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せん断・圧延の2段加工による ステンレス鋼板のリジング低減と高成形性化

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せん断・圧延の2段加工による ステンレス鋼板のリジング低減と高成形性化
Combined processing by shearing and rolling to improve ridging and formability of ferritic stainless steel sheet
せん断・圧延の2段加工による
ステンレス鋼板のリジング低減と高成形性化
研究キーワード
ステンレス鋼板、成形加工、集合組織、耐食材料、
リジング
通信・情報処理
電気・電子
物理 ・ 計測
機 械
建築・土木
金 属
化 学
農 水
バイオ
生活・社会・環境
医療 ・ 福祉・健康
その他
みや もと
ひろ ゆき
宮本 博之 Hiroyuki Miyamoto
研究シーズ概要
使用用途
応用例など
備考
理工学部 機械システム工学科
フェライト系ステンレス鋼板は耐食性に優れて加工性が優れているだけでなく、汎用のSUS304に代表されるオーステ
ナイト系ステンレス鋼と異なり稀少元素であるNi元素を含まないために安価である。しかし、張り出しや深絞り成形を
受けると圧延方向にリジングまたはローピングと呼ばれるしわが発生するために、美観や意匠性をそこない、場合によっ
ては成形後に研磨をして対応している。このことが製造プロセスの上昇の一因となっている。本シーズでは最終プロセ
スである冷間圧延前に図1に示す特殊なECAP加工と呼ばれる加工法により板厚方向から45度方向にせん断変形を1回加
えることにより、その後のミクロ組織や集合組織を制御して、リジングの発生を抑制するだけでなく深絞り性などの成
形性を高める加工プロセスである。ECAPは本来バッチ工程であるが、コイルに適用するためには図2のような構成が考
えられる。従来プロセスと新プロセスで作製した板のリジングを図3に示す。従来工程に比べて圧延方向のしわが消滅
している。また図4に示すように成形性の指標であるr値が高くなっている。
本プロセスによる最終製品板の使用用途としては耐食性と美観または意匠性が要求される容器、食器、建築材料などが
考えられる。また、複雑形状のため、加工性が必要な自動車用の排ガス材料(エキマニ、エキパイ、フレキシブルチューブ)
なども考えられる。近年のNi元素の価格高騰により、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304、SUS316)に代わりう
る低価格品。
従来はこの問題に対応するため、凝固プロセスにおける電磁攪拌、二回圧延法、拡幅圧延等を行っていた。本シーズで
のプロセスは従来プロセスに比べて、専用金型などの初期の設備投資は必要であるが、生産性は高い。課題としては強
度のせん断ひずみを付与するため、金型の耐久性の問題や、せん断加工時に発生する傷が冷間圧延後にも残る可能性が
ある。
図1.ECAP加工法の概略図
図2.せん断・圧延二段加工プロセス
図3.板に発生したリジング、
(上)従来工程、(下)新工程
図4.従来工程とECAP工程で作製した
ステンレス鋼板の成形性の指標(r値)
その他 関 連 情 報
SUS304鋼板に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼板はフェライト系に比べての製品の性能がほぼ成分で決定し製造条
件に依存しないため、技術力がなくても人件費の安い新興国にシェアを奪われている。一方、フェライト系ステンレス鋼はリジ
ングや成形性が製造条件に強く影響される高い技術力を必要として、日本においても競争力が維持できる。
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