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食の安全ナビ検定クイズ
千葉県立保健医療大学 食の安全を守るシステムと大量調理の衛生管理 食の安全ナビ検定クイズ ~ HACCPの考え方による ~ 事業者編 平成25年7月10日 浅漬けによる 腸管出血性大腸菌食中毒 千葉県食の安全安心協議会 (NPO法人食品保健科学情報交流協議会) 北村忠夫 問1 平成24年北海道で腸管出血性大腸菌を病因 物質とする白菜の浅漬けによる食中毒が発生し8 人が死亡しました。腸管出血性大腸菌とは、どの ような菌だと思いますか A 食肉等が食中毒を起こし、一般的には生肉を食べ なければ安全である。 B 少量の菌でも食中毒を発生させ、重篤になること がある。 C 人及び牛や豚の家畜の化膿疾患の際に菌が増殖 し、食中毒の原因となる。 問2 浅漬けの衛生確保について、次の内正しいもの はどれでしょう? A 浅漬けは、「惣菜の衛生規範」に基づき衛生確保 を行う。 B 浅漬けは改訂された「漬物の衛生規範」に基づき 衛生確保を行う。 C 浅漬け以外の漬物と同様に保存性は問題がない ので、営業者が注意すれば良い。 問3 過去に漬物が原因となり、腸炎ビブリオ菌に よる食中毒事件がありました。その理由はなん でしょう? A 腸炎ビブリオ菌は常に調理室に存在していたから B 冷蔵庫内で、生肉から2次汚染したから C 魚の調理後、器具等を洗浄殺菌しない事により、 2次汚染が起こりました。 問5 浅漬けの製造上、安全を守るために特に注意 する事は次のうちどれだと思いますか? 問4 漬物の原材料を取り扱う上で、特に注意する ことは次のうちのどれだと思いますか? A 低温(10℃以下)で保管する B 肉や魚と分けて保管すれば、特に注意することは ない。 C 低温で保管すると野菜は傷みやすいので、常温 倉庫に保管する。 問6 浅漬の表示に関して、特に注意することは 次の中のどれだと思いますか? A 次亜塩素酸ナトリウム溶液等で殺菌するか、 75℃で1分以上加熱すること A 浅漬は保存性が乏しい食品であるので、早く 食べるように注意喚起する。 B 殺菌すると野菜の細胞が破壊され殺菌してはなら ない B 浅漬は保存性に乏しいので、保存方法を明記 する。 C 浅漬けは低温であるので、食塩濃度を上げ保存 性を増す必要がある。 C 浅漬も他の漬物と同様で特に注意することは ない。 安全と安心 安全 食の安全・安心とは 危険 (科学的判断) 安心 不安 (心の判断) 調理者は安全は提供できるが、 安心は提供できない。 消費者の判断 如何に安全といわれても、その企業・施設を 信頼できなければ、消費者は食べられない。 食品事業者に求められているもの 取り扱っている食品について、 安全であることが継続している (=継続して問題がない) 企業・施設などであるとして 確信でき、信頼できること。 信頼が安心を獲得すること。 消費者等の判断 食の安全に対する問題発生に対し、社会はその 事故の健康影響への重大性より、当該問題への 企業・施設などの対応や姿勢を見て判断する。 消費者は、コンプライアンス・CSRに則った 「安全確保を実感できる事業者の体制」が構築 されているかを見る。 消費者は、いろいろな角度からの見た目に注目 することが多い。 ⇒見た目が悪い。安全に不安。 12 教育事例 安全確保を実感してもらえる体制の整備 問 「清潔に保つ」のはなぜか、正しいものを選びなさい。 また、不正解の理由は。 1.安全確保に向けた技術面での必要条件 安全管理マニュアルの作成とその適切な運営 1、清潔にすることにより、作業環境が良くなり、作業手順 の省略ができる。 ⇒ 大量調理マニュアルのアレンジなど 2.安全確保の体制を実現とその維持の基盤条件 安全確保の意義と重要性の理解を全員に徹底 ⇒ リスクコミュニケーション(リスク理解) マニュアルを全員で理解し、運営する。 2、清潔にすることにより、手、調理器具等についている 微生物が食中毒を起こす可能性を少なくする。 3、清潔にすれば、工程における2次汚染の可能性を 少なくし、ゾーニングなどをしなくとても安全だ。 *NPO法人食科協「食の安全ナビ検定クイズ」の応用 月別食中毒発生状況 平成21~23年平均と平成8年の比較 食中毒について ・食中毒の発生状況 ・細菌性食中毒 主な病因物質別食中毒発生状況 主な原因食品別食中毒発生状況 (平成24年・平成8年) (平成24年・平成8年) 平成23年 件数 患者数 1100 26699 サルモネラ属菌 40 ブドウ球菌 平成8年 件数 患者数 11 1217 46327 15 670 0 350 16576 3 魚介類・加工品 44 854 0 44 698 0 腸炎ビブリオ 9 124 0 292 5241 病原大腸菌 21 611 8 179 カンピロバクター 266 1834 0 ノロウイルス 432 18637 97 267 総 数 自 然 毒 死者数 平成23年 死者数 件数 患者数 1100 26699 150 肉類・加工品 0 14488 65 0 3 件数 患者数 11 1217 46327 15 1221 0 152 3105 3 51 511 0 23 1147 0 卵類・加工品 6 263 0 35 3049 0 8 菓 子 類 9 873 0 16 1263 0 1557 0 野菜・加工品 71 502 11 59 11321 2 ー ー ー 複合調理食品 74 2293 0 83 4129 0 73 228 4 その他食事特定 520 18442 0 ー ー ー 主な原因施設別食中毒発生状況 平成23年 患者数 平成8年 死者数 件数 患者数 死者数 総 数 1100 26699 11 1217 46327 15 家 庭 117 332 3 183 631 5 64 2030 0 117 18013 6 館 66 3649 0 104 5869 1 飲 食 店 614 11286 0 357 10209 1 販 売 店 16 149 0 14 799 0 製 造 所 13 1319 8 20 1087 0 仕 出 し 屋 45 6353 0 74 7235 0 事業所・学校等 旅 総 数 死者数 死者数 細菌性食中毒の発生まで (平成23年・平成8年) 件数 平成8年 1 食中毒菌が存在する。 2 食品に食中毒菌が付着する。 (原料・製造過程・流通過程・消費喫食時に汚染) 3 食品中に食中毒が発生する菌量がある。 4 この食品を食べる。 5 食中毒になる人とならない人がいる。 *食中毒菌があっても必ず食中毒になるとは限 らないが、起こる可能性はある。 細菌性食中毒はなくなるか 食品の異物は諸悪の根源 1 食中毒菌は絶滅できるか。 2 食品への食中毒菌を完全に制御できるか。 生物学的 (原料・製造過程・流通過程・消費喫食時の汚染防止) 3 食品中の食中毒菌の増殖を防げるか。 4 安全な食品を選んで食べる。 安全な食品とは、リスク管理された食品。 *食中毒菌があっても、食中毒にならない リスク対応策を構築する。⇒リスク管理 異物 化学的 物理的 *異物は本来その食品に含まれないもので、ハザードだけではない。 微生物管理の視点から 食材への混入 事例 ・原材料の取扱不良 ・機械、器具、容器の汚れによる管理不良 ・素手による取扱による管理不良 ・手洗い後に起こる手指の管理不良 ・私物の持ち込み ・殺菌庫の使用方法不良 ⇒従業員教育(食品の取扱、機械類の適切使用等) 機械類の管理マニュアル、清掃マニュアル等の見直し 食品安全と法律の考え方 食の安全行政の考え方 製造物責任に乗った自主管理の促進 (従来の考え方) 国は規格基準つくりを推進し、自治体が監視指導を徹底、 (国や自治体が食品安全確保の責任を持つ) 食品関係事業者と適切な責任と役割の分担関係を構築 (現在の考え方) 食品関係事業者自身が製造物責任の観点から自主管理 (自主管理による食品の安全システムを構築) EU等先進諸国における食品安全行政の考え方 EU 等先進諸国における食品安全行政の考え方 食の安全のための自主管理とは • 食品等事業者がリスクの予測の上に立ち、設 計上の、製造上の、流通上(表示上)の面か ら、製造物の欠陥をなくすこと。 • 自主管理目標の変遷 (給食施設では) 不良食品を提供しない。 不良食品を調理しない。 不良食品を設計・企画(献立)しない。 日本における食品安全行政 BSE以後の変化 ● BSE以来、消費者の信頼を取り戻すために変化 ● 食品安全確保の目的 消費者の健康の保護 ● 科学に基づいた政策 リスク分析の実施 ● 食品安全確保 食品安全基本法の制定 食品衛生法・JAS法等の改正 「Farm to fork.」 「Farm to table.」 ● 安全と証明されなければ安全といえない ● 事故の対応より予防に重点を置く 消費者の健康保護 食品事業者の責務の明確化 リスク分析手法の導入 (消費者庁の設置) (資料) 食品事業者の関係法規 • 食品安全基本法 • 食品安全に関する基本3法 ・食品安全基本法 ・食品衛生法 ・農林物質の規格化及び品質表示の適正化に 関する法律(JAS法) *消費者安全法 *健康増進法 *製造物責任法(PL法) • 食品衛生法 ・自らの責任において販売食品等の安全性を確保する。 ・記録の作成保存(トレーサビリティ) ・危害発生時の措置 法令に定める基準値等に対し、 違反しないように自主的な規格を定め、 かつ、安全を確保できるように設定する。 保存基準が10℃と定められた食品の冷蔵保存の温度は 何度に設定したらよいのか ・8℃ 第8条(抜粋)食品関連事業者は、基本理念にのっとり、その 事業活動を行うに当たって、自らが食品の安全確保につい て第一義的責任を有していることを認識して、食品の安全性 を確保するために必要な措置を食品供給工程の各段階にお いて適切に講ずる責務を有する。 知識及び技術の習得、原材料の安全性の確保、自主検査の実施 法令違反を犯さないために ① ・10℃ 食品等事業者の責務 ・5℃ ・0℃ 法令を犯さないために ② 1、アレルギー表示の例 使用していない物質のコンタミ表示をなぜするのか。 2、期限表示(消費期限・賞味期限)の例 安全を確認した期間に対し、表示する期限を設定する 際に0.7~0.8を係数として掛けのはなぜか。 安全の確証 消費者が安心するための科学的根拠とは 食の安全と危機管理 安全管理 = 危機管理 食品事業者が安全であると主張してもそれが信頼 されなければ、消費者は安心であると言わない。 安心され信頼を得るためには、リスクを認識した上 で食の安全が実証的、論理的、体系的に説明され、 それがマニュアルやデータなど現実的な裏付けに 基づき継続的に実証されていることが、最低限の必 要条件である。 マニュアルはなぜ必要か • 常に同じ品質の製品を製造できること。 (誰が担当しても問題が起きないこと。) 食品安全管理の段階 食品の安全管理 異常の探知 事故の発生 事件への展開 事前対策 • 異常の発生への対応に問題なく、適切に処理で きるとともに、同様の異常の発生をさせないため の修正、補正がされること。 (常に、記録により、正常に稼動していることが、確認 できること。) (発生異常の適正補正) 事前対策2 (事故を事件にしない) 事後対策 • 品質に影響する事故への対応もできること。 (早期の事件処理) 危機管理の前提(1) 危機管理の前提(2) * 食中毒が起きるには、 • 食中毒の知識がなくとも 食中毒は起こせる。 必ず原因と過程がある。 ・ 原因 • 食中毒を起こす知識がなければ、 食中毒は防げない。 ハザードを知る • 危害分析という。 どのようなハザードが原料搬入から、製品搬出まで に 存在し、食品に接触し、混入するか。 それがどのような危害をもたらすのか • ハザードは、どのような物質であるか。 ・微生物であるのか ・化学物質であるのか ・物理的物質であるのか ハザード = 危害要因 ・ 過程(発生の機序) ハザードを制御できず、残留・活性 ハザードを理解する • リスク認識の前提 ・ハザードが存在する。 ・ハザードが危害を発生させる可能性を知る。 • リスクを見極める。(評価) ・ハザードの量はどのくらいか。 ・ハザードはコントロールできるのか。 ・予測される危害は低減できるのか。 調理施設における管理のモデル 140 *冷凍食品の 利用の事例 *数値は原料 を100として 120 HACCPシステムの考え方による衛生管理 100 80 適正 不適正 60 リスク評価に基づく管理 「大量調理施設衛生管理マニュアル」の ベースとなる管理方式 40 20 0 提 盛 加 供 付 熱 工 *菌を持ちこまない 加 不着(細菌をつけない) 浄 不着(細菌をつけない) 洗 5S 不増(細菌を増やさない) 凍 一般衛生管理 不増(菌を増やさない) 解 HACCP 管 入 不活(細菌を殺す) 保 受 微生物制御のシステム 微生物制御の システム 不適正 *保管時放置 *解凍:自然 (室温放置) *加熱:達温 原材料とは汚染の塊 • 汚染の最重要チェックポイント ⇒ 外部から汚染が持ち込まれる。 • 原材料そのもの ⇒ 搬入までの安全管理の履歴が明確ではない。 • 原材料の包装:特にダンボール ⇒ 異物の付着、昆虫の付着、便利に使い汚染の拡散 原材料 • 外部の関係者の立ち入り ⇒ 納入業者等がゾーニングを越えて立ち入る フードチェーンにおける衛生管理 フードチェーンとは 農場から食卓までの安全管理を各段階で HACCP HACCP ゲストへ安全な食品を提供 一般衛生管理 一般衛生管理 5S 原材料 農水産物 加工原料 食品添加物 保管 流通 原材料 製造 加工 流通 消費 HACCP 5S HACCP 原材料 一般衛生管理 一般衛生管理 5S フードチェーンが確立すると 各段階における透明性が保てる。 トレーサビリティが明確になる。 原材料 HACCP 一般衛生管理 5S 安全が確信でき、適切な表示管理ができる。 5S HACCP 一般衛生管理 原材料 5S 原材料 原材料 5Sとは 一般衛生管理とは ・ 整理・整頓・清掃・清潔・習慣(躾ではない。) ・ 職場環境の美化・従業者のモラル向上 ・ 食品事業者の清潔とは、微生物的な意味 • 安全な食品を製造等するために、従事者の 衛生管理を基本としながら、施設設備等の食 品取り扱い作業環境を整えることを目的とし た、一般的に行う衛生管理をいう。 ・ 安全な食品が常に提供できていると確信で きるために基本的なものであること。 安全のシステムの理解/生産性の向上/ 衛生状態の向上/生産環境への自信 • HACCPシステムの導入を容易にし、その効果 を高めるために、衛生的作業環境を維持する ものとして、基本的な衛生管理である。 HACCPとは 給食施設のゾーニングと食品導線(例) 汚染作業区域」 廃棄物 残渣置場 非汚染作業区域 *食品の安全性、健全性を確保するための監視方式 検収室 下処理場 原材料保管場所 食 器 保 管 庫 下膳置場 調理場 放冷・調整・保管場所 使用後食器等の流れ • HA:フードチェーン(食品の生産から消費に至るまで の各段階)で発生する恐れのある微生物危害に ついて分析する。 • CCP:危害を防止し、排除するための重点的チェック を行うこと。 食品の流れ HACCPと従来の方式との違い HACCPシステムとは • HACCPシステムとは、食品の製造・加工工程のあら ゆる段階で発生する恐れのある微生物汚染等の 危害をあらかじめ分析(HA=Hazard Analysis)し、 • その結果に基づいて、製造工程のどの段階でどの ような対策を講じればより安全な製品を得ることが できるかという重要管理(CCP=Critical Control Point)を定め、これを連続的に監視することにより 安全な製品を確保する衛生管理手法 厚生労働省ホームページから HACCP方式 各段階のモニタリング • • • • • 原材料生産 原材料受入 保管 下処理 加熱処理 • 調理品 • 盛り付け • 配膳 :取扱い :鮮度・温度 :温度等 :工程管理 :殺菌温度・ 時間 :品質・時間 :温度・時間 :温度・時間 従来の方式 最終段階でのチェック • 原材料生産 : 鮮度・異物等 温度管理 • 原材料受入 • 調理 • 調理品 : サンプル検査 HACCPシステムの目的 HACCPは自主的衛生管理手法 • 食の安全を確保する衛生管理 • 科学的根拠に基づく危害の予防 • 安全性確保のための重点的な管理 • 基本はマニュアル化と記録 • 自主的衛生管理のシステム • 食品中に存在又は存在する可能性のある 危害要因(ハザード)を健康を損なわないレベ ルに低減又は排除することである。 • HACCPシステムの前提(一般的衛生管理プログラム) ・危害要因ができるだけ存在しない原材料の使用 ・食品への危害要因の汚染防止や食品中のハザードの 増加防止を確実に行うための清潔で衛生的な食品取扱の 確実な実施をすることが重要である。 給食施設の問題はどこに (資料) HACCPシステム適用のための12手順 HACCPプラン立ち上げの前段 原材料 原材料 包材 外来者 二次汚染 下処理 従事者 施設汚染 調理 食器 盛り付け エラー 人的・機械的・システム 取扱 1、専門家チームの編成 2、製品の記述 HACCPプラン立ち上げの原則 6、危害分析 7、重要管理点の特定 3、意図される使用方法の 8、管理基準の設定 確認 9、モニタリング方法の設定 4、製造工程一覧図及び 10、改善措置の設定 施設の図面 11、検証方法の設定 5、現場確認 12、記録保存及び文書作 成規定の設定 危害分析の基礎となる情報の整理(1) * 製品に対する理解 2、製品の記述(手順2): 製品(料理)の特徴を記述する ・HACCPでは、個々の製品ごとに、システムを導入することが原則 ・製品の名称、組成、特性、原材料(添加物を含む)、保存条件等 3、意図される使用方法の確認(手順3): 製品(料理)の使用 方法を明確化する。 ・製品は、そのまま食べるのか、保管後に食べるのかを明確にする。 ・どのような人が食べるのかを明確にする。 子供か・老人か 健常者か・病人か 原則1 危害分析 • 危害分析は、HACCPの基本 • 原材料の生産から製造・加工・保存及び流通を経て 消費に至るまでの過程に含まれる潜在的な危害に ついて、認識する。 危害分析の基礎となる情報の整理(2) *製造工程及び施設の図面の作成・確認 4、製造工程一覧図及び施設の図面(手順4):原料受け入れから 最終の調理サービスに至る調理加工の全工程の必要資料の作成 ・工程フロー図:原料別、工程別に明確にする。危害発生防止のために 重要な温度、時間等管理に関する事項を記載する。 ・標準作業手順書(作業マニュアル):担当者、作業時間、使用器具、温 度、時間等を記入する。 ・給食等施設の図面の作成:機械器具、設備の配置に合わせ、人の作業 導線、ゾーニング(作業の汚染、非汚染の区分) 5、製造工程一覧図及び施設図面の現場確認 原則2 重要管理点(CCP)の設定 • 危害分析の結果、明らかにされた危害のうち、特に 厳重に管理する必要があり、危害の発生を防止する ためにコントロールできる手順、操作、工程をいう。 • その危害と発生条件などの情報を収集し、危害の 起こりやすさや起こった場合の危害の影響などを 明らかにし、評価する。 • 原材料の生産、受け入れ、製造・加工・貯蔵などの食 品製造の全工程における適切な箇所に設定する。 • HACCPプランに取り込むべきかどうかを決定し、個 々の危害の発生要因と危害に対するコントロールを 明確にする。 *コントロール : 食品の安全性に影響を及ぼす危害発生の防 止、除去、減弱あるいは許容水準までに下げること。 原則3 管理基準(CL)の設定 CCP・CLを守るために • 危害を管理する上で許容できるか否かを判断する 基準である。 温度上限設定 • 確認された危害が、CCPにおいて適切にコントロー ルされているかを判断するために設定する。 管理目標温度 • 管理基準からの逸脱は製品が安全性を保証する条 件下で製造していないことを意味する。 温度下限設定 運用基準(OL) *CL : 色調、臭気、粘度などの官能指標、 温度、時間などの理化学測定値、 pH、塩濃度などの化学的検査値等が用いられる。 CCPがCLを守るために 安全な食品 管理基準(CL) 安全でない食品 HACCPのコンセプト HACCPシステムを確実に HACCP=製品の100%を保証するシステム • 原則4 モニタリング方法の設定 パラメータのモニタリング(原則4) 通常の測定値 • 原則5 改善措置の設定 • 原則6 検証方法の設定 ある日の測定値 1番目の製品 • 原則7 記録及び各種文書の保存 CL(管理基準)(原則3) N番目の製品 改善措置(原則5) 改善措置の検 証(原則6) 記録(原 則7 ) 何を検証、是正、改善するのか 発 生 管理手段の有効性 実証できない 安全でない又はそ の可能性のある製品 大量調理マニュアルを活かそう 原因の究明 管理シス テム システムエラー 管理手段の 組合せ 使用方法 機械的エラー 保守管理 人員・組 織体制 従業員教 育・訓練 人的エラー 大量調理施設衛生管理マニュアル (略称:大量調理マニュアル) 平成9年3月24日衛食第85号別添 検証・是正又は改善 最終改正:平成25年2月1日食安発0201第2号 再発防止 大量調理マニュアルとは Ⅰ 大量調理マニュアルの趣旨 • 平成8年に発生した学校給食施設等大規模調理施 設等における腸管出血性大腸菌O-157対策を主と して平成9年3月に策定された。 • このマニュアルでは、 • ノロウイルス食中毒の増加に対処するために、薬事 ・食品審議会食品衛生分科会食中毒部会の「ノロウ イルス食中毒対策(提言)」を受け、平成20年6月に 改正された。 • 集団給食施設等に対し、 • マニュアルの適用を受ける大量調理施設 1回300食以上又は1日750食以上を提供する施設 集団給食施設等における食中毒を予防するために、HACCPの 概念に基づき、調理過程における重要管理事項を示した。 衛生管理体制を確立し、重要管理事項について、点検・記録をし 、必要な改善措置を講じるよう求める。 このため、衛生知識の普及啓発に努めるよう求める。 • このマニュアル対象外施設であっても、 このマニュアルに準じて衛生管理を行うことは重要。 Ⅱ 大量調理マニュアルの重要管理事項 1、原材料受入れ及び下処理段階における管理を徹底すること 2、加熱調理食品については、中心部まで十分加熱し、食中毒 菌等(ウイルスを含む。)を死滅させること 調理施設における管理のモデル 140 *冷凍食品の 利用の事例 *数値は原料 を100として 120 100 80 3、加熱調理後の食品及び非加熱調理食品の二次汚染防止を 徹底すること 適正 不適正 60 40 4、食中毒菌が付着した場合に菌の増殖を防ぐため、原材料及 び調理後の食品の温度管理を徹底すること 20 0 提 盛 加 加 洗 供 付 熱 工 浄 凍 • 納入業者の自主検査: 検査結果の確認 解 関するガイドライン」を参照のこと。) 管 入 • 原材料の記録の保管: 品名・仕入元・生産者等確認可能な 情報(食品衛生法に基づく、「食品等事業者の記録の作成及び保存に 保 受 原材料の受入・下処理段階における管理 不適正 *保管前放置 *解凍:自然 (室温放置) *加熱:達温 加熱調理食品の加熱温度管理 • 加熱調理食品 中心部が75℃で1分間以上又はこれと同等 以上まで加熱されていること。 ⇒ 温度・時間の記録 • 検収: 品質・鮮度・品温・適切な温度管理 • 食肉・魚介類・野菜等: 当日使い切り量の仕入れ • 未加熱提供野菜・果物等: 適当に洗浄・殺菌 *ノロウイルス汚染の恐れのある食品の場合 ⇒ 中心部が85℃で1分間以上の加熱 二次汚染防止(2) 二次汚染防止(1) * 二次汚染源として注意するべき物等 ・濡れた(乾きにくい)物・場所等 ・多数の者が触れる物 • ゾーニングを守って作業を行うこと。 • 調理従事者は、十分に手洗い消毒をし、必要に応じ使い捨て 手袋を着用する。 • 器具、容器等は用途別・食品別に専用とし、使用後は洗浄・ 殺菌後、乾燥させ、保管する。 • 調理機械は、分解洗浄殺菌し、乾燥すること。 ゾーニング • 一般の食品製造所等の場合 汚染作業区域 ・準清潔作業区域 ・清潔作業区域 • 原材料は専用の保管設備を設け、食材の分類・カテゴリー ごとに区分し保管する。 • シンクは原則として、加熱用食材と非加熱用食材ごとに設置 し、相互汚染を避けること。 • 加熱調理後の食品の冷却、非加熱調理食品の処理後の保 管は清潔な場所で行うこと。 • 食品並びに移動性の器具及び容器の取り扱いは、跳ね水等 汚染防止のため、床面からの距離をウエット仕様で60cm、 ドライ仕様30cm以上の台で行うこと。 給食施設のゾーニングと食品導線 汚染作業区域」 廃棄物 残渣置場 検収室 下処理場 原材料保管場所 • 給食施設の場合(次の区分けが多い。) 汚染作業区域 ・非汚染作業区域 食 器 保 管 庫 • 汚染区と非汚染区を区画し独立させる努力を。 ・検収室、下処理室、調理室 ・下処理室と調理室の境を区画(区分) ・泥付き野菜類の処理は検収室で行う 非汚染作業区域 下膳置場 使用後食器等の流れ 調理場 放冷・調整・保管場所 食品の流れ 製造のフローとゾーニング 金属の除去 微生物の除去・減少 異物を持ち込まない 原材料及び調理済み食品の温度管理 異物を持ち込まない 微生物を増やさず・減少させる 原 料 搬 入 保 管 管 理 管 汚染区 開 配 混 成 加 冷 包 金 梱 梱 合 合 型 熱 却 装 探 包 準清潔区 準清 潔区 清潔区 C C P 保 管 管 理 出 • 原材料は戸棚、冷蔵・冷凍設備に適切な温度で保存すること。 (表示に従い、適切な保存をすること。) 荷 • 冷蔵庫又は冷凍庫から出した原材料は速やかにした処理、 調理を行うこと。(冷凍食品の解凍は室温放置しないこと。) 汚染区 C C P PP(一般衛生管理) • 調理後、直ちに提供される以外の食品は病原菌の増殖を抑制 するために、10℃以下又は65℃以上で管理すること。 • 調理後の食品は、速やかに提供すること。 品質衛生のための5S管理 その他(施設設備の構造) その他(施設設備の管理) • 施設の出入り口及び窓は極力閉めておくとともに、ねずみや 昆虫の侵入を防止すること。 • 施設・設備は適宜補修を行い、定期的に洗浄消毒を行うこと。 • 施設は十分な換気を行い、高温多湿を避けること • ゾーニングを適切に行い、区域を固定し、壁、床面の着色、 テープの貼付等により明確に区画することが望ましい。 • 器具等及び設備備品等は作業導線を考慮し、適切に配置等 されていること。 • 施設は、ドライシステム化を積極的に図ること。 • 施設におけるねずみ、昆虫の発生状況を把握するとともに、適 宜駆除を行う。 • 施設は衛生的な管理を行い、みだりに部外者を立ち入らせたり 、調理作業に不必要な物品等を持ち込まないようにすること。 • 原材料は配送用包装のまま非汚染作業区域に持ち込まないこ と。 その他(検食の保存) • 検食は、原材料及び調理済み食品を食品ご とに50g程度ずつ清潔な容器に入れ、密封し 、 -20℃以下で2週間以上保存すること。 • なお、原材料は、特に、洗浄・殺菌等を行わ ず、購入した状態で保存すること。 その他(調理従事者の衛生管理) • 調理従事者は衛生的な生活環境を確保し、定期的 な健康診断及び検便を受けること。 • 調理従事者は下痢、嘔吐、発熱などの症状があっ たとき、手指等に化膿創があったときは調理に従事 しないこと。 • 調理従事者が下処理場から調理場へ移動の際に は、外衣、帽子、履物の交換を行うこと。 その他(非加熱調理食品の取り扱い) その他(廃棄物の管理) ・加熱調理食品にトッピングする非加熱調理食品 • 廃棄物は、汚染がないように管理し、作業終了後速 やかに清掃し、衛生上支障がないよう保持し、適宜集 積場に搬出し、作業場に放置しないこと。 は、直接喫食する非加熱調理食品と同様の衛 生管理を行うこと。 ・非加熱調理食品をトッピングする時期は提供す るまでの時間が極力短くなるようにすること。 • 返却された残渣は、非汚染作業区(食器保管庫等) 及びに下処理場等持ち込まないこと。 • 廃棄物集積場は、廃棄物の搬出後清掃するなど、周 囲の環境に悪影響を及ぼさないよう管理すること。 Ⅲ 衛生管理体制 • 調理施設の責任者は、施設の衛生管理に関する 責任者(衛生管理者)を指名すること。 点検表等その他の記録 *記録は、問題解決の手掛りとなり、安全を証明する。 • 責任者は、衛生管理者に指示し、点検等を行い、 その記録をするとともに、必要な措置を講じること。 • 記録には、誰が、何時、記録したか明記すること 問題があれば、特記事項とし朱書等した上で、報告し、 問題点を確認・措置のうえ、その対応結果を記載すること • 衛生管理者の調理従事者への主な指示事項 • 責任者・衛生管理者は記録を確認し、必要に応じて改善する ・調理従事者等に食中毒予防の知識・技術の習得をさせる。 ・調理従事者等に健康診断・検便をうけさせる。 ・調理従事者等が嘔吐、下痢、発熱などの症状、または手 指等に化膿創があった時には調理作業に従事させない。 終わりに 食品安全管理のシステムは 継続して運営することではあるが、 ベストなシステムはありえない。 常にチェックし、 問題があればこれを改め よりベターなシステムへと努力する。 • 各種記録は、ボールペンを用いて行うこと • 各記録は目的に応じ、保存期間を定めること