...

第104号(平成23年1月発行)(PDF形式 2003 キロバイト)

by user

on
Category: Documents
7

views

Report

Comments

Transcript

第104号(平成23年1月発行)(PDF形式 2003 キロバイト)
明日の県立病院を考える情報通信
第 104
104 号
県立病院ニュース
平成23年1月
◇ topics 1◇
新型インフルエンザ対応演習
病院局発行
~柿崎病院~
去る平成 22 年 11 月 27 日(土)、インフル蔓延期以降の外来・入院対応について、地域医療病院
の施設、設備などのハード面と患者の誘導や医療従事者の行動などのソフト面を検証することを目的に、
当院で新型インフルエンザ対応演習を実施した。
演習は、「中程度の病原性を持つ新型のインフルエンザ
ウィルスが感染拡大期を経て蔓延期となり、感染症法に基
づく入院勧告措置が解除され、全ての医療機関で医療提供
が開始された」という想定で、病院前の医師官舎に新型イ
ンフル患者専用の発熱外来を設置して(写真 1)、そこで診
察を行い、重症と診断された患者については専用の入院口
写真 1 位置関係
へ搬送するという内容で行われた。
参加者は、県(当院、上越地域振興局、防災局、福祉保健部)、上越市、頚北消防署(上越地域消防
事務組合)、県立柿崎病院後援会及びその呼びかけにより参集した地域住民の約 50 名だった。
これまでの演習になかった次の 2 点を新たな取組として検証した。
1
受診前チェックシー
受診前 チェックシート
チェックシート の 試行
住民が事前に配布されたシートを用いて自宅で自分の症状をチェックして、受診時にそれを持参
することで、病院でそのシートを問診票として活用して受診の流れを円滑にする試み
2
重症者を
重症者を 優先して
優先して診察
して 診察する
診察 する体制
する 体制の
体制 の 試行
受付で酸素飽和度 (血液中のヘモグロビンの何%が酸素と結合しているかを表したもの。パルスオキシメー
ターによる測定は容易で、ある程度の呼吸状態の確認ができる。) を測定し、他の症状と合わせて総合的に
患者の重症度を判断し、医師が重症者を優先して診察する体制を構築する。
9 時 40 分、病院玄関前で開会式(写真 2)。参加者の熱意によるものか、当日はそれまでの荒天か
ら一転、快晴となった。
患者役の住民の協力を得て、14 事例のシナリオを演習した。
写真 2 開会式
写真 3 トリアージ
トリアージ
徒歩や自家用車などで来院した患者は、必ず正面玄関前(屋外)に設置した「来院者受付」でトリ
アージを受ける(写真3)。
発熱外来 診察室
写真 4 発熱外来 待合室
待合室
「受診前チェックシート」を持参しているので、これに沿って症状を確認、酸素飽和度測定後、一般
状態も含め優先度を判断し発熱外来へ誘導する。トリアージの結果を発熱外来へ携帯電話を用いて連絡
する。診察までは、徒歩の患者は発熱外来待合室で、また、自家用車で来院した患者は車内で待機する
こととした(写真4)。
発熱外来診察室では、医療者はゴーグル、N95 マスク、ガウン、手袋を装着し対応した(写真5)。
診察を終えた患者は、別室で薬剤師による薬剤指導を受け(写真6)、会計は、後日精算することと
した。
救急車で搬送する患者は、救急車内で診察して入院を決定し、携帯電話を用いて病棟に連絡を入れ
服薬指導
車の到着
写真 5 発熱外来 診察室
た後に入院することとした(写真7)。
写真 6 薬剤師による薬剤指導
写真 7 車内での診察後入院へ
新型インフルエンザ対応演習に参加してみて、次のことが確認できた。
①
受診前チェックシート
受診前 チェックシートの
チェックシート の活用で
活用 で 問診業務を
問診業務 を 簡略化でき
簡略化できる
でき る 。
②
酸素飽和度測定が
酸素飽和度測定 が トリアージで
トリアージ で 活用でき
活用 できる
でき る 。
③
携帯電話の
携帯電話 の 活用で
活用 で 重症者を
重症者を 最優先で
最優先 で 診療することができ
診療 することができる
することができ る 。
今回、当院では、後援会及び地域住民の協力をいただき、実践さながらの訓練をし、課題の抽出ができ
た。今後、この結果を踏まえて、病院のマニュアルの見直しをしていくことが重要である。
今まさに、国内各地で強毒型鳥インフルエンザが検出されており、新たなインフルエンザの流行に向
けて対策を充実させることが重要と考える。
(柿崎病院感染対策委員
看護師
新保憲一)
◇topics 2◇
ただいま院内で盲導犬がお仕事中です
~坂町病院~
補助犬とは、目や耳や手足が不自由な人のお手伝いをする、「身体障害者補助犬法」に基づいて認定
された盲導犬、介助犬、聴導犬のことです。
からだの不自由な人のからだの一部であり、ペットではありません。特別な訓練を受け、きちんとし
つけられているので、社会のマナーも守れるし、手入れも行き届いて衛生的です。公共施設や交通機関
をはじめ、飲食店やスーパー、ホテルや旅館などいろいろな場所で補助犬を受け入れることが義務づけ
られています。
現在、県内では30頭の盲導犬と1頭の聴導犬 (平成 22 年9月末現在) が稼働しているので、他病院
でも仕事中の補助犬を見かけた方も少なくないでしょう。
坂町病院では、8 月から盲導犬グティがユーザーT さんと透析治療に通院しています。T さんは 7
年ほど前から坂町病院で透析を受けています。
待機している
待機 しているグティ
している グティ
青 い 敷物は
敷物 は ヨガマット
盲導犬
スペース
唯一のカーテン
事務机
体重計
スケールベッド
入口
1
透析治療している
透析治療 している他
している 他の 患者さんに
患者 さんにアンケート
さんに アンケートし
アンケートし 、 犬 が 苦手な
苦手 な 方 との接触
との 接触が
接触 が 少 なくなるよう調整
なくなるよう 調整
具体的には、月水金の午後から行っていた治療を、患者さんの入替えのない火木土の午前へ、入室
時間も少し遅めの 9 時過ぎに変更してもらった。
2
透析治療室の
透析治療室 の 動線の
動線 の見直し
見直 し
盲導犬と一緒に動きやすいように入り口付近にあった事務用テーブルを壁際に移動。入口付近にス
ペースを作るこの見直しは、ストレッチャーを使う場合にも有効だった。
3
スケールベッドに
スケールベッド に 変更
犬と一緒に体重計を使うのが難しいのでスケールベッドに変更した。従前は、入口から向かって左
側で治療を受けていたが、向かって右側の、広めのスペースの取れる壁際、隣のベッドとの境にカー
テンが使える位置での実施とした。
また、ロッカーの位置なども盲導犬と一緒の T さんの使いやすいよう見直した。
4
他 の 患者さんに
患者 さんに向
さんに 向 けた対応
けた 対応
T さんの透析室までの経路各所に「補助犬の同伴ができます。」のポスターを掲示した。
通院に合わせ、9 時と 14 時に「院内で盲導犬が仕事中です。」というアナウンスを流している。
盲導犬は毛が落ちないように仕事着を着ているが、T さんを待っている時の敷物に「ヨガマット」
を持参してもらっている。マットが滑らないので犬も安心して過ごせている。(盲導犬協会の方から
もこのアイディアを参考になると言われた。)
従来の治療時間等を変更することについて、これまでの生活スタイルを変更しなければならないこと、
土曜日に就業している家族のへの配慮から、初めは難色を示されましたが、今は、寧ろ体調もよくなっ
たと話されてた。
・ 盲導犬を伴っての透析治療を受けたいという希望にすぐに対応していただけて良かった。北海道盲
導犬協会の方から、「ここまでやってくれる病院ははじめて」と言われており感謝している。
・
はじめて盲導犬と一緒に歩いたとき「風を切って気持ちよかった。」と感じた。
白杖では家の周りを歩くのが精一杯であったが、グティとなら毎日1~2 キロくらいの散歩ができる。
(実際、歩くスピードがかなり速く、歩行中の写真を撮影しようと待機していましたが間に合いませ
んでした。)
・
最初、盲導犬がどこへでも連れて行ってくれると錯覚していたので、叱ることが多かった。グティ
も叱ると萎縮して動けなくなってしまった。グティと生活が長くなってきて、盲導犬は指示がないと
動けないということに気付くことができた。それからは、ユーザーが頭の中に描けること以上のこと
は指示ができないから盲導犬もできないのだからと分かり、叱ることも少なくなった。(だから、盲
導犬のユーザーは、生まれつきの視覚障害者より中途失明者に多い。)
・
盲導犬について、小学校などで話をする機会なども得て、張り合いのある生活を送っている。
・ 他病院で透析治療に通っていた盲導犬は、犬の病気のために盲導犬を引退してしまったが、自分は、
盲導犬のいない暮らしはもう考えられない。
・
最近、知人から T さんが「穏やかになった。」と言われたと T 夫人は嬉しそうでした。
ハーネスにつけられた
ハーネス につけられた
「 仕事中」
仕事中 」 の 標識
患者さん・ご家族から病院の対応を高く評価していただき、
嬉しい気持ちで話を伺うことができました。
(取材:業務課柴山)
新 しい年
しい 年 を 迎 えました。
えました 。
今年も
今年 も 皆 さんからの Hot な 情報、
情報 、 投稿を
投稿 を お 待 ちしています。
ちしています 。
病院局業務課改革室
E-mail: [email protected]
Fly UP