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INCA、小型航空機の開発を支援
16 OFF-HIGHWAY A I R B O R N E C A L I B R AT I O N INCA Goes Airborne INCA、小型航空機の開発を支援 Helmut Wegscheider氏、Austro Engine GmbH社 ディーゼルエンジン搭載小型機向けのエンジンマネジメントECUを適合 一般航空機向けECUの開発は、Austro Engine GmbHとBosch Engineering GmbH両社の共同プロジェクトによるものでした。 このプロジェクトは、冗長構成のディーゼルエンジンマネジメントECU(Bosch社製EDC16エンジンマネジメントシステム使用) のコンセプト開発・設計に焦点を当てたものです。その設計は並列に動作する2つのECUで構成されており、一般航空機の耐空性 要件による仕様として、ECUの1つに不具合が生じた際に冗長ユニットに切替える構造になっています。 R E A LT I M E S J 1/2010 ある適合業務の一日 ... 飛行機にはテストパイロットとテストエンジニアの 2名が乗り組みます。 今日の飛行テストの目的は、ECU適合の修正です。 目下のイベントの概要は以下の通りです。 1. 高高度でのターボ回転速度の超過を回避する ため、名目給気圧の調整など変更要求の見直し (現状、最大高度5400m) 2. 高度シミュレーションには吸気レストリクタ (エアチョーク)を使用し、ターボ保護特性を テストして、基本の適合値を取得する。 3. 機内にエミュレータプローブETKおよびETAS製 モジュール(ES590×2台、ES600×1台) 、さらに ターボエンジンRPM、温度、圧力の各センサなど 計装機器を設置。 4. INCAの動作するノートPCを持ち込んでテスト 飛行を実施。ワーキングページ上で適合値を変更 (リファレンスページ上でテストベンチから得た プロジェクトの目標は、メルセデスの量産 います。他方はホットスタンバイで瞬時に 設計をベースにした4気筒コモンレール・ アクチュエータ制御の役割を担う待機状態 机上適合値を設定) 。 ディーゼルエンジンを稼動させるECUの開 にあります。システムの電源は28Vで、エ 5. 飛行中、給気圧の高度限界を調整(高度18000ft 発です(JET-A1燃料 -主成分灯油 -使用) 。 ンジン動作やプロペラの回転速度制御を保 EDC16アーキテクチャにおける設計上の 護しています。エンジンの操作にはジョイ 大きな課題として、環境要件や航空プロセ スティックを使用、操縦士はレバー1つで 低下) ス、さらに欧州航空安全局(EASA)の要 速度と性能の具合を調整します。 6. 測定データアナライザ(MDA)上で広範囲に 件を満たす必要がありました。そのためソ 及ぶ計測データを分析 フトウェアパケット全体が、RTCA DO- 基本の ECU 開発は、新たに組織された 178B1)およびED12B DAL C(設計保証 レベルC)規格に従って開発・検証作業が Bosch General Aviation Technology GmbH社との連携によって行われました。 ハードウェア開発にはBosch Motorsport 行われました。 から支援スタッフが投入され、ソフトウェ Austro Engine社 で新 規 に設 計 された AE300エンジンのEECU(電子エンジン制 御ユニット)には、同一のECUが2つ組み ア開 発 に関 しては Bosch Engineering 込まれています。どちらのチャンネルがア GmbH社Diesel Powertrain部門のエン ジニアが担当しました。ECUは、Austro Engine社の仕様に照らしてテストされ、ソ クティブになるかの判断は、運転間隔また フトウェアの検証作業も適宜に行われまし は不具合の兆候に基づいた内部ロジック機 た。開発の第一歩として、自動車用のソフ 能によって決定されます。あるいはパイ トウェアアプリケーションに、航空機固有 ロットがスイッチを選択して操作します。 の機能(可変プロペラピッチ調整、データ すなわち、一方のチャンネルのみがアク 記録等)を追加して拡張が図られました。 ティブな状態でアクチュエータを制御して ここで、EDC16向けの標準の適合ツール 1) で大気圧は500ミリバール(標準気圧の約半分)に 航空機搭載電子制御システムの安全を確保するための規格 7. 2機目の航空機のデータを検証 8. MDAのチャートを使用して、影響の及ぶ ソフトウェア変更に関する変更履歴の ドキュメントを作成 17 18 OFF-HIGHWAY A I R B O R N E C A L I B R AT I O N AUSTRO ENGINE 社 であるETASの計測・適合ソフトウェアIN- に、KWP2000プロトコル経由でECUから CAを使用しました。さらに、ETASのハー ドウェアES5xx 、ES6xx 各シリーズやエ ミュレータプローブETK等が、欧州航空安 て多数のES580インターフェースカードが 測定データを取得するのに、INCAに加え 使用されました。 全局の規定による認証プロセスに組み込ま れました。実際INCAは、Austro Engine ETASのソリューションを円滑に導入する の実験室のワークステーションで役割を果 ために、同社のサポートチームは文字通り たす一方で、Bosch Engineering GmbH オンサイトでサービスを提供しました。 ワンケルロータリーエンジンおよびJET-A1航空ピストン 社においてもソフトウェアファンクション エンジンの開発・生産を行っています。JET-A1燃料で のパラメータ適合および検証を行うために、 Austro Engineと Bosch Engineering GmbH社が共同で問題を解決しなければ 2007年に設立されたAustro Engine社は、一般航空機や 無人航空機UAVを製造する大手企業向けに、最新の 動作する新開発のターボディーゼルエンジンAE300 (168馬力)は、新世代の航空エンジンです。低燃費、 脱有鉛燃料、低騒音エミッションといった特長により、 AE300は市場で最も環境に優しい航空ピストンエンジン ECUソフトウェア開発全般を通じて使用さ ならない状況では、サポートサービスが大 れました。テストベンチや、 Diamond いに役立ちました。困難な検証作業の過程 Aircraft 社 のツインターボエンジン機 DA42にAustro Engineの新型エンジンを でも、自動化テストや品質保証において ETASによる適切な支援に負うところが大 積 んだ実 機 テストでは、小 型 インター きかったといえます。 フェースモジュールES590、ES600を使用 とされています。 してECUのパラメータ適合が行われまし 2009年1月、エンジンと連動したECUの 工場はオーストリアのウィーナーノイシュタットにあり、 た。この構成により、データすべてをオン 認証が欧州航空安全局から交付されまし 超近代的なエンジンテストベンチ4台、プロペラテスト ラインで処理し記録することができます。 た。 2009年 3月、 Bosch Engineering エンジンテストベンチでは、ECU内部デー 制御と安全規格によって管理されていますが、これは、 でテストベンチソフトウェアに転送され、 GmbH社でECUの量産が開始され、完成 品はBosch General Aviation Technology GmbH社を通じてAustro Engine社へ供給 きわめて効率的かつ信頼性の高いエンジンを製造する 制限値を超える状況が監視されます。さら されます。 スタンド1台を有しています。生産ラインは、厳密な品質 タがASAM MCD-3インターフェース経由 メーカーにとって必須条件といえます。 2008年11月以来、Austro Engine社は、オーストリア の民間航空局Austro Controlが発行する製造組織承認 No. AT.21G.0010を保持しています。2009年1月、 JET-A1航空ピストンエンジン向けの認証 Type Certificateが、欧州民間航空局EASAによって 交付されました。同年7月には、米国連邦航空局FAAと ロシア連邦の州間航空局IACから相次いで同様の認証が交 付されています。 課題 一般航空機向けのECU開発。 ディーゼルエンジンマネジメントECUのコンセプト開発および設計に重点を 置いたプロジェクト(Bosch製EDC16エンジンマネジメントシステムを使用) ソリューション INCAソフトウェアを始め、ETAS製のハードウェアES5xx、ES6xx各シリーズや エミュレータプローブETKを使用して、エンジン制御ユニットの適合が行われ ました。 メリット ソフトウェア機能のパラメータ適合・検証を行うために、ECUソフトウェア開発 プロセス全体を通してINCAを使用しました。ECUパラメータの適合には、小型 インターフェースモジュールES590およびES600が有効でした。これにより、 すべてのデータをオンラインで処理し、記録することができます。