全はもとより、農家の収入増加および生産性の向上が可 能となり、地域経済に与える影響は多大である。 ー25- 1993年の ト4 縫合所見 (1)技術的可能性・社会経済的可能性 かんがい施設は今まで政府が管理し、受益農民はただ利用すればよかったが、今 後は財政難の国家に代わって、民営化された地元自体が維持管理にあたらなけれ ばならない。したがって、利用者の共同負担を軽減するためにも早急に施設の復 旧を実施し、水の有効利用および生産性の向上を計ることにより食糧自給等の達 成が可能となる。 (2)期待する次の段階の計画(開調、無償)の概要案件 本案件は、開発調査案件となり、まず全地区のマスタープランを作成し、地区を 数ブロックに分けて優先噸位をつけて、優良地区よりF/Sを行なう。 -26- DRAINAGE Onlydrainage AREA IN BtJLGAEIA Irrig.angdrainage Dabl.system Total(ha) Total(ha) Blagoevgrad Burgas Varna V.Tirnovo Vidin Vratza 60.0 ll,805.1 2,615.1 7,615.2 8,412.1 4,400.0 60.0 6,830.3 yithpulnpS(ha) 1,475.3 Total(ha) 4,974.8 26151 4,377.0 vithpumps(ha) Total(ha) vithp皿pS(ha) 1,799.1 I 3,238.2 2,478.2 1,600.0 487.3 2,154.2 1.600.0 5,933.9 2,800.0 3,783.6 3,794.4 2,800.0 G.I)elchev I)upnitza Eustendil 批)ntana E3 Pazardjik Pernik Petrich Pleven Plovdiv 宜usse 896.7 2,056.5 2,631.6 185.1 8,033.0 1,080.6 20,919.2 1,827.7 10,189.9 663.0 896.7 1,034.1 2,411.8 185.1 4,968.6 1,080.6 12,941.2 2,411.8 62.0 7700 10,132.1 3,294.9 7,802.0 3,115.3 7,669.0 500.0 1,306.9 500.0 398.8 Ⅹaskovo 3,167.8 2,629.9 2,809.2 850.7 995.0 995.0 Shu皿en Ja皿bol 8,427.3 1,780.4 1,600.4 TOTALIXA 136,647.1 52,325.0 Sofia-region Sofia-to甘n StaraZagora Targovichte 25,282.8 219.8 3,964.4 7,978.0 18277 6,895.0 663.0 17,613.8 7,302.0 1,228.4 3,167.8 1,138.0 7,129.6 1,814.2 1,605.0 I 3,294.9 Sandanski Sliven 1,022.4 219.8 25,881.9 6,183.9 362.5 580.0 160.0 661.2 6,646.9 83,080.9 27,677.9 1■,241.2 160.0 LIST OF USED LANI) IRRIGATEI) TOTALIRRIGATEDAREA LAND BY REGIONS JtJLY 1990 YATEEBYSTATECOIPANYIKA YATERBYAPUs ALL口SEI) GRAVITY GRAVITY PUYPING IRRIGATED IRRIGATEI) TOTALAIiEA IRRIGATEl) (ha) Eg P口tPI71G TOTALAEEA AREA(ha) IRRIGATED (ha) (ha) (ha) (ha) (ha) GRAVITY PUPING TOTAL^REl IRIiIGATED ・(ha) (ha) Ⅰ丘RIGATED (ha) Burgas 589,101.9 148.950.9 49,229.3 99,721.6 94,046.1 36,573.4 57,472.7 54,903.8 12,655.9 42.248.9 Varna 715.201.3 76,554.3 10,493.9 66,060.4 64,906.0 10,147.9 54,758.1 ll,648.3 346.0 ll,302.3 I,ovetch 770,077.6 192,101,6 71,261.7 120,839.9 158,511.5 63,539.6 94.971.9 33,590.1 7,722.1 25,868.0 Xontana 605,970.6 157,528.1 17,224.0 140,304.1 131,690.6 12,180.5 119,510.1 25,837.5 5.043.5 20,794.0 Plovdiv 394,515.1 240,327.9 184,812.6 55,515.3 175,655,5 170,552.5 5,103,0 64,672,4 14,260.1 50,412.3 Russe 650,156.1 133,689.0 15,040.6 118,648.4 124,186.0 7,135.2 117,050.8 9,503.0 7,905.4 1,597.6 8,168.5 5,075.5 ll,931.0 7,010.5 4,920,5 1,313.0 1,158.0 155.0 Sofia-town 43,337.0 13,244.0 Sofia-region 410,354.7 124,375.4 87,102.7 37,272.7 80,022.7 47,276.5 32,746.2 44,352.7 39,826.2 4,526.5 ‡askovo 464,159.7 150,377,6 57,836.4 92,541.2 99,495.7 44,943.8 54,551.9 50.881.9 12,892.6 37,989.3 4,642,874.0 1,237,148.8 735,979.1 940,445.1 399,359.9 541,085.2 296,703.7 101,809,8 TOTALFO丑 Bn.GARIA 1. I定点IG. CANALS XAIN 23, 526km CANAIJS 6, 926km SECONI)A宜Y CANALS 16, 600k血 2. PIPE LIⅣES 18, 847k皿 501.169.7 194,893.9 2.農業機械化制度策定計画 農業棟横化制度策定計画 / 計画図: 位置図 I ■ヽ■●■●tl kUN6^^T RUAIA + ∼lA ●vfJt+/I ■l 04Jptd4 J こてヾ一tく lUl■A^IA ▼tN;OSIAYJA lレ● ● ▲l 〟l▲ tl Cゝ C^((E( ∼ 二言て I:a {.:・.;. く可 T I ⊂空-しy AJALrA ∼ uhI'd3・ S.- 'ふl;;;'7e',, t LD- P L l■tl●●りl a-:∼:・f''” IIOA&ANIA 仁一iI ・ I LtEL■q■1-∼ ● ● ,;小..: ・ A,Jl・)J lll■●■ ◎ ●■;l _ 11 ・一■■一f■ Ilt) j>'l'- l〟一-■-■●■● I ● ;・・:I 'JS ■●l●▼■ヽ■∼ill●▼il● Ovl●●●JIl ,ノヽ-T;Ill LI: /` 一L∼I■■∼ l ● T・l lliJLi+J ′JIJI I . r ′- 一I 1・ヽ_ 'Jl-dil . )J・l ∫ R l A --・- ;'57_S,.Ill. C:i:::. ご\L IIAA〟A 人 ・・ ̄ llt■J; イ′.I AJLf √ヽ I UしG ′〟ooo′t lヽ OIJlll ●暮Lu■l■ tJi'q シ・JI ●・ fi (王 TUAKfY ● 1iidLi. AL8ANtA ) I.AJ・I・.I i Pr■JJP ′ 0 ♂へ1 ●J L L/ O1′■′}● I-・・ \ ^rq4JJT SIJ Vl一;r言 I●一小iJ ● t41■■ / ..J' ̄ー+し人 s..∼ くフ ,A・... く詠 6Jt(ECE l ● ㌔-二1 、..∼ sLrJk BIJ{I SLJ JlitJA 一Sl+・JJ一●-1 l- ∫..∼.A, 5eJ t l川叶▼-;1LJI √-ヽ-8 ′ A a()■ILE ■litdJ , rrll 、・、′ノ ̄◆ J..∼,.∼..,O 3 'o .: G才 AJJ(凡〃■ 、ー二j'2- 2.農業機械化制度策定計画 2-1経緯・背景 ブルガリアでは民営化によって国営農場等が解体されており、それに伴なってそれら が所有していた農業機械類も民間に移管されつつある。それら旧農場の資産であった 家畜や農業機械などは、しかるべき権利を持つ旧農地台帳の所有者卓こ分割、譲渡され ることになっているが、未だ農地の返還を受けるあてのない旧農場の農業労働者たち は、今まで飼育、管理してきた農業資産が人手に渡る前に屠殺したり、部品を売却し たりしたため、家畜数は減少し、多くの機械頬は使用されないまま野ざらしの状態に ある。 また、今までは農業機械は、非効率とはいえ集団農場での使用シ女テムが機能してい たものが、機械の民間への移管、土地の私有化によって、各個人農家を対象とした使 用を行なわざるを得なくなった。しかしながら、その有効活用を行なうための制度が 確立していないため、各地で農業機械作業サービスを受けられない農家が続出してい る。例えば、農業機械の共同利用、あるいは賃作業サービスの制度が確立していない ため、多くの個人農家は農業機械使用への要望を持っているにもかかわらず、それを 使用することができないでいる。また、機械の維持管理施設にしても、今までは政府 管理によって運営されていたものが、民営化によって利用者の負担が避けて通れなく なっている。 このように民営化によって、農業機械受益者の維持管理の組織化、連用制度の整備の 必要性が生じており、一部この分野への民間の参入も始まっているが、農産物価格が 安く収入の少ない農家から+今まで負担していなかった費用を徴集することは容易な 状況ではない。まして、各農家が自身の農業機械を購入することなど、現段階では非 常に難しい状況である。 また、ハードの面でも、今まで大規模農場での使用を前提として大型機械が導入され ているが、それら大型機械が小規模に分散した私有農地で効率よく使用できるのかと いった問題も生じている。 ブルガリア政府は、農業機械化作業は基本的に民営化によって推進する政策を採って いるが、上記のように過渡期であるための混乱によって農家は満足な農業機械作業を 行なえないでおり、営農意欲の減退をも引き起こしている。 -29- 2-2 機械化の現状 統計によると、 1980年よりブルガリアの農業機械(トラクタ-、コンバイン)の普汲 台数は一貫して減少し続けているo このことは、今までの政府の工業化優先政策に よって、農業のシェアが減少していることと軌を一にしている。 農業機械は国内生産が需要に追いっかないため、旧ソ連等からの援助品がかなり入っ ているとの報告がなされている。しかしながら、今までは収益を余り考慮に入れない 国営農場等が農業機械の主要な購入者であったが、民営化によって購入対象者が各個 人農家になったことの影響により、農業機械の国内需要がかなり低下する恐れも生じ ている。現在、農産物は低価格であるため,農業生産意欲が低下しているとも伝えら れており、各農家の購買能力はかなり低下しているものと見られている。 表3一 年 農業機械の普及状況 1980 1982 1985 1988 1989 1990 トラクタ- 61,968 59,584 55,161 53,679 53,653 52,525 コンバイン 21,171 19,097 15,645 14,251 14,215 14,179 機 出典:ブルガリア統計年鑑 国内で使用されているトラクターは、地域によって大きく馬力数が異なり、ドナウ平 原では75馬力以上、南部高原丘陵地では30-40馬力が主体ということである。国内で 生産されているトラクタ-は75-80馬力が主体となっている. トラクターの年間使用時聞は平均して1,200時間/台、コンバインは平均して800900時間/台と見られている。 2-3 計画概要 新しい民営化政策によって、農業機械の活用はかなりの混乱を生じており、政府によ る農業機械化のための諸制度の確立、政策的支援が必要となっている。本計画では、 民間活力を生かした新しい農業機械化サービス制度確立のためのマスタープランを策 定し、同国の農業機械化を促進することを目指す。 -30- 調査は、以下の2段階を経て行なわれることが望まれる。 (第1段階) 最も経済的、かっ効率的な農業機械連用制度の検討が行なわれ、民間による農業機 械化がスムースに行なわれるために必要となる政府の政策的支援についても提言を 行なう。 (第2段階) 第1段階の結果を受けて、モデル地域を選定し、提言された農業機械化促進のため の諸施策実施の実現性について検討を行ない、最良案を提案する0 2-4 総合所見 (1)技術的可能性・社会経済的可能性 今ま-で農業機械のほとんどは国営農場に所属し政府が管理していたが、民営化に より、農業機械受益者の維持管理の組織化、連用制度の整備の必要性が生じてい る。今後は、民営化された地元自体が維持管理にあたらなければならない。■した がって、利用者の共同負担を軽減するためにも、早急に農業機械化制度を策定し、 農業機械の有効利用により生産性の向上を計ることで、食料自給等の達成が可能 となる。 (2)期待する次の段階の計画(開詞、無償)の概要案件 本案件は、開発調査案件となり、まず全国のマスタープランを作成し、モデル地 区を数ヶ所選定し、 F/Sを実施する。 -31- Ⅱ.調査日程 日程表 日数 年月日 出発地 到着地 宿泊地 備考 平成5年 1 10月28日(木) 東京 パリ パリ ウィーン 出国 ウィーン 移動 現地着(OS23220:50着) 2 10月29日(金) ウィーン JICAとの打ち合わせ、東欧関連資料収集 3 10月30日(土) ウィーン 資料整理 4 10月31日(日) ブカレスト 移動 5 11月1日(月) ブカレスト 大使館表敬、農業省打ち合わせ 6 11月2E](火) ブカレスト 現地調査 7 11月3日(水) ブカレスト 現地調査 8 11月4日(月) ブカレスト 現地調査 9 11月5日(火) ブカレスト 大使館および農業省に報告打ち合わせ 10 11月6日(水) ブカレスト ウィーン ウィーン 資料整理、移動 ll 11月7日(月) ウィーン ソフィア ソフィア 移動 12 11月8日(火) ソフィア 大使館および農業省打ち合せ、現地調査 13 11月9日(水) ソフィア 現地調査 14 11月10日(月) ソフィア ロンドン 農業省報告、現地発(LE588714:50) 15 11月11日(火) ロンドン 機内 移動 16 11月12日(水) ウィーン ブカレスト ロンドン 帰国 東京 -32- Ⅳ.面談者リスト 所 オーストラリア 佐藤 幹治 国際協力事業団オーストリア事務所、所長 ルーマニア 藤田 俊美 在ルーマニア日本大使館、公使 YOSIII媒URA KATロAEI PETRE 在ルーマニア日本大使館、二等書記官 妊inistry iOROIAⅣtJ of Reclamation I)r.LIVI口BUⅡOCⅡIU LIVIU Xinistry CREAⅣGA of CORNOIU Agriculture Reclamation I)epertment (Counseilor of Xinistry of Xinistry and Food, Land and Food, Land and Food, Land and Food, Land I)epertment Reclamation NICOLAE Agriculture Xinister) Agriculture I)epertment of Reclamation Agriculture I)epertment (Director) VASILE BERBECI Kinistry of Reclamation ブルガリア 浪田 Agiriculture and Food, Depert皿ent 在ブルガリア日本大使館、専門調査員 一正 STEFAⅣ STEFANOV Bulgarian STOYEO STOEOV Xinistry STOIAN STANEV Plovdiv -33- National of Comittee ICID Agriculture Agriculture Service Center Land Ⅴ.調査員の略歴 幕田 一郎 (職 歴) 昭和23年4月27日生 昭和42年 県立福島農蚕高等学校 昭和46年 青年海外協力隊 昭和49年 三菱商事㈱ 昭和53年 国際協力事業団 昭和54年 ㈱パシフィックコンサルタンツインターナショナル 吉野 (職 農業土木科卒業 インドネシア派遣専門家 農水事業部 治伸(総括・農業) 歴) 昭和53年3月 明治大学農学部卒業 昭和53年 青年海外協力隊 昭和56年 海外貨物検査技師 平成2年 ㈱タスクアソシエーツ技師 平成3年 ㈱パシフィックコンサルタンツインターナショナル農水事業部 -34-