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紫外線照射ダメージ皮膚におけるグルコサミンの効果 Effects of
12 紫外線照射ダメージ皮膚における グルコサミンの効果 Effects of Glucosamine Ingestion on UV-B-Induced Skin Damage 野村義宏*,田中美登里,渡部睦人 Yoshihiro Nomura*,Midori Tanaka,Mutsuto Watanabe 要 旨 皮膚老化の主要因は紫外線曝露による光老化であり,シミやシワの形成を引き起こす.臨床的には りん D-グルコサミン塩酸塩(以下,グルコサミン)を摂取することにより,皮膚保水力や滑らかさ,鱗 せつ 屑を改善することが報告されている.そこで,本研究では,グルコサミンの皮膚老化への効果を検証 するため,光老化動物モデルおよび紫外線曝露細胞モデルを用いて検討を行った. 光老化モデル:ヘアレスマウスに UV-B を照射する光老化に対し,グルコサミン(400 mg/kg 体重) を経口投与することでの改善効果について検討を行った.グルコサミン投与により,UVB 照射で減 少した皮膚水分量が改善した.また,減少した皮膚中のコラーゲン量の増加および低分子量側に広がっ たデコリンの分子量分布の正常化が認められた.また,ヒアルロン酸量の増加も認めている. 細胞モデル:紫外線曝露ヒト皮膚線維芽細胞モデルでは,UV-B を単回照射し,グルコサミンを 50μg/ml となるように添加した.UVB 照射により,コラーゲンの遺伝子発現量の減少が認められた. デコリン遺伝子の発現量は増大させたが,産生物の分子量にも影響を与えた.ヒアルロン酸は遺伝子 発現および産生物ともに増大した.これに対し,グルコサミン添加は,コラーゲンの遺伝子発現量に は影響を与えなかったが,コラーゲン産生量を増加させた.デコリンは UVB 照射により低分子化し たデコリンが修復され,ヒアルロン酸産生量はさらに増加させた. 以上のことから,グルコサミンは,UVB 曝露によるコラーゲン量の減少を改善し,デコリンの構 造の正常化,そしてヒアルロン酸の合成量を高めることで,皮膚の状態を改善したものと考えられた. グルコサミン研究 7:12–20,2011 keywords グルコサミン,光老化,Ⅰ型コラーゲン,デコリン,皮 膚水分量