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HT23203 - 日本学術振興会

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HT23203 - 日本学術振興会
平成23年度
ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI
(研究成果の社会還元・普及事業)
業 務 完 了 報 告 書
HT23203
日本の
日本のモノづくりと
モノづくりと国際経営
づくりと国際経営国際経営-液晶電卓の
液晶電卓の誕生から
誕生から液晶
から液晶テレビ
液晶テレビの
テレビの国際経営
開催日
: 平成 23 年 7 月 17 日(日)
実施機関
: 立命館アジア太平洋大学
(実施場所)
実施代表者
: 中田 行彦
(所属・職名)
受講生
: (国際経営学部・教授)
高校生 46 名
関連 URL
: http://www.apu.ac.jp/home/modules/news
/index.php?page=article&storyid=2283
図1
液晶解剖の様子
【実施内容】
1. は じ め に
携帯電話、デジカメ等のエレクトロニクス製品、環境にやさしい自動車等は、日本の技術によって作り出
されています。これらの日本の技術力=モノづくりの力は世界に誇れるものです。これらの技術は、どの
ように研究され、どこで製品にされたのでしょうか?製品がどの様に市場に出され、皆さんの手に入るの
でしょうか?
この疑問を、液晶の技術開発の事例について、技術をいかにビジネスに結びつけるかという「技術経
営」の視点から取り上げました。知的好奇心に溢れる文系と理系を志望する 46 人の高校生と、APU のアジ
アからの国際学生(留学生)6 人、国内学生 8 人が一緒になって探ってみました。本年度は 5 回目の開催
です。
2. 当日の
当日のスケジュール
10:00 受付、開場
10:30 挨拶、オリエンテーション
10:50 液晶解剖 『液晶はどのように動作するの?』 講師:中田行彦
11:00 液晶の分解・解剖
講師:首藤義久
12:00 昼食、APU 施設見学
13:00 図書館で NHK ビデオ「プロジェクト X @液晶 執念の対決」
13:45 ビデオを基に APU 学生を含めた小グループで討論、まとめ
14:30 小グループ討論結果の発表
15:15 クッキータイム、フリートーク
15:45 講演『液晶からみた日本のモノづくり(電卓と太陽電池)』講師:中田行彦、首藤義久
16:30 修了式、「未来博士号」授与式
17:00 終了、解散
3. 液 晶 解 剖
講師:
講師:中田行彦
オリエンテーションの後、高校生は 9 グループに分かれ 1 台ずつ、実際にジャンクのノートパソコンを分
解し、液晶やパソコンの中を解剖しました(図 1)。いままで見たことの無かったノートブックパソコンの中身
を見て、液晶がどのように動作するのかを理解しました。
4.ビデオケーススタディによる
ビデオケーススタディによるグループ
によるグループ討論
グループ討論・
討論・発表
NHK のテレビ放送「プロジェクト X」の「液晶:執念の対決」は、世界初の
液晶付き電卓(図 2)が、どのように研究・開発され商品化されたかについ
てまとめられています。このビデオを見て、「独創的な技術・商品の研究・
開発に必要なものは何か?」について、APU 学生を含めた小グループで
討論しました。グループは、コミュニケーションの取り方を勉強するために、
APU 学生の国内および国際学生を混ぜて構成しました。小グループ討論
の結果を、全グループで発表し討議しました。これらの討議・発表は高校
生が経験したことの無いことですが、APU ではよく行っている教育方法で
す。執念を持った研究、チームワークによる商品開発、リスクを享受した
図2 液晶電卓
研究・開発・管理等が、独創的な技術・商品の研究・開発に必要なことを理解してもらいました。
5.フリートーク
クッキータイムのフリートークに、イノベーション(技術革新)の重要性と APU の多文化・多言語の環境につ
いて話をしました。
6.講演『
講演『液晶からみた
液晶からみた日本
モノづくり(
電卓と太陽電池)
太陽電池)』【講師
』【講師】
中田行彦、首藤義久
からみた日本の
日本のモノづくり
づくり(電卓と
講師】中田行彦、
液晶の応用商品となった電卓のイノベーションについて、
シャープの大分技術センター元所長首藤義久さんから
大英博物館にも所蔵されている世界初の電卓や、液晶
電卓等の実物を見せていただきながら、電卓の発達の
歴史のお話を聞きました。そして、日本の液晶技術が、
どのように研究・開発され事業化・産業化へと導かれた
かを説明しました。また、近年、日本の液晶生産能力は
韓国、台湾に負けていますが、その原因である日本、韓
国、台湾の競争戦略の相違について述べました。そして、
図3 世界初の電卓とその次の電卓
最新の液晶テレビを生産しているシャープ亀山工場についても紹介しました。さらに、この薄膜技術は液晶
と共に太陽電池にも応用でき、シャープの堺工場では液晶と太陽電池の工場が隣接して建てられていま
す。
液晶からみて、日本のモノづくりは素晴らしいけれど、技術の研究・開発と共に競争戦略などの技術経営
も重要であることを理解してもらいました。
6.終 了 式
参加してくれた高校生に「未来博士号」を授与し、その後参加者で記念写真を取りました。このセミナー
が、参加者の知的好奇心を刺激し、心の豊かさと知的創造性を育む契機になってくれればと思い解散しま
した。
図4 「日本のモノづくりと国際経営」の参加者
7.評価と
評価と今後への
今後への期待
への期待
本セミナーの参加者アンケート結果の要約を、表 1 に示します。参加者 45 名中、87%がおもしろかった、
78%がわかりやすかった、80%が科学に興味をもった、と非常に好評で、セミナー目的を達しました。
このように、現在までの 4 回の経験を基に、高校生自身によるノートパソコンの解剖等の改善を行い、科
学研究費補助金による研究成果をわかりやすく発信でき、学術の文化的価値及び社会的重要性について
示すことができたと考えています。
また、本企画のもう一つの目的である、我が国の将来を担う児童・生徒を対象として、その知的好奇心を
刺激し、心の豊かさと知的創造性を育むことには、大きな成果があったと評価できます。
この機会を与えていただいた独立行政法人日本学術振興会に感謝します。また多くの参加者がまた参
加したいと思ってくれており、今後も同様の企画を続けていきたいと思います。
表1 参加者アンケート結果
高校生
その他
計
①今日のプログラムは、いかがでしたか?
1.とてもおもしろかった
4
1
5
2.おもしろかった
32
2
34
3.おもしろくなかった
2
0
2
4.わからない
4
0
4
1.とてもわかりやすかった
4
1
5
2.わかりやすかった
29
1
30
3.わかりにくかった
5
1
6
4.わからない
4
0
4
1.非常に興味がわいた
10
1
11
2.少し興味がわいた
23
2
25
3.興味がわかなかった
6
0
6
4.わからない
3
0
3
②今日のプログラムはわかりやすかったですか?
③科学に興味がわきましたか?
【事務局との協力体制】
事務局をリサーチ・オフィスに置き、業務委託契約に関する手続き、委託費の管理、高校への広報、ホーム
ページへの掲載や報道機関へのプレスリリース、会場の準備および当日の運営等、学内の関係部局との協
力のもと行いました。
【広報体制】
リサーチ・オフィスが広報部門の協力を得て、本学ホームページでの広報・参加者募集および県内の報道
機関へのプレスリリースを行いました。また、アドミション・オフィス(国内)の協力を得て、実施代表者中田行
彦と担当者が高校を訪問し、担当教員に参加協力をお願いしました。
【安全体制】
液晶解剖については、安全めがねや適正な工具を使用させるとともに、各グループに、事前に安全な液晶
解剖の方法について指導を受けた大学生のティーチングアシスタントを配置し、安全に配慮しました。また、
参加者は傷害保険に加入しました。
【実施協力者】
15 名
【事務担当者】
佐藤 美紀
立命館アジア太平洋大学 リサーチ・オフィス専任職員
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