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全文PDF
第
1
0
1回 近畿精神神経学会
88
7
第1
0
1回
地
方 会 報
近畿精神神経学会
0
0
7年 7月 2
1日
会期 :2
告-
お り,特 に入手が.
容易である.今回,経過か ら制汗ス
プレー剤の頻回な吸入,乱用が疑われ幻覚妄想状態 を
呈 した 1
7歳男性の稀 な症例 を経験 したので若干の考
(
土)
場所 :ラッセホール
察を加 えて報告する.本症例 は入院後,少量の リスペ
担当 :前田 潔 (
神戸大学大学院医学系研究科精
神医学講座)
状 は改善 した.以前の薬物乱用 は青少年の仲間内での
セッシ ョン Al
座長 福居 顧二
A1
11
,4ブタンジオ-ル乱用の一症例
○吉村智恵1
・
2
)
,永 田 悠2
)
,末虞佑子2
㌧上
田昇太 郎2
)
,佐竹
暁1
)
,桶 野健 -1
)
,麻
1
)財
生克郎1
)
,山本訓也1
)
,岸本年史2) (
リドン, ロラゼパムにより治療 を行い 2週間で急性症
薬物,知識の授受が中心であったが,本症例 はインタ
ーネ ットより知識 を得ていた と考 えられた.その利用
の簡便 さなどか ら,インターネ ッ トが違法薬物乱用の
きっかけとなる可能性があるため注意が必要 と考 える.
Al
3 Par
o
x
e
t
i
neが有効であった身体醜形障害の 2
症例
団法人復光会垂水病院,2) 奈良県立医科
大学精神医学教室)
○奥野菅平1
)
,岩 永伴 久1
)
,森脇 大裕1
)
,植
近年インターネ ットの普及により依存性の高い物質
が容易 に入手 され,その乱用が増加 している.麻薬指
定 されているハイ ドロキシプチレー トの前馬
区物質であ
1
)兵庫
英孝2
)
,大原一幸1
)
,守田嘉男 l) (
医科大学精神科神経科教室 ,2)楓 こころ
のホスピタル)
,4ブタンジオール もインターネ ッ トを介 して広
る1
まった乱用性 の高い薬物 で ある.3
0歳,男性 は, こ
BDD)は小 さな身体的異常 あるい
身体醜形障害 (
は想像上の外見の欠陥に対す るとらわれが過剰である
,4ブタンジオールの離脱症状の管理の為 に当院
の1
a
r
oxe
t
i
n
eが有効 であ っ
ことを特徴 とす る.今回,p
た BDD の 2症例 を経験 したので報告する.【
症例 1
】
4
0歳男性.1
6歳 よ り頚部 リンパ節が醜 く腫れてい る
,4ブ
で 2回にわた る入院加療 を受 けた.本症例 は 1
タンジオールを睡眠剤 として使用開始 した ところ,逮
やかに耐性が獲得され,使用量が増 し,中断後に数時
間で振戦,発汗,幻覚などの離脱症状 を呈 した.初回
の入院では 1
,4ブタンジオールの中断後,早期 に大
量のベ ンゾジアゼピン,パル ビツールを投与 し,速や
かに離脱症状が改善 したが,2回目の入院においては,
身体合併症治療の為,離脱症状への薬物投与が遅れ,
野秀男l
)
,高長 明律1
)
,真 城拓 志2
)
,真 城
と感 じ,被注察感や関係念慮 を苦 に高校 を中退.練炭
a
r
o
xe
t
i
ne4
0mg/
d
a
yの治療
自殺 を図 り来院 した.p
で頚部へのこだわ りが軽減 した. 【
症例 2
】2
7歳男性.
容姿 をけなされた ことを契機 に 「
顔全体が醜い」 と感
じ,不眠,抑 うつ も加わ り来院 した.様々な向精神薬
経験 に若干の考察を加 え報告する.
a
r
o
xe
t
i
ne2
0mg/
da
yに
で加療 されたが改善せず,p
て容姿へのこだわ りが軽減,不眠,抑 うつ も軽快 した.
BDD は強迫性障害 に近縁す ると考 え られてい る.今
Al
2 未成年の制汗スプ レー剤乱用が疑われた一例
回の 2症例において も選択的セロ トニ ン再取 り込み阻
症状が重症化 し回復 に長期間を要 した. これ らの治療
○遠藤晃治l
・
2
)
,塚元二郎3
)
,北村聡一郎3
)
,
害剤が有効であ り,強迫性障害 と同様の脆弱な生物学
長 内清行3
)
,林 竜 也3
)
,森 川将 行2
)
,百
村 敏3
)
,岸本 年史2) (
1) 大 阪府 障 害者
的基盤を有することが示唆された.
福祉事業団重症心身障害児施設す くよか,
2
)奈良県立医科大学精神医学教室,3
)
セッシ ョン A2
座長 木下 利彦
A2
1 初発後 4
5年間未治療であった統合失調症の一
天理 よろづ相談所病院精神神経科)
例
未成年の薬物乱用は以前 より大 きな社会問題 となっ
ている.最近では覚せい剤を乱用する事犯が増加 して
○藤 山佳子,分野正貴,上野千穂,田近垂
蘭,布谷純子,木下利彦 (
関西 医大精神
神経科)
いるが,シンナーなど吸入薬 (
有機溶剤)の乱用 も依
然見逃すことのできない問題である.吸入薬の中で も
老年期 には,脳 を含む身体的加齢や心理社会的要因
制汗スプレーはコンビニエンスス トア等に常備 されて
によって,精神症状 を呈することがある. また,基礎
精神経誌 (
2
0
0
7
)1
0
9巻 9号
8
88
疾患 を有 していることが多 く,可能な限 り少量 かつ副
作用の発現頻度の低い薬物 を選択する必要がある.今
回,幻聴 を主訴 に来院 した老年期の患者に対 し,統合
内容 を答 えて もらうものである.視覚 ・聴覚 を動員 し
た数種の並列作業 を行い,クリック音の感覚を変化 さ
せてい くので注意の配分の訓練 にもなっている.前頭
失調症 と診断,ア リピプラゾ-ルが有効であった一例
賦活訓練 を行 った結果,SPECTで前頭 を中心 とした
を報告す る.症例 は 6
5歳女性.X-4
7年時,想依妄
想 を主体 とした幻覚妄想状態を呈 したが,約 1年の加
脳血流 ,WCST, リーディングスパ ンテス トで改善
をみた. また,PANSSで陰性症状 を中心 とした統合
療 にて軽快 し,その後 は特に問題 な く生活できていた.
失調症症状全般の改善をみた.当訓練法は簡便であ り,
X-1年 11月頃 よ り,幻聴,体感幻覚,被害妄想 を
認 め,その後,症状 が増悪 した ため,Ⅹ年 4月,当
統合失調症に有効であることが示された.
科初診 し,医療保護入院 となった.入院後 よりアリビ
プ ラ ゾ-ル の投与 を開始 し,ア リピプ ラゾ-ル 1
2
セッシ ョン A3
A31 遅発緊張病 に対 する ma
i
nt
e
name
eECTの有
mg/日投与 にて症状の疎隔化 を認 めた.詳細は当日発
効性
表す る.
A22 服薬中断によ り再発 した 1症例- 統合失調
har
e
dde
e
i
s
i
o
mma
ki
ngについ
症薬物治療における s
て-
座長 米田 博
○久馬 透1
)
,高 橋 淳1
)
,山 田 尚登2
)
,育
木建亮 1) (
1
) 水 口病院精神科,2
) 滋賀医
科大学精神医学講座)
遅発緊張病 は中年女性に多い疾患で,典型的には心
○平 良 勝1
)
,潰 田 仲 哉1
・
3
)
,橋 本 健 忘1
・
2
)
(
1
)神戸大学医学部精神神経科学分野,
2)神戸大学医学部保健学科,3
) 光明会
明石病院)
気抑 うつ状態で始 まり,経過中に緊張病症候群が出現
し,やがて種々の程度の残遺状態に至 る.本疾患は薬
ECT)
剤抵抗性 の ことも多 く,電気 けいれん療法 (
は最 も有効な治療の一つである.
統合失調症患者の抗精神病薬に対す るコンプライア
i
nt
e
na
nc
eECTが奏効 した遅発緊
我々は今回,ma
ンスは不長であることが多 く,我々 も服薬中断 による
張病の症例について報告する.本症例の緊張病状態は
症状再燃 を多 く経験 してい る.近年,他科において
薬物療法に反応 しに くい上,様々な有害事象の出現 に
s
har
e
dde
c
i
s
i
o
nmaki
ng (
医師一患者が共同して治療
法の選択 を行 うこと) に関する研究報告が多 くなされ
よ りADLや QOLを著 しく損なっていた. これに対
して ECT は有効 ではあったが,その効果 は持続せず,
ている. また欧米では統合失調症患者 を対象 とした
再燃する度に ECT を繰 り返 し行ってきた.今回 これ
s
ha
r
e
dde
c
i
s
i
o
nmaki
n
gに関す る研究報告 もみられ
る (
Hama
nn,J
リe
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.
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e
dde
c
i
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i
o
nma
ki
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h
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y,
1
1
4;2
6
52
7
3
,2
0
0
6
)
.
を実施 した ところ,長期にわたる寛解の維持 と,抗精
神病薬の大幅な減量 とに成功 した.本症例のように薬
今回我々は服薬中断により入院治療 を必要 とした統
合失調症の 1症例 について報告 し,統合失調症薬物治
i
nt
e
na
nc
eECT を積極的に選択するこ
ある場合,ma
とが重要であると考えた.
ha
r
e
dde
c
i
s
i
o
nmaki
n
gによるコンプラ
療 における s
イアンスの改善の可能性 について考察 を加 える予定で
ある.
A3
2 下垂体腺腫 を合併 した統合失調症の一例
A2
3 統合失調症に対する前頭賦活訓練
i
nt
e
na
nc
eECで
に対 して 6ヶ月間のプロ トコルで ma
物療法の有用性が限定的であ り,か つECTが有効 で
○中村光男,常見菅平,虞揮六映,北林百
合之介,成本 迅,福居顧二 (
京都府立
○石 川雅 裕1
・
2
)
,篠 原 隆-1
)
,山下達 久3
)
,
医科大学大学院精神機能病態学)
慢性期の統合失調症患者では身体疾患が存在 しても
(
1
)国立病院機構舞鶴医療セ ンター精神
訴 えが唆味で,その診断には困難を伴 うことが多い.
科 ,2) 国立病院機構舞鶴医療センター臨
床研究部 ,3)京都府立医科大学大学院精
神機能病態学)
統合失調症の基盤 に前頭機能障害があるとされてい
今回我々は精神病症状の増悪で入院 した統合失調症患
者 において下垂体腺腫の合併の診断に至った症例 を経
験 したので報告する.
1歳右利 き男性.2
7歳時統合失調症 を発症,
【
症例】4
当科 にて入院加療.以後近医精神科 に通院 し症状 は安
るが,作業記憶賦活 を中心 とした前頭賦活訓練 を統合
失調症 7症例 に試みた ところ,前頭機能,陰性症状 に
定,陰性症状 を認 めるものの就労は何 とか継続できて
おいて改善が得 られたので報告する.方法は,メ トロ
いた.X年 6月か ら幻覚妄想や思路障害が出現.仕
ノームのクリック音 に合わせ絵本 を読み,あとでその
事 にも行 けな くな り,当科 に紹介され入院 となった.
第1
0
1回
8
8
9
近畿精神神経学会
薬物療法を施行 したが症状 は増悪傾向であり,併せて
月2
5日に退院 となった.現在 は nuvoxam
i ne単剤で
施行 した器質因の精査の結果,頭部 MRIで下垂体腫
安定 した状態が得 られている.当 日は若干の考察 を加
え報告する.
hi
ng
癌,血中グル ココルチコイ ドの上昇 を認 め,Cus
病の診断に至った.1
0月に下垂体腺腫摘出術 を施行.
2月 に療養型精神科病院 に転院
幻覚妄想は改善 し,1
A42 操 うつ混合状態に対 しバルブ ロ酸が奏効 した
一例
した.陽性症状 の再燃 には,下垂体腺腫 によるグルコ
コルチコイ ドの上昇が関係 していた と考 えられた.
A33 緊張病性昏迷を呈 した初老期 うつ病
○井上香里,栗本直樹,金井裕彦,山田尚
登 (
滋賀医科大学精神医学講座)
初老期 うつ病では脳器質性疾患が基盤 に存在するこ
とがあるが,今回我々は緊張病症状 を呈 し,前側頭葉
の萎縮 を伴 った うつ病の症例 を経験 した. この症例は
これまでに数回の抑 うつ気分 に続 く緊張病症状 を呈す
るエ ピソー ドが あ り,MRI・SPECT の画像 前頭葉
機能検査では前頭葉機能低下 を示す所見 を認 めた.入
院後,ECT を行 った ところ緊張病症状 については速
やかに改善 を認 めた. しか し,ECT終了後 2週間で
再び,固執傾向,抑 うつ気分が再燃 したので SSRIを
投与 したところ奏功 し退院 となった. この病像は基盤
に高次脳機能障害が関与 したのではないか と考え,初
老期に発症する変性疾患である前頭側頭葉変性症など
との比較を行いなが ら考察 したので報告する.
セッションA4
座長 岸本 年史
A4-1 衝動性,精神運動性興奮 を呈 し,SSRIで軽
快 した 1例
○北浦寛史1
)
,国富 晶絵1
)
,小 山智子1
)
,磨
村雅世1
)
,森脇 大裕1
)
,植 野秀男1
)
,西井
理 恵1
)
,高長 明律1
)
,武 田- 寿2
)
,柳 祥
) (
1)兵庫医
子3
)
,大原一幸1
)
,守 田嘉男1
科大学精神科神経科教室,2)有馬高原病
)美原病院)
院,3
精神科において衝動行為や興奮を呈する患者に接す
ることは稀ではない.今回,衝動性や精神運動性興奮
を呈 し,最終 的 に ml
VOXami
neで軽快 した 1例 を経
験 したので報告 す る.X年 1月 9日よ り興否状態 と
な り言動 にまとま りが な くな り 「ヒデ ヨシ, ヒデヨ
5日にA病院へ入院 と
シ」 と叫んでいた.X年 1月 1
な り,統合失調症 と診断され抗精神病薬中心の処方が
行われた. しか し興否や衝動行為が目立ち,安定 した
病状 を得 ることは困難であった.家人の希望 で Ⅹ年
6月 2
9日に退院 とな り,Ⅹ年 7月 5日に B病院へ再
入院.全身倦怠感が強 く,数種の抗精神病薬 を漸減中
止 した ところ,確認行為 が 目立 つ よ うにな った.
ml
VOXami
neの追加投与 により興奮は軽快 し,Ⅹ年 9
岩谷 潤,辻 富基 美,松 本直起,鵜 飼
聡,篠崎和弘 (
和歌 山県立 医科大学神経
精神医学教室)
軽操的な要素 を認 めるが双極性障害の診断基準 を満
た さないケースでは,治療 に晦渋 す る ことが多 い.
,
双極 スペ ク トラム障害」(
Ghe
ami
,20
0
1
)
我々は 「
お よび 「
混合状 態」(
Da
ye
r
,2
0
00
)の診 断が,気分
安定薬の奏功に結びついた症例 を経験 したので報告 し
た.
患者 は 4
4歳,女性.職場での疎外感 を契機 に Ⅹ-
3年抑 うつ気分,意欲低下,不眠 で発 症 した.X-1
年 6月,前医にて SSRI処方されたが抑 うつ状態 は改
善 せず,焦 燥や苛々が増悪 した.X年 2月,抑 うつ
気分 を主訴 に当科入院 した.
入院時,大 うつ病エ ピソー ドに加 え,派手 な服装や
多弁などの軽操症状,苛々や攻撃性 な どの不機嫌症候
秤 (
Daye
r
) を認 めた.入院 8日 「
混合状態」の可能
pr
oat
eの投与 を開始,軽
性 を考 え SSRIを中止 Lval
蹄症状や不機嫌症候群が軽減 した.抑 うつ状態が遷延
pr
oat
el
O
O
Omgへ増丑 し改 善,Ⅹ年 5月
したが,val
に退院 した.
A43 心血管系合併症 を有するうつ病 に対する ECT
施行例
○杉田尚子,工藤耕太郎,山田尚登 (
滋賀
医科大学精神医学講座)
うつ病 は薬物療法を主たる治療 とする場合が多いが,
十分量 を十分期間用いることが必要 とされている. し
か し有害作用のために十分量 を使用で きないケース も
,SNRIな ど新規抗 うつ薬
しば しばみ られ る.SSRI
は心血管系の有害作用が少ないが,中等症以上の症例
においては三環系抗 うつ薬に比べると効果が劣 る場合
,SNRI無効例 で心血管
が あ る.その ような,SSRI
系の合併症 を生 じた場合は三環系抗 うつ薬 を十分 に使
用で きず,いたず らに時をすごす という結果 にな りや
すい.今回,我々は SSRI
,SNRIともに十分量使用
したが無効 であ り,拡張型心筋症 による QT延長 の
ためそれ まで使用可能であった三環系抗 うつ薬が使用
不能 となった症例 と三環系抗 うつ薬 によ り重篤な 1分
0回以下の心拍数 という重篤 な徐脈 を生 じ薬物
間に 2
療法の続行が困難であった 2症例 につ き mECT を行
い寛解 にいたった. この 2症例 について,今後の維持
8
9
0
精 神 経誌 (
2
0
0
7)1
0
9巻 9号
的 ECT の治療戦略 も含め,考察 を交 え報告 したい.
A53 著明な心気症状に対 し薬剤の調整 を試みた老
年期 うつ病の一例
セッシ ョン A5
座長
白川 治
A5-1 マイン ドフルネス隈想の技法 によって軽快 し
た遷延化 うつ病の一例
○中野友義,西 田勇彦,稲 田黄土,堀 貴
暗,米田 博 (
大阪医科大学神経精神医
学教室)
○西洋 晋,中村光男,西村愛里,撞 桐
老年期 においては,心気症状が多 く見 られるが,向
仁,山下達久,福居顧二 (
京都府立医科
大学大学院医学研究科精神機能病態学)
精神薬 の投与が著効することは少な く,倦怠感,ふ ら
つ き等の副作用が関係 して新たな心気症状 を生 じるこ
うつ病 に曜思した患者 は,長期間に及ぶ,何度 も繰
り返 され,連鎖的に発展す る自己否定的な思考 にとら
ともあ り,治療 に難渋する症例が多い.
われ,強 い情緒的苦痛 を体験 す る.マイ ン ドフルネ
ス ・スキルは,思考の内容 を変化 させ ることを目的 と
の手術後 より,身体の調子 に対 して神経質な傾向が強
した従来の認知療法 とは違い, このような思考の,皮
症例 は入院時 8
0歳女性.68歳時,椎間板ヘルニア
くな り,不眠,焦燥感 を訴 え 70歳時 に抗不安薬 の投
与 を受 けるようになった.71歳時 より当院での外来
復的 ・循環的で注意 をそらす ことが困難であるとuっ
治療が開始 とな り,心気症状,焦燥感に対 し種々の薬
た適応的でない機能の改善 に焦点 をあてた,新 しいタ
剤が投与 されたがいずれ も著効せず,過去 7回に及ぶ
イプの認知行動療法である.今 回,2年以上にわたっ
て抑 うつ症状が遷延 し,薬物療法では改善がみ られず
入院歴がある.向精神薬の増量に伴い,ふ らつき等の
副作用が出現 したため,今回の入院では老年期 に生 じ
に,強い自責感や不安焦燥感 を訴 え自宅 に引きこもっ
た心気症状 に対 し大幅な薬剤の調整 を行 うこととなっ
ていた うつ病の女性患者 に,マイン ドフルネス院想の
た. この症例 に対する治療の結果を若干の考察を加 え
技法 を用いた ところ,否定的な思考への とらわれが減
て報告する.
少 し,比較的短期間で軽快 したので報告 し,治療機序
について考察 を加 える.
A52 認知療法的関わ りが奏効 した漬癌性大腸炎に
セッシ ョン A6
座長 守田 嘉男
A6
1 内因性精神病 を疑われたが,最終的には前頭
合併 した大 うつ病の症例
側頭型認知症 と診断 した-症例
○稲垣貴彦,森 田幸代,山田尚登 (
滋賀医
○今村容子,吉 田常孝,入揮 聡,西 田圭
科大学精神医学講座)
潰癌性大腸炎は,強迫的人格傾向が発症の危険因子
一 郎,鈴 木 美 佐,吉 村 匡 史,木 下 利 彦
(
関西医科大学精神神経科学教室)
であることや,2年以上持続す る心理的ス トレスに暴
前頭側頭型認知症 は脱抑制行為,常同行為などの症
状が臨床上特徴的であるが,病初期 には内因性精神病
露 された患者ではその症状増悪 リスクが 3倍になるこ
とが示 されている心身症のひとつである.
今回我々は,潰癌性大腸炎発症後 に大 うつ病性障害
をきた し,認知療法的関わ りにより両症状が寛解 した
症例 を経験 した.
【
症例】22歳男性,大学生.父の脊髄小脳変性症発
との鑑別が困難な場合がある.当初精神病性障害を疑
われたが,最終的には前頭側頭型認知症の診断に至っ
6歳男性.X-1
4年 うつ
た症例 を経験 した.症例 は 5
病の診断で一年間休職 したが,その後精力的に働 き,
Ⅹ-7年 には会社 を設立 し,事業 を順調 に拡大 してい
1歳
症 による家庭環境 の変化や経済的な困窮の後,2
体がね じれる,体 に排気ガスが
た.X-3年頃か ら 「
で漬癌性大腸炎を発症 し,2回の内科入退院の際 に,
入って くる気がする」 と訴 え,不眠 も出現 した.総合
家庭環境か らの隔離で速やかに腹部症状が改善するこ
とが指摘 されていた.その後大 うつ病 を発症 し,パロ
病院精神科,精神科クリニ ック等に通院開始 し薬物療
法を受 けたが,症状 は次第 に悪化 し当科初診 した.X
キセチ ン投与が無効であ り, 自殺企図 と腹部症状の増
悪 のため精神科入院 となった.強迫的な人格傾向を有
年 10月に抗パーキンソン薬 を追加 した ところ,身体
し,些細なことで抑 うつ気分が増悪 したが,認知のゆ
がみに着 目したアプローチにより気分症状 とともに腹
部症状 も改善 し,約 2ヶ月で退院 とな り,その後半年
間症状 の再発を認めない.
の訴 えは減少 したが,革 をぶつけるなどの脱抑制行為
を認め,追加薬剤の中止後 も同様の症状が遷延 したた
め,Ⅹ年 11月当院入院 となった.入院後,脳画像検
査,神経心理検査等 を施行 し,前頭側頭型認知症 と診
断した.詳細 については当日若干の考察を加 えて報告
する.
第
8
9
1
1
0
1回 近畿精神神経学会
A62 7ルポキサ ミンによ りアクチベ -シ ョンシ ン
ドロームを呈 したアルツハイマー型認知症の一例
A64 非定型抗精神病薬服用 中 に水 中毒,横紋筋融
解症が出現 した 2症例
○北畑大輔,明石浩幸,切 目栄 司,人 見一
彦 (
近畿大学医学部精神神経学教室)
○村 田俊 輔1
)
,山本 県弘1
)
,上 山栄 子1
)
,松
症例 は 6
6歳男性.平成 Ⅹ-1年 5月,物 忘 れ を主
1
)和歌 山県立 医科大学神経精神
和弘1) (
医学教室,2)和歌山県立 こころの医療 セ
ンター)
3点,MRI
,脳 SPECT に て明
訴 に来 院.HDR-S1
らかな異常 を認 めず仮 性認知症 と診断 しフル ボキサ ミ
本 直起1
)
,角前修 二2
)
,馬 島将 行2
)
,篠 崎
ン処方 され る.その後一時的に物忘れな どの症状 の改
症例 1は 4
3歳男性. リスペ リ ドン 5mg単 剤服 用
善 を認 めた ものの,平成 Ⅹ-1年 11月 には 「自分 は
1
8mEq
/
L,CK943
中.意識消失,間代性痘撃,Na1
I
U/
Lにて受診 し水中毒 の診 断で入院.向精神薬 は継
いな くなった方がいい」 といい衝動的に川 に飛び こん
,
だ り 「もう一人別の妻が見 える」な どと幻 視症状 を
認 めた. 日中は落 ち着 きな く動 きまわ り,夜間せん妄
な ども認 めたた め平成 Ⅹ 年当院入院.ル ンバ - ル に
て異常 な し,脳波で は全般的 に徐波 を認 め,MRIに
て大脳 の全般的な萎縮 を認 め,脳 SPECT にて側頭葉,
頭頂葉 にて血流低下 を認 めアルツハイマー型認知症 と
続 し,飲 水 制 限,輸 液 に て 治 療 .第 5病 日,
CK1
3
9
3
3I
U/
L まで上昇 し,横紋筋融解症 と診断 した.
症例 2は 5
5歳男性.オ ランザ ピン 20mg単剤服 用 中.
26mEq
/
L,CK91
0
0
0
意 識 障 害,畷 吐,転 倒,Na1
I
U/
Lにて受診 し水中毒及び横紋筋融解症 の診 断で入
診断された. また SSRI中止 によ り衝動的行動や幻視
院.向精神薬 は中断 し,飲水制限,輸液,ダン トロレ
ンにて治療.第 2病 日に CK1
1
91
9
4I
U/
Lまで上昇 し
症状,せん妄な ども改善 した.本症例ではフルボキサ
た.2症例 とも発熱や筋強剛は伴わなかった.
ミンによるアクチベ-シ ョンシン ドロームによって衝
動性,焦燥感,幻視 な どが出現 した と考 えられた.
A63 LH-RH アゴニス ト (リュープ リン⑧)を使用
後 に被害妄想,注察妄想 を呈 した一例
○田原麻琴,植野秀男,高長 明律,西 井理
横紋筋融解症 の危険因子の一つ に水中毒が挙 げられ
HT受容体 に親和性 の あ る非定型抗精神
ているが,5
病薬 も筋膜透過性 に変化 を与 え,筋崩壊 をきたす こと
が指摘 されている.非定型薬が治療 の主流である現在,
悪性症候群 を伴わない本症の増加 に注意が必要である.
恵,大原一幸,守 田嘉男 (
兵庫 医科大学
精神神経科)
3歳主婦.X年夏頃 (
4
2歳) よ り子
症例 は初診時 4
宮筋腫 による過多月経がみられ近医産婦人科 にてホル
モ ン療法 (
4遇 に 1回, リュ-プ リン⑧1.
8
8mg/
回を
皮下注)が行 われた.X年 11月,4回 目の リュ-プ
リン⑧が投与 された翌 日より 「
テ レビで私の悪 口を言
」
セ ッシ ョン Bl
座長 篠崎 和弘
Bl
1 看護師のメンタルヘルス を向上 させ る要 因 に
ついての検討
○林
略章,井上幸紀,岩崎 進一,村松 知
拡,山内常生,中尾 剛久,切 池信 夫 (
大
阪市立大学大学院医学研究科神経精神 医
学)
ってい る 「カメラで覗かれてい る」等 の被 害妄想,
注察妄想が出現 し 「ラジオに呼ばれたか ら」 と区役所
【目的】看苦師が仕事 の中で十分 な自由度 を持 ちそ
や六 甲山を歩 き回った.同年 1
2月近医産婦人科 医院
れが受 け入れ られる職場であれば精神的健康 を保つ こ
よ り当科に紹介受診 した.初診時,不眠,焦燥,被害
妄想,注察妄想がみ られ同日当院 に入院 した.ア リピ
とがで きるので はないか と考 え検討 を加 えた. 【
方法】
対象 は単科精神科病院 に勤務す る看護師 3
4
2名.精神
プラゾ-ル を中心 に内服加療 を行 い被害妄想,注察妄
想 は改善 し Ⅹ +1年 2月退院 した.本症例 は症状精神
的健康 は SDSで評価.性別,年齢,役割葛藤,役割
の唆昧 さ,仕事 のコン トロール は NI
OSH職業性ス ト
病 の-症状 として妄想が出現 した もの と考 えられた.
レス調査票 の一部 を使用 し評価. 【
結果及 び考察】単
回帰分析 の結果,年齢 (
3
0
-4
9歳),役割葛藤 と役割
本症例 について若干の考察 を加 えて報告する.
の暖昧 さで有意差 を認 めた.性別,年齢及び単回帰分
析 において有意差 を認 めた役割葛藤 と役割の暖昧 さを
独立変数 として多重 ロジスティック回帰分析 を行 い,
年齢 と役割の唆昧さに有意な関連 を認 め役割葛藤 は関
連 しなかった.今回の結果か ら中堅看護師 よ りも比較
的経験年数の浅 い看護師に対 して,仕事上 どうい うこ
とが求 められているか を明確 にして仕事が行 えるよう
8
9
2
精神 経誌
に配慮すれば,精神的健康 の向上 に結びつ くのではな
いか と考 えた.
Bl
2 生体 腎移植 における術前精神 医学的面接 につ
いて
○高橋 秀 俊1
)
,工 藤 喬1
)
,高 原史郎2
)
,武
田雅俊 1) (
1
) 大 阪大学大学院医学系研究
科精神医学,2)大阪大学医学部医学系研
究科先端移植基盤医療学講座)
【まとめ】チーム医療 によ り,専門性 の高 い職種 が
重層的に関わ ることで,患者 との関係 に新たな変化が
起 こった症例 を経験 した.
セ ッシ ョン B2
座長 武田 雅俊
B2
1 昏迷状態 を呈 して緊急入院 に至 った青年期 の
アスベルガー障害
○荒木賢介,岡田 俊 (
京都大学 医学部精
神医学教室)
大阪大学 医学部 附属病院 で は,生体 腎移植 を毎年
2
0例程度行 ってお り, 日本移植学会 の倫理指針 に基
づ き,生体腎移植術前 にレシピエ ン トお よび ドナーに
対 して精神医学的面接 を行 っている. その際,移植術
を受 けることに対す る自発的意思の確認, 自発的意思
決定 を行 うに十分な理解力 および判断力 を有す ること
の確認,精神疾患の合併の有無 の確認,精神疾患 を合
(
2
0
0
7
)1
0
9巻 9号
アスベルガー障害の青年 ・成人では,不適応 などの
心的負荷 を契機 に一過性の精神病状態 を来す ことがあ
り,精神科救急の対象 となる者 も少 な くない.症例 は
1
4歳 の男児.試験 で好成績 を挙 げ ることに強迫的 な
こだわ りがあ り,試験 の前 日か ら,何 も手 に付かず,
興奮 して泣 き叫ぶ ことが見 られた. その後 も,勉嘉の
併 してい る場合 その治療 に関す る相談 な ど,平成 1
9
ことが頭 か ら離れず何 もで きない と言って,頭 を掻 き
年 1月 よ り独 自に作成 した 「
生体臓器移植 神経科精
む しり暴れるな どの不穏 を呈 し,カタレプシーを伴 う
神科
昏迷状態 に移行 して入院.明 らかな精神病症状 は確認
問診表および評価 シー ト」 を用いて行っている.
腎移植 の場合,透析 という代替治療法があ り,他 の移
植 に比べ システム化が行いやすい と考 えられる面 もあ
されず,入院中のスタ ッフとの対人関係 の取 り方 をも
とにアスベルガー障害の青年がパニ ックか ら昏迷 に至
るが,精神疾患の合併が考 えられるケースに関 しては,
った可能性 を疑 い, さらに詳細 な生育歴 を聴取,心理
結局個別 の対応 を要す ることも多い. このようなケー
スでは早期 に泌尿器科主治医あるいは移植 コーデ ィネ
検査所見 などか ら確定診断に至 った.その後 は,成績
や登校 に関す る強迫的な認知 を修正 し, 自閉的な空間
ータ との連携が行 えるシステムの整備が今後重要 とな
を保証す ることで,パニ ックは減少 している.急性期
る と考 え られた.
Bl
3 緩和 ケア ・チーム医療の実際 (
抑 うつ を契機
治療 において も,発達障害の可能性 を念頭 に置いて観
察す ることの重要性が示唆 された.
B2
2 広汎性発達障害児 における感覚過敏性 につい
に治療関係 に変化があった症例)
2)
,松本明子2
)
,鎗野 りか2
)
,鍵
○香 月 晶 1,
,山岡 義生 2) (
1) 京都 大 学 病 院
岡 均 2)
精神科神経科,2) 田附興風会医学研究所
北野病院緩和 ケアチーム)
て
○街 久1
)
,宮脇
大1
)
,松 島 章 晃1
)
,河 口
1)大 阪
剛1
)
,堀 野 明 美1
・
2
)
,切 池信 夫 1) (
市立大学大学院医学研究科神経精神医学,
2
)和泉学園)
【はじめに】緩和 ケアチームの役割 は痔痛緩和 ・精
神症状緩和 のみならず,家族や医療 スタ ッフの心理支
DD)児 は,感覚過敏性 や
広汎性発達障害 (
以下 P
援 な ども網羅 してい る.今 回,患者の抑 うつを契機 に
感覚鈍麻 などの感覚異常 をしばしば有 してい ることが
主治医,患者,家族,チームのメンバーの関係 に変化
が起 こった症例 を家族 に焦点 をあてて報告する.
知 られている.特 に感覚過敏性 については,精神遅滞
【
症例】50代男性,Ⅹ年 5月,浸潤性勝駅癌 にて外
科的治療 を受 けた.定期的 に受診 していたが,Ⅹ+1
DD児 において も, 日常生活への
を有 さない高機能 P
著 しu支障の原因 となっていることがある. したが っ
てP
DD診療 において,感覚過敏性 について評価す る
年 4月 C
Tにて再発 ・転移 を認 め,入院.再発 と転移,
ことは重要であろう. しか し,感覚過敏性 については
予後の告知 を受 け,患者の妻が医療者への不信感や怒
りを露 に した.その後,"
積極 的な治療'
'を行 う とい
評価の困難性な どか ら報告が少な く,頻度 について も
一定の見解が得 られていない. そこで我々 は,学童期
う主治医 と患者 ・家族 の合意の下,化学療法が行われ
DD児 における感覚過敏性 について予備 的調査 を
のP
たが,入院 4ヶ月たった後,患者 は抑 うつ状態 になっ
行 うことにした.
た.その後,緩和 ケアチームの看護師が家族に介入 し,
対立的であった主治医 と患者 ・家族関係 に変化が起 こ
った.
対象 は,大阪市立大学医学部附属病院神経精神科 に
4歳 の患者 の うち,DSM-I
Vによ
通院 中の 6歳 か ら 1
りP
DDと診断された 4
0名 (予定)である.
第1
0
1回 近畿精神神経学会
当日は,各感覚領域 における過敏性 の特徴や頻度,
CBCLや TRF,ADHDRS1
ⅤJな どの評 価尺度 と
89
3
セ ッシ ョン B3
B3
1 セネス トパテーの 3症例
の関連性な どの詳細 について報告 し,考察 を行 う予定
○岩崎
である.
座長
林
拓二
進一 (
大阪市立大学大学院医学研
究科神経精神医学)
B23 縦隔気腫,気胸 をきた した神経性食思不振症
の 1例
○高橋絵里子,船津浩二,松 尾順 子,人見
佳枝,人見一彦 (
近畿大学医学部精 神神
経科学教室)
セネス トパテ- (
体感異常症) は,奇妙 な異常体感
を執粉かつ慢性的に訴 える独特 の病態である.単一症
候的に体感異常が出て くることもあるが,一般 に統合
失調症や うつ病,器質性精神障害 な どの-症候 として
現れ ることが多い.セネス トパ チ-の概念 は未だ唆味
症例 は 1
6歳女性.幼少時 よ り父親 の母親 に対 す る
であ り,診断や経過,治療 な どについては, はっき り
暴力が続いていた.中学 1年時両親が離婚後不登校 と
な り,以後家事 な どをして過 ご していた.X-1年 7
としていない.多 くの場合治療抵抗性 であ り,症状が
頑 固に持続する場合 も少な くない.今回中高年者 の う
月 に母親 にやせ を指摘 され,1
2月に母親 の勧 めで当
つ病,不眠症 に合併 したセネス トパチ-や単一症候性
6
2c
m,体重 2
7kg,BMI1
0.
3と著名
科初診.身長 1
なるいそうを認 めた.1
2月末 よ り,立位,座位 を と
のセネス トパチ-を認 め,程度 は異なるが改善 を認 め
る こ と も困難 とな り,呼吸 苦 が 出現 し,Ⅹ 年 1月 4
院中の患者であったがセネス トパチ- を突然訴 えだ し,
抗不安薬の投与 にて改善 した例 ,1例 はうつ病 に合併
日当科 入 院 とな った.SpO28
5% (
r
o
o
ma
i
r
)
,CT
検査 にて皮下気腫,縦隔気腫,右気胸,右下葉肺炎 を
認 めたが,血小板 2万 6千 と著明 に減少 していたため,
抗生剤投与のみで経過観察 とした.次第 に気腰,気胸
は自然軽快 した.重症の神経性食思不振症 は身体的管
理が優先 して行わなければな らず,その上で も様 々な
合併症 を認識 してお くことが重要であろう.当日は若
干の考察を加 え,報告す る.
B24 当初統合失調症 を疑 った児童思春期発症 の対
人恐怖の一例
た例 を経験 したため報告す る. 1例 は不眠症 で長期通
S
RIにて若干 の改善
して口腔セネス トパ チ-を認 め S
を認めた. もう 1例 は単一症構成のセネス トパ チ-で
あったが不安 に対す る対処か らアプローチ した症例 で
ある.
B3
2 地域特有の信仰 によ り治療 に困難 を きた した
非定型精神病の-症例
○谷村洋平,堀 貴 晴,米 田 博 (
大阪医
科大学神経精神医学教室)
通常,患者が幻覚や錯乱 といった精神病症状 を呈 し
た場合,患者本人 に病識や治療 の必要性 に対 する理解
○山 内 繋,堀 貴 暗,相 良 彩,米 田
博 (
大阪医科大学神経精神医学教室)
がな くて も,家族な ど周囲の人間は治療 を勧 める. し
対人恐怖 は以前か ら指摘 されているように児童思春
か し,一部の地域に根差す宗教 においては,幻覚や錯
期 に一過性 に生 じるものか ら統合失調症の前駆症状 と
して出現するもの まで, その出現様式 は多様 であるこ
とが知 られている. また,その出現様式 によ り治療が
大 き く異なることか ら極 めて慎重 な観察が必要である.
乱 といった症状 を呈 することが神格化 され, その結果,
患者やその家族が治療 を拒む ことがある.
妹尾 は,伊豆七島南端 に位置する青 ヶ島 における,
7歳女性.入院 当初 「
食器 の触 れ る
症例 は入院時 1
4歳 の女性
韮女の様態 について検討 してい る. この 3
は,三男出産後錯乱状態 とな り 「
神 ソウデ」 とい う
音が 自分への嫌が らせに聞 こえる」 といった妄想知覚
5年 ほ ど商店 を経
盛女 になる儀式 を受 けた.その後 1
などの統合失調症 を思わせる症状 を伴 い,他者 と接す
る場面 において漠然 とした恐怖 を感 じるといった対人
0歳以降,毎春 に裸 で島内 を排 掴 し
営 していたが,5
た り,神殿 の供物 を散乱 させた りして事例化 した非定
恐怖 の一例であった. しか し,妄想の対象が心理的に
型精神病 と考 えられ る例 を紹介 している.
不適 当な距離 を置 く両親のみであった こと, その他の
対人恐怖 については妄想性 を帯びず社会恐怖 の範境に
演者 も,沖縄県の精神科病院 において,地域特有の
信仰 によ り治療 に大 きな困難 をきた した非定型精神病
とどまることに注 目し,治療 は薬物療法 としてフルポ
キサ ミンを用い, それ と平行 して母子関係の改善 に努
の-症例 を経験 したので,文化精神的観点か ら若干の
考察 を加 えて報告す る.
めた ところ症状が改善 した. この症例 に対 し若干 の考
察 を加 えて報告す る.
,
8
9
4
精神経誌 (
2
0
0
7)1
0
9巻 9号
B33 抑 うつ状態か ら衝動的に自殺行為 に及 んだ単
純型統合失調症の 2例
グラフイでは脳萎縮 に一致 して前頭葉の血流低下 を認
○北浦祐一,片上哲也,井上雅暗,山田圭
行性 の言語障害が 目立ち,進行性失語症が最 も疑われ
造,織 田裕行,木下利彦 (
関西医科大学
精神神経科学教室)
た.発表当日は診断に対 して若干の考察 と,その後の
経過 を含めて報告する.
B4-2 精神病症状及び過剰書字を呈 した前頭葉てん
単純型統合失調症 は幻覚や妄想 を呈することな く緩
徐 に,潜行性 に気力や活力が失われてい く疾患である.
基本症状 はひきこもりや社会的退却であるため うつ病,
恐怖症や人格障害の鑑別が必要であ り,その診 断にお
いて本当に統合失調症の基準を満たすか どうか を見 き
わめるべ きであるとされている.
今回,衝動行為 を伴 う重度のうつ状態にて入院する
ち,治療経過 より単純型統合失調症の診断に至 った 2
症例 を経験 したので若干の考察を加 えて報告す る.
】4
0歳 男性.元来,内気で真面目.X-1
【
症例 1
年1
2月,業務内容が変化 した ことについてい けず,
気分の落 ち込み,不眠,意欲低下がみられるようにな
り会社 も休みがち となった.その後 さらに症状が増悪
し,Ⅹ年 3月下旬,早朝 に包丁で胸 を刺 し正座 して
いるところを妻に発見 され当院救命センターに搬送.
救命処置 を行われた後,当科に転棟 となる.
】4
3歳 女性.元来,凡帳面 な性格.X-3
【
症例 2
年父親の死去 を契機に反応性の抑 うつ状態 とな り,精
神科ク リニ ックにて治療開始 されるも著明な改善がみ
2月 に夫 の借金問題 にて更
られ なか った.X-1年 1
な る増悪が み られ 自殺行為がみ られたため,Ⅹ年 2
月当科に入院 となった.
セッシ ョン B4
座長
山田 尚登
B4-1 不安 ・焦燥状態 にて発症 した進行性失語症の 1
例
○松 石邦 隆1
)
,北村 登1
)
,三 田達 雄1
)
,辛
神戸市立医療センター中央市民
原伸夫2) (
病院 1) 精神 ・神経科 ,2) 神経 内科)
8歳男性. 1年前 に妻が旅行 に出た際 に心
症例 は 6
細い と不安 を訴えた. その後誘因な くイライラや集中
力の低下 をしきりに訴 えたため,精神科 クリニ ックに
て薬物療法 を受けたが,精神症状 は改善 しなかった.
徐々に言語障害が目立 ち始め, またイライラしてじっ
としていられない と食事中に席を立 った り,隣に住む
同胞 の家 まで頻繁に往復するため精査目的で当科紹介
入院 となった.心理検査では MMSE 2
2
/
3
0点で軽度
の認知障害が認め られたのに加え,言語評価では発話
開始困難,プロソデイ障害 を認め,会話中,発話の多
くが単語の羅列で助詞の不使用が認 め られた.頭部
MRIでは前頭葉 を中心 に萎縮があ り,脳血流 シンチ
めた.人格変化 は認めず,認知障害の程度 に比 して進
かんの 1例
〇時 地 道 代,岩 瀬 真 生,石 井 良 平,
Leo
ni
de
sCanue
t
,栗本 龍,高橋秀俊,
中鉢貴行,池津浩二,武田雅俊 (
大阪大
学大学院医学研究科精神医学)
精神病症状 や過剰書字 は側頭葉 てんかん (
TLE)
で の 報 告 が 多 く,特 に 後 者 は 前 頭 葉 て ん か ん
(
FLE)で の報告 は我々の知 る限 りな い.今 回 FLE
の経過中精神病症状そして過剰書字 を呈する症例 を経
験 したので報告する.
3歳,女性.【
家族歴】特記事項 な し.【
既
【
症例】3
往歴】5歳時頭部外傷.【
現病歴】小学低学年時 より 1
年に 1度,1分ほどの部分発作 ;右肩か ら上肢 にかけ
ての違和感か ら始 まり右親指に走った後,首,顔 に広
が りそして右上肢 を屈曲あるいは伸展するような意識
障害 を伴わない発作があ り FLE と診断 され VPA 開
始 となった.高校生時怠薬 により全身 けいれんを起 こ
し,幻聴 も出現 した.発作及び幻聴 は薬物でコン トロ
2年 より閉居 となった.平成 1
3年
ール された.平成 1
幻聴が悪化 したが入院 し薬物療法により軽快 した.平
成1
9年幻聴が悪化 したため入院した.入院中の観察
より過剰書字が判明 した.【
検査所見】頭部 MRI:左
中心溝付近に異常あ り.脳波,MEG:有意所見なし.
SPECT :てんかん焦点 を示唆する所見 なし.血液検
査 :異常所見なし.苗字 :供覧.【
結語】FLEの症例
で も長期経過中に TLEで多 くみられ る精神症状 を示
す可能性が示唆された.
B4-3 硬膜下膿病後 に難治性てんかんをきた した一
症例
○村本葉子,橋 本和典,村上 真,和 田大
和,長 内清行,宮本敏雄,根来秀樹,蘇
川将行,法山良信,定松美幸,岸本年史
(
奈良県立医科大学精神科)
0歳 の男性,X-2
5年 の硬膜下膿揚後
本症例 は,5
より数十年間にわた りてんかん発作を繰 り返 していた.
症候性部分てんかんであ り,主な発作 は複雑部分発作,
二次性全般化であった.何種類 もの抗てんかん薬 を使
用 したが,コン トロールは不良であった. また突然裸
足でかけ回った り,面接官にお茶をかける事があ り,
発作後 もうろう状態 と考 えられる精神症状や,易刺激
第1
0
1回
8
9
5
近畿精神神経学会
1
5
3病 日には意識
性の冗進,易怒性など,挿間性精神症状 も認 めていた.
器管理の下 に治療開始 となった.第
上記症状が継続 したため,平成 Ⅹ年入院 となった.
カルバマゼ ピン (
CBZ)投与 を開始 した ところ,栄
レベル,呼吸機能,肢体機能は回復 したが, この頃か
作は著明に改善 した. しか し 1ヶ月後,薬疹が出現 し
BZを中止 し,再度薬物調節す ることとなっ
たため C
3
2病 日には日常生活動作 はほぼ自立
病棟へ転院.第 2
し, 自宅へ退院.MR
Iにて海馬,扇桃体 の萎縮 を認
た. また画像上 は右海馬及び右大脳半球 に広汎な萎縮
5
9病 日に
め,軽度の近時記憶障害を残す ものの,第 3
ら不穏,多動が著 しくなったため,当院精神科の閉鎖
SRでは動作性 I
Qと言語性 I
Qに解離
があ り,WAI
は通常の学校生活 を営めるまでに回復 した.発表当日
を認 めるなど脳器質性障害に伴 う影響 を認めた.当日
は入院経過に若干の考察を加 えて報告 した.
は,約 3ヶ月の入院経過 を通 じて外界の認知 と情緒的
世界の様相がめざましく変化 した経過 と, これに配慮
B5
1 精神障害に続発 した遺伝性脊髄小脳変性症の 2
しつつ実施 した家族,作業療法士,言語療法士,理学
療法士を含む多職種 によるアプローチについて報告す
る.
例
B5
3 錯乱状態 を呈 した橋本脳症の 1例
セッシ ョン B5
座長 前田 潔
○大井一高1
)
,橋本亮太1
,
2
)
,安 田由華1
)
,須
1
) 大阪大学大学
貝文宣3
)
,武田雅俊 1・2) (
院医学系研究科精神医学教室,2)大阪大
学大学院医学系研究科附属子 どもの ここ
ろの分子統御機構研究センター,3) 大阪
大学大学院医学系研究科神経内科学教室)
脊髄小脳変性症
(
S
CA)は,運動失調及び小脳/
脳
幹の変性あるいは遺伝子異常で特徴づけられる進行性
○山本 員弘,村田俊輔,岩谷 潤,辻富基
美,篠崎和弘 (
和歌山県立医科大学)
7歳,女性.人間関係 に悩み Ⅹ-1
7年及び
症例は 4
Ⅹ-8年に近医精神科受診歴がある.
X-1年 1
2月,小脳 失調症状 が 出現 し,Ⅹ年 1月
入院 となった.入院時,小脳失調症状 を認める他に精
神症状 は認 めず,神経内科で精査するも脳波での徐波
化以外に異常 は認めなかった.入院後,錯乱状態 とな
の神経変性疾患の総称である.
ったが改善 し,失調症状 も徐々に軽快 しⅩ年 5月退
CA家族歴 のあ る遺
我々は,精神障害 に続発 した S
伝性 S
CAの 2例 を経験 したので報告す る.一例 は,
院 となった.その後 ,Ⅹ年 7月 にはアテ トーゼ様運
動を伴 う錯乱状態で再入院 とな り約 1ヶ月で軽快 した
2
0歳代発症の統合失調症例, もう一例 は,1
0代後半
0歳代で S
CAと
発症の双極性障害例である.共 に,5
S
MⅠ
Ⅴによ り,S
CAは厚生
診断 した.精神障害 は D
が,Ⅹ年 11月に再燃 した.その際,橋本病 と診断 を
労働省の示す指針により診断 した.遺伝子検査により,
本邦で頻度の高い S
CA亜型 に関 しては,双極性障害
例のみ除外 した.
CAは
我々の知 る限 りでは,精神障害 に続発する S
CA発症後の精神症状合併
今 までに報告はないが,S
症例 に関 しては時折報告されている. もしこれらの患
CAと共 に精神障害の家族歴 を伴 っていれば,
者が S
新たな病因遺伝子あるいは臨床的に新 しい亜型を同定
され,抗 NAE抗体が陽性であったため橋本脳症 と考
えられ,以降神経内科にて加療 を受 け,再燃 な く経過
している.
甲状腺機能異常に伴 う症状性精神病 は広 く知 られて
いるが,橋本脳症では甲状腺機能異常がな くとも症状
を呈する可能性がある.錯乱状態な どの精神症状 に,
てんかん発作, ミオクローヌス,振戦,小脳失調症状,
錐体路症状な どが伴 う際には鑑別診断 として橋本脳症
を考 える必要がある.
する手掛か りにな り得 るか もしれない.
セッション B6
B5
2 若年女性の急性非ヘルペス性脳炎の回復過程
r
oxe
t
i
neと
B6-1 併 発 した強迫性障害 に対 す る pa
○藤 田愛子l
)
,大塚 喜久2
)
,山 口遺彦3
)
,育
1
) 兵
木信生3
)
,田中 究3
)
,前 田 潔3) (
庫県立尼崎病院神経科,2) 神戸大学医学
部付属病院神経内科,3)神戸大学医学部
付属病院精神科)
5歳女性.X年 1月頃 よ りふ らつ きと倦怠
症例 は 1
感が出現.同年 2月に複祝 と視力低下,3月 より頭痛
と近時記憶障害を認め,発熱,痘撃 に続いて意識消失,
呼吸停止が出現 したため,他院神経内科 にて人工呼吸
quet
i
api
neの併用療法の有効性-
座長 切池 信夫
3例報告-
○池 田幸 司1
)
,高橋 浮1
)
,山田 尚登2
)
,育
木建亮1) (
1
) 水口病院精神科,2
)滋賀医
科大学精神医学講座)
r
他 の精神障害 に併発 した強迫性 障害 に対 して pa
oxet
i
ne (
PRX)と quet
i
api
ne (
QTP)の併用が弄功
した 3例 を報告する.
】2
9歳男性,軽度精神遅滞.不潔恐怖 と強
【
症例 1
RX単剤で
迫的洗浄のため自宅閉居 となっていた.P
Powered by TCPDF (www.tcpdf.org)
8
9
6
精 神経 誌 (
2
0
0
7)1
0
9巻 9号
は無効 であったが,QTPによる増強療法が著効 し,
】3
3
強迫観念 ・強迫行為 ともほぼ消失 した.【
症例 2
ブローチを試みた一次性強迫性緩慢の-症例を経験 し
た.患者 は 1
7歳女性.小学生時 よ り低身長お よび軽
歳男性,軽度精神遅滞.衝動行為 を標的に多剤投与 さ
度の発達遅滞 を認めた.中学生時 より同級生 との成長
れていた向精神薬 を QTPにまとめ,不眠や排便 に対
および発達遅滞の差が目立つようにな り,いじめにあ
6歳時 に当科紹介初診.外来 にて
うようになった.1
するこだわ りを強迫症状 と評価 して PRX を加 えた と
】3
9歳男性,統合失
ころ,訴 えが軽減 した.【
症例 3
調症.精神病症状 は安定 していたが,不潔恐怖 と強迫
的洗浄 によ り生活 を著 しく制限されていた.多剤大量
投与 となっていた抗精神病薬 を QTP中心 に整理 し,
PRX を加 えた ところ強迫観念 ・強迫行為 とも消失 し
た.
luvoxami
f
ne2
0
0mgに漸増 し様子 をみる も,食事 に
数時間,排滑に平均 3
-4時間かかるな ど行動緩慢の
改善 な く,Ⅹ年 1
2月当科入院 となった.入院後 も薬
飢l
VOXa
mi
ne3
0
0mg,r
i
s
pe
r
i
done1mg)
物治療 (
に対する行動面の明 らかな改善は認めず,定式に則っ
た行動療法の導入 も困難 と判断されたため,行動面で
全例で強迫症状 の改善 に止 まらず, 目覚 しい QOL
の改善 を目的に Ⅹ +1年 2月作業療法 を導入.作業療
の改善 を得た点で,上記治療 は有効であった.
B62 パ ロキセテ ン投与終了後 も性格変化が持続 し
ている
の一例
法導入後,尿失禁な どの日常生活面での困難 さは依然
O
C
D
○守時通浜,吉 田卓史,中前 貴,福居顧
二 (
京都府立医科大学大学院医学研究科
精神機能病態学)
【はじめに】抗 うつ薬,特 に SSRIの投与初期 な ど
r
o
mpt
i
ng (
かけ声)の利用や 日課表,
認 めるものの,p
振 り返 り表の作成等 により行動緩慢か ら次の行動への
円滑な移行や自省的な発言 も見受けられる様にな り,
身体面,認知面の改善に作業療法は一定の役割を果た
しているもの と考えられた.
B6
4 性同一 性障害における精神医学的検討
c
t
i
vat
i
ons
yndr
o
meとして
に認める中枢刺激症状 は a
ar
o
xe
t
i
ne投
定義 され,近年注 目されてい る.今回 p
与終了後 も易怒性,攻撃性な どの性格変化が持続 して
O
C
D
3
1
いる
の一例 を報告す る.【
症例】 歳,男性.
現病歴 :Ⅹ-6
年縁起 に対す るこだわ りが出現.その
○大森秀之 l) (
1
) 近畿大学医学部精神神経
科学教室)
近畿大学附属病院メンタルヘルス科性同一性障害専
門外来 を性別の違和感 を主訴 として受診 した患者 につ
いて,カルテ記載の生活暦および生育暦に関 して再検
級,左右対称や不完全な ものに対する強迫症状 も出現.
治療経過 :Ⅹ-2年 4月 よ り 7月 まで当科入院.認知
討 した.
r
o
xe
t
i
ne6
0mgにて症状 は軽快 した.過
行動療法 と pa
院後, トラブルでバイ トをやめた り,些細 なことで抗
議 をした りと,性格の変化 を自覚するようになった.
群)および生物学的男性 と生物学的女性において違い
ar
o
xe
t
i
neを抜薬 したが,平成 Ⅹ年 1月
そのため,p
頃 よ り強迫症状が再燃 し,同年 8月か ら 1
2月 まで当
科再入院.認知行動療法にて強迫症状 は軽快したが,
,
突発的に易怒的,攻撃的な発言が出現 し 「キレやす
い」性格傾向が目立った.
B6
3 作業療法の導入 を試みた一次性強迫性緩慢の
-症例
,青野 聡1
)
,
○笹 田 徹1
)
,飯 島 崇乃 子 1)
田 中 究1
)
,田 中 千 都1
)
,四 本 か や の2)
(
1
) 神戸大学大学院医学系精神神経科学
講座,2) 神戸大学医学部保健学科)
1
9
7
4年 にラックマ ンによ り提唱 された一次性強迫
性緩慢 は, 日常生活のほぼ全般 における強迫性反復 と
行動緩慢によって特徴づけられ,強迫性障害の-型 と
される.治療においては,その行動の緩慢 さにより強
迫性障害の行動療法の導入に難渋することが多い とさ
れている.今回我々は作業療法 を介 して行動療法的ア
い くつかのエ ピソー ドが中核群 と周辺群 (
非 中核
を知見 した.中核群 と周辺群の全体の比較では,家庭
の問題および陸的な問題および教育の問題で統計学的
違いを有 した.中核群 と周辺群の比較で生物学的女性
では家庭の問題および性的な問題で統計学的違いを有
した. また,周辺群の生物学的男性 と生物学的女性の
比較では性的な問題 といじめで統計学的違いを有 した.
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