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① 正三角形の各辺をそれぞれ三

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① 正三角形の各辺をそれぞれ三
【問題】
つぎの手順にしたがって、図形を描いていきます。
① 正三角形の各辺をそれぞれ三等分し、中央の線分を一辺とする正三角形を元の正三角形の
外側に描く。その後、新しくできた正三角形と元の正三角形の境界線を消す。
② 新しくできた図形の各辺をそれぞれ三等分し、中央の線分を一辺とする正三角形を元の図形
の外側に描く。その後、正三角形と元の図形の境界線を消す。
以降、②を繰り返す。
①
②
このようにしてできる図形は雪の結晶に形が似ているので「雪の結晶モデル」と呼ぶことにします。
( )
) の ② の操作後の雪の結晶モデルの周の長さは、最初の正三角形の
回目(
何倍ですか? (
のときは、① の操作だけを行ったものとします。)
( ) ② の操作を無限に繰り返したとき、雪の結晶モデルの周の長さと面積はどうなりますか?
【解答例】
( ) 最初の正三角形の長さを とする。
) の ② の操作後の雪の結晶モデルの周の長さを
回目(
とすると、① または ② の
操作ではともに、元の図形の各々1つの辺から、その の長さの辺が
(
(
数列
)
) は初項が
(
( )
つできるから、
、公比が
の等比数列だから、
)
したがって、雪の結晶モデルの周の長さは最初の正三角形の周の長さの ( )
( ) ( )より、
倍になる。
( )
したがって、雪の結晶モデルの周の長さは正の無限大に発散する。
) の ② の操作でできる正三角形を
、その個数を
個、面積を ( ) とする。
(
のときは、① の操作だけを行ったものとする。)
① または ② の操作ではともに、元の図形の各々1つの辺に対して1つ正三角形ができ、
操作後には図形の辺の数は 倍になるから、
回目(
(
)
(
) は初項が
数列
公比が の等比数列だから、
)
・ (
( )
また、① または ② の操作ではともに、新しくできる正三角形と元の正三角形の相似比は
だから面積比は
よって、最初の正三角形の面積を とすると、
( )
数列
( )
(
)
( ) (
( )
( ) (
)
) は初項が ( )
(
)
公比が
( )
( ) ( )より、雪の結晶モデルの面積は
( )
( )
( )
∑ ( )
∑ ( ) は初項が
∑( )
公比が
の等比数列だから、
・・・
・ ・
( )
・・・
∑( )
の無限等比級数で、収束し、その和は
よって、雪の結晶モデルの面積は収束し、その極限値は
・
したがって、雪の結晶モデルの面積は、最初の正三角形の面積の
倍に収束する。
【解説】
問題に登場する「雪の結晶モデル」の図形は、これを考案したスウェーデンの数学者、ヘルゲ・
せっぺん
フォン・コッホ(Helge von Koch)の名にちなんで「コッホ雪片」や「コッホ島」と呼ばれ、コッホ雪片
を取り囲む線は「コッホ曲線」と呼ばれます。
コッホ曲線は、一部分を拡大すると、全体と同じパターンが見られる、というたいへん興味深い
特徴を持っています。このように、図形の一部と全体が相似であるような性質は「自己相似性」と
呼ばれ、このような性質を持っている図形は「フラクタル図形」と呼ばれます。
なお、フラクタル図形の性質を研究するフラクタル幾何学の分野はコッホよりも後に、フランスの
数学者であり、経済学者でもあるブノワ・マンデルブロ (Benoit Mandelbrot) によって導入され
ました。
問題で示したように、コッホ雪片は、面積は有限であるのに周の長さは無限という不思議な図形
です。 現実の雪の結晶は平面図形ではなく立体ですが、コッホ雪片に近い六角形の板状の
構造で、体積に対して表面積が非常に大きい、フラクタル図形に特徴的な構造をしています。
このような特徴あるフラクタルの構造は、雪の結晶だけではなく、リアス式の海岸線や、樹木の
枝分かれ、生物の肺や腸の構造など、自然界のいたるところに見られます。また、株価の変動
など、社会現象の中にもフラクタルの構造を見いだすことができます。さらには、その美しいデザ
インが芸術作品に取り入れられている例もあります。
みなさんも、身の回りにフラクタルの構造が見いだせないか、探してみて下さい。
また、奥深いフラクタルの性質について、掘り下げて研究してみても面白いですね。
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