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西船の家

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西船の家
西船の家
東南側全景
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西船の家
東南側見上げ
究極のディテール
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横桟なしの竪格子
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西船の家
北東側全景
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銅版葺き屋根と一体となった銅製軒樋のエッジが、外観の鋭さを
強調している。また、竪樋が両袖の壁に隠れ、より一層シャープ
な印象を与えている。軒裏は、アール面。
巨匠 村野藤吾は、外観の意匠の90%が、軒先のデザインで決
まると述べている。
西船の家
究極のディテール
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軒先の意匠
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全体を見渡せば、F・L・ライトが一連のプレイリーハウスで
見せた大地に根ざした水平線を強調したデザインとも思えるが、
竪格子やバルコニー、ゲートの縁甲板の鉛直ラインが効果的な
アクセントを与えている。
また、設計者は意図的に竪格子の陰影を強調するために、外壁
タイルの目地をつぶし、タイルを脇役へと演出している。
バルコニー笠木の銅と手摺のステンレスヘアラインが、上手く
呼応している。様々なマテリアルのコンポジションが、デザイ
ンの調和を生み出している。
西船の家
アプローチ及びエントランス
素材の調和感
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ポーチから続く川の流れに橋をかけたようなイメー
ジである。玄関を開けるなり、奥の坪庭が出迎える。
玄関ホールを中心に南にパブリックゾーン、北にプ
ライベートゾーン、さらにすぐに階段を通って2階
へと明快なゾーニング及び動線計画である。
左写真では、振られた床ラインと丸柱や隔てにより、
空間にシークエンスを生み出している。
西船の家
玄関ホール
ホールからリビング入口
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西船の家
リビングダイニング
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造付けの食器棚上部スリットから覗くのは、50型エアコンで
あり、その背後に30ミリ厚の引戸が収納されている。冷媒管
の先行配管を含め、全ての職人の息がぴたりと合わなければ、
成立しない納まりである。
また、カウンター下部には、ガスファンヒーターが収納されて
いる。
サクラ練付けのフラッシュ室内防犯戸は、7尺もので30ミリ
厚、それ以外は25ミリ厚である。反り止め防止として大手に
フラットバーを仕込んである。
設計者は村野藤吾最後の門下生であり、極限までの細さを要求
するところが村野流の真髄であるが、施工者の立場から言わせ
てもらえば、それに付き合い、それらを具現化する職人の技が
伴わなければ、単なる能書きに終わってしまう。さらに、それ
らを受け容れる寛大な御施主の存在なくしてはありえない。
床材は、アメリカンブラックチェリー20ミリ厚ムク材
3脚の椅子は、設計者オリジナルデザインによるもので、
製作は宮内庁御用達の家具職人によるものである。
西船の家
究極のディテール
-
造付け家具と建具の納まり
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西船の家
リビング入口から
キッチンからダイニング
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西船の家
リビングダイニングから和室続き間
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大黒柱(北山杉磨き)から渡っている大梁は、化粧として見せている。
ダミーではなく、純粋なる構造躯体として荷受しているもので、2丁
とも厳選したピーラー材を使用している。亀裂が大きく入ることが通
常であるが、竣工後も綺麗な状態を保っている。
この部屋だけでも、非常に多くの種類のムク材で構成されている。
北山杉磨き丸太・米ヒバ・ピーラー・スプルス・ホワイトアッシュ
紀州杉・杉面皮柱・花梨・脂松・吉野檜・秋田杉・サクラ・オーク
アメリカンブラックチェリー
これだけの贅沢な素材に囲まれると、建物全体を通じて工芸品の中に
いるような気分である。
西船の家
リビングから和室
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西船の家
リビングから和室 2
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障子と襖を閉じると一転して緊張感漂う厳粛な雰囲気の空間が
生まれる。これも村野流の真髄である線の細さがなせる技であ
ろうか。
障子は、秋田杉
この秋田杉の赤身が数寄なるエッセンスとして効いている。
組子は、可能な限り細く、襖の細縁と和室内法見付の細い線が
藁ジュラクの京壁と厳かに対峙している。
西船の家
和室からリビングダイニングへ
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西船の家
和室 床の間
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杉3寸角の面皮柱を中心に上品な意匠の和室であるが、天井に関して設計者は、大胆な
意匠を表現したものである。一本一本見付の違う竿縁を組合わせ、そこに焼竹の網代と
杉柾を対比させている。20世紀初頭のディ・スティル的造形を連想させるが、それを
単なる遊びではなく、現代和風へと見事に昇華させている。リビングダイニングの柔ら
かな漆喰天井から一歩踏込む時の劇的な演出を試みているのかもしれない。
中央の和紙調ワーロン部分が照明である。
床の間脂松地板下部の黒漆のラインがアクセントを与えている。
開き戸上部のスリットから空調機が見える。開き戸右の杉柾目部分の奥は、2階からの
パイプスペースとなっている。
どの納まりも棟梁の技を存分に発揮していただいた仕事である。
西船の家
匠の世界 - 和室と天井の意匠
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西船の家
和室障子
和室防犯戸
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表装のテクスチャがスイートルームを演出
両サイドはスエード、奥は紙布、天井は越前和紙。これらを廻縁無しで納めている。
壁装の世界では有名な表具師にお願いしている。
ヘッドボード、サイドボードともに設計者オリジナルデザインによるものである。
西船の家
1階主寝室
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造付け家具及び引戸建具は、サクラ練付けフラッシュ(ブックのロット合わせ)
収納部分天板は、黒のコルクタイル仕上げ
スカイブルーのスエード地の壁と設計者オリジナルデザインのチェアーのブルー生地で
コーディネイト チェアーの肘掛けもサクラ材で統一
スエード地の壁面が液晶TV置場
西船の家
2階リビング
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1階、2階とも窓枠は、ホワイトアッシュの板目を使用
アアルトのペンダントと枠材のワトコオイル白が北欧調のテイストを感じさせる。
奥の家事コーナーカウンターもホワイトアッシュ
天井の漆喰は、2人の左官職人が間髪入れずに一気に仕上げ、鏝ムラの無いよう仕上げ
ている。
西船の家
2階リビングダイニング
2階ダイニング
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西船の家
2階リビング
2階ダイニングからリビングへ
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西船の家
2階主寝室から和室へ
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チーム・モダン (西船の家)
西船の家
総括・監督/石居隆行
風間義徳
担当大工 /佐川 直
徳永哲夫
三富聖喜
材木・建材/谷口木材
きくや銘建 マルホン
基礎・外柵/松丸建設(松丸吉一)
屋根・板金/板橋板金加工所(板橋正之)
内外左官 /入村工業(入村和利)
木部塗装 /大沼塗装(大沼正明)
木製建具 /コトブキ建装(加藤 清)
タ イ ル/シラハタ工業(白幡邦明)
壁装・床 /インテリア松島(松島 譲)
電気設備 /誠幸電設(上村幸久)
空調設備 /ジェイピー(白橋和夫)
給排水衛生/羽生田設備工業(羽生田寛昭)
ガ ラ ス/スミ工業(染谷誠司)
防
水/大橋防水工業(大橋伸好)
畳 製 作/新潟畳製作所(大沼昭光)
ラス工事 /海老原工業(海老原忠次)
プレカット/ゴル(西岡光一郎)
階段
1階浴室
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