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中華食文化シリーズ I

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中華食文化シリーズ I
中華食文化シリーズ I
~火加減で勝負~
去年、私は江津市内で10回以上、市民の皆さん
と中華料理を通して、楽しい交流をしました。み
んな中国の食文化について強い興味を持っている
ようですので、料理に限らず、より広い範囲で中
国の食文化の面白さを、シリーズで紹介させてい
ただきたいと思います。どうぞ、楽しみにしてく
ださい。
中国の文化を考える時、
「食」ぬきには考えら
れないといわれます。
「民は食をもって天となす
(食
は人間が生存するうえでの第一義的に必要だと見
られる)
」ということわざがあるだけではなく、
日本人の間に「今日はいい天気ですね」と挨拶し
あうように、
中国の一般民衆は顔を合わせる時、
「吃
了 ?」
(食事は済んだの?)と声をかけること
が多いでしょう。これは、旧中国時代に日々の食
べ物にありつけたかどうかが人々の最も関心を寄
せていたことからといわれる一方、「食」は中国
の文化には大切な地位を占めることも表したので
はないでしょうか。
また、中国語には「吃」
(食べる)としっかり
繋がっている表現は数えきれないほど多いです。
例 え ば、吃 (損 を す る)、吃 苦(苦 労 を す る)、
吃糧(兵隊になる)
、吃香(歓迎される)
、好吃(美
味しい)など、言葉にはいたるところに「吃」と
いう文字が見られます。大げさですが、すべての
ことは「吃」と関係があり、食事第一が中国文化
の基礎だと言っても過言ではありません。中国人
は、食を何より大切にするからこそ、世界に誇る
中華料理を作り出したのでしょう。
市民の皆さんと一緒に中華料理を作る時、いつ
も調味料の分量について細かく聞かれることに悩
んでいます。中華料理は日本料理のように厳密な
作り方ではなく、おおまかに考えて作るといえる
でしょう。食材や調味料の分量などは、臨機応変
に、その場の材料を見て美味しい料理を作り上げ
チィー
ラ
マ
るのがプロの腕の見せ所です。そして、調味料の
分量より、もっと困るのは、火の強さです。
中華料理の調理方法を調べてみると、煎(鍋に
油を薄く引いて焼く)、炒(油で炒める)、炸(油
で揚げる)、 (油で炒めてからあんをかける)、爆
(熱湯に入れてさっと煮る、また熱した油でさっ
と揚げる)、 (熱い油で半熟程度に炒める)など、
火偏の漢字は多く使われます。それは、食材に火
を通して食べる食習慣と緊密なかかわりがあるか
らです。
中国には海も川もありますが、大陸が主な部分
を占めているので、魚より肉の方が主な食材です。
また、生ものや冷たいものは体によくないという
漢方的な理念は根強いので、肉や野菜の栄養を損
なわず、油で食材をさっと炒めるのは中華料理の
基本的な調理方法となります。火加減はその核心
です。同じ材料を使っても火加減によって味が異
ジェン
チアオ
リュー
ジヤ
バオ
ビエン
チィー
チィークィ
チィーリャン
チィークー
チィーシャン
ハオチィー
チィー
チィー
15
2007.4
ニンニクの芽とソーセージ炒め
なります。したがって、強火ですばやく炒めるこ
とは、料理の美味しさにかかわるポイントです。
同じように、熱いうちに食べないと、その美味
しさは分からないと思います。中華料理はほとん
ど油を使うから、冷えると油が固まり、胃腸によ
くないし、美味しくない。したがって、みんな同
じ大皿で食事をする習慣は、まさしく中華料理の
特徴によるものではないでしょうか。 
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