Comments
Description
Transcript
がんと食事(PDF:2.5MB)
が ん と 食 事 講師 落合 由美 先生 〜講 師 紹 介〜 現 職 国立がんセンター東病院臨床開発センター精神腫瘍学開発部 心理社会学室 室長 経 歴 平成4年 国立東京第二病院 栄養士 平成8年 国立小児病院 栄養士 平成11年 国立千葉病院 栄養係主任 平成14年 国立横浜医療センター 栄養係長 平成16年 国立がんセンター中央病院 栄養係長 平成19年 国立病院機構 東埼玉病院 主任栄養士 平成20年 国立がんセンター東病院 栄養管理室長 所属学会 日本病態栄養学会 評議員 日本栄養士会 日本栄養改善学会 日本静脈経腸栄養学会 関東信越国立病院管理栄養士協議会 常任幹事 − 68 − 市民公開講座質疑応答集 − 69 − − 70 − 市民公開講座質疑応答集 − 71 − − 72 − 市民公開講座質疑応答集 − 73 − − 74 − 市民公開講座質疑応答集 − 75 − − 76 − 市民公開講座質疑応答集 − 77 − − 78 − 市民公開講座質疑応答集 − 79 − − 80 − 市民公開講座質疑応答集 − 81 − Q:がんに罹患した後の飲酒をどう考えればよいでしょうか?完全にやめたほうが いいのか、お酒の種類によるのかなど。 A:がんの種類、手術の部位により変わってきます。肝臓がんやアルコールが過度 に負担になるような場合は禁酒をお勧めします。また直接的な刺激になります ので、消化管の手術後間もない時期は控えるようにお話しています。体力、手 術後の回復を見計らってから段階的に始めることになります。適量、タイミン グは医師や栄養士と相談しながら決めていくのがよいと思います。 Q:胃がんの手術(3分の2を切除)後5か月です。きのこ、たけのこ、ひじきな ど消化の悪そうなものを控えてきましたが、少しくらいなら食べても大丈夫で しょうか?またお刺身のような生ものはどうでしょうか? A:一般的に術後5か月でしたら、食べてはいけないものはありません。しかし、個 別の状況で、下痢が続いている、なかなか食事量が増やせないなどの場合は、特 に消化の悪い海藻類、ゴボウ・たけのこのような固い繊維質の食品、過度の刺激 物は、不快症状を増強させる恐れがありますので控えた方がよいと思います。ご 相談の方の場合、5か月経っており、胃も一部残っているということを考えます と、体調がよろしいのであれば、特に制限をする食品はありませんのでご安心く ださい。体調に応じ量・内容を調節、ゆっくりよく噛みながら食事をすすめてい くことが大切です。ただし、今まで控えていたものを急にたくさん食べると、下 痢やむかつきが起きることがありますので、段階的になさってください。 Q:がんになった後のサプリメントの利用についてアドバイスをお願いします。 A:栄養相談の中にもサプリメントについての質問はおおくあります。サプリメント を摂れば摂るだけ体に良いというイメージがあるようで、何種類も利用されてい る方がいらっしゃるのですが、サプリメントは食品からの成分とは違い、大量の 成分を体に摂ることになります。そのため、肝臓の負担になったり、過剰症の心 配もありますので、量・種類等は医療機関等に相談しながら利用されるのがよい − 82 − 市民公開講座質疑応答集 と思います。あくまで、食事で不足する分を補助的にご利用いただければと思います。 Q:主人が5年前がんで死去、私も2年前に乳がんの手術を受けホルモン治療中で す。そのためか20代後半の子供ががんに対して神経質になり、食事に気をつけ るあまり偏った食事(油っぽいもの、肉を食べない)となり、あまり外食をせ ず友人も減ってしまいました。私の言葉には耳を貸さず、インターネットなど で自分に都合のよい情報を得ているようです。そのことが私の心配になってい るのですが、どのようにすればよいでしょうか? A:確かに、過剰な脂肪の摂取や肉類等に偏った食事、過剰な塩分やアルコール、 食物繊維の不足等々は、がんの発生誘因となる場合があることが報告されてい ますが、過敏に反応し過ぎることで、 栄養摂取のアンバランスや不足が生じると、 かえって体調を崩しかねません。更に、食事は楽しみや満足感を得る等の要素 もありますので、過剰な制限は好ましいことではありません。身体機能の維持・ 増進、がん予防の観点、また、精神面からも大切なことは、必要量をバランス 良く、楽しく美味しく摂ることです。お子様がご家族の意見をなかなか受け入 れられない状況でしたら、医師・栄養士等医療関係者からお話をさせていただ くことも出来ますので、お悩みの際は、ご相談いただければと思います。 (国立がんセンター東病院精神腫瘍科 秋月伸哉医師からの回答)ご両親がが んにかかったことでお子様ががんに対して神経質になられることは、ある意味 で当然のことかもしれません。また健康を害さない範囲で食事を制限するのも、 悪いことではありません。ただ程度にもよりますが、外食をしなくなり友人が へったという点は少し気になります。他にも生活に差し支えが出ていませんで しょうか?過剰な心配のために生活に影響が出ているということでしたら、一 度心理面の専門家に相談されるのもよいかもしれません(精神科、心療内科な ど)。国立がんセンター東病院にはがんに関する心理面の問題を専門的に取り扱 う精神腫瘍科もあります。ご家族の心配にもかかわらずお子様が受診を希望さ れないのでしたら、ご家族のみで相談されることもできます。 − 83 −