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ヌートリア・アライグマ 対策セミナー

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ヌートリア・アライグマ 対策セミナー
外来生物
ヌートリア・アライグマ
対策セミナー
▲民家の池のコイを狙うアライグマ(鳥取市)
▲川土手に上がったヌートリア(鳥取市 袋川)
平成22年7月9日(金)午後 1 時~
大山町役場 中山農村環境改善センター
(西伯郡大山町下甲)
〈主催〉鳥 取 県 ・ 鳥取県農業共済組合連合会
は じ め に
近年、外来生物であるヌートリア・アライグマの個体数と生息域が急速に拡大し、農作
物や生態系などへの被害の急増が懸念されています。
県・市町村・住民等が一体となって、地域ぐるみでヌートリア・アライグマの防除を進
めるため、対策セミナーを開催します。
〈プ ロ グ ラ ム〉
13:00
開
会
13:05~14:25
【講演】「ヌートリア・アライグマの生態と被害の動向」
〈講師〉兵庫県立大学
〈
准教授
休
さか た
坂田
憩
ひろ し
宏志 氏
〉
14:35~16:00
【ヌートリア・アライグマの捕獲方法】
①
②
③
外来生物法と鳥獣法
まえた
ひろゆき
〈解説〉鳥取県公園自然課 前田 浩行 課長補佐
県内の対策状況
ひらた
しげき
〈解説〉鳥取県生産振興課 平田 滋樹 鳥獣被害対策専門員
捕獲の現場から~地域からのヌートリア根絶を目指して~
にしむら
ひで き
〈報告者〉倉吉市
西村 英樹 氏
④【実習】箱ワナをつかったヌートリア・アライグマの捕獲方法
16:00
閉
会
※ このセミナーを受講された方(希望者)には、受講修了証を発行しますので、受講修了証(ヌート
リア・アライグマの捕獲に関する講習会)に必要事項を記入の上、お帰りの際に受付に提出してく
ださい。
■外来生物法の防除実施計画(市町村等策定)に捕獲従事者として登録する際に、その要件として
必要な講習会等を受講したことを証明するものです。
■捕獲従事者として登録されると、狩猟免許を持たない方でもヌートリア・アライグマが捕獲でき、市町村長
の有害捕獲許可も不要となります。
【講演】
「ヌートリア・アライグマの生態と被害の動向」
〈講師〉兵庫県立大学
さかた
准教授 坂田
ひろ し
宏志
氏
(兵庫県森林動物研究センター 主任研究員)
〈プロフィール〉
米子市出身。1997 年京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了(農学博士)
兵庫県立人と自然の博物館主任研究員、兵庫県立姫路工業大学助教授などを
経て現在に至る。
環境省「鳥獣保護人材登録制度における検討会」委員、文部科学省「社会人の
学び直しニーズ教育推進プログラム 野生動物専門職育成事業検討委員会」
委員など社会活動は多数。
現在は、兵庫県において、野生動物の生息密度の変化を予測し、適切な個
体数管理法の提案などを行う。
【 メ
モ 】
ヌートリアとアライグマの生態と被害の動向と
その対策について
兵庫県森林動物研究センター
坂田宏志
ヌートリア
ヌートリア移入の経緯
ヌートリアの日本への移入の歴史は、明治末期に始まる。水中でもぬれずに体温を維持することがで
きるヌートリア(和名:沼狸)の毛皮は軍事用として各地で利用された。
第一次移入期(1930 年~1940 年)
軍服用として飼育が奨励され、フランスなどから輸入.関東以西で4万等が飼育されていた(推定)。
終戦により、各地で放逐された。
第二次移入期(1950 年代)
毛皮ブームにより再び大量に飼育された。浜松市には「ヌートリア飼育協会」が設立されるが、毛皮
ブームの衰退により 1 年ほどで解散。このとき放逐されたものが現在の分布の源となったと考えられて
いる。
ヌートリアが引き起こす問題
1. 農作物への被害
稲や野菜の食害。
2. 土手や堤防への被害
土手や堤防に巣穴を掘るため、治水上の問題を引き起こす可能性がある。
3. 生態系への影響
在来の植物、動物相の生息環境・個体数に影響を及ぼす可能性がある。
4. 人畜共通感染症の危険性
げっ歯類は、様々な病原菌を保有する可能性がある。
ヌートリアの生態的特徴
繁殖
・ 年 2~3 回の出産
・ 一回の産子数
1~12 頭(平均 5.87 頭)、出生体重 225g
・ 3 ヶ月~7 ヶ月ほどで性成熟する。
寿命
・ 野生下での寿命は 2 年ほど(米国)。
・ 1歳までの生存率は低い
・ 寒さに弱いため、冬季の死亡率が最も高い。(しかし、但馬でも生息可能)
・ 年齢では11歳の記録がある。
生息場所、食べ物
・ 土手や堤防などに巣穴を作る。冬季は水面上に水生植物をまとめて「プラットホーム」と呼ば
れる浮巣をつくる。
・ 植物の果実や、葉茎や地下茎を主に採食する。貝や魚を食べているという情報もある。
・ 行動圏:430m~1300mのホームレンジを持つ。水辺からは余り離れない。
・ メスの行動圏は重ならない。オスは複数のメスの行動圏にまたがって生活する。
アライグマとヌートリアの被害額と捕獲数(兵庫県)
70000
3500
60000
3000
50000
被
害
額 40000
i
百
30000
万
円
j 20000
2500
捕
2000 獲
数
1500 i
頭
j
1000
500
10000
0
0
H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21
アライグマ捕獲数
ヌートリア捕獲数
アライグマ被害額
ヌートリア被害額
アライグマの特徴と被害
アライグマの特徴
生息場所
・ 他の動物が掘った穴、木の洞などの他、住宅の屋根裏や納屋や物置を棲み処にする。
・ 水辺を好む。
・ 原産地は、北アメリカ。
能力・行動
・ ペットには適さない。
(人になつかない。気が荒い。
)
・ 手先が器用で、ものを掴むこともできる。
・ 木登りは得意。
・ 力が強い。
(弱い檻なら壊して逃げる。釘で打付けた板をはがす。など)
・ 寒い地方では冬は活動が鈍るが、冬眠をするわけではない。
形態
・ 手は器用な5本の長い指。 足には踵がある。
・ 尻尾は縞模様。
・ 体重は6~15kg
食べ物
・ 雑食性
(果実、穀類、野菜、小動物など多様。人が食べるものは大体食べる。)
繁殖
・ 年1回、春に平均4~6頭の、子供を産む。
・ 生まれて1年で、子供が産める。
(ただし、1歳では全部が産むわけではない。60~70%程度)
(2歳以上は妊娠率は高い。90%以上)
寿命
・ 野生での寿命は7~8年程度。
(飼育下では20年近く生きたものもある。)
アライグマの何が困るか?
農業の被害
・ イチゴ、スイカ、ブドウ、トウモロコシなど
・ 家畜(鶏など)
、養魚の被害
家に入り込む
・ 子育て、糞尿
感染症媒介の可能性
・ アライグマ回虫、狂犬病
日本の動物たちに悪い影響が出そう
・ 小鳥やカエルなどのアライグマに食べられるもの
・ タヌキやキツネなどアライグマと競争関係にあるもの
急速な分布の拡大と増加
・ およそ1.5倍/年の割合で増えていると推測される。
・ 被害額、捕獲数、対策費の急速な増加。
やるべきこと
1.
問題の認識と共有
2.
調査(現状の把握)
3.
対策への合意の形成
4.
対策を実施する仕組みや体制づくり
5.
捕獲
6.
防護柵等の被害防止対策
7.
人手、費用の確保と対策の継続
→ 殺処分 →
死体処理の実施
外来生物対策法にもとづく防除
環境省のHP
http://www.env.go.jp/nature/intro/
を参照
兵庫県の体制
・ 兵庫県→兵庫県アライグマ防除指針
・ 市町→指針もとづいた防除計画の策定、実施
・ 民間でも国の認定を受ければ防除を実施できる
・ 兵庫県のアライグマ防除指針HP
http://web.pref.hyogo.lg.jp/contents/000113139.pdf
アライグマの被害対策について
捕獲
対策法にもとづく捕獲、有害捕獲
(↑わなによる捕獲が中心)
(↑殺処分、遺体の処分が大きな課題になっている)
(↑兵庫県では、春先から初夏にかけては捕獲効率が良く、秋から冬にかけては効率が
悪い傾向がある。)
(↑かからない場合や、わなになれてきた場合は、異なるタイプのわなや餌で捕獲を試
みる。)
誘引や餌づけの要素の除去
放棄作物(特に果物等)、生ゴミの除去
電気柵等による防護
(↑
他で餌がとれると、わなでの捕獲効率も悪くなる。また、餌をたくさんとれれば、
死亡率は下がり出生率は上がるので防護は絶対必要。)
住処になるところの警戒、侵入防止
屋根裏、神社、納屋、資材置き場など
安楽死に関して
安楽死に関して必要な配慮
動物に対する配慮
・ 殺処分までのストレス
・ 殺処分の苦痛
従事者に対する配慮
・ 殺処分自体のストレス
・ 社会的なストレス(殺すことを忌避する社会的な圧力)
・ 社会的な反応への配慮
↑
・ 安楽死に対する正しい知識と技術
・ 社会的な必要性の十分な認識
炭酸ガスによる殺処分
利点
・ 獣医学的に認められている安楽死の1方法
・ 鎮静、鎮痛及び麻酔効果による安楽死
・ 意識の消失後も、反応はあるが、動物は苦痛を感じていないと言われている。
・ 取扱が容易、従事者への危険性が低い
・ コストが比較的低い
注意点
・ ボンベを使うこと(ドライアイスや化学反応は不適切)
・ 十分な濃度が必要
・ 1分間にチャンバーの20%以上を置換する流量が適切
・ あらかじめ密閉する箱や袋に炭酸ガスを満たしておくと、苦悶を生じることなく、速やかな意
識の消失が導入出来る。
対策の効果を上げるために
1. みんなで協力して、できるだけ早く多く地域全体で捕獲する。
(1) 地域全体で集中して捕獲した方が、効果が上がる。
(2) 時間が経てば、どんどん増殖し、分布も拡大してしまう。
2. わなによる捕獲の効果を上げるために
(1) 見かけたところ、被害や痕跡のあるところには、できるだけ早くわなをかける。
(い
ないところにかけても捕獲はできない。)
(2) 新鮮な餌をケチらずに。
① アライグマは、甘いもの油っぽいもの(菓子パン、揚げ菓子、ラーメン屑、果
物、場合によっては肉、魚など)
② ヌートリアは野菜(根菜、葉物、果物
野菜屑や皮で良いので新鮮なものを)
③ 1週間ぐらいは、新鮮な餌に交換しながら根気よく。
(3) 入り口周辺にも、わなに誘い込むように撒き餌を。
(4) しばらくかからない場合は、場所や餌の再検討を。
(5) 殺処分と死体の最終処分の体制も整えて。
3. 作物は、できるだけ柵で囲う。
(1) 被害をてっとり早く防ぐには、やはり防護柵
(2) アライグマは、電気柵が有効。
① 漏電しないように、うまく電気が流れるように注意。
② ねらうのは作物が食べ頃になる時期なので、時期と作物の実り具合を見計らっ
て、柵の設置や点検を
(3) ヌートリアは、トタンや金網や電気柵で。水路などに用心を。
(4) 柵で囲って食べ物をやらないようにすれば、数も増えないし、わなにもかかりやす
くなると考えよう。
4. ねぐら対策
(1) ヌートリアはため池や河川の土手の巣穴対策を
(2) アライグマは、住宅や廃屋などへの侵入対策を
(3) いずれも捕獲や追い出しをして、穴や侵入経路をふさぐ。
5. 効果が出ても対策をやめれば元に戻る。地道に継続していくことが必要。
(1) 対策を継続できる体制を
(2) 被害が減っても、姿や痕跡等をみたら捕獲を
【ヌートリア・アライグマの捕獲方法】
① 外来生物法と鳥獣法
〈解説〉鳥取県公園自然課
まえた
前田
ひろゆき
浩行
課長補佐
【 メ
モ 】
外来生物法と鳥獣保護法の概要
1 外来生物法(「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」)
(1)法律の目的
特定外来生物の飼養、輸入等について必要な規制を行うとともに、野外
等に存する特定外来生物による生態系、人の生命若しくは身体又は農
林水産業に係る被害を防止する。
(2)法律の内容
問題を引き起こす海外起源の外来生物を特定外来生物として指定し、
その飼養、栽培、保管、運搬、輸入といった取扱いを規制し、特定外来
生物の防除等を行う。
(3)特定外来生物とは
生態系等に係る被害を及ぼし、又は及ぼすおそれのある外来生物
アライグマ、ヌートリア、ブラックバス等(哺乳類 21 種類、鳥類 4
種類、爬虫類 13 種類、両生類 11 種類、魚類 13 種類、植物 12 種類、
その他昆虫類等 23 種類)政令で指定
(4)特定外来生物に係る規制
飼育、栽培、運搬、保管、輸入、野外への放逐・植栽・播種、許可を受け
ていない者への譲渡・引き渡し、個体等を識別する措置の義務
罰則:3 年以下の懲役又は 3 百万円以下の罰金
(5)特定外来生物の防除
特定外来生物による被害がすでに生じている場合又は生じるおそれが
ある場合で、必要であると判断された場合は、特定外来生物の防除を行
うことが可能。
国が防除を行うとした特定外来生物について、地方公共団体が防除を
行おうとする場合は、主務大臣の確認を、また、地方公共団体以外の団
体(NPO など)が防除を行おうとする場合は、適切かつ確実に実施する
ことができることについて主務大臣の認定を受けることができる(『防除実
施計画』)。
2 鳥獣保護法(「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」)
(1)法律の目的
鳥獣の保護及び狩猟の適正化を図り、もって生物の多様性の確保、生
活環境の保全及び農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、
自然環境の恵沢を享受できる国民生活の確保及び地域社会の健全な
発展に資すること。
(2)法律の内容
鳥獣の保護を図るための事業の実施、鳥獣による生活環境、農林水産
業又は生態系に係る被害の防止、さらに、猟具の使用に係る危険の予
防に関する規定などが定められている。
・鳥獣の捕獲等の規制
・鳥獣等の飼養・販売の規制
・生息環境の保護、整備
・狩猟制度の運用
(3)対象となる野生鳥獣
鳥類又は哺乳類に属する野生動物
(但し、法第 80 条の規定により、ニホンアシカ・アザラシ5種・ジュゴン以
外の海棲哺乳類、いえねずみ類3種は対象外)
(4)鳥獣の捕獲の規制
鳥獣及び鳥類の卵の捕獲、殺傷、採取、損傷は原則禁止
【例外】
・環境大臣、知事、市町村長の許可(例:有害駆除)
・狩猟鳥獣の捕獲(狩猟期に狩猟者登録を行う)
・農林業に伴うモグラとネズミの捕獲
(5)狩猟鳥獣
鳥類 29 種、獣類 20 種(別表を参照)
【別表】
鳥取県において影響が大きい
「特定外来生物」
鳥 獣 保 護法 に定 め る「 狩 猟鳥
獣」
5 種(動物 4 種、植物 1 種)
ヌートリア、アライグマ、ブルーギル、オオクチバス、オ
オキンケイギク
鳥類 29 種
カワウ、ゴイサギ、マガモ、カルガモ、コガモ、ヨシガモ、
ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キ
ンクロハジロ、スズガモ、クロガモ、エゾライチョウ、ウ
ズラ、ヤマドリ(コシジロヤマドリを除く。)、キジ、コジ
ュケイ、バン、ヤマシギ、タシギ、キジバト、ヒヨドリ、
ニュウナイスズメ、スズメ、ムクドリ、ミヤマガラス、ハ
シボソガラス、ハシブトガラス
獣類 20 種
タヌキ、キツネ、ノイヌ、ノネコ、テン(ツシマテンを除
く。
)、イタチ(雄)、チョウセンイタチ(雄)、ミンク、ア
ナグマ、アライグマ、ヒグマ、ツキノワグマ、ハクビシン、
イノシシ、ニホンジカ、タイワンリス、シマリス、ヌ-ト
リア、ユキウサギ、ノウサギ
②
県内の対策状況
〈解説〉鳥取県生産振興課
1.現
ひらた
しげき
平田
滋樹
鳥獣被害対策専門員
状
区 分
生 息 状 況 ・ 被 害 状 況
ヌートリア ○県内全域の水辺に生息し、個体数・生息域が急速に拡大
○水稲、スイカ、ブロッコリー等の農作物に被害が発生
○県全体でで被害が発生、特に東部・八頭・日野で被害が増加傾向
アライグマ ○県東部の鳥取市・岩美町・八頭町において、個体数・生息域が急速に拡大
○県西部(南部町)で初めて捕獲され、中部でも生息情報があり、全県に生息
している可能性が大きい
○ブドウ・スイカ・イチゴ・養鶏・養魚等への被害だけでなく、家屋等への
侵入による生活被害も発生
2. 外来生物法の「防除実施計画」策定による捕獲促進
【防除実施計画の策定メリット】
※計画は、国(環境大臣・農林水産大臣)に確認申請
① 狩猟免許を持たない者も、捕獲と安全の知識・技術があれば、「特定外来生物」の
捕獲に従事できる(地区ごとに狩猟免許所持者を含む捕獲体制づくりが必要)
② 鳥獣法の有害捕獲許可を受けずに「特定外来生物」を捕獲できる
③ 外来生物法で禁止されている「特定外来生物」の保管・運搬等ができる
注)外来生物法では、生態系や農林水産業等に被害を及ぼす生物を「特定外来生物」に指定
特定外来生物は、飼養等(飼養、栽培、保管、運搬)が禁止
ヌートリア・アライグマは特定外来生物
【防除実施計画の主な内容】 (鳥取県ヌートリア・アライグマ防除の指針)
目
標
捕獲方法
捕獲体制
地域からの完全排除 (個体数が減少・生息域が縮小した地区から徹底捕獲を推進)
「箱わな」による捕獲
※アライグマ エッグトラップ等も補完手段として導入検討
地区ごとに狩猟免許所持者を構成員に含む捕獲体制を整備
① 狩猟免許(わな免許)を有する者
② 狩猟免許を持たない農家等で、捕獲と安全に関する知識・技術を有する者
(県・市町村・猟友会等が実施する講習会を受講した者)
※ 市町村が捕獲従事者台帳を整備・管理
計画策定済の市町村数:10市町(鳥取市、境港市、岩美町、八頭町、若桜町、智頭町、湯梨浜町、北栄町、
琴浦町、南部町)
〈図1〉ヌートリア捕獲数の推移
捕獲数
4,000
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
〈図2〉ヌートリアによる農作物被害額の推移
被害額(千円)
16,000
防除実施計画
有 害
狩 猟
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21
年 度
〈図3〉アライグマ捕獲・ロードキル数の推移
捕獲数
35
30
ロードキル
25
捕獲
20
15
10
5
0
H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21
年度
<図5>鳥取市におけるヌートリア捕獲実績
捕獲数
1800
1600
捕獲従事者(農家等)
1400
有害捕獲
1200
1000
800
600
400
200
0
H19
H20
年度
H21
0
H12 H13 H14 H15 H16
H17 H18 H19 H20 H21
年 度
〈図4〉アライグマの生息分布
捕獲の現場から~地域からのヌートリア根絶を目指して~
西村
英樹
【はじめに】
○ 昨年、狩猟免許(わな免許)を取得。ヌートリア捕獲を始めて、半年が経過。
○ 半年で約300頭のヌートリアを捕獲している。
月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
計
捕獲数
46
101
37
35
50
19
4
292
【ヌートリア捕獲のポイント】
1.ヌートリアがいる場所、捕獲しやすい場所を知る
・被害農家から聞く
・川や池、水路などの周辺を歩いて見る
2.箱ワナを置く
・ヌートリアがよく通る道を見つけ、わき道に誘導するように箱ワナを置く
・主にニンジンをエサ(箱ワナの外と内の両方)に使う
(エサの減り方でヌートリアがいるか解る)
・まったく捕まらない場合には、場所を換える
(良さそうな場所を普段から探しておく)
・箱ワナは地面に固定し、標識を必ずつけておく
3.箱ワナの管理をする
・毎日必ず見回る
(できるだけ朝早くに見回りに行くようにしている)
・エサは新鮮な状態にしておく
【おわりに】
○ 捕獲対策が広がって欲しい
(倉吉市外の人からも相談を受ける)
○ ヌートリア以外でも、農家の人が主体的に柵を作ったりして対策してもらいたい
捕獲の現場から
【月別のヌートリア捕獲の実績】
地域からのヌートリア根絶を目指して
月
1月
2月
3月
4月
5月
6月 7月※
捕獲数
46
101
37
35
50
19
4
(7月5日現在)
倉吉市
西村 英樹
【主なヌートリア捕獲場所】
■ 1月から6月までにヌートリア288頭を捕獲
■ 捕獲を始めたのは今年から
【ヌートリア捕獲のポイント】
○ ヌートリアがいる場所の把握
○ 箱ワナの置き場所と設置方法
○ エサの種類や置き方
○ 捕獲場所の見極め
○ 箱ワナの見回りや管理
○ 捕獲の工夫(上級編)
【ヌートリアがいる場所の把握】
■ 事前にヌートリアのいそうな場所を
調べておく
⇒糞や足跡、通り道を探す
■ 川岸やため池の周りを歩いてみる
⇒草の倒れ方などに注意する
■ 被害を受けた農家から話を聞く
【ヌートリアがいる環境】
【ヌートリアがいる場所の特徴】
●草が倒れている
【箱ワナの置き場所】
■ 水面が穏やかな場所
⇒河川の支流や水路、ため池など
川幅が狭い場所の方が捕れやすい
天神川水系ならどこでもいる状況
●土がむき出しになっている
●足跡がある
●糞が落ちている
■ 水面から1m程度の高さの陸地
■ ヌートリアがよく通る場所を見つける
⇒同じ場所で10頭以上捕まることも・・・
【箱ワナの設置方法】
【箱ワナの置き場所と設置方法】
固定用のパイプ
■ 通り道の上には箱ワナを置かない
⇒わき道などに箱ワナを置く
■ 箱ワナを地面と固定する
川からの通り道
標識
■ 箱ワナには標識(許可や連絡先)を
必ず付ける
通り道から引き込んで
捕獲する
【エサの種類と置き方】
【エサの置き方】
■ 主にニンジンを使用
■ 箱ワナの内側にエサを置く
⇒踏み板に挟まらないように置く
踏み板の奥は多めに置く
踏み板の外側(扉側)にもエサを置く
■ 箱ワナの外にもエサを置く
⇒撒き餌・寄せ餌は撒き過ぎないようにする
■ 切り方にも工夫
⇒斜めに大きく切る・・・匂いやすい
■ エサは新鮮な状態にしておく
踏み板の奥には沢山エサを置く
(踏み板の下に入らないように
注意する)
寄せ餌を撒く
(減り方でヌートリアがいるか解る)
【捕獲場所の見極め】
■ エサの減り具合をみる
■ 常にいる場所、捕獲しやすい場所を
探す
⇒捕れる場所では徹底的に捕まえる
もっと捕れる場所がないか探しておく
■ 捕獲を続ける
【箱ワナの見回りや管理】
■ 毎日、見回りをする
⇒発見が遅れるとヌートリアが死ぬ
■ 錯誤捕獲の動物は直ぐに逃がす
⇒イタチ等の他の動物は必ず逃がす
■ 場所を変えながら捕獲を続ける
⇒良い場所はすぐに捕れる、継続して捕れる
⇒時期により捕れやすさが違う
まったく捕れなくなることはない
【捕獲の工夫(上級編):イカダ式の捕獲ワナ】
捕獲に適した場所を探す
ヌートリアの居場所を知る
管理できる数を考える
⇒捕獲後は箱ワナをまた
設置する
イカダ式の捕獲ワナ
・発泡スチロールの板に箱ワナを載せる
・発泡スチロールにはベニヤ板を貼る
(ヌートリアが穴を開けないように)
イカダ式の捕獲ワナの利点
・箱ワナが設置しにくい場所にもワナを
置ける(護岸された水路など)
・泳いでくるヌートリアを引寄せられる
・糞や寄せ餌の状態が見やすく、ヌートリア
が存在が把握しやすい
使用時の注意(設置と管理)
・流されないようにしっかり固定する
・水路が詰らないように注意する
【捕獲の際に気をつけていること】
■ 箱ワナ設置場所での配慮
⇒農地や河川など、箱ワナの置き場所の
所有者や管理者に連絡して許可を得る。
■ 他の捕獲従事者との調整
⇒役場や農協に他の捕獲者の情報を聞く。
■ 周りの人への説明や情報提供
⇒捕獲している時に見学する人や聞いて
くる人に対してヌートリアの特徴や捕獲
の必要性を説明する。
【根絶のための課題】
■ ヌートリアの捕獲を怪しまれないように
⇒生態や被害・対策の広い理解
■ 捕れない人や捕らない人がいる
■ 他の地域から問合せがある
■ 他の動物の捕獲や対策を頼まれる
○捕獲対策が広がれば・・・
○農家等もできる対策から始まれば・・・
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