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5音楽 - 小県上田教育会

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5音楽 - 小県上田教育会
音楽科学習指導研究委員会
一
研究テーマ
思いや意図をもって表現する子どもをめざして
二
~〔共通事項〕を明らかにして~
テーマ設定の理由
本委員会では平成 23 年度より、上記テーマを継続して研究を進めている。昨年度までの本委員会
で、明らかになってきた点として
①
「共通事項」が授業を構想する手がかりになることがわかってきた。
②
①の点について、共通理解がなされてきた。
③
題材や本時の「共通事項」を決めだす過程が教材研究であるので、授業の構想を考えること
に
④
結びつく。
子どもたちが「思いや意図をもてる」には、子どもの意欲を引き出す導入(楽曲との「出会
い」
)が大切である。
が挙げられる。
授業構想がしやすくなることは、教師側の意図を取り入れやすくなることとも考えられる。しかし
そこでは、子どもたちの「思いや意図」はやや後回しになって、子どもにつけたい力を教師主導で教
えていってしまう授業にならないようにすることを忘れてはならない。
そこで、本年度は引き続きこの研究テーマを掲げ、教育課程実践校での授業公開と研究協議、委員
による授業公開、授業研究会、研究発表会および、数回にわたる委員会での協議を通して、
「子どもた
ち一人一人が『思いや意図をもって、
』歌ったり楽器を演奏したりする姿」となるために、
「共通事項」
を中心に教材研究を深めたいと考え、本研究テーマを設定した。
三
研究の経過
第1回
5月12日
総委員会
研究テーマ設定と研究計画の立案(上小教育会館)
第2回
6月11日
指導委員会
教育課程授業校と指導主事先生を交えて意見交換(上田市立城下小学校)
第3回
7月
1日
指導委員会
教育課程授業校
第4回
8月25日
指導委員会
教育課程研究協議会運営について(上田市立城下小学校)
実践授業研究(上田市立城下小学校)
教育課程研究協議会
9月
3日
上小教育課程研究協議会(上田市立城下小学校)
①授業研究
題材名「ひょうしをかんじてリズムをうとう」
教材名『おまつりの音楽』<2年>
②研究協議
「小中教科書閲覧」と「音楽づくり・創作」の演習
第5回
11月16日
指導委員会
実践授業研究①(東御市立東部中学校)
第6回
11月24日
総委員会
第7回
12月
3日
指導委員会
実践授業研究②(長和町立和田小学校)
第8回
1月
8日
指導委員会
研究発表会立案と研究のまとめについて(上田市立傍陽小学校)
研究発表
1月26日
研究発表会
授業実践発表(上田市立第二中学校)
研究発表と研究のまとめについて(上小教育会館)
-音楽 1-
四
研究の内容
実践事例①
浅井
美咲
歌詞の表す様子や気持ちを想像して、歌い方を工夫して歌ったり、演奏したりする事例(小2)
1
題材名
「ようすをおもいうかべよう」
2
教材名
「海とおひさま」
3
授業展開
「小ぎつね」
学習内容
指導の手立て
「海とおひさま」<第1時>
○様子を思い浮かべながらCDの範唱を聴
き、曲の感じをつかむ。
○CDの範唱や伴奏に合わせて歌う。
○3拍子を感じながら歌う。
○CDの範唱を聴くときには、体を動かしながら聴いて
もよいことを確認する。
○正しい音程で歌えるようになったら、3拍子が感じら
れるよう、体をゆったり動かしながら歌うよう促す。
「海とおひさま」<第2時>
○歌詞の音読をし、1~3番までの場面の
変化を話し合う。
○場面の変化に合った歌い方を考える。
○工夫したことを生かして、歌う。
○1~3番の歌詞から、時間の変化、海や波の様子など
の変化をとらえ、速度や強弱を工夫するよう促す。
○それぞれが考えた歌い方を全員で歌ってみて、どの歌
い方が歌詞に合うか考えるよう促す。
「小ぎつね」<第1時>
○様子を思い浮かべながらCDの範唱を聴
き、小ぎつねの様子や気持ちの変化をと
らえる。
○範唱や伴奏に合わせて歌う。
○反復の「やまのなか」の部分の歌い方を
考え、歌う。
○教科書の挿絵も見ながら、小ぎつねの様子や気持ちの
変化を考えるよう促す。
○正しい音程で歌えるようになったら、反復の部分の歌
い方を考えるよう促す。
○それぞれが考えた歌い方を全員で歌ってみて、どの歌
い方が合うか考えるよう促す。
「小ぎつね」<第2時>
○楽譜の階名を音読し、伴奏に合わせて階
名唱する。
○鍵盤ハーモニカの運指を確認し、練習す
る。
○階名で歌う時にも、前時に考えた強弱のつけ方で歌う
よう促す。
○鍵盤ハーモニカの練習前に、運指、フレーズ、強弱に
気をつけて吹くことを確認する。
「小ぎつね」<第3時>
○鍵盤ハーモニカの練習をする。
○強弱に気をつけて歌ったり演奏したりす
○小ぎつねの気持ちになって歌ったときのことを思い
出しながら、歌ったり演奏したりするよう促す。
る。
4
学習の様子
○「海とおひさま」の第2時
1~3番までの時間の変化、海や波の様子を歌詞から読み取り、歌い方を考えていった。1番は、
「きらきらうれしくて」という歌詞から、
「楽しそうに歌いたい」という意見が多く出てきた。2番
は、
「なんだかさみしくて」という歌詞から、「寂しそうに歌いたい」という意見が出てきた。3番
は、
「るんるんらんらん」という歌詞から、「元気に楽しそうに歌いたい」という意見が出てきた。
1~3番までの歌詞から「○○のように歌いたい」という意見が多く出てきたが、それを歌で表現
するために、強弱や速度を考えてみるよう提案した。
-音楽 2-
○強弱や速度を考えて子どもたちから出た意見
1番:
楽しそうに歌いたい
→
大きな声で
はっきりと
速く
2番:
寂しそうに歌いたい
→
小さな声で
普通の速さ
ゆっくり
3番:
元気に楽しそうに歌いたい
→
大きな声で
踊っているように
普通の速さ
速めに
どの歌い方が「海とおひさま」に合うか、それぞれが考えた歌い方を全員で歌ってみた。
・1~3番のどれも同じ強さ、速さで歌う。
・1番と3番は大きな声で歌い、2番だけ小さな声でゆっくり歌う。
・1番は大きな声で普通の速さ、2番は小さな声でゆっくりと、3番は1番よりも少し大きな声で
速く歌う。
全員で3種類の歌い方で歌ってみると、最初から最後まで強弱や速度を変えないで歌うよりも、
1番2番3番それぞれに変化をつけて歌ってみた方が、この曲の歌詞に合っていて歌いやすいとい
うことでこの授業を終えた。実際に、1番2番3番の違いがよく表現できていた。
○「小ぎつね」の第1時
範唱や伴奏に合わせて何度も繰り返し歌ってから、
「やまのなか」の反復の歌い方を考えていった。
前回の「海とおひさま」で学習したことをふまえて、強弱や速度に着目して近くの友だちと歌い方
を考えるように促した。
・何も変えずに歌う
・1回目は強く2回目は弱く
・1回目は弱く2回目は強く
それぞれ出てきた歌い方を全員で歌ってみたところ、何も変えないよりは、反復の中で強弱をつけ
た方がよいということを実感し、「やまのなか」の1回目は強く2回目は弱く歌うことになった。
○「小ぎつね」の第2時
第1時で歌ったように「小ぎつね」を鍵盤ハーモニカで演奏しようというめあてで第2時を行な
った。ここで子どもたちが注目したのは、前時で扱った反復での強弱と、
「こぎつねこんこん」とい
う最初のフレーズだった。前時に“反復では強弱をつければよさそうだ”ということを感じとった
子どもたちは、鍵盤ハーモニカで吹くときにも強弱をつけようと、強く息を入れたり弱く息を入れ
たりして練習していた。また、子どもたちの練習を聞いていて「こぎつねこんこん」の「こぎつね」
と「こんこん」の息の入れ方も違うと感じとっている子がいたため、その子にみんなの前で吹いて
もらい、何がよかったのかを他の子に聞いてみた。だが、それだけではよさがうまく伝わらなかっ
たため、フレーズをまったく感じておらず「こんこん」の間にある休符も感じていない吹き方を私
がやってみた。すると、「こぎつね」のところは息をつなげる(フレーズを感じる)こと、「こんこ
ん」のところにある8分休符はしっかりとればよいことに気付き、その吹き方ができるよう練習し
ていた。この授業までは、強弱をつけたりフレーズを感じて吹くことができなかった子も、この1
時間の授業を通して、強弱をつけたりフレーズを感じて吹こうとしている姿勢が多く見られた。
5
考察
今回の題材では、歌い方や演奏の仕方の工夫をしていったが、工夫を考えていく中で、子どもた
ちから出てきた意見を一通り試し、その中で心地よいと感じるもの、曲に合っていると思うものを
自分自身で感じ取れるよう心がけた。そして、自分自身でよいと感じた歌い方や吹き方をすると、
今までよりも上手に表現できており、表現力があがったように感じた。今までは私がいいと思う表
現の仕方を子どもたちに押し付けてしまうことがあったが、今回のようにいろいろなパターンを試
し、子どもたち自身で心地よいものを感じ取り、それを表現していくことがよいと感じた。
-音楽 3-
実践事例②
佐藤
園
自ら意欲的に聴き、楽器のひびきや楽曲に親しみをもちながら学ぶ鑑賞の授業はどうあったらよいか。
~具体物・体の動き・体験を取り入れて~
(小4)
◆日々の授業実践より・・・◆
私は、
「歌唱」
「器楽」
「音楽づくり」
「鑑賞」とそれぞれの授業をしていく中で、
「鑑賞」について特
に課題を感じています。子どもたちの姿を見ていると、音楽を具体的に聴き込んだりイメージを持
ったりする子と、なんとなく漠然と聞き流してしまう子の二分化が見られ、交流する場面を設定し
ても、学習があまり深まっていかない様子を感じていました。どの子も主体的に聴き、楽しさや面
白さを自分自身で見いだしながら深めていける鑑賞の授業がしたいと思い、今回は導入を中心に以
下の題材を実践しました。
1
題材名
『いろいろな音のひびきを感じ取ろう』
2
教材名
「メヌエット」
3
授業記録
「クラリネットポルカ」
(1)主眼
フルートとクラリネットの楽器に初めて出会った子どもたちが、2つの楽器の響きを感じ取っ
ていく場面で、楽器の仕組みを知ったり、音色や旋律、拍の流れなどに注目して聴き、聴き取っ
たことや感じ取ったことを言葉で表現したりすることを通して、フルートとクラリネットのひび
きに親しむことができる。
(2)本時の位置
1時間扱い
(3)指導上の留意点
・児童の発言や求めに応じて、できる限り何度も聴き返す場をもつ。
・言葉で表すことが苦手な児童や、音楽要素に基づいて記入している子どもに対して、机間指導
の際に個別に声をかけ、指導や問い返しをしていく。
(4)展開
段階
学習活動
予想される児童の反応
時間
導
入
1 歌、リコーダーを
・ サミングがうまくできるように
5
演奏する。
・ 「木管楽器」というグルー
器が出てくるのか。
2 2つの曲の初めの
評価
なってきたぞ。
・ 今日はリコーダーと同じ木管楽
展
開
指導・支援
・ 難の楽器かな。(音色)
プを示しておく。
10
・ 実物の楽器をさわったり吹
部分を聴き、フル
・ 見たことあるぞ。(見た目)
いてみたりする時間を短時
ートとクラリネッ
・ こうやって音を出しているんだ。
間とる。
(音の出る仕組み)
トについて知る。
・ 最終的に楽器の紹介をする
ことを伝えておく。
学習問題:フルートとクラリネットのひびきに親しもう!
・ 曲のタイトルを表示する。
3 2 曲を聴き、感じ
・ フルートは優雅な感じがする。
たこと・気づいた
・ 優しく、なめらかな感じ。
ことを学習カード
・ 音が高い。クラリネットは元気な
に記入し、伝える。
音がする。
-音楽 4-
10
・ ここでは、観点を絞らずに
自由に感じ取らせる。
(感じたこと・気づいたこと)
・ 低い音から高い音まで出る。
・ 「鑑賞のヒントカード」か
・ 明るい感じ。
ら言葉を選んでも良いこと
・ 速い。細かい。
にする。
学習課題:「音色」
「せんりつの動き」
「拍子」に注目してきき、ひびきを味わおう
4 観点にそって2曲
・ フルートは明るくて透き通る感
を聴き、それぞれ
じの音だな。風のような感じも
の違いを感じ取
した。
る。
10
・ 学習課題で示す観点は、で
きるだけ学習活動3の中か
(音色)
ら位置づけて、観点を正し
・ クラリネットは低い音から階段
く理解できるようにする。
みたいに一気に駆け上がってい
・ 2つを比較しながら、表に
るな。(せんりつの動き)
まとめていく。
・・ゆったりした3拍子だ。指揮も
手や体を動かしながら、旋
なめらかに動かそう。(拍子)
律や拍子などを感じ取って
聴いている。[観察]
終
末
5 楽器屋さんになっ
・ フルートは、高い音で空にのぼ
て2つの楽器の紹
っていくようなとても美しい音
は、書き方の例を示したヒ
介を書く。
色がします。そのフルートで演
ントカードを用意しておく
奏される「メヌエット」という
曲は、ゆったりした3拍子で、
6 ペアで発表し合
う。
4
授業での児童の様子
段階
・
入
・ 書き始められない子どもへ
・ 時間によって、どちらか1
つの楽器にする。
せんりつはなめらかに上へのぼ
3つの観点からききとった
っていくような感じです。フル
ことや感じ取ったことを、
ートの音によく合って、キラキ
紹介文に言葉で表すことが
ラと舞っているようです。
できる。
[学習カード]
成果と課題(授業研究会より)
児童の様子
成果(○)と検討課題(△)(授業研究会より)
・大きな声でのびのびと歌っていた
導
10
△教師による伴奏ではなくCDなどにするこ
12月の歌「たとえば、空」
とで、児童の近くで声を聴くことができるの
・学習したサミングもだんだん慣れてきて、気
では。評価などもこの時にできてしまう。
持ちよく「ハッピーバースデー」を演奏して
○ピアノではなく、児童の正面にあるキーボー
いたが、技能的に支援の必要な児童がまだ2
ドを使うことで、顔を見ながら取り組めて良
名ほどいた。
い。
2 曲をそれぞれ10秒ほど聴き、
○聴く前と後の静けさがあり、音楽にしっかり
展
楽器を想像。その後、実物に触れる場面
開
・実物のフルートとクラリネットを見て、関心
耳を傾けている雰囲気があった。
○実物に触れさせることはとても良い。
が高まった様子だった。普段、鑑賞の授業に
消極的な児童も、体を乗り出してよく見てい
た。
・実際に楽器に触れたり吹いたりすることで、
音の出る仕組みを感じ取っていた。
・楽器に触れたり吹いたりする時間を5~7分
で予定していたが、実際は15分ほどまで延
-音楽 5-
びた。多くの児童が興味をもって楽器に触れ
展
開
ていた。
2 曲をそれぞれ2分ほど聴き、気づきや感
じ取ったことをカードに記入する場面
・ヒントカードをもとに言葉を選んでいる児童
○ヒントカードは、有効だった。自分の感じた
もいて、全員が言葉で表現することができて
ことにしっくりくる言葉を選べたので、自信
いた。(カードがないと、3 名ほど白紙)
をもって積極的に書く活動ができていた。
・児童からは、
「やさしい」
「すがすがしい朝の
△ヒントカードの言葉は、単元や学習させたい
感じ」「おだやかで幸せな感じ」「音が強い」
内容、発達段階に応じて変化させ、その時々
「音が上がったり下がったりしている」など
で作り替えていく必要もある。
が出された。
○今まで学習してきた「音色」や「せんりつの
動き」に関することが児童から出たため、学
習課題も自然に据えることができた。(「拍
課題追求の場面
の流れ」は出なかった)
①〈音色〉は上記よりすでに児童が感じ取って
△観点がやや多い。難しいところだが、1つに
いると判断したためカット。
絞って“観点を決めだす”ことをしたい。
②〈拍の流れ〉
△「感じたこと」と「気づいたこと」を分類し
・リコーダーのお掃除棒で 3 拍子・2拍子の指
て板書したい。そして、それらを結びつけて
揮をしながら聴いた。3拍子は腕の動きがな
めらかで、2拍子は弾むような動きをしてい
まとめると良かった。
△本時では、細かく要素を分けずに「感じたこ
た。
とをいっぱい書こう!」でもよかったか。
「どうして?」と聴くと、「なめらかで優し
△指揮ではなくて、「目をつむって体を動かし
い感じだから」とか「はしゃいだ感じだから」
てごらん(手でも足でも)」という投げかけだ
などと発言していた。
と、より音がしっかり入るのでは。表情や動
・3拍子と 2 拍子の動き方がなんとなくぼやけ
きなどを見て評価もできる。
ている児童も数名いた。もう少しはっきりと
動かせて、しっかり違いを体得させたかっ
○視覚的な支援がとても分かりやすい。
た。
△なぞりが追いつかない児童もいた。小節ごと
③〈せんりつの動き〉
区切りの線を入れて、拍の数字(「1・2・
・音の動きを表したイラストをなぞりながら聴
3」など)も書いておくと、もう少し分かり
いた。
やすいか。
・クラリネットポルカは、なぞることがやや難
△教師がやってみせるなど、全体共有してから
しい様子だった。(テンポ速・細かい動き)
個人でなぞらせた方がよかったか。
○観点はやや多かったが、それぞれの視点で、
何回も音楽を「聴く」ことができたのはよか
った。
△最初から最後まで、一曲を通して鑑賞させな
くて良いのか。(本時の場合はどうか。)
〈おすすめカードの記入〉
終
末
○楽器の好き嫌いや、授業の感想ではなく、そ
・「クラリネットは、力強く、すがすがしい音
れぞれの楽器の良さをどのように感じ取っ
色です。クラリネットポルカという曲では、
ているのかを評価としたかったので、感想カ
-音楽 6-
せんりつが細かくはずむような曲でおすす
ードではなく、
「楽器屋さんのおすすめ商品」
めです。」
といったテーマでふりかえりをした。学習課
・ 「フルートは高い音・きれいな音を吹くとき
題の観点を文章に盛り込んで書けている児
に使えて、おだやかで優しい曲の時にも使え
ます。なめらかで静かな音をだせる楽器で
童が多かった。
○ここでも、なかなか書き出せない児童には、
す。
」
書き方の文例を個別に渡していった。それを
手がかりに書けていたので有効だった。
5
考察
①成果について
じっくりと音楽を聴く前に、フルートとクラリネットを実際に吹いてみたり触れてみたりするこ
とで、子どもたちはこれから鑑賞する楽曲に興味をもつことができていたように思う。活動の様子
や、学習カードの文章からも、楽器をよく観察したり、重さを感じたり、吹くときの息の圧力を感
じたり・・・様々な感覚を働かせることによって、音色や音楽がより具体的にイメージされたのだ
と言うことが分かった。これからの鑑賞の授業では、
「聴く」という学習を支えるその他の感覚をし
っかり働かせてあげられるような導入を考えていきたい。
また、感じたことや聴き取ったことを言語化する場面において、そこに困難さを感じている子ど
もへは、言葉を選ばせるヒントカードを用意した。普段はなかなか書き始められない子どもも、カ
ードを見ながらすらすらと書く姿があり有効だったと言える。鑑賞の授業において困難さを感じて
いる子どもの多くは、感じていることや聴き取ったことはあるけれど、うまく言葉にして表現でき
ないという思いがあったのだと感じた。(本学級の場合)
②課題について
今回の学習では、「音色」
「旋律の動き」「拍の流れ」の3つの観点を示し、学習を進めていった。
様々な角度から聴くことで、総合的に「ひびき」を捉え感じてほしいという願いのもとだったが、
やはり観点が多かったように思う。次から次へと観点にそって確かめていく学習となってしまい、
一つ一つが子どもたちの中に位置付いていかなかった。例えば既習事項と関連させながら「旋律の
動き」一つに観点をしぼることで、じっくりと落ち着いて聴いたり、その動きの変化や違いを言葉
にして共有したりすることができたのではないかと思う。学習課題設定では、やはり観点を絞るこ
とに努めていきたい。
また、成果でも挙げた言語化のためのヒントカードについては、学ばせたい内容や発達段階に応
じて作り替えていく必要があるということが分かった。感じたことに関する単語のみではなくて、
共通事項などの音楽的な要素に関わるキーワードも載せることで、ねらいに則したまとめとなって
子どもたちに学びが位置付いていくのではないかと思う。
更に、鑑賞の学習における子ども達の関わらせ方にも課題が残った。感じたことや考えを「伝え
たい」
「聞きたい」という思いにさせるためには、何のためにどのタイミングで取り入れたらよいの
かを研究していく必要がある。
③その他
・鑑賞の学習では、楽曲の全曲を通して最後まで聴かせるのか、部分的に聴かせるのか、その都度
学習内容によって吟味していく必要がある。
・いくつかの楽曲で、または別の楽曲で「比較」をして学習を進めていくことも有効であるが、逆
に、比較するのではなくそれぞれを別々に学習していく方が有効な場合もあるので、ねらいによ
って考えていく。
-音楽 7-
実践事例③
宮林
リズムカードを使用してリズム伴奏作りに取り組んだ事例
えりか
(4 年)
~だれもが「わかる・できる」喜びを感じられる支援の工夫~
リズム学習につまづきがありリズム創作に苦手意識を持っている児童にとっても、リズムに抵抗な
く意欲的に創作活動に取り組めるようにと特別支援教育的な支援方法を取り入れ、授業のユニバーサ
ルデザイン化を図った実践事例。
1
2
題材名
「拍の流れにのってリズムを感じ取ろう」
教材名
「いろんな木の実」中山知子日本語詞/西インド諸島民謡/加賀清孝編曲
主眼
曲想を感じ取りながら「いろんな木の実」の歌を歌ったり、拍打ちやリズム打ちをしたりしてきた
子どもたちが、リズムカードを使って曲に合うリズム伴奏を考え、友達と一緒に歌ったりリズムを打
ちする活動を通して、いろいろなリズムパターンに触れながら、友だちとともに声やリズムを合わせ
る楽しさを味わうことができる。
3 授業内容
学 習 課 題 ・・・「いろんな木 の実 」の曲 の感 じに合 うリズム伴 奏 をつくろう
<リズムシート>・・・1 小 節 は 4 分 音 符 4 つ 分 とする 4 分 の 4 拍 子 のシートで、枠 内 にぴったり
収 まるようにリズムカードを並 べていくと過 不 足 なく指 定 された拍 数 分 のリズ
ムを作 ることができる。
<リズムカード>・・・表 は音 符 、裏 は休 符 とし、同 じ長 さの記 号 となるようにした。
-音楽 8-
4 考 察 と反 省
○ カー ドを並 べ れば リ ズム伴 奏 が でき るので 、創 作 活 動 が 苦 手 な児 童 でも抵 抗 なく 楽 しく 取 り組
む こ と が で き た 。 リ ズ ム シー ト と リ ズ ム カ ー ド は 全 員 分 用 意 さ れ て い た の で 、 一 人 で も 学 習 が 進
め られ た 。完 成 したリ ズム は、グ ルー プ内 の 発 表 で 拍 を打 ち合 うこと によって友 だ ちと 共 有 す る
ことができた。
○ 音 符 や休 符 の長 さとカードの横 幅 の長 さを合 わせたので、リズムや音 の長 さを感 覚 的 、視 覚
的 に捉 えることができ、その場 に教 師 がいなくても「できた」「できない」の判 断 がしやすかった。
○ カ ー ド は 入 れ 替 え た り 裏 返 し た り の 操 作 が 容 易 で 、 カ ー ド を 操 作 し なが ら 次 々 に リ ズ ム を 変 化
させられるので、一 人 で複 数 のパターンを作 ることができた。
○ リズム伴 奏 を作 る 際 、あらかじめ拍 数 分 の長 さを示 した枠 (リズム シート ) を提 示 し、その枠 内 に
ぴった りお さまる よ うに カードを並 べ ていくので 、指 定 された 拍 数 分 のリズムを簡 単 に作 る ことが
できた。
○ 手 軽 に何 度 も手 直 ししながらいろいろなリズムパ ターンに触 れ、繰 り返 しリズム打 ちをすることを
通 して、徐 々に拍 の流 れを感 じ取 ってリズム打 ちできるようになっていく姿 が見 られた。
○ 一 人 ひ と りが 自 分 の リ ズ ム をつ く る 際 に は、「 自 分 で も 打 てる リ ズム 」 と い う約 束 を 決 め て作 らせ
た 。 それ に よ り 自 信 を 持 っ て友 達 に 自 分 の 考 え た リ ズム を 紹 介 で き 、グ ルー プ練 習 の 中 に うま
く位 置 付 くことができた。
● 四 分 音 符 ( 休 符 ) 以 外 の カー ドを用 い て、 拍 数 が 合 わ なく なっ てしま った 児 童 が い た の で 、次 の
ような改 善 点 も提 案 され た。
・
リ ズ ム シ ー ト の マ スの 区 切 り の 間 に さ らに も う 1 本 ( 八 分 音 符 ・ 八 分 休 符 を 仕 切 る ) 点 線 が
入 っていると、より明 確 な視 覚 支 援 につながっていたのではないか。
・
リズムシートまたはリズムカードのどちらかに色 が付 いていれば、視 覚 的 にズレに気 づき、
「埋 め尽 くす」というイメージが持 ちやすかったのではないか。
-音楽 9-
実践事例④
栁澤ゆかり
研究テーマ
「児童ひとりひとりが友だちと関わりながら,生き生きと自分を表現するための音楽学習のあり方」
~つける力の見極めと評価方法~
1
題材名
ひょうしをかんじてリズムをうとう
教材名
2
「おまつりの音楽」(本時)
「この空とぼう」「山のポルカ」「いるかはざんぶらこ」
題材設定の理由
2年生はリズムあそびや音楽に合わせて体を動かすことが好きな子ども達である。楽しみながら
音楽的基礎力をつけていきたいと考え、授業のはじめには「音楽あそび」を取り入れている。また、
本題材では2拍子と3拍子の拍の流れを感じ取って歌ったりリズムを打ったりする表現活動や反復
を取り入れたリズムづくりを通して、音符や休符を理解したりリズム譜を見て演奏することに慣れ
親しんだり、拍子やリズムに対する感覚や表現の技能を育てたいと願い本題材を設定した。
3
目標
(本時に関わる)
・リズム譜に親しみ、簡単なリズムを演奏したり、反復を取り入れたリズムをつくったりする。
学習指導要領との関連
A表現
(2)器楽ア、ウ
共通事項
ア(ア)リズム、拍の流れ、フレーズ
イ
4
評価基準
(3)音楽づくりイ
(イ)反復
4分音符、4分休符、8分音符、8分休符
「おまつりの音楽」
ア音楽への関心意欲態度
イ音楽表現の創意工夫
ウ音楽表現の技能
① リズム譜に興味関心をもってリ
① リズムやフレーズを聴き取り、
① 反復を取り入
ズムを打つ学習に進んで取り組
それらの働きが生み出すよさや
れたリズムを
もうとしている。
面白さを感じ取って、反復を取
組み合わせて,
② 反復を取り入れ、口唱歌によるリ
入れた口唱歌によるリズムの組
おまつりの音
ズムを組み合わせて音楽をつく
み合わせを試しながら、どのよ
楽のリズムを
る学習に進んで取り組もうとし
うにしておまつりの音楽をつく
つくっている。
ている。
るかについて思いをもってい
る。
5
教材研究
「おまつりの音楽」
・リズムカードを選んで並べると,
「おまつりの音楽」を楽しくつくることができる。
・これまで学んできた音符や休符を組み合わせ,反復を使って自分のリズムを楽しみながらつくる
ことができ,リズム譜に親しむことができる。
・2拍のリズムとそれに合う太鼓の口唱歌の言葉がカードに示されていて,リズムを感じ取りやす
い。
・友だちとリレーしたり,重ねて演奏したり,発展ができる教材である。
6
指導計画
時
1
本
(「おまつりの音楽」2時間)
主な学習活動
主な教師のかかわり◇【評価規準】
①いろいろなリズムパターン ・はじめにリズムカードを確認しながら表現してリズム譜
を組み合わせて楽しむ。[リズ
に親しむようにする。その時,楽器やメトロノームなど
ム,拍の流れ,反復]
を使い,2拍子の流れを感じ取りやすいようにする。
-音楽 10-
時
・ア~カのリズムを言葉で表現
したり手拍子で打ったりする。
・反復の方法を確かめ,同じカードを使うとおまつりらし
いリズムになることを意識してつくるように促す。
・くり返しの例を参考にリズム
・ウを最後にすると終わった感じがすることを確かめる。
カードを組み合わせてリズム
◇反復を取り入れて,口唱歌によるリズムを組み合わせて
をつくり,手拍子で打ちリズム
音楽をつくる学習に進んで取り組もうとしている。【関
を確かめる
③行動観察,発言】
・ペアで互いのリズムを紹介し
あう。
2
②反復を取り入れてつくった ・おまつりらしく盛り上がるような順番を考えるように促
リズムを組み合わせて演奏す
す。
る。
・順番に表現するのか,全員で表現するのか考えて工夫す
[リズム、拍の流れ、フレーズ, るように助言する。
反復]
◇リズムやフレーズを聴き取り,それらの働きが生み出す
・グループでリズムを聴き合
よさやおもしろさを感じ取って,反復を取り入れた口唱歌
い,リレーしたり重ねたりして
によるリズムの組み合わせを試しながら,どのようにして
おまつりのリズムをつくる。
おまつりの音楽をつくるかについて思いをもっている。
③拍の流れを感じ取りながら, 【創①演奏聴取,発言】
つくった「おまつりの音楽」を ・反復を取り入れたリズムがどのように組み合わせられて
演奏して発表する。[リズム、拍
いるか気づくようにする。強弱や速度を工夫しているグル
の流れ,フレーズ,反復],
ープのよさも認める。
・グループごとに発表し,つく
◇反復を取り入れたリズムをつくり,その組み合わせを工
ったリズムのよさを聴き合う。 夫しておまつりの音楽をつくっている。【技⑤演奏聴取】
7
本時案
(1)主眼
2拍子と3拍子の拍の流れを感じながら,手拍子や打楽器でリズム打ちをしてきた子どもたちが,
リズムカードを組み合わせておまつりの音楽のリズムをつくる場面で,反復を取り入れたリズム
を組み合わせて,おまつりの音楽のリズムをつくることができる。
(2)本時の位置
(2時間扱い中第1時)
(3)指導上の留意点
・リズム譜を見て手拍子を打つことが苦手な子は,口唱歌で言葉を読みながらリズム打ちをするよ
うに促す。
・自由な組み合わせを楽しめるように,色分けしたリズムカードを何枚も用意し、カードをマグネ
ットでホワイトボード(画板裏)に貼るようにする
(4)展開
段階
導入
学習活動
予想される児童の反応
時
指導支援・評価
10
・心を落ち着けて、音楽に入
1今月の歌
・のびのび歌うだろう。
はじまりの音楽
・くりかえしに気をつけて聴き、落
ることができるようにする。
鑑賞
ち着いて音楽の授業を始められるだ
・音楽学習への意欲をもち,
♪カノン
ろう。
音楽への切り替えができるよ
ハンドサイン挨拶
・音の高さをイメージして声を出す
うにする。
だろう。
展開
2音楽あそび
・手あそび,リズムあそびを拍を感
-音楽 11-
25
・手あそびの「十五夜さんの
手あそび,リズ
じながら楽しむだろう。
もちつき」や,8ビートに合
ムあそび
わせて,
「リズムあそび」をす
学習問題
る。
・おまつりの挿絵を提示し、
おまつりの音楽のリズムをつくろう
おまつりのイメージをもたせ
3おまつりの音
・
「6枚の中から4枚のカードを使っ
る。
楽のリズムのつ
て作るんだな。」
・リズムカードのリズム打ち
くりかたを知
・
「同じカードを使ってくりかえしに
をする。
る。
すると,おまつりらしくなるな。」
・リズムカードを使ったおま
・「ウのカードは終わる感じがする
つりの音楽のつくりかたを説
な。」
明する。
学習課題
“くりかえし”をつかって,おまつりの音楽のリズムをつくろう
・例を参考にして,くりかえ
しを使うと,おまつりらしく
4おまつりの音
・リズムカードを選んで,気に入っ
なることや,ウのカードは終
楽のリズムつく
たおまつりの音楽をつくるだろう。
わる感じがすることを確認す
り
「“それそれ”のリズムカードをくり
る。
かえし使って,おまつりのわくわく
・リズムカードを並べるホワ
した感じを出してみよう」
イトボード(画板裏)とマグ
「“わっしょい”のかけごえをくりか
ネットのリズムカードを配布
えし入れて,元気なおまつりの感じ
する。
につくろう」
・気に入ったリズムができる
「太鼓のリズムをくりかえすと、に
ようにリズムを打ちながらつ
ぎやかなおまつりの感じになるな」
くったり,リズムを打つこと
5つくったおま
・自分のよさ友だちのよさを感じる
が苦手な子は,口唱歌で言い
つりの音楽のリ
だろう。
ながらつくったりするように
ズムをペアで聴
「“それそれ”がくりかえされると,
話す。
き合う。
わくわくするおまつりの音楽になっ
ているね。」
本時の評価規準
「“わっしょい”のかけごえがくりか
反復を取り入れたリズムの
えされていると,おみこしをかつい
組み合わせを試しながら,
でいるみたいだね。」
おまつりの音楽をつくって
いたか。
評価方法
終末
10
ボードや演奏で、確認する。
・おまつりの音楽のリズムつ
6本時のふりか
・ <もしもし感想タイム>で、ペア
えりをする。
の友だちと今日の感想を伝え合うだ
くりをして,気づいたこと,
もしもし感想タイ
ろう。
感じたことを<もしもし感想
ム
「“それそれ”や“わっしょい”な
>で伝え合い、一時間を振り
ど,同じカードをくりかえしたら,
返る。何人か全体に発表して
にぎやかなおまつりらしい音楽が
もらい、まとめをする。
できたね。
」
(今日の自分お天気ボード)
-音楽 12-
8
授業記録
<つける力>
反復を取り入れ、リズムを組み合わせておまつりの音楽をつくることができる。
段階
導入
学習活動
指導支援・評価
今月の歌,はじまりの音楽鑑賞,音楽あそび(手あそび, 音楽への切り替えをする。
リズムあそび)を楽しむ。
展開
T
おまつりの挿絵を掲示。
9:28
C
おみこしだ,
T
どんな音がきこえそう?
YU
・おまつりの挿絵を提示し、お
たいこがある
などの声があがる。
まつりのイメージをもたせる。
・6枚のリズムカードのリズム
打ちをする。
ドンドンです。
T
ドンドンのリズムカードを提示。
T
おみこしの時は
C
わっしょい
T
わっしょいのリズムカードを提示。
T
他のカードもあります。それそれのカードを提示。
C
歓声,盛り上がる。
T
6枚のカードを提示。
どんなかけ声?
この6枚のリズムカードを使って,おまつりの音楽
・リズムカードを使ったおまつ
のリズムをつくってもらいたいです。
りの音楽のつくりかたを説明す
学習問題提示
おまつりの音楽のリズムをつくろう
る。
6枚のリズムカードをたたいてリズムを確認しまし
・例を参考にして,くりかえし
ょう
を使うと,おまつりらしくなる
C
ウドドンは山のポルカでウタタンってやった。
ことを確認する。
T
6枚の中から4枚をつなげます。おまつりの言葉を言
・リズムカードを並べるホワイ
いながらつなげてみましょう。どのカードを選びます
トボード(画板裏)とマグネッ
か?
トのリズムカードを配布する。
RH
ドンヤーを使いたいです。
・気に入ったリズムができるよ
TK
わっしょいを最後に使いたいです。
うにリズムを打ちながらつくっ
AY
ウドドンがいいです。
たり,リズムを打つことが苦手
T
な子は,口唱歌で言いながらつ
山のポルカで勉強したリズムですね。
IY
それそれ
ドンヤー
タンウン
くったりするように話す。
がいいです。
それそれ
タタタタ
ウドドン
ウタタン
わっしょい
タンタ
ン
T
いいですね。
では,自分で作ってみましょう。ひみつの道具、
(ホワ
イトボード画板)を配ります。あれ,2の1みんなへ,
挑戦状がリズムの達人からきました。
C
歓声
T
挑戦状を読む。
学習問題提示
“くりかえし”をつかって,おまつりの音楽のリズムをつくろう
T“くりかえし”だから同じカードを2枚使います。
-音楽 13-
楽しいおまつりにするために“くりかえし”にし
てみましょう
M
わっしょいを2回使いたいです。
T
わっしょい2回で、どれと交換する?
ウタタン
タンウン
タタタタ
タンタン
タンタ
ン
T
おまつりの感じだね。
やり方わかったかな?(ホワイトボード画板配る)
リズムカードは2枚ずつね。
順番に手前に置きましょう。
9:40
YA
他のでもいいの?
→
→
→
T
すばらしい。後で相談にいくね。
言葉をきいて、カードをつくっ
T
できたら、手あげて教えてね。
て渡す。
わっしょいを四分音符ではな
(個人追求に入る)
9:56
・使いたいおまつりのリズムの
途中で
く、八分音符にかえたリズムに
T
変更。
できたら,打ってみたらいいと思うの。
言いながらリズムを打ってやってみたらどう?
T
使わなかったカードは、ゴムでとめてボードを
本時の評価規準
置いてください。今日は,挑戦状をもらって,くり
反復を取り入れたリズムの組
かえしを使っておまつりのリズムを作りました。
み合わせを試しながら,おま
もしもし感想をしてください。
つりの音楽をつくっていた
か。
終末
HA
10:00
です。
りをして,気づいたこと,感じ
T
たことを<もしもし感想>で伝
おまつりのリズムのくりかえしが楽しかった
A さんのおまつりのリズムをみんなでやってみ
・おまつりの音楽のリズムつく
よう。
え合い、一時間を振り返る。何
T
人か全体に発表してもらい、ま
HA
わっしょいをどうして2回使ったの?
おまつりっぽくしたかったからです。
とめをする。
・発表してくれた子のリズムを
みんなでやってみる。
HA
発表した子は、みんなにやって
もらうことでよりイメージがひ
ろがったり、またほかの子は、
友だちの作品をやってみること
で、友だちの良さに気づいたり、
IY
おまつりのリズムをくりかえしでできて楽し
自分の作品と比較して振り返る
かった。 わっしょいとそれそれを2回にしました。 ことができる。
-音楽 14-
IY
T
みんなでやってみよう。
T
ダブルだね。Y くんのおまつりのリズムを聞い
て、どんな感じになってるかな?言える人?
YA
それそれが2回で、応援している感じ。
T
そうだね。
K
拍に合わせて,わっしょいが楽しかったです。
T
拍に合わせて楽しかったんだね。K くんのおま
つりのリズムをみんなでやってみよう。
T
いいのができたね。
T 今日は、これでおしまいです。おまつりリズムの
達人からの挑戦を受けてどうだったかな。
(片付け
の説明)
10:05
お天気ボードはって帰りましょうね。
C
ハンドサイン挨拶
T
一人ひとりにマグネットを渡して声がけ。
☂
9
IS
(今日の自分お天気ボード)
☀他全員
考察
(1)
成果
・音楽づくりの活動を通して,一人一人の子どもをみていくことができた。
子どもたちは自分でつくる喜びを感じながら,
“くりかえし”を工夫して使い取り組んでいた。そ
のなかで,
“くりかえし”の良さに気づいていくことができた。おまつりのリズムという教材のも
つ特性から,互いの良さも感じとっていた。本時の活動を通して,
“くりかえし”という音楽の力
を獲得することができたと思われる。この成果につながったことは,一人一人に用意されたリズ
ムカードやホワイトボードの教材の良さ,イメージを広げる導入,活動のわかりやすさがあげら
れる。
(2)
課題
・1時間の中で,一人一人の活動の様子をみて評価することは難しい。その時間,誰をみるのか評
価計画をたてて,題材を通して一人一人をみていくことが大事になる。
・音楽なので,自分のつくったおまつりのリズムをたたく音であふれるような活動場面もあると,
より音楽の授業としての活気があって良かったと思われる。友だちと見合う活動も取り入れてみ
ることも,一つの手立てになると思われる。
-音楽 15-
実践事例⑤
飯田
佐和
『夏の思い出』の歌い方の工夫を自分たちで考え、歌ってみる事例(中2)
1
実践を行うにあたって
今までの自分の授業を振り返ってみると、教科書に載っている合唱教材、あるいはクラス合唱で扱
う楽曲は、表現を工夫するというより、
「ある一定の期間に仕上げなければならない」という思いが先
行し、音を取る・ハーモニーにする等の技術的なことを中心に授業を行っている現状があった。つま
り、作詞者の思いや作曲者が付記した音楽記号を考え、歌い方を深めるところまで行う授業ができて
いなかった。
そこで、今回、
『夏の思い出』を扱うにあたり、歌詞にまず注目し作詞者の意図を理解しながら、作
曲者が付記した音楽記号を関連づけてみる中で、「自分だったらどう歌うだろう。」という思いを生徒
一人ひとりに考えさせたいと願い、このテーマを設定した。
2
実践に向けての経過
楽曲との出会いである第1時は、範唱 CD を聴き、「曲について感じたこと」「言葉や旋律について
気づいたこと」を書かせた。
「曲について感じたこと」は曲全体を大まかにとらえた雰囲気を表わすよ
うな記述が多く見られた。例えば、
「おだやかな曲」
「静かな曲」
「ゆっくりで明るい感じ。やさしい。」
といったものが多かった。後者の「言葉や旋律について気づいたこと」については、なかなか記述で
きない生徒が多かった。
「同じ旋律が繰り返されている。」といった曲の形式に関わるものや、
「最後の
“はるかなおぜー”の部分が伸びている。」「細かな強弱記号がある。」「8分休符がたくさん使われて
いる。
“咲いている”の前に休符があって、強弱もppだから、ささやくような感じ。」といったもの
があった。
第2時までは、作詞者・作曲者の名前、生い立ちや作曲者の言葉を読み、植物図鑑で「水芭蕉」を
調べたりなどしながら何度も歌い、
「“しゃくなげ色にたそがれる”とあるけれど、どうしてだろう?」
や「
“まなこつぶれば懐かしい”ということは昔のことなの?」といった疑問を全員で考えながら歌い
深めた。
第3時は、教科書の楽譜を4段に区切り、
「言葉と旋律やリズム、伴奏の特徴」をまとめた。そして、
前時の特徴を踏まえ、それぞれの段をどんなふうに歌いたいか一人ひとり考え学習カードに記述した。
第4時は、一人ひとりの考えをグループで共有し、拡大楽譜に工夫点を書き込み、練習を重ねた。
第5時は、グループごとに発表をし、お互いに感想を言い合ったり、思いをまとめた。
3
実践
(1)仮説
『夏の思い出』を4段に区切り、それぞれの段に関して一人ひとりが「どんなふうに歌いたいか」
を考え、それらをグループごとで共有することによって、自分の工夫点だけでなく人の意見も参考に
しながら、自分たちなりの表現を加えながら歌うことができる。
(2)手だて
第3時において、学習カードに1段目~4段目までの、
「どんなふうに歌いたいか」の欄を一人ひと
り記入し、次時にその考えをグループで共有させた。話し合いをする中で出てきた言葉や考え、記号
等を、
音楽記号が全く書かれていない拡大楽譜にマジックで書きこみをさせた。グループで練習をし、
最終的に発表を行った。使用した学習カードは下のものである。
-音楽 16-
1
①夏がくれば
段
目
思い出す
お ぜ
はるかな尾瀬
②夏がくれば
遠い空
①霧のなかに
<どんなふうに歌いたいか>
思い出す
はるかな尾瀬
2
<言葉と旋律やリズム、伴奏>
野の旅よ
うかびくる
段
<言葉と旋律やリズム、伴奏>
こみち
やさしい影
目
野の小径
<どんなふうに歌いたいか>
②花のなかに
そよそよと
う
ゆれゆれる
3
浮き島よ
①水芭蕉の花が
咲いている
段
<言葉と旋律やリズム、伴奏>
ほと
夢みて咲いている
目
②水芭蕉の花が
水の辺 り
<どんなふうに歌いたいか>
におっている
夢みてにおっている
水の辺
り
4
段
目
<言葉と旋律やリズム、伴奏>
しゃく な げ いろ
① 石 楠花 色 に
はるかな尾瀬
たそがれる
遠い空
なつ
② なこつぶれば
はるかな尾瀬
懐 かしい
遠い空
(
(3)学習カードの内容について
「どのようなふうに歌いたいか」について、生徒は次のような記述を残している。
1段目
・遠くを見て目線を下にしないようにして歌いたい。理由は「はるかな」という言葉が使われている
から遠くを見つめたい。
・思い出なので、1つ1つの言葉を大切に歌いたい。盛り上げ、盛り下げの工夫をしたい。
・リラックスして、伸ばすところをしっかり伸ばしてまったり歌いたい。
・のんびりした感じで。優しく。
・少し弱く歌う→やさしく歌う。
2段目
・やさしかったり、かわいらしい感じの歌詞なので、笑顔で歌いたい。盛り上げ、盛り下げの工夫を
したい。
・
「霧の~」と「花の~」の出だしを強くして、「野の~」と「浮き島~」のところは小さい声で歌い
たい。
・伴奏が明るい感じに変わるので、楽しそうに歌いたい。
-音楽 17-
・楽しい思い出を細かく思い出しているので、明るく歌いたい。
・強弱を意識して歌う。
・優しい感じ。
・休日の午後にとなり街のおしゃれなカフェにいる感じ。
※2段目の記述の続き
3段目
・クレシェンド・デクレシェンドが多く出てくるので、そこに注意して聞いている人がより情景をイ
メージできるよう歌いたい。
・
「咲いている」
「におっている」を優しく!!そしてしっかり伸ばす。
・
「水芭蕉~」のところは盛り上がるように歌い、後半はリズムに気をつける。
・全体的に音が上がっているので前より声量を大きくして、最後は少し静かに歌いたい。
・テヌートを意識して歌う。リズムを意識する。
・最初の方を盛り上げ、最後の方をゆっくり歌いたい。
4段目
・やわらかく歌いたい。
・3段目に出てきた情景をさらに懐かしむように、フェルマータ、テヌートを意識し、抑揚をつけて
歌いたい。
・
「尾瀬」のところを高い音で綺麗に出す。元気よく!!
・最後の方にかけてゆっくり優しい感じで歌っていきたい。
・
「はるかな尾瀬~」を盛り上げるのが目立つよう、他の所を弱くする。
・
「尾瀬」のところでしっかり伸ばして最後また夏を思い出す感じで歌いたい。
これらの記述からは、歌詞からイメージをもって歌い方の工夫につなげている生徒、旋律の動きに
合わせて、強弱の工夫を考えている生徒、フェルマータ、テヌートのように具体的な音楽記号を意識
し歌うことを考えている生徒などが見られる。
(4)グループごとの特徴
(2)で示した学習カードをグループごと持ち寄り意見交換をし、拡大楽譜に次の写真のような書
き込みがされた。ちなみに、拡大楽譜に書き込みをする際、強弱に関する工夫は赤、旋律の動きに関
する工夫は緑、
歌い方に関するものは青で印を書き込み、それ以外のものは茶色で書き込みを行った。
<1班>
・1段目~4段目までの強弱記号、音楽記号は教科書に載っているもの
と全く同じである。
・3段目で旋律が変化していることに気づいている。
・
「3連符」と書き込み、リズムにも注目している。
・1段目、3段目、4段目に歌詞のイメージに合わせた歌い方の工夫が
書かれている。
・4段目の強弱記号はpだが、
「明るく元気な感じで」のような記述が見
られる。
-音楽 18-
<2班>
・強弱記号はおおまかにつけられている。3段目のクレシェンドは「盛り上げる」という言葉ととも
に書かれ、それ以後の強弱については書かれていない。
・1班と同じく、3連符に○がされ、リズムを意識している。
・1段目は「ゆったり」「意味深っぽく」、2段目は「やわらかく・ま
ったり」と書かれ、旋律は同じだが、歌詞から生徒の想像するこの曲
の世界感が伝わってくる。4段目は終わりに向かっていくためか「し
みじみ、ゆったり」と書かれている。
<3班>
・比較的書き込みは少ないが
している。1段目では「はるかな尾瀬
「やさしいかげ
を多用
遠い空」、2段目は同じ個所で
野のこみち」、3段目では「水芭蕉の花が
咲いてい
る」
、そして、最後の「はるかな尾瀬」は大きなクレシェンドで終わっ
ている。4段目は別として、1段目・2段目は教科書には無い強弱表
現である。
・曲の最初に「そっと」、曲の最後に「ゆっくりと」といった書き込み
が見られる。
・
「ほとり」のところにテヌートをつけている。ここは教科書通り。
<4班>
・1段目と2段目の違いを出すために、1段目は「やさしく歌う」、2
段目は「少しテンション UP」と書かれている。3段目になると「す
ごくテンション UP」と書かれるものの、
“咲いている”は「ていねい
にうたう」と書かれている。一番最後は「大切に歌う」と書いている。
・2段目の「やさしいかげ
野のこみち」、3段目の「水芭蕉の花が
咲
いている」にデクレシェンドが使われているが、前者は旋律の終わり
だからか「落ち着く」と書かれている。
・3段目はmfと書かれているが教科書ではmpで始まっている。
・フェルマータは教科書通りの個所につけている。
・1、2班と同様、3連符に○がつけられている。
-音楽 19-
<5班>
・4班と同様、2段目の「やさしいかげ
芭蕉の花が
野のこみち」、3段目の「水
咲いている」にはクレシェンド・デクレシェンドがつい
ている。
・1段目と2段目の違いは、1 段目は「ゆっくりやさしく」、2段目は
「笑顔で」などの書き込みをしている。
・1段目の「はるかなおぜ
遠い空」には
のよ
うな矢印を書き「盛り上げ」
「盛り下げ」と書き込んでいる。これは旋
律の上行・下行に注目し、強弱を変化させようという意図が見える。
<6班>
・1段目の「はるかなおぜ
遠い空」、4段目の最後の「遠い空」にデ
クレシェンドがついており、フレーズの終わりを意識した書き込みが
あった。3段目は、旋律の変化や盛りあがりを意識したクレシェンド
がついており、フレーズの終わりには「優しく」の書き込みがある。
・1段目は
「ゆったりと」、2段目は伴奏の変化を意識し「リズムよく!」
と書かれている。2段目の最初の「霧」、「花」などの歌詞を意識し、
言葉の最初をはっきりさせるための書き込みがある。
<7班>
・3段目「ゆめみてさいている・におっている」に「リズムよく」の
書き込みがあり、3連符などのリズムを意識した書き込みがある。
・
「みずのほとり」の「ほ」の位置にフェルマータがついている。いつ
も少しゆっくり歌っていたせいかと思われる。
・4段目は大きくpと書かれ、曲のまとまりを意識していると思われ
る。
<8班>
・強弱に関係することは、1段目に「ボリュームに気をつけて歌いたい」、
3段目に「少し弱くする」という書き込みがある。
・歌い方についての書き込みがある。1段目は「遠くを見て歌いたい」
「優しく歌いたい」
、2段目は「やわらかく」、3段目は「明るく」、「花
を眺めるように」、4段目は「やわらかく」と書かれている。
-音楽 20-
4
実践のまとめと課題
今回の授業を通して、良かったと考えられることは次の点である。まず、音楽記号や表現記号がま
ったく書かれていなかったため、旋律の動きに集中させることができた。旋律の上行、下行に合わせ
てクレシェンドやデクレシェンドを書き入れ、音量で工夫をしようとする姿が見られた。旋律の終わ
りの音量を小さくしようとしている生徒がたくさんおり、旋律が始まってからどこで終わるのか、つ
まりフレーズを意識できていた生徒もいた。3段目から高い音から始まるのでそこの強弱に関しても
「大きくしたい」といった意見が多かった。
また、1段目と2段目は歌詞が違うが、旋律自体は変わらない。変化しているのは伴奏であるが、
その違いを工夫しようとしている生徒も見られた。例えば、1 段目は「やさしく歌う」、2段目は「少
しテンション UP!」という書き込み、1段目は「ゆったりと!」、2段目は「リズムよく!」といっ
た書き込みがあった。後者は伴奏の動きを意識した書き込みではないかと考えられる。
次に、歌詞に注目した生徒が多かった。いつもなら何も考えずに歌ってしまう可能性が高いのだが、
今回は、歌詞をじっくり見て、
「ゆったり」
「やわらかく」
「花を眺めるように」などといった書き込み
が見られた。
これらから、生徒たちの頭の中で歌詞の風景が浮かんでいるのではないかと考えられた。
この授業の冒頭で、
「音楽の強弱に関するもの」の記号と、「演奏の仕方に関するもの」の記号の確
認を行った。始めは抵抗があったようだが、実際自分の手で書いてみることによって、
「あぁ、これが
クレシェンドの記号か」と認識できた面もあった。
グループでの活動も新鮮であったように思う。友達の意見を聞くことで自分の考えたものと照らし
合わせたり、違いを見つけ合ったりする中で、新しい発見があったりする。歌唱の授業では、あまり
グループ活動は取り入れていないが、今後、また随時、グループ活動を入れていきたいと思う。
○課題
まず、1番の大きな課題は、作曲者の意図をこの授業で意識することができなかったことである。
生徒自身が自由に表現の工夫ができるようにと、音楽記号を消した楽譜を用意したことで、
「なぜ、作
曲者はここでフェルマータをつけたのか?」
「なぜ、テヌートをつけたのか?」といったことを考える
きっかけを逃してしまった。そのために、生徒の一人よがりの表現の工夫となり、教科書に書かれた
音楽表現とは遠いことが書き込まれた。
また、拡大楽譜にとりあえず書き込みはできたが、生徒自身がなぜその書き込みをしたのかという
「考えを述べる」という時間をとることができなかった。ここでも、生徒自身の意図に触れることな
く授業が進んでしまった。
グループ活動の際に意見が割れ、矛盾したことが書き込まれているグループもあった。例えば、
「こ
こはだんだん大きくしたい」と思った生徒がクレシェンドを書き込み、その上に「小さくしたい」と
思った生徒がpを書きいれるといった場面である。十分な時間がとれず、意見を集約するための意思
疎通ができなかった。
これらの課題を克服するには、小さな原因がたくさんあるが、まず1つには、観点の多さが考えら
れる。今回は、強弱の工夫は赤、旋律の動きに関する工夫は緑、歌い方に関するものは青、その他の
工夫は茶で書き込ませたが、生徒が工夫点を書く上で観点が多すぎて混乱させてしまった可能性があ
る。もう少し観点を絞れば、書き込むだけでなく意見を交換する時間もとれたのではないかと考えら
れる。
また、作曲者の意図を考える上で、音楽記号を消してしまう必要があったどうかも疑問である。作
曲者が付記した記号を、全員で考えて読み解く活動をする中で、作曲者・作詞者の思いを感じ取るこ
とが大事である。それらのことを加味しながら、次回このような授業を行う時は、扱う題材をよく吟
味し、楽譜の中に隠された、作曲者・作詞者のヒントを逃さぬよう考えていきたい。
-音楽 21-
実践事例⑥
坂川
伸二
作曲者が楽曲に込めた気持ちを創造する活動を通して、
強弱を工夫しながら表情豊かに歌唱表現する事例(中1)
平成27年6月4日(木)第5校時
1
日
時
2
授業学級
1 年 2 組(男子15名・女子16名・計31名)
3
題 材 名
強弱を理解し表情豊かに歌おう【心の歌「浜辺の歌」】
4
学習指導案
(歌唱表現)
(1) 主眼
① 「浜辺の歌」の歌詞の内容を理解し斉唱で歌うことができるようになった生徒達が、作曲者
が『浜辺の歌』に込めた気持ちを書かせる活動を通して、曲の背景や心情に触れ日本独特の
情緒あふれる曲想を味わいながら表情豊かに歌うことができるようになる。
(2) 本時の位置(2時間扱い中の第2時)
前時
「浜辺の歌」の歌詞の内容を理解し音程とリズムを間違えないように斉唱で歌った。
次時
クラスで歌う混声3部合唱のパート決めを行い、混声3部合唱に取り組む。
(3)指導上の留意点
○ 作曲者が『浜辺の歌』に込めた気持ち(曲の背景や心情)を想像し書かせる時は、きちんと
考え記入する時間を確保する。強弱、伴奏の形などから波の寄せてかえす様子をどのように
表現しようとしたかなどヒントをだしながら説明したことなどを踏まえ、曲の背景と強弱、
伴奏の形との関わりから想像させるようにする。
(4) つける力
○ 曲の背景や心情に触れ日本独特の情緒あふれる曲想を味わいながら表情豊かに歌おうとする
ことができるようになる。
(5) 実証の観点
○ 作曲者が『浜辺の歌』に込めた気持ち(曲の背景や心情)を想像し書かせたことは、曲の背
景や心情に触れ日本独特の情緒あふれる曲想を味わう力を付けるのに有効であったか。
(もし有効であったならば、それぞれ考えた気持ち想像しフレーズを生かしながら、波が寄
せてかえす様子など強弱をつけて表情豊かに歌おうとする姿が見られるだろう)
(6)展開
段階
学習活動
予想される生徒の反応
時間
指導・助言・評価
1 校 歌 を 合 「チャイムがなったと同時に歌い 5 ・
導 唱する
始めるぞ」
・
「歌詞を早くおぼえたいな」
「しっかり大きな声を出して歌う
入
・
\ 3「浜辺の
大きい声で歌えるよう、教師も一
緒に範唱する
「いい姿勢で口を開けて歌おう」
歌」を斉唱す 「前回もやったから歌えるぞ」
る
「チャイム合唱でも校歌歌ったけ
ど、改めて校歌を練習しよう」
ぞ」
2「浜辺の
『校歌』をチャイム合唱する
・
5 ・
「僕は声変わりしているから1オ
クターブ下げて歌うぞ」
歌」の曲想表
「浜辺の歌」
現を追究す
強弱を理解し表情豊かに歌おう
る
正しい姿勢で歌うよう助言する
教師の伴奏で『浜辺の歌』を斉唱
する
・
「それでは1回通して歌います。」
・
強弱記号の確認をする
25 ・
「記号<や>、mp の読みと意味わ
かる人?」
-音楽 22-
・
「クレシェンド。だんだん大きく。」
う。先生が弾いてみるから。」
「強弱記号の意味を思い出したぞ」
展
「この形どこかで見たことある」
「波かもしれないなぁ?」
「波が行ったり来たりしている」
「寄する波よ、かえす波よ…か
・
へ音記号の伴奏を指でなぞる
・
「この形、何かに似てない?」
・
「波のどんな様子?」
・
「歌詞の言葉で言うと?」
・
波が寄せて返す様子を強弱で表し
な?」
ていることに生徒自ら気づくよう
「なんで、こんなに細かく強弱記号
ヒントを出して説明する。
・
が書いてあるのかな?」
開
の歌』にどんな気持ちを込めよう
「浜辺を巡り歩いている感じ」
としたのかな?学習したことを踏
まえ想像して書こう。」
・
しんでいる気持ち」
・
「夕方の波のようにゆったりとし
間をきちんと確保する。
「海のやすらぐような気持ち」
・
「昔のことを思い出したり忘れた
波が寄せて返す様子をイメージし、
強弱をつけて表情豊かに歌うことが
4「浜辺の 「
『浜辺の歌』で出てくる海波はど 10
できたか。
んな様子なのかな?」
「気持ちを想像しながら、波のよう
・
に強弱うまくつけられるかな?」
末 用 紙 を ま と 「最初に歌ったときよりきれい」
め、次時の確 「浜辺の様子をイメージして歌っ
5
「それぞれ考えた気持ちを想像し
ながら、強弱を意識して歌おう」
りする感じ」
認をする
自分の想像した気持ちを言葉で表
し記入させる。考えを記入する時
た波を思い浮かべながら」
斉唱する
5感想記入
歌詞と強弱、伴奏の形との関わり
から想像し書かせる。
「おだやかでやさしい気持ち」
終 歌」を全員で
「作曲者の成田為三はこの『浜辺
「波が寄せてかえす様子?」
「浜辺で海(波)を見て、昔を懐か
\
「指で一回伴奏をなぞってみよ
「それぞれ考えた気持ちを創造し
ながら波の様子を強弱で表現で
5
きたね」
・
次時の確認をする。
たら強弱も自然にきれいに歌えた」
考察(実証の観点から見た研究の成果と課題)
○ 作曲者が『浜辺の歌』に込めた気持ち(曲の背景や心情)を想像し書かせたことは、曲の背景や
心情に触れ日本独特の情緒あふれる曲想を味わう力を付けるのに有効であったか。
(もし有効であったならば、それぞれ考えた気持ち想像しフレーズを生かしながら、波が寄せて
かえす様子などを強弱をつけて表情豊かに歌おうとする姿が見られるだろう)
○ 学習カードの問いで【Q成田為三は『浜辺の歌』にどんな気持ちを込めようとした?】を書いて
もらった。ある生徒は「波の様子をみるといろいろなことを思い出すことができて、それはアル
バムのようであるという気持ち。
」と書いた。また、ある生徒は「(昔)前あった思い出をよみが
えらせようとした。波の情景→(昔)前あった思い出を考えながら」と書いた。授業の最後に歌
った時には、浜辺をさまよいながら波を見て昔あったことや昔お世話になった人のことを思い出
している気持ちを込めながら、波の寄せて返す様子を強弱にのせて歌うことができた。楽譜に書
いてあるから強弱をつけるというだけでなく、歌詞や音楽に込められた気持ちに思いを寄せて歌
うことが大切であり、そのような指導をしていきたいと感じた。
-音楽 23-
実践事例⑦
坂口みな子
学校行事における学年合唱の運営について
~効率よく合唱を創り上げるための手立てを模索する~(全学年)
1
本校における合唱の位置、および生徒の実態
本校は「人を敬い(感謝) 人と和し(おもいやり) 自らを創る(たくましさ)」という教育目標
のもと、「和」(おもいやり)として開かれた集団づくりとして合唱を取り入れ、力を入れて活動して
きているため、教科だけではなく、学級・学年単位で年間を通じて合唱を行う雰囲気が職員・生徒と
もにできている。
また、全校音楽集会の際に 3 年生の有志メンバーがステージに立ち、入退場時に見本となる合唱を
行っているが、そのメンバーに入ることに憧れている生徒がとても多く、合唱を本校の誇れる伝統と
とらえ、意欲的に歌う雰囲気が全校に定着している。以前は合唱コンクールで金賞を取りたいという
意識が強かった学級が多かったが、選んだ曲をどのように深めていくかということに意識が向き始め、
文化祭以降もクラス合唱の内容が向上した学級も多い。
しかし、まだ歌う際の表情が豊かではなかったり、響きが少ない発声で歌っていたりする生徒がい
ることも課題である。
2
行事ごとの合唱について(今年度のもの)
職場体験学習お礼の会(7 月)
文化祭(9 月)
一
年
二
年
三
年
3
※斜体は授業内でパートの音取りを行った曲
新入生説明会
3 年生を送る会
卒業式
翼をください
風が吹いている
変わらないもの
あなたへ
(混声 3 部)
(混声 3 部)
(混声 3 部)
~旅立ちに寄せるメッセージ~
ふるさと(混声 3 部)
COSMOS
糸
(混声 3 部)
いざたて戦人よ(混声 8 部)
(混声 3 部)
(混声 4 部)
1 年次に学習し、以後継続
群青
1 年次に学習し、
愛を込めて花束を
旅立ちの日に(混声 4 部)
(混声 4 部)
以後継続
(混声 4 部)
きこえる(混声 4 部)
昨年度の教科経営の反省を踏まえて今年度改善を試みたこと
昨年度本校に赴任した。前年度の年間指導計画をもとに昨年度の計画を立てたのだが、合唱の比重
が高く、文化祭におけるクラス合唱を含めると前期は合唱の授業のみとなり、後期に鑑賞・創作・器
楽の活動を集中的に行わざるを得なかった。しかし、歌唱教材を扱う前にこそ鑑賞や創作で感受を育
て、曲の仕組みや音楽的な要素を知覚する活動が必要であると強く感じた。学校が合唱を中核に据え
て取り組んでいるからといって行事のための合唱に偏った授業では、生徒の基礎的な音楽の能力を伸
ばすことは難しいと考えた。
本年度は、文化祭の合唱に取り組む前に全ての学年に鑑賞を 1 題材設け、創作や重唱でテンポや強
弱の変化、アンサンブルの楽しさなどを味わわせる活動を行った上で、6 月末~7 月にクラス合唱の
選曲を行った。そのため、合唱のための授業時間は大幅に減らすことになった。また、授業内で行っ
てきた学年合唱のパートの音取りを授業で行わず、学年の協力を得た上で学年の集会で全て行い、授
業では導入の際に気持ちよく歌える曲として扱えるようにした。
ここで重要になってくるのは、限りある時間の中で効率よく短時間に正確に歌えるようになること
である。その為に、以下の 4 点を意識して授業の中で指導するよう心掛けた。
・ 音の羅列だけで覚えがちなパート練習を、曲のまとまりを知覚して、まとまり毎にパートの旋律
を覚えるように指導した。
「翼をください」のように短い曲ではあるが
-音楽 24-
ユニゾン→2 部合唱(ポ
リフォニー)→3 部合唱(モノフォニー)を味わえる曲を、まとまり毎に歌い合わせ、1 年生が
15 分程度で歌えるようになった。
・ 合唱してハーモニーを感じられる、リズムが揃っている、声の質が揃っていることなどに喜びを
見出せるようにするために、校舎のよく響く場所(本校では階段の踊り場)で合唱をアカペラで
行う。歌い合わせながら、自分たちで生み出した響きを同時に体感させられるようにした。
・ 音取りをしているときは出来上がった合唱を想定できるような歌い方でなければならない。当た
り障りなく歌わないで本番と同じように声を出すことを意識させた。
・ できた、揃った、響き合った、と実感できる活動を心がけ、自らの意志で合唱に取り組む雰囲気
を少しずつ積み上げていくことを大切にし、技能面の充実を図りながら意欲的に活動したいとい
う精神面の充実につながるようにした。
4
学年合唱練習の実際の推進方法
(1) 事前準備
① 選曲で心がけていること
・ 無理をせず、あまり難易度の高くない曲を選ぶ。ユニゾンから始まるものが望ましい。
・ 学年の意向や音楽科のねらいを踏まえ、何曲か候補を出し、生徒にアンケートを取り、自分
たちで決めた曲だという意識を持たせる。
② 音源の準備と活用
・ 模範合唱・伴奏・パートごとの範唱を必ず用意する。曲によっては市販の音源がない場合も
あるので楽譜作成ソフトを使用して作成する。
・ 音源の CD は複数枚用意し、予習や復習をしたい生徒にいつでも貸し出せるようにしておく。
・ 合唱練習が始まる数日前から給食時に学級で模範合唱やパートごとの範唱を聴かせるように
し、曲になじませておく。
③ パートリーダーの育成
・ 各学級のパートリーダーを事前に集め事前に歌えるように指導をし、合唱の核になる声をつ
くっておく。
・ パートごと相談をさせ、練習方法を必ず打ち合わせさせる。進め方、必要な道具、パートリ
ーダーの立ち位置などの確認。
(2) 学年音楽集会の持ち方
・ 練習する時間は曲の内容によって変わるが音取りから合唱まで、2 時間でできるようにするよ
う心掛けている。1 番を覚えればそれ以降は繰り返しで歌える曲は 1 時間。多少複雑になって
くる場合は 2 時間で全ての音を取り通して歌えるようにする。
・ 合唱は多目的室(教室 2 個分の広さ)で行う。適度に生徒が密集できる広さでお互いの声が聴
こえ、音が反響する環境なので、ハーモニーの一体感やうまく歌えない部分を実感しながら歌
うことができる。通して合唱できるまでは伴奏を一切入れないでアカペラで練習を行う。
練習の流れ
時間
内容
5分
全
体
会
例)1 番・2 番・コーダで構成されている曲。1 時間扱いのもの。
主な活動
・
練習の仕方の説明
・
ユニゾンで始まる曲の場合はユニゾン部分の練習。
・
練習会場へ移動。
-音楽 25-
30 分
パ
ー
ト
練
習
・
パートの範唱を、楽譜を見ながら聴かせる。
・
一番のみ取り出し練習させ、歌えるようになって来たら二番に入る。
・
CD の音源、またはキーボードで音を取る。とれるようになったら何も用いない
で練習させる。
・
時間がきたら多目的室へ移動させる。
・
早く戻ってきたパートから歌わせ、後から来たパートも整列させながら歌わせ
る。
15 分
合
唱
練
習
・
全員集まったら一番だけ合唱。
・
男声だけ、ソプラノとアルトだけ、と取り出して歌わせ、聴かせ合い互いのパ
ートの音を認識させる。
・
一番だけ合唱させる。
・
最後に全て通して合唱させる。
(3) 歌えるようになった合唱の継続のさせ方
・ 授業の導入で歌う。その際、苦手な部分がある場合は聴き取りその都度修正していく。
・ パートリーダーや学芸委員の呼びかけで午後学活に歌う。
・ 15 分程度で行われる学年集会などの時に 1 回は合唱する。
5
おわりに
短時間で歌えるようにするために、学年体制で取り組むことができる現在の環境についてとても感
謝している。現 3 年生は、文化祭前の学年合唱に早く取り組みたいという希望があり、5 月にはアン
ケートを取り 6 月に練習を始めた。パートリーダーが「群青」という曲に惚れ込み、友の前で口ずさ
み、学年全体で練習した時には 1 時間でほぼ歌えるようになるところまで到達することができた。そ
れが彼らの自信や意欲に結びつき、クラス合唱曲の練習に反映されることになった。そしてコンクー
ルがない冬になっても歌うことに対する意欲は衰えず、卒業式に向けた合唱練習はさらに意欲的に取
り組んでいる。
実際のところ、過去の音楽科よりも授業の中の合唱の時間を減らしたことについて、歌い込みに欠
けると思っている職員もいる。しかし教科として様々な経験をした上で合唱を創り上げることのほ方
が、表現豊かな合唱を築く近道なのではないかと思う。限られた時間の中でどんなことができるかを
考えていくことが大切だと感じ今年度は効率を考えたが、時間を短縮することだけにとどまらず、よ
り質の高い音楽を生徒とともにつくることについて模索していきたい。
-音楽 26-
実践事例➇
山口
駿
グループ活動を通してアルトリコーダーの運指を覚え、仲間とともに曲を奏でる事例(中1)
1.題材名
「リコーダーの奏法を身につけ、仲間とともに曲を奏でよう」(器楽単元)
2.主眼
アルトリコーダーを初めて手にした生徒たちが、運指を覚える場面で、教師の生の音を聴いたり、
与えられた音の中から仲間と協力したりして、運指を探ることを通してアルトリコーダーに興味を
持ち、基本的な音階を知り、簡単な曲を演奏することができる。
3.本時の位置(全9時間扱い中
第1時)
前題材:ギターの実技テストを行い、仲間の演奏を聴いての感想文を書いて、発表した。
次時:タンギングの奏法を身につけ、「かっこう」のA1、A2をペアで吹けるように練習する。
4.指導上の留意点
・生徒同士の支援や、声がけを大事にする。教師は最後のまとめでよい声がけの場面を紹介したい。
5.展開
段
時
学習活動
予想される生徒の反応
◇教師の指導・援助
評価
階
導
1 .ア ル ト リ コ ー
ア.ソプラノリコーダーと違って
◇足部管の角度を右手小指の長さに
ダーを組み立
3つに分かれてケースに入っ
合わせて調整するよう促しながら
てる。
ているのだ。
巡視する。
2.アルトリコー
ダーが活躍す
入
備考
間
イ.どんな音がするのかな。
◇自由に音を鳴らしてみるよう促す。
ウ.とてもリコーダーで演奏して
◇アルトリコーダー3重奏「星の世
いる風には聞こえないな。
る曲を聴いて、
エ.私も曲を吹いてみたい。
感想用紙に記
オ.みんなと一緒に合奏してみた
入する。
い。
3
参考
5
界」であることを伝える。
学習カ
◇授業者が CD に合わせて吹く。(伴
ード
奏 CD)
◇聴きながら感想用紙に記入するよ
うに促す。
3.感想を発表。
カ.ソプラノリコーダーと響きが
◇発表した生徒の感想を板書する。
4
◇曲を吹くためにはまず何をするか
3
違う。
4 .運 指 を 覚 え る
キ.指使いがわからないなぁ。
必要性 を感 じ
問いかける。
させる。
/
展
ラシドの運指
をグループご
と見つけ、練
習。
開
◇ギターでの学習を想起させる。
【学習問題】仲間と相談しながら、音階の指使いを探ろう。
5.ドレミファソ
(5グループ)
ク.ソプラノリコーダーと一緒か
な。
◇ドの運指のみ教え、タオルで運指を
隠した状態で音階を吹く。
ケ.「ソ」まではわかるが、「ラ」 ◇「ソ」まではわかるが、次の音がわ
がわからない。
からないグループには「ラ」の音を
コ.親指を外すと音がかすれる。
教えることや、親指を立ててみるよ
サ.音階が完成した。吹けた。
う助言する。
◇ソプラノリコーダーの「レ」と同じ
運指であることを伝える。
-音楽 27-
音源
15
シ.曲が吹けた。
◇ゆっくりなテンポで1音ずつ吹か
6 .全 体 で 音 階 の
10
せ、音階を吹き終わったらかえるの
確認をする。
うたを吹かせる。
◇最後までかえるのうたの音程で吹
いたら黒板に楽譜を掲示する。
◇グループごとに出るタイミングに
7 .「 か え る の う
5
合図を出す。
た」を 輪奏 で
正しい運指を知り、
「かえるのうた」を演奏できたか。
演奏する。
/
ス.友達に教えてもらって指使い
終
8 .授 業 を 振 り 返
り、学習カード
末
に記入する。
がわかってよかった。
◇感想を発表させる。
◇教師が良い姿(協力、音楽的な面)
セ.正しい指使いがわかってよか
った。
5
学習カ
ード
を発表する。
◇次回はタンギングの練習をするこ
とを伝える。
6.実証の観点
・グループで運指を探す活動を取り入れたことは、リコーダーの運指を覚えるのに有効であったか。
7.授業記録
「かえるのうた」(輪奏)をする場面では次のような生徒のつぶやきがあった。
T
1:今度は、始めに吹き始める班を入れ替えてやってみよう。
A 生1:ソからラにすぐ指がいかなくて間に合わないなぁ。
T
2:なら少しテンポを遅くしてみようか。
B 生1:それならできそうだね。
T
3:少し遅いテンポにしたらできたかな。
A 生2:できました。
T
4:あらかじめ右手をラの音の押さえる穴の上に準備しておく
といいよ。
8.考察
グループで運指を探すことにより、ソプラノリコーダーとの運指の違いに気づき、全体で音階の
確認をする際に、コールアンドレスポンスを取り入れることによって、運指の確認をしながらタン
ギングの練習もすることができた。しかし、一部の生徒が運指を理解していないまま、
「かえるのう
た」にすすんでしまい、戸惑う場面もみられた。もう少し運指の確認をする時間を長くして指導す
る必要があると感じた。
-音楽 28-
五
研究のまとめと課題
本委員会では下記の実践を通して研究を深めてきた。
① 教育課程実践校の「音楽づくり」の授業場面の公開及び授業研究会、またその授業を受け、委
員会運営の研究協議にて、ワークシートを用いた「音楽づくり」や「創作」の授業を考える演
習を通して、同じ中学校区の教員によるグループ編成で小中9年間を見通して授業構想を考え、
「共通事項」の関わりについて考え合った。
② 委員による小中の授業公開を通して、授業者の抱える課題を考え合うことができた。
③
委員全員による実践をレポートにまとめ、読み合うことを通して、意見交換をすることができ
た。
④
研究発表会を通して、上小地区の先生方から貴重なご意見をいただき、今後の課題を確認する
ことができた。
上記の取り組み中で、〔共通事項〕の扱いについて、次のことが再確認できた。
〇記号や符号を知識として子どもたちに教えていないだろうか。
〇表現力を高めるために「知識があることによって表現を高める学習が深まる」ように指導して
いくことが大切である。
教師が子どもの意見や考え方に共感し、そのことに意味付けして全体に広げる場合でも、「あぁ、
そう感じたんだね。それは音楽では○○というんだよ」と返すのでなく、「あぁ、そう感じたんだね。
じゃあその部分に注目してみんなで聴いてみよう。」と返し、みんなが共感して全体が共有した時に
知識をおさえる。そして知識の獲得は、実際に音楽で確かめていく大切さを認識することができた。
このように、われわれが教材研究をおこなう大切なポイントとして、子どもの立場で実感を伴った〔共
通事項〕の学習であり、音楽を通した理解や実感を伴う授業をしければならないことを学ぶことがで
きた。
さらに、手応えがあった授業実践を翌年同じ学年で同じように行っても、同じような手応えを感じ
られなかったり、個々に違う児童生徒の発達段階や学校によって授業体制などが異なるため多少修正
した授業展開では上手くいかなかったりするというように、教科の指導法に関係した様々な内容で先
生方が抱える苦しい点も見えてきた。
そのような情報を交換し合ったり、推進係の校長先生からお話しをうかがったりすることを通して、
私たちが根幹に音楽の素晴らしさを忘れずにもち、児童の成長の姿を目指してあきらめずに指導法を
工夫して何度も取り組み、少しずつ練り上げていける授業構想にしようという気持ちを大切にしてい
きたいと決意を新たにした。以上本委員会の研究のまとめとさせていただく。
六
委員名簿
推進係
畑中
浩美
委
員
佐藤
委員長
滝沢
深
委
員
栁澤ゆかり
坂口みな子
委
員
飯田
佐和
副委員長
園
会
計
浅井
美咲
委
員
坂川
伸二
記
録
宮林えりか
委
員
山口
駿
-音楽 29-
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