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病弱教育研修講座② のアンケートに関する報告

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病弱教育研修講座② のアンケートに関する報告
病弱教育研修講座②
のアンケートに関する報告
去る8月25日には台風接近による悪天候の中、病弱教育研修講座②に多数ご参加いただき、あ
りがとうございました。
参加者の皆さんからたくさんの質問をいただきましたが、時間がなくその場で豊浦先生からお答
えいただくことができませんでした。後日、豊浦先生から丁寧なご回答をいただきましたので、報
告します。
●睡眠のこと、服薬のことについて
睡眠は脳を作り、育てるはたらきがあるため、睡眠が充分でないと日中のイライラ、癇癪、多動などに
現れると考えられます。通常の睡眠衛生指導でうまくいかない場合は専門施設の受診をお勧めします。
●退院後のフォローと関係機関の連携について
退院後は月1回の外来でのフォローを親子で行っています。
睡眠リズムが再び崩れる人はたくさんいます。原因は、いきなりフル登校でばてた、夜宿題をしていて
寝つけなくなった、学校での居場所がなく朝起きづらくなったなどがあげられます。
入院生活の枠組みの中で睡眠リズムを整える力はすでにあるので、できる限り自分の環境でいかに整え
ていくかを考えます。
●睡眠障害に陥る原因としてネットやスマホゲームへの依存があると思われるが、学校で取り組める行
動療法的なことはありますか?
まず、子ども達のメディア使用状況を把握し、自覚を促す。使用することでネットトラブルの経験があ
るかなど、意見を出し合い、対処の方法を考えていくことが重要です。
●思春期の第二次性徴による心身の変化が睡眠障害の原因となることがありますか?
充分関係していると思います。
(自我の形成、反発、ホルモンの変化など)
●睡眠障害は自然に改善されることはありますか?
もともと本人の概日リズムがしっかりとしていて夜更かしを自分で治すことが出きれば可能だと思いま
す。メラトニンは必要なことが多いです。
●重度の知的障害の生徒の事例、保護者が起こすことができず、登校日数が減少してしまう。自分で改
善点を理解できない生徒に対してどのようにアプローチをして、規則正しく生活できるようにすればよ
いですか?
入院生活や寮生活のような集団で生活したり、活動する枠組みが必要だと思います。その中でできてい
るところを本人にフィードバックして意欲につなげるのが良いと思います。
●高等学校では授業日数や履修の関係がある。普通科高校としての取り組みや配慮ができる方法はあり
ますか?
朝起きられずできない授業を補習やレポートで単位を補てんできるシステムが徐々に確立すればよいと
思います。
●母子ともに睡眠障害で昼夜逆転の生活をしている場合
母子ともに治療するのがベスト。本人が自立していけるように支援し、母親の助けなしに生活リズムを
作れるようにする必要があると思います。
●1学期に2~3度夜眠れず朝方にやっと眠れた。登校時間に起きられず欠席したことがあったが睡眠
障害が考えられますか?
時々であれば、不安・緊張・興奮などが不眠に影響したのかもしれません。睡眠障害はある一定期間続
くと思います。
●広汎性発達障害で年齢とともに眠りに入りにくくなっているがどうすればよいか。
病院を受診し、メラトニンやリスパダールなど、内服が必要になるかもしれません。
どのようなアプローチをされていますか?
保護者にうまく対応してもらえない場合は、①本人の自立を促し、社会で力をつけて自分の力で頑張っ
てもらう。②保護者の認知行動を少しずつかえるため、心理士による母子並行面接を行う。などが考え
られますが、子どもは成長していくので①が重要だと思います。
●夜中でも寝ない、疲れるほど興奮するなどの症状で 1 時間ごとに保護者を起こすなどの行動をする生
徒の保護者に「服薬処方をお願しては・・・?」と勧めるが拒否されるケースがある。どう支援すれば
よいですか?
睡眠が改善すれば多動、衝動性、興奮が改善します。まず、睡眠を良くすることが前提であると理解し
てもらう必要があります。
●保護者に説明する時のポイントは?
「入眠時間を早め、一定にすること。食事を3食決まった時間にとる。毎日15分以上歩く。
」が基本で
す。睡眠覚醒リズム以外にその他の生体リズム、ホルモンリズムなどにも時差があるため、
「朝起きられ
た=学校にいける」ではない。見た目と本人の自覚する体力にはかなりギャップがあるため理解するこ
とが必要。
●睡眠障害は後天的な病気という感じがしました。家庭や環境を変えても回復することが難しいように
思うが・・・。
本人の生物時計が遺伝子的に脆弱な場合がよくある。乳幼児健診などで睡眠表を導入し、早期介入する
ことを検討しています。
●自閉症の子の睡眠の質の悪さについて
自閉症スペクトラムのお子さんは、メラトニンの分泌が低下していたり、おそらく生物時計の遺伝子の
脆弱性のため、睡眠リズムがうまく作れないと考えられています。治療することで自閉傾向や多動、衝
動性が改善することが期待されます。
●乳児期の睡眠の様子について
4カ月を過ぎて、昼夜のリズムが出現するかどうか、昼寝がきちんとできているかどうかを確認します。
日中は外出してたっぷり日の光を浴びることが大事です。
●睡眠障害を抱える子どもに関わるうえで大切にしていることは・・・?
子どもの気持ちを理解する、共感する。自分で立ち直る力を持っている。他患者との交流で元気になり、
お互いを治癒しあうこと。
質問内容の多かったものを中心に掲載しました。今後の取り組みの参考にしていただければ幸い
です。
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