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「現場現物主義」こそ成功への王道

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「現場現物主義」こそ成功への王道
「現場現物主義」こそ成功への王道
東海大学 教授
唐津 一 氏
● 誤情報に踊らされてはならない!
が日本中に伝わって騒ぎになった。そうすると正義
る。つまり理屈や定説などは一切抜きにして実際に
日本の経済は4年前の1996年にはGDPの成長率で
の味方というのが必ず出てくる。問屋に行ってみた
そのモノを見て、触って、そこで発見した事実に語
3.6%と先進国の中では最高で、景気は絶好調だった。
ら倉庫に山のようにあった。「これこそ売り惜しみ
らせることしかない。
ところが世間では、バブルがはじけて以来、不況が
だ」という。問屋の倉庫に在庫があるのは当り前だ。
10年続いていると思っている人が多いが、これは数
そのために、当時ハワイから帰る人が山のようにト
義を徹底的に取り入れることで成功した。それが品
字を見る限り明らかに大変な誤解である。
イレットペーパーを土産に持って帰るという漫画の
質管理(TQM)である。そこでは「事実だけに語らせ
ような話も出た。
る」という基本的な哲学がある。つまり企業性悪説も
何をするにも誤った情報では正しい判断は不可能
そして日本の戦後の製造業の現場は、現場現物主
である。これは当然のことだが、世間に流れている
そこで中国から輸入すれば品物があるというので
情報にはマスコミを通じたものが多いが「それだけが
手配した会社があった。ところがモノが入るのは2カ
世の中だ」と思うと危ない。しかも困ったことに間違
月はかかる。入ってきた頃には騒ぎは治まったのだ
つい先日EUのある国に行ったら、「なぜ日本の製
った情報でも後からの訂正がないとそれがそのまま
が、中国製の紙は硬くてどうにもならない。それで
造業は強力なのか」という質問が出た。そこで一言答
定説になってしまって固定化する。
大損害を受けたというおまけの話さえある。その頃
えた。「それは一級品を作っているからだ」。「一級品
●“トイレットペーパー買いだめ事件”にみる教訓
にはあおり立てたマスコミは素知らぬ顔である。
とは何か」の質問が出た。「それは故障しない製品だ」。
●正しい判断を阻害する仮説検証型
それで質問は途絶えた。
1974年から始まったオイルショックの頃、世間を
なければ、
“日本人働き過ぎ”という説もない。
●TQMを支える現場現物主義
騒がしたのが「トイレットペーパーの買いだめ事件」
ところが「値上げをもくろんで売り惜しみした」と
しかしそれを作るには現場は大変だ。何が不良品
だった。これは、「値上がりを見越してメーカーが売
いう話には説得力がある。しかし現実はまったく違
や故障品の原因になるか分からない。そこで工場の
り惜しみをしたために起きた」と思い込んでいる人が
っていたのだ。だから、世間に通用している定説な
人々はもちろん、企業全体の人々を動員して、欠陥
あって、今でも企業性悪説の例として挙げられるが、
るものには先入観がまずあって、それを裏付けする
品の出る原因を徹底的に調べあげて1つずつ手を打っ
これこそマスコミが煽ったために起きた騒ぎである。
ような話が出てくると「それ見たことか」ということ
ていくのである。それがTQMである。そこでモノを
後で調べてみたらトイレットペーパーは、生産・出荷
で定説のようになってしまったものが実に多い。こ
いうのが現場現物主義であって、理屈ではない。い
ともまったく減っていなかった。むしろこの騒ぎを
れを仮説検証型という。
わんや仮説検証型など、ほとんど役に立たない
抑えるために出荷は増えている。
例えば、日本人というと海外には1つの典型的なイ
先にトイレットペーパー事件の例を挙げたが、企
この騒ぎが起きたのは大阪のあるスーパーで仕入
メージがある。
“背が低くて出っ歯で眼鏡をかけてい
業性悪説で説明すれば何とか辻褄が合うだろうが、
れの手違いから、ちょっとした品不足があった。そ
る”といった外観的なものもあれば、
“誰でも柔道や
それは現実とは違うのだから、その場限りでまった
れをマスコミが取り上げて「トイレットペーパーが供
空手が強い”とか我々から見ると大きな誤解だが、
く役には立たない。企業の場合は常に成功すること
給不足になった。それは売り惜しみだ」とやった。こ
その先入観で見ていると何か事件があると「やっぱり
が求められている。だから現実に合わない説明を信
れは日常の消耗品だからどの主婦も慌てる。それで
そうだ」といった調子で決めつける。これは日本人が
用して何かの手を打っても、中国からトイレットペ
買いだめを始めた。
外国人を見る目も同様であって、偏らない判断は難
ーパーを輸入した商社のような失敗に終わるのだ。
もともと値段が安い商品だから大量に買える。そ
こでスーパーの棚からたちまち商品が消えた。これ
主
な
記
事
『現場現物主義』
、これが成功への王道である。
しい。
それを克服する方法はただ1つ、現場現物主義であ
◆特集.総合ドキュメント・プロセシング・
システム「DOCS」
◆ユニシス オンネット・ソリューション・
フォーラム’
99講演より
*あさひ銀行−「DOCS」導入事例
(2面)
*富士銀行/滋賀銀行/伊予銀行/第三銀行/朝日信用
(3/4面)
金庫/泉州銀行−「DOCS」導入事例
*トヨタ自動車−統合CAD/CAM/CAE
システムを構築
(8/9面)
*東京電力−経理データの有効活用 (16面)
◆ユーザ事例
*ケイ・アンド・ユー・ソフトウェア−電子帳票・
電子帳簿システム「WebRepo」を開発 (5面)
◆第17回SUS研究会理事長セミナー報告 (6面)
◇ABC/ABM(活動基準原価計算/活動基準管理) (7面)
UN
◇「CADCEUS」の海外展開
◇Ⅰコマース・ソリューション
◇ASP/CSP事業「asaban.com」
◇ネットワークの動向(7)
◇オブジェクト指向技術(8)
(10面)
(11面)
(12面)
(13面)
(14面)
特集:総合ドキュメント・プロセシング・システム「DOCS」
ユニシス・ニュースのバックナンバーは、日本ユニシスのホームページに全文が掲載されています。
http://www.unisys.co.jp/users/unisys_news/index.html
特集.総合ドキュメント・プロセシング・システム「DOCS」
あさひ銀行
大和銀行/東海銀行との手形交換事務の相互委託で
大幅な事務効率向上/事務経費の圧縮を実現
今後は事務集中部門のプロフィット・センター化を目指す
あさひ銀行は、経営効率化の一環として、大和銀
に処理する方式を
が短縮(約15分)できた
行ならびに東海銀行と手形交換事務の相互委託をス
採用していた。と
②全体コストの削減と生産性の向上に寄与
タートさせたが、それに伴い同行東京事務センター
ころが、この方式
3行分の手形交換事務の同時処理や行内メールの
の手形交換システム(ユニシスのDOCSを使用)の共
では東海銀行が加
共載化など付随業務の受託処理で、業務量が従来に
通化など基盤整備や処理手順の統合化を図り、手形
わると、異なる3
比べ1.6倍に増えたにも関わらず、新システムの効
交換業務ならびに付随業務の大幅な事務効率向上、
行分の操作手順を
率的活用により、スケール・メリットが活かせ、こ
事務経費の圧縮を実現させている。
すべて習得する必
れまでと同じコストで処理可能となった
要があるなど問題
などの効果を挙げている。
点が出てきた。こ
手形交換の3行相互委託で
業務革新を実現
今後は利益を生み出す
プロフィット・センターに
のため、手形交換
システムを統一し
て3行が同一基盤
手形交換とは、複数の銀行が定時に一定の場所
(手形交換所)に集合して、企業などから受け入れた
手形・小切手を交換し、決済し合う業務。
上で使える形に整
備した。
在、付随業務である営業店と事務センター間の集配
また、開発期間
あさひ銀行では、この手形交換事務の効率化を図
手形交換事務の相互委託からスタートしたが、現
あさひ銀行本店
業務の相互委託も実現している。つまり、行内メー
については、2000年直前の厳しい時期にも関わらず、
ルを共載化し、3行が同じ地域で重複して集配業務
るため、業界に先駆けて、関西地区を大和銀行に、
約半年という短期間で完了し順調に稼働できた」と
を行う無駄を省いている。さらに、今後は利益を生
名古屋地区を東海銀行に委託(アウトソーシング)
説明される。
み出すプロフィット・センター化を目指している。
し、東京地区についてはあさひ銀行が大和と東海の
両行分を受託するという先進的な相互委託処理をス
例えば、手形取扱事務の全体の流れを100とすれば、
新手形交換システムの特徴と構成
タートさせ、業務革新を実現している。
行事務や持帰り手形の形式点検・印鑑照合、当座勘
手形交換業務は、
新手形交換システムは、3行が同一基盤上で処理
①手形交換所を通じて業務手順が標準化されている
ため互換性の高い業務である
できるように、図のようなモジュール構成とした。
の人員と設備が必要となる
①共通システム基盤の使用による機器の柔軟な運用
が可能
③時限性のある業務であり、地域ごとの処理が必要
とされる
そこで、首都圏をホームグランドとするあさひ銀
さらなる事務集中処理の効率化を目指して
の実現
については東海銀行がそれぞれ手形交換事務を引き
などを挙げている。
さらに、同行では、事務集中処理効率化を目指し
受けることとし、
『自行の強みを活かし相互に補完
することにより、コストの削減を図り、浮いた経費
をさらなるサービス向上に振り向けること』に取り
て、
「ネットワークを活用したイメージによる手形
新手形交換システム活用で
生産性が60%アップ
交換処理」も展望している。
現在、大阪・名古屋扱いの手形も、東京の手形交
組んだ。
換センターに集められ、それをまとめて夜間に新幹
同行手形交換センターでは、新手形交換システム
東京センターの手形交換システム基盤を整備
首都圏の手形交換事務を担当することになった
ている。この運搬作業と時限性の撤廃を図るために、
①処理時間の短縮を実現
主要交換所間をネットワークでつなぎ、イメージで
3行分の処理開始から持出しまでの全体処理時間
あり、毎日分刻みの仕事を強いられている。このた
手形交換システム基盤概念図
の相互委託処理に伴
め1分でも10分でも処理時間を短縮したいという願
データ投入
共通基盤
公一氏は、「98年2月
C銀行
に大和銀行と相互委
託を開始した時は、
大和銀行のシステム
を当行のセンターに
持ち込み、当センタ
ー内で自行分と相手
行分をそれぞれ個別
2
2000年2月1日第466号
手形現物
データ
精 査
新規受入行
デ
ー
タ
投
入
処
理
手形現物
データ
れるものと期待している。是非実現していただきた
い」(伏見氏)と熱を込める。
手形現物
管理
マスタ
発
送
処
理
帳票
データ
C銀行
手形現物
マスタ
メンテナンス
帳票
データ
新規受入行
手形現物
手形現物
新規受入行
帳票
UN
B銀行
B銀行
手形現物
すれば、以上のような願望もユニシスはかなえてく
A銀行
手形現物
手形現物
いを持っている。今の情報技術や電子技術をもって
発送
A銀行
に依頼し強化・整備
て、事務部次長 伏見
手形のやりとりができる体制の確立である。
「手形交換事務というのは、時限性のある仕事で
センターでは、3行
その理由につい
線で運搬し、翌朝大阪・名古屋の手形交換所に届け
の活用により、
あさひ銀行手形交換
した。
ていき、積極的に他行業務の受け入れを推進した
い」(伏見氏)としている。
④新規の他行業務受け入れに容易に対応可能
基盤を日本ユニシス
交換、持帰り手形の後処理まで、オールワンで引き
③操作環境の共通化によるオペレータの複数行運用
行が東京地区、関西圏については大和銀行、中部圏
手形交換システムの
「現在、それらの業務は各銀行でバラバラに行わ
受けられるアウトソーサーとしての機能強化を図っ
②システムのモジュール化による管理面・保守面で
の効率化の実現
という特性を持つ。
定からの引き落とし事務などが占める。
れているが、将来的には、この手形の発行から手形
その特徴としては、
②大量事務処理であり、自行で処理する限り、相応
い、その中枢を担う
手形交換は50に過ぎない。残りの半分は手形帳の発
事務量
統 計
帳票
データ
新規受入行
手形現物
帳票
データ
■株式会社あさひ銀行
http://www.asahibank.co.jp/
◆91年に協和銀行と埼玉銀行が合併して誕生。現在、
「I support your dream」をコーポレート・スローガン
に掲げている。昨年10月に我が国初のマルチリージョ
ナルバンクを創設するために東海銀行と共同して金融
持株会社を設立することで基本的合意に達している。
◆所在地=東京都千代田区大手町1-1-2
◆代表者=伊藤 龍郎頭取
◆預金量=21兆3,360億円(99年3月)
◆店舗数=国内379店、海外12店
◆使用機種=HMP LX5100×4、高速ソータ×6、PCプ
ルーフ、PCクライアントほか
ユニシス・ニュース
2000年2月1日第466号
総合ドキュメント・プロセシング・システム「DOCS」
新システム相次ぎ稼働
日本ユニシスが提供している総合ドキュメント・
械化に先進的に取り組んできた。事務集中の分野で
プロセシング・システム「DOCS」(Total Document
も、統合管理システムを導入して連結サーバを順次
Processing System)は、多様化、複雑化する各種デ
増強し、現在では集中業務のすべてを1人の行員が
ータ・エントリ業務や手形などの現物関連業務に対
1台のクライアントを使って処理するなど、作業の
して大きな威力を発揮している。
迅速化、省力化を実現している。
以下、最近稼働したDOCSによる新システムの事
加えて、このほど「手形イメージ・エントリ・シス
例(5銀行、1信用金庫)を紹介する。
テム」を導入、信用度と収益面の一層の向上を目指
している。
● 手形イメージ・エントリ・システムの特性
富士銀行
(1)手形現物の紛失リスク解消
富士銀行 エントリ風景
集中された手形類は、ドキュメント・プロセッサ
◆ 所在地=東京都千代田区大手町1-5-5
◆ 代表者=山本 惠朗頭取
◆ 預金量=27兆8,108億円(99年9月末現在)
営業店での記入伝票内容の削減、記入負担の削減、
に通してイメージを取り込み、各クライアントに映
精査負担の削減を実施し、営業店負担を削減した。
し出された画面上の手形をオペレータが見て作業す
また、入力センターでも別途、債権流動化に伴う
るため、現物のハンドリングがなく、役席の手元で
◆ 店舗数=311店
新規業務の取り込みのほか、口座振込依頼書登録入
終日管理ができる。
◆ 稼働時期=98年7月
力の受け入れを実現するなど、省力化効果による新
(2)効率化の要素が多く、事務回りの改善が可能
◆ 使用機種=HMP NX4600、NDP500×3、PCサーバ/
規業務への展開も実現している。
クライアントほか
概要
クライアント画面は、上面に手形が映し出され、
(5)今後の展望
下面に入力項目の部分出力と入力箇所の自動認識を
今後のシステムの展開に関しては、「新システム
織り交ぜながらカーソルを移動するため、操作が簡
富士銀行では、21世紀に向けて飛翔する新しい総
が持つ汎用性、拡張性を利用し、行内の新規エント
単で、初心者パートを登用することができる。また、
合金融グループ「みずほフィナンシャルグループ」を
リ業務の受け入れを積極的に推進していくととも
処理スピードは従前の機種より2倍速く、人員の削
創設している。
に、さらにシステムの改善を図り、より省力化、正
減が期待できる。
現在、手形入力、振込依頼書入力にイメージ情報
確化に効果を上げていきたい」としている。
滋賀銀行
ントリ・システム」を導入、順調に稼働中である。
以上の点から、「今求められている大幅な効率化
には欠かせないシステムである」と確信している。
新システム導入の目的は以下のとおり。
(1)オープン・システムの採用
WindowsNTを中心としたクライアント/サーバ・
イメージ取り込み情報は、1週間分まで可能であ
り、ソフト対応次第では事務の偏在緩和に役立つ。
を活用した入力システムを採用した「総合データエ
◆ 所在地=滋賀県大津市浜町1-38
伊予銀行
◆ 代表者=ã田 紘一頭取
システムを採用、システムのスリム化、ソフト基盤
◆ 預金量=3兆1,778億円(99年3月末現在)
の統一、セキュリティの強化を図る。
◆ 店舗数=137店
◆ 所在地=愛媛県松山市南堀端町1
(2)イメージ処理の全面採用
◆ 稼働時期=99年11月
◆ 代表者=麻生 俊介頭取
◆ 使用機種=HMP NX5600、NDP1800、NDP500、
◆ 預金量=3兆3,340億円(99年9月末現在)
システムによるイメージ読取、自動認識方式を導
入することにより、入力負担を軽減し生産性の向上
PCサーバ/クライアントほか
および、パート化の推進を図る。
概要
(3)現物レス手形/振込イメージ・エントリを採用
◆ 店舗数=157店:含む出張所、海外1店
(99年9月末現在)
手形イメージ・エントリ・システム導入は時代の流
◆ 稼働時期=99年7月
◆ 使用機種=HMP NX4600、NDP1800、NDP500×2、
マンマシン・インタフェースを熟考した操作画面
れであり、金融業界で生き残るための条件は「信用
により、現物のイメージを見ながらデータ・エント
度の高さ」にある。「信用」は財務状態、収益率など
PCサーバ/クライアントほか
リを行う現物レスエントリを採用、セキュリティの
の業績面と、事務正確などの堅確性の両輪から成り
概要
強化を図る。
立っている。また、収益向上に事務効率の追求は重
(4)手形入力、振込依頼書入力の共有端末による運用
要なる要素である。
手形・振込共有端末により事務量に応じた流動的
かつ適切な運用を図る。
また、新システム導入による効果は以下のとおり。
滋賀銀行は、「事務」を営業推進とともに銀行業務
自動認識による入力削減、②現物・帳票移動不要、
③精査リストセット不要、④その他間接作業削減に
より大幅な人員削減および時間外処理の削減を実現
した。
ム)/振込/汎用エントリ・システムへの全面更改で、
のトップを切ってコンピュータを導入するなど、機
新システムの特徴として以下の3点が挙げられる。
①NX4600本体を事務集中部門とは別
滋賀銀行 システム構成図
のフロア(勘定系マシン室)に設置
統合サーバ
(NX5600-211)
オープンMT×1
カートリッジ・
テープ×1
(2)セキュリティ強化
SPO
ファイル・サーバ×4
し、実運用班の操作と切り離した。
また、勘定系ホストとのデータ交
換はすべてLAN経由のFTPとした
ことで、運用班のシステム操作の
エントリ系LAN
イメージ・
プリンタ
×2
オペレータ権限付与による処理範囲の制限の明確
化、および現物移動廃止によりセキュリティの強化
が図れた。
とした手形交換/期日管理(手形イメージ・システ
の要諦と位置付け、「オフコン時代」には、地銀業界
(1)人員削減効果
イメージ入力システムの採用により、①データの
伊予銀行では、99年7月から手形イメージ・システ
ムを稼働させた。旧システムから、NX4600を中心
操作指示PC×2
エントリPC×6 文字認識W/S×2
ソータ系LAN
漢字プリンタ
×1
漢字プリンタ
×1
(3)熟練度不要な運用
(4)その他
②手形期日管理処理をイメージ化し
たことでソーター室と手形データ
入力室を分離し、手形現物の移動
を極小化している。
③印鑑照合システム、OCRシステム
オペレータの判断業務を削減し、入力画面も使い
やすさを考慮することにより、アウトソーシング可
能な処理体制を確立した。
負荷を軽減している。
(税・公金処理)ともLAN接続し、デ
システム・マネジャPC×1
リーダ・ソータ×1
WindowsPC内蔵
イメージ・ドキュメント・プロセッサ×2(NDP500)
ータ伝送を行っている。
(次頁へつづく)
3
伊予銀行 システム構成図
統合サーバ
(NX4600-122)
オープンMT×1
ファイルサーバ
サーバ#1 手形エントリ・サーバ
SPO
操作指示PC×1
HDDドロワ
HDDドロワ
スイッチャ
カートリッジMT×1
操作指示PC×2
た顧客サービスを
事務センター(3F)
勘定系機械室設置
文字認識W/S×2
て、さらに充実し
日本語プリンタ
330行/分
レイドディスク×2
NDP500×2
イメージ・ドキュメント
プロセサー
イメージ・プリンタ×2
為替交換部とし
IPW×10
ては、すでにデー
汎用端末
PC
ICR×2
レーザ・プリンタ×2
ソータ系LAN
漢字プリンタ×2
印鑑照会機
日本語プリンタ
500行/分
NDP1800
リーダ・ソータ
PCプルーフ
マシン×2
OCR機
税・公金処理
ジャーナル・プリンタ
イメージ・ドキュメント・
プロセッサ×2
リーダ・ソータ×1 システム・マネジャPC×1
24ポケット
実現させる予定で
ある。
システム
マネジャPC
エントリPC
×14
けることによっ
汎用端末P/C
エントリ系LAN
勘定系ホスト
タベースと関連付
日本語プリンタ
200行/分
バックアップ・サーバ
(RAID5)
(RAID5)
ータバンクのデー
EFS バックアップ IFS
サーバ
サーバ#2 イメージ・ファイル・サーバ
サーバ#3
朝日信用金庫 システム構成図
統合サーバ(LX5100)
磁気テープ装置(オープン)×1
いる印影情報を利
用し、NDP500イ
汎用端末PC
メージ・リーダで
日本語プリンタ
200行/分
レーザ・プリンタ
の手形交換持帰り
ICR:イメージ・キャラクター・リコグニション・サーバ
IFS:イメージ・ファイル・サーバ
EFS:エントリ・ファイル・サーバ
IPW:イメージ・プロセンシング・ワークステーション
事務センター(2F)
事務集中室設置
タベース化されて
印鑑照合システム
を今後検討してい
く予定である。
こうしたシステム化により事務集中室では、
朝日信用金庫
①機械運用を離れ現物処理業務に特化することで、
泉州銀行
効率的なデータ・エントリを可能にした。
②データ伝送を行うことで、MTなどのハンドリン
グ時間を削減した。
◆ 所在地=東京都台東区台東2-8-2
◆ 所在地=大阪府岸和田市宮本町26-15
◆ 代表者=塚原 和郎理事長
◆ 代表者=柳曽 健二頭取
◆ 預金量=1兆2,449億円(99年3月末)
◆ 預金量=1兆4,056億円(99年3月末現在)
の移動に伴う受け渡し事務を大幅に削減した。
◆ 店舗数=35店
◆ 店舗数=67店
今後は、事務処理の流れについて改善を加え、さ
◆ 稼働時期=99年9月
◆ 稼動時期=99年8月
◆ 使用機種=HMP LX5100、NDP1800、NDP500、
◆ 使用機種=HMP LX5150、NDP1150、NDP500、
③手形をイメージで入力することで、手形現物など
らなる処理効率化を目指す。
PCサーバ/クライアントほか
第三銀行
PCプルーフ×10、PCエントリ×16ほか
概要
概要
LX5100エンタープライズ・サーバ、NDP1800高速
従来使用中のA6-FSシステムのレベルアップを検
◆ 所在地=三重県松阪市京町510
リーダ・ソータ、NDP500イメージ・キャプチャー・リ
討した結果、現行手形交換システム、期日管理シス
◆ 代表者=世古 俊之頭取
ーダ・エンコーダーなどを導入し、従来の為替交換
テム、代理業務などのソフトウェア資産を容易に継
◆ 預金量=1兆4,498億円(99年3月末現在)
部業務を、最新の技術を取り入れた新システムで99
続使用が可能であるLX5150システムの導入を決定
◆ 店舗数=105店、出張所7カ所
年9月に稼働させた。
した。新システムは、LX5150システムを中心に
◆ 稼働時期=99年9月
◆ 使用機種=HMP NX4200、
NDP500×2、
PCサーバ
従来は、A4システムでの手形交換、期日管理を
NDP1150ソータ・システム、NDP500中速リーダ・ソ
中心にエントリ・システムとプルーフ・システムは、
ータ、PCプルーフ・システム、PC汎用エントリ・シ
×2ほか
別メーカー機器、また、手形マスターは勘定系機器
ステムより構成されており、特にPCプルーフ・シス
概要
で保有と業務処理が縦割りになっていたが、今回の
テムは、従来のHS96-Jシステムに比較し、タッチパ
第三銀行では、従来のユニシス機器による手形期
システムでは、すべてを一体化し、勘定系と同一手
ネル方式キーボードを採用するとともにジャーナ
日管理システムに「手形イメージ・エントリ・システ
形マスターを持ち効率的なシステム処理が実現でき
ル・ペーパーの電子化、多様な照会機能を活用する
ム」を導入し、99年9月より稼働させた。
ている。
ことにより、操作の簡易性および効率化に貢献して
手形イメージ・システムの導入目的は、以下の点
2001年1月稼働予定の次期勘定系「SBI21システム」
にある。
で、審査機能充実の一環として漢字情報での手形支
(1)安全性の向上
払人名寄せを計画しているが、これに対応するため、
手形現物に触れることなくエントリ・ベリファイ
イメージ・エントリ・パッケージ
が可能なため、移動などで発生しうる紛失リスクが
を導入し、手形支払人の企業
回避でき、操作員の心理負担も軽減できる。
名/住所を漢字入力している。
(2)生産性の向上
手形券面の金額/期日のICR
イメージ・データからチェックライター金額を自
処理(自動文字認識)、事前
動認識させるため、エントリの入力項目が削減され
MICRリード処理での銀行/支
た。また、取立番号に関して、2000年5月に予定さ
払人マスターからの事前ヒッ
れている新勘定系システム稼働に合わせ、自動採番
トなどの処理での入力データ
方式に仕様変更し、生産性のさらなる向上を図る予
の削減に加え、手形券面の読
定である。
取イメージを1週間分保持する
(3)今後の検討事項
エントリのために取得したイメージ・データの後
日照会などへの活用を今後検討していく予定。
ため、最小限のオペレータ増
員で対応している。
今後、支払人情報を帝国デ
4
2000年2月1日第466号
99年8月より順調に稼働しており、今後さらなる
集中部門内の合理化、省力化を目指す予定である。UN
泉州銀行 システム構成図
統合サーバ
・256MBメモリー
(LX5150)
・9GB×6ミラー
ディスク(内臓)
中速ソータ
NDP1150(1150枚/分)
磁気テープ・ストリーマー
スイッチング・ハブ
漢字
ライン・プリンタ
(500行/分)
ことで、支払人漢字入力を勘
定処理とは別建で実行できる
いる。
リモート・プリンタ
PC汎用エントリ端末×16台
(データ・エントリ・キーボード付)
PCプルーフ端末×10台
(170行/分)
(液晶キーボード
96分類マニュアル・ボックス)
NDP500
ドキュメント
・プロセッサ
ユニシス・ニュース
2000年2月1日第466号
WebRepo(電子帳票システム)の動作環境
店番から検索でき、Web画面なので、
サーバ
金融ソリューション
操作性に優れている
OS
CPU
メモリ
必要ソフト
WindowsNTServer4.0以上
PentiumⅡ400MHz程度以上
128MB以上
IIS4.0
COOLICE2.0
Adobe Acrobat4.0
⑤帳票イメージがPDF形式なので、必
Windows95/98
NT WorkStation4.0
Pentium133MHz以上
(PentiumⅡ233MHz以上推奨)
⑦ID、パスワードによるログイン、店
要なページのみ印刷が可能
⑥加工対象の帳票はテキスト形式なの
で、Excelに連動することでデータ
加工、表計算、グラフ化が可能
クライアント
OS
電子帳票・電子帳簿システム「WebRepo」を開発
Webアプリケーション・サーバ
COOLICEでOn-netソリューションを実現し、
紀陽銀行で適用開始
ケイ・アンド・ユー・ソフトウェア
CPU
番・部署・権限レベルでの帳票閲覧の
制限、検索帳票はPDF形式のため改
ざんは不可能などセキュリティに優
メモリ
32MB以上(64MB以上推奨)
対応ブラウザ Internet Explorer4.01以上
れている
(2)電子帳簿システムの特徴
よりログインし、画面から店番・帳
①電子帳簿保存法で必要とされる改ざ
票名・作成基準日を指定する
ん・消去の可能性がないこと(真実性
⑥COOLICEの機能を使いPDF/テキス
の確保)、クライアントから閲覧・印
ト・ファイルの検索ログを採取する
刷が可能(可視性の確保)などの条件
金融機関におけるオンライン・システムの開発・運用を主業務としているケ
⑦PDFファイルはAcrobat Reader(PDF
イ・アンド・ユー・ソフトウェア(株)では、大量帳票の保管、検索および配送の
ファイルを開くためのソフト)によ
②CD-Rによる大量データの保存が可
効率化を図るソリューション「WebRepo」を開発した。このシステムは電子帳
り画面に表示、テキスト形式ファイ
能なので、帳票保管スペースの削減
票・電子帳簿・取引履歴検索の3つの機能から成っている。
ルはダイアログボックス(項目設定
や、配達コストの削減が可能となる。
WebRepoは、Webアプリケーション・サーバ「COOLICE」をインフラ・ソフ
トとして用いて開発を実現したもので、この1月から紀陽銀行の本部部門で
試行導入、4月から本格導入される。
■ケイ・アンド・ユー・ソフトウェア株式
会社(略称:K&U)
◆紀陽銀行のオンライン・システムの開
発・運営を主業務としている。また、
日本ユニシスと提携して、金融機関向
け各種情報システムの開発受託、コン
ピュータの導入および利用に関するコ
ンサルティング、各種情報処理サービ
スなどを行っている。
“大量帳票の効率的管理”への
期待に応えて
をクリアしている
③CD-Rをドライブにセットするだけ
画面)を表示し、クライアントへダ
で、メニュー画面が起動。Web画面
ウンロードする
よりCD-Rに収納の帳票名にリンク
“大量還元帳票の悩み”を一気に解決
http://www.k-u.co.jp/
し簡単に帳票イメージを表示できる
④プロテクト付きのPDF形式なので、
このWebRepoは、電子帳票システム、
◆設立=90年4月
◆本社=和歌山市中之島2240(紀陽銀行
向芝オフィス内)
◆代表者=花田 通夫社長
◆売上高=14億円(99年度予想)
◆従業員数=114人(99年10月)
改ざんは不可能である
電子帳簿システム、取引履歴検索シス
(3)取引履歴検索システムの特徴
テムから構成されている。電子帳簿シ
ステム、取引履歴検索システムについ
既存の取引履歴検索システムと連動
ては帳票処理のトータルな効率化を実
することで、Web検索依頼画面から取
現するため、ネットソリューション・
引履歴検索システムへのオペレーショ
あり、ホスト・
システムとして、現在開発中であり今
ンが可能となり、Webベースでの事務
システムの改良
年度中の完成を予定している。
の自動化が図れる
やクライアント
これらの特徴により、事務センター
それぞれの特徴は次のとおり。
K&Uでは、紀陽銀行向けに月間120
へのソフト搭載
(1)電子帳票システムの特徴
側のコスト削減(印刷・仕分け・発送作
万ページに及ぶ還元帳票をホスト・コ
などを必要と
①クライアントに必要なソフトはWeb
業)や営業店側のコスト削減(仕分け・
ンピュータで作成している。この大量
し、結果的に開
ブラウザとAcrobatReader(無償提供)
保管・廃棄)、ペーパーレスによる保管
のみで、TCOを最小限にとどめら
スペースの圧縮などの導入効果が期待
れる。
できる。また、取引履歴システムでは、
山本 喜久男氏
帳票を電子ファイル化し、本部・営業
発および維持コ
店のPCからイントラネットで、検索・
ストが高くつく。そこで、COOLICE
照会を行うシステムとして独自開発さ
を用いて他社で手掛けていないWebシ
②ホスト・システムの変更は皆無で、
従来営業店から紙ベースでの依頼を電
れたのがWebRepoである。
ステムの開発に挑戦した。COOLICE
かつホスト資産(オーバーレイ、デ
子化することで、事務効率化が実現で
開発に当たっては、①現状のホスト
は、生産性の高いスクリプト言語を使
ータ)をそのまま利用できる。
きる。
資産をそのまま活用できること、②シ
うことでWebアプリケーションを効率
③帳票イメージをPDF形式で保有、ペ
同社ではWebRepoを紀陽銀行への適
ステムの仕様変更に伴うクライアント
的かつ安定したシステムの開発が可能
ージ単位で表示し、見やすくするた
のソフトウェア更新を必要としないこ
であり、しかもきめ細かいセキュリテ
用のみならず、他社への販売も計画し
UN
ている。
と、③十分なセキュリティが確保され
ィの設定も容易に行え、独自開発に適
ていること、④本部から営業店帳票、
していたからである」。
統括店からサテライト店帳票など検索
WebRepoの構成と処理の流れ
可能部署の設定が容易にできること、
めに拡大・縮小も可能
④帳票分類、帳票名、帳票作成日付、
WebRepoシステム概要
日次、月次など
定期的にサーバへロード
営業店
センター
電子帳票サーバ
PC
⑤帳票検索のログが採取でき使用状況
WebRepoは、図のようなシステム構
の把握・分析が可能なこと、⑥特定帳
成となっており電子帳票システムにつ
COOLICE
票については加工可能なデータとして
いては次のような流れで処理される。
作成依頼
処理
クライアントに提供できること、など
①ホストで作成された帳票作成用デー
がシステム化要件とされた。
タをサーバ処理用に変換して磁気テ
COOLICEで高生産性、安全・確実
なシステムを実現
ープ(MT)経由でサーバに取り込む
②フォーム情報(オーバーレイ)は事前
これらの要件を満たすWebシステム
③MTの帳票データとフォーム情報を
にサーバで変換し保管する
構築ツールとしてCOOLICEが採用さ
サーバでマージし、PDFファイルを
れた。その理由として、同社システム
作成する
3部部長 山本 喜久男氏は次のように語
っている。
「当初、電子帳票作成パッケージの
応用も考えたが、いずれもC/SS型で
④編集・加工用帳票は、①の帳票データ
をテキスト形式ファイルに変換する
⑤ブラウザ・ソフト(Explorer)を起動、
作成依頼
帳票自動
作成
(PDF変換、
TEXT変換)
ホスト
③④
帳票index 帳票データ
(MAPPER)
帳票D/B
(MAPPER)
営業店
PC
帳票フォーム
(T E X T )
④
検索・照会
PDF形式で
表示/印刷
帳票イメージ
(TEXT)
加工/編集が必要な
帳票はTEXT形式で
イメージ作成
帳票
作成 取引
バッチ 履歴
テープ
フォーム
作成
PDL
データ
取引履歴
DBサーバ
MT
取引履歴
⑤
⑦
検索・照会
TEXT形式で
編集/加工
PC
②
①
検索/
照会処理
⑥ 帳票作成
③
帳票イメージ
(PDF)
COOLICE機能で
PDF/TEXTを参照
電子帳簿サーバ
CD-R作成
月次で
ロード
取引履歴D/B
からPDF作成
帳簿検索・照会
CD-R
取引
履歴
帳票イメージ
(PDF)
電子帳簿対象データは電子
帳簿サーバに帳票イメージ
を作成する
事前登録のユーザID/パスワードに
5
第17回SUS研究会理事長セミナー報告
金融再編に伴う地域金融機関のあり方を探る
全国25金庫から26名のトップが参集
も中国、香港、タイを中心に海外進出
●健全性確保への取り組み
が目立ち、信金業界もこうしたグロー
*金融検査マニュアル
バル化の進展を視野に入れた経営が一
第17回SUS研究会理事長セミナー
金融機関の健全性確保のために、新
層求められてこよう。
しい金融検査マニュアルが制定され
が、昨年11月25日・26日の両日、静岡
● 金融環境の変化
た。その基本的な考えは、当局指導型
県伊東市の川奈ホテルを主会場に、全
*業務規制の緩和−投信窓販の開始
から自己管理型への転換、資産査定中
国の25信用金庫から26名のトップ・マ
金融システム改革法で、金融機関の
心からリスク管理重視への転換を図る
ネジメントが参集して盛大に開催され
投資信託窓販が解禁された。これに伴
ものである。金融機関は一層の自己責
た。
い、信金では98年12月から投信商品の
任が求められることになる。
今回の理事長セミナーは、SUS研究
窓口販売を開始した。99年10月までの
*時価会計の導入
会幹事長金庫である埼玉縣信用金庫
実績は、82金庫が参入し、販売件数
専務理事 中村 元重氏が、「信用金庫を
全国の信用金庫からトップが参集
有価証券などの時価評価を軸とした
7,261件、販売金額は3,476億円である。
金融商品の時価会計が2000年4月以降
取り巻く環境は、身近に迫ったペイオフ問題、リテール分野の競争激化、ダイレ
実績はまだまだ遅々たるものである
の事業年度から開始される。含み益を
クト・チャネルの進展、金融再編成の荒波、時価会計の導入等々、変化のスピー
が、お客様の資産運用ニーズの多様化
最後の拠り所にした経営からの脱却が
ドが高まり、一段と厳しい状況にある。こうした状況を見据え、恒例のグループ
への対応として、投信窓販を推進する
必要になる。
討論会では“金融再編に伴う地域金融機関のあり方”について討議するが、忌憚
ことも重要である。
*BIS規制の見直し
のない意見を出し合い、厳しい金融情勢を乗り切る糧にしようではないか」との
*業務規制緩和−401kプラン(確定拠
開講挨拶で始まった。
また、特別講演では、全国信用金庫連合会 専務理事 木村 隆治氏が「信用金庫の
現状と経営課題−21世紀に向けて」と題し、別項のように講演された。
特別講演要旨
信用金庫の現状と経営課題
全国信用金庫連合会 専務理事
イトの見直し、証券化商品について信
401kプランについては、各金庫の意
用リスクに対応したリスク・ウエイト
見はまだ不透明である。信金としては
の設定などBIS規制が一段と強化され
そのスキームを見極め、取引先の中小
る。リスク管理の強化と自己資本の充
企業が従業員に対し、どのような年金
実が重要となる。
制度を持っているかその実態を今から
*ディスクローズの強化
把握しておくことが肝要である。
木村 隆治氏
銀行勘定に対する信用リスク・ウエ
出年金)
*直接金融市場の整備
日本の金融市場は、間接金融依存型
ディスクローズがますます強化され
るが、信金業界も一般銀行並みに格付
けされる時代がくることも予想される。
るかが課題とな
である。日米比較すると日本の個人金
● 信用金庫の経営課題
と金融システムに対する信頼性の回復
ろう。
融資産は預貯金が60%だが、米国では
*顧客指向型経営の徹底
が喫緊の課題となっている。ここでは、
*グローバリゼー
13%に過ぎない。企業資金調達も日本
社会環境および金融環境の変化を考
信用金庫に及ぼす経営課題を社会環境
ションの進展
は間接金融(借入)が62%、直接金融は
えると、顧客指向型経営に徹底すべき
および金融環境の変化から概説する。
日本の対外直
38%である。逆に米国では直接金融が
である。そのためには、顧客情報基盤
86.5%で、間接金融は13.5%である。
としてデータベース・マーケティング
日本もいずれ、米国型の直接金融に変
を指向し、顧客ニーズにマッチした魅
金融機関にとって経営の健全性確保
● 社会環境の変化
接投資額はアジ
*少子・高齢化社会の到来
アを中心に拡大
木村 隆治氏
日本は先進国の中で最も少子・高齢
している。80年代後半から海外への投
貌するであろうし、中小企業にも直接
力ある金融商品・サービスを効率良く
化が進んでいるが、それは信金業界に
資が膨らんだが、その時は資産運用の
金融が浸透していく可能性がある。信
提供することが重要となる。
どういう影響を与えるのだろうか。
投資が主であった。最近は生産拠点を
金もこうした変化に対応していく必要
都銀などのリテール戦略が強化され
年齢階層別の貯蓄率を見ると、米国
アジアに移すなど海外生産比率が高ま
があるが、現在、57金庫が私募債の受
つつあるが、信金の強みである地域情
の貯蓄率は45∼54歳をピークに低下す
り、98年度は13.8%に達するなど「モ
託業務を行えるようになっている。今
報、顧客情報の優位性を確保できれば、
るのに対し、日本は60歳以上の上昇率
ノ」のグローバル化が進んでいる。一
後、中小企業の直接金融化に備えて、
おそれることはない。
が顕著である。信金は、個人世帯取引
方、金融のグローバル化も進展してい
これらの業務をさらに拡大していく必
*収益・リスク管理の高度化
のうち51歳以上の高齢者世帯との取引
る。日本のアジア諸国向け与信額は、
要がある。
が50.6%と業態間で最も多く、高齢化
大幅に減っているとはいえ、98年12月
また、東京都では、信用金庫が中小
金利をベースとした収益管理手法によ
社会の到来に向けて有利な状況にある
末で計1,540億6,500万ドル(約16兆円)に
企業への貸出債権をしんきん信託銀行
る収益構造の把握、信用リスクの管理
といえる。
安定した収益の確保のために、市場
達している。米国においては272億
へ譲渡し、その債権をまとめて担保と
および流動性リスクの管理など、さら
しかし、今後とも高齢者にとって魅
8,600万ドルに過ぎず、日本が圧倒的
し、SPCが債券を発行し、投資家に販
なる収益・リスク管理の高度化を図る
力的な金融商品をいかに提供していけ
に多い。信金の取引先である中小企業
売する構想を打ち出した。
必要があろう。
グループ討論要旨
良債権処理の見直しに苦慮している。
外での情報の共有化と一元化、コミュ
の充実・質的向上を目的としたシステ
また、都銀などの戦略転換による他
ニケーションの確立の必要性が意見と
ム化を手掛けている事例が紹介された。
金融機関との競争が激化していること
して提起された。また金庫内部の課題
今後の展望としては、信用金庫の経
体質強化と地域内競合への方策として、
業務提携と再編についても討議
から、相変わらず厳しい経営環境に直
として、余資運用ポートフォリオの強
営環境は地域によって異なるものの、
4グループに分かれ、約2時間にわた
面している。このような状況の中で、
化によるリスク管理の徹底、人事制度
それぞれの地域における信用金庫の位
って活発な意見交換が行われた。その
信用金庫が生き抜いてゆくためには、
改革・人員削減による効率化などの人
置付けを改めて見直し、地域内での信
内容を抄録して紹介する。
どのような方策が必要であるかに意見
事面での施策についても議論がなされ
用金庫同士の業務提携・再編による経
信用金庫業界の地盤を取り巻く環境
が交わされた。その内容としては、顧
た。さらに来るべきペイオフ解禁の際
営効率化やコンピュータの共同利用に
は、地価の下落、地場産業の不振によ
客とのヒューマンタッチの大切さを再
に懸念される顧客離れ対策についても
よるコストメリットの検討なども見据えた
る取引先の経営状況の悪化に歯止めが
認識し、元来の信用金庫としての強み
意見交換がなされ、具体策の1つとし
上で金庫経営を執り行っていく必要が
かからず、2次ロス・3次ロスに伴う不
を発揮することの重要性、また金庫内
てIT(情報技術)の活用による顧客管理
あるといった意見が多く聞かれた。 UN
6
2000年2月1日第466号
ユニシス・ニュース
2000年2月1日第466号
サービス
アドバンスト・コンサルティング・サービス(27)
企業変革を支援する
ABC/ABM(活動基準原価計算/活動基準管理)
日本ユニシス株式会社
アドバンストコンサルティンググループ シニアコンサルタント
ビジネス・プロセスと企業変革
図2 ABC/ABM(活動基準原価計算/活動基準管理)の枠組み
従来のデータの流れ
近年ビジネス・プロセスの重要性が
が役に立つ。レベル4ではプロセスの
認識されている。ビジネス・プロセス
指標や尺度を設定する必要があり、バ
を確立するとプロセスの品質の差が競
ランス・スコアカードが有効である。ま
合力となる。より合理的で変化に対応
たプロセス測定・評価方法として、ABC
できるビジネス・プロセスが常に求め
(Activity Based Costing)、ベンチマーキ
られる。
ング、PM(Performance Measurement)
プロセス管理では、米国Software
財務会計
システム
業務プロセス・尺度
原価計算システム
(ABC計算)
EIS
・ABCパッケージ・ソフトウェア
・ERPのモジュール
・多次元分析
・プレゼンテーション
・レポーティング
人々
活動実績
データ
さらにプロセス管理の手法として、
(5段階で定義−レベル1:Chaos 混沌
会計分野から生まれたABM(Activity
税務・株主等
報告書
総勘定元帳
データ
業務
システム
などがある。
Engineering Instituteの「CMMモデル」
大野 浩史
意思決定目的
報告書
(戦略的ABM)
プロセスコスト
効率指標情報
(業務的ABM)
の状態、レベル2:Repeated 繰返し実施、
Based Management)、プロセスの品質
商品別原価を算出する。算出結果から
レベル3:Processedプロセス定義済、
管理分野から生まれたTQM(Total
顧客別、商品別採算がわかるので優
レベル4:Measured 物差しがあり測定
Quality Management)、ISO9000、シッ
良・不良顧客や非採算商品の発見が可
可、レベル5:Managed プロセスが適切
クスシグマなどを挙げることができ
能になる。
にコントロール)を適用することができる。
る。このようにビジネス・プロセスの
簡便な事例を示す。同一地域内の顧
企業変革において、その企業がプロ
レベルアップ手法はさまざま存在する
客X、Y、Zへの配送業務について考え
セス管理のどのレベルにあるかを把握
が、米国の先進的な企業ではこれらの
る。まず配送業務に関わる経費項目を
し、上位のレベルに上げるための企業
手法をうまく選択・組み合わせて企業
集約合計し、配送業務の総費用および
変革手法を用いることで、徐々に変革
変革を進めている。以下、この中の核
配送単価を算出する(表1)。次に顧客ご
を進める。例えば、レベル3ではプロ
心的技法であるABC/ABMについて説
との配送件数から顧客別費用を算出す
セスの確立が必要なので、BPRの手法
明する。
る(表2)。結果を見ると、表1の配送単
方式をとっているために同じ売上数量
ABC/ABM(活動基準原価計算/活動基準管理)とは
価から、1件当り自社配送が委託配送
に対して倍近い回数の配送を行わねば
の2倍コストがかかっていることがわ
ならないことが判明したと仮定する。
一般にABC/ABMは、日本では、ま
セスの発見や、同種プロセスのコスト
かる。表2では顧客Xと顧客Yが同回数
この場合は顧客Zに対して配送の集約
だ馴染みが薄く、会計分野の原価計算
比較に利用できる。次に同様の方法で
の配送(30回)を行っているにもかかわ
や配送手数料の徴収などを顧客と交渉
手法として捉えられているようである
アクティビティから原価対象(商品、
らずその費用がかなり異なっている。
することなどを対応策として考える必
が、米国では大手コンサルタント会社
顧客など)に再配賦し、顧客別原価や
配送業務の全面見直しを行って、委託
要があることとなる。
がこぞって企業変革の基本手法として
表1アクティビティ単価算出表
業務並みにコストダウンを行うか、委
以上のような例から、ABCによるプ
利用している。その理由は、プロセス
アクティビティ
託に切り替えるかの検討が必要であ
ロセス別原価計算が単に継続的な業務
る。
改善を進めるのみならず、戦略的な意
の視点のみならず、経営戦略に直結す
配送
(自社)
配送
(委託)
る財務の視点からビジネス・プロセス
コストプール
を眺めることができることが大きい。
人件費
300
−
設備費
100
−
業務委託費
燃料費
20
120
50
−
(図1)
ABCでは、まず財務実績データに基
づくリソース(総勘定元帳からのコス
トプール)をアクティビティ(ビジネ
ス・プロセスを構成する業務活動)に配
賦し、アクティビティ別
原価・単価を算出する。配
賦を正確に行うためドラ
さらに顧客Zは、売上高をみると顧
合計
470
配送件数
アクティビティ単価
100
120
50
4.7
2.4
顧客名 配送件数 配送件数 配送費用① 配送費用② 費用合計
(自社)
(委託) (①+②)
(自社)
(委託)
イバー(配賦基準:人件費
の配賦であれば作業人数
や処理時間など)を利用す
る。算出結果からプロセ
ス別原価・単価を把握でき
るので、コスト要因プロ
X
Y
Z
20
10
24
94
118
売上
合計
1,800
(20×@4.7) (10×@2.4)
30
141
―
―
141
1,800
(30×@4.7)
50
235
40
96
331
2,500
(50×@4.7) (40×@2.4)
図1 ABC(活動基準原価計算)のコスト把握の仕組み
リソース
(総勘定元帳からのコストプール)
総
勘
定
元
帳
デ
ー
タ
売上原価
アクティビティ
(プロセス・業務コストプール)
原価対象
(管理対象別コスト)
商品別採算
商品
調理
p
q
r
配送
販売費および
一般管理費
顧客別採算
顧客
事務
X
Y
Z
営業
リソース・ドライバー
アクティビティ・ドライバー
(コストプールを活動・プロセスに配賦) (プロセスコストを原価対象に配賦)
思決定にも利用できることがわかる。
客X、Yに比べて約1.5倍であるが、配
ABMではこの仕組みを利用してマネ
送コストは約2倍かかっており、より
ジメント・サイクルを回し、プロセス
詳細な調査が必要である。調査の結果、
管理レベルを上げながら業務変革を進
顧客Zがジャスト・イン・タイムの発注
めていく。
(図2)
現実的な企業変革ツールABC/ABM
企業変革を進めるためのプロセス関
表2 顧客別費用算出表
図3 ABCソフトウェア Oros(ABCテクノロジー社製)
法になっている。
連手法は米国生まれのものが多いが、
日本ユニシスはこの分野で最新の技
一番日本の企業風土に根づきやすく、
術とNo.1のソフトウェア販売シェアを
変革を進める具体策を生み出しやすい
持つABCテクノロジー社と提携して、
のはABC/ABMであると考える。その
当年度よりABC/ABMのコンサルティ
理由は現業部門を巻き込んだ全員参加
ング・サービスを金融企業などに実施
型のコスト把握がABCの本質であり、
しているが、業種に限らずマーケット
従来日本の製造現場で行われてきた品
が広がっている。コスト削減が課題の
質改善活動と同質である。また導入時
物流業や流通業での導入検討も進んで
は小プロジェクトで始めても、マネジ
おり、今後問い合わせが増えると思わ
メント・サイクルを回しながら継続的
れる。また本社部門や営業部門などを
改善を通して次第に適用範囲を拡大す
対象としたホワイトカラーの生産性向
る方法をとることができるのも馴染み
上やBPRなどにも大いに効力を発揮す
やすい。
る。日本の現在の状況を打破するため
さらに最近は、プログラムを作成し
には最適のツールである。
(図3)
なくてもモデルにデータさえ入れれば
興味を持たれた方は日本ユニシス
ABCの複雑な配賦計算を自動計算する
アドバンストコンサルティング部まで
ABC専用ソフトウェアの販売も始まっ
お問い合わせ願いたい。
た。パソコン版を利用すればABCを手
*Eメール[email protected]
UN
軽に始めることができ、より身近な手
7
CAD/CAM最新動向
トヨタ自動車
統合CAD/CAM/CAEシステムを構築
トヨタ自動車株式会社
システム開発部 主査 緒形 義則氏
簡単に行えるパラメトリック・エンジン、設計に密
全社的なプロセス改革で、さらなる開発期間短縮を目指す
着した機能と操作性を実現した各アプリケーション
の3層からなるハイブリッド・モデラーを実現してい
今、自動車業界は、「新車開発力強化」と「グロー
る。これによって、従来の操作性を維持しながらソ
バル化」の大きな変革の波にさらされている。良い
リッド・パラメトリックを使った新しいアプリケー
車をコスト競争力を保ち、いかに早く市場に投入す
ションを構築できる。
るか、世界的レベルでの企業の合従連衡に伴う大競
③並列幾何エンジンの採用
争時代にいかに対応するかが、重要な経営課題にな
スタイリング・アプリケーションは、CADCEUS
っている。
とSTRIMのライブラリが併存しており、機能実行時
こうした経営課題に対する1つのソリューションと
に両者がシームレスに動くようにダイレクト・デー
して、新車開発の基幹システム「統合CAD/CAM/
CAEシステム」を開発し、従来の分野最適であった
タ変換機能を持たせた。
統合CAD/CAM/CAEシステムを全面適用した「セリカ」。
統合CAD高精度レンダリング機能にて作成された画像。
個別システム群を完全に再構築した。合わせて、
④アセンブリに基づくコラボレーション支援機構を
サポート
個々のプロセス改革だけではなく、全社的なプロセ
ム、さらには特に外形スタイル用の高精度・高品
アセンブリを中心として各部品の設計が行え、ア
ス改革ビジョンを確立し、新車開発期間の画期的な
質の曲面をモデリングできる最先端の強力な3次
センブリでの寸法変更は、パラメトリック再生によ
元モデリング機能を提供する。
り自動的に部品形状の変更に反映でき、その逆も可
短縮を目指した。
④計算機シミュレーションの領域拡大
プロセス改革ビジョンをシステムに反映
従来から行ってきたシミュレーションの適用領域
をさらに拡大する。
であり、どの部署からもアクセスでき、日々の設計
CADCEUSを基盤に独自機能を付加
①初期段階に開発工程全般にわたる広範囲のエンジ
ニアリング上の検討を充分に行い、後工程での
手戻りを防止する(フロント・ローディング)。
②部署間のタスク、権限を整理し、部署間での重複
作業を見直しシンプルな工程にする。
⑤大規模クライアント/サーバ・システム
システム構成は、クライアント/サーバ・システム
システム開発に向けて、次のような4つの改革ビ
ジョンを設定した。
能な仕組みとなっている。
結果は、各部署のサブネットに設置したローカル・
サーバに蓄積され、承認後基幹サーバに長期間格納
前述のような要件に対応できる市販CADは存在
される。また、ボデーメーカー、サプライヤからの
せず、また市販CADを採用してもカスタマイズす
データ・アクセスは授受サーバを経由してダイレク
れば、それは作り直しと同じであることから、内製
トに行える。
開発とした。プラットフォームについては、ソリッ
③コンカレント・エンジニアリングを強化する。
ド設計、パラメトリック設計など最先端技術を採用
④紙によるデータをデジタル・データに切り替え、
している日本ユニシスの統合CAD/CAMシステム
データ基準で業務改革を行う。
「CADCEUS」を採用した。また、高品質な曲面生成
これらの改革ビジョンを具体化するために、以下
が可能な点から、ライブラリとしてフランス・シジ
最先端CAD/CAM/CAEシステムを実現
する強力なアプリケーション群
統合CAD/CAM/CAEシステムの全体像は図2に示
の点を開発コンセプトとして掲げた。
グラフ社の「STRIM」を採用した。こうしたプラッ
す。その主な特徴は以下のとおりである。
①垂直統合/水平統合によるコンカレント・エンジニ
トフォームを採用し、当社の独自性(機能、ノウハ
①スタイル設計
アリングの実現
ウ)を考慮し、カーネルレベルを拡張した。
車両開発に必要なすべてのアプリケーションを
1つのシステムに統合し、各部署の設計者が単一の
統合CAD/CAM/CAEシステムの特徴
データベースをもとに設計作業を行い、それがサプ
ライヤとも連携していく仕組みにする(垂直統合)。
同時に、車両開発に必要な設計、情報検索、解析、
OA業務などさまざまな業務を単一の環境で相互運
用できるようにし、部署間でのコンカレント・エン
ジニアリングを推進する(水平統合)。
タベースの一元化を図り、これらの各プロセス
に最適なアプリケーションを提供する。
1991年にシステムを企画し以後開発に着手、94年
からボデー系、97年にスタイル系に適用、99年には
従来システムを完全に切り替えた。
また、グローバル展開については、日・米・欧・ア
新車開発プロセスへの適用により、開発期間はス
タイル確定後24カ月から18カ月に短縮している。
統合CAD/CAM/CAEシステムの主な特徴として
③線、面、ソリッドが扱えるハイブリッド・システ
は以下の点が挙げられる。
①モノづくりのノウハウと技術を
図1 次期システム・コンセプト
統合化対象プロセス
スタイル
デザイン
ボデー設計
型構造設計
企画
型製作
パワートレーン設計
型設計
設備設計
ロボット
については、十字/H型/ロ型、それに対してプレス
型鉄板のスプリングバックを考慮したオーバークラ
ウンの機能を備えている。
*金型直彫り可能な高品質・高精度曲面の生成
曲面接続機能として、G2だけでなく、必要に応
じてさらに高いG3、G4を使って、曲率、ハイライ
スタイル・デザインから、ボデ
線の位置精度が1000分の1、角度精度が100分の1、
ー設計、ワイアハーネス、パワ
さらに曲率段差が3%ということで、意匠系市販シ
ートレイン、シャーシ、解析、
ステムでは実現できていない高精度の曲面を生成で
ダイフェース、ダイ構造、NCま
きる。
でのアプリケーションを含んだ
*大型フラットカラー高解像度ディスプレイ
統合システムである。
CRTは完全フラット画面で、対角32インチ。エン
ジン仕様は1200万ゲートのASICを搭載し、基本性
の実現
能は400万ベクトル、400万ポリゴンで、エンジニア
線、面、ソリッドを同等に扱
リング環境には最適である。
作をパラメータ化し形状変更が
2000年2月1日第466号
線については、強力な曲線生成機能群(点/接線/
曲率拘束曲線、カーブ定規)が用意されている。面
ト連続を保証している。また、高精度という面では、
える幾何エンジン、すべての操
8
スタイル設計の特徴は以下の点が挙げられる。
*豊富な直線、曲面生成機能
集大成した体系
②3階層のハイブリッド・モデラー
工程設計
タ基準プロセスへの移行をサポートすることであ
る。
ジアの4極拠点へ配備中である。
②統合化対象プロセスを図1のように設定し、デー
新システムでのスタイル設計の狙いは、現在のク
レイモデル基準プロセスから数学モデルによるデー
*クレイモデル・インタフェース
クレイモデルの情報をCADに反映させるために、
ユニシス・ニュース
2000年2月1日第466号
大量の点群から面を生成する機能を提供している。
をサプライヤに提供しているが、エンジン回りのケ
*3階層高性能レンダリング
ーブル通過経路を3次元でチェックできるようにな
できるだけ画面上で形状を判断できるようにする
り、事前の検討で、ケーブル干渉問題が精度良く検
ため、ハードウェア、ソフトウェアを駆使し3階層
討できるようになった。
の高性能レンダリング機能をサポート。静止画だけ
④解析
でなく、動画も組み込んでおり、面品質評価、意匠
特徴は、ワイヤフレームから自動メッシュができ
検討、カラー・バリエーションの検討、プレゼンテ
る点にある。メッシュングは番線方向にできるため、
ーションなどに活かしている。
別々にメッシュングしたものを容易に結合できる。
こうした高機能CGを宣伝・販売活動にも活用して
溶接スポットの情報からメッシュを自動結合して最
いる。例えば、ラインオフ以前に画像を販売・宣伝
終の車両モデルを完成させる。それに対して衝突、
部署に提供して、カタログ作成や拡販の戦略立案に
振動、強度などの解析を一挙に行うことができる。
役立てるよう準備を進めている。またインターネッ
⑤型設計
宣伝販売向け画像作成事例
余肉、しわ押さえ面を考慮したプレス型ダイフェ
トからのダウンロードも考えている。
②ボデー設計
ース設計のための専用機能を提供している。これは
る。精密加工しているため、仕上げは、ほとんど不
要である。
ボデー設計分野では、意匠モデルをもとに、2次
面モデルなので、解析工程にデータを流して、どこ
構造部は、基本的にソリッドベース・モデリング
元と3次元の世界を行き来しながら、パッケージン
が割れやすいかをシミュレーションし、その結果を
のため、干渉がなく品質の高い加工が行われている。
グ、構造、機構、強度/剛性などの検討を行う。統
また設計に反映させる。これによって、実際の型を
⑧パワートレーン
合CADにはそれらを容易に行うための、2次元/3次
手直しすることなく設計を進めることができる。
元連携機能や、各種の自動車設計に特化した専用機
⑥型構造設計
能が備わっている。
ユニット系部品の開発は、従来は図面ベースで行
われていたが、統合システムを用い、3次元のソリ
統合システムによって、加工属性をつけた製品と
ッドデータを、設計、解析、型、加工の各工程で有
型設計・製作工程に完成度の高いデータを提供す
型構造一体のモデルを作れるようになった。統合シ
効活用することにより、品質向上と期間短縮が可能
るためのデータ整備機能も強化しており、自動フィ
ステムはソリッド・パラメトリック機能の強化、標
となった。
レット(角に丸みをつけること)板裏一括作成(表の面
準構造リブラリ、製品形状とダイフェース形状との
に対して厚みを持たせた板裏を一括で作る)により、
一体検討が可能などの特徴がある。
モデラーで、共同設計、大規模アッセンブリ、自動
従来に比べ大幅に工数を削減できるようになった。
⑦型製作
図面化機能や精密な型モデルを作成するための強力
コンカレント・エンジニアリングの観点からは、
NC加工には広範なノウハウが必要であり、加工
データ整備が完了する以前から後工程との共同作業
ノウハウ・データベースから切削条件を自動的に選
が始まるわけで、そのため最近では、自動面張り機
択して最適な工具軌跡を算出する。
能やデジタル・アセンブリツールを使って、面での
統合システムは完全パラメトリックなソリッド・
なフィレット/勾配面機能を提供している。
⑨シャーシ
サスペンションの動的挙動解析、パラメトリック
特徴は算出された工具軌跡が極めて高精度である
設計・解析、また、配管/ホースレイアウトなどの専
エンジニアリング検討ができるようにしている。
ため、NCマシンのスピードを上げることが可能と
用特化機能も提供している。
③ワイヤハーネス
なり、型切削の時間短縮、効率化に寄与しているこ
⑩デジタル・アッセンブリ
これは電気回路・経路・通過経路あるいは電気性能
とである。また、加工パターンを豊富に用意し、等
フロント・ローディング実現のために、設計初期
をシミュレーションするアプリケーションである。
高線加工などを使って仕上げを極力少なくする切削
からの部品構成リストをキーとして、統合CAD上
まず電気回路を設計するが、多種のオプションのた
を可能にしている。
で設計者自らが、複数の部品を重ね合わせて、部品
めの電気回路設計も多重的にサポートできる。最終
曲面加工では、工具軌跡に曲線表現を採用してい
間の整合性・干渉などを確認しながら設計を進めて
的には性能シミュレーションを行った後に、製品図
るためマシン・スピードを従来の2倍にアップしてい
いく。また、統合CADは、市販システムベースのVCommに直結しており、製造の立場からコンカレン
図2 統合アプリケーション全貌
トに、サービス性・組み立て性などを検討できるよ
うになっており、見つかった問題点は、早いタイミ
イングで設計にフィードバックさせることができる。
FEA
WH
今後の展開
①社内適用領域の拡大
ボデー
スタイリング
ダイフェース
ダイ構造
NC
適用領域の拡大には、周辺プロセス・サポートの
ための機能強化が必要。オープン化して市販システ
ムとの結合性を向上させ、プラグインを実現したい。
レイアウト
②統合システムのファミリ拡大
パワートレーン
グローバル化に向け統合システム・ファミリ(統合
システム「cælumⅡ」)のシェアを拡大したい。そ
のためには、PC版の提供と周辺機能の強化を行う。
③さらなる期間短縮、効率化
ドライブトレーン
モデリング手法の開拓(設計ナビゲーション、パ
ラメトリック設計の領域範囲拡大)やデジタル化の
推進(デザイン・プロセスの完全デジタル化、設計・
シャーシ
製作のさらなるコンカレント化)を進める。
(ユニシス オンネット・ソリューション・フォーラム’
99より)
UN
9
CAD/CAM最新動向
製造業のグローバル展開を支援する
3次元統合CAD/CAM/CAE/CGシステム
「CADCEUS」の海外展開
日本ユニシス株式会社
I&Cシステム部 CADCEUS海外展開プロジェクト 主席技術主幹 大高 晢彦
世界のニーズに応える
同年10月にサポートセンター「CADCEUS Support
Center US」をデトロイトに開設した。翌年3月には
グローバル化が進む中、製造業では世界を視野に
納めた最適地調達・最適地生産が進められている。
全米に販売網を持つIST社と提携し、ショールーム
も開設した。
自動車メーカーに見られるように、世界的な規模で
99年3月に米国での1号機をTRAMから、8月には
再編成も進行するなど国際化は急速に進展してい
現地大手金型メーカーHercules社から相次いで受注
る。CAD/CAMシステムなどの製造業を支える情報
した。さらに、現在、GM、フォード、クライスラ
システムも今や世界が市場であり、世界的に流通で
ーなど米国大手自動車メーカーおよびトヨタ、ホン
きることが要求される時代となった。
ダなどの海外現地法人からも高い評価を受け、導入
こうした動きに応じ、当社も3次元統合
CAD/CAM/CAE/CGシステム「CADCEUS」(キャド
検討が行われている。
また、オークマアメリカ社との販売協力により、
シアス)の欧米、アジアを網羅したサービス網の展
米国、欧州を中心に工作機械とのセット販売も予定
開を着々と進めている。
されている。
CADCEUSは、当社の永年にわたるCAD/CAM分
野での経験と研究をもとに自社開発した国産唯一の
CAD/CAM/CAE/CGシステムである。
99年12月開催の欧州最大規模の展示会
「Euromold’
99」出展風景
寄せられている。
◆ 欧州:学術研究機関、大手自動車メーカーから
「CADCEUSは大域オフセット、大域フィレット
高い評価
など強力な自由曲面の大域制御機能を有しており、
欧州では、98年から学会活動と並行して大手企業
豊富な機能群と併せ、Body in Whiteの設計に極めて
CADCEUSは、91年に発表、ソリッド設計やパラ
へのアプローチを開始し、本年3月にサポートセン
有効である。また曲面モデルとソリッド・モデルの統
メトリック設計などの新技術を採用し、これまでの
ター「CADCEUS Support Center EURO」をミュンヘン
一した操作環境を可能にしたハイブリッド・モデリ
CAD/CAMシステムの壁を打ち破る画期的な数々の
に開設し、現地ドイツ企業“ConWeb社”と共同で
ングは時代の要求を満たしている」。
機能を盛り込んでいる。さらに発表以来、パソコン
サポート体制を整備する。ドイツのISK社、
◆ アジア:サポート体制を全域に拡大
版の開発、ソリッド機能の高度化、CAM自動化の
WICAM社、スペインのDeltaCAD社を代理店として
アジアの場合は日本企業の進出が多いこともあ
強化、協調設計支援機能の充実、業種別アプリケー
主にドイツ、スペインでの販売活動を展開、今後は
り、日本企業からの導入要請が多く、早くからサポ
ションの充実を図ってきた。
イタリア、フランス、イギリスへ進出を図っていく。
ート体制の整備を進めてきた。具体的には、96年3
トヨタ自動車の全社統合CAD/CAMシステム
欧州では、単に展示会に出展するだけでなく、ア
月にタイのNSS社を代理店として業務を開始、続い
“TOGO”のベース・システムとして採用されたこと
カデミズム分野への研究論文の提出、技術者、研究
て、台湾、韓国にも現地代理店を通じて販売活動を
をはじめとし、自動車メーカー、金型メーカーなど
者との交流などの広範な活動を積極的に行い、ベル
展開してきた。99年4月には、「CADCEUS Support
導入実績は約600社・10,000シートにのぼっている。
リン工科大学、ダームシュタット工科大学など学術
Center ASIA」(東京)を開設し、タイ、台湾、韓国に
また98年には、(財)ソフトウェア情報センターが主
研究機関からも高い評価を得ている。
加えて、香港、シンガポール、マレーシア、フィリ
催する第10回平岩賞「ソフトウェア・プロダクト・オ
ブ・ザ・イヤー’
98」に選ばれている。
例えば、ベルリン工科大学は6カ月にわたって
ピン、中国にも代理店を確保し、アジア全域で活動
CADCEUSの評価作業を行い、次のようなコメント
こうした実績を持つCADCEUSの世界規模の展開
を展開している。
を寄せている。
また、サポート体制強化のために、中国の大連理
の使命は、海外でも広くCADCEUSの知名度を上げ
「CADCEUSは特徴的なハイブリッド・モデリング
工大学内に「大連国際金型研究教育中心」を開設し中
ること、および海外進出を行っている日本企業が安
機能、および広範な非パラメトリックやパラメトリ
国での金型産業振興を支援しているほか、JICA(国
心して現地でCADCEUSの導入、サポートを受けら
ック機能を有する卓越したシステムである。またシ
際協力事業団)を通じフィリピン金型学校、タイの
れる体制の整備である。
ステムの各機能を統一したユーザ・インタフェース
BSIDへの導入など、アジア各国での技術力向上に
特に、生産量で世界の4割を占める日本の金型産
のもとで扱えるというシステム全体のコンセプトも
寄与している。
業、3割を占める自動車産業の中で鍛えられた専用
首尾のものであり、欧州顧客のニーズへの対応を図
機能の豊富さと高い稼働実績を持つCADCEUSは海
ることにより、欧州のCAD市場で大きなシェアを
外市場でも充分実績を上げ得るプロダクトであると
獲得する高い可能性を有している」。
自負している。
今後の展開に向けて
一方、自動車メーカーからは、フォルクスワーゲ
こうした観点から、日本企業で培われたノウハウ、
こうした展開により日本を除く世界各国での導入
ン、BMWなど大手自動車メーカーから高い評価を
実績は、100シートを超えている。
実績をベースに自動車業界を中心とした関連産業、
受けており、フォルクスワーゲン社からは、2カ月
今後は、CADCEUSの英語版、日本語版に加えて
金型業界を主な対象マーケットとして海外展開を進
にわたる評価結果について、次のようなコメントが
韓国語、中国語版を本年3月に完成させ、続いてド
CADCEUSの海外ネットワーク
イツ語版、スペイン語版も検
めている。
世界4極体制の確立
世界4極体制の海外ネットワークを軸に
現地主義を貫く
海外展開に当たっては、米国、欧州、アジアの日
本を含む世界4極サポート網を確立している。
(図)
また、三井物産(株)の全世界のネットワーク網を
活用して、現地国に専門代理店を確保し、現地で、
現地要員により、現地語でサポートできる体制を確
立し、現地主義を根底においた活動を展開している。
各国での活動状況は以下のとおりである。
◆ 米国:自動車・金型メーカー中心に成果を上げる
98年9月、CAD/CAM/CAE分野で世界最大規模の
展示会「Autofact’
98」への出展を機に活動を開始し、
10
2000年2月1日第466号
直営サポートセンター
現地代理店
公共教育施設
CADCEUS Support Center
EURO
中国・大連市
(Munich)
大連国際金型研究教育中心
ドイツ
中国・香港
ISK社、
WICAM社 PDA Numac(マレーシア)
スペイン
DeltaCAD社
Ti-tech(タイ)
CAD-IT(シンガポール)
Techno(フィリピン)
RP Tech(中国)
日本
I&Cシステム営業第1本部
エンジニアリング営業部
全体支援
韓国・ソウル市
Nissin Korea Co.
Seook Engineering Co.
制の一層の強化を進めていく。
また、教育活動の充実を期
し、各代理店内に地域ごとに
CADCEUS Support Center
US
(Detroit)
IntegratedSystems
Technologies,Inc
台湾・台北市
Eumatech Co.
CADCEUS Support Center
ASIA
タイ
(東京)
BSID(タイ金型訓練学校)
タイ・バンコック市
New System Service Co.
討しており、現地サポート体
フィリピン
MIRDC(フィリピン金型訓練学校)
OkumaAmerika,Co
教育センターを順次開設し、
現地語による教育を進める予
定である。
さらに、よりきめ細かいサ
ポートを提供すべくサポート
センターを核に、リセラー・サ
ービスの強化、対応窓口の整
備を進めるとともに、代理店
網を充実していく方針である。
UN
ユニシス・ニュース
2000年2月1日第466号
IT 最前線
インターネット・コマース・ソリューションの実現に向けて
日本ユニシス株式会社
ソフトウェア事業部 インターネットコマース室長
川波 隆
インターネット時代が幕を開け、今やネットという言葉を聞かない日はなくな
商品の販売を行う店舗よりもMROの
った。日本では1,600万人のインターネット利用人口、企業での普及率も90%を超
方が先に成功していたといわれる。こ
インターネットを使って電子情報を
え、インターネットをビジネスとして利用することが当然のこととして受け止め
のシステム形態としてはB to Cで使用さ
やりとりすることで、受発注/調達/購
られる環境ができあがった。
れるモールの方式を取るケースが多い。
買等の業務を実現する。
● B to Bのモデル
*企業間−企業消費者間融合モデル
企業がインターネットを使った電子商取引をインターネット・コマースという。
この商取引は先行メリットが大きい。特に発案から半年以内、できれば3カ月以
上記アプリケーションを実現するた
内で取引を開始したいという要望が一般的になってきている。
そのためインターネット・コマースの実現には、ソリューションの持つ成功率を
活用することが最も重要なことといえる。すなわち、受発注にしてもコミュニテ
ムが収集する情報を、企業間で共有・
日本ユニシスでは以下のモデルを準備
有効活用し、より効率的で全体最適な
し、早期の構築を支援している。
業務遂行を実現する。
B to C(Business to Consumer)の形態
利用技術が、かみ合ってこそ、真のソリューションが実現できる。
ここでは、インターネット・コマース・ソリューションの実現に向けて、ECの利
B to CのECでは次の点が企画、運用
用形態について述べるとともに、ECのモデルについても紹介する。
段階で重要な検討事項となる。
*顧客との長期的なリレーションシッ
B to B(Business to Business)の形態
プの構築を目指し、最大限顧客の利
B to Bソリューションの実現にあた
行う。
益を考えた情報、サービスの提供を
30%削減し、調達プロセスの所要日数
が3週間から半分の1.5週間になった事
①自社および関連取引企業にて投資を
企業−消費者間で実現されたシステ
めのソリューション・モデルとして、
ィの形成にしても、成功のためのノウハウを持っているアプリケーションとその
って、次の2つの選択肢がある。
*受発注/調達/購買モデル
タなどのデジタル・データ販売
その他、今後も予想外の利益構造が
次々に打ち出されている。
● B to Cの利用形態
B to Cの代表的な利用形態として
BTO(Built To Order)がある。
*インターネットの双方向コミュニケ
BTOとは、製造業などが直接販売方
例、また、多数の供給元による入札で、
ーションの利点を生かし、売り手と
式を導入し、企業と消費者の関係を変
行い、独自にB to B システムを構築
有利な価格での調達が可能になり、原
顧客がお互いに影響を及ぼし合う情
へ企業活動の効率化を図るシステムで
する。
材料調達コストが5∼20%削減された
報のやりとりを実現する。
ある。インターネット・コマースの店
②従来のVAN業者、プロバイダなどの
事例も報告されている。
*インターネットを経由してデータベ
舗を必要としないという特徴を生か
企業が提供するサービスを利用する。
我が国でもB to Bを用いた調達シス
ースに蓄えられた顧客のプロファイ
し、製造業者が直接消費者に商品販売
B to B 構築の目的である業務の合理
テムを導入する企業が出始めている。
ル(顧客情報)を検索、分析、マイニ
を行う。このような直接販売方式の導
化を最大限に実現する方策として、現
原材料調達先企業とエクストラネット
ングの対象とする。
入は、販売時の中間コスト削減をもた
時点および将来の調達・販売・物流戦
を構築し、受発注データを相互にやり
*Webサイト訪問時の個別画面表示
らすとともに、消費者の注文を受けて
略、企業間関係といった視点からの検
取りしているケースも見受けられる。
(パーソナライズ)、おすすめ商品情
から製品を生産する受注生産を可能に
した。
討が必要となる。
このシステムでは、買い手1社のみ
報表示、購入履歴に基づく特典とい
インターネットを通じて多くの企業
が複数の原材料供給元と購買業務を行
った方策にて顧客の関心を保ち、継
が資材調達の商談の場に利用できる開
うこともあるが、双方のメリットが出
続的に売上を獲得する。
は、自分の必要とする仕様の製品が注
放型のネットワーク・サービスが日本
てくるのは複数の買い手が業種グルー
さらに重要なのはECビジネスにおい
文可能になることや、安い価格で購入
で始まった。これまで特定の企業同士
プとして、共同利用する方である。供
て収入源を明確にすることである。そ
できることにある。一方、製造業者に
によるネット取引が中心だったが、あ
給元が自然に増え、買い手にとって有
の収入源とは一般的に次のことである。
とっては、在庫を常時抱える必要がな
らゆる企業が自由に参加できる開放型
利な購買が可能となるからである。
*サイト上の1部分を広告スペースと
くなるため、在庫管理コストを低く抑
のシステムが実現できれば電子商取引
● B to B最終消費財購入(MRO)
して広告主に提供し、広告料金で収
えることが可能になり、また常に最新
入を得る
の製品を販売できるようになる。
をさらに拡大することが可能となる。
MRO(Maintenance, Repair and
B to Bの戦略的観点では、複数企業
Operation)とは、企業が経費や間接費
*サイト上のページや、フォーラム、
を巻き込んだSCM(サプライチェーン・
として支出する最終消費財購入のこと
イベントなどにスポンサーをつけ、
マネジメント)の構築ができることに
である。利用部門は、文具、書籍、パ
ある。最終的には、キャッシュフロー
ソコン関連商品、オフィス家具など中
*製品カタログを掲載し、これを見た
経営が実現できるからである。
間投入にならない支出部門である。現
客先から注文を受け製品を販売する
そのスポンサー料を得る
消費者にとってのBTOのメリット
● B to Cのモデル
ソリューション・モデルとして、日
本ユニシスでは以下の3つのモデルを
準備し、早期の構築を支援している。
①Shop経営モデル
このSCM成功のためには顧客から
在、MRO分野での企業向けインター
*証券売買、オークション、旅行予約
中規模企業において、自社コマース
の発想が十分に盛り込まれている必要
ネット・コマースの成長が著しい。米
サービスなどに対し、売買に関する
サイトの構築を実現するすべての機能
がある。販売動向、適正在庫といった
国では、企業から一般消費者に対して
手数料を得る
を主にパッケージを利用し実現する。
生産に関わる要因はすべて顧客から得
コマースサイトにおけるシステム連携イメージ
られるので、顧客とのリレーション確
物流
立のために、顧客指向型マーケティン
グ、すなわちOne to One マーケティン
グの実践が不可欠となる。代表的なB
*出店手数料
コールセンター
インターネット・ユーザ さまざまなインターネット接続機器
Webホン/PDA(携帯
情報端末)/iモード/
ゲーム機等々
決済
to Bの利用の例として、次の原材料調
達と最終消費財購入(MRO)がある。
● B to Bを用いた原材料調達
業務効率化や製造サイクルのスピー
ドアップを目的として、近年インター
ネットを利用した原材料調達システム
を導入する企業が増えている。
このシステムの導入により、原材料
調達の事務スタッフを60%、人件費を
(既定料金、
げ、顧客管理を中心としたOne to One
コミッション)
マーケティングの展開を実現する。
*消費者や商品
会費
Back End
Eコマース:Front
<要素技術>
・アクセス制御
・One to One(パーソナライズ)
・カタログ(コンテンツ)管理
・Search Engine
・ステータス管理(受注/納期/配送)
・帳票対応(ビジネス・ルール)
・コミュニティ生成 等々
イントラネット・ユーザ
・商品DB
・顧客DB
・売上DB 他
連
携
DB
・通販システム
・基幹業務システム/データ
ex.物流、在庫、与信、会計、
商品管理、顧客管理等々
ex.市況情報、共通知識データ
・顧客/売上分析など
・人事システム
連携
イントラネット・システム
大規模なコマースサイトを立ち上
売上に関する
提供者からの
Security(認証、暗号化、アクセス制御)
②ネット・マーケティング・モデル
*売り手情報の
オンライン化、
③マーケットプレイス・モデル
モール、オークションサイト、コミ
ュニティ組織運営などの各種ネット事
業を大規模展開するための総合的なソ
リューションを実現する。
掲載コンテン
今回はB to Bと、B to Cの形態につ
ツ作成料など
いて焦点をあてたが、その他にもC to
の作業料金
CやB to B to Cなど、さまざまな形態
*ソフトウェ
が出現している。
UN
ア、音楽デー
11
IT最前線
What's EC/CALS (
? 20)
日本ユニシスにおけるASP/CSP事業「asaban.com」
日本ユニシス株式会社
新事業企画開発部 市場開発室 EC担当課長
日本ユニシスは現在のコ
図1 asaban.com概要
ンピュータ販売、システム
日本ユニシスのお客様との
Eビジネス共同運用環境名
構築に加え、新しく
ーネットに接続できるPCとWebブラ
ソーシング先としての中立性を維持す
ウザさえあればサービスを受けること
るために、日本ユニシスの名称を使用
が可能なものである。
せずasaban.comの独自ドメインとして
ASP/CSP *1関連の事業を
また、ECビジネスにおけるアウト
日本ユニシスのお客様へ
Eビジネス運用環境自体を提供
2000年2月よりasaban.
com(図1参照)の名称にて開
asaban.comの各ビ
中立的なネーミング
今回はこの新しいサービ
(図3)
(1)ASP事業
●
当社関連ソリュー
テム・インテグレーション・サービスを
以外のIT投資/運用を専門ベンダに委
の機能レンタル。
レソ当
ンリ社
タュ関
ルー連
シ
ョ
ン
・
連アプリケーション
レソお
ンリ客
タュ様
ルー当
シ社
ョ
ン
・
達したEビジネス関
でまず始めてみたい」、コアビジネス
レA
ンS
タP
ル
ス
ペ
ー
ス
・
ビジネスを、「短期間かつ少ない投資
レE
ンC
タビ
ルジ
スネ
ペス
ー
ス
・
当社は、お客様の個別の業務の課題
解決に直結するソリューションとシス
お
協客
業様
事
業当
社
・
当社にて開発、調
ASP
Vertical Solution
Horizontal Solution
業
Community
種
特
化
Marketplace
事
業
・
ション・レンタル
asaban.com
CSP
・
多様なECビジネスのニーズに応えるために
図3 asaban.comの各ビジネス・ユニット
ジネス・ユニットは以
下のとおり。
ス基盤ならびに提供されるサービス概要について紹介する。
運用を行う。
asaban.comの事業概要
始することを昨年11月に発
表した。
野田 泉
サービス基盤
インターネット
OnNet Solutionな ら び に Solution
託し「主軸事業にリソースを集中させ
単独商品のみなら
Creatorsのもとに各種ハードウェア、
たい」というニーズが急速に高まって
ず、当社の長年のノ
ソフトウェアとともに提供してきた。
きている。
ウハウにより業務別に整理/選択し、
のさまざまな情報共有や指示、確認、
最適なものをセットした形でも提供す
報告などのコミュニケーション業務を
る。
インターネットを使って効率化しコス
今回、これまでの豊富なソリューショ
他にも昨今のECビジネスの隆盛に
ン製品群とインテグレーション・サー
次のようなニーズと、それに応える
ビスの経験をもとに、これから大きく
ASPサービスが発生している。
飛躍するECビジネスにフレキシブル
*ITへの投資、運用コストを長期に分
かつタイムリーに対応できるASP/CSP
サービスを展開する。
【電子キャビネット・サービス:
2000年2月事業開始予定】
内で初めて提供。本サービスにより、
従来にない独自の電子キャビネッ
建設プロジェクトの関係者は、独自の
ト・サービスを提供。ECビジネスに必
情報管理システムを構築することなく
散させたい
*ビジネスの変化へ早く、かつ柔軟に
ト・ダウンを実現するサービスを、国
須のモバイル利用、企業連携に対応し
プロジェクトの情報管理を行える環境
タセンターを主流とするコスト削減を
*常に最新のITを活用したい
たバーチャル・オフィスを実現。情報
を短期間に立ち上げることができ、工
主体としたものが中心であった。その
*ERPなど大規模な投資のからむITの
のコラボレーションを可能とする。24
期に応じて必要な期間のみ安価で安全
ような中、ベンチャー企業や複数企業
部分利用による評価実施とリスク低
時間365日世界中どこでも情報を入手/
なサービスの利用が可能。米国
の協業による新規事業参入など、EC
減を図りたい。
更新可能で、付加価値としての情報の
BricsNet社と提携し、同社のサービス
ECビジネス・モデル実現に必須のサービス基盤を提供
バックアップ機能も持つ。
「ProjectCenter(プロジェクトセンタ
asaban.comは認証、課金、決済、顧
コミュニケーション管理サービス」を
にも、業種特化サービスとして「大学
この他にも、日本ユニシスが主体と
客管理をはじめとするECビジネス・モ
皮切りに、当社が企画するCSPサービ
向けコミュニケーション・サポート・テ
なったCSPサービス事業を2000年中に
デル実現に必須のサービス基盤を提供
スも同インフラ上で同時開始すること
ンプレート」、「ISO9000取得テンプレ
複数個計画中。
し、その上にビジネス・モデルとして
としている。
ート」、「コンソーシアム運営テンプレ
●
従来アウトソーシングというとデー
対応したい
のアプリケーションを実装することに
料金体系も従来の月額制に加え、サ
よりお客様のECビジネスの簡易かつ
ービスを使用した分(時間、ユーザ数、
汎用のキャビネット・サービス以外
以降、商品ならびにサービスの内容
(図2)
トランザクションなど)の従量制の体
については順次発表予定。
系も検討中であり、基本としてインタ
●
お客様・当社ソリューション・レンタル
お客様や関連ソフトウェアハウス開
図2 ECビジネス・モデル実現に必須のサービス基盤
発のソリューション・ソフトウェアを
DBマーケティング
コール
センター
物流・
配送
商品
受け取り
顧客セグメント
受注予測
データ変換
セキュリティ
認証
ECビジネス・モデル
支払い・決済処理
金融・割賦処理
請求・税金処理
フルフィルメント管理
インターネット詐欺スクリーニング
課金処理
ロギング/レーティング/ブライシング/
ディスカウント/ポイント制/まとめ請求
Eビジネス・サービス基盤
システム運用管理 ・サーバ管理
・S/W管理
・流量制御
・バックアップ
しい活用の場を提供。
商品ならびにサービスの内容につい
ては順次発表予定。
ASPレンタル・スペース
●
メニュー管理
イントラ統合
お客様へアプリケーション・ホステ
ユーザ
マーケティング情報
2000年2月1日第466号
ECビジネス・レンタル・スペース
●
お客様のCSPサービス実現のための
スペースと基盤を提供。
◇
asaban.comは日本ユニシスが長年培
った経験と実績を生かした、大量、高
速で安全性に優れたビジネス・ポータ
ル・サービスで、当社の持つECビジネ
ス対応ソリューションも活用し、お客
様の持つ既存システムとのインテグレ
ーションも実現する幅広いサービスを
(2)CSP事業
行っていく予定である*2。
UN
業種特化事業:当社が企画し運営す
●
る事業
顧客関連情報
トランザクション
情報
プロジェクト・コミュニケーション管
理サービス:2000年4月事業開始予定】
建設プロジェクトにおける関係者間
12
サービスの内容については順次発表
予定。
ィングのスペースと基盤を提供。
【インターネットによる建設業界向け
課金情報
お客様と当社の共同事業としての新
たなサービス・ビジネスを開始。
ションのホスティングはもとより、サ
ービス商品の販売チャネルとしての新
VAN・EDI標準
メーリング
文書共有
(電子キャビネット)
検索
エンジン
サービス商品として商品化、ソリュー
顧客管理
お客様・当社協業事業
ート」などを順次提供の予定。
また、「建設業界向けプロジェクト・
早期の実現を図るものである。
ー)」を日本向けに最適化して提供。
[注]
*1 ASP:Application Service Provider
CSP:Commerce Service Provider
*2 asaban.comの詳細は
http://www.asaban.com/にて提供中
ユニシス・ニュース
2000年2月1日第466号
IT 最前線
ネットワーク技術の動向(7)
PCソフトウェアの流通に新たな販売チャネルを提供する
「U-net電子宅配サービス」
日本ユニシス情報システム株式会社
マーケティング部 マネージャ
日本ユニシス情報システム(略称UIS)では、EC関連サービスの1つとして、U-net
片岡 陽
ング・サイトも数多く出現している。そこでは、多くの商品・サービスが販売され
物品販売(パッケージ販売)と
オンライン販売(パッケージレス販売)の比較
ており、日本でも月平均売上が1千万円以上のサイトも多く出現している。99年
これまでデジタル・コンテンツの多
末の米国クリスマス商戦では、ネット上で買い物をした人は2,500万人で前年の
くは、回線事情(回線速度、通信料金
販売と違い、迅速な商品供給ができ、
2.25倍の70億ドルにも達し、Eビジネスが日常のものとなってきた。
など)や安全に配信する仕組みがなか
商品在庫を持つ必要がないことから、
電子宅配サービスを提供している。インターネットの普及・進展により、ショッピ
これまでソフトウェア(ここではPCソフト、ゲーム、動画、静止画、ドキュメ
サプライヤにとっては、パッケージ
ったことから、ネットワーク上での取
流通・販売コストが画期的に削減でき
ントなどのデジタル・コンテンツをいう)は、ほとんどがCD-ROMやFDなどの媒体
引は一部を除き行われてこなかった。
る。また、コンテンツやキーの確実な
で販売されてきた。ソフトウェアのオンラインによる販売は、回線速度が遅い、
このためデジタル・コンテンツ販売の
配送管理、ユーザサイドでの不正利用
安全に配信する仕組みがない、簡便な決済サービスが提供されていなかったなど
多くは、CD-ROMやFDなどの媒体を
の防止ができ、さらに特定地域での営
の理由で、ほとんど行われていなかった。本稿ではデジタル・コンテンツの電子流
通しての販売が主流であった。
業活動から一挙にネットワーク上へ商
通(オンライン販売)について、ESD(Electronic Software Distribution)対応を実現し
た、U-net電子宅配サービスの概要を紹介する。
U-net電子宅配サービスの概要
パッケージ販売とパッケージレス販
圏拡大もできる。
売は、コンテンツの制作までは大体同
また、当サービスでは、既存の販売
じであるが、流通・販売の形態は、大
チャネル上に新たなチャネルを提供す
きく異なる。
るものであり、これまでの販売チャネ
*パッケージ販売の問題点
ルを壊すものではない。パッケージ販
U-net電子宅配サービスは、物品販
限などの条件)などを設定する。この
CD-ROMによるパッケージ販売で
売に加え、PCソフトウェアの電子流
暗号化されたPCソフトウェアを販売
は、ゴールドマスタを作成し、必要枚
さらに、これまではオタメシ機能は
通を実現するサービスを提供している。
者側でサーバにアップロードし、販売
数分プレスして、ラベル貼付、マニュ
機能制限などベンダサイドで開発・対
当サービスは図1に示すとおり、U-
条件などを設定する。同時にストアフ
アル印刷、包装などパッケージングし
応しなければならなかったが、ESDの
netアウトソーシング・センターに設置
ロントとリンクをとり、利用者からダ
た後、流通経路に乗せて、店頭販売や
仕組みが解決してくれるので、ベンダ
したサーバ上で、電子モールやショッ
ウンロードが可能となる。
通信販売で最終消費者に販売する。消
サイドの販売促進の負荷が軽減され
費者は店頭で購入するか通信販売で取
る。そして、ベンダサイドの最大のメ
り寄せる必要があった。
リットは、これらをサービスとして利
プの構築支援とその運用およびPCソ
以降、利用者は図2で示すように、
売も共存可能である。
フトウェアの電子流通を実現するESD
①から順に開始し、商品を手元のPC
機能を提供する。
にダウンロードして試用することがで
また、商品が消費者に渡されたあと
用できることであり、アウトソーシン
お客様がすでにショップを立ち上げ
きる。利用者がこのPCソフトウェア
もライセンス管理などは一般にユーザ
グのメリットであるESD機能を持った
ている場合には、この既存ショップに
を購入したい場合、購入ボタンを押し
登録制であり、ユーザ登録しないとベ
自前サーバを持つことなく最新IT技術
ESD機能を提供することも可能であ
て決済(支払い)を済ませた後、ライセ
ンダ側では把握できない。さらにユー
を利用でき、ベンダは本来のコアビジ
る。U-net電子宅配サービスは、これ
ンスを有効にするためのアンロックキ
ザサイドの不正利用などへの配慮にも
ネスに傾注できる。
らのサービスの総称である。
ーを入手する。最後に手元のPCでラ
限界があった。したがって、これまで
*ユーザ側のメリット
イセンスを有効化し、以降製品版とし
のパッケージ販売では、必然的に流
次に、ユーザサイドのメリットにつ
て利用可能となる。
通・販売に多くの人手・コストがかかっ
いて述べる。これまでユーザは、雑誌
ていた。
の付録やwwwからオタメシ版(機能限
*ESDによるパッケージレス販売の利点
定版)を取り寄せて使った後、製品版
以降では、当サービスの特徴である
電子流通を実現するESD機能を利用し
た、PCソフトウェア販売の概
図1 U-net電子宅配サービス概要
要について図2をもとに紹介す
サプライヤ
利用者
U-net電子宅配サービス
る。
ESDによるオンライン販売の場合、
U-netモール/ショップ
運用サービス
*オンライン販売の流れ
法人
まず初めに、ソフトウェア・
ベンダ側でオンライン販売対
象のPCソフトウェアをソフト
イ
ン
タ
ー
ネ
ッ
ト
U-net電子宅配
サービス
ストアフロント
連携
既存
ショップ
U-netモール/ショップ
構築支援サービス
U-net
付加サービス
アウトソーシング ヘルプデスク/フルフィルメント
センタ
的にラッピング・暗号化する。
この時、オタメシ条件(利用者
物流サービス
消費者・個人
市民
が購入する前に、試用・評価し
決済サービス
メーカー
販社
物品販売
各種サービス
パートナー
てもらうための利用回数や期
図2 U-net電子宅配サービスによるオンライン販売
ESD対応システム:ZipLock*2によるPCソフトウェアのオンライン販売
ソフトウェア・ベンダ
特徴
流通コスト削減
新たな販売チャネルのご提供
スピーディなソフトウェア・リリース
安全なコンテンツ配送(分割ダウンロード)
安全なライセンスキーの配送
不正利用(不正コピー)の防止
〈オタメシ後購入の場合〉
Try Before You Buy*2
①商品を見る・選ぶ
②オタメシ・ダウンロード
③⑥⑦
③試用
④購入/支払
⑤アンロックキー取得
⑥ライセンス有効化
⑦製品版として利用
利用者
U-net
アウトソーシング
センター
①
Vbox Builder
(パッキング、暗号化)
金融機関
UniShop
U-net電子宅配
サービス
製品登録
パッキング
されたS/W
販売会社
④⑤
ZipLock*1
②
物品販売
オフライン配送
U-net電子宅配サービス
販売情報
登録
ZipLock Merchandiser
ZipLock ESD Gateway
〔注〕 *1 ZipLock:米国Preview Systems社ESD対応製品
*2 販売パターンにはこの他Purchase Firstなどがある
は別途正式購入する必要があった。当
これらすべて決済(支払い)をも含めて
サービスではフル機能版をオタメシで
ネットワーク上で完結できてしまう。
き、安心して購入できる。
さらに、試用(オタメシ)ができたり、
また、容量が大きいコンテンツは分
暗号処理に基づくコンテンツやアンロ
割ダウンロードができるので、回線ネ
ックキーの安全な配送、さらにユーザ
ックや、エラーなどでダウンロードが
側の不正利用防止などが実現できる。
中断しても最初からやり直す必要はな
ESD利用によるパッケージレス販売
い。しかも、手元のPCで商品購入から
では、サプライヤ、ユーザに次のよう
決済まで完結してしまうことから、店
なメリットをもたらす。
頭に赴く必要がなく、流通コストが安
*サプライヤのメリット
くなった分、価格低下も期待できる。
今後の課題と対応
ESDビジネスが日本で普及するため
テンツも拡大していく予定である。
には、以下の課題の解決がある。1つ
◇
は通信回線料金の低廉化や定額制への
U-net電子宅配サービスは、これら
移行、高速回線の普及などである。こ
の課題を踏まえ、今後の高速ネットワ
れは、次世代インターネットや民間の
ーク時代を先取りした新サービスであ
高速・定額制サービスが、早晩実現さ
る。コンテンツの電子流通ビジネスに
れるものと期待している。次に、現時
新たな販売チャネルを提供すると同時
点の当サービスが扱うコンテンツは、
に、お客様に最新のITを利用して、新
PCソフトウェアだけであり、今後は
たな価値創造をしていただくためにメ
音楽メディアや画像ファイル、マニュ
ニューの充実を図っていく予定であ
アル・ドキュメントなど取り扱うコン
る。
UN
13
IT 最前線
オブジェクト指向技術(8)
オブジェクト指向アプリケーション開発ツール「TIPPLER」
日本ユニシス株式会社
商品企画部 ソフトウェア室
オブジェクト指向というと、その効果はわかっていても難しくてなかなか導入
に踏み切れないケースが多いと言われる。TIPPLERは91年に発表され、現在約
岩本 のぞみ
TIPPLERによる開発アプローチ
600社2万ユーザに導入された実績を持つオブジェクト指向のGUIアプリケーショ
TIPPLERによる開発では、業務分析
プロトタイプ型・スパイラル型開発ア
ン開発ツールである。データモデルをオブジェクト構造とする本格的なオブジェ
の結果をオブジェクト構造としてプロ
プローチが有効である。業務分析から
クト指向でありながら平易な言語仕様を持ち、CやC++の10∼30倍の開発・保守生
グラムに反映できるため、特に、問題
画面などのユーザ・インタフェースま
産性を上げている。そのオブジェクト指向技術の特徴と、UNIX・Windowsに加え、
分析が必要な中規模以上のアプリケー
で、エンドユーザと試行錯誤しながら
99年11月にはLinuxにも対応した最新の製品情報について紹介したい。
ション開発において、品質や保守性を
決めていくため、出来上がったシステ
高めている。オブジェクト指向開発の
ムがユーザニーズとかけ離れていたな
真価を発揮するためには、開発の初期
どということは起こらない。
TIPPLERのオブジェクト指向
段階からエンドユーザを巻き込んだ、
TIPPLERは、オブジェクト指向技術
持ち合わせている。C++やJavaなど他
を適用し、業務アプリケーション開発
のオブジェクト指向言語では、データ
のために充分な機能を持つ統合開発環
に手続きをカプセル化し、画面定義は
適用業務は多岐に渡るが、特にユー
境として、95年3月、財団法人ソフト
手続きの定義に組み込んで記述するの
ザ独自のグラフなど複雑なGUIを持つ
*社会公共:建築工程計画、バスダイ
ウェア情報センターから、
「ソフトウ
に対し、Uniscriptでは、画面定義を手
シミュレーション系のアプリケーショ
ヤ編成、車輌配置、原子炉燃料移動
ェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー’
94」
続きの定義と
を受賞している。
切り離し、手
TIPPLERによる開発ではUniscriptと
続きとは別に
いうCのトランスレータ型高水準言語
データとカプ
を用いる。Uniscriptは、カプセル化・
セル化・継承が
継承・オーバーロード・多態性といった
できる。
手続き
画面
frame 入力 営業
textfield : 名前
numericfield : 目標
numericfield : 受注
画面定義
abbrevfield : 受注/目標*100
{ label : "達成率" }
methodbutton : 終了
end
method 終了 営業 ()
quit
end
start 営業 using 入力
手続き定義
起動文
*金融:リスク・収益管理、運用管理、
ケーションや、画面のないバッチ処
理の開発も可能。
*ウィンドウ上のGUI部品は、実行時
*マルチプラットフォーム(SunOS、
に自動的に相対レイアウトされる。
Solaris、HP-UX、Windows、Linux)
(絶対位置指定による固定レイアウ
で、Uniscriptソースコード・レベル
トも可能)
で互換性があるため移植が容易。
*わずか数行で記述でき、マウス操作
でデータを変更できるビジ
ネス・グラフ。
(画面1)
*動的図形描画機能(ピクチ
画面1
標準グラフ・イメージ
(Solaris版)
ャ)により、データと連動
し、マウス操作で動的に変
化する独自グラフやチャー
ト図などの作成も容易。
(画面2)
*変数名やクラス名、メソッ
ド名などに日本語を使用可
画面2
ピクチャ・イメージ
(Linux版)
豊富。
*データベースへのアクセス
を容易にする、高速なネイ
られたデータモデルをオブ
ティブ・インタフェース。
ジェクトとし、ウィンドウ
*罫線、修飾文字、ビットマ
はオブジェクトの側面を見
ップの入った多彩な帳票が
作成可能。
せる枠組みとして扱う。こ
れは同一のオブジェクトを
メモリ
複数個所から参照すること
●
最新製品情報
■オブジェクト
×
ができることを意味する。
昨年11月にLinux版がリリースされ
同一オブジェクトを複数箇所から直接参照。
データの変更に応じて画面は自動リフレッシュされ連動する。
た。稼働OSは以下のとおり。
Turbo Linux 日 本 語 版 4.0/4.2、
1個所から値を変更すると、すべての
コーディングが必要ない。このことも
表示が自動的に変わるという、自動リ
プログラミングの効率を大幅に高めて
2000年3月末までキャンペーンとし
フレッシュ機能を標準装備しているた
いる。
(図3)
て定価300,000円のところ190,000円で
め、データの整合性を保持するための
2000年2月1日第466号
索、CAI、CASEツール
向の入門ツールとしても最適。
はなく、業務分析の結果得
14
*業種共通その他:顧客管理、人事検
*CGIによるビジュアルなWebアプリ
をオブジェクトとするので
GUIに表示している場合、
営支援(人員配置)、店舗レイアウト
で開発に着手可能。オブジェクト指
*可変長配列などデータ型が
図3自動リフレッシュ機能例
GUI部品やプログラム部品
同じデータをさまざまな
管理、学校カリキュラム編成
*流通:営業支援、運送配車、店舗運
*習得が容易。わずか1∼2週間の学習
能。
他の開発ツールのように、
資金管理
その他の主な特徴
*データ定義:システムで扱うデータ
モデル(この例では営業)をクラスと
して定義。
*画面定義:そのクラスのインスタン
スの内容(実際の営業1人分のデー
タ)を表示する画面をフレームとし
て定義。画面の定義を手続きと切
り離し、クラスに定義されたスロ
ット(データ項目)をGUIアイテムに
対応させるだけという宣言的記述
(入出力命令不要)により、GUIプロ
グラミングの生産性を高めている。
*手続き定義:インスタンスの振舞い
(手続き)をメソッドとして定義。
*起動文:クラスのインスタンス(営
業1人分のメモリ領域)を生成し、メ
ソッドまたはフレームからプログ
ラムを起動する。ここでは画面を
表示するところからプログラムを
起動している。
データ定義
製品配送計画、溶鉱炉温度分布・圧
力分布管理、積算発注
データ
図2 サンプル・プログラム
class 営業 ()
名前 : string
目標 : number
受注 : number
end
ンで実績を上げている。
*製造工業:生産スケジューリング、
(図1・図2参照)
→
オブジェクト指向の概念はすべて
図1 カプセル化
シミュレーション系APで高い実績
LASER5 Linux 6.0
販売している。
また、TIPPLERの体験版を速習ツー
ルとともに提供している。
*URL=http://www.unisys.co.jp/
product_info/tippler/index.htm
*Eメール=[email protected]
UN
ユニシス・ニュース
2000年2月1日第466号
ユニシス・ニュースに関する
ご意見・ご感想をお寄せください。
また、送付先の変更などのご連絡
お問い合わせにもご利用ください。
Eメール=[email protected]
「BackOffice」 製品向け
『ラピッド・レスポンス・サービス』提供開始
日本ユニシスは、高性能NTサーバ
「AQUANTA ESファミリー」を利用し
た基幹業務システムにおいて、マイク
ンを実現するサービス「ProjectCenter
「ProjectCenter」は、ワークフロー機
(プロジェクトセンター)」を、国内で
能やファイルの履歴管理機能に加え、
初めて、本年4月から提供開始する。
さまざまなファイル形式の文書や写
工期に限りのある建設現場におい
真、CAD図面などをビューアを介して
て、プロジェクトごとに本格的なコン
共有する情報管理機能、および受け取
プと位置付け、マイクロソフト製品に
ピュータ・システムを導入することは、
った図面に赤線やコメントを入れる機
特化して提供する。
コスト面や運用にかかる人的負担の面
能など建設プロジェクトに特化した利
から効率的とはいえなかった。
便性を提供する。
『ラピッド・レスポンス・サービス』
ロソフト社との密連携により、
では、米国マイクロソフト社と米国ユ
日本ユニシスは、米国におけるイン
料金体系は、建設プロジェクト内の
「Microsoft Windows NT Server」をはじ
ニシス社とのアライアンス・サポート
ターネット技術を使った建設プロジェ
ユーザ数に応じた月額使用料金を設定
めとする「Microsoft BackOffice」製品に
契約に基づき、米国マイクロソフト社
クト情報管理のホステッド・サービス
する。
対し高度で迅速な支援を行うHA(High
およびマイクロソフト(株)と協調した
としてすでに多数の実績を持つ、ブリ
日本ユニシスは、インターネットの
Availability:高可用性)サポート・サー
予防保守、および障害発生時における
ックスネット社(BricsNet本社=ニュー
普及に伴い、建設業界でもこのような
ビスとして、
『ラピッド・レスポンス・
最大24時間・365日体制での的確かつ迅
ハンプシャー州ポーツマス)との技術
形態での情報管理が進むと見ており、
サービス』の提供を開始した。
速な解決策の実施がその特徴。
提 携 に も と づ き 、 同 社 製 の
本サービスのリセラーを広く全国に募
「ProjectCenter」を日本化し、ASP事業
集し、3年間で10億円規模の売上を見
日本ユニシスでは本サービスを、ユ
『ラピッド・レスポンス・サービス』
ーザの要求に応えてビジネス・クリテ
の対象となるハードウェア・プラット
『asaban.com』の1メニューとして、国
ィカルな基幹システムの構築・運用を
フォームは、「AQUANTA ES5000シリ
内建設業界向けに建設プロジェクト情
ハードウェアとソフトウェア一体でサ
ーズ」。同サービス料金は、ベースと
報管理サービス事業を立ち上げる。
ポートし、ヘルプデスクやシステムの
なるサポート・サービス料金に加え、
運用・維持に関するさまざまな要望に
年額40万円からの設定。
応じるサービス商品群の1ラインナッ
http://www.entec.unisys.co.jp/
込んでいる。
(12面に関連記事掲載)
http://www.asaban.com/
Web技術を基盤に電子商取引やイントラネットを容易に実現する
「インターネット・コマース・ソリューション」 提供開始
日本ユニシスとピーエフピーエス研究会
日本版401k向けフロント業務支援システムの販売推進で合意
日本ユニシスは、インターネット時
代の新たなビジネスを創造するコンセ
案を可能にする。
ソリューション・モデルとしては、
プト「OnNet Solution」を具現化するソ
「企業間ECソリューション」「企業−消
日本ユニシスと、ファイナンシャ
Server5.0、データベースとして
リューションの1つとして、Web技術
費者間ECソリューション」「イントラ
ル・プランニング(FP)分野のシステム
Microsoft SQL Server7.0などマイクロソ
を基盤に電子商取引やイントラネット
ネット・ソリューション」の3分野8モデ
開発/コンサルティング会社である
フト製品を全面的に採用する。これに
を実現する「インターネット・コマー
ルを用意し、顧客がインターネット・
(株)ピーエフピーエス研究会は、この
あたり、米国ユニシス社と米国マイク
ス・ソリューション」の提供を開始した。
コマース・ビジネスを開始する場合、
たび共同で、インターネットを通した
ロソフト社の間で締結されている包括
今回発表の「インターネット・コマー
確定拠出型年金(日本版401k)向けフロ
パートナーシップ契約に基づき、日本
ス・ソリューション」は、顧客へのソリ
ント業務支援システムの販売を推進す
ユニシスとピーエフピーエス研究会の
ューション適用の基本的な方針とし
ることで合意し、販売を開始した。
2社は、マイクロソフト(株)よりマイ
て、①最先端の要素技術をベースに、
テム化計画立案サービス」「システム構
クロソフト製品の当該システムへの適
②信頼性の高い製品を用い、③日本ユ
築・運用コンサルティング・サービス」
用に係わる技術支援の提供を得る。
当該システムは、金融機関が「401k」
加入者(顧客企業の従業員など)に対し
どれかのソリューション・モデルでの
問題解決を可能としている。
また、製品の提供と同時に「ECシス
ニシスの高品質なサービスを適用する
「他システム連携企画・設計・導入サー
て実施する、投資情報提供、拠出シミ
2社の役割分担としては、ピーエフ
ことにより、顧客それぞれに最適なエ
ビス」など7つのサービスを用意し、顧
ュレーション、従業員教育などの各種
ピーエス研究会がアプリケーション・
レクトロニック・コマース(EC)やイン
客のEビジネスを実現するソリューシ
サービスを、インターネットを通して
システムの開発、ならびに同社が組織
ターネット・コマース環境の構築を可
ョンを早く、安全確実に構築すること
安価で提供できる仕組みを備えてい
する税理士など独立系ファイナンシャ
能とするもの。EC、インターネット・
ができる。(11面に関連記事掲載)
る。具体的には、加入者は、金融機関
ル・プランナー・ネットワークの人材に
コマースにおける具体的なビジネス要
が管理する各企業ごとの専用ホームペ
よる中小企業向け「401k」導入・運営コ
件/業務要件別に8つのソリューショ
ージ、または個人拠出用のホームペー
ンサルティングを行い、日本ユニシス
ン・モデルを定義し、それぞれシステ
ジにアクセスして、さまざまなサービ
がハードウェアなどのプラットフォー
ム化にあたって日本ユニシスが最適と
スの提供を受けることになる。
ムおよびSIサービスを提供する。また、
考える要素技術/製品/サービスを位置
また、本システムではプラットフォ
システム運営のアウトソーシングを希
付けている。
ームに、OSとして「Microsoft
望するユーザに対しては、日本ユニシ
Windows2000 Server、Webサーバとし
ス情報システムにて受託する。
て Microsoft Internet Information
本システムの価格は月額20万円から。
ASP建設プロジェクト情報管理サービス事業を開始
イベント/ショウ・ガイド
● Unisys&SUNインターネット・
ビジネス・フォーラム
◇日程:2月18日(金) 13:00∼17:10
これらのソリューション・モデルを
◇会場:東京・青山ダイヤモンドホール
「推奨組み合わせ」として顧客に提案す
◇内容:基調講演「E-ファイナンスの
ることにより、迅速な提案の実施、シ
挑戦」イー・トレード(株)社長 北尾
ステム開発から導入に至るまでの作業
吉孝氏、ほかインターネット・ビジ
/支援リソースの明確化、開発期間の
ネスに関する6つのセッション、展
短縮/高生産性化、確実な利益確保を
実現する。すなわち「スピード」が最大
示・デモなど。
◇参加無料。申し込みは、
http://www.eavam.co.jp/usf
日本ユニシスは、本年2月開始予定
ロジェクトにおける関係者間のさまざ
成功要因であるEC、インターネット・
のASP(アプリケーション・サービス・プ
まな情報共有や指示、確認、報告など
コマース・ビジネスにおいて、最短時
ロバイダ)事業『asaban.com(朝晩どっ
のコミュニケーション業務を、インタ
間で顧客が安心納得し、ビジネスの立
同事務局 TEL (03)5410-1447
と混む)』の1メニューとして、建設プ
ーネットを使って効率化しコストダウ
ち上げ、システム構築を可能とする提
Eメール=[email protected]
◇問い合わせ先:
15
経理情報の利用者層
情報系データベース構築による
経理データの有効活用について
東京電力株式会社
経理部 業務システム グループマネージャ
管理にデータを活用している。
経理情報の利用者層は、①経営層、
管理者層は、業務の品質管理、店所
②経理部門管理者層、③経理部門業務
別コスト管理・分析などにデータを活
担当者層に分けている。
白石 幸雄氏
用している。
業務担当者層は、勘定の増減管理、
予算実績管理、各種資料作成など業務
経理業務の簡素化・効率化と意思決定支援を目指して
セキュリティの確保に万全の配慮
経理情報を扱うため、かなり厳格な
決算発表後に可能とした。本店経理部
システムを開発し、96年から運用して
セキュリティを確保している。現在こ
では全店所の情報検索が可能で、全店
(支店、電力所、発電所、建設所)によ
きた。このシステムは、コスト低減、
のシステムは経理部門担当者だけに開
集計検索は決算担当グル―プを除いて
る独立会計組織を採用している。本店
収益性向上に向けた意思決定支援、経
放し、各店所では、同じ業態の他店の
決算発表後に可能としている。
は全店決算機能を、店所は店所決算機
理業務の一層の簡素化、効率化を目指
情報を検索できるが、全店集計検索は
能を持たせている。
して開発した。
東京電力では、本店および41店所
(図1)
実データで徹底した利用者研修を実施
年間の会計データ件数は会計エント
しかしながら、情報活用の面では、
リ(請求書など)約100万件、会計伝票
当年度のデータのみしか活用できない、
約600万件と膨大な数にのぼっている。
検索条件に制約がある、自店のデータ
上とした。研修の方法は、本店経理部
研修対象者は原則として中堅社員以
た。管理者といえども、自分の説明資
料は自ら作成するよう意識づけた。
しか活用できないなどの課題が残され、
員が毎日、各店所の3∼4人を対象に
Business Objectsの研修によってレポ
た経営方針「新しい東京電力への行動
また情報活用ニーズが多様化してきた
1日コースを基本とし、半期で約100人
ート作成の基本機能を完全にマスター
計画」を受けて、各店所の自律的経営
ため、新たな情報活用の仕組み(情報系
の研修を実施した。
した受講者に限って、関数機能やレポ
強化の基盤整備を進め、経理総合情報
データベース)を構築することとした。
経理部門では、1987年に打ち出され
図1 経理総合情報システムの概要
会計エントリ発行
勘定管理 など
セ
キ
ュ
リ
テ
ィ
シ
ス
テ
ム
島嶼等事務所
海外事務所
・
社外システム
(金融機関)
一般会計
固定資産会計
資金決済
預金等管理
社債等管理
報告資料作成
経理連携システム
人事・労務
総務・用地
営業
電源・流通
配電
情報系データベース構築による効果
情報系データベース構築によって以
問題を解消できる。
*ホスト、サーバの機能分担でホスト
*大量データ処理にもかかわらず、高
経理統合
データベース
経理
定数
情報系システム
資材・燃料
原子燃料
実施することとしている。
下のような効果が確認された。
データ・エントリ
システム
電子承認
システム
ート同士の統合など高度な操作研修を
る共通のカリキュラムを定めて実施し
勘定系システム
約1,200台
研修のためのデータベースは、本番
環境を使用し、各店所の実データによ
店所収支予想
予算管理
コスト管理
関係会社情報
資金管理
負荷が大幅に軽減された。
速性が確保され、目的のデータをす
*会議や報告に完全ペーパーレスでの
ぐ検索できる。
プレゼンテーションが可能になった。
*どの項目からでもデータの抽出、加
*データ利用面で全社統合的なデータ
工が可能である。ホストの生データ
活用を実現する可能性を見いだせ
を多角的に分析ができる。
た。
*データを完全に使いこなすことで、
*電子帳簿保存法の条件の1つである
いわゆる“ブラックボックス化”の
多様な情報利用ニーズに応える
情報系データベース構築に当たって
は、次のようなニーズに的確に応える
システムを目指した。
いた官庁関係への提出書類を直接作
成できるようにする。
*経理データを業務品質管理の向上に
*経年別データ分析、業態(支店、発
電所など)別コスト比較などのデー
タ分析ニーズに応える。
活用する。
このシステムは97年度第4四半期か
ら開発に着手した。99年2月から決算
*店所長のニーズにマッチした報告・
予算、資金、標準物量データの取り込
援を図る。
みを進めている。
*帳票からワープロ再入力で作成して
おりである。
UNISYS2200シリーズ×11台)
どの決算データを格納している。
データ量は、伝票データだけで累計
決算、予算、資金、固定資産などを
ベース構築に向けて検討を開始した。
*全社データベース化へのアプローチ
(ユニシス オンネット・ソリューション・フォ
現在の情報利用範囲は統計・分析、
UN
ーラム’
99より)
外部報告、コスト管理など経理中心の
図2 新しい情報利用の仕組み
UNISYS2200シリーズ
ホスト
サーバ
UNISYS HP9000/K570
決算
予算
資金
固定資産
CPU:×2(PA-8200 200MHz)
メモリ:1GB
HDD:500GB
データ・ウェアハウス
ロード
年度別
は約80ギガバイトの規模である。
②データ・ウェアハウス(サーバ:
③情報活用のクライアント・ソフト
主に統計・分析用に市販のBusiness
ホストの決算データをサーバに落と
Objectsを、非定型検索用には自社開
し込み、各店所のパソコンから検索、
発の「個別ワイズマン」を搭載してい
加工できる。現在、課所会計、会計取
る。
決算
予算
資金
固定資産
Oracle7.3
RDMS1100
抽
出
本店+分散拠点(9)
約2,000万件と膨大で、データベース
処理している。
UNISYS HP9000/K570×1台)
てシステム部門と協調し、全社データ
この場合の検討課題は情報公開の範
囲とセキュリティである。
引、勘定残高明細、件名別残高、店所
別/科目別残高、全店計/科目別残高な
①経理基幹データベース(ホスト:
情報活用であったが、今後第2段とし
*全社情報統合化の検討
経理基幹データベース
新しい情報利用の仕組み
新しい情報活用の仕組みは図2のと
さらなる機能拡張を図る
情報が本格稼働し、現在、固定資産、
統計資料の充実を図り、店所経営支
可視性の要件を満たしている。
SQL*NET
PC
CPU:Pentium133MHz∼
メモリ:32MB∼
任意の項目でデータ
の抽出加工ができる!
Business
Objects
(市販ソフト)
統計・分析向き
個別
ワイズマン
(自社開発)
非定型検索向き
MS Excel
MS Access
発行 日本ユニシス株式会社 広報部 広報室 〒135-8560 東京都江東区豊洲1-1-1 (03)5546-4111 発行人 山下 宗久 編集人 武井 浩 制作 ピー・アールセブン 発行日 2000年2月1日 ISSN 0915-051X
16
2000年2月1日 第466号
*社外からの寄稿や発言内容は、必ずしも弊社の見解を表明しているわけではありません。*本紙記載の社名、製品名、およびシステム名は各社の登録商標または商標です。 *掲載記事の無断転載を禁じます。
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