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太陽系 - GOPIRA
検討報告書編集委員会報告 太陽系班 発表者: 津村耕司 (東北大) 太陽系班班長: 関口朋彦 (北海道教育大) 班員:樋口有理可(東工大), 寺居剛(国立天文台), 臼井文彦(東大), 吉田二美(国立天文台), 大坪貴文(東大), 坂野井健(東北大), 石黒正晃(ソウル大), 高橋隼(兵庫県立大), 大月祥子(専修大), 河北秀世(京産大), 古荘玲子(都留文科大/ 国立天文台), 浦川聖太郎(日本スペースガード協会) 三つのキーテーマ • 太陽系の起源と進化 – – – – – まとめ役:寺居 概論(ニースモデル/グランドタック) 小惑星の鉱物組成と太陽系内の初期鉱物分布の解明にむけて 小惑星上の含水鉱物 外縁天体表面の氷分子 彗星 • 生命の起源と普遍性の探求 まとめ役:高橋 – 生命材料物質の起源の理解(小惑星・彗星) – 地球外生命の探査(火星・外惑星の周りの衛星) • 太陽系天体の多様性:現在の太陽系の理解 まとめ役:臼井 – – – – – – 惑星大気循環 巨大ガス惑星の衛星の希薄大気放出される物質やその時間変化 彗星と小惑星のはざま スペースガード、資源探査 惑星間塵と黄道光 太陽系外惑星との関連 天文学・惑星科学・探査工学・生命科学にまたがる学際的な内容 探査機ミッションとの協調 NASA New Horizons Pluto in July 2015 2014MU69 in 2019 JAXA はやぶさ2 1999JU3 in 2018 ESA/JAXA BepiColombo Mercury in 2017-- NASA Dawn Ceres in Feb 2015 ESA Rosetta 67P/Churyumov-Gerasimenko in Aug. 2014 JAXA あかつき Venus in 2016-NASA MER Mars in 2004-NASA MSL Mars in 2012-- NASA Cassini Saturn in 2004 - 2017 ESA JUICE Galilean satellites in 2027-- JAXA 火星衛星ミッション Phobos/Deimos in 2020s? NASA Juno Jupiter in 2016-- 探査機:少数の天体を詳細に 天文:多数の観測で一般論へ JAXA ソーラー電力セイル Trojan in 2030s Adapted from National Geographic 三つのキーテーマ • 太陽系の起源と進化 – – – – – 概論(ニースモデル/グランドタック) 小惑星の鉱物組成と太陽系内の初期鉱物分布の解明にむけて 小惑星上の含水鉱物 外縁天体表面の氷分子 彗星 • 生命の起源と普遍性の探求 – 生命材料物質の起源の理解(小惑星・彗星) – 地球外生命の探査(火星・外惑星の周りの衛星) • 太陽系天体の多様性:現在の太陽系の理解 – – – – – – 惑星大気循環 巨大ガス惑星の衛星の希薄大気放出される物質やその時間変化 彗星と小惑星のはざま スペースガード、資源探査 惑星間塵と黄道光 太陽系外惑星との関連 太陽系形成論:現代版シナリオ=惑星大移動 1. 原始太陽系円盤内でのガス惑星移動 (Grand tack 仮説: Walsh et al., 2011 ) 2. 数億年後に軌道不安定化 (Niceモデル/Jumping Jupiter 仮説) Gomes et al. 2005, Morbidelli et al. 2005, Brasser et al., 2009 氷微惑星群 惑星周りトロヤ群 ⇦ 木星 土星 天王星 海王星 散乱・捕獲された カイパーベルト天体 惑星大移動の検証 [ソーラー電力セイル] • 水質変成有無や同位体比のその場観測 [天文観測] • 水氷や含水鉱物の吸収を狙った3µm帯 のサーベイ地上分光 – 天体直径や軌道要素と水氷量との関 係性 ⬇ – 外縁天体の熱進化および氷火山の活 動性 Hiroi et al. 1996 形成時の温度環境から惑星移動を検証 メインベルト小惑星の鉱物組成進化 • 隕石と小惑星の対応と宇宙風化 – 普通コンドライト隕石と対応するのは Q型小惑星 – Q型小惑星が宇宙風化を受けてS型小 惑星に変化 – C型小惑星の進化は? • 小惑星の宇宙風化する前の情報 – 地滑り、衝突、分裂した小惑星を観測 – 小さい小惑星まで分光することが重要 – 可視から4µmの分光(水の吸収) • メインベルト彗星は揮発性物質 (氷)をどうやって維持しているの か? Binzel et al. 2001 太陽系形成以前の情報を持つ彗星 • 彗星核は太陽系形成初期の原始惑星系円盤段階におい て形成された微惑星残存物として、太陽系形成以前の物 質の情報を有している ホームズ彗星の [対象] アウトバースト – 太陽から遠い状態での彗星核の表面を調べる (国立天文台提供) – アウトバーストで彗星核内部を調べる。 • 時間変化に着目したモニター観測 [調べる内容] – 揮発性および難揮発性物質の組成比同位体比の測定 – 鉱物組成や結晶度の決定(特に結晶質シリケイト) • 中間赤外線(特に>20µm)での低中分散分光 三つのキーテーマ • 太陽系の起源と進化 – – – – – 概論(ニースモデル/グランドタック) 小惑星の鉱物組成と太陽系内の初期鉱物分布の解明にむけて 小惑星上の含水鉱物 外縁天体表面の氷分子 彗星 • 生命の起源と普遍性の探求 – 生命材料物質の起源の理解(小惑星・彗星) – 地球外生命の探査(火星・外惑星の周りの衛星) • 太陽系天体の多様性:現在の太陽系の理解 – – – – – – 惑星大気循環 巨大ガス惑星の衛星の希薄大気放出される物質やその時間変化 彗星と小惑星のはざま スペースガード、資源探査 惑星間塵と黄道光 太陽系外惑星との関連 生命材料物質の起源の理解 • 太陽系のどの場所で、どの時期に 液体の水が存在し、アミノ酸が形成 されたのか? – 小惑星サンプルリターンとの連携 (はやぶさ2、 OSIRIS-REx) – 0.7−4µm低分散分光 有機物 水 炭素質小惑星 24Themis Rivkin & Emery 2010 • 彗星による生命起源物質の供給 – 3 µm 帯および中間赤外線波長域での 微量成分(より複雑な有機分子)の同 定と定量 – メタノール、シアン化水素、アンモニア、 ホルムアルデヒド、メタン、、、etc スターダスト探査機でグリシン検出 Elsila et al.2009 地球外生命の探査 • 火星 – 火星の水循環 – 火星大気にメタンの発見、供給源は? • 外惑星周りの衛星 – 氷衛星に大量の地下水 – 衛星周りの希薄大気の分析から、地下 海環境を推定できる – イオ火山活動を長期的にモニターする ことで、木星電磁圏活動度を理解 – JUICEと協力 • 地球接近時に高分散分光器による モニター観測 • 水蒸気の少ない高地・南極が最適 Mumma et al 2009 火星メタンの空間分布 (地上赤外高分散観測) Kodama et al. 2013 エンケラドスの氷噴出火山 nm 発光 エンケラドス起源酸素原子630 (地上可視高分散観測) 三つのキーテーマ • 太陽系の起源と進化 – – – – – 概論(ニースモデル/グランドタック) 小惑星の鉱物組成と太陽系内の初期鉱物分布の解明にむけて 小惑星上の含水鉱物 外縁天体表面の氷分子 彗星 • 生命の起源と普遍性の探求 – 生命材料物質の起源の理解(小惑星・彗星) – 地球外生命の探査(火星・外惑星の周りの衛星) • 太陽系天体の多様性:現在の太陽系の理解 – – – – – – 惑星大気循環 巨大ガス惑星の衛星の希薄大気放出される物質やその時間変化 彗星と小惑星のはざま スペースガード、資源探査 惑星間塵と黄道光 太陽系外惑星との関連 惑星大気循環 • スーパーローテーションの解明 • 多波長同時観測を長期的に実施し、大気大循環 の3 次元構造を明らかに – H2O, CO, HCl, SO2 など微量成分の波 長に応じた高度の 情報 – 金星夜面の熱放射 観測で、微量成分 をトレーサーとして 雲よりも下層にお ける大気擾乱を可 視化 JAXA今村剛氏作成 スペースガード • 2014 年11 月までに直径1 km を超えるNEO862個 が発見された。 – これは推定存在数の約90% (Harris 2013) – NEO = Near Earth Object • 2030 年までに直径140m以上のNEOの90%を発 見することがスペースガードにおける国際的な数 値目標 • 大規模サーベイ計画ではスペースガードを常に 意識を – WISE post cryogenic missionで、4ヶ月で134 個のNEO 発見 (Mainzer et al. 2011) 惑星間塵と黄道光 • 黄道光観測を通した惑星間塵の起源の解明 – 観測ロケットや小型衛星による黄道光分光観測によ り惑星間塵の組成を探る • スペースミッションの人材育成 – ソーラー電力セイル搭載EXZITによる黄道光の立体観 測を通した惑星間塵の3次元分布の観測 • 2030年代以降の「惑星間空間からの天文観測」にむけて トロヤ群小惑星(5.2 AU) 小惑星帯 (3AU) 地球 (1AU) 太陽 木星 (5.2AU) 系外惑星との関連 • 太陽系内惑星を系外惑星に見立てた観測 – ガリレオ衛星食を用いた木星大気透過光 – 皆既月食を用いた地球大気透過光 – 月面地球照を用いた地球大気反射光 直線偏光による 酸素分子の検出 (Sterzik et al. 2013) • 分光による植生レッドエッジ観測 • 直線偏光による酸素分子観測 • 円偏光による生体ホモキラリティ観測 • 系外黄道光 – TMTコロナグラフSEITで100pc以内の系外黄道光の検 出可能性 – 遠赤外線観測から系外オールト雲検出の可能性 まとめ • 探査機ミッションとの協調が重要 – 探査機で行くことができた一つのサンプル(天体)を地上の望遠 鏡によって多数個のデータを取得することによって一般化へ • 水・含水鉱物の吸収を利用した0.7−4µmでの分光 – 地球大気コンタミを避けるために高地・南極・スペース • 有機分子やシリケイトのフィーチャーが多い中間赤外線 での観測も重要 • 中小望遠鏡にも期待 – – – – 彗星アウトバーストなどの時間変化への対応 惑星最接近のシーズンに長期モニター観測 偏光観測などの特殊な観測 観測ロケット 補足 太陽系の起源と進化 生命の起源と普遍性の探求 太陽系天体の多様性