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使用済燃料プールの専門家、ロバート・アルバレス氏からの手紙

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使用済燃料プールの専門家、ロバート・アルバレス氏からの手紙
使用済燃料プールの専門家、ロバート・アルバレス氏からの手 紙
Letter from Spent-Fuel Pools Expert Robert Alvarez
(2012年2月1日)
拝啓、昭雄
私が知る原子力産業界の中には、動力炉の使用済燃料プールが潜在的に
重大な危険をもたらすことを熟知する人達がいます。しかし、彼らはこ
の問題について公には口にしないようにしています。
1993年、私がエネルギー省で、長官のシニア・アドバイザーとして
働いていたとき、政府機関の使用済燃料の脆弱性評価に参加したことが
ありました。
我々は、兵器用のプルトニウムを生産した後、残渣となった米国エネルギー省の使用済核燃料の9
0%以上(2300トン)がワシントン州のハンフォード核施設内にある2基の古い原子炉、満水
にした裏張りをしていないコンクリート製の水槽容器、に格納されていることを知りました。その
水槽容器は、北西アメリカの主な水源となっているコロンビア川のすぐ側にありました。
このことは、ほぼ25年間無視されてきましたが、ひとつの水槽容器の中に格納されていた使用済
燃料が激しく劣化し、その水槽容器に亀裂が入って外に漏れ出したのです。ハンフォード核施設一
帯は活発な地震活動地帯であり、我々はまもなく使用済燃料が格納されている水槽容器からの排水
が、破滅的な放射線火災に発展するかもしれないことを理解したのです。我々は直ちに行動を起こ
し、水槽容器が損傷を受けても毎日休むことなく水を供給できるように処置を行い、また川から遠
く離れた核施設中央にある乾燥式の貯蔵施設に使用済燃料を移動するための資金を要求しました。
完遂するまでには10年かかりました。
9/11の攻撃の後、私はアメリカの商業用原子炉の使用済燃料施設の脆弱性に非常に関心を持つよ
うになり「原子力科学者の会報」2002年1月/2月号に、この問題についてのエッセイを書きま
した。その後これは、以前にお送りした同僚と私で2003年に公表した研究の基礎となりました。
福島第一原発災害が起こった後に、私は追跡調査と使用済み燃料プールの危険性について幾つかの
記事を書きました。お役に立つかもしれません。(Huffington Post、 LA Times、 The Nation)
現在、使用済燃料の危険について書いた記事を持っていますが、米国・国立科学アカデミーの官公
出版物として、まもなく Issues in Science and Technology から出版されることになっています。
敬具
ボブ
ボブ・アルバレス氏は、IPS の上級学者。彼は現在、そこで核軍縮、環境、エネルギー政策の問題に専念して
います。1993年から1999年には国家安全保障と環境省の長官および次官の上級政策アドバイザーを
務めました。アルバレス氏は受賞経験のある著者で、Science Magazine、the Bulletin of Atomic Scientists、
Technology Review and The Washington Post のような有名な出版物の記事として公表されています。また、
NOVA や 60 Minutes などのテレビ番組でもフィーチャーされています。
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