Comments
Description
Transcript
数学的な見方や考え方をはぐくむ授業のポイント
数学的な見方や考え方をはぐくむ授業のポイント 大河原教育事務所 ◎ 算数・数学科において,基礎的・基本的な知識及び技能を習得し,数学的に考える力をはぐ くむことが求められる。「知識」「技能」は比較的明確にとらえられるが,「考える方」はあい まいになりがちである。課題を解決する際に「活用」されるのは「知識」「技能」と「数学的 な見方や考え方」である。そこで「数学的な見方や考え方」について,授業におけるポイント を示してみたい。 「数学的な見方や考え方」の内容を押さえておくことが必要です。一般的 には「帰納的な考え方」「演繹的な考え方」「類推的な考え方」でしょう。 それ以外に「一般化の考え方」「単純化の考え方」「特殊化の考え方」「記 号化,数量化,図解化の考え方」などもあります。 (参考文献「数学的な考え方の具体化と指導」 片桐重男著 明治図書) <帰納的な考え方(三角形の内角の和を考える場面)の例> 形の違う3つの三角形の内角 を測って足したら,どれもだい たい180°ぐらい。どの三角 形でもきっと180°だわ。 複数のデータを調べて決ま りを見つけたんだね。 念のため,もう一つの三角 形でも調べてみよう。 <演繹的な考え方(三角形の内角の和=180°の証明後に四角形の内角の和を考える場面)の例> 四角形は対角線で2つの三角 形に分けられる。三角形の内角 の和は180°だから2つ分で 360°になるんだ。 既に分かっている三角形の 内角の和=180°を使った んだね。五角形の内角の和も 求められそうだね。 <類推的な考え方(多角形の内角の和を考える場面)の例> 六角形の内角の和も四角形の 時と同じように三角形に分けて 求められると思ってやってみた らうまくいったぞ。 四角形の内角を求める方法 を当てはめてみたんだね。 同じ方法が使えたというこ とは,公式がつくれるかもし れないね。 いくつかある「数学的な見方や考え方」に分かりやすい名前を子どもと一 緒に付けておくと授業展開がしやすくなります。 子どもたちの発表,説明の中にきちんとした形ではなくとも「数学的な見 方や考え方」が活用されていることは分かります。「例えば…」や「○○と 似ているので…」とか「昨日,こういうのをやったので…」などの表現です。 それらを拾い上げ,教師とともに「数学的な見方や考え方」のどれに位置 付くのかを確認しながら,子どもたちに意識化させることが大切です。 ※ ヒントを与えすぎないこと,与えるタイミングを吟味すること。子どもたちを課題とじ っくり向き合わせ「何か使えるものはないかな」と思考を巡らせる時間を確保する。知識 や技能が詰まっている頭の中の引き出しを探すこと,その引き出しの取っ手に手を掛ける ところからすでに「数学的な見方や考え方」の活用は始まっていることを押さえておく。 【指導のポイント】 ○ 「数学的な見方や考え方」は,日常の授業で意図的に指導しないと身に付かない。 ○ 「数学的な見方や考え方」を子どもたちが活用できる課題の設定,発問の吟味が重要である。