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石川県立大学 教養教育センター 山岸倫子 1

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石川県立大学 教養教育センター 山岸倫子 1
石川県立大学
研
究
業
績
等
に
関
す
教養教育センター
る
事
山岸倫子
項
単著・
著書、学術論文等の名称
共著
の別
発
行
又
は 発行所、発表雑誌等又
概
要
発 表 の 年 月 は 発 表学 会等 の名 称
(学術論文)
1. 『ねじの回転』における「ガ 単著
平成 16 年
ヴァネス」
早稲田大学英米文学
ヘンリー・ジェイムズの『ねじの回転』
研究会『ほらいずん』 (1898)において登場する幽霊たちを、ヒ
36 号:1-14 頁.
ロインのガヴァネスという社会的地位
に注目して読んだ。下男と前ガヴァネス
の幽霊は、ヴィクトリア朝におけるガヴ
ァネスというあいまいな社会的地位に
苦しむヒロインのダブルである。しか
し、そのことに気づかないヒロインは、
幽霊を排除しようとするあまりに、生徒
マイルズの死を招いてしまうのである。
2. The Representation of
単著
平成 20 年
日本英文学会『関東英 キャリル・チャーチルの最初期作品三作
Children in the Earliest
文学研究(支部統合
Works of Caryl Churchill
号)
』1 号:139-153 頁. チルはフェミニスト劇作家として論じら
を「子ども」に注目して論じた。チャー
れることが多く、
「子ども」もまた、その
文脈で語られる傾向にあるが、本論文で
は、
「子ども」が、女性の苦境を明らかに
するだけではなく、社会の底辺に存在す
る人々と、彼らを搾取する社会のシステ
ムの存在を鋭く照射する役割を果たして
いることを論じた。
3. From Victims to a
単著
平成 20 年
テクスト研究学会『テ キャリル・チャーチルの『クラウド・ナ
Subversive Power: Staging
クスト研究』5 号:
イン』(1979)を論じる上で、
「子ども」に
Children in Cloud Nine
35-49 頁.
注目することが、本作品の新たな一面を
浮かび上がらせることを指摘した。特に
「子ども」のパフォーマティブな存在は、
古い父権主義的イデオロギーに挑戦する
作品として考えられてきた本作品の評価
を、根底から覆す可能性を秘めているの
である。
1
研
究
業
績
等
に
関
す
る
事
項
単著・
著書、学術論文等の名称
共著
の別
4. Owners は誰か――Caryl
単著
発
行
又
は 発行所、発表雑誌等又
概
要
発 表 の 年 月 は 発 表学 会等 の名 称
平成 22 年
Churchill の Owners 再読
早稲田大学文学研究
キャリル・チャーチルの Owners (1972)
科『早稲田大学大学院 は、労働者階級の母親が、
「所有者たち/
文学研究科紀要』55
owners」である中流階級の人々に虐げら
輯:19-31 頁.
れる作品であるとの解釈がなされてき
た。しかし、本論文では、その母親の子
どもへの所有欲に注目し、彼女もまた「所
有者たち」の一人であることを論じた。
つまり、Owners は、単なるフェミニズム
演劇に留まらず、所有―被所有の関係は
いかなる人間関係においても存在すると
いう真実を鋭く突いているのである。ま
た、本作品はサッチャー政権以降顕著と
なる新自由主義を、いち早く批判したも
のであるとも考えられる。
5. 装丁を読む――The
Loneliness of the
Long-Distance Runner におけ
る販売戦略の変遷
単著
平成 23 年
情報文化研究会『情報 アラン・シリトーの『長距離走者の孤独』
文化論』9 号:98-117 (1958)のペーパーバックの装丁の変化に
頁.
注目し、出版社の販売戦略の変遷を論じ
た。出版当時は、労働者階級が抱く怒り
やエネルギーを表現した装丁がよく見ら
れたが、1970 年代ごろから、青空や白い
運動靴を使用したさわやかな表紙が目立
つようになる。一度は「怒れる若者」の
レッテルを貼られた小説が、出版社の手
によって、青春小説のイメージとともに
販売されるようになったのである。
(その他)
1. 平成 23 年度 学科等が企画 共著
するプロジェクト研究報告
平成 24 年 3 月
石川県立大学教養教
学生有志とともに行った、図書・情報セ
育センター
ンターを中心とした読書推進運動(隔週
読書の芽を育てる2 帰っ
のテーマ別図書展示など)についての報
てきた RBP-Reading Book
告書。
Project-
(活動報告書)
2
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