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持続可能な目標(SDGs)と企業の動き

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持続可能な目標(SDGs)と企業の動き
資料3
持続可能な目標(SDGS)と企業の動き
かながわ地球環境保全推進会議
県民部会・企業部会
2016年11月25日(金)
宮澤 郁穂
コミュニケーション・マネージャー/政策研究員
(公財)地球環境戦略研究機関(IGES)
1
持続可能な開発=将来の世代の欲求を満たしつつ、
現在の世代の欲求も満足させるような開発」
StakeholderForum
「持続可能な開発(Sustainable Development)」とは?
1972:国連人間環境会議(ストックホルム会議)
1987:「ブルントランド委員会報告書(Brundtland Report)」
⇒ 「将来世代のニーズを損なうことなく現在の世代のニーズを満たすこと」
1992:環境と開発に関する国際連合会議(UNCED):地球サミット)
⇒環境と開発に関するリオ宣言、アジェンダ21
2000: ミレニアム開発目標(MDGs)の策定
2002:持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD:ヨハネスブルグ・サミット)
2012年6月20-22日:国連持続可能な開発会議(UNCSD:「地球サミット」「リオ+20」)
2015年9月: 持続可能な開発のための2030アジェンダ/持続可能な開発目標(SDGs)の策定
3
これまでの開発問題
• 先進国 → 途上国への支援・援助型
• 貧困削減、飢餓撲滅、住居、教育、衛生・保健など、
「人間の基本的ニーズ」に対応
• 人間中心の考え方
ミレニアム開発目標
(MDGs、2000-2015年)
4
ミレニアム開発目標(MDGs)
•
•
目標1:極度の貧困と飢餓の撲滅
•
1日1ドル未満で生活する人口の割合を半減させる
•
飢餓に苦しむ人口の割合を半減させる
目標2:初等教育の完全普及の達成
•
すべての子どもが男女の区別なく初等教育の全課程を修了できるようにする
•
目標3:ジェンダー平等推進と女性の地位向上: すべての教育レベルにおける男女格差を解消する
•
目標4:乳幼児死亡率の削減: 5歳未満児の死亡率を3分の1に削減する
•
目標5:妊産婦の健康の改善: 妊産婦の死亡率を4分の1に削減する
•
目標6: HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止:
•
HIV/エイズの蔓延を阻止し、その後減少させる
•
目標7:環境の持続可能性確保
• 持続可能な開発の原則を各国の政策やプログラムに反映させ、環境資源の喪
失を阻止し、回復を図る。
• 生物多様性の損失を抑え、2010 年までに、損失率の大幅な引き下げを達成す
る。
• 2015 年までに、安全な飲料水と基礎的な衛生施設を持続可能な形で利用でき
ない人々の割合を半減させる。
•
目標8:開発のためのグローバルなパートナーシップの推進
•
民間部門と協力し、情報・通信分野の新技術による利益が得られるようにする
5
MDGsからSDGsへ
<ミレニアム開発目標(MDGs)>
特徴
途上国対象
貧困の撲滅が最重要
少数の専門家によって作成
環境目標(MDG7)は1つし
かない。
実施のための手段(資金、
能力開発、技術移転等)が不
明確
2015
<持続可能な開発目標(SDGs)>
特徴
 全ての国が対象
貧困の撲滅+持続可能性
が重要
多くの関係者(国、国際機
関、市民社会等)が参加
新しい課題(エネルギー、
国内格差、都市、ライフスタ
イル等)に対応
実施のための手段(資金、
能力開発、技術移転等)の
目標がある
より広範な目標に!
6
SDGs
社会開発、経済成長、環境保全に関する
17の国際目標
7
出典:UNIC, http://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_logo/
7
SDGsとは?
 MDGsが2015年に達成期限を迎えるため、それ以降の国際開発目標
 気候変動や防災等の新たな課題への対応
 2012年6月の国連持続可能な開発会議(リオ+20)でSDGsの作成に合意
 2015年9月の国連総会での採択
 17の目標・各分野に付随する169のターゲット
 SDGsは自主目標(条約のように法的拘束力がない)
 合意後には、各国がその国の事情を踏まえSDGsの優先課題を抽
出し、国家計画に反映させ、これを実施するための体制構築が必
要となる。
8
UNFCCCとの違いは
重要な点!
出典:リオ+20成果文書、パラ245‐251
8
MDGsとSDGsの比較
MDGs
(2000-2015)
SDGs
(2016-2030)
目標1:極度の貧困と飢餓の撲滅
目標1:貧困をなくす
目標10:格差の是正
目標2:初等教育の完全普及の達
成
目標2:飢餓をなくす
目標11:持続可能なまちづくり
目標3:ジェンダー平等推進と女性
の地位向上
目標3:健康と福祉
目標12:持続可能な消費と生産
目標4:乳幼児死亡率の削減
目標4:質の高い教育
目標13:気候変動へのアクション
目標5:妊産婦の健康の改善
目標5:ジェンダー平等
目標14:海洋資源
目標6:HIV/エイズ、マラリア、その
他の疾病の蔓延の防止
目標6:きれいな水と衛生
目標15:陸上の資源
目標7:環境の持続可能性確保
目標7:誰もが使えるクリー
ンエネルギー
目標16:平和、正義、有効な制
度
目標8:開発のためのグローバル
なパートナーシップの推進
目標8:ディーセント・ワーク
と経済成長
目標17:目標達成に向けたパー
トナーシップ
目標9:産業、技術革新、社
会基盤
9
「各国の事情を踏まえ」とは?
 合意後には、各国がその国の事情を踏まえSDGsの優先課題
を抽出し、国家計画に反映させ、これを実施するための体制
構築が必要となる。
SDGs=国際目標
各国の目標
自治体、企業、NGOsなどの目標
10
SDGS 実施プロセス(IGES案)
SDGsとは?
1
改善を行う
• 進捗の評価
• 行動計画の改訂
はじめに
• 既存計画との関連性
2 • 優先分野の検討
• キャパシティの検討
5
実施を開始する
実施に向けての準備
3 • 活動の選定
• 行動計画に対する実施手 4
段(資金、技術、キャパ
• ターゲット・指標の設定
シティ等)を配分
• 行動計画のドラフト・改訂
• 行動開始
セクター別の知見のインプット
11
(例:水、廃棄物、大気汚染、交通、
エコシステム)
SDGSと企業の動き
「SDGsは持続可能な開発の達成に向けたビジョンとロー
ドマップである。コアビジネスなしに実現しない。」
by ユニリーバ、Paul Polman氏
• 2050年までのCO2削減目標を掲げる企業の増加
• 科学的根拠に基づく長期目標を推進する国際イニシアチ
ブ「Science Based Targets Initiative」への加盟企業が196社に
(2016年11月)
• 自社エネルギー資源を100%再生可能エネルギーに転換す
ることをコミットした企業も83社以上に(2016年11月)
• Business Call to Action (BCtA)への参画企業も増加中
12
SDGコンパス(2015年9月)
SDGコンパス:各企業の事業にSDGsがもたらす影響を解説、持続可能性を
企業の戦略の中心に据えるためのツールと知識を提供
 SDGsを、企業戦略、ゴール、活動などを立案し、運用し、周知し、報告する上で、それら
全体を包括するフレームワークとして利用
 市場拡大、雇用改善の好機に:

将来のビジネスチャンスの見極め

企業の持続性に関わる価値の増強

利害関係者との関係の強化、新たな政策展開との同調

社会と市場の安定化

共通語および共有される目的の活用
 意欲度の高い目標設定が重要
 ベースラインを基準にした予測達成度を大幅に上回る目標や達成させる道筋もはっきりしない目標を
設定することで、イノベーションや創作性を促進、宣伝効果も生む
 「アウトサイド・イン」のアプローチ:「科学に基づく」目標設定
 気候変動分野で支持を集めている:Science Based Targets Initiative, Future-Fit Benchmarks etc.
出典:http://sdgcompass.org/
優先課題の特定:
バリューチェーンをマッピングし、影響領域を特定する
14
意欲的な目標の設定:
アウトサイド・イン・アプローチ
15
国際企業ネットワーク
主な国際イニシアチブ
活動内容
参考URL
The Global Commission on
Business and Sustainable
Development (WBCSD)
2016年1月に発足。ハイレベ
ル・イニシアチブ。SDGsの達
成に向けて、企業が新たなビ
ジネスモデルを構築していく
ための調査や方向等を行う。
http://www.wbcsd.org/new-globalcommission-to-put-business-atthe-centre-of-sustainabledevelopment.aspx
Business for 2030(米国国際
ビジネス協議会:USCIB)
SDGsを実施している企業事
例を紹介(ゴール毎の事例を
分かりやすく記載)。
http://www.businessfor2030.org/bu
siness-sdgs/
Business Call to Action
主要ドナー機関(欧米系)に
よる多国間アライアンス。
2008年に発足。持続可能な開
発に関する企業事例を紹介。
http://www.businesscalltoaction.or
g/
UN Global Compact’s Local
SDG Pioneers Campaign
SDGsに貢献する地域の企業活 https://www.unglobalcompact.org/
動やリーダーをノミネートし、 what-is-gc/our-work/sustainabledevelopment/sdgpioneers
表彰を行うキャンペーン。
16
SDGS 産業別マトリックス

国連グローバル・コンパクトとKPMGによる
SDGs達成のための企業活動を支援するツール。

SDG毎に産業別で、SDGs達成のためのアイ
ディアや具体例を提示。

企業がグローバル・コンパクトの10原則へ示
した既存のコミットメントをベースに作成。

企業と社会の「共有の価値」というレンズを通
じて、企業が社会、経済、環境に関する課題に
対処する中で機会を見出すことを手助けする。

食料、飲料、消費財のマトリックスでは、持続
可能な供給や、健康的で持続可能なライフスタ
イルなどに関する機会やアイディアを企業の取
組みの事例と共に提供(食品廃棄モニタリング
と削減、持続可能な農業についての消費者の知
識向上など)。
17
企業報告書から見る取組状況
CSR報告書(統合報告書)では・・・
 WBCSD(持続可能な開発のための世界賢人会議)の最新
報告書(2016年10月)によれば、加盟企業163社中54社が
SDGsに言及
 (株)クレアンの最新分析(2016年10月)によると、日
本では、時価総額上位100社中38社がSDGsに言及
 IGES調査(2016年11月)によると、2015年度はほぼゼロ
に近かったが、2016年度は顕著に増加。先進企業は
SDGsに取組むための優先課題を同定し、KPI(重要業績
評価指標)を設定などを始めている。
18
具体例
ダノン
18ヶ国で19,000人の農業従事者を支援、トレーニング。例えばエジプトでは、ダノンが大量の牛乳を地域の生産者から買い
取り、良質の乳製品を生産するためのトレーニングを実施。
フェアトレード
ビジネス、消費者、キャンペーン従事者と共に農業従事者や労働者に利益をもたらす貿易(fair trade)を目指す世界最大で
最も認知度の高いフェア・トレード・システム。FAIR TRADEのマークは、商品の原材料が、小規模農家によって生産され、FAIR
TRADEの社会、経済、環境基準を満たしていることを示す。基準は、労働者の権利、環境、最低賃金、コミュニティ・プロジェク
トに投資するプレミアムなどを含む。
ハイネケン
バリューチェーンを通じて、CO2排出削減のターゲットを設定している(生産で40%、冷蔵で20%、アメリカ、ヨーロッパの配
達で20%等)。オーストリアのGöss醸造所では、エネルギー供給は100%自然エネルギー(水力、バイオマス、太陽熱な
ど)でカーボン・ニュートラルを達成。SDG7やSDG12、13にも貢献。
味の素
途上国での栄養改善をグローバル健康貢献として、1999年以来2015年まで、14カ国において、 その土地の環境や食文化
に根ざした75の住民参加型プロジェクトを 支援。その受益者は14万人、支援総額は2億8千万円。
19
取組み事例から見える共通項
 各企業がコア事業に密接な分野(既存事業に)で、優先課
題を設定している。
 官民パートナーシップやマルチ・ステークホルダーとの協
力で実施するケースも多い(グローバルコンパクト、
WBCSDへの参画など)。
 長期目標を設定し、コア事業に結び付けることが重要。
 各事業における分野・セクター間の相互便益を理解し、ス
ケールアップに役立てることも重要。
 CSR報告書以外でのレポーティングも必要では?
20
IGESについて
 持続可能な開発のための革新的な政
策手法の開発及び環境対策の戦略づ
くりのための政策的・実践的研究
(戦略研究)を行い、その成果を
様々な主体の政策決定に具現化し、
地球規模、特にアジア太平洋地域の
持続可能な開発の実現を図ることを
目的とし、1998年3月に日本政府のイ
ニシアティブと神奈川県の支援によ
り設立。
 当初は財団法人として設立されたが、
2012年4月に公益財団法人に。
21
IGESの最近の主な活動
 国際フォーラム(ISAP2016)の開催(2016年7月、横浜、参加者のべ
1100名)
 G7環境大臣会合開催支援(環境省)
 SCP10YFPの持続可能なライフスタイルと教育(SLE)の推進。
 ビジネスとのパートナーシップの強化:Japan-Climate Leaders Partnership
(J-CLP)、Global Compact Network Japan (GCNJ)など
ご清聴ありがとうございました。
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