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1 - 三重県
<三重県 生産技術兼評価・分析研究会> 国内外におけるセラミックス 産業の現状と今後について 2016年8月5日 日本ファインセラミックス協会 専務理事 矢野友三郎 1 セラミックス産業の外観 (1)セラミックス産業 ・三大材料の一つ 金属、プラスチック、セラミックス ・高成長産業 世界市場 : 5兆円(2012) ⇒ 11兆円(2020) ・高い競争力を保持 日本の生産額: 2.5兆円(2015)(世界シェア4割超) ・しかし、高機能品は欧米との技術開発競争、低グレード品は韓台中の追い上げ。 競争力 確保 高機能 化 素材革 新 プロセス 革新 (2)競争力確保と産業発展のために ・セラミックス産業が多分野の産業の発展を支えるために、 セラミックス市場拡大 ⇒ 利用産業の発展 ⇒ 環境エネルギー問題の解決 5~10年後の日本のセラミック産業に圧倒的な競争力を。 ・追随を許さない高機能化を。 ・製造プロセス革新による制約の打破を。 ・素材革新を。 (3)将来の基盤技術確保のために企業・大学等の研究機関への支援を <過去>国プロで技術的先行 (大学・国研と企業が結集) その後研究費削減 <現在>基盤技術の研究者減少、大学ランキング低迷、企業は基礎研究離れ <未来>このままでは追い抜かれる? 本日のお話 1.セラミックソリューション 2.時代のシグナル 3.ファインセラミックス 産業の現状 4.海外の動向 5.2050年に向けた ロードマップ セラミックスソリューション 4 (出所)日本ガイシ広報資料 セラミックスからファインセラミックス 太古の 時代 天然素材(粘土)から作る焼き物の時代 ・縄文式土器、弥生式土器などの土器 明治 ・瀬戸焼、伊賀焼などの陶器 時代 ・有田焼、伊万里焼などの磁器 精製した天然原料から作る工業セラミック スへ ・代表的セラミックスは、ガラスや耐火レ 新素材 ンガ 高純度の人工原料から作る機能性 セラミックスへ ブーム ・エレクトロセラミックス、バイオセラミックス エンジニアリングセラミックス (出所)国立科学博物館産業技術史資料情報センター、金野正幸、2008年3月 5 セラミックソリューションの役割大 私たちは、 〇鉄(耐火材)のない世界を想像できますか? 〇建物(ガラス、タイル)のない世界を想像できますか? 〇電気(絶縁体)のない世界を想像できますか? 〇電子(半導体)のない世界を想像できますか? 〇電気通信(コンデンサ)のない世界を想像できますか? 〇骨(人工関節)のない体を想像できますか? 〇飛行機(セラミックコーティング)のない世界を想像できますか? - Ceramics are everywhere - Ceramic market potentials are endless 6 セラミックスファミリーの30年 1980年代 「構造材料」 CGT、高温超電導フィーバー 1990年代 「機能材料」 シナジーセラミックス、強誘電体メモリー 2000年代 「環境材料」 光触媒、セラミックス分膜膜 2010年代 「エネルギー材料」 燃料電池(SOFC)、セラミック蓄電池、CMC 7 3機関が支えるファインセラミックス産業 工業会 日本ファインセラミックス協会 (JFCA、1986年設立) 学 会 日本セラミックス協会 (CSJ、1891年設立) 研究所 ファインセラミックスセンター (JFCC、1985年設立) (産総研、NIMS、大学) 8 最近の国内外ニュース (2015年) 10月 コバレントマテリアル(東芝セラミックス)、クアーズテック(CoorsTek)社に名称変更 10月 GE社 、Alabama州にCMC量産工場(240億円)建設を発表 12月 日本カーボン社、GE社に製造ライセンスを供与 (2016年) 01月 産総研「材料・化学領域のビジョンと研究戦略」の公表 03月 クアーズテック社、コロラドに新研究所(140億円)建設を発表 04月 産総研/JFCA合同の「先進コーティングアライアンス」発足 04月 地球環境産業技術研究機構(RITE)「無機膜研究センター」新設 04月 第1回高機能セラミックス展(高機能素材ワールド展)の開催 04月 JFCA/USACA事務局会議、JFCA/USACA交流会 07月 日本・米国・カナダ、先進コーティング技術でMOU締結合意 07月 ファインセラミックスRoadmap2050の中間報告会の開催 10月 関西高機能セラミックス展(高機能素材ワールド展)の開催 9 注視すべき外部環境の変化 (機会) ①ファインセラミックス市場のグローバルな伸長 ②IoT、インダストリー4.0とICT技術の進化 (脅威) ①米国軍事技術の民需への転用 ②市場・技術の変化に伴う、関係先企業の急激な 状況変化(B-Bビジネス) ③中国経済の停滞等による世界的なリセッション (出所)長期計画・戦略フレーム/企画会議資料、2016年3月 10 倍倍ゲームのセラミックス (出所)JFCAイノベーションセミナー資料、2016年7月 11 国内企業の7つの弱点 1.技術が優れていれば市場競争力があると考える技術中心主義 2.フレキシブルな資金調達を考えない資金計画の自己完結主義 3.狭い専門性の範囲の中でのみ技術を評価し、市場のニーズを考 えない専門家主義 4.システムを構築するすべての要素に国産技術、技術標準を用い ようとする国粋主義 5.要素技術にこだわりシステム全体の構想力が欠如する要素技術 偏重主義 6.システムのモジュール化が苦手で、高機能だが高価格の画一化 されたシステム輸出を繰り返したことによる国際市場における価 格競争力の欠如 7.低機能、低価格のシステムを柔軟に生産する柔軟性能力の欠如 (出所)産総研 「材料・化学領域のビジョンと研究戦略」 12 世界TOP12、セラミックス&ガラス 1. Saint-Gobain(仏) 2. Corning Inc.(米) 3. AGC Group(日) 4. Murata Manufacturing Co., Ltd.(日) 5. The NSG Group(日) 6. Kyocera Corp.(日) 7. SCHOTT AG(独) 8. Vesuvius plc(英) 9. CoorsTek, Inc.(米) 10. RHI AG(墺) 11. Morgan Advanced Materials(米) 12. PPG Industries(米) (出所)Ceramic Magazine, 2015 CI Top 12: Leading Worldwide Manufacturers of Advanced Ceramics, Glasses and Refractories, September 1, 2015 2.時代のシグナル () ビジネスの流れ 機 械 力 1940s~ 技術 資 本 力 1960s~ 投資 情 報 力 知 1980s~ 2000s~ 力 コンピューター 知識システム (出所)Competitive Intelligence, Touchstone社 大競争時代から大変革時代 (大競争時代) 〇「瓢箪から駒」→「多様性(diversity)から駒」 〇Change everything except your wife and kids 〇From 「big eats small」 to「fast eats slow」 (大変革時代) ○ICTの急速な進展による「第4次産業革命」 ○ネットワーク化、オープン化でビジネスが瞬時に大きく変わる大変革(ゲームチェンジ) ○オープンでダイナミックなイノベーション加速し価値創造や知の創造プロセスが大きく変化 毎日が運動会 (出所)第5期科学技術基本計画 資料、2015年6月 川上・川下における競争環境 (出所)JST/CRDS「次世代ものづくり~基盤技術とプラットフォームの統合化戦略~」中間とりまとめ (出所)我が国の製造業の ICT 利活用の現状~2015 年版ものづくり白書 製造業におけるパラダイムシフト ものづくりから価値創りへ Japan as No.1 システム 将来システム像 ネット ワーク化 ※「もの」所有よりも、「もの」から得られる 価値(サービス)を利用 (出所)科学技術振興機構/CRD次世代ものづくり 変わるユーザの要求 素材企業をどうみているか(METI調査) <報告書のポイント> 〇素材産業は、製品化する前段階で相談に来て、当社のニーズを確認するという待 ち姿勢が目立ち、前向きな素材企業を期待。一方、欧米の素材企業は製品が出 来上がった状態で相談に来てくれる。 〇セラミック材料でなくセラミックがもつ機能に関心があるが、素材産業は自社の領 域を決めてしまう面があり素材の横断的な取組を期待。 〇中国製は日本製に比べて質は落ちるが、素材としては一定レベルに達しておりコ ストの関係から中国製を積極的に採用。 〇軽量化、低コスト化の流れの中で、異種材料の接合も大きな課題。 〇組合せによる相乗効果が重要、素材企業がそれぞれ協調して研究開発を行うこと ができれば、もっと良いものを作ることができる。垣根を越えた連携に期待。 〇異種材接合の技術が確立することは、設計の自由度も上がるため重要。 〇コスト、強度、軽量等の要求を兼ね備えた次世代材料に期待。 ・企業も時代に合わせた変貌が必要。 ・良いモノを作るだけでは勝ち残れない危機感が必要。 ・製品やサービスに付加価値を付け、モノ売りから成果を売る進化が必要。 (出所)METI機能性素材産業政策の方向性(2015年6月)及びMETI金属素材競争力強化プラン(2015年6月) 19 外部知活用でスピードアップ (出所) 科学技術イノベーションで切り拓く大変革時代、内閣府、2015年5月 企業行動の国際比較 起業行動の国際比較 破壊的イノベーションの取組み 「イノベーション」とは、革新的技術や製品開発にとどまらず「新し いビジネスの切り口を発見する」、「事業モデルに新基軸を打ち 出す」こと。 (出所)通商白書2015 (出所)GE REPORTS JAPAN、2016年21 昨日・今日・明日は違う 時間軸 空間軸 自己軸 大変 です 第4次産業革命、期待の能力 (出所)METI産業構造審議会・新産業構造部会 ファインセラミックス産業の現状 - Ceramics are everywhere - 生活のさまざまなシーンで活躍するファインセラミックス 24 30000 (100 million yen) 生産額(億円) 2015年 約2.5兆円の見込み 25000 24510 23963 23131 22334 21268 20000 20425 19993 19240 17697 16410 15566 1553015185 15000 17761 1623116069 20793 19585 18634 17895 15785 13359 12420 12159 11978 11609 1079911076 9989 10000 8070 8577 8879 6950 5100 5000 2902 0 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 25 広がるセラミックス応用分野 26 国別市場予測(2020年:11兆円) 11兆円) 27 28 無限のファインセラミックス応用 エレクトロ ニクス 自動車 エネル ギー 航空宇宙 ファインセラミックスの応用 複合材料 構造材料・機能材料 コーティ ング 医療健康 セキュリ ティ 29 スマートフォンに800個の セラミックス 電子部品 スマートフォンには積層セラミックコンデンサの他、 多数のセラミックを使用した電子部品が・・・ 「材料を究める」、「薄さを究める」、「積層を究める」、「焼成を究める」 チップ積層セラミック コンデンサ EMI除去フィルタ 700個 25個 表面波フィルタ 20個 チップインダクタ 50個 (出所)村田製作所広報資料 30 自動車用セラミックス 自動車はセラミッ クスで作られる (出所)各社HP 31 セラミックスセンサー 熱電式センサ 小型化・パッケージ ング技術・商品化(シ 代謝ガス 1ppm 選択検知 ステム技術) 標準化 マルチガスセンサ素子の高感度化 呼気計測によ る診断可能な 疾患の開拓 診断精度の 高度化 匂い(VOC) ppb検知 H27年実用化した呼気 水素センサ 社会課題への対応・期待 価値創成 検出 TiO2電極 (院内空気質、ベッドサイ ド等様々なモニタリングを クラウド・医療ITとの連 携) (検査の推奨、検証) 酵素等によるバイオセンサ 医工連携による センサネットワーク とセンサ融合技術 技術移転事例(歯科 医むけ)H23年商品化 した口臭センサ 医学的意義の検証 半導体センサ VOC マーカー 酵素 (サンプリング方法、診断 基準、国際標準化) 治験(医療機関・患者) センサ材料・デバイス製造技術開発 政府・産総研・民間・一体となった医療ビ ジネスの強化、新産業創出 社会福祉費用の低減・効率化 その場計測・解析、量産化技術 32 二桁成長のコーティング市場 付加価値をつける「セラミックスコーティング」 2012年セラミックコーティング特許(原出願国別) ・コーティングは、費用対効果の面で高いパフォーマンスを向上、日本は欧米 に比べて普及に遅れ。 ・英国政府のレポート、「Time for Strategic Change, UK surface engineering & advanced coating industry, The Center for Process Innovation」でも、コーティ ングの重要性を指摘。 ・現在、JFCA/産総研リードで「先進コーティングアライアンス」会員を募集中。 ピストン頂部にコーティングすることで、燃焼 時の冷却損失を最大約30%低減し、より一 層の熱効率向上に寄与(トヨタ) 33 日本発のコーティング技術の実用化を産学官が一体となって推進 「先進コーティングアライアンス」設立へ 36社が 入会 www.adcal.org 日・米・加で覚書締結の合意 ○NY州立ストーニブルック大学溶射研究センター(1996年設立) 米国唯一の溶射技術のプロセスか ら評価までを行う研究拠点。溶射研 究コンソーシ アムを形成し企業との 基盤研究。長い歴史をもち種々の溶 射装置、各種物性評価装置も一通 り揃っている。 ○トロント大学先端コーティング技術センター(1998年設立) 先進コーティングの材料製造プロセスのシミュレーションやプロセス開発を中 心に研究開発。同センターの研究設備は充実、また、材料工学科に属する先 進材料評価オンタリオセンターには最新鋭の分析機器。 35 浄水処理はセラミックス分離膜 市場調査レポート「セラミック膜の世 界市場 ~2020年 」(2015/7月発行) では、セラミック膜市場は2015年と 2020年の間に年率成長11.7%、2020 年までに$ 51億(6,120億円)の市場 規模を予測。 川井浄水場再整備事業 施設概要図(横浜市) 36 固体酸化物燃料電池(SOFC) 固体酸化物燃料電池はエ ネファームとして家庭に設置 されている。また、水素社会 における分散発電システムと しても用いられている。(写真 は三菱日立パワーシステム ズ株式会社が開発した燃料 電池複合発電システム) また、次世代高効率発電シ ステムとしてIGCC+SOFC複合 機が期待されている。 37 原子力セラミックス 〇ポスト福島のため、革新的な原子炉安全技術(水素爆発の排除)として、①苛酷事故時 の水素爆発の原因となったジルカロイの代替、②日本技術のセラミックス繊維(CMC)で リスクを低減、③高温(1200度)での水素発生量はジルカロイの0.1%。 〇米国エネルギー省(DOE)は、原子力プログラムでジルコロイ金属核燃料棒に代わる CMC核燃料棒の開発・実証作業を開発中。2016年にフェーズI(実現可能性試験)を終 了、2017年からフェーズII。 2022年までに先行使用核燃料棒を完成予定。 (出所)資源エネルギー庁・総合資源エネルギー調査会資料 (出所)Fourth EPRI/INL/DOE Joint Workshop on Accident Tolerant Fuel 17-18 Feb,2015 38 全固体セラミックス電池の開発 東工大、トヨタ自動車、高エネ 研は、リチウムイオン二次電池 の3倍以上の出力特性をもつ全 固体型セラミックス電池の開発 に成功。 2016年3月21日、英国科学雑誌 「ネイチャーエナジー」に投稿。 高エネルギーと高出力で、次世 代蓄電池デバイスの最有力候 補に。 蓄電デバイスを全固体化する ことで、電解液を用いる電池で は達成できなかった高速充放電 が可能となる。 (出所)東京工業大学プレス 39 バイオセラミックス 生体機能を代行するセラミックス。生体適合材料の一種で,主に人工骨や人工関節, 歯,人工歯根などに多用。バイオセラミックスは生体内においても周囲組織に溶出 せず、安定で生体組織との親和性がよく、摩擦、摩耗に優れる特徴がある。 世界が注目、革新的ナノ薬物送達システム(DDS) ※生体吸収性セラミックス中空微小球による癌治療 (出所)文部科学省、物質・材料研究機構 40 3Dセラミックス造形 従来のセラミックス製造プロセス 原料 成形 焼成 後加工 製品 従来のセラミック ス製造プロセスの 制約を壊し、セラ ミックス産業のイ ノベーションを起 こす。 ハイブリッド コーティング 3D造形 部材形状の自由化 製造プロセス時間の短縮 省エネルギー,低コスト 表面修飾,機能集積 高付加価値付与 高付加価値セラミックス造形プロセス 半導体製造 用部材 セラミックコア 移動式トイレ 生活分野 骨補填材 医療分野 産業分野 耐プラズマ部材 セラミックフィルター 人工股関節 41 米国のゲノムセラミックス 高効率に革新的な物 質・材料を 探索・設計す るための マテリアルズイ ンフォマティクスの推進 To help businesses discover, develop, and deploy new materials twice as fast, we’re launching what we call the “Materials Genome Initiative” President Obama (6/11, 2012) 42 (出所)Materials Genome Initiative、USA セラミックに必要な今後のキーテク (出所)JFCARoadmap2050日米欧アンケート調査、2016年7月 43 世界が注目、CMC Ceramic Matrix Composite 44 セラミックス複合材料(CMC) ・LEAPエンジンは、セラミックマトリックス 複合材料(CMC)の次世代素材で、日 本カーボンが開発。 ・重さは金属材料の3分の1と軽量、耐熱 温度は金属材料より20%高く、高温で も使用可能。 ・ファンブレードが全て軽量化されるた め、遠心力が弱まり、ベアリングや他 の部品のスリム化も進み、素材技術で エンジンや航空機の運転効率が向上、 大幅な低コストでの運用が可能。 ・軽量な高強度素材として注目の炭素繊 維は、炭素が高温大気中では燃えて なくなり高温環境では使えない。 LEAP(Leading Edge Aviation Propulsion) (出所) GE REPORTS JAPAN 45 主要製品の重量当たりの単価比較 46 GE社、CMC量産工場の建設 2016年6月、 GE社は米国アラバマ州Hunasville市で、航空機エンジン、発電 エンジン向けのCMC量産工場の建設に着手。GE社の投資額240億円、DOD 空軍支援は26億円で、2018年前半に新工場が完成し、製造ラインは2018年 にスタート。現在までのLEAPエンジン受注は10,500基。 2016年6月16日、GE関係者による鍬入れ式 47 Fraunhofer-HTL研究所 Center for High Temperature Materials & Design Fraunhofer研究所(24,000名)は、2015年、 Hermsdorf地区に複合材料技術、 ポリマーセラミックス、高温設計、金属セラミックス複合材の4部門をもつ新研 究棟を建設。 (研究分野) ①製造プロセスの最適化、②ガスタービン用CMC、③高温セラミックス繊維 の開発、④焼成治具、高温部品の設計、⑤高温測定手法の開発 (セラミックス繊維) (コンピューターシュミレーション) (セラミックスコーティング) (機械的試験法開発) (CMC複合材) (超高温計測法開発) (出所) Fraunhofer-HTLwebsite 48 新たな航空機材料市場開拓 経済産業省は、機体・エンジンの双方でセラミックス基複合材(CMC)等の複合材料、炭素繊維 複合材(CFRP)、 チタン合金、ニッケル合金等の金属材料の導入が急速に進むことが想定さ れる中、競争力ある国内企業により、バリューチェーンを国内に取り込むべく研究開発や企業 連携等を推進。 機体構造材料の推移 航空機エンジン材料の推移 (将来)複合材(CFRP) 軽量化(1/2以下) (課題) 重量・コスト・加工性 (現状)Ti合金 ファン TiAl 耐熱性:850℃ (課題)耐熱性・コスト・加工性 (課題)コスト・加工性 (現状)Ti, Ni合金 耐熱性:650℃ 圧縮機 Temp.(C) (将来)複合材(CMC) 耐熱性:1300℃ (将来)Ti, Ni合金 耐熱性:650℃ (現状)Ni合金 耐熱性:650℃ (現状)Ni合金 耐熱性:650℃ 燃焼器 タービン 2000 1500 1000 500 低圧タービン ファン翼 高圧タービン 燃焼器 (出典)Science and Engineering of light Metals, Japan Inst. Light Metals,日経産業新聞他) ファンケース 低圧圧縮機 高圧圧縮機 (出所)経済産業省 49 MRJ(日本) vs ARJ21(中国) MJ-90(90席) MJ-70(70席) エンジン:Pratt & Whitney社 2015年11月11日、愛知県営名古屋 空港で初飛行 2018年4~6月 ANAへ1号機納入 受注状況:仮発注も含め300機以上 ARJ21-700(76~90席) ARJ21-900(98~105席) エンジン:GE社 2008年11月28日、上海大場空港で 初飛行 2014年12月30日、中国民用航空 局 (CACC) から型式証明取得 2016年6月28日、商用運航開始 受注状況:309機(確定)+20機(オプ ション) 50 海外の動向 ・Fine Ceramics ・Advanced Ceramics ・Technical Ceramics ・Engineering Ceramics 51 オバマ政権における優先項目の変遷 (出所)独立行政法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター 52 米国国防総省(DOD)の研究開発費 All日本政府予算の2倍 (単位:百万ドル) ・R&D 予算:721億ドル(8.6兆 円)(+7%増) ・日本政府のR&D予算:約4兆円 セラミックス 研究開発の 主体はDOD、 NASA (出所)Research and Development: Chapter 19 in Analytical Perspectives volume of the Budget of the U.S. Government FY2016 53 米国学会にあり日本にない委員会 ○原子力&環境技術 ○装甲セラミックス ○バーチャル材料(コン ピュータ処理)設計とゲノ ムセラミックス ○核分裂と核融合エネル ギーの先進材料 ○炭素ナノ構造、2D材料と 複合材 米国セラミックス学会(9,500名) のグローバル会員の内訳 54 世界の材料科学ベスト50大学 (QS World University Rankings by Subject 2016) 1.MIT大(米国) 2.スタンフォード大(米国) 3.インペリアルカレッジ大(英国) 4.加大・バークレイ校(米国) 5.ケンブリjッジ大(英国) 6.シンガポール大(星国) 7.ノースウェスタン大(米国) 8.南洋理工大(星国) 9.オックスフォード大(英国) 10.上海大(中国) 17.東京大(日本) 22.東北大(日本) 24.東工大(日本) 25.京都大(日本) 44.大阪大(日本) ベスト50の国別内訳 米国 日本 中国 英国 韓国 星国 ドイツ スイス カナダ インド 台湾 NZ スウェーデン オランダ ベルギー (出所)世界大学評価機関、QS World University Rankings by Subject 2016 55 世界の材料科学ベスト100大学 (U.S. News, Best Global Universities, 2016) 1.MIT大(米国、大学評価:2) 2.Nanyang大(星国、74) 3.Fudan大(中国、96) 4.スタンフォード大(米国、4) 5.国立シンガポール大(星国、 49) 6.ハーバード大(米国、1) 7.加大・バークレイ(米国、3) 8.加大・サンタ(米国、24) 9.Tsinghua大(中国、59) 10.加大・ロス(米国、8) 20.東北大(日本、165) 25.東京大(日本、31) 46.京都大(日本、86) 46.大阪大(日本、146) 70.東工大(日本、209) 100.九州大(日本、291) ベスト100の国別内訳 中国 米国 韓国 日本 英国 ドイツ 香港 豪州 スイス 台湾 フランス 星国 その他 (出所)U.S. News, Best Global Universities, 2016 56 米国USACAの活動 USACA(United States Advanced Ceramics Association)は、1985 年に設立し、本部はワシントンDC。現在、会員企業は27社、会長はGE社 (前会長:ボーイング社)。 委員会は、①原子力材料WG(2022年の商用反応炉燃料アセンブリ実用 化)、 ②セラミックス繊維・次世代複合材料WG(非軍事市場への拡大、例: 発電、工業、宇宙、航空分野)、 ③透明セラミックスWG(Sensor window roadmapの作成)、④人材開発WG:K12(小学校から高校)でのセラミックス 教育) (USACAの関心事) ・材料と環境のインターラクション(相互作用)、耐熱・機械特性の計測、複 合材料設計とプロセス ・関心分野は、航空宇宙、エネルギー、セキュリティ。 CMC市場は航空業 界に留まらず、今後の大きな成長が期待できる市場。 ・高品質な原材料提供の役割を日本に期待。日本の高品質な原材料と米 国のプロセス技術や量産技術の組合せが業界の発展に寄与。 57 USACAレポート (JFCA-FC Report 春号に投稿) 先進セラミックスは、航空宇宙、発電、超電導、原子力、工学プロセスなど幅広い分野で使わ れる主要材料技術。 (CMC) ・摂氏1,300度以上の高温に耐えられるCMC事業が活発。 ・商用航空宇宙ガスタービンエンジン用CMCの需要が、先進セラミックスへの投資をけん引。 ・商用航空機産業では、CMCの利用により、1年当たりエンジン1台につき100万ドルのコスト削 減が期待。 ・GEは、LEAPエンジン事業で9,500件以上のオーダーを受注。また、ロールス・ロイス社も、ガ スタービンエンジン用先進セラミックス部品製造で同様の投資を米国で計画。 (原子力) ・米国エネルギー省(DOE)は、原子力及びSOFCs用先進セラミックスに投資。DOEの事故耐 性燃料プログラ ムにおいて、ジルコニウム金属核燃料棒に代わるCMC核燃料棒の開発・実 証作業をDOE原子力局と共同 開発中。 ・DOEは2016年に、CMC及びセラミック事故耐性核燃料棒コンセプトのフェーズI実現可能性試 験を終了、 DOEは、原子炉の商用化に合わせて主流核燃料棒を2020年までに完成。 (SOFC) ・SFOCは、新しく台頭してきた先進セラミックスの大量応用分野。 ・2020年までに電力会社と共に、1メガワットクラスのシステムにまで出力を上げていく予定。 ・コスト目標は、積層電池1キロワット当たり225ドル、システムで1キロワット当たり900ドル。 58 米国の市場調査レポート A Global Strategic Business Report, 2016 (米国の市場分析) 〇運輸部門が牽引(航空機エンジン、環境規制対応フィルター) 〇バイオセラミックスの高い伸び(整形、歯科分野) 〇ポテンシャル大の医療・治療分野(インプラントセンサー、DDT) (日本の市場分析) 〇重要な分野(バイオニック、情報通信、エネルギー/環境分野) (ドイツの市場分析) 〇機械分野が高成長分野(7.7%) (中国の市場分析) 〇機械分野が高成長分野(10.2%) 〇MLCC(積層セラミックコンデンサー)の高い需要 (出所)Global Industry Analysts, Inc, May 2016 59 独・Fraunhofer研究所 セラミック技術・システム研究所(Fraunhofer Institute for Ceramic Technologies and Systems :IKTS)は、1992年 に設立し本部はドレスデン。欧州最大のセラミックス研究所 で、国内外の450機関と共同プロジェクトを実施。 2010年~2025年の先進セラミックスロードマップを発表。欧州 を中心とした大学、産業関係者へのアンケートや専門家とのイ ンタビュー、ワークショップにより作成。 (4つの研究課題) ○より高く新しい特性を有する新規なセラミックス ○システム製品のための高性能主要部品 ○高効率プロセス技術 ○総合的モデリングとシミュレーション技術 60 Made in China 2025 ○2015年5 月19 日、中国政府(国務院)は中国製造業の発展を目指す行動 計画として、3 月の全人代・政府活動報告でも李克強総理より言及の あった『中国製造2025』の詳細を発表。 ○建国100 周年(2049 年)までを3 段階に分けて目標設定し、本計画を「製 造強国戦略を実施していく上での最初の10 年の行動綱領」と定義。 ○また、本計画の実施に当たり、中国政府は金融、財政、人材育成、中小 零細企業対策等分野において支援を実施するとしている。 3段階の戦略目標 <第1段階> 2025 年 「製造強国の仲間入り」を果たす <第2段階> 2035 年 「世界の製造強国の中等水準」へ上昇 を図る <第3段階> 2049 年 「総合的実力で世界の製造強国の先頭 グループ」へ躍進 61 2050年ロードマップ 62 JFCA技術ロードマップ2050年 - JFCA設立30周年記念事業 1.作成(3機関合同) ○一般社団法人日本ファインセラミックス協会(事務局) ○東京工業大学・応用セラミックス研究所 ○名古屋工業大学・先進セラミックス研究センター 2.目 的 多様化する市場ニーズ・社会ニーズに対応するため、将来のファインセ ラミックスのビジョンや研究方針の立案の材料、異分野・異業種の連携、 技術融合の促進材料を提供し、将来の投資に向けたガイドライン(研究開 発マネジメントのツール)を示す。ロードマップを提案することで、未来に向 け日本のファインセラミック産業が強い競争力を維持・強化を図るとともに、社会に対し て三大材料のひとつであるセラミックスへの理解を増進する。 3.期 間 2015年7月~2016年10月(2016年11月10日公表) 4.内 容 5.調 査 国内外の既存文献調査、企業ヒアリング(50社)、日米欧アンケート調査(3~6月、40 社)、ワークショップ(7/22日)等 63 Concept of JFCA Roadmap 2050 Components Market Roadmap (MRM) 2015 2020 2025 Timeline 2030 2035 2040 2045 2050 Social Environment (Global Environment) Social(Market)Needs Product Roadmap (PRM) Emerging Products & Services Commercial Products made of Ceramic Applications (Raw Materials, Materials, & Commercial Products) Technology Roadmap (TRM) Underlying Technologies (Individual Technologies) Viechle 64 -セラミックス業界の競争力強化- ものづくりから価値創りへ 65 材料が強いから”Made in Japan”が強い 技術競争力ある材料が出口産業の競争力を支える 料理の味も、素材で決まる (出所)経済産業省資料 66 材料を制するものは、世界を制する -材料開発がモノ作りを変える- 「材料」があるから「ものづくり」が出来る。 「材料」が変われば「ものづくり」も変わる。 「材料」を分かれば「ものづくり」が分かる。 「材料」で「プロダクトイノベーション」を実現 67 ありがとうございました。 花火 [email protected]