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パワーポイント - 日本商事仲裁協会

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パワーポイント - 日本商事仲裁協会
0 はじめに
調停人養成教材・中級編2006年度版
第1日目 0 はじめに
基礎編
調停人養成教材・基礎編
経済産業省・日本商事仲裁協会・日本仲裁人協会
非法律家に向けたもの
目的
中小企業間・労働者間紛争を想定
自主交渉援助型
トレーニング
の方法論
第1日目 0 はじめに
座学ではなく、示し、参加する
実際の手順書(プロトコール)が示されている
調停人養成教材・中級編2006年度版
第1日目
人はだれでも枠を持つ、それは目の前の当事者だけでなく、
トレーニングを受けようとするこの私もである
裁判と調停はどう違うのか
調停にもいくつかある
促進すべき「交渉」とはどのようなものか
当事者が交渉の中でできて、
交渉の中でできないことはなにか
調停人養成教材・中級編2006年度版
第1日目 0 はじめに
第2日目
調停に来る当事者の気持を考える
調停に来た当事者と初めて会う
調停における聴くとはなにか
技法を使ってみる
第1日目 0 はじめに
調停人養成教材・中級編2006年度版
第3日目
調停で頻発する問題に対処する
調停の倫理とはなにか
調停全部を実践する
調停人養成教材・中級編2006年度版
第1日目 0 はじめに
中級編
調停人養成教材・中級編
経済産業省・日本商事仲裁協会・日本仲裁人協会
• 調停に備える
(交渉理論(応用))
• 調停を進める
(課題特定、選択肢開発)
• 調停を広げる
(共同調停、コーカス)
• 調停を仕上げる
(倫理、法律家連携、合意文書)
• あなたが調停人
第1日目 0 はじめに
調停人養成教材・中級編2006年度版
1 調停に備える
調停人養成教材・中級編2006年度版
第1日目 1 調停に備える
1 ハーバード流交渉術
≪基礎編の振り返り≫
①人と問題を切り離せ
②要求ではなく利害に焦点を合わせよ
③複数の選択肢を用意せよ
④客観的基準を強調せよ
⑤次善策(合意できなかった場合)を検討せよ
第1日目 1 調停に備える
調停人養成教材・中級編2006年度版
交渉の要素
《基礎編の振り返り》
建て前 本音
調停人養成教材・中級編2006年度版
第1日目 1 調停に備える
交渉の理論
対立競争型交渉理論
問題解決型交渉理論
第1日目 1 調停に備える
調停人養成教材・中級編2006年度版
2 認知心理と交渉
• 認知心理と交渉:
交渉に作用する個人の情報処理の歪みや
文化の影響に関する実証研究の成果から、
交渉の過程と成果へのリスク要因の分析 を
する。
• 認知バイアス
情報処理におけるシステマティックな偏向
第1日目 1 調停に備える
調停人養成教材・中級編2006年度版
代表的な7つの認知バイアス
(1) 行動のエスカレーション
(2) パイの大きさは決まっている、という思いこみ
(3) 係留効果(アンカリング)と調整
(4) 枠付作用(フレーミング)
(5) 情報の入手可能性
(6) 勝者の呪縛
(7) 自己過信
第1日目 1 調停に備える
調停人養成教材・中級編2006年度版
代表的な認知バイアス
(1) 行動のエスカレーション
最初にその行動を取ることを決めたときと、
今現在での状況は変化している。
その行動を継続してとり続ける合理的理由
はあるか。
第1日目 1 調停に備える
調停人養成教材・中級編2006年度版
代表的な認知バイアス
(2) パイの大きさは決まっている、という思いこ
み
相手方にとってよいことは、自分たちにとっ
て悪いことに決まっている。
トレードオフの可能性。
第1日目 1 調停に備える
調停人養成教材・中級編2006年度版
代表的な認知バイアス
(3) 係留効果(アンカリング)と調整
最初に提示された条件は、非現実的ではな
いか。
その条件を十分に理解したか。
第1日目 1 調停に備える
調停人養成教材・中級編2006年度版
代表的な認知バイアス
(4)枠付作用(フレーミング)
a) この病気に関し、この薬を投薬すると、
300人に100人が死亡します。 b) この病気に関し、この薬を投薬すると、3
分の2が助かります。
第1日目 1 調停に備える
調停人養成教材・中級編2006年度版
代表的な認知バイアス
(5)情報の入手可能性
使える情報は入手できた情報である。
その情報は、信頼性が高い情報か。
第1日目 1 調停に備える
調停人養成教材・中級編2006年度版
代表的な認知バイアス
(6)勝者の呪縛
オークションで買った=オークションに勝った
=負けた他の人は、それにその価値を見いだ
さなかった。
第1日目 1 調停に備える
調停人養成教材・中級編2006年度版
代表的な認知バイアス
(7)自己過信
あなたは優秀な交渉者ですか。
あなたは、交渉に自信がありますか。
第1日目 1 調停に備える
調停人養成教材・中級編2006年度版
3 ゲームの理論 theory of games ゲーム理論においては、プレーヤーは合理的
であり、他者との関係の中で自己の利得を最
大化することが基本形となる。
構成要素
a) プレーヤー:n人ゲーム
b) 戦略:プレーヤーの行動計画
c) 利得:戦略に従うことで得られる結果を数値化
したもの
または
効用:ゲームの結果に対する先行順序を数値
化したもの
•
第1日目 1 調停に備える
調停人養成教材・中級編2006年度版
ゲーム理論
– 囚人のジレンマ
ーーあなたには、よりよい結果があります。
– しっぺ返し
– ミニマックス――如何に損を最小限にとど
めるか調停人養成教材・中級編2006年度版
第1日目 1 調停に備える
囚人のジレンマ
石松と五右衛門、逮捕され、別々に身柄を拘
束されている。2人とも、直接話はできない。
• 2人とも黙秘すると2人とも懲役2年
• 2人とも自白すると2人とも懲役10年
• 石松が自白して五右衛門が黙秘を通すと、
石松は1年に減刑されるが、
五右衛門は懲役20年
逆も同じ。
第1日目 1 調停に備える
調停人養成教材・中級編2006年度版
囚人のジレンマ
• 裏切りのインセンティブ
五右衛門 黙
秘(協調)
石松 黙秘
(協調)
石松 自白
(裏切り)
五右衛門 自
白(裏切り)
(2年、2年) (20年、1
年)
(1年、20 (10年、1
年)
0年)
調停人養成教材・中級編2006年度版
第1日目 1 調停に備える
しっぺ返し
TIT –FOR-TAT
• 相手が協調すれば、次回は、自分も協調する。
• 相手が裏切れば、次回は、自分も裏切る。
第1日目 1 調停に備える
調停人養成教材・中級編2006年度版
• ゲーム理論では、人間は合理的に行動する
ことが前提である。
• しかし、その中にも、まず信頼して交渉するこ
とが合理的な場合もある。
調停人養成教材・中級編2006年度版
第1日目 1 調停に備える
4 交渉から調停へ
①対立当事者のみでの解決の限界
②第三者の関与による解決
③第三者の関与の仕方
④自主交渉援助型調停への橋渡し
第1日目 1 調停に備える
調停人養成教材・中級編2006年度版
2 調停を進める
調停人養成教材・中級編2006年度版
第1日目 2 調停を進める
課題の特定
自主交渉援助型調停において、紛争解決
のために当事者が話し合い、解決すべき
課題をどのように設定していくのか?
→逆に、自主交渉援助型調停と対比され
る評価型調停の場合はどのように課題を
設定するだろうか?
第1日目 2 調停を進める
調停人養成教材・中級編2006年度版
評価型調停での課題設定(争点整理)
「針混入事件」の場合(例)
a. 樋口ソーイングが納品した製品に針が残っていたか?
b. 針が残っていた場合、その針は樋口ソーイングの針だったのか?
c. 製品に針が残っていたことについて、消費者からクレームがあっ
たか?
d. 消費者からクレームがあったり、製品に問題があったりする場
合について、予め契約その他の合意がなされていたか?
e. 消費者からのクレームにより、聖徳紡績の信用が落ちたのか?
f. 聖徳紡績が本件により被った損害はいくらか?
g. 聖徳紡績は検収をするに当たり、針混入の有無をチェックする
義務を負っていたか?
h. 樋口ソーイングと聖徳紡績の過失の割合はいくらか?
第1日目 2 調停を進める
調停人養成教材・中級編2006年度版
評価型調停での課題設定(争点整理)
の傾向は?
¾過去の事実の認定に重点を置く傾向
¾当事者のどちらに責任があるかを問う傾向
¾結果として、申立人からの請求内容の範囲内で
の(量的)解決にとどまる傾向
第1日目 2 調停を進める
調停人養成教材・中級編2006年度版
自主交渉援助型調停での課題の設定
「針混入事件」の場合(例)
A) 再発防止のためには、今後どのような検収方法を行うこ
とができるか?
B) 消費者からクレームを受けた場合には、誰がどのように
対応し、連絡するのが良いか?
C) 作業工程がお互いに分かるようにするためには、どのよ
うな工夫が可能か?
D) 両者の長期的な契約関係を確保していくためには、その
他どのような方策を採ることができるのか?
E) 針の混入を理由に消費者がクレームをつけたフクザワマー
トに対しては、双方どのような対応をすることができるの
か?
第1日目 2 調停を進める
調停人養成教材・中級編2006年度版
自主交渉援助型調停での課題の設定
の傾向は?
¾将来に当事者がどのように取り組むことができる
かを考えさせる傾向
¾過去の事実や当事者の責任の所在に重点を置
かない傾向
¾結果として、申立人からの請求内容にとどまらず、
当事者間の問題の総合的(質的)解決に至る傾
向
第1日目 2 調停を進める
調停人養成教材・中級編2006年度版
自主交渉援助型調停を
評価型調停と比較してみると
評価型調停
自主交渉援助型調停
•過去の事実の認定に重点を
置く傾向
•将来に当事者がどのように取
り組むことができるかを考えさ
せる傾向
•当事者のどちらに責任がある •過去の事実や当事者の責任
かを問う傾向
の所在に重点を置かない傾向
•結果として、申立人からの請
•結果として、申立人からの請 求内容にとどまらず、当事者
間の問題の総合的(質的)解
求内容の範囲内での(量的)
決に至る傾向
解決にとどまる傾向
第1日目 2 調停を進める
調停人養成教材・中級編2006年度版
課題の特定のためのヒント
1 課題は、全ての当事者にとって中立的なものでなけ
ればならない。
2 課題が、過去の事実を問うものを避けて、将来に向
けて、全ての当事者が取り組むことができるものが
望ましい。
3 課題は、全ての当事者にとって貢献できるもの(なん
らかの工夫)であることが望ましい。
第1日目 2 調停を進める
調停人養成教材・中級編2006年度版
課題の特定のためのヒント
4 課題は、一方の責任を追及するようなものであって
はならない。
5 課題の特定では、法的な判断や枠組みにこだわる必
要はない。
6 課題の特定が難しい場合は、当事者の主張や意見、
本音を聴くことの段階に戻る。
調停人養成教材・中級編2006年度版
第1日目 2 調停を進める
選択肢の開発
¾優先順位を付ける
¾ブレインストーミングの手法を使う
¾選択肢の絞込み、実効性のチェック
第1日目 2 調停を進める
調停人養成教材・中級編2006年度版
ブレインストーミングとは?
「ある課題に関して人々が自由に意見を出し合
い、新しいアイデアを生み出すこと」
米国のアレックス・オズボーン(Alex F. Osborn)
が開発した発想支援法
第1日目 2 調停を進める
調停人養成教材・中級編2006年度版
ブレインストーミングのヒント
当事者役のヒント
1 思いつくままに発言する
2 相手の発言への批判や評価をしない
3 相手の発言への上乗せOK
第1日目 2 調停を進める
調停人養成教材・中級編2006年度版
ブレインストーミングのヒント
調停人役のヒント
1 出された意見を歓迎する
2 出された意見をパラフレーズ(言い換え)する
3 一方当事者から出された表現について他方当事
者にも確認する
4 出された課題について、各当事者が何をできる
か意見を求める
5 無理強いはしない
調停人養成教材・中級編2006年度版
第1日目 2 調停を進める
選択肢の開発
ロールプレイ①
課題
消費者からクレームを受けた場合に
は、誰がどのように対応し、連絡す
るのが良いか?
第1日目 2 調停を進める
調停人養成教材・中級編2006年度版
選択肢の開発
ロールプレイ②
課題
作業工程がお互いに分かるようにす
るためには、どのような工夫が可能
か?
調停人養成教材・中級編2006年度版
第1日目 2 調停を進める
選択肢の開発
ロールプレイ③
課題
両者の長期的な契約関係を確保して
いくためには、その他どのような方
策を採ることができるのか?
第1日目 2 調停を進める
調停人養成教材・中級編2006年度版
選択肢の開発のヒント
1 調停人は、自ら選択肢を提案するのではなく、まず
は、当事者が自らあみだすことを勧める。 2 当事者が出した選択肢は、その場で、分析、検討、
批評をしない。まずは、聴く姿勢を貫くこと。
3 当事者からは、できる限りの選択肢を出してもらい、
また、誰が出したのか、どちらがその内容を行うの
かにこだわらないことが必要です。
調停人養成教材・中級編2006年度版
第1日目 2 調停を進める
選択肢の開発のヒント
4 当事者から選択肢が出ない場合は、いくつかの工
夫が可能である。
5 当事者から選択肢が出ない場合は、時に調停人か
ら動くこと。
6 選択肢の創造から、選択肢の連合と「選択」に。
第1日目 2 調停を進める
調停人養成教材・中級編2006年度版
4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
第2日目 4-2 法律家との連携
この講座の目的は‥‥
みなさんに
調停人になってもらうこと
でも‥‥
第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
法律家との連携を考える理由
調停人が取り組むのは,
紛争の解決
そこでは,
法律の問題
を避けて通れない。
例えば‥
調停人養成教材・中級編2006年度版
第2日目 4-2 法律家との連携
調停の入口
「にぎって」ゴルフをしたのに,負けたカ
ネを払ってくれない。 第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
公序良俗違反
① 暴利行為-利息制限法→強行法規
② 他人に著しい損害を与える行為
③ 他人の営業を極端に制限する行為
④ 射倖行為-賭博で負けたカネを払え。
⑤ 犯罪行為-談合,贈収賄
⑥ 対価との結びつき-犯罪をしないことの対価
⑦ 愛人契約-愛人ではなくなったから金を返せ。
⑧ 芸娼妓契約-複合的契約関係
⑨ 共同絶交-村八分
調停人養成教材・中級編2006年度版
第2日目 4-2 法律家との連携
調停の入口
デザイン会社からポスターデザインの製
作を下請受注して,納品した。
納品したら90日後に代金を支払うと約
束したのに,支払期日が来ても代金を
支払ってくれない。
第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
ポスターデザイン下請代金請求事件
納品
支払期日
30日目
第2日目 4-2 法律家との連携
60日目 91日目
調停人養成教材・中級編2006年度版
下請代金支払遅延防止法第2条の2
1 下請代金の支払い期日は,親事業者が下請事業者
の給付の内容について検査をするかどうかを問わず,
親事業者が下請事業者の給付を受領した日‥‥から
起算して,60日の期間内において,かつ,できるだけ
短い期間内において,定められなければならない。
2 下請代金の支払期日が定められなかったときは親事
業者が下請事業者の給付を受領した日が,前項の規
定に違反して下請代金の支払期日が定められたとき
は親事業者が下請事業者の給付を受領した日から起
算して60日を経過した日の前日が下請代金の支払期
日と定められたものとみなす。
第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
下請代金支払遅延防止法第4条の2
親事業者は,下請代金の支払期日までに下
請代金を支払わなかったときは,下請事業者
に対し,下請事業者の給付を受領した日(役務
提供委託の場合は,下請事業者がその委託を
受けた役務の提供をした日)から起算して60
日を経過した日から支払をする日までの期間
について,その日数に応じ,当該未払金額に
公正取引委員会規則で定める率を乗じて得た
金額を遅延利息として支払わなければならな
い。
調停人養成教材・中級編2006年度版
第2日目 4-2 法律家との連携
強行法規
① 利息制限法
② 特定商取引法
③ 割賦販売法
④ 消費者契約法
⑤ 借地借家法
⑥ 労働基準法・労働組合法
⑦ 下請代金支払遅延等防止法(支払期日等)
第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
ポスターデザイン下請代金請求事件
×
納品
支払期日 支払期日
30日目
60日目 91日目
遅延損害金
61日目
調停人養成教材・中級編2006年度版
第2日目 4-2 法律家との連携
取締法規
① 宅地建物取引業法
② 食品衛生法
③ 農地法
④ 独占禁止法
⑤ 外国為替及び外国貿易法
⑥ 証券取引法
⑦ 商品取引所法
第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
調停の入口
機械の部品を納めたのに,「待ってくれ」
と言われ,代金100万円を払ってくれな
い。もうすぐ2年になるので,何とか払っ
て欲しい。
調停人養成教材・中級編2006年度版
第2日目 4-2 法律家との連携
部品代金請求事件
支払期日
調停申立て
2年
第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
消滅時効
民法167条1項
債権は,10年間行使しないときは,消滅する。
商法522条
商行為によって生じた債権は,‥5年間行使
しないときは,時効によって消滅する。ただし,
‥‥
調停人養成教材・中級編2006年度版
第2日目 4-2 法律家との連携
消滅時効
民法173条
次に掲げる債権は,2年間行使しないときは
消滅する。
① 生産者,卸売商人又は小売商人が売却し
た産物又は商品の代価にかかる債権
② ‥‥
③ ‥‥
第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
部品代金請求事件
支払期日
調停申立て
2年
時効援用
調停人養成教材・中級編2006年度版
第2日目 4-2 法律家との連携
部品代金請求事件
支払期日
調停申立て
2年
第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
調停の入口
① 請求がおかしくないか。
② 紛争の発生から随分時間がたって から申し立てられていないか。
調停人養成教材・中級編2006年度版
第2日目 4-2 法律家との連携
話し合い
① 聴くこと
② 当事者の利益は何かを探ること
③ 課題を整理すること
④ 選択肢を創造できるよう当事者を援助する
こと
→調停人の腕のみせどころ! 法律家は必要ありません。でも‥‥
第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
話し合い
こんなときどうする?(1)
① 背景事情が公序良俗に反しそうだ。
→ 例 貸金の原因が公序良俗違反のよう
だ。
② 強行法規に反しそうだ。
→ 例 貸金の利息を天引きしていたこと
が分かった。受領額を元本とすると,元利金
を超えた支払いをしているようだ。
第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
話し合い
こんなときどうする?(1)
・ 当事者の請求が公序良俗に反し,調停を続
けることができないと考えられる場合。
・ 法的には,相手方に請求権があると考えら
れる場合。 ↓
調停人は,当事者にどんな働きかけをします
か?
第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
話し合い
こんなときどうする?(2)
当事者から,こんなことを言われた。
「法的にはどうなんですか」
「法律家に相談したら,私の言っていることが
正しいと言われました」
→ 当事者と法律論争をやりますか?
→ 法律家に相談するとしたら,どんなこと?
第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
話し合い
こんなときどうする?(3)
当事者が「私には法的権利がある」と言って,
一歩も引かない。
→ 当事者には,どのような問いかけをします
か?
→ 法律家に相談するとしたら,どんなこと?
第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
合意の形成・合意文書の作成
合意は実行可能か?
↓
法的な観点からの検証も必要!
第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
合意の形成・合意文書の作成
① 合意の内容が公序良俗に反しないか。
② 合意の内容が強行法規,取締法規に反しな
いか。
③ 合意された内容が正確に記載されているか。
(誰が,誰に対し,いつ,どこで,何を,どのよう
にするか。履行しなかった場合はどうするか。)
④ 強制できる条項か。強制できない条項か。
⑤ 紛争の全面解決か。一部の解決か。
⇒ 実際に合意文書を作成してみましょう。
第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
合意の形成・合意文書の作成
合意は実行可能か?
↓
法的な観点からの検証も必要!
↓
合意の形成・合意文書の作成にあたっては,
法律家の助言を求めることをお勧めします。
第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
合意の形成・合意文書の作成
合意文書案ができた。
↓
当事者は内容を理解しているか?
当事者は納得して合意しているか?
第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
合意の形成・合意文書の作成
合意文書案ができた。
↓
当事者は内容を理解しているか?
当事者は納得して合意しているか?
↓
合意する前に当事者が法律家に相談する機会
調停人養成教材・中級編2006年度版
第2日目 4-2 法律家との連携
調停の終了
① 紛争の全部に合意が成立した場合
② 紛争の一部に合意が成立した場合
③ 合意が成立しなかった場合
第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
法律家とのコラボレーション
少しでも気にかかったら,法律家に助言を求
めよう!
「やせ我慢をしない」
「勇み足をしない」
第2日目 4-2 法律家との連携
調停人養成教材・中級編2006年度版
4-3 合意文書作成
調停人養成教材・中級編2006年度版
第2日目 4-3 合意文書作成
合意文書の表題
「合意書」 「和解書」 「和解契約書」 「示談書」
第2日目 4-3 合意文書作成
調停人養成教材・中級編2006年度版
合意文書の前文
「 本日、株式会社聖徳紡績(以下、「聖徳」
という)と有限会社樋口ソーイング(以下、
「樋口」という)は、2005年10月29日に
株式会社フクザワマートから樋口が納めた
縫製品に針が混入していたとの苦情が寄
せられた件(以下、「フクザワマートの件」と
いう)に関して、以下のとおり合意する。」
第2日目 4-3 合意文書作成
調停人養成教材・中級編2006年度版
1 聖徳は、2006年4月末日を目処とし、
遅くとも同年7月末日までに縫製品検収の
ための金属探知機を自己の負担において
導入する。
第2日目 4-3 合意文書作成
調停人養成教材・中級編2006年度版
2 聖徳は樋口に対し、
1記載の金属探知機の導入を決定した後
遅滞なくその旨を通知する。
第2日目 4-3 合意文書作成
調停人養成教材・中級編2006年度版
3 樋口は聖徳に対し、2記載の通知を受けた
後遅滞なく金属探知機の設置費用として
金10万円を聖徳の銀行口座(元禄銀行日
本橋支店・普通預金・口座番号123666・
口座名義:株式会社聖徳紡績)に振込送金
して支払う。但し、送金手数料は樋口が
負担する。
第2日目 4-3 合意文書作成
調停人養成教材・中級編2006年度版
4 聖徳は、今後、縫製品の検収方法を見直
し、樋口に対し、見直した検収方法を通知
することとし、通知時期及び通知方法は
聖徳と樋口が誠意をもって協議する。
第2日目 4-3 合意文書作成
調停人養成教材・中級編2006年度版
5 聖徳は、樋口が3記載の金員を支払うのと
引き換えにフクザワマートの件に係る樋口
に対する損害賠償請求権を放棄する。
第2日目 4-3 合意文書作成
調停人養成教材・中級編2006年度版
6 聖徳と樋口は、フクザワマートの件につい
て本書に定める外他に何らの債権債務の
ないことを相互に確認し、今後、名目の如
何を問わず相互に何らの請求もしない。
第2日目 4-3 合意文書作成
調停人養成教材・中級編2006年度版
以上の合意が成立したことの証として本書3通
を作成し、聖徳、樋口及び財団法人日本調停
センターが各1通を所持する。
第2日目 4-3 合意文書作成
調停人養成教材・中級編2006年度版
合意文書を作成した日
「 2006年2月28日 」
第2日目 4-3 合意文書作成
調停人養成教材・中級編2006年度版
東京都中央区本石町2丁目1番1号
株式会社聖徳紡績
代表取締役 多 田 慎 一 印
東京都台東区西浅草3丁目25番16号
有限会社樋口ソーイング
取締役 樋 口 三 千 男 印
第2日目 4-3 合意文書作成
調停人養成教材・中級編2006年度版
東京都千代田区霞ヶ関1丁目1番3号
財団法人日本調停センター
立会人 調停人 菊 池 一 人
第2日目 4-3 合意文書作成
印 調停人養成教材・中級編2006年度版
5-1 調停の実施
第3日目 5 調停の実施
調停人養成教材・中級編2006年度版
自主交渉援助型調停とは
• 紛争観:
– 紛争そのものは悪ではない。むしろ学習機会
• 調停人の力:
– プラスの影響を与えるコミュニケーションスキル
– 進め方への理解、発生する事態の予測
– 最後は集中力と忍耐力
• 調停人の役割:
– 第一に、当事者への見本を見せること
第3日目 5 調停の実施
調停人養成教材・中級編2006年度版
調停は成長のプロセス
体 験
感受力
勇気
変化
計画する
自己関与力
成長
考える
気づき
かしこさ
行動力
分析力
調停人養成教材・中級編2006年度版
第3日目 5 調停の実施
プログラムの趣旨
• 体験型で、気づきを大切にしたプログラム
• 基礎編と中級編(約30時間)で一通り完成
• 受講生への期待:
– オープンリソースとして提供、改善して活用
– 実務家として、トレーナーとして
– 調停運動の担い手として
• 課題: – 米国ではワークショップの後はインターンまたは
エクスターンシップ
第3日目 5 調停の実施
調停人養成教材・中級編2006年度版
調停の流れ
広がり
1.スタート
2.話し合いの開始
①申し立て-主張
②相手方への参加の呼びかけ
③相手方の答弁-主張
3.話し合い(利害・本音を探る)
ホワイトボード
4.利害に基づく課題の特定
5.課題解決の検討
6.解決案の合意
傾聴スキル
<ひろげる>
コーカス
<収束する>
傾聴スキル
7.終結
時間
調停人養成教材・中級編2006年度版
第3日目 5 調停の実施
プログラムの構成
• 基礎編
–
–
–
–
–
–
–
他己紹介
裁判と調停
交渉理論(基礎)
当事者の気持ち
初めての出会い
「聴く」
倫理(基礎)
• 中級編
– 調停に備える
(交渉理論(応用))
– 調停を進める
(課題特定、選択肢開発)
– 調停を広げる
(共同調停、コーカス)
– 調停を仕上げる
(倫理、法律家連携、合意文書)
–あなたが調停人!
第3日目 5 調停の実施
調停人養成教材・中級編2006年度版
5-2 復習クイズ
プログラム構成
調停人養成教材・中級編2006年度版
自主交渉援助型調停人の役割?
○と×でお答え下さい。
はじめの挨拶は、両当事者が調停手続を知って
いる場合にも、省略せずに丁寧に行うべきであ
る。
プログラム構成
調停人養成教材・中級編2006年度版
自主交渉援助型調停人の役割?
○
当事者が調停のルールを知っていると思われる
場合にも、調停の冒頭では、丁寧にルール確認
を行いましょう。話し合う雰囲気作り、リズム作り
の意味も大きいのです。 プログラム構成
調停人養成教材・中級編2006年度版
自主交渉援助型調停人の役割?
○と×でお答え下さい。
法的な問題が生じた際には、法的な議論をわか
りやすくかみ砕いて当事者に説明することが求
められる。
プログラム構成
調停人養成教材・中級編2006年度版
自主交渉援助型調停人の役割?
×
法的な問題を当事者に説明する役割は(自主交
渉援助型)調停人にはありません。
当事者の懸念・不安は何か、当事者が求めてい
るものを確認しましょう。
その上で必要なら、外部の専門家への相談を勧
めます。 調停人養成教材・中級編2006年度版
プログラム構成
課題の特定?
○と×でお答え下さい。
課題はできるだけ集約し、可能なら一つに絞る
のが良い。
プログラム構成
調停人養成教材・中級編2006年度版
課題の特定
×
課題は、複数設定するのが望ましいと言えます。
話し合いのプロセスを管理するツールとして、課
題を活用しましょう。
例えば、行き詰まりの打開の一つの方法は、別
の課題へ進むことです。
調停人養成教材・中級編2006年度版
プログラム構成
選択肢の開発?
○と×でお答え下さい。
選択肢の開発の段階で、これまで想定されてい
なかった論点が明確になるなどの場合、課題の
特定や、本音を探りながら当事者の言い分を聴
く段階に戻っても良い。
プログラム構成
調停人養成教材・中級編2006年度版
選択肢の開発
○
ステージを前に戻すのは、調停人としての重要
な役割です。当事者は結論を急ごうとします。調
停人だけが、ステージを前に戻せることに気付
いてください。
調停人養成教材・中級編2006年度版
プログラム構成
コーカス?
○と×でお答え下さい。
一方からコーカスの申し出があり、他方からは申
し出がなければ、一方のみからコーカスを実施
すればよい。
プログラム構成
調停人養成教材・中級編2006年度版
コーカス
×
コーカスでは、一方と実施したら、他方とも行い
ましょう。時間についてもできるだけ、同じ時間ず
つ行うようにしましょう。
調停人養成教材・中級編2006年度版
プログラム構成
調停を仕上げる?
○と×でお答え下さい。
若干、一方が納得していない表情をしているが、
合意の書面へのサインが取り付けられそうであ
る。こういう場面こそ踏ん張りどころで、説得して
一気に終結させなければならない。
プログラム構成
調停人養成教材・中級編2006年度版
調停を仕上げる
×
合意よりも納得を追求するのが自主交渉援助型
調停のプロセスです。
調停人養成教材・中級編2006年度版
プログラム構成
はじめの挨拶で言うべきことは?
5個以上挙げてください
プログラム構成
調停人養成教材・中級編2006年度版
はじめの挨拶で言うべきこと
席へ誘導
自身の名を名乗る
当事者の名前の確認
本音で話すよう促す
相手が話をしている
時には、よく聞き、割
り込まないルール
• 利害対立なし
•
•
•
•
•
• 調停人は判断せず、
当事者自身が解決策
を探す役割であるこ
とを説明
• コーカス
• 秘密保持
• 専門的意見を外で聞
ける
• 所要時間
調停人養成教材・中級編2006年度版
プログラム構成
同席からコーカスに移行する前に
言うべきことは?
3個以上挙げてください
プログラム構成
調停人養成教材・中級編2006年度版
同席からコーカスに移行する前に
言うべきこと
•両方から実施すること
•時間(例:それぞれから15分ずつ)
•場所
•コーカス中に聞いたことは調停人から当事者に
告げることはない
•当事者自身が解決策を見つける役割にある原
則には変わりがない
調停人養成教材・中級編2006年度版
プログラム構成
傾聴スキルには何がありますか?
4つ挙げてください
プログラム構成
調停人養成教材・中級編2006年度版
傾聴スキル
•相づちをうつ、うなずく
•繰り返す
•開かれた質問
•枠組みをゆさぶる
•言い換え
プログラム構成
調停人養成教材・中級編2006年度版
言い換えをしてください
電車はメチャクチャ混んでるし、店は閉まってい
て、踏んだりけったりでした。
(感情面に注目して言い換えてみてください)
プログラム構成
調停人養成教材・中級編2006年度版
言い換え
電車でお疲れになった上に、お店が閉まってい
て大変がっかりして、散々な一日だったと感じら
れたということでしょうか。
プログラム構成
調停人養成教材・中級編2006年度版
言い換えをしてください
私に会社の不正をかぶせようったって、そうは行
きませんよ。業界慣行で歴代、私のポジションの
人間がやってきたことなんです。私は、仕事を引
き継いだだけです。命令した上司に責任がある
に決まっています。
(感情面に注目して言い換えてみてください)
プログラム構成
調停人養成教材・中級編2006年度版
言い換え
(回答例)
もし、わたしの理解が違っていたら修正してくだ
さいね。
会社組織が、あなた個人に責任を被せて、組織
の責任を取ろうとしていないと憤りを感じられて
いるのでしょうか。(長年の慣行で、組織的な責
任があるはずだ、また、自分より上司に責任が
あると感じておられるということでしょうか。)
プログラム構成
調停人養成教材・中級編2006年度版
プログラム構成
調停人養成教材・中級編2006年度版
プログラム構成
プログラムの構成
基礎編
調停へ
の招待
自主交
渉援助
型調停
はじめて
「聴く」
の出会い
難しい
場面
調停を
試みる
中級編
調停に
備える
プログラム構成
調停を
進める
調停を
広げる
調停を
仕上げ
る
あなたが
調停人
調停人養成教材・中級編2006年度版
中級編
調停に
備える
基礎編
復習
1.調停に備える
調停を
進める
調停を
広げる
交渉
ロール
プレイ①
調停を
仕上げ
る
交渉
理論
あなたが
調停人
交渉
ロール
プレイ②
昼
食
ロールプレイ
②準備
調停人養成教材・中級編2006年度版
プログラム構成
中級編
調停に
備える
初めて
の出会
い復習
DVD1,2,3
プログラム構成
2.調停を進める
調停を
進める
調停を
広げる
課題の
特定
GD
DVD4
調停を
仕上げ
る
あなたが
調停人
休
憩
選択肢
開発
DVD5,6
RP
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3.調停を広げる
中級編
調停に
備える
調停を
進める
調停ロー
ル
プレイ
DVD1,2,3
難しい
場面
DVD16
,18,19
調停を
仕上げ
る
調停を
広げる
休
憩
あなたが
調停人
コー
カス
GD
DVD
7,8
GD
中級編
調停に
備える
GD
4.調停を仕上げる
調停を
進める
GD
調停を
広げる
調停を
仕上げ
る
法律家
連携
GD
あなたが
調停人
休憩
休憩
倫理
プログラム構成
DVD
12,13
調停人養成教材・中級編2006年度版
プログラム構成
DVD
24,25,
21,26
共同
調停
合意文
書
DVD
9
演習
調停人養成教材・中級編2006年度版
5.調停の実施
中級編
調停に
備える
調停を
進める
調停
RP
③
あなたが
調停人
座談会
調停
RP
②
調停を
仕上げ
る
修了証授与
昼食
総復習
調停
RP
①
調停を
広げる
アンケート回収
プログラム構成
調停人養成教材・中級編2006年度版
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