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胎児心拍数モニタリング時の 体位

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胎児心拍数モニタリング時の 体位
胎児心拍数モニタリング時の
第3回
連載
腹側
声なき声を聴くために
胎児心拍数モニタリング 判読塾
さ め し ま 宮崎大学医学部 産婦人科 教授
体位
ひ ろ し
鮫島 浩
1981年鹿児島
大学医学部卒
業。米国留学
を経て,19 9 5
年まで,鹿児島
市 立 病 院 。そ
れ以降 現 在ま
で,宮崎大学。
胎盤
羊水
第3回
右
胎児
子宮
左
圧迫
胎児心拍数モニタリング時の
体位
下大静脈
椎骨
大動脈
背側
図1
下大静脈の圧迫と仰臥位低血圧症候群
仰臥位低血圧症候群の予防のためには
1
左側臥位
仰臥 位低血圧症候 群の予防は,下大 静脈の圧排を予防することです。そ
仰臥位低血圧症候群について
のためには母体を左側臥位にすることが 推奨されています。左を下にして側
胎児心拍数モニタリングでは母体の体 位が重要です。
ん。あるいは,子宮を持ち上げたり,子宮を左方向に移動させたりして,下
体 位が悪い場合には,胎児が元気な状況であっても
「胎
大静脈の圧排を解除・軽減させることが重要です。
臥 位になると,子宮からの圧力は下大静脈にはほとんど影 響をおよぼしませ
児機能不全」の所見を示すおそれがあります。
2
図 1 に母体の腹部横断像を示します。脊椎骨の左側
に大動脈が,右側に下大静脈が走っています。妊娠後半
期になると,腫大した子宮によって腹側から
(上方向から)
圧力を受けます。血管壁の薄い下大静脈のほうがより影
響を受けやすく,結果的に圧排されます。
下大 静 脈が 圧排され,静 脈 環 流が減 少した結果,頻
脈となり,さらに心 拍出量の減 少に至ると,仰臥 位低血
セミファーラー位
背中を 3 0度以上持ち上げたセミファーラー位も有効です。子宮の重力は
!
30 度 以 上
骨盤へと向い,下大静脈の圧排が軽減します。
3
体位変換
圧症候群が発症します。低血圧になると,子宮への血流
仰臥位では,前述したように静脈環流の減少によって頻脈となったり,また,
量が減少し,胎児胎盤系への酸素供給量が減少し,その
軽度の血圧低下によって気分不良を訴えたりします。このような臨床所見をみ
結果「胎児機能不全」の所見を示すようになります。
たら,仰臥位低血圧症候群を念頭に,早急に体位変換を行うことが大切です。
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BIRTH 2012/5 Vol.1 No.3
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