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⽬次
1 農業分野におけるIT利活⽤の背景と現状・・・・・・・・・・・3
2 農業分野におけるIT導⼊のメリット・・・・・・・・・・・・・4
(1)農業ITシステムの分類・・・・・・・・・・・・・・・・・4
(2)農業経営のタイプ別、システム導⼊による⽬指すべき⽅向性・5
(3)課題からみたシステムの機能及び期待できる効果・・・・・・6
3 IT利活⽤におけるポイント・・・・・・・・・・・・・・・・・8
(1)農業ITシステムを導⼊する際の留意点・・・・・・・・・・8
(2)農業にITを活⽤する際の導⼊フロー・・・・・・・・・・・9
4 現場での導⼊事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
(1)個別経営体での取組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
(2)産地全体での取組・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
5 参考⽂献等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
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・
2
1 農業分野におけるIT利活用の背景と現状
◆ 我が国の農業を巡る⾼齢化等の厳しい状況の下で、農林⽔産業の競争⼒を強化
し、魅⼒ある産業とするとともに、担い⼿が意欲と能⼒を⼗分に発揮するために
は、⽣産性の向上、農業経営の効率化、⼈材育成等が重要な課題の⼀つとなって
います。
◆ 農業以外の分野ではITの利活⽤が進展していますが、農業分野においても農
作業の経験のない企業等の農業参⼊や、新規就農者等が熟練した農業者のノウハ
ウなどを修得するものを助けるものや、⽣産⼯程を⾒える化して農作物の信頼を
⾼めるために役⽴つものなども導⼊が始まっています。
ITなどの先端技術の活⽤は、農業の成⻑産業化に向けて強⼒な推進⼒となる
ことが期待されています。
◆ しかしながら、ITシステムをこれから導⼊しようと考えている農業経営体に
とって、何を基準に選択すれば良いのかが分かりづらい等、ITシステムを導⼊
するに当たっての課題は多い状況です。
◆ 本ガイドブックでは、⽣産管理の分野において改善を⽬指し、システムを導⼊
し、効果があった事例を掲載するとともに、ITシステムを導⼊するに当たって
の留意点を記載し、⾃らの経営課題を解決するためにITシステムの導⼊を検討
している農業経営体の⽅の参考として活⽤していただくために作成したものです。
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農業分野におけるIT導入のメリット
(1)農業ITシステムの分類
新戦略推進専⾨調査会農業分科会が平成 26 年度に取りまとめた「農業情報創
成・流通促進戦略に係る標準化ロードマップ」において、国内農業 IT システム
は、その⽬的と実現機能によって、次のように⼤きく5分類に整理されています。
図:農業 IT サービスの分類
出典:新戦略推進専⾨調査会農業分科会とりまとめ「農業情報創成・流通促進戦略に係る標準化ロードマップ」
(平成 28 年3⽉ 31 ⽇)
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(2)農業経営のタイプ別、システム導⼊による⽬指すべき⽅向性
農業経営にITを導⼊する際には、⾃⼰の経営が現在どのようなタイプかを認識す
る必要があります。また、経営のタイプに応じた個別の課題が⽣じると思われますの
で、課題解決するために有効なシステムの導⼊を検討することが重要です。
経営のタイプに応じたシステムの導⼊及び導⼊後の⽬指すべき⽅向性を整理すると
以下の通りとなります。
5
(3)課題からみたシステムの機能及び期待できる効果
現在、農作業の省⼒化・効率化を図るため、⽬的に応じた農業 IT システムが開発
されていますが、現在提供されている農業 IT システムの機能やシステムを活⽤する
ことにより期待できる効果を整理すると以下の通りとなります。
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7
3
IT利活用におけるポイント
(1)農業ITシステムを導⼊する際の留意点
農業にITシステムを導⼊し、効果を上げるためには、以下の点に留意する必
要があります。
①
ITを活⽤して経営改善する戦略を明確にすること
ITをただ導⼊しても経営改善にはつながりません。経営戦略やITを導⼊
して解決しようとする課題が明確であって、課題にあったシステムを選択し、
その戦略や課題がそのシステムの導⼊によって解決することが明らかである
ことが必要です。
②
取得したデータをフル活⽤すること
単にデータは取得しただけでは意味がありません。取得したデータは、問題
意識をもって分析・活⽤するほか、関係者と共有することにより改善点の発
⾒等につながります。
③
導⼊コストとメリットを⽐較すること
クラウドを使⽤した汎⽤的なシステムのほか、現場の状況にカスタマイズ
されたシステムなど、システムにも様々なタイプがありますが、導⼊コスト
と効果を意識しながらシステムを選択することが重要です。
なお、Google や Dropbox、Evernote 等のように無料で端末から作業記録
の記帳等が可能なサービスや無料のSNSを利⽤することもできますので利
⽤を検討しましょう。
④
データの利⽤権や利⽤に関する取り決めを明確にしておくこと
栽培履歴等の情報は、⽣産者のノウハウが含まれており、知的財産となるた
め、価値創出につながります。
サービスの提供者(ベンダー等)との契約の際には、ユーザーが取得した情
報をサービス提供者によってどのように取り扱われるのか確認し、情報の財
産権を明確にしてから契約を⾏いましょう。
平成 28 年3⽉に内閣官房 IT 総合戦略室で公表された「農業 IT サービス標
準利⽤規約ガイド」では、権利やお互いの義務について記載されているサー
ビスの利⽤規約について、どこを注意して確認する必要があるか、サービス
を利⽤する⽣産者や⽣産者団体の担当者等を対象として⽰されていますの
で、こちらをよくお読みになり、システムを利⽤するようにしましょう。
※Google は、Google Inc.の登録商標です。
※Dropbox は、Dropbox,Inc.の登録商標です。
※Evernote は、Evernote Corporation の登録商標です。
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(2)農業にITを活⽤する際の導⼊フロー
①
構想・計画段階
まずは、農業の⽣産管理上でIT導⼊により解決しようとする課題について関
係者間で共有します。課題の共有後は、IT 導⼊により期待できる効果を設定し、
効果を発揮するための具体的な⾏動計画(※)を作成します(そのためには、売上
やコストといった現時点の経営状況をできるだけ数値化しておくことが必要で
す。)。その後、調達可能な予算やネットワーク環境等に応じて効果を発揮すると
考えられるシステムの内容を検討します。
また、ベンダーが提供するシステムの導⼊する際には、必要に応じてベンダー
もしくは実際にITシステムを導⼊している農業経営体と相談することも有効
です。
※
⾏動計画の例
・前年産に⽐べ、単収を 10%増加させるとともに、品質向上を図るため、適
切な温度管理(⾼温時は換気、低温時は加温)を徹底する。
・前年産に⽐べ、コストの 10%削減を図るため、適期適量施肥を徹底する。
・病害発⽣を防⽌するため、湿度の監視と天候に応じた除湿を適切なタイミン
グで実施する。
a 関係者間での問題
b システムの内容、対策
の共有
を講じる範囲の検討
e 運⽤体制の検討
d 導⼊の決定
c 予算・財源の検討
②
導⼊段階
ベンダーが提供するサービスを利⽤する場合、システムの導⼊に当たっては、
実現したい効果のみではなく、⼈件費なども勘案しつつ資⾦を調達します。ベン
ダーとの契約後は、実際にシステムを導⼊したら、動作や⼿順を確認し、修正の
必要があれば修正した後、本格的な設置・稼働に⼊ります(動作や⼿順の確認に
ついては、事前利⽤が可能な場合は、その際に確認するようにしましょう。)。
また、システムを利⽤者が円滑に使⽤するためには、その意義と使⽤⽅法を理
解するための教育・研修等を⾏うことも有効です。
a 資⾦の調達
b ベンダーとの契約
e 本格稼働
d 動作の確認
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c システムの導⼊
③
運⽤・効果検証・改善段階
システムの運⽤段階で問題点が⽣じた場合は、問題点を関係者間で共有し、運
⽤体制を⾒直すなどして改善を⾏うようにしましょう(下表「運⽤段階・効果検
証段階で⽣じると考えられる問題点やその改善⽅法の例」を参照。)。
システムの使⽤終了後は導⼊後の効果を検証し、関係者と共有の上、今後の運
⽤体制や作業内容の改善のための検討を⾏います。効果の確認の際には、①で設
定した効果の検証(ITを使わなかった場合との違いや、加⼯・分析したデータ
を活⽤した客観的な確認)のみならず、数字には表れない関係者間の効果の実感
についても確認しておきます。
ただし、⻑期間のデータを分析することで、はじめて効果や改善点が得られる
ことも多く、1年程度の短期間のデータのみでは、効果や改善点の発⾒につなが
らない場合もあり、注意が必要です。
なお、⼯程別・部⾨別の原価計算や予算の管理を⾏ったり、経営の良し悪しを
スムーズに判断するためには、財務諸表を読めるようにしておくことや、簿記の
知識があった⽅が望ましいと考えられます。
表:運⽤段階・効果検証段階で⽣じると考えられる問題点やその改善⽅法の例
問題点
運⽤段階
改善⽅法の例
●システムにデータが⼊⼒さ ●操作研修会の実施
れない。
●個別指導強化
●⼊⼒内容に誤りがある。
●管理者による⼊⼒内容のチェ
ック
●⼊⼒に時間を要している。
効果検証段階
●運⽤体制の⾒直し(ほ場責任
者の⼀括⼊⼒の検討)
●⼊⼒場所、⼊⼒⽅法の⾒直し
●データの有効な活⽤⽅法及 ●第三者を⼊れた改善検討会
び効果が分からない。
●データ分析検討会の開催
●優良事例の視察研修の実施
a 運⽤上の問題点の確
認
b 運⽤後の効果の確認
c 関係者の効果の実感
を確認
f 今後の運⽤体制や農作
業などの改善
e 効果を上げるための
対策の検討
d 運⽤体制の確認
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現場での導入事例
事例⼀覧
(1)個別経営体での取組
事例1 有限会社 興農社(北海道上富良野町)
【⼟地利⽤型農業、⼩⻨・⼤⾖・ばれいしょ等】
事例 2 株式会社 夢ファーム(岡⼭県岡⼭市)
【⼟地利⽤型農業、⽶・⻨】
事例 3 株式会社 さかうえ(⿅児島県志布志市)
【⼟地利⽤型農業(露地野菜)、ケール・ばれいしょ等】
事例 4 株式会社 早和果樹園 (和歌⼭県有⽥市)
【⼟地利⽤型農業、みかん】
事例 5 サンファーム・オオヤマ有限会社 (栃⽊県栃⽊市)
【施設園芸、トマト】
事例 6 株式会社 淡路の島菜園(兵庫県淡路市)
【施設園芸、トマト】
事例 7 丸福農園(栃⽊県⿅沼市)
【施設園芸、トマト】
事例 8 株式会社 鈴⽣(静岡県静岡市)
【⼟地利⽤型農業(露地野菜)、レタス・枝⾖等】
(2)産地全体での取組
事例1
丸浜柑橘農業協同組合連合会(静岡県浜松市)
【⼟地利⽤型農業、みかん等)】
事例2
JA たいせつ(北海道旭川市)
【⼟地利⽤型農業、⽶】
事例3
JA ⻄⼋代(⼭梨県⻄⼋代郡市川三郷町)
【⼟地利⽤型農業、とうもろこし・果樹等】
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