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メキシコ全土の豚コレラの清浄性に関するリスク評価の概要

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メキシコ全土の豚コレラの清浄性に関するリスク評価の概要
資料4
平 成 2 7 年 3 月
農林水産省消費・安全局
メキシコ全土の豚コレラの清浄性に関する
リスク評価の概要について
1 背景
(1)2013年3月、メキシコ家畜衛生当局から、全土における豚コレ
ラの清浄性を認定し、全土からの豚肉等の輸入を認めて欲しい旨
要請があった。(現在は、我が国が豚コレラの清浄州と認めた6州
からの輸入を認めている。)
(2)このため、質問票の送付、メキシコ家畜衛生当局との協議等を
通じた情報の確認をもとに、メキシコ全土からの豚肉等の輸入を
解禁した場合の豚コレラの侵入リスクについて、定性的な評価を
実施した。
2 メキシコの家畜衛生体制等に関する情報
(1)地理的状況
メキシコは北側で米国、南側でベリーズ及びグアテマラと陸地で
接し、中米に位置する連邦共和制国家である(国土面積は日本の約
5倍)。
(2)獣医組織体制
農畜水産農村開発食料省(SAGARPA)に属する全国農産食料衛生
無害性品質サービス機構(SENASICA)が家畜衛生行政を担当してい
る。豚コレラ対策については、「疫学サーベイランスのためのガイ
ドライン」に基づき実施されており、同ガイドラインには、サーベ
イランス計画、疑い事例への対応、発生時の防疫措置等が規定され
ている。
(3)豚の飼養状況
2013年の豚の飼養頭数は、商業用養豚が約846万頭(3,455戸)、
裏庭養豚が約484万頭(約118万戸)となっている。裏庭養豚は自家
消費用又は地域消費向けと畜場に出荷され、(4)の認定処理施設
に出荷できないため、海外に輸出することはできない。なお、既に
我が国が豚コレラの清浄州と認めた6州(ソノラ州、チワワ州、ユ
カタン州、バハ・カリフォルニア州、シナロア州、ハリスコ州)に
おける豚肉生産量(2013年)は、全体の約5割となっている。
(4)豚肉処理施設
食肉処理施設は、メキシコ家畜衛生当局により認定される施設(認
定処理施設)及び地方公共団体が開設する公営のと畜場の2種類に
分類される。海外への輸出が認められるのは、認定処理施設のみと
なっており、通常、政府の獣医検査官が常駐し、検査を実施してい
る。
認定処理施設は285か所(と畜場47か所、加工場238か所)あり、
施設常駐の獣医検査官に加え、メキシコ家畜衛生当局が各州に1名
以上の監査官を配置し、獣医検査官及び施設の法令への遵守状況を
定期的に監督している。
(5)豚コレラの発生状況
メキシコにおける豚コレラの最終事例は2009年のゲレロ州におけ
る飼養豚での事例であり、豚コレラワクチンについても2006年を最
後に、使用が禁止(製造・販売も禁止)されている。なお、同国で
は野生動物での豚コレラの発生は過去に確認されていない。
(6)サーベイランス体制
パッシブサーベイランスについては、豚コレラは通報対象疾病と
なっており、飼養者等は、疑いを発見した場合には、直ちにメキシ
コ当局等に対して通報しなければならず、通報を怠った者に対して
は罰則が定めれられている。他方、通報のインセンティブとして、
疑いを通報した者に対しては通報の見返りとして一定額が支払われ
るほか、殺処分された豚等に対しても評価に見合った手当金が支払
われることとなっている。最近の疑い通報の実績は年間100~200件
程度となっている。
アクティブサーベイランスについては、商業用養豚農場、裏庭養
豚農場、認定と畜場、公営と畜場を対象に、一定の抽出率の下、同
国全土で実施されている。養豚農場では血清及び/又は全血、と畜
場では臓器を採材して、血清学的検査及び/又はウイルス検査を実
施している。このアクティブサーベイランスにより、血清学的検査、
ウイルス学的検査をそれぞれ年間1万検体程度実施している。
(7)豚コレラ発生時の防疫措置
豚コレラ発生時には、発生農場における殺処分、殺処分と体及び
汚染物品の焼埋却、農場内の洗浄・消毒の防疫措置を実施する。ま
た、発生農場から一定地域を制限区域として設定し、豚等の移動を
制限するほか、同区域内の商業用養豚農場及び裏庭養豚農場を対象
に清浄性確認検査を実施する。
(8)輸入検疫
豚コレラ発生国であるグアテマラとの国境に3か所の検疫ポイン
トを設置し、動物検疫の強化を図っているほか、チアパス州等にお
ける国境に近い地域において、(6)の通常のアクティブサーベイ
ランスに加え、裏庭養豚農場を対象に強化サーベイランス(約600
農場を抽出し、血清学的検査)を実施している。
メキシコは、口蹄疫、アフリカ豚コレラ、豚コレラの発生国から
の生きた豚及び豚肉等に対し輸入禁止措置を講じており、現在、同
国が清浄と認めているのは、カナダ、米国、チリの3か国のみであ
り、豚肉の輸入実績もこれら3か国のみとなっている。
3 総合評価
(1)家畜衛生体制及び防疫対策に関しては、これまで我が国が輸入
を認めている6州と同様に、豚コレラ等の重要疾病の予防や発生
時の防疫対応が可能な体制が整備されている。
(2)メキシコにおいては、豚コレラのパッシブサーベイランス及び
アクティブサーベイランスを引き続き実施しており、2009年のゲ
レロ州での事例を最後に発生が確認されていない。
(3)アクティブサーベイランスにおいて、近年、年間1万頭以上の
血清学的検査を行い、年間数例(2012年3例、2013年2例)の抗
体陽性事例が確認されたが、さらなる詳細な検査(抗体陽性豚は
殺処分の上、ウイルス学的検査により陰性を確認、由来農場は再
度立入りし、同居豚の血清学的検査及びウイルス学的検査により
陰性を確認)を行った結果として、メキシコ家畜衛生当局はこれ
ら抗体陽性事例は非特異反応によるものと分析しており、この分
析結果は妥当なものと考えられる。
以上を踏まえると、我が国が現在、豚コレラの清浄地域と認めて
いる6州以外の地域についても、豚コレラの清浄地域として認定し、
同国全土からの豚肉等の輸入を一定の条件の下、認めて差し支えな
いものと考えられる。
資料4-別添
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