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スリナムとキュラサウの旅―その知られざる現状
スリナムとキュラサウの旅 一その知られざる現状一 西畷照太郎 はじめに 私は１９６８年７月５０日１１時２０分ＫＬＭ微でアムステルダムを出発，フランクノル トとリスボンに寄り，１２時間半かかって約１万キロを南西に飛び現地時|川で午后７時２０ 分ころ(４時間半の時差)スリナムのパラマリボに藩いね８月５日にパラマリボをＫＬＭ機で 出発，２時間１５分ほど西に飛んでキュラサウに藩き，８月７日朝にバルバドスに飛んだ。 短い滞在期間ではあったが，かねて興味をもっていた両国であったため，この両国について の印象をのべるとともに，両国がそれぞれもっている特異な性格と，今後の問題点を指摘し て見たいと思う。 私がスリナムとキュラサウにかねて関心をもっていたのは,第一には,かってインドネシ アの研究をしていたからである。スリナムやキュラサウはかって「オランダ領西インド」と いわれて，当時のインドネンアの呼称「オラン鋏領東インド」と対比された。したがって， インドネシアの研究を深めるためには，ヱリナムやキュラサウとの比較考察が必要であり， スリナムやキュラサウの問題を研究するには，インドネシアに関する知識をもっている方が 有利だ，とかねがね考えていたからにほかならない。 スリナムやキュラサウに関心をもった第二の理由は，同じカリプ海域にある旧イギリズ領, とくにガイアナやパルパドメ，フランヱの海外峡，アメリカの連合国や植民地などの政治や 経済と，比較研究してみたいという願望をもっていたからである。 しかし，ここではそうした比較研究にまでは手をひろげず，むしろ,lIjlじ１日「オランダ領 西インド」に属していたスリナムとキュラサウか，地理釣条件も歴史的社会的な諸条件も異 質なため，ともにオランダの深い影靭をうけながらも，今日では性格の対照的左二つの国と して，存在している災情を比較しながら紹介することを主としたい。本稿はそのシノプシス にすぎない。 －９３－ スリナムとキニラサウの旅 ●■ＥＩ－ ｏ「･￣,マヒ ＯＢ● スリナムの経済成長 南アメリカ大睦の北部，オリノコ川の束岸からアマゾン川北岸にわたる地域は，いわゆる 「ガイヤナ」（ギアナ，その他いくつかの呼び方がある）といわれる。「水郷」とい’ほど ゛｡｡a~Ｂｂ－ の意味だ.というが，その総面穣は１７５万平方キロとも１７８万平方キロともいわれる。そ の真中忙かづてオラン〆領ギアナとよばれたスリナムがある。 ■● 私の冠陸したサン気,「イ国際空港は，スリナムjllの下流にある首都パラマリボから，内陸に ４５キロほど南下したジャングルの中にある。まつくらい雨あがりの夜道を，車で１時間余 りかかづてこの国Ⅱ←の近代的施設を誇る「トラリカ」ホテルに藩いたが，トラリカとはか ってスリナム川のもっと上流に，建設されていた愉都の名であった。… メリナム人口のI誌半分がアジア人だという予備知鱗から，インドネシアの都iiiに似た琢 囲気を予想して，翌朝パラマリボの街に出た私は，その予想を裏切られた。溜は１９６５年 １月に,;・隣国ガイアナの首r都ｼﾞﾛｰｼﾞﾀｳﾝを訪れたことがあるが,ﾊﾟﾗﾏﾘﾎﾞはそのジロ ージグウンと共通の球囲気をもっていた。そのＩ園q翌I気とい，のは，ここでクレオールといわ れるアメリカ系住民と。オランク風を加味した古い木造建築とが,･かもし出すものといえる。 １．Ⅷ･･･－．．･ アジア系住民は大部分が農村にいるため，都市人口は６１９５強がｸﾚｫｰﾙで，２４１６弱がア ジア人という数字になるが，パラマリボ市のうちでも，アジア人は町はずれで農耕に従ＳＩＩす るも6,ﾘｳ8多いたIウヴ商店街や官庁街でのクレオールの比丞は}･むつと多く左ろわけである。そ こにプジァ的歌囲気が鵬じられないのは当然であろう｡～． .。1.9 街へ出てスリナム川沿いの道路を歩くと、対岸に渡るフェリーボートの諾ﾗHf甥に出る。 そこまでの途中にも大小の汽船が接岸しているが，その発鍋f鴇あたりにくると，１，３月ｉｆ特有の ・・・へ：， 黄色に濁った川の上流の中ほどに，古さびた醜い船胆を凍上にして，沈没した大きい船力:鯨 の背のよ’忙剴lifnできる。川巾は５百メートル以上もあるので，船の航行には差支え戎いら しいが.…………･…･…。 ．・ｻﾞ..、吟.､５．０．゜ 側けばとの沈船はドイツの汽船で，第二次大戦の初期にパラマリボに入jl:していたが，こ の川の上流からアメリカに輸出されていたボーキサイトの輸送を，不可能にする目的で自沈 したのだという。たHf，鰹沈の仕方が堂ずかつたため｡流れの圧力で航Eilを閉蛾する形で沈 まず，今のような状想に伝ぷくして，５０年も放睡された蛍Ｌになり、腐蝕した船腹の一部 からは，緑の雑｡艇が生えている。 －９４－ この話からも明らかなように，スリナムのボーキサイトは雛二次大戦中の連合国にとって， 非常に重要な戦略資源であった。１９５，～４０年には，アメリカ合衆国の輸入したボーキ サイトの約，ｏ％は．スリナムからのものであったといぅ。今日でもスリナムはジャマイカ について０世界第二のボーキサイト産出国である。 このボーキサイトのことは日本にも知られているが，１１６５年１０月以来，それを原料 とする巨大なアルミナ工期（年産能力８０万トン），アルミニュムエ甥（年産能力６万トン） が操業を淵始，ボーキサイト，アルミナおよびアルミニウムの輸出が，１１６６年には約１ 億４．８００万スリナム．ギルダー（Ｓｆと略する）に達し，輸出総額の８５．６％を占めてい る実備綬は知られていない。１１６５年歯ではこの国の貿易は輸入超過であったのが， １９６６年には輸出超過に転じ底 ところで，この国の通貨Ｓｆは世界でも燈も安定した通貨で，１１４１年にオランダのギ ルターカキ価切下げをしたときも，Ｓｆは切下げることなく，１９５５年以来１米ドル＝ １．８７ｓｆのレートを維持している｡･スリナムのＧＮＰは１１６６年に２億８１６０万ｓ ｆ'１人当り平均にして８１５．５ｓｆとなるから，米ドルにして約４５１ドルとなる。これ は後に訪れたキュラツ･ウに比べれば半分以下だが，イント゛ネンアなどとば比較にならない高 さである。 この国は現に１１６５～７２年の新１０ケ年計画のうち。後段の５カ年計画（１１６７～ ７２年）段階に入っている。それはインフラ．ストラクチャーの整鮒から，基礎工業の開発 に移行する野心的なものであるが，ここではその詳細は省略しなければならない。た2F，こ の国には左允抱大なボーキサイトの埋蔵が確認され，また，馬窟な水衝源が開発を窺ってい る事実だけを指摘しておきたい。 １９６５年１０月に完了したプロコポンド計画は，ズリナム川にプロコポンド．､ダムを麺 技して，大規模な水力発雌所を迎振し，既に開発されていた東部のボーキサイトを，アルミ ナやアルミニウムに加工するものであった。この国の西部で眠っているより大通のボーキサ イトと，坐り大j3M萸左潜在的水力資涼を開発するための，いわば,j手掴べであったと見るぺ 道であろう。 日本で入手できるスリナムの地図には，プロコポンドiIT画で出現した大きい人造湖で，計 画の功労者の名にちなんで，「プロンメンュテイン博士湖」とよぶ，面概Ｌ５５０平方キロ －９５－ スリナムとキュラサウの旅 （通運湖の２．２倍強）の湖が，記紋されていない。それほど南アメリカ大陸のこの部分に は，関心かもたれていないわけである。 スリナムは１９６５．年からＥＥＣの連合国にたっている。， キュラサウの経済的停滞 つぎに訪れたキュラサウ島は，ベネズエラ沖のカリフ・海に浮ぶ島で，その面秘はわずか ４４４平方キロ。メリナムの人工湖プロンメシュテイン湖の中にｐこんな小島は５つ半もは いってし童らほど小さい。日本の島でいえば種子島とほとんど同じ大きさである。 なお，ズリナムについては面積人口を述べなかったが，而欄は１４万平方キロないし１６ 万平方キロ，この差が生ずる理由は後に政治の項で述べる。それはオランダの４．２倍ないし ４．８倍（日本の４２～４８％）であるが，人口は１９６４年ijM査で３２万４．２１１人にす ぎず，日本の最も人口の少い県より遥か忙少い。 キュラサウ島のばあいには，１１６６年に１５万７０７７人の人口をもっており，１平方キ ロ当ｂ５０１人という密度をもち，スリナム（１平方キロ当り２人強）とは大変ならかいで ある。 私は首都ウイレムンュタプトの三i研fホテル，「オテル．アメリカノ」に宿泊したが，意外 にもそのホテルは地の利を得ている点で，どの一流ホテルにもまさっていた。というのは， この首都のオトラパンダ側にあって，前にブリオンプレーンという広場をへだてて。シント 、アンナ．パーイという運河を見附らす２階のテラスは，この島の股大の特色である景観を 楽しみながら、ビールを飲むのに適っていたからである。 その無観を述べることは，キュラサウの経済を譜ることにつながる。 運河は天然の水路で，その臭にズホッテガヅトいう広い内海があるし，運河の両岸が埠頭 にもなっているので，迎河は数万トンの石油タンカーもふくめて，多くの船舶の往来で忙し い。スホッテガットの西岸には世界有数の巨大な石油輔製工秘があり，ベネズエラやコロン ビアからタンカーで遮ばれる原油から，多様な石油製品を生産し，タンカーで輸出している。 したがって，運河を往来するのは石油タンカーが主である。 特色のある段観というのはホテルの典下にある広溺と，対岸のプンダ地区との間に。「エ －９６－ ンマ女王橋」という浮橘がかかっており，十敬愛のポートを橋脚とするその橋は,プンダ側 の端にあるポートのモーターによって,n日に２０数回も船をinナために，０度回転し，ホ テル側の岸壁に密藩して，巾１５０メートルくらいの運河を航路にする。ホテルの対岸プン ノー・タックス ダ側は，免税の商店街がある繁華左地区だが，そのオランダ)且の石造でパステル･･カラーの 美しい家並が，迎河に沿ってアムステルダムの一部を，明るく麓り変えたような風景をつく っている。 エンマ女王橋は外海から２～５００メートルのところにある。迎河の入口で一度碇泊した 船は，パイロプトに案内されて静々と，ゆっくりホテルの前をjlnb過ぎるが，街の路面は海 面から低いので，巨船かjihj図するときはプンダ側の家並はすべて見えなくなる。サイレンが 鳴って，通行止になってから，船が通過して橋の通行ができる由で，５０分くらいかＬるの で，その間に橘のタモトには延々と自動車の列ができる。 巨大な石油稲製工場のあるおかげで，キュラサウ島住民の１人当り平均所得は，１千ドル をはるかに越えている。キュラサウをはじめとする６つの小島が，オランダ系アンチル国 ＮｅｄｅｒｌａｎｄｓｅＡｎｔユｌ１ｅｎを織成し,経済統計は島別には示されていないが，１１６６ 年のこの国の国民所得は４砥２．１００万円Ａｒ（この国の通貨は,オランダ系アンチル・ギ ルダーで，こう略して緋<，ｓｆと同様安定i薗貨である），米ドルにして１人当り平均所得 は1.060卜･ルになる。しかし，キュラサウ島は他の燭より生活水準が高いので，１千ドル をはるかに越えると推察できるわけである。 ここで重要なことは，世界的傾向の例にもれず，キュラサウの石油輔製工場においても， オートメ化による厩用労働者の解屈が進んでいる点である。隣接のアルパ島にも規模は小さ いが，もう一つの石油稲製工掲があり，最近の銃計は両工場の合獣しか得られないため，キ ュラサウの工場だけの紋字は入手できない。しかし，オートメイヒによる解届がいかに顕著で あるかは，次の数字からも知られよう。１９５４年には両工場の労働者合計は，１Ｚ５５２ 人に達していた。そのうち，キュラサウエ場には１０．，１１人が屈用されていた。それが １９６２年の両工場合針は２７００人（キニラサウム０５５人）となり，１９６６年の両工 場合計は５，８２１人にすぎなくなった。１２年間に労働者数は５分の１に激減したわけであ る。 もちろんDこの1111にも貸金水準は高左ったけれども，オートメ化による労働者の激滅のほ かにキーラサウエ場の生鰄１も減少しておｂ，石油工勘の国民所得に対する寄与も，激戚の 一途をたどっている。俸給賀金畷噸は，１９６５年にａ５００万ＮＡｒだったのか。１１６６， 年には６５００万ＮＡｒとなり。その他の支払いや納税額をふくめた総額の国民所得にﾌﾟGけ －９７－ スリナムとキニラサウの旅 る比迩は。同じ期間に２８％から２２％に域少した。 国民所得もＧＮＰも，１１６，年をピークとして，その後は漸減の途をたどり.，１１６６ 年になって，よりやく前年エク僅かながら畑勢を示している８とのことから，キニラサウは もちろん，オランダ系アンチル国全体の経済成長か，駆爽上停滞状懇にあること力麺られよ う。 キュラサワでは現に閉発１０カ年計画（１９６２～７１年）が実施され，総額４侭z５００ 万ＮＡｒの賛金が投入されている。すでにその第２期に入っており，観光開発と工業化に重 点がおかれている現状である。何しろ，農業が全くといって良いほど不在左サボテンの島で あるから，政府の１W報部長が私に語ったように，観光､n発が－番歴用鋼大に役立つわけであ る。 キュラサウも１１６５年以来，ＥＥＣの連合国になっていることはいう古でもない。 ■■ 両国の政治情勢 私はＮｅｄｅｒｌａｎｄｓｅＡｎｔユｌ１ｅｎを「オランダ系アンチル国」と訳した｡醤だなじを ない訳錨であるけれども，「オランダ領」と眼すると，オランダの植民地を意味Ｐするからで ある。 スリナムでホテルに藩いたとき，私はポケットに磯っていたオランダの通貨を。スリナム ･ギルダーに両瀞してもらおうとして，会計のクレオール（黒人）に頼んだ。そのとき何の きっかけでそう画ったか忘れたが，彼は「スリナムはオランダの植民地ではあり戎せんから ……………」と討った。その点は充分に承知していたけれども，私は改めて民族意職の頬壬 を思い知らされた気がした。 ここではスリナムやキニラザウの政治史は省略する。いずれも醤だ興味のある民族迎國h史 をもつが．それは一切鏡じないことにして，允旨第２次世界大戦中から１９５４年．１２月さ ては，民族主l鹿i型ｌＵｌはスリナムでは余り強くなく，キュラサウの方でインドネシアのズカル ．「． ｡■･ ノと共同戦線を張ろうとしたほど，強かったという腿史的事実にだけ注意を喚起しておきた ’‐ し､ｏ １，５４年１２月というのはD「オラン〆王国憲章」Ｓｔａｔｕｕｔｖｏｏｒｈｅｔ ＫＤｎｍｋﾕﾕｊｋｄｅｒＮｅｄｅｒｌａｎｄｅｎが実施され。オランダ，スリナム。オランダ系アン チルの３国が，全く平等を資格のパートナーとして・オランダ王国を榊成するにいたったと －９８－ きてある。 ヱリナムには，「ズリナム議会」Ｓｔａｔｅｎ１ｖａｎＳｕｒｉｎａｍｅ力ｉｓ，議席の一院制議会 として存在し，キュラサウには「オランダ系アンチル議会」Ｓｔａｔｅｎｖａｎ ＮｅｄｅｒｌａｎｄｓｅＡｎｔｉ１１ｅｎか，２２議席の一院制議会として存在している。議員の任 期は４年で，スリナムでは１１６７年５月。オラン拭系アンチル国では１１６６年に，それ ぞれ鰻も新しい総選挙が行われた。そして岐も多くの議席を獲得した政党が，政椛を担当す ることになっているが，現在はいずれも連立政梅の形をとっている。 こうして、両国とも国防と外交はオランダに委ねているが，内政については完全な自治政 府をもち，閣僚の１人はオランダに常駐して，オランダ王国の閣議に参加し，国防や外交に 関する政策決定にも参画している。両国それぞれ国旗や国歌をもっていることはいうまでも ない。 したがって，１，５５年１１月２７日の国連総会で，決議７４７（Ⅷ）号として，両国は 民族自決の手続きを経た国であり，もはやオランダの植民地ではないということが，賛成 ２１．反対１０，f棄権５５．という状憩ではあったにしても，ともかく国際的に承認されたの であった。 私が両国を訪問して関心を強めたのは，こうして１４年を経過した今日，かっての状態と は逆に，スリナムにおいて完全iHk立を要求する声が深左ｂ，キュラサウにおいてはその声拡 ほとんど聞えなくなっている，という政治的風土の変化であった。 その問題にも関連があるので，両国の政治構造と政党の性格との相異について，商.単にふ れておきたい。 政治概造の相異は地理的条件の差に強く規定されている。すなわち，面積は広いが人口は 海芦上地犠の狭い地区に架中し，大部分の地方が未開発な大陸の一部であるスリナムのほめい， 全国が八lHLdユＳｔｒユkわに分けられているけれども，各jiLには地方自治が認Ｄｐられていない。 ｣勺やＰ､ 県の首長である弁務官CommﾕsarﾕＳは，首相によって任命され,各鼎には膿民･選出す る「県議会」、ユｓｔｒユｋｔｒａａｄも，（数年前から計画はされていながら）蚤だ実際には設 けられるにいたらないっその意味でスリナムは中央集権の僅端な政治榊造をもっている。 オランダ系アンチル国のばあいには，キュラサウにある中央政府やオランダ系アンチル譲 会が，連邦政府，連邦議会とよばれることがある。キニラサウ，アルパ，ポネールおよび， －９９－ スリナムとキュラサウの旅 はるか刺上に遠く離れた５つの島~それは政治的には一括して「Ba上諸島」 ＢｏｖｅｎｗｍｄｓｅＥユｌａｎｄｅｎとという一行政単位をなす－で榊成されるこの国で は，４つの島民議会Ｅユｌａｎｄｓｒａａｄがある。キニラサウ島民騒会は２１議席，アル パ２１識席。ポネール，議席，風上諸島１５銭席となっている。その島民醗会週挙で多数の 副UW;を占めた政党から，島民政府の首長が醜任して高度の地方自治が実現されている。 こうした政治榊造を反映して，両国の政党は非常に異った性格をもっている。スリナムの ばあいは現在はいずれも全国政党ではあるが，人麺的な性格がかなり強くあらわれている。 かっては宗教的要素がからんで，人種別政党の頃向がもっと強かったが，今日は宗教的な要 累が消えて，イギオロギー的要素が強くなり，人利別政党という性格が変化する過程にある が，今のところ人種的な性格は根強く残っている。 オランダ系アンチル国の政党は，全部が島単位の政党だということができ，，全国政党とし ての性格は雀だ確立していない。それらは元来が島民趣会単位に結成されている。したがっ て，１９６０年センサメがアルパ島では拒否されたように，島民政府が連邦.謹会の野党で組 鐡されているばあいには，政治的に非常に困難な問題力s生じたことも稲でない。そのため， 完全な内政自治の椀限をもつ連邦政府が,オランダに内政干渉を要IMIするという奇妙な事態 が生じたこともある。 経済成長率の高いスリナムでは，外交をもオランダから取戻したい，それによってＯＡＳ に加盟したい，という世論が強し、経済的に停滞しているキュラサウでは，オランダの欺認 を経て，失業救済と青少年非行化防止のため，２０ｏ人ほどのf､地肛を創設したりしているが， オランダから国防の権利を移譲して欲しいとは考えていない。 もう－つ指摘しておきたい重要な問題は。スリナム国塊問題である。かってブラジルやフ ランス領ギァーヌとの間にも国境紛争があったが，それらは一応の解決を見ておｂ，今日は ガイアナと深刻な紛争をおこしている。ここでその詳細は省略するが，ズリナムの西南端 ！$'４1, 地区約15.000平方キロの領土が，ガイアナ側は自己の領土だと主扱し，，il土争いに発腔し ている。さきにエリナムの領土の面積について，二つの数字を挙げたのはこの領土争いを反 映するわけである。 －１００－ おわりに スリナムの国旗は色のちかう５つの星が，それぞれ白人，黒人，アメリンディアン（赤） インドネシア華僑（黄），イント･人（禍色）を象徴し，その団結と協力を示している。オ ランダ系アンチル国の国旗は，同じ色の６つの星が輪で結ばれたデザインだが，これは６つ の島で榊成されていることを示している。 いずれも公閉鵠I｡:オランダ鵠であるが，一般民衆の日常会活はそｵ'それ現地で，自然発生 的に生をれた合成語によって行われている。それはメリナムではズラナン・トンゴ（タキ・ タキともいわれる）であｂ，キーラサウではパピアメントといわれ，いずれも，将来はそれ を国語にしようという動きがある。 しかし，スリナムには政党の名称にインドネシア語のものや，ヒンディ飴のものがあって， それぞれの人種社会では独自の言語が残っており，スラメン・トンゴは共通語として発達し ている。雀允，オランダ・系アンチル国のうち，ベネズエラに近いアルパ島やボネール島では， 政党の名称がスペイン語で表現される。キュラサウでもベネズエラのテレビ放映がよく見ら れているし，道路標識などにもスペイン鵠が用いられている。 私はキュラサウ住民の人秘概成にふれなかったが，それは，人口の人種別統計がないから にほかならない．クレオール（アフリカ系黒人）が圧倒的に多く，アフリカの都市を歩いて いるような感じをうけるが，服装などはアメリカナイズされているために，アフリカの都市 とは風俗的に異質である。 アメリカナイズといえば，キーラサウでは自家用車もタクシーも，アメリカの大型車が大 部分であり，交通も右側通行となっている。これはヨーロッパの中型車が多く，左側通行の スリナムとは全くちがっている。（オランダは右側通行で，中型車が多い）。 この両国の将来はオランダとの結びつきには求められず，隣接の英，仏，米系の小さい諸 国との経済的，政治的な統合関係を強める方向に，前進しうるかどうかにかＬっている。し かし，現状はこの両国のいずれにおいても，政府は隣接諸国に対立意識しかもっていない， という印象を私ばりけた。 妓後に，パラマリボでは１０数年来住みついている戸泉ソｈ－ソ（現地名ジョージ・フェ ドレンコ）氏，政府の水産繊問をしている山下氏に，大変お世話になったことを記して，感 謝をざムげなから話を終りたい。 （終り） －１０１－