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過去問
大卒程度対応 地方上級 公務員試験 新 国家一般職 国税専門官 財務専門官 過去問 労働基準監督官 裁判所職員 国家総合職 Qu i c k Ma s t e r ク イ ッ ク マ ス タ ー ❾ 憲法 [第6版] 最新の平成28年問題を掲載 過去 + テキスト = オールインワン 問題集 過去問集 最新情報はLEC公務員サイトで www.lec-jp.com/koumuin/ はしがき 1 「最新の過去問」を掲載 2016年に実施された国家公務員や裁判所職員の本試験問題をいち早く掲載してい ます。公務員試験は年々変化しています。今年の過去問でいち早く最新の試験傾 向を把握しましょう。 2 段階的な学習ができる 公務員試験を攻略するには, さまざまな科目を勉強することが必要です。したがっ て, 勉強の効率性は非常に重要です。 「公務員試験 過去問 新クイックマスター」 では,それぞれの科目で勉強すべき項目をセクションとして示し,必ずマスター すべき必修問題を掲載しています。このため,何を勉強するのかをしっかり意識 し,必修問題から基本問題→応用問題とステップアップすることができます。問 題ごとに試験種ごとの頻出度がついているので,自分にあった効率的な勉強が可 能です。 3 満足のボリューム(充実の問題数) 本試験問題が解けるようになるには良質の過去問を繰り返し解くことが必要で す。 「公務員試験 過去問 新クイックマスター」は,なかなか入手できない地方 上級の問題を数多く収録しています。類似の過去問を繰り返し解くことで知識の 定着と解法パターンの習得を図れます。 4 メリハリをつけた効果的な学習 公務員試験の攻略は過去問に始まり過去問に終わると言われていますが,実際に 過去問の学習を進めてみると戸惑うことも多いはずです。 「公務員試験 過去問 新クイックマスター」では,最重要の知識を絞り込んで学習ができる講義ページ, 基本事項を確認できる章末チェック,効率的な学習の指針となる出題傾向分析, 受験のツボをマスターする10の秘訣など,メリハリをつけて必要事項をマスター するための工夫が満載です。 みなさんが本書を徹底的に活用し,合格を勝ち取っていただけたら,わたくした ちにとってもそれに勝る喜びはありません。 2016年9月吉日 株式会社 東京リーガルマインド LEC総合研究所 公務員試験部 試験名 08 ︱ 11 ︱ 14 ︱ 08 ︱ 11 ︱ 14 ︱ 08 ︱ 11 ︱ 14 ︱ 08 ︱ 11 ︱ 14 ︱ 08 ︱ 11 ︱ 14 10 13 16 10 13 16 10 13 16 10 13 16 10 13 16 10 13 16 2 1 1 2 3 3 3 4 1 3 2 4 ★ ★★ ★ ★ ★ ★★ ★ ★ ★ ★ ★★ ★ ★ ★ が出 が 数 合計 出 数 ★ ★ 分 ★ ★ ★ 30 ★ 問題 ★★★ ★ ★ ★★ 複数 A説:憲法第12条,第13条の「公共の福祉」は,人権の外にあって,人権を 制約することのできる原理である。 B説:人権が公共の福祉によって制約されるのは,個別の人権規定で「公共 の福祉」による制約を認めている場合だけであり,憲法第12条,第13 条の「公共の福祉」は,人権制約の根拠となりえない。 C説:公共の福祉は,人権相互の矛盾や衝突を調整するための実質的公平の 原理である。 1:A説は,人権を制約する根拠には人権に内在するものと外在するものが ★★★ ★ ★ (注) ★ 問 公共の福祉に関する次のA説∼C説の学説についての記述として 最も適当なのはどれか。 (裁事2011) ★★ ★ ★ ★ ★ 過去問・必修問題 ・・・・・・・・・ まずは人権とは何かを学びましょう。人権といえども 限界があることが重要です。 報道の自由, 取材の自由 事前抑制, 検閲の禁止 集会・結社の自 由,通信の秘密 2 3 4 ★ ★ ★ ★ 信教の自由 表現の自由 頻出度 2 7 ︱ 14 学問の自由 ・・・・・・・・・ 国税・財務 国家総合職 (旧国Ⅰ) ・労基 ︱ 思想・良心 の自由 裁判所職員 11 ★ はっきりわかる! セクション 特別区 08 ︱ 出題数 採用試験ごとの出題傾向と対策が 国家一般職 (旧国Ⅱ) 地 上 年 度 ︱ 出題傾向の分析と対策 が 致 な 必修問題から実践問題 段階的に無理なくレベルアップ! 頻出度 基本レベル 地上★★ 国家一般職★★★ 特別区★★★ 裁判所職員★★★ 国税・財務・労基★★ 国家総合職★★★ 志望先ごとの重要度が一目瞭然。 問 日本国憲法に規定する表現の自由に関する記述として,最高裁判所の判例に照 らして,妥当なのはどれか。 (特別区2008) 星の数が多いほど 1: 新聞記事に取り上げられた者が,当該新聞紙を発行する者に対し,その記事 の掲載により名誉毀損の不法行為が成立するかどうかとは無関係に,人格権 頻出度がアップ! 又は条理を根拠として,その記事に対する自己の反論文を当該新聞紙に無修 正かつ無料で掲載することを求めることはできないとした。 勉強の効率性もアップ! 2: 裁判所による報道機関に対する取材フィルムの提出命令が許容されるか否か の決定では,公正な刑事裁判を実現するに当たっての必要性の有無を考慮す ればよく,これによって報道機関の取材の自由が妨げられる程度や報道の自由 に及ぼす影響の度合その他諸般の事情との比較衡量をする必要はないとした。 しには成り立ちません。そこで,取材の自由も報道の自由と同じく,憲法21条によっ て保障される権利といえるかどうかが問題とされます。 博多駅事件で判例は,報道の自由を「憲法21条で保障される」としながら,取材 の自由は「憲法21条の精神に照らし,十分尊重に値いする」として,憲法21条で インプット 保障されることを明言していません。この判例の立場は,裁判の傍聴人がメモを取 る自由についても用いられています。 判例 必修問題の後で知識の再確認! 《博多駅事件》最大決昭44.11.26 【事案】裁判所が放送会社に,デモに参加した学生と機動隊との衝突の模様 を撮影したテレビフィルムの提出を求めたことが報道の自由を侵害するとし て争われた事件 【判旨】報道機関の報道は,民主主義社会において国民が国政に関与するに ついて重要な判断資料を提供し,国民の知る権利に奉仕するものであるから, 報道の自由は憲法21条で保障される。そして,報道が正しい内容を持つため に,取材の自由も憲法21条の精神に照らし,十分尊重に値する。ただし,取 材の自由も無制限ではなく,取材の自由制限の可否は,公正な裁判の要請と 取材の自由が妨げられる度合いの比較衡量によって判断すべきである。 取材の自由・報道の自由・知る権利 21条の精神に照らし 「十分尊重に値する」 (「保障される」ではない) 知る権利に奉仕 21条で保障される 知る権利 サポート 報道の前提 報道の自由 ビジュアルイメージで理解を 取材の自由 図 表 チェック欄 1回目 2回目 3回目 問題 チェック欄 30 〈表現の自由〉 1 〇 判例は,名誉毀損による不法行為が成立する場合は別として,具体的な成 文法の根拠がない限り,反論権は認められないとした(サンケイ新聞事件, 前回解いた日を確認したり, 最判昭62.4.24) 。 苦手な問題をマークしたり, 2 × 判例は,裁判所による報道機関に対する取材フィルムの提出命令が許され るか否かは,公正な刑事裁判実現の要請に基づく提出命令の必要性と,こ いろいろな使い方を考え, れにより取材の自由が妨げられる程度,報道の自由に及ぼす影響の度合い などの事情とを比較衡量した上で決すべきとした(博多駅事件,最大決昭 工夫してみてください。 巻末の黒紙で解説を目隠ししましょう! 本書の問題と解説は,見開きで掲載しています。問題を解くに あたって答え・解説が見えないようにしたい方は,巻末の 黒紙を切り取って本にはさみ,目隠しとしてご利用ください。 章末CHECK 章ごとに大事な知識を 一気に確認! Q1 思想良心の自由を「侵してはならない」とは,国民がいかなる思想良心 を有しているかを外部に表明することを国家に強制されない自由をも意 味する。 Q2 裁判所が謝罪広告を命じることは,加害者の思想良心の自由を常に侵害 する。 Q3 政教分離原則は,憲法 20 条1項後段および同条3項に規定されており, 憲法 89 条前段で財政面においても具体化されている。 A1 〇 憲法19条により, いわゆる「沈黙の自由」が保障されると解されている。 A2 × 判例は,単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明するにとどまる程度 のものであれば,謝罪広告を命じても加害者の思想・良心の自由を侵 害しないとする(最大判昭31.7.4) 。 A3 本問 と り あ ● 公務員試験の名称表記について 本書では公務員試験の職種について,下記のとおり表記しています。 地上 地方公務員上級(※1) 裁事 裁判所事務官(※3) 東京都 東京都職員 家裁 家庭裁判所調査官補(※3) 特別区 東京都特別区職員 国家総合職 国家公務員総合職 国税 国税専門官 国Ⅰ 国家公務員Ⅰ種(※3) 財務 財務専門官 国家一般職 国家公務員一般職 労基 労働基準監督官 国Ⅱ 国家公務員Ⅱ種(※3) 裁判所職員 裁判所職員(※2) 国立大学法人 国立大学法人等職員 (※1)道府県,政令指定都市,政令指定都市以外の市役所などの職員 (※2)専門科目は総合職法律区分と一般職(大卒程度)のみ (※3)2011年度まで実施されていた試験区分 講 師 の オ ス ス メ 学 習 法 どこから手を付ければいいのか? まず各章の最初にある「出題傾向の分析と対策」を見て,その章の中で出題数 が多いセクションがどこなのかを確認してください。 そのセクションを捨ててしまうと致命傷になりかねません。必ず取り組むよう にしてください。逆に出題数の少ないセクションは1度解くにとどめる程度でよ いでしょう。 各セクションにおいては,①最初に,必修問題に挑戦し,そのセクションで学 ぶ内容のイメージをつけてください。②次に,必修問題の次ページのインプット の項目で,そのセクションで学習する考え方や知識を学びます。③そして,いよ いよ実践問題に挑戦です。実践問題の基本レベルの問題を解いてみましょう。 演習時間の目安 本試験で憲法の解答に割くことができる時間は,1問あたり4分程度です。 ❶1周目(数分∼20 分程度:時間は気にしない) 最初は解答に至るまで考え抜くということが重要なので,いろいろと試行錯誤 することになります。したがって,この段階では時間を気にしないで解けそうな ら 20 分でも時間をかけ,解けなければ解説を見て考え方を学んでください。 ❷2周目(4分∼10 分程度:解けるかどうかを確認するため時間内に 解けなくてもよい) 問題集をひととおり終えて2周目に入ったときは,時間を意識して解いていき ましょう。ただし,時間内に解けなくても気にしなくてもよいです。2周目は解 答に至るプロセスと知識を覚えているかどうかの復習に重点をおくので,実際に 解くことができるという実感が大切です。問題を自分の力で解くということを意 識してください。 ❸3周目以降や直前期(4分程度:時間内に解くことを意識する) 3周目以降や直前期は,逆に時間を意識するようにしてください。このとき, 1問ごとに解く場合には1問あたり4分程度で解けるかどうか,直前期などは本 試験を意識して,たとえば5問まとめて 20 分で解くか,10 問まとめて 40 分で解 くなど,時間内に何問解くことができるのかというような練習をしてください。 まとまった問題数を解くことで,時間配分や時間がかかる問題を取捨選別する 力を養います。 一般的な学習のすすめかた(目標正答率 80%以上) 人権と統治といった憲法全体をひととおり学習する場合です。 全体的に学習することで,さまざまな職種や問題に対応することができることか ら,安定して合格に必要な得点をとることを目指します。 セクション1から順にすべての範囲を解いてください。得意な分野については実 践問題の応用レベルにも挑戦していきましょう。 ほどほどに学習する場合のすすめかた(目標正答率 60 ∼ 80%) 試験まで時間はあるが,この科目にあまり時間をかけられない場合です。 頻出分野に絞って練習することにより,効率よく合格に必要な得点をとることを 目指します。 学習のすすめかたとしては,最初に確認した「出題傾向の分析と対策」の中で出 題数が多い分野を優先的に学習します。目指す職種が決まっている方はその職種の 出題数に応じて分野の調整をしてください。 全体的には,人権では,新しい人権,法の下の平等,表現の自由,信教の自由, 学問の自由,職業選択の自由,財産権といった自由権が中心で,生存権,労働基本 権などの社会権が続き,統治では,国会・内閣・裁判所それぞれの制度上の役割, 法律上の争訟,違憲審査制,憲法保障の優先順位が高いという特徴があります。 短期間で学習する場合のすすめかた(目標正答率 50 ∼ 60%) 試験までの日数が少なく,短期間で最低限必要な学習をする場合です。 学習効果が高い問題に絞って演習をすることにより,最短で合格に必要な得点を とることを目指します。 学習のすすめかたとしては,問題ページ左に「直前復習」と書かれた各セクショ ンの必修問題と,以下の「講師が選ぶ『直前復習』50問」に掲載されている問題 を解くことが肝要です。 講師が選ぶ「直前復習」50問 必 修 問 題 直 前 復 習 実践6 実践7 実践9 実践15 実践19 + 実践26 実践28 実践39 40問 実践41 実践43 実践45 実践50 実践53 実践57 実践59 実践61 実践70 実践73 実践74 実践75 実践79 実践82 実践85 実践87 実践93 実践94 実践96 実践100 実践118 実践120 実践122 実践131 実践133 実践138 実践142 実践146 実践151 実践157 実践160 実践163 実践164 実践168 実践170 実践173 実践175 実践177 実践182 実践184 実践188 実践190 ● 本書のアイコンの意味について 本書では,より学習しやすくなるように,以下のアイコンで要点を示しています。 その単元の出題傾向等から, どのような対策を取る必要が あるのかを紹介しています。 必修問題において,そ 必修問題を解くヒン インプットに登場した の単元を理解するた ト,ひいては単元全体 用語を理解するため めに必要な知識を記 のヒントです。 の追加説明です。 インプットの内容を理 インプットに出てくる インプットを学習する 解するうえでの 考え 事柄の具体例を示し うえで,付随的な知識 方などを示していま ています。 を盛り込んでいます。 載しています。 す。 判例 受験生達が間違えや インプットに出てくる すい部分について,注 専門用語など, 語句の 重要な判例を紹介し 意を促しています。 意味の紹介です。 ています。 判例 チェック 実際に出題された試 インプットの記載の根 験種以外の試験の受 拠となる判例と,その 験者にも注目してほ 内容を示しています。 しい問題です。 インプットに出てくる はしがき 本書の効果的活用法 講師のオススメ学習法 憲法をマスターする10の秘訣 第1編 人権 第1章 人権総論⑴・法の下の平等…………………………………… 3 SECTION① 人権の意味・限界 問題1 ∼ 2 ……………………………… 6 SECTION② 法の下の平等 問題3 ∼ 10 …………………………………14 第2章 精神的自由権…………………………………………………… 43 SECTION① 思想・良心の自由 問題11 ∼ 15 …………………………46 SECTION② 信教の自由 問題16 ∼ 23 …………………………………62 SECTION③ 学問の自由 問題24 ∼ 27 …………………………………84 SECTION④ 表現の自由 問題28 ∼ 37 …………………………………96 SECTION⑤ 報道の自由,取材の自由 問題38 ∼ 39 ……………… 124 SECTION⑥ 事前抑制・検閲の禁止 問題40 ∼ 41 ………………… 132 SECTION⑦ 集会・結社の自由,通信の秘密 問題42 ∼ 44 ……… 140 第3章 経済的自由権 ……………………………………………… 153 SECTION① 職業選択の自由 問題45 ∼ 51 ………………………… 156 SECTION② 財産権 問題52 ∼ 57 …………………………………… 176 SECTION③ 居住・移転の自由,国籍離脱の自由 問題58 ∼ 59 …… 194 第4章 人身の自由 ………………………………………………… 205 SECTION① 適正手続の保障 問題60 ∼ 64 ………………………… 208 SECTION② 被疑者・被告人の権利 問題65 ∼ 70 ………………… 222 第5章 社会権 ……………………………………………………… 243 SECTION① 生存権 問題71 ∼ 74 …………………………………… 246 SECTION② 教育を受ける権利 問題75 ∼ 78 ……………………… 258 公務員試験 過去問 新クイックマスター 憲法 SECTION③ 労働基本権 問題79 ∼ 81 ……………………………… 272 第6章 参政権・国務請求権………………………………………… 285 SECTION① 参政権 問題82 ∼ 85 …………………………………… 288 SECTION② 国務請求権 問題86 ∼ 93 ……………………………… 300 第7章 幸福追求権 ………………………………………………… 323 SECTION① 幸福追求権 問題94 ∼ 97 ……………………………… 326 第8章 人権総論⑵ ………………………………………………… 345 SECTION① 人権享有主体性 問題98 ∼ 103 ……………………… 348 SECTION② 特別な法律関係における人権 問題104 ∼ 106 ……… 366 SECTION③ 人権規定等の私人間効力 問題107 …………………… 378 第9章 人権総合問題 ……………………………………………… 387 SECTION① 人権総合 問題108∼114 ……………………………… 390 第2編 統治 第1章 国会 ………………………………………………………… 411 SECTION① 国会の地位 問題115 ∼ 119 …………………………… 414 SECTION② 国会の構成・活動,参議院の緊急集会 問題120 ∼ 125 … 428 SECTION③ 国会の権能 問題126 ∼ 127 …………………………… 446 SECTION④ 議院の権能 問題128 ∼ 132 …………………………… 454 SECTION⑤ 国会議員の特権 問題133 ∼ 136 ……………………… 468 SECTION⑥ 国会総合 問題137 ∼ 140 ……………………………… 480 第2章 内閣 ………………………………………………………… 497 SECTION① 内閣の地位・組織・権能 問題141 ∼ 155 …………… 500 SECTION② 議院内閣制,衆議院の解散 問題156 ∼ 158 ………… 536 第3章 裁判所 ……………………………………………………… 549 SECTION① 裁判所の地位 問題159 ∼ 160 ………………………… 552 SECTION② 司法権の限界 問題161 ∼ 165 ………………………… 560 SECTION③ 裁判所の構成,最高裁判所の権能 問題166 ∼ 168 … 574 SECTION④ 司法権の独立 問題169 ∼ 173 ………………………… 584 SECTION⑤ 裁判の公開 問題174 ∼ 176 …………………………… 598 SECTION⑥ 違憲審査制 問題177 ∼ 182 …………………………… 608 第4章 財政 ………………………………………………………… 629 SECTION① 財政 問題183 ∼ 188 …………………………………… 632 第5章 地方自治 …………………………………………………… 655 SECTION① 地方自治 問題189 ∼ 193 ……………………………… 658 第3編 憲法総論 SECTION① 憲法総論 問題194 ∼ 196 ……………………………… 682 ■INDEX ……………………………………………………………… 694 憲法をマスターする10 の秘訣 1 過去問は合格への羅針盤。 2 人権は判例。統治は条文。 3 一日もはやく全体イメージをつかめ。 4 漫然と勉強するな。まずは過去問を解け。 5 二度出る問題は,三度出る。 6 出題者のメッセージを読み取れ。 7 過去問を使って知識のエッジを研ぎ澄ませ。 8 手を広げるな。ど真ん中を繰り返せ。 9 実力は急に伸びない。日々の研鑽がスパートにつながる。 10 できないことは気にするな!本番が勝負だ! 憲 法 第1編 人権 公務員試験 過去問 新クイックマスター 憲法 第 1 章 人権総論⑴・ 法の下の平等 SECTION ① 人権の意味・限界 SECTION ② 法の下の平等 憲法 第 1 章 人権総論⑴・ 法の下の平等 試験名 裁判所職員 国税・財務 国家総合職 ・労基 (旧国Ⅰ) 11 14 ︱ 08 ︱ 11 ︱ 14 ︱ 08 ︱ 11 ︱ 14 ︱ 08 ︱ 11 ︱ 14 ︱ 08 ︱ 11 ︱ 14 ︱ 08 ︱ 11 ︱ 14 10 13 16 10 13 16 10 13 16 10 13 16 10 13 16 10 13 16 1 1 1 1 1 1 1 2 1 1 2 1 ︱ 08 1 1 2 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 人権の意味・ 限界 法の下の 平等 特別区 ︱ 出題数 セクション 国家一般職 (旧国Ⅱ) 地 上 ︱ 年 度 出題傾向の分析と対策 (注)1つの問題において複数の分野が出題されることがあるため,星の数の合計と出題数とが一致しな いことがあります。 この分野では法の下の平等が頻出です。どの試験種でもよく出題されていますの で,必ず勉強してください。 地方上級 2013年に法の下の平等について出題されています。法の下の平等に関する基本 的な知識が問われます。あまり難しい知識は問われませんので,基本的な知識を確 実に身につけてください。 国家一般職(旧国家Ⅱ種) 2007年,2010年に法の下の平等について出題されています。法の下の平等に関 する判例の内容を問う問題がよく出題されます。判例のかなり細かい内容まで問わ れますので,特に判例の理由づけをしっかりと理解しておきましょう。 特別区 2∼3年に1回は法の下の平等に関する出題がありますので,必ず勉強しておい てください。最近では,2007年と2010年に法の下の平等について出題されています。 問われる内容は基本的なものですので,法の下の平等の意味や,尊属殺人罪違憲 判決などの重要判例の内容をしっかり勉強するようにしてください。 裁判所職員 あまり出題されていません。2011年のように,公共の福祉の学説についてたまに 出題されますので,一元的外在的制約説,内在・外在二元的制約説,一元的内在 的制約説それぞれの内容をしっかり理解しておいてください。 4 公務員試験 過去問 新クイックマスター 憲法 第6版 第 国税専門官・財務専門官・労働基準監督官 章 1 法の下の平等について2∼3年に1回くらいの頻度で出題されます。判例の内容 人権総論⑴・法の下の平等 を問うものがほとんどですので,結論に至る理由づけをしっかり理解しておいてく ださい。 国家総合職(旧国家Ⅰ種) 法の下の平等に関する判例の内容を問う問題がほとんどです。最近では2009年, 2012年に出題されています。あまり有名ではない判例が問われることもありますし, しかも判例のかなり細かい知識まで問われますので,判例集などで判例の内容を しっかり理解するようにしてください。 学習と対策 法の下の平等については,まず「法の下」の意味, 「平等」の意味を覚えて ください。そのうえで法の下の平等に関する判例を理解することが必要です。 ただ違憲・合憲の結論だけ覚えたのでは対応できないことが多いですので, 結論に至る理由をしっかりと理解しておくことが重要です。 公務員試験 過去問 新クイックマスター 憲法 第6版 5 ❶ 人権の意味・限界 ・・・・・・・・・ 過去問・必修問題 ・・・・・・・・・ まずは人権とは何かを学びましょう。人権といえども 限界があることが重要です。 問 公共の福祉に関する次のA説∼C説の学説についての記述として 最も適当なのはどれか。 (裁事2011) 直 前 復 習 A説:憲法第12条,第13条の「公共の福祉」は,人権の外にあって,人権を 制約することのできる原理である。 B説:人権が公共の福祉によって制約されるのは,個別の人権規定で「公共 の福祉」による制約を認めている場合だけであり,憲法第12条,第13 条の「公共の福祉」は,人権制約の根拠となりえない。 C説:公共の福祉は,人権相互の矛盾や衝突を調整するための実質的公平の 原理である。 1: A説は,人権を制約する根拠には人権に内在するものと外在するものが あると考えている。 2: B説に立つと,憲法第22条,第29条の「公共の福祉」は,特別の意味を 持たないことになる。 3: B説は,明治憲法の場合と同じように,人権一般に「法律の留保」を認 めたことになると批判される。 4: C説は,公共の福祉の内容を,自由権を各人に保障するために必要最小 限度の規制のみを認める自由国家的公共の福祉と,社会権の実質的な保 障のために自由権を規制する社会国家的公共の福祉とに区別する。 5: C説は,新しい人権の法的根拠を憲法第13条とすることができなくなる と批判される。 公共の福祉と人権との関係 ・一元的外在制約説 公共の福祉は人権の外にあって人権を一般に制限できる ・内在・外在二元的制約説 経済的自由権…公共の福祉により制約 精神的自由権…内在的制約 ・一元的内在制約説 公共の福祉は,すべての人権に内在する,人権相互の矛盾・ 衝突を調整する実質的衡平の原理 6 公務員試験 過去問 新クイックマスター 憲法 第6版 頻出度 地上★ 国家一般職★ 特別区★ 裁判所職員★ 国税・財務・労基★ 国家総合職★ 第 チェック欄 の 解 説 1 章 過去問・必修問題 1回目 2回目 3回目 人権総論⑴・法の下の平等 〈公共の福祉〉 A説(一元的外在制約説)によれば,人権はすべて憲法12条・13条の「公共の 福祉」によって政策的(外在的)に制約でき,憲法22条・29条の「公共の福祉」は, 憲法12条・13条の再言であって特別の意味を持たないことになる。この説に対し ては,公共の福祉という抽象的概念により人権を制限することができることになる ため,人権制限が容易に肯定され,結果的に明治憲法の人権保障が「法律の留保」 付きであったことと同じになってしまうという批判がある。 B説(内在・外在二元的制約説)によれば, 「公共の福祉」による制約が認めら れる人権は,明文で定められている憲法22条・29条の場合であり,憲法12条・13 条は訓示的・倫理的規定にすぎず人権制限の根拠にならないとする。それ以外の 人権を公共の福祉によって制限することはできず,内在的制約のみに服することに なるとする。この説に対しては,憲法13条を倫理的規定と解することになるため, 新しい人権の法的根拠とすることができなくなるという批判がある。 C説(一元的内在制約説)は現在の通説であり,憲法12条・13条の「公共の福祉」 は人権相互の矛盾,衝突を調整する実質的公平の原理であり,すべての人権に必 然的に内在するものとする。これによれば,公共の福祉には,自由権を公平に保障 するために加えられる必要最小限度の制約(自由国家的公共の福祉)と社会権を 実質的に保障するために経済的自由権に加える必要な限度の制約(社会国家的公 共の福祉)が含まれることになる。憲法22条・29条においてさらに「公共の福祉」 による制約を受けることを定めたのは,この経済的自由権が社会国家的公共の福祉 による制約を受けることを確認したものとされる。 1 × A説は人権を制約する根拠はすべて人権に外在すると考える。本肢はB説 の説明である。 2 × B説は憲法22条・29条のように条文で「公共の福祉」を明示し個別的に政 策的制約を定めた場合にのみ人権制約を認めているとするので,憲法22条・ 29条の「公共の福祉」は特別の意味を持つことになる。 3 × 人権一般に「法律の留保」を認めたことになると批判されるのは,人権を すべて人権に外在する「公共の福祉」によって政策的に制約できるとする A説である。 4 〇 本肢は上述のとおりC説の説明であり妥当である。 5 × 憲法13条を新しい人権の法的根拠にできなくなるとするのは,憲法13条を 倫理的・訓示的規定と捉えるB説である。 4 公務員試験 過去問 新クイックマスター 憲法 第6版 7 第 1章 人権総論⑴・法の下の平等 人権の意味・限界 1 1 人権の意味 ·································································································································· 人権とは, 「人が人である以上,当然に有する権利」のことをいいます。 2 人権の特質 ·································································································································· ①固有性 憲法や法律によって与えられるものではなく,人が人であることにより当然有 する権利 ②不可侵性 侵すことのできない永久の権利 ③普遍性 人種,性別,身分などにかかわらず,人であることに基づいて当然に保障され る権利 3 人権の分類 ·································································································································· ⑴ 自由権 自由権とは,国家権力の干渉・介入を排除して,個人の自由を確保する権利をい います。 →国家からの自由 →精神的自由権,経済的自由権,人身の自由 ⑵ 社会権 社会権とは,個人の尊厳や,人の生存の維持・発展に必要な諸条件の整備を国 家に対して要求する権利をいいます。 →国家による自由 →生存権,教育を受ける権利,労働基本権 ⑶ 参政権 参政権とは,国民が政治に参加する権利のことをいいます。 →国家への自由 →選挙権,被選挙権 ⑷ 国務請求権(受益権) 国務請求権(受益権)とは,人権を保障するための権利をいいます。 →請願権,裁判を受ける権利,国家賠償請求権,刑事補償請求権 8 公務員試験 過去問 新クイックマスター 憲法 第6版 第 精神的自由 社会権 (国家による自由) 人身の自由 人権総論⑴・法の下の平等 経済的自由 章 自由権 (国家からの自由) 1 参政権 (国家への自由) 受益権 (国務請求権) 4 公共の福祉とは ······················································································································· 人権の観念も,社会において多くの人間が共同体を作って生活していることを前 提に成り立っています。そのため,社会生活上,人権と人権が衝突する局面が発生 した場合には,その調整が必要となります。 この調整役が「公共の福祉」です。 公共の福祉の内容 ・内在的制約 他人の人権との衝突の調整 →必要最小限度の制約のみ許される ・政策的制約 経済的弱者を保護するための制約 →必要な限度の制約が許される 公務員試験 過去問 新クイックマスター 憲法 第6版 9 ❶ 人 権の意味・限界 問題 頻出度 1 応用レベル 地上★ 国家一般職★ 特別区★ 裁判所職員★ 国税・財務・労基★ 国家総合職★ 問 憲法第12条,第13条等の規定する「公共の福祉」に関する考え方として,次 の3説がある。 (Ⅰ説) 基本的人権はすべて「公共の福祉」によって制約される。憲法第12条及び 第13条の規定する「公共の福祉」は,人権の外に在って,これを制約する ことのできる一般的な原理である。 (Ⅱ説)「公共の福祉」による制約が認められる人権は,その旨が明文で定められ ている経済的自由権及び国家の積極的施策によって実現される社会権に限 られ,それ以外の自由権は,権利が社会的なものであることに内在する制 約に服するにとどまる。憲法第12条及び第13条は訓示的な規定であるにと どまり, 同条の規定する「公共の福祉」は, 人権制約の根拠とはなり得ない。 (Ⅲ説)「公共の福祉」とは,人権相互の矛盾,衝突を調整するための実質的公平 の原理であり,この意味での「公共の福祉」は,実際に憲法の条文に規定 されているか否かにかかわらず,すべての人権に論理必然的に内在してい る。この意味での「公共の福祉」は,自由権を各人に公平に保障するため の制約を根拠付ける場合には必要最小限度の規制のみを認め,社会権を実 質的に保障するために自由権の制約を根拠付ける場合には必要な限度の規 制を認めるものとして働く。 上記の各説に対しては,次のア∼エのような批判があるが,上記の各説とこれに 対応する批判の組合せとして,最も妥当なのはどれか。 (国Ⅰ2001) ア:この説によれば,例えば, 「知る権利」がいかなる制約に服するか判別するこ とが困難となるおそれがある。 イ: この説によれば,法律による人権制限が安易に肯定されるおそれがある。 ウ: この説によれば,例えば, 「肖像権」を憲法上の権利として位置付けることが 困難となるおそれがある。 エ:この説によれば,依然として,個々の人権を制約する立法の合憲性を判定する 具体的基準が必ずしも明確にならないおそれがある。 (Ⅰ説) (Ⅱ説) (Ⅲ説) 1: ア,イ エ ウ 2: ウ ア イ,エ 3: イ ア,ウ エ 4: ア,エ イ ウ 5: エ ア,ウ イ 10 公務員試験 過去問 新クイックマスター 憲法 第6版 第 チェック欄 1回目 2回目 3回目 1 1 章 問題 人権総論⑴・法の下の平等 〈公共の福祉〉 ア Ⅱ説に対する批判である。 知る権利は,表現の自由の現代的変容として憲法 21条1項によって保障される権利である。知る権利は,個人がさまざまな意見や 事実を知ることを国家によって妨げられることはない点で自由権的性格を有して いる。さらに,知る権利は国家に対して政府情報等の公開を要求する社会権的 性格も併有している。自由権的制約と社会権的制約とを区別する説からすると, 両方の性格を有する「知る権利」は,いかなる制約に服するか判別できなくなる。 したがって,アはⅡ説に対する批判となる。 イ Ⅰ説に対する批判である。 「公共の福祉」による一般的な制約を許すと,法 律により広範囲に人権が制約される危険が生じてくる。したがって,法律による 人権制限が安易に肯定されるおそれがあるというイの記述は,Ⅰ説に対する批判 となる。 ウ Ⅱ説に対する批判である。 「肖像権」は憲法上規定されていないが,個人の 人格的自律に不可欠な権利であることから, 「新しい人権」として認められてき た人権である。このような「新しい人権」は憲法13条を根拠としている。そうだ とすれば, 「肖像権」を憲法上の権利として位置づけることが困難となるという 批判は,憲法13条に実質的な意味を認めない見解に対してなされたものであると いえる。したがって,ウは憲法13条が訓示的規定にすぎないとするⅡ説に対する 批判となる。 エ Ⅲ説に対する批判である。 Ⅲ説は,自由権相互の矛盾・衝突を調整するとき は「必要最小限度」の制約が必要で,社会権を実質的に保障するための制約に は「必要な限度」の制約が必要であるとするが, 何が「必要最小限度」で, 何が「必 要な限度」であるかを明らかにしているわけではない。したがって,人権制約の 合憲性判定基準が必ずしも明確にならないとするエの批判はⅢ説に対する批判と なる。 以上より,Ⅰ説―イ Ⅱ説―ア,ウ Ⅲ説―エの組合せである肢3が正解となる。 3 公務員試験 過去問 新クイックマスター 憲法 第6版 11 ❶ 人 権の意味・限界 問題 頻出度 2 応用レベル 地上★ 国家一般職★ 特別区★ 裁判所職員★ 国税・財務・労基★ 国家総合職★ 問 基本的人権を制限する立法の違憲審査基準に関する次の記述のうち,最も妥当 なのはどれか。 (国Ⅰ2002) 1: 比較衡量論(利益衡量論)とは,人権の制限によって得られる利益と人権の 制限によって失われる利益とを比較衡量し,前者が大きい場合には人権の制 限を合憲とし,後者が大きい場合には人権の制限を違憲とする判断方法をいう が,この手法は,一般に必ずしも比較の基準が明確でないなどの問題があるこ とから,最高裁判所は,表現の自由を始めとする精神的自由権を制限する法律 の違憲審査基準としては用いることができないとしている。 2: 二重の基準論とは,基本的人権のうち精神的自由と経済的自由とを区分し,精神 的自由は経済的自由より優越的地位を占めることから,人権を制限する法律の違 憲審査に当たっては,経済的自由の制限が立法府の裁量を尊重して緩やかな基 準で審査されるのに対して,精神的自由の制限はより厳密な基準によって審査さ れなければならないという考え方をいうが,その唯一の根拠は,精神的自由が不 当に制約されると民主政の過程そのものが傷つけられるから裁判所が積極的に 介入して民主政の過程を元どおりに回復させる必要があるとするものである。 3: 表現の自由の優越的地位に照らせば,この領域では通常の合憲性の推定原則が 排除され,違憲性の推定原則が妥当するとも主張されているが,ここにいう合憲 性の推定原則の排除又は違憲性の推定原則については,表現の自由の制限は例 外的に認められるものであることから,表現の自由を制限する法令の合憲性に関 しては国が裁判所を説得するに足りる議論を積極的に展開しなければならないの はもちろん,訴訟手続上の拳証責任も国に転換されると解するのが通説である。 4: 表現の自由を制限する立法の違憲審査基準としては,表現に対する公権力に よる事前の規制を排除するという事前抑制禁止の理論,あいまい不明確な法律 によって表現の自由に対し制限を加えると萎縮的効果が生ずるから当該法律は 原則として無効となるとする明確性の理論,明白かつ現在の危険の基準,より 制限的でない他の選び得る手段(LRA)の基準等が挙げられ, 最高裁判所は, 表現の自由を制限する立法の違憲審査基準として,事前抑制禁止の理論と明 確性の理論を明示的に採用している。 5: 事前抑制禁止の理論と検閲の禁止(憲法第21条第2項)との関係については, 憲法第21条には事前抑制禁止の法理が当然含まれており,事前規制のうち, 特に検閲については,同条第2項によって絶対的に禁止されると解する見解と, 同項の検閲の禁止の原則が事前抑制の禁止の法理を定めたものであると解す る見解とに分かれているが,最高裁判所は後者の見解を採用している。 12 公務員試験 過去問 新クイックマスター 憲法 第6版 第 チェック欄 1回目 2回目 3回目 2 1 章 問題 人権総論⑴・法の下の平等 〈違憲審査基準〉 1 × 比較衡量論(利益衡量論)の説明は本肢の記述のとおりである。この手法は, 一般に比較の基準が必ずしも明確でなく,特に国家権力と国民との利益の衡 量が行われる憲法の分野においては,国家権力の利益が優先する可能性が強 いという点に問題があるとされる。しかし,最高裁判所は,よど号ハイジャッ ク新聞記事抹消事件(最大判昭58.6.22) ,博多駅事件(最大決昭44.11.26)な どにおいて,表現の自由を始めとする精神的自由権を制限する法律の違憲審 査基準としても比較衡量論を用いている。 2 × 二重の基準論の説明は本肢の記述のとおりである。しかし二重の基準論の 根拠は,第1に,精神的自由が不当に制約されると民主政の過程そのもの が傷つけられるから裁判所が積極的に介入して民主政の過程を元どおりに 回復させる必要があるとする点にあるが,それが唯一の根拠ではなく,第 2に,経済的自由の規制は社会・経済政策の問題と関係することが多く, その合憲性を判定するには政策的な判断を必要とするが,裁判所はそのよ うな能力に乏しいという点も挙げられる。 3 × 表現の自由の優越的地位に照らせば,この領域では通常の合憲性の推定原 則が排除され,違憲性の推定原則が妥当するとも主張されている。しかし, ここにいう合憲性の推定原則の排除または違憲性の推定原則については, 表現の自由の制限は例外的に認められるものであることから,表現の自由 を制限する法令の合憲性に関しては国が裁判所を説得するに足りる議論を 積極的に展開しなければならないという程度の意味であり,訴訟手続上の 拳証責任が国に転換されるというような厳密な意味ではないとするのが通 説である。 4 〇 判例は,北方ジャーナル事件判決において事前抑制禁止の理論を明示的に 採用している(最大判昭61.6.11) 。また税関検査事件において,明確性の理 論を明示的に採用している(最大判昭59.12.12) 。 5 × 判例は,北方ジャーナル事件判決において,検閲が憲法21条2項で絶対的 禁止とされているのに対して,憲法21条1項による事前抑制は,例外的に 事前差止めが許されると述べており,問題文の前者の見解を採用している。 4 公務員試験 過去問 新クイックマスター 憲法 第6版 13 新クイックマスター 憲法 大阪地蔵像訴訟 記号 「石に泳ぐ魚」事件 111 公の支配 636 屋外広告物条例事件 数字 7条説 か 海外渡航の自由 あ アクセス権 会議の公開 98 上尾市福祉会館使用不許可事件 142 196 432 会期不継続の原則 423, 431, 485 外務省秘密漏洩事件 97, 103, 113, 125, 127, 129 85, 86, 93, 95, 260, 261, 263, 265, 267, 281, 283, 403 閣議 旭川国民健保事件 学習権 259, 260, 265 学習指導要領 263, 265, 271 朝日訴訟 634, 650, 653 247, 249, 257, 405 502, 504, 507, 521 328, 342 学生無年金訴訟 17 い 違憲審査権 579, 609, 610, 613, 623 学問研究の自由 86, 95, 267 新しい人権 違憲審査制 石井記者事件 学問の自由 84, 85, 86, 89, 91, 93, 95, 267 419 違憲判決の効力 611, 621 103, 113, 121, 129, 加持祈祷事件 63, 73 河川附近地制限令事件 177, 183, 185, 189, 191, 193 131 泉佐野市民会館事件 板まんだら事件 142, 147, 399 554, 571 一般的効力説 611, 617, 619, 621 院内の現行犯 475, 477 え 永久税主義 639 営利的言論の自由 99 川崎民商事件 219, 221, 229, 392 間接選挙 291 間接適用説 53, 379, 380, 383 き 議員定数不均衡事件 議院内閣制 17 419, 427, 515, 538 規制目的二分論 158 65, 69, 73, 75, 79 喫煙の自由 327, 335, 369, 391, 395 エホバの証人剣道拒否事件 64, 69, 71, 義務教育の無償 259, 261, 265, 271 愛媛玉串料事件 77 教育権 258, 259, 260, 261, 263, 265, 267, 271 エホバの証人輸血拒否事件 337, 403 お オウム真理教解散事件 694 100, 109, 111, 119 539, 543 アルファベット TBSビデオテープ差押事件 131, 397 旭川学テ事件 79 教育の義務 69, 73 教育を受ける権利 393 260, 267, 271 公務員試験 過去問 新クイックマスター 憲法 第6版 2011年 9 月30日 第 1 版 第 1 刷発行 2016年10月25日 第 6 版 第 1 刷発行 編著者●株式会社 東京リーガルマインド LEC総合研究所 公務員試験部 発行所● 株式会社 東京リーガルマインド 〒164−0001 東京都中野区中野4−11−10 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