Comments
Description
Transcript
アジル・カンパニーの要件 特集
1998 No.445 5 アジル・カンパニーの要件 慶應義塾大学 大学院 経営管理研究科 教授 奥村 昭博氏 ●上昇を続ける知識資産の価値 る新たな戦略、組織が要求される。 アジルは「俊敏な」「迅速な」という意味の言葉で アジル・カンパニーを実現するためには、これ ●問われる「日本的」経営手法 までのクローズドな形の経営姿勢を改め、情報公 開などによるオープンな経営を目指す必要があ ある。以前は主に軍隊などで使われる言葉であっ アジル・カンパニーを実現するための経営のあ たが、最近では企業間の競争を左右するキーワー り方を考えてみると、これまで高い評価を受けて る。同時に従来のピラミッド型組織を再構築し、 ドになりつつある。刻々と変化する顧客のニーズ きた日本的経営手法が、今では過去のものとして フラットな組織を作ることが大切になる。また、 や市場への素早い対応は、今後の企業間競争を語 扱われていることがわかる。顧客の囲い込みや系 競合との関係についても、横並びの激しい競争の る上での重要な要素である。ここで新しい競争の 列化などのクローズド・システムの論理は、新し 時代から、協調しながらともに成長しようとするコ 局面を考えてみたい。 い手法では対照的にオープン化の論理となり、巨 ラボレーションの動きが目立ってくると思われる。 現代社会では、知識資産の重要度が急速に増大 大な本部が一元的に運営を行う「集中処理指向」 ●資本主義から知本主義へ しつつある。その理由としてはコンピュータや通 は、多くの組織が協調する「分散協調指向」へと変 日本の企業は、優れた生産技術と効率化の推進 信技術の発達により、企業が時空間の制約から開 わりつつある。米国のシリコンバレーでは数千社 により飛躍的な成長を遂げてきた。ところが90年 放されつつあることが挙げられる。このようなIT の企業が設立、消滅を繰り返しているが、常に新 代に入って、これまでの効率優位性から「知の競 の進展は企業の経営方針自体を変化させており、 しいコンセプトやアイデアを作り出すプラットフ 争」とも言うべき価値優位性が重視されるように インターネットを介した製品販売や、電子マネー ォームとしての役割を果たしてきた。現在の活気 なりつつある。米国の企業を例に挙げると、彼ら による決済などの試みは、グローバルな企業活動 に満ちたシリコンバレーの姿は、日本企業の将来 は80年代の日本型経営ノウハウを徹底的にベンチ を推進する材料になっている。また、これまで資 を考える上でも興味深い。 マークし、効率化の限界を認識した。そこで、効 率への付加価値としてのITを前面に出し、顧客の 本や販売などの分野で発生していた企業間の提携 一方、これまで優先されてきた効率性と成長主 にも変化が現れ、最近では顧客サービスなどの分 義に代わり、効率の先にある社会適合性や創造性 ニーズに素早く対応する体制を整えたのである。 野でも盛んに提携が進められている。 が重視されてきている。これまでの企業活動は、 現代の消費者は、冷静に商品の価値を判断してい すべて成長を目的に行われてきたが、成長を1つ る。もはや高品質、低価格だけでは競争力にはな 一方で「企業の体質はあまり変わっていない」とい の結果としてとらえる企業が増えてくるだろう。 らない。 う指摘もある。情報はすべての企業に等しく与え さらに、今後の企業活動を考える上ではサービ 知の競争に勝ち残るためには、これまでの資力 られるものであるが、これをいかに活用するかと ス(ソフト)が極めて重要になってくる。これまで を中心にした「資本主義」から、知識中心型の「知 いう部分で、企業間に大きな格差が現れてくる。 の企業は、どちらかというと製品(ハード)中心主 本主義」に企業文化を再構築する必要がある。そ 私は、企業を発展させる原点は古今を問わずイノ 義で、質の高い製品をいかに安価に製造するかが のためには、やはり人の力が不可欠で、今後は各 ベーションであると考える。すなわち革新を怠っ テーマになってきた。ところが、今や情勢は大き メンバーの価値観やモラルがますます重視されて た企業は遠からず衰退するのである。20世紀の工 く変化し、知識資産を作り出す企業や、きめ細か いくであろう。アジル・カンパニーとしての素早 業化社会では、企業は主に過去のストラテジーを な顧客サービスを行う企業に利益が集中している い対応を実現するためには、確固たる企業理念が 使って成長してきた。今後は知識化社会に対応す のが現状である。 求められるのである。 知識社会、競争社会といわれる昨今であるが、 主 な 記 事 ◆ユーザ事例 * 西 武 信 用 金 庫 /信 用 組 合 関 西 興 銀 − ホ ス ト を 「ITASCA3800」にレベルアップ (8面) *東洋実業−グループウェアの活用で情報共有を実現 (9面) *中央精機−世界No.1の「自動車用部品づくり」への挑 戦 (10面) *全国酒販協同組合連合会(全酒協)− 「NXWebCOMS」導入による基幹業務のWeb化 (12面) *JETRO−情報システム再構築「HMP NX4600」を導 入 (16面) ◆ IT最前線 *新たな資金仲介機能としての債権流動化につ いて (11面) *21世紀の情報システム開発とTEAMmethod (13面) *世界情報通信サミット−EC部会オンライン会 議報告 (14面) 特集 ◆日本ユニシスのホームページ=http://www.unisys.co.jp/(ユニシス・ニュース全文をホームページで公開) ◆ News From Unisys *ユニシス研究会「平成10年度春季全国大会」/* 新住宅設計PC CAD 「DigiD(デジド)」発表/*世 界初の分散オブジェクト製品(ORB)間のトランザク ション相互接続実証実験に成功/*「SYTEMν」 の開発・保守で「ISO9001」の認証取得 (15面) 日本ユニシス発足10周年 ●モバイル・コンピューティング ● おかげさまで10周年 日本ユニシスは、 お客様満足度の向上を目指し、最大限の努力を続けてまいりました。 ●情報システムの高度利用を目指して−日本ユニシスの10年 情報システム の目標 省力化・効率化 生産性の追求 情報システム の形態 集中処理・・・・ 分散処理・・・・ ユニシス・アーキテクチャ「UA」ソリューション構築体系/分散協調処理/ さらに価値ある情報活用を ご提案してまいります 2 1998年5月1日第445号 UNISYS 2200/600シリーズ 大量業務の高速処理を果たしてきた情報シ ステムは、競合相手に打ち勝ち企業競争力の 強化を図るツールに位置付けられつつありま す。情報システムの役割と期待の変化に伴い、 お客様のご要望は高速・高性能なシステムに よる価格性能比の継続的な向上だけでなく、 開発期間の短縮、簡単な運用・保守、総体的 なコストの抑制(TCOの削減)など多岐に渡っ てまいりました。 こうしたご要望に応え、日本ユニシスは UA(ユニシス・アーキテクチャ)、CLEARPATH、 オープン・ソリューション・フレームワーク、 次世代情報基盤「SYSTEM ν[nju:](シス テムニュー)」など、時代の求めに応えるアー キテクチャとコンセプトの下に *最新技術の積極的な採用 UNISYS A16シリーズ *オープン化、標準化への準拠 *最適パートナーとの戦略連携 などを図りつつ、お客様の既存資産の有効活 オフィス・プロセッサ 「シリーズ8」 用を実現する最適なプラットフォーム・プロ ダクト群を提供してまいりました。 新しい時代を拓くトータル・ソリューション・サービス「USEFUL/SV」 ステージ 高 付 加 価 値 情 報 シ ス テ ム を 実 現 す る ト ー タ ル ・ ソ リ ュ ー シ ョ ン ・ サ ー ビ ス 高 技 術 者 集 団 と 充 実 の 施 設 で 〝 顧 客 第 一 主 義 〟 を 徹 底 情報ソリューション計画 ビジネス戦略計画 ソリューション構築 ビジネス戦略策定 支援サービス ハードウェア、ソフトウェアの提供に加え、 ユニシスが誇る業界経験、サービスなどを組 情報戦略策定 支援サービス み合わせて“トータル・ソリューション”を 提供するものがサービス体系USEFUL/SV です。USEFUL/SVはビジネス戦略立案か らソリューション構築、運用・保守の段階ま でを1つの流れ(サービス・ライン)として捉 え、一貫したインフォメーション・サービス を提供し、高付加価値情報システムを実現し ラ イ ン てまいりました。 業務改善支援 サービス(BPR) サ ー ビ ス ・ 日本ユニシスはおかげさまで10周年を迎 えました。前身の日本ユニバック、バロー ス時代からは実に40年余、まさに日本の情 報化の歴史と共に歩んでまいりました。 振り返るとこの10年は、戦後50年にあっ て、とりわけ疾風怒濤の時代でした。日本 経済の国際化、サービス化、高度情報化の 進展に合わせ、日本ユニシスも情報技術を テコに高付加価値化を目指すお客様へのご 支援に尽力してまいりました。 この10年間の情報技術の進展はめざまし いものがありました。半導体の集積度は18 カ月で倍増しあらゆるプラットフォームが 高性能化、大容量化、高集積化を果たし、 使いやすさ、インテリジェント化が一段と 進みました。 しかし、日本ユニシスはお客様が真にお 求めになるものは、最新技術に立脚した情 報システム基盤だけでなく、「ソリューショ ン」であるという認識に立ってまいりまし た。最新技術の採用はいうまでもなく、い かにその技術を活用するかこそが重要であ るからです。 21世紀に勝ち残るための経営戦略のキー ワードとして、コア・コンピタンス経営、ア ジル経営、オープン・ネットワーク経営、知 識創造経営などが挙げられています。次の 10年に向けて日本ユニシスの使命はグロー バル時代の大競争を勝ち抜こうとしている お客様を情報システムの側面からこれまで 以上に支援させていただくことです。とり わけ俊敏な知識創造経営に転換していく上 でもっとも枢要な、知識の創造と蓄積を支 援する仕組みと情報活用戦略のご提案こそ 日本ユニシスの役割と考えます。価値ある 情報こそ企業の俊敏性を高め、知恵(ナレッ ジ)を生み出す源泉であるからです。日本ユ ニシスが、Information Management Company を標榜するのもここにその理由があります。 日本ユニシスは10周年を迎えたいま、み なさまのビジネス・パートナーとして、これ まで以上に情報をビジネスに役立たせるた めに、Information Management Companyとし て高度なソリューションをご提案してまい ります。 情 報 基 盤 の 中 枢 を 担 う プ ラ ッ ト フ ォ ー ム ・ プ ロ ダ ク ト 群 さらに、情報が企業の競争力と顧客満足を アプリケーション 構築・導入& インテグレーション ネットワーク構築& インテグレーション UNISYS TOTAL SOLUTION プロジェクト・マネジメント 高める経営資産となりつつある今日、日本ユ ニシスはInformation Management アウトソーシング Companyを企業ビジョンに掲げ、 教育・情報提供 Customerizeの基本精神の下に“お客様の 顧客”の最大限の満足実現を目指します。こ 設備関連 のために日本ユニシスは強力な設計・開発方 法論TEAMmethodによって高生産性、高品 質の情報システム実現の体制を整えました。 *最先端システムの研究・開発拠点 「東京ベイ開発センター」 ソフトウェア開発、ハードウェア研究・ 開発の機構が結集し、1,000人の高技術 者集団が、お客さまの次代の経営課題に応 えるシステムを生み出しています。 日本ユニシスは、そのコアコンピタンスは システム構築力にあると認識しています。そ してその根幹は“人”にあります。人のみが 情報システム基盤から価値を生み出せるので す。日本ユニシスはグループ企業を含め 8, 000人の高技術者集団の頭脳が、極限まで のパワーを発揮し、お客様の満足を高めるた めのサービスと体制の充実にも努力を傾注し てまいりました。 全社には30余にのぼるお客様サービスのた めの施設が展開されています。 さらに、米ユニシス、三井物産をはじめ約 50社にのぼるグループ企業、各分野の専門 企業との戦略連携を通じてシステム構築体制 の強化を図っています。 ’ ● ● ● ● ● ’ ● ● ● ● ● ユニシス・ニュース 1998年5月1日第445号 顧客満足の向上 オープンシステム・・・・ 価値創造/知識創造を目指して クラアイント/サーバ・システムの進展・・・・ ν[nju:](システムニュー)」 オープン・ソリューション・フレームワーク CLEARPATH 運用管理体系 U6000シリーズ ネットワーク・コンピューティング時代 次世代情報基盤「SYSTEM UNISYS HPシリーズ CLEARPATHサーバ 「HMP NXシリーズ」 ビジネスPC 「AQUANTAシリーズ」 USファミリ CLEARPATHサーバ 「HMP IXシリーズ」 俊敏な経営戦略の展開を支援するソリューション・ソフトウェア群 オフィス支援系 CLEARPATHストーリー:新世代企業情報システムの典型的な構築過程 ソリューション・サーバ 「RX7000シリーズ」 グループウェア ワークフロー 情報系 エレクトロニック ビジネス系 データ・ウェアハウス SFA、CTI EC CALS/STEP 基幹業務処理の強化拡充と再構築 業務系 運用/保守/管理 戦略的情報活用システムの構築 情報系 共通業務系 人事・労務・会計 販売・購買・物流 Oracle Applications Syteline/SYMIX System21 オフィス支援系の充実 クライアント/ サーバ連携基盤 の確立 オフィス 支援系 エンタープライズ・ ワークグループの 構築 情報の グローバル 化への対応 連携基盤 ネットワーク 基盤の構築 ンセット ューショ リ PATHソ CLEAR 基盤ソフトウェア システム 運用・管理・保守 システム開発・実行・運用・ネットワーク 業種別ソリューション・ パッケージ 金 融 TRITON IBS21 Princia ・ ・ ・ 製 造 社会公共 MEDI−ORDER/EX S−MILE ・ ・ ・ 流 通 CADCEUS H/CAD PDM ・ ・ ・ IMPACT シリーズ ・ ・ ・ 充実のサービス・フォーメーション 東京ベイ開発センター 札幌テクノセンター データセンター 研究・ 開発施設 商品 関連施設 教育センター(全国10カ所) 伊豆エグゼクテブ・センター 人材開発センター 教育/プレゼンテ 研修センター ーション施設 情報センター ユニシスプラザ オープンシステム・ インテグレーション・センター システム開発センター システム・ エンジニ バックアップ・センター アリング コールセンター サービスコール・センター 関連施設 セントラル・サービス・センター カストマ・ エンジニア リング関連 施設 お客様 U-net SURFサービス・センター ネットワーク・サービス・センター アウトソーシング・センター ネットワーク/ アウトソーシング 関連施設 商品センター ユニシス プラザ セントラル・サービス・センター リペア・センター ヘルプデスク・センター ネットワーク・インテグレーション・ サービス・センター テレフォン・サービス・センター バックアップ・センター コンフィグレーション& テストセンター リモート監視センター コール・センター パーツ・センター フィールドサポート・センター 持ち込み保守サービス・センター *お客様第一主義を徹底する拠点「本社機構」 本社には情報・通信基盤の支援の下に、知的生産性・創 造性を最大限に発揮できるオフィス環境を整えていま す。ここには、主要部門が結集するとともに、システム プラザ、教育センターなど各種サービス機能を併設して 顧客サービスを向上させ、日本ユニシスの理念“顧客第 一主義”を徹底する拠点としています。 ’ ● ● ● ● ● オープンシステ ム・インテグレ ーション・セン ター ’ ● ● ● ● ● 3 おかげさまで10周年 お客様満足度の向上を目指し、最大限の努力を続けてまいりました。 ●情報技術の明日を読む 次の10年に向けて、 日本ユニシスの使命は、 グローバルな大競争時 代を勝ち抜こうとしているお客様を、 情報システムの側面から、こ れまで以上に支援することです。 このとき重要なことは、 明日の情報技術とその活用のあり方がど う進展するか確かな展望を持つことです。 重要性を帯びるいくつかのテーマをとりあげ、 日本 今後の10年に、 ユニシスは、 その進展をどのように見極めているかご紹介いたしま した。 エレクトロニック・ビジネスの行方 堀田 和雄 新事業企画開発部長 ●ECを加速するもの やがて、ECという電子的商業空間が構築され、その 不況時こそ抜本的改革のチャンス アドバンストコンサルティンググループ マネージングプリンシパル 小串 重人 不況時は活況時に手がつかないことをじっくり手掛け るチャンスである。本質的、抜本的改革に手をつけるに 中で企業活動を電子的方法でしかも効率よく展開しよう とする世界を「エレクトロニック・ビジネス」とここでは デジタル革命のコアテクノロジー インターネットとその技術の未来 情報技術部 ITコンサルティング室長 遠藤 和弥 呼んでおく。エレクトロニック・ビジネスの実現を加速 インターネットはマルチメディア情報を双方向で通信 するインフラストラクチャとなった。これはインターネ する材料としてPCの発展がある。最近千ドル以下の低 価格PCの出荷が伸び、アメリカでは2002年には家庭へ ットが従来の電話、ラジオ、テレビ、新聞、FAX、郵便、 本・雑誌、エンターテイメントなどの情報を伝えたり、共 の普及率は60%に達するという予測がある。こうなると 家庭生活が変化するのは間違いないが、面白いのはむし 有する機能を提供できるようになったことを意味する。 ろ残りの40%についての論議である。この40%の内、 このネットワークは、1年間で10倍という驚異的な伸 びが報告されており、幹線の増強が追いつかない状況と 循環的不況であれば、嵐が過ぎるのをじっと待つのも 一策であろうが、この不況はそうではない。したがって、 36%の人は相変わらず家庭生活にPCなど不要だという。 マイクロソフト社のビルゲイツ会長は、情報産業がこ なっている。また、アクセス・ポイントのビジー率が高 くダイアルアップが接続できないといった問題が発生し これからあるべき企業モデルは過去を捜しても見出せな れからの競争を生き抜くには、普通の人が簡単に利用で きるPCをいかに開発するかがキメ手になると言ってい ている。このため、距離や接続時間による料金制度を採 はある程度十分な時間が必要だし、全社員の意識に共通 の危機感が醸成されており、環境はむしろ整っている。 る。また、96年のCALS EXPO INTERNATIONALの 用すべきといった“衝撃的な”議論がされはじめた。 このようにインターネットは大きな課題を抱えたネッ り、判断の規範にするのは、企業革新に対して弊害があ る。成功あるいは失敗経験の抽象化は創造、革新の知恵 あるセッションでは、「5才の子供でも使えるPCはどう あれば良いか」というテーマで、米国防総省が会議を進 トワークではあるが、一度加速し始めた高速ネットワー クの強力なパワーは、工業化社会から知的資産価値社会 になる。 目指すべきは競争相手にとって強い会社となること めていた。これらの点からもPCを中心とした道具類が エレクトロニック・ビジネスを加速することが窺える。 の創出を目指す米国家・政府の政策的な意図もあり、新 しい社会基盤となってきている。これをいかに利活用し、 か、はたまた社会にとって、社員にとって良い会社とな ●実際的な研究がより重要に 新たな付加価値を創出するかが重要である。 ることか。愉快な会社は存在しえないのか。 地球環境問題は人類レベルの共通問題になった。人間 また次のような記事もある。97年度のノーベル経済学 賞は株式・オプション取引に関する実際的な研究に対し インターネットを利用した本やPCなどの通信販売な どが典型的な成功事例であり、今後さらに企業間の電子 の幸福を最上位目的に人間環境問題がより注目されるだ ろう。消費者、ステーク・ホルダーの判断視点はむしろ て与えられた。理論経済学が受賞対象になるのが常であ っただけに、これは関係者を驚かせた。一般に経済学者 商取引の急増が予測される。 このインターネットの発展型としてのイントラネッ 社会的責任を果たそうとする企業を支援する行動に変わ は評論家的エコノミストと経済学者に分かれ、前者は現 実問題を表面的に扱い、後者は古色蒼然とした理論の世 ト、エクストラネットが現在注目されている。それはイ い。創造が必要だ。 過去の成功体験を単なる具象的経験として伝授した 界に閉じこもっているかに見える。現実はその両者を融 ンターネット技術が、前述のように新たな価値を創出す るビジネス・モデルへと変遷し、ビジネスごとのパート 生理での創造力と記憶力には背反性があるそうだ。記憶 力優先の教育で育った日本人とそれを良しとした社会シ 合したところで動いていることを、97年度のノーベル賞 が物語っている。 ナーなどと、短時間で柔軟に連携する要求を実現するIT として期待されているからである。つまり、社内外の障 ステムは、今後の創造力が必要な時代に不利な状況であ この両者の融合という論点はエレクトロニック・ビジ ネスの推進にも大いに関連している。 壁を少なく、また対象をも柔軟に変更・拡大できるシス るだろう。 新しい姿を創造する力は備わっているのだろうか。脳 テクノロジーも重要、法整備も重要、ビジネス・プロ テム構築のアーキテクチャを実現する技術としての期待 である。 経営学を駆使して運営される今日の国際的大競争時代 の企業においてそのプロフェッショナリティの優劣はそ セスの変更も重要、良い習慣を継続することも重要、そ して、子供でも操作できる“やさしい環境作り”も重要 これらの期待はインターネット標準IT(TCP/IPプロ トコルなど)を採用することにより、容易に実現できる のまま企業力の優劣に反映される。論功行賞型経営者の である。これらのもて余すほどの重要項目の中で、取り まとめの手法、技術は一体どうするか。 環境となった。 ることを認識しなければならない。人材の異質性の意図 的混在化を図ることが必要だ。 時代の終焉は明白である。また、社員1人ひとりのプロ フェッショナリティの優劣も同様である。 ●思考の尺度をどうもつか さらに、社内のみならず社外システムとの接続、顧客 や利用者との直接的接続も可能となってきた。つまり、 日本の企業においてプロフェッショナリティを身につ けることはスペシャリストとの同義語的曖昧な解釈によ 巨大な遺跡の多くは砂漠の国にある。 樹木が身の回りに豊富な日本などでは、木の高さ、太 インターネット標準技術は、情報システム構築に大きな ブレーク・スルーを引き起こしたことになる。インター り、むしろ総ジェネラリスト指向文化の中で好まれてい ない面がある。 さが知らず知らず物を考える際の基準になっているらし い。したがって遺跡を見ても、建物の柱の高さ、太さは ネット技術がシステム構築の主要な技術の1つとしてさ らに適用が拡大・定着することは間違いない。 プロフェッショナリティは合理性を求める。合理性は 実際の樹木のサイズを大きく超えることはなかった。一 方、砂漠では、建物の基準になる樹木がないから、時折、 しかしながら、インターネット技術だけでは、従来の 天を突くようなピラミッドが出現したりする。 ようなシステム構築はできない。 従来の情報技術は、大量のデータ処理や技術計算をよ 層化(トップダウン)思考」を必要とする。日本語構造の 特性が持つボトムアップ性が、生まれた時から言語とし エレクトロニック・ビジネスの行方に思いいたすとき、 現行の商習慣、常識などが、構想を巡らす際の「樹木」に り早く正確に処理することを目的に発展し、一方インタ ーネットの技術は多くの人々の間で情報の交換・共有を て使い育った日本人の思考法に極めて大きな影響を与え なってはいないだろうか。 また、多くの実務家の手法は現状の延長線上にしかな 行うことを目的として発展してきた。その本質的特性の 理屈っぽい書生のような若々しさを必要とする。また、 日本人に不得意の「上位目的とその実現手段の相対的階 ている。何のためにあることをしようとしているのかを 振り返ることのない議論が国会をはじめ日本のほとんど の場で繰り広げられる。日本語は抽象化を不得意とさせ、 具象化を好む。 こうしてみると過去の成功体験をあえて離れ、新しい 企業革新を創造するには社風、企業文化の改革、企業理 念構築、事業戦略ドメイン再構築、教育、育成制度改革、 人事制度改革など、たっぷりした時間と地道な合理的努 力を要する抜本的改革が必要といえる。 そして今がそのチャンスだ。 4 1998年5月1日第445号 く、現状に収めきれずにはみ出る要素は切り取られてい 差異は自明である。現状ではこのそれぞれの特徴を生か した分野への適用が重要である。 くことが多い。これも知らず知らず身に着いてしまった 「樹木」になってはいないだろうか。未来に挑戦するとき、 トランザクション機能を提供するイントラネット用ミ ドルウェアなども提供されており、今後さらに充実する うっすらとしたリスクと小じんまりとした企画案ばかり が先行すると、使い道のない安普請のようなエレクトロ と考えられる。 ニック・ビジネスの世界を構築してしまうかもしれない。 このような環境では、ユーザは単に最新ITを適用すれ ば良いわけではなく、ビジネスとして何をすべきか、プ まず最初に、未来に向かってポーンと点を打ち、そこ から現状を眺め、次の手を打っていくような方法が望ま ロセスをどうすれば良いかなどが重要になる。目的、業 務ニーズ、システムニーズを満たす最適なITを選択した しいと思っている。 システム構築こそが重要となる。 ユニシス・ニュース 1998年5月1日第445号 健全な情報化社会のカギを握る 情報リテラシ 総合教育部長 モバイル・コンピューティングに期待 ネットワークシステム部長 佐藤 茂夫 分散オブジェクトと 馬場 正存 企業には大量のパソコンが導入され、今や1人一台の 時代になった。パソコンを操作するために必要とされる システム開発の行方 原 潔 一通りの情報リテラシ教育も終わった。ここで、改めて クライアント/サーバ・システムと呼ばれる水平分散環 何のために膨大な情報化投資を行ってきたのかその目的 を確認し、その目的のために打つべき次の手は何かを考 ソコンなど)と移動に対応可能な通信機器を用いて、自 宅や旅行先のホテル、移動中の列車内、客先などから、 境の登場によりシステム開発に関する概念が一変したと いわれている。そこでは、管理の集中化がなされないの えてみる。 企業の情報化投資の目的は高度情報化社会における競 会社あるいは社外の情報資源へアクセスするモバイル・ で、各コンピュータの独立性は強く、自由度が高い。し 争優位獲得にある。そのために情報インフラが整備され、 コンピューティングが注目される。モバイル・コンピュ ーティングによりいつでも、どこからでもコンピュータ かし全体の管理は複雑になり、構成変更やソフトウェア の改版配布などの運用が困難になっている。レガシー・ また社員に対する情報リテラシ教育が行われた。それに よって十分な環境条件は整ったのか。否、まだ十分とは 資源の利用や情報へのアクセスが可能となるため潜在的 なニーズは高く、運送業や流通業などでは以前から無線 システムに蓄積してきたデータベースをいかに効率的に 再利用していくかも課題となっている。システムそのも いえない。それは本来目標とした情報化投資の目的とこ れまでに行われてきた情報リテラシ教育とのギャップを 端末を利用したオンライン・システムが構築されている。 今改めてモバイル・コンピューティングが注目される のの複雑度も他システムとのインタフェースも増すばか りであり、オブジェクトなどの切れの良い単位の確立が 考えて見ると分かる。 情報リテラシとは、企業の追求する生産性や収益性の のは、電子メールやグループウェアを使用した業務連絡 必須となってきている。 向上に確実に寄与するように情報を利用・活用するため やスケジュールの調整、ブラウザを利用したインターネ ット・アクセスなどといった新しい利用形態が見え始め ソフトウェアの品質や生産性を工業製品として管理す ることを狙って、ソフトウェア工学が発生したのは1960 のビジネスマンとしての基礎的な能力である。 その情報リテラシの内容は、 “コンピュータ・リテラシ” たからである。この背景には以下の要因が挙げられる。 ①携帯電話やPHS*2の普及により移動体通信ネットワ 年代末である。そして、プログラムの制御構造を管理す ることによってプログラムの品質を確保しようとする構 “データ・リテラシ”“ビジネス・リテラシ”の3つの基礎 技術に分けて考えることができる。コンピュータ・リテ 情報技術部 技術研究開発室長 携帯型の移動ホスト(専用携帯端末やPDA*1ノートパ 造化プログラミング、データを中心にプログラムの設計 ラシはパソコンなどを操作するための技術、データ・リ ②インターネットの利用や電子メール/グループウェア などが一般化し、音声以外の通信手段が多様化してき ーク・インフラが整備されてきたこと を行う構造化分析・設計法、近年はプログラムとデータ を別々に扱うのではなく、ソフトウェアの単位を実世界 テラシは多種・大量のデータの中からビジネスに有効と される情報を抽出あるいは創出するための技術、そして たこと ③技術進歩により軽量かつ長時間使用可能な携帯用の移 の対象物と同じようにオブジェクトと呼ぶ自律的な塊で 設計するオブジェクト指向分析・設計が生まれてきた。 ビジネス・リテラシは情報をビジネスに活かすための技 術である。この意味からすれば、ようやくコンピュー 動ホストが提供されるようになったこと 社会の急激な変化に対応するためにシステムへの要求の タ・リテラシの養成が終わったといえる。と考えれば、 モバイル・コンピューティングには利用環境特有の技 術的な課題がまだ多く残されているので、それを克服す 変化を柔軟に吸収していくための大規模な分散システム のあり方も企業内に閉じたものではあり得なくなり、外 これからはデータ・リテラシとビジネス・リテラシの養成 が必要とされることになる。 るための研究が進められている。例えば通信速度の高速 化については、西暦2000年過ぎに実用化を目指している 部とのインタフェースの確立と内部での自由度の確保が 重要になってくる。WWWビューアによるインターネッ それでは、これからの情報リテラシ養成をどのように 考えればよいのであろうか。これを考えるにあたって1 次世代携帯電話システムIMT2000*3の研究と標準化がま トの普及、Java言語による実時間的、インタラクティ つの好ましい状況がある。 さに進行中である。IMT2000では静止状態における 2Mbps以上の通信速度を目標としており、携帯端末に ブな機能やJava VMによるプラットフォーム独立性、 そしてCORBAによる相互運用性や位置透過性などによ 最近の若いビジネスマンや大学生達が、内容いっぱい に膨らんだビジネス手帳を手にしていることである。彼 よるマルチメディア通信を可能とする。また国際的なロ ーミングも可能となるため、モバイル・コンピューティ りシステム開発のさらなる変革が起きつつある。ソフト ウェアの分散開発、およびソフトウェアそのものの分散 らが情報の必要性やその重要性を無意識に感じとってい ることが想像できる。しかも最近の学生は、インターネ ングを使用できる領域が大きく広がると考えられる。 しかし技術的にはいかにすばらしいサービスであって 化の可能性がさらに広がってきている。 製品としてのソフトウェアは、設計書やマニュアルな ットでの情報収集、電子メール、さらには表計算ソフト での研究データの集計や分析、ワープロでの卒業論文の も、実際にそれが使用されるか否かは料金やアプリケー どの文書、ソース・プログラム、実行形式ファイルある 執筆など、パソコンを携帯電話同様の感覚で利用するよ ション次第であることを過去の多くの事例が物語ってい る。モバイル・コンピューティングが今後さらに発展し、 いはデータベースなどの電子化された製品から構成され ることから、それらの流通もネットワークを介して実現 うになってきた。パソコンによる情報処理やネットワー クを利用することを知っている。ある意味では、すでに 普及するためには、IMT2000が使いやすい料金で提供さ れること、そしてモバイル・コンピューティングをより でき、遠隔地からの設備の利用法が確立すればソフトウ ェアの開発は、電子化が容易であり分散化に有利である。 コンピュータ・リテラシとデータ・リテラシを身に付けて いるといえる。こうした状況からすると改めて教育する 有効に活用する新しいアプリケーションを見出すことが ソフトウェアはオブジェクト方法論に則った、より単純 必要がなく、あえて何か教えることがあるとすれば、そ 重要である。当社ではモバイル・コンピューティングへ の期待とともに、技術的な課題を克服するための研究や 化されたインタフェースを採用するようになると予想さ れる。これは、ソフトウェア業界が永年追求してきた部 れはビジネスの世界で情報を活かすすべを教えることで あろう。ひょっとすると少しの動機付けをするだけで十 新しいアプリケーションの開発に積極的に取り組んでい るところである。 品化と再利用の実現の可能性が高くなることを意味す る。ビジネス・オブジェクトと呼ばれる部品が共通なプ 分かもしれない。 期待値は高い。やっとこれまでの膨大な情報化投資の <注> *1:Personal Digital Assistance *2:Personal Handy-phone System *3:International Mobile Telecommunications 2000 ラットフォームの上で集積され、インターネット上で流 回収ができる時期に入ったともいえる。とはいえ、これ 通するようになると従来のような大規模システムもこれ らの部品の組み合わせと、必要な部品のカスタマイズで からはデータ・リテラシとビジネス・リテラシを意識した 情報リテラシの育成が、その企業の発展の優劣を決める 実現できるようになることが期待される。その基盤とし ては、JavaとCORBAに代表される分散オブジェクト カギになることは間違いなく、こうした人的能力の養成 によって企業情報システムが期待どおりに機能し、高度 環境とフレームワークが活用されることになるだろう。 情報化社会における競争優位を獲得することができる。 5 特 集 モバイル・コンピューティング モバイル・コンピューティングの技術動向(上) 日本ユニシス株式会社 情報技術部 ITコンサルティング室 担当部長 田中 洋一郎 本紙4月号では、中部電力、サンデン、日本ユニ 浴びている。通信ミドルウェア層は、無線−有線区 ついても確たる見通しを持つことは難しい。 シスの3社のモバイル・コンピューティングの事例を 間のエンド∼エンド間通信の保証、通信品質の差を 標準的手法の策定については、現在MCPC(モバ 紹介した。 吸収したり、比較的通信コストの高いクライアン イル・コンピューティング推進コンソーシアム)が推 ト・サーバ間のやり取りを最小化する。通信層は、 進中である。 携帯・PHSから基地局までの無線区間(アクセス側ネ (2)処理パターン層 本稿から2回にわたり、モバイル・コンピューティ ングを検討する際の留意点を述べる。 ットワーク)とセンターで受ける有線区間(センター モバイル・コンピューティング・システムの全体像 側ネットワーク)があり、この2つのネットワークに 処理パターンとして分類したものが処理パターン層 ついて考える必要がある。 である。 最初にモバイル・コンピューティング・システムの 端末層は携帯情報機器について分類している。 全体像を鳥瞰する。システムを業務、処理パターン、 通信ミドルウェア、通信、端末機器の階層に分け、 業務層の処理分類について、処理ツールに注目し、 トランザクション処理は定型処理であり、短いメ なお、セキュリティおよび管理についてはすべて の階層で必要となる。 ッセージの場合が多く、ピーク集中度が高く所定時 間内での処理完了が必要となる。 各階層ごとに主要な要素を整理した(表1参照)。 これらの条件を現在の移動体通信のサービス・レ 各層における現状と課題 この場合、各階層はお互いに独立した関係とはな ベルと比較すると品質、速度、セキュリティ面でか らず相互に関連がある。実際にシステム化を検討す る場合、これらの各層についてどの要素が適当かを なりの差があり、適用は限定される。 (1)業務層 選択することにより、全体として必要な要素が得ら DBアクセス処理は非定型検索とデータサーバ(定 業務層での検討事項は、企業がシステム化しよう 型検索)のタイプがある。ピーク集中度は比較的低 としている業務が、「技術的に可能なのか」、技術的 く、逐次会話処理のため情報のやり取りが多く接続 に可能でも「実・現場業務に耐えるのか」を明確にす 時間が長い。移動体通信のビット誤り率(BER)を考 携帯電話・PHSによる通信(以下では移動体通信と略 るために作業場所・エリア、作業環境(移動しながら、 慮すると、 クライアント・サーバ間の通信を保証し、か 記)の進展により、まずC/SS(Client Server System)業 静止)、処理時間(何分以内に)を加えた要求仕様を つやり取りを最小化するエージェントが必要になる。 務のモバイル・コンピューティング化が期待できる。 作ることである。 れる。 各層について説明をすると、業務層では、今後、 配信型処理はサーバ主導のプッシュ型とクライア 処理パターン層は業務を支える支援ツールにより 特に作業エリア、データ量については、システム ント側から要求を出すスマートプル型がある。プッ 分類したものである。最近では配信型処理が注目を の耐用年数を算定するため、少なくとも向こう数年 シュ型はクライアントの状態(ネットワークに繋が の予測が必要となる。最近ではフィールド・サ っているか、携帯端末電源がONか、端末リソース ービス・オペレーションやテレメトリックも注 に余裕があるか)は無視されるが、リライアブル・マ 目されており、今後、業務層の要素として追 ルチキャスト・プロトコルの登場により無視される 加しなければならない。 ことはなくなった。 表1 モバイル・コンピューティング・システムの各層と主要要素 内 訳 層 業務 処理 パターン 業務系 (トランザクションタイプ) 情報系・ 業務系 オフィス 支援系 センター側 専用線 携帯 PSTN PHS 業務層における課題としては以下の項目が がある。電子メール型は機能、プロトコルの標準化 *モバイル・コンピューテングの情報システム がされており、最近では新標準(IMAP4)の登場によ への展開検討フェイズで標準的な方法が確 ・・・ 立されておらず各企業が個々に対応しなけ ISDN ・・・ ればならない。 ページャ ・・・ LAN Windows95 WindowsCE 専用端末 電子手帳 スマートフォン ・ タイプ タイプ タイプ タイプ タイプ グループウェア処理は電子メール型と情報共有型 ある ・・・・ リモートアクセス インター/イントラネット アクセス側 端末 セキュリティ 管理 関連 TRX DB アクセス処理 配信型 グループウェア処理 ・ 処理 非定型IR データサーバ 処理 電子メール 情報共有 通信ミドルウェア モバイル通信ミドルウェア 通信 ・・ り移動環境での使用がさらに容易になった。 情報共有型は各社が独自機能を打ち出しており、 標準化はこれからである。グループウェア処理は、 *システムの耐用年数算定時に通信のインフ 先進企業での事例が多く導入しやすいといえる。 ラ、サービスを想定する必要があるが、現 表2に各処理パターンの特徴と課題を示す。 状では通信分野は総じて揺籃期にあたり、 (以下次号につづく) サービスに至っては最終形はおろか2年先に UN 表2 各処理パターンの特徴と課題 処理のタイプ トランザクション処理 DBアクセス処理 配信型処理 グループウェア処理 特徴 ・全社レベルと部門レベルの処理がある ・全社レベル:銀行勘定系、座席予約 ・部門レベル:受発注管理、生産管理 ・定型処理である ・メッセージは短文が多い ・ピーク時間、日への集中傾向が強い ・リアルタイムの処理、確認が必要 ・データロスト、回線などの障害に対して は万全の対策が要求される ・非定型検索とデータサーバのタイプがあ ・Push型とスマート・プル型がある ・情報共有 る ・Push型: ・各社製品が独自機能、機能の標準化は ・逐次会話処理が多い ・サーバ側が一方的に配信スケジュール これから ・非定型検索: を決定 ・情報共有、連携作業をモバイル化する ・扱う内容は定型しずらく、非定型処理が多 ・ユーザは最新の情報を得ることが可能 ためのミドルソフトが充実しておりモ い ・ユーザの都合は無視される(その時に電 バイル化がしやすい ・検索、加工、シミュレーション連携処 源が入っているか、Networkに繋がって ・電子メール 理が多い いるか、マシンのリソースに余裕が有 ・標準化がなされており導入がし易い ・データサーバ: るかなど) ・新標準(IMAP4)によりモバイルでの操作 ・SQLなどでDB更新を行う ・スマート・プル型: 性が向上 ・定型業種が多い ・クライアント側からの要求により配信 ・先進企業の事例が多く検討がしやすい ・End User Computingでの使用が多い が開始 モバイル化の課題 ・現行携帯機器は、耐水、耐震、耐塵、対温の 面で使用環境が限定される場合がある ・安定的に所定ターンアラウンド・タイム内 に処理を完了されることは難しい ・CPU付加の大きいAP logicをクライアン トには搭載できない ・大容量データの場合、効率的な圧縮の考 慮が必要 ・逐次会話は接続時間、データやり取りの 頻度が高く、現状ではモバイルには不向 き ・CPU付加の大きなAP logicはクライアン トに搭載できない ・移動体通信は大容量の扱いは基本的に不 向き 対応策 ・屋外専用や業務特化タイプの機器を使用 する ・一部機能(例、注文登録)のみを携帯端末で 行う ・Agentを利用し以下の機能を付加する ・ServerとClientのやり取りを最小化 ・無線区間の断線対策に使用する ・AP分割でClientの負荷を少なくする ・プロトタイプ等での見極め ・メディアあるいはAPに応じた圧縮法の採 用を検討 ・Agentを利用し以下の機能を付加する ・移動体通信の断線対策 ・ServerとClientのやり取りを最小化 6 1998年5月1日第445号 ・サービスエリア、電波環境に注意が必要 ・Push型配信技術は、現在のところ各ベン ダー独自仕様。標準化については、現在 W3C(WWW Consortium)において作業中 ・センター、ネットワークへの負荷も不明 な部分が多い ・クライアントに過度の負荷となるような Logicは搭載できない ・課題は比較的少なく、グループウェア処 理から手がける場合が多い ・AP分割でClientの負荷を少なくする ・Agentを利用し以下の機能を付加する ・処理の状況を段階的にClientに報告 ・ServerとClientのやり取りを最小化 ・無線区間の断線対策 ユニシス・ニュース 1998年5月1日第445号 日本ユニシス モバイル・コンピューティングの活用で顧客サービスを向上 カストマーエンジニア支援の情報基盤さらに充実 日本ユニシス株式会社 カストマーサービス本部 カストマーサービス管理室 部長 保守サービス向上を目指して情報基盤整備を推進 情報をベースとした経営が展開されている時代、 顧客の情報システムは企業活動の最も重要な基盤と 山田 和夫 システムが、外出先のカストマーエンジニアにも活 イント・プロセッサ間で相互認証する手法を取り入 用できるように機能が拡充されている。 れ、高度なセキュリティ対策を講じている。 *カストマーサービスの情報基盤の概要 運用の評価 情報基盤の要となるCUSTOMは、主に次のよう なっている。情報システムには安定稼働が求められ、 なシステムから構成されている。 万一の障害にも迅速な対応が必要となる。情報シス ①顧客情報(顧客のプロファイル) テム・ベンダとしての日本ユニシスの責務は重い。 ②機器情報(機種名、設置場所など) 評価を得ている。 ③契約情報(保守契約の有無・内容) ●出先から拠点/サービス・ステーションに連絡しな こうした要請に対して、日本ユニシスのカストマ ーサービス(CS)部門では、効率的で高品質な信頼性 ④部品情報(部品在庫情報など) の高いサービスを提供するために、これまでも情報 ⑤コール情報(障害受付情報) これまでの運用を通じて、CEからは次のような くても業務を遂行できる *作業する機器の契約状況を検索・確認ができるた め、契約に基づく保守サービスができる。 このほかPM(定期保守)スケジュール情報などが 基盤の整備に努めてきた。 その中心となるものが保守サービス情報管理シス テム「CUSTOM」(CUstomer Service information TOtal *作業に当たって、過去のトラブル履歴が検索でき 用意されている。 Management system)であるが、さらなるサービスの の情報基盤として重要な機能を担っている。 向上を目指して、CS部門では情報システムの活用 *Daisy-Ⅳ活用の流れ をインハウスからモバイル・コンピューティングに よってフィールド・サービスの現場にも拡充した。 (図参照) 全国均一なサービス、機動力あるサービスの提供を目指す るため、的確な保守サービスができる。 また、メンテナンスに必要な技術情報もDaisy-Ⅳ *今必要な部品の在庫検索、緊急オーダーができ、 修復作業完了日の即答など、迅速な保守サービ スが可能。 Daisy-Ⅳの活用のプロセスは以下のとおりになっ *作業完了後、自部署の障害コール状況およびチー ている。 ①お客様からの障害発生コールはCSCに入る。 ムメンバーの移動状況が把握できるため、次の ②CSCでは、顧客名、使用機種、トラブル内容など 予定などを決めることができ、またスタンバイ 時間を有効に使える。 を登録する。 ●膨大な資料を携帯せずに保守作業ができる ③コール受付スタッフはトラブル内容の切り分けを 当社CS部門のモバイル・コンピューティングは 行い、現場での緊急修復が必要な場合、携帯電 *技術情報、トラブル事例、据え付け調整方法など 「Daisy-Ⅳ」(Dial up Access to Information service 話でCEに出動指示を行う。緊急でない場合は登 の情報が入手でき、障害修復が的確、迅速に行 Systems Interface Vehicle)と命名している。 録しておいて、現場作業が一段落した段階でCE Daisy-Ⅳの目的は、CE(カストマーエンジニア)の *保守作業終了後、引き続きレポート業務ができる 情報武装化を推進することによって、①地域格差の ④CE移動登録を行う。 ないサービスの提供、②機動力の高いサービスを展 ⑤CEは携帯情報端末からお客様の住所、トラブル 開し、顧客サービスの一層の向上を図る点に置いて いる。 える。 ●事務所に戻らずに仕事が完結できる が情報を取りにいく。 ため、業務が能率良く完結できる。 *作業で残ったペンディングは、 PM予定を検索し、 内容を検索し、現場での修復作業に当たる。 次回のPMとリンクさせた次の作業予定を決めら 現場では契約状況の検索、必要な部品在庫の確 また、情報の電子化による携帯資料の削減、報告 認、発注などを行う。また過去のトラブル履歴 業務の簡素化などカストマーエンジニアの生産性向 を検索したり、修復に必要な技術情報の検索も ●顧客満足度の向上 行える。 *保守作業の現場で携帯端末を使った対応に対して 上。さらに、電話によるサポート時間の短縮や技術 情報の提供手段の効率化によるサポート部署の効率 化を主な狙いとしている。 れる。 ⑥障害復旧の段階で、修復作業内容、作業時間など お客様から好印象を得ている。 を入力し完了報告を行う。これらの作業完了デ 今後の展望 ータは今後の品質管理データとして蓄積される。 Daisy-Ⅳの概要 Daisy-Ⅳのバックエンドは、 ①お客様からのコールに対する障害切り分けやCE の出動を登録するCSC(カストマー・サービス・セ ンター)のOCA(On-Call Assist subsystem)サーバ ②情報提供基盤となるインフォメーション・ハブ(デ ータベース) ③全国の支社・支店(アクセス・ポイント)に設置され *システム環境 携帯情報端末は、拡張性・汎用性のあるサブノー 日本ユニシスでは、こうしたモバイル・コンピュ トPC(ユニシスのAQUANTA LN)を中心にほぼ1人一 ーティング環境をはじめ、構築してきた1人一台の 台および携帯電話で構成し、CEはアクセス・ポイン 情報基盤をベースにさらに強化し、情報活用体制の トに接続して情報を取得する。 一層の強化・拡充を図ろうとしている。 通信方法は、デジタル携帯電話接続、ISDN対応 例えば、計画中の勤怠処理の電子化など全社的な 公衆電話または一般加入電話回線を利用している。 情報共有の仕組みが実現すれば、CEのバーチャル・ Daisy-Ⅳでは顧客情報や保守情報などの重要な情 オフィスの実現も具体性を帯びてくると思われる。 報を扱うことから、クライアントPCとアクセス・ポ たDaisy-Ⅳサーバ から構成されている。 OCA ・コール・トラッキング ・コール・マネージメント C S C CE移動状況管理、部品の在庫管理、出庫依頼がで OCA アプリケーション サーバ サーバ きるようになっている。 WAN OCA:On-Call Assist system CSC:Customer Service Center また、イントラネット上のWWW上のメンテナン ス関連情報を携帯情報端末で入手可能とし、プロダ いるノウハウをシステム化したもので ある。IMC(Information Management 問い合わせ・質問 Daisy-Ⅳでは、携帯情報端末を保守サービス情報 ステムに接続して、コール情報の検索、終了報告、 40年以上にわたって高い評価を受けて お客様 *Daisy-Ⅳの主な機能 管理システム、総合部品管理システムなどの基幹シ 日本ユニシスのカストマ・サービス情報基盤は、 カストマーサービス情報基盤 サービス提供 Daisy-IV 公衆回線 クトの多様化に伴う膨大な資料の携帯から開放され ンに基づいた顧客第一主義の基本理念 カストマー サービス・ エンジニア アクセス・ポイント インフォメーション・ハブ CUSTOM とするサービスのさらなる高品質化を 目指している。 次は、NTTのナンバー・ディスプレ サ ー ビ ス 拠 点 WAN IIDS Company/Creator)という企業スローガ イ・サービスを利用しCTI化した顧客対 応窓口のシステムを紹介する予定であ UN る。 る。さらに、携帯情報端末で電子メールを行える機 能を備えている。 このように、インハウスの顧客サービス情報管理 技術情報 顧客情報 機器情報 契約情報 PM情報 部品情報 コール情報 メールサーバ 東京データセンター 7 ーズへの対応 ITASCA3800ホスト・システムの位置付け 将来的な時間延 金融情報システム [オフィス支援系] [業務系] 長において現行ホ 次期ホスト・システム パソコン・ ネットワーク 電子メール ITASCA 3800 PC連携機能 ・処理能力の向上 バッチ・情報系 ・ホワイトカラーの生産性 の向上 ・時間延長への対応 業務の分散 ・迅速な経営判断 ・パソコン・ネットワーク対応 ・OA(EUC)化の推進 ・合併/共営対応 [情報系] ストではCPU、メ モリ、磁気ディス ク容量に限界があ る。 *パソコン・ネッ 金融新時代に対応しシステム基盤の強化相次ぐ ホストを「ITASCA3800」にレベルアップ 機能分散 (ダウンサイジング) トワーク構築へ の対応 ・窓口端末のパソコン化による価格メリット の享受 ・専用機からマルチ端末化 ・マルチメディア技術による事務の効率化 パソコン・ネッ トワークの普及に 営業店 端末 対応し、ホストと ビッグバンを控え金融新時代に直面する地域金融機関では、ホスト・コン ピュータを最新鋭のオープン・エンタープライズ・サーバ「ITASCA3800」にレ ベルアップし、システム基盤を強化する動きが活発化している。 これは、激変する金融環境に対応するため、総合オンライン・システムの 機能拡充、戦略的情報システムの展開を目指したものである。 西武信用金庫 パソコン間の連 ●導入の効果 携、ホストからパソコンへの処理分散、 ホストでのパソコン集中運用管理な すでに、リアルタイム部分の2000年 ど、オフィス支援系システムとホスト 対応を完了し(98年1月)、業後バッチ との有機的結合を実現するインフラを 処理時間を半減している。 整備する。 ●今後の計画(展望) *西暦2000年問題対応 ①ITASCAとパソコン・ネットワークを 新ホストによる西暦2000年問題対応 融合した情報系の再構築。 (2桁から4桁へ)の負荷が、現行ホスト 西武信用金庫では、1990年以来エン 営業店端末の刷新を検討中。 ●システムの概要 404」をホストに、総合オンライン・シ ITASCAは業務系システム(総合オン ステムを運用してきたが、次のような ライン・システム)の中核として機能す 狙いから「ITASCA3800」にレベルアッ るとともに、オフィス支援系(パソコ 本店 プし98年1月より本番稼働を開始した。 営)戦略への対応 電子メールによる生産性向上、迅速 ト・システムを利用した他金庫との共 な経営判断、EUCの推進を目指したパ 最新鋭機の導入による処理能力の向上 営システムに対応するために基盤を強 ソコン・ネットワークの構築も日本ユ を図る。 化する。 ニシスが担当し、96年5月から本番稼 *金融再編による合併、共営(共同自 *時間延長などの対顧客サービス・ニ 働を開始している。 全体システム構成図 信用組合 関西興銀 信用組合 関西興銀では、UNISYS UNISYS ITASCA3800-22 A号機(ドメインA) 勘定系システム (R-FAST) システムを運用してきたが、次期総合 入し、本年1月から稼働を開始した。 ●導入の狙い ビッグバンを見据えた将来システム へのインフラ整備を行う。 ●システムの概要 ①勘定系システム ユニシス提供の総合オンラインパッ 本店全景 いる。 UNISYS USF105 事務リスク チェックシステム 勘定系 対外系 情報系 事務管理業務 システム開発 UNISYS (PCサーバ) ロータスノーツ Lotus Notes ネットワーク Windows-NT TCP/IPデータ転送システム (TAS1100) HLC-Ⅱ(ホストLANコントローラ) ルータ CISCO7000 信組ネット FB/HB SD&INS64K バックアップ □営業店(全46カ店) ルータ TDM OKI GPT 営業店システム 情報系 PCクライアント □ 本店 TDM ルータ 基幹LAN(10Mbps) UNISYS (PCサーバ) Lotus Notes NetWare UNISYS U6000/100 (部門UNIXサーバ) 人事情報システム 給与計算システム 総務部経費システム PDS構内LANシステム(10Mbps) MICS CAFIS ATM PBI 本店内には、クライアント/サーバ・ システムを構築し、人事情報システム、 また、事務集中システム「DOCS」に よる手形交換、期日管理、「インター ファーム・バンキング、ホーム・バン リーフ」による事務規定文書管理シス テム、「USファミリ」を利用した事務 全銀ファイル転送などを行う。 リスク・チェック・システムなどがあ ③情報系システム り、新ITASCAシステムは、これらす 1998年5月1日第445号 ANSERセンター スノーツによる情報の共有を実現して キング対応のANSER1100システム、 8 公衆網 ーバ15台が設置され、全店へのロータ ムなどを展開している。 ン、渉外支援システムなど。 開発系 システム TDM 事務センターには、UNISYS製PCサ (収支ペア、PBI接続など)を追加し勘 主要顧客管理、金利シミュレーショ 事務規定文書管理システム (INTERLEAF) SAFE2200(ホットスタンバイ・システム) DCP600(無停止型通信制御装置) 接続されている。 給与計算システム、総務部経費システ ②対外系システム 統合運用管理システム(COSTAR) ITASCAと本店基幹LAN、営業店(全 UNISYS USF120 46店舗)PCとは高速デジタル回線網で ケージR-FASTをベースに最新の機能 定系アプリケーション処理を行う。 OKI FAX-OCR 事務集中業務 B号機(ドメインB) ASU (ホットスタンバイ) 情報系システム CICD (主要顧客管理) (MAPPER) 金利シミュレーション 情報系DB 渉外支援システム として、最新鋭の「ITASCA3800」を導 *ビッグバン対応のインフラ整備 勘定系AP ANSER2200 対外系システム ODEX-Ⅱ(全銀ファイル転送) (UNITE) オンライン・システム構築のインフラ 問題対応を図る。 UNISYS A7、 DP500 総合事務集中 手形交換 システム (DOCS) 期日管理 □事務センター 2200/405(2台)により総合オンライン・ ホストのインフラ回りの西暦2000年 ◆新都心から中野をコアに多摩西部地 区・埼玉県南部に41店舗・27出張所の 店舗ネットワークにより、“お客様満 足の向上”を事業計画の根幹に据え ている。来年創立30周年を迎える。 ◆本店=東京都中野区中野2-29-10 ◆代表者= 田 幸夫理事長 ◆預金量=7,100億円 ◆店舗数=41 ◆職員数=900人 ◆使用機種=オープン・エンタープライ ズ・サーバ「ITASCA3800」 チ・情報系業務の分散化を進める。 高いコスト・パフォーマンスを持つ *インフラの強化 ■西武信用金庫 ン・ネットワーク)とのPC連携、バッ 金融再編による合併や同金庫ホス *処理能力の向上 ②オフィス支援系との連携可能な次期 に比べて半分で済む。 タープライズ・サーバ「UNISYS2200/ ●導入の狙い 共有利用 べてのシステムの基盤となる。 ●導入の効果 ①ホスト・システムのインフラ周りの 西暦2000年問題対応を完了した。 ②今後のリテール業務の進展に向けた 大量トランザクション処理が可能と なった。 ③将来システムへのインフラ整備の第 一歩となった。 ●今後の計画(展望) ビッグバンを見据えた将来システム へのレベルアップを検討中である。 UN ■信用組合 関西興銀 ◆93年7月、95年3月の合併により大阪・ 兵庫・滋賀・和歌山・奈良・岐阜と幅広 い営業区域を網羅し、顧客第一主義 のもと活躍する信用組合。94年度「財 界/経営者賞」を受賞した李 勝載理事 長のもと、ユニークかつ活力ある経 営を展開している。 ◆本店=大阪市天王寺区筆ケ崎町2-8 ◆代表者=李 勝載理事長 ◆預金量=1兆1,540億円(97年3月末) ◆店舗数=46 ◆職員数=1,029人 ◆使用機種=オープン・エンタープライ ズ・サーバ「ITASCA3800」ほか ユニシス・ニュース 1998年5月1日第445号 ートしたのでは混乱を招く恐れがある と考え、段階的に導入した」(滝川氏)。 製造工業情報システム 業務に精通した強みを活かし アプリケーションを自社開発 現在、クライアントは事務職向けの デスクトップ型および営業向けのノー ト・パソコン合わせて計41台が導入さ グループウェアの活用で 全社レベルの情報共有を実現 れている。営業担当はノート・パソコ 事務所でのノーツ活用風景 ンを携帯して出向することを原則とし ファイルを公開するよう薦めている。 ており“全員が使わないと効果がない” *設計処理状況 というグループウェアの鉄則を実践し ている。 業務の効率改善や意思決定の迅速化を促進 入しているもので、営業担当はそれを アプリケーション開発は情報企画室 東洋実業 技術者が設計中の進捗状況を毎日記 参照して受注した製品が現在、どの進 が担当した。その理由は「アプリケー 捗段階にあるのか的確に把握できる。 ション開発もユニシスが行うものと思 *技術メモ っていたが、将来のメンテナンスを考 包装設計に関する技術情報を記入、 えると、自社開発がよいと薦められ、 分類しているもので約200文書登録さ ア・システムの活用により、全社レベルでの情報共有を実現し、営業・設計業 講習会でノーツの開発手法を勉強し れている。技術者、営業担当が相互に 務の効率改善はもとより、組織としてのコミュニケーションの迅速化を図っ た。実際の作成面では、ユニシスの専 入力したり、コメントをつけられる。 ている。 門家にコンサルテーションを受けなが *顧客事務マニュアル 包装設計・コンサルティングの専門企業である東洋実業ではグループウェ このシステムはグループウェア「ロータス・ノーツ」をベースに構築された ら作り方を教わった。結果的に、変 ペーパーレス推進のために取引先ご もので、サーバやクライアントの選定、導入、セットアップまで日本ユニシ 更・追加が自由に行える/社内の要求に とに異なる事務処理方法をファイル化 スがインテグレーションした。 応えやすい/仕組みに凝らなければ簡 したもの。 単に開発できることなどから、自社開 *経費精算 ■東洋実業株式会社 ◆総合包装・物流コンサルタントとして、 工業製品向けの包装設計ならびにその 設計に基づいた包装資材販売を主事業 としている包装設計の専門企業。 ◆本社=大阪市淀川区塚本3-6-9 ◆代表者=米田 芳弘社長 発という方針は正しかったと思う」(企 ◆設立=1951年2月 ◆売上高=44億円 ◆従業員数=70人 ◆使用機種=オフィスプロセッサ「シリ ー ズ 8 」 ×4 、 P C サ ー バ 「 A d v a n t a g e SVD」×3、PCクライアント×41 画情報室リーダー 中嶋 正雄氏)。 グループウェア・ベースの業務 遂行体制が整う ノーツ活用は当初、営業日報、行動 予定表、ノーツメールの3種類でスタ 大競争時代を勝ち抜く決め手と しての情報共有化 討が開始され ートし、現在、次のようなアプリケー た。 ションが展開されている(画面参照)。 *営業日報 大多数の社 標準テンプレート「承認ワークフロ ー」を流用して作成したもので、交通 費などは、この画面に入力しないと精 算処理されない仕組みとしている。 情報共有化と迅速流通で業務効率が 大幅に向上 効果として次の点を挙げている。 ①情報の共有化とスピードアップ 営業日報などは作成者から中間管理 同社はオフィスプロセッサを使って 員がパソコン 日々の営業活動を報告するもので、 者を経て、トップに到達するまで長い 基幹系業務のシステム化を図ってきた 初体験となる 顧客に関する新鮮な情報を作成者別、 時間を必要としたが、各職層が同じタ が、米田社長から「専門性の高いノウ ため、約半年 部署別に見ることができる。また新規 イミングで閲覧できるようになった。 ハウを技術・営業の双方でいかに共有 間、社内広報 取引先の情報などが入手でき、作成者 特に拠点を超えた情報入手が格段に向 できるか。また、社員の情報リテラシ などを通じて に対するコメントも入力できる。 上し、指示のタイミングが的確になっ を向上できる効果的な手段を考えてほ コンピュー *行動予定表 た。 しい」という命題が95年春、企画情報 タ・アレルギ 当日、週間行動予定などを記載する 本社 ②横のコミュニケーションの充実 もので、出張先からも予定を送信する これまで自分の担当以外の仕事には の情報リテラシ教育を実施し、96年2 よう指導している。営業担当の行動が 関心が薄かった人も営業日報などで情 のソフトウェアと技術が売り物の会社 月からサーバやクライアントの導入、 正確に把握でき、担当者の予定を調整 報を得られるため、横のコミュニケー である。表計算や電子メールだけでな ネットワークの構築、データベースの して会議を設定できる。 ションが予想以上に緊密になった。特 く、営業担当が仕入れてきた生の顧客 設計に至るシステム・インテグレーシ *公開掲示板 に営業、技術間での情報交流が活発に 情報やビジネス情報、また個々の設計 ョンを日本ユニシスに依頼した。 室に与えられた。 その結果、「当社は包装設計のため 技術者が保有しているノウハウなどを ー払拭のため ノーツ導入は次の4段階に分けて全 総務からの通達をはじめ、個人レベ ルで全社に伝えたい情報などを公開し なった。 ③情報の活性化 ている。全員または部署だけの公開な 社内の情報は公開掲示板で一斉に得 り、一層お客様に満足いただける包装 第1ステップとして「サポートの目が ども設定でき、文書類にはサーバの負 られるため、それまで眠っていた情報 設計を実現しよう。この情報の共有化 届きやすく検証しすい規模」というこ 荷を軽減するため、公開掲示板に添付 も気軽に公開できるようになった。 のためにはグループウェアが最適と判 とで、96年4月に大阪本社営業部門に 「今後は紙ベースの営業案内を 断し、日本ユニシスの推薦もあってグ サーバ1台とクライアイト(ノート・パ 電子化して、ノーツ・データベー ループウェアの標準製品といえるロー ソコン)18台を導入し利用が開始され スとリンクし、お客様の目の前で タス・ノーツの採用を決めた」(企画情 た。 携帯パソコンからプレゼンテーシ 全社レベルで共有できる仕組みを作 報室マネージャー滝川 荘子氏)と語る。 ユニシスの支援の下に段階的に 全社に拡大 「当初、4年計画で全社展開する予定 だったが、変化の激しい時代では悠長 社展開が実施された。 続いて東京支社、名古屋支社、最終 ョンできる営業案内ツールを作成 ステップとして97年4月に本社の営業2 したい。また、オフコンで管理さ 部門、九州営業所、鈴鹿事業所、同年 れている実績データなどを取り込 10月に上海の駐在員事務所にも導入を んで、営業活動に資する情報公開 図り全社体制が整った。 を図りたい」(滝川氏)としている。 UN 「当社にはこれまでノーツ利用のノ すぎると、2年計画に変更」(滝川氏)し、 ウハウはなく、運用・開発担当者は私 95年10月からノーツ導入の具体的な検 を含めて2名であり、全社一斉にスタ ノーツのメニュー画面 9 IT最前線 What's EC/CALS ( ? 2) 中央精機における 世界No.1の「自動車用部品づくり」への挑戦 中央精機株式会社 技術部技術室 主査 *提案型企業を可能とする組織体制の 受注型から提案型企業への変革を目指す 確立 浜田 和男氏 *画期的な開発技術力、特許意識の日 常化 自動車用ホイール・メーカーを取り 品質・高コスト体質の傾向がある、③ 当社の場合、OEM向けライン製品 すでに、デザインCAD、FEM(有限 巻く環境は、 供給過剰、 限りあるパイの 原価低減策によって製造現場の改善が が主体である。一方、純研究開発テー 要素法)/BEM(境界要素法)などを展開 中でのシェア競争の様相を呈している。 進む一方で、ホワイトカラーの生産性 マ(中長期)については、ある特定部門 しているが、今後は仮想試作、溶接部 完成車メーカーが部品を世界の最適地 向上が遅れがちであるなどである。 で独自に展開していた。 解析などに先端ツールの徹底的有効活 から調達する傾向が強まる中で、部品 こうした現状を踏まえて、大競争時 そこで、直近のトレンド商品に対す メーカーも大競争時代の渦中にある。 代に勝ち抜くには、これまでの受注型 るスピーディな展開を目指して97年か 一方、当社の企業スタイルを振り返 から提案型企業への脱皮が不可欠であ ら技術部門主導のプロジェクトをスタ また、特許意識を高め、公開件数の って見ると、いくつかの経営課題があ り、そのためには、 “世界No.1部品づ ートし、具体的な取り組みを進めてい 増加を目指して、ワーキング・グルー る。例えば、①生産販売がOEM中心 くりへの挑戦”が命題であると認識し、 る。 プを発足させている。 のため安定堅実型である、②重要保安 一昨年からその取り組みを進めてい 部品であることを意識するあまり、高 る。 *受注機会の損失を回避するための開 No.1の獲得と維持のために、①市場 アルタイムに入手できる体制を目指し (顧客)の情報入手ルートの整備、②顧 てメディア情報システムを97年9月に 客の声の客観的な評価、③商品企画に 稼働させた。 これは、デジタルカメラ、ビデオな つ開発・革新技術力の装備の4点を要件 どのマルチメディアを利用してトレン とし、これらの要件をサイクリックに ディな静止画・動画情報を国内外拠点 (図1参照) から素早く収集し、デザイン工程以降 展開していくこととした。 へ展開するものである。 これらの要件1つひとつに対して自 発納期の短縮 *低コスト化(原価の8割は設計で決ま る) 反映させる組織体制、④ライバルに勝 *市場クレームやPL問題などにも対 応できる品質向上 などである。 分析し、そのあるべき方向性を次のよ 来から完成車メーカーによる車両分解 これらの3つの要件において劇的な うに定めた。 展示会、他社ホイール・コレクション 改善を実現する方策は、高い目標に向 *情報入手網、分析・整理体制の確立 調査やタイヤ組付委託品の観察などを けて、部門間の壁を越えてスピードと デザイン分野では、従来の国内外か 実施しているが、突発的で頻度も少な 正確さが重要となる。 ら担当要員が人海戦術で市場調査情報 く「見るだけ」「集めるだけ」に終始して を収集するのではなく、最新情報をリ いた。 今後はターゲット を明確にした上で、 【要件】 計画的なベンチマー 情報入手ルートは 整備されているか (分析、整理) クを実施することと No.1の 獲得と維持 のサイクル 商品企画 (方針、戦略) 何をつくるか *定量的、客観的な 顧客の声…不満、要望 (OEM、市販) 評価基準の整備 自己満足でなく 客観的な評価 (自社の弱点の見極め) 展開する組織はあるか 判定基準はあるか 評価表の例:(対象 :⃝ ⃝ ⃝ ⃝ ) (l) 性能 (F) → 弱点:見栄え&品揃え 重要度 I 重要度(I) 良い← 評 価(E) 5.4.3.2.1 評価項目 2 商品力(F)は競合他社に対し、優位か? また、お客様にとって満足できるものか? 2 性能、品質レベルはどうか? 高い← 2.1.0 合 計 今後は、各種ツールを新製品開発業 務に展開し、実務面での有効性を検証 極めるための判定基 ミ解析(BEM:開発中)、成形解析まで、 していく。これによって、開発納期、 準の整備を図った。 ほぼ一貫して先端的なツールを活用し 低コスト化、品質の劇的な改善を実現 開発技術力の向上に挑戦している。 し収益への貢献を目指していく。 製品設計・解析の分野では、97年9月 また、CAEと次世代CADを核とした して優位か、顧客に にホスト集中型システムをダウンサイ とって満足できるも ジングし、日本ユニシスの3次元統合 製品開発技術力をさらに強化し、世界 UN No.1部品づくりに邁進する。 のかといった評価項 CAD/CAMシステム「CADCEUS」(キャ ドシアス)に切り替えた。 揃え、法規制対応な 現在、日本ユニシスを交えて具体的な 2 見栄え性はどうか(デザイン、意匠、お化粧) 2 4 どの細目にわたっ 運用を詰めている段階である。 2 シンプル性はどうか 3 6 2 互換性はあるか 3 6 2 安全性は充分か(PL対策は充分か) ⋮ ⋮ ⋮ て、重要度と評価を また情報技術の有効利用の面で特に ポイント付けして自 CAE技術の強化が決め手と考えてい 社商品の評価を行っ る。 ている。 (図2参照) そこで、ホイールのハブ面の精度、 溶接部へFEM解析を適用し、ハブ面 部の精度の確保、溶接部の絶対評価手 10 1998年5月1日第445号 基礎固めも完了している。 品力は競合他社に対 8 6 法(3次元)、相対評価(2次元)手法を確 ルミ解析/モデリング(開発中)、アル 6 3 10カ月 解析、金型設計、アルミ金型設計、ア 4 法規性対応はできているか 量 産 し、自社の弱点を見 めのツール群の核に位置付けており、 2 CAEおよび シミュレーション 報)を客観的に評価 公害面への考慮、品 4 試 作 開発のキーポイントとなるCAE技術の 8 6 企 画 設 計 当社では、デザインから製品設計・ 4 2 現 状 入にある。 CADCEUSを、開発技術力強化のた 品揃えは充分か 充 実 度 この部分強化 フロント・ローディング 立しており、フロント・ローディング 品質レベル、環境・ 2 将 来 次世代CAD/CAEなど先端ツールの導 6 6 図3 CAE活用による開発期間の短縮 3次元統合CAD/CAMシステム「CADCEUS」導入で 開発技術力を強化 3 3 る。 19カ月 目に対して、性能・ 3 の導入による低コスト化を期待でき 開発期間 計 I*E 環境・公害面は考慮しているか へのコンカレント・エンジニアリング を導入し、ツールとしては情報技術の 3 独自性はあるか、つけるか(オリジナリティ) 力解析)と金型設計・製作(成形性解析) 理、コンカレント・エンジニアリング 評価 E 2 ⋮ そのための仕組みとしては、源流処 2 基本性能は充分か 2 期間の短縮(図3)、また、製品設計(応 顧客の声(市場情 例えば、自社の商 図2 自社製品の評価付け ミュレーションなどの活用による開発 ーゲットに置いている。 開発技術力の向上策のポイントは、 した。 ライバルに勝つ 例えば、設計段階でのCAEおよびシ の1、低コスト化・軽量化30%達成をタ また、設計・生産技術分野では、従 開発・革新技術力はあるか (オリジナリティ) 徹底的有効活用が決め手となる。 そこで、2000年までに開発期間2分 社の組織、体制、ツールなどの実態を 図1 No.1部品づくりの要件 を進めていく。 開発納期、低コスト化、品質の劇的な改善を目指す No.1部品づくりの課題は、 No.1の獲得と維持のための要件 用とコンカレント・エンジニアリング ■中央精機株式会社 ◆自動車用ホイールの大手メーカーで、 特に乗用車用では国内トップのシェ アを誇る。この他、LPGボンベ、コ ンプレッサを製造。海外事業への拠 点整備も積極的で、米国、東南アジ アなどに多数の技術拠点を有する。 ◆本社所在地=愛知県安城市大東町2-2 ◆代表者=武藤 尤示社長 ◆設立=1939年9月 ◆売上高=約450億円(97年3月) ◆従業員数=1,200人 ◆主な使用機種/システム=3次元統合 C A D /C A M シ ス テ ム 「 C A D C E U S 」 、 UNIXワークステーション「USファミ リ120U」13台ほか。 ユニシス・ニュース 1998年5月1日第445号 サービス アドバンスト・コンサルティング・サービス(11) 新たな資金仲介機能としての債権流動化について 日本ユニシス株式会社 アドバンストコンサルティンググループ プリンシパル 債権流動化の背景と目的 銀行に信託し、信託銀行は信託債権を の設立基準や、原債権の譲渡に関する もとに信託受益権を発行、これを投資 制約(対抗要件具備方法)、信託受益権 家に販売するものである。 の非有価証券扱いによる流通性の制約 「債権流動化」とは資産をもとにした 供の要請」などの大きな流れと、これ 資金調達の方法であり、別名「資産流 らを支援する確率・統計理論とその事 第3は組合方式である。原債権を匿名 動化(証券化)」ともいわれる。 務処理を具現化するコンピュータ・シ 組合(商法)や任意組合(民法)に譲渡、 ステムの進展がある。 投資家は組合に出資してその出資配当 その特徴の第1は資金仲介機能のア 西脇 康雄 ンバンドリングが挙げられる。審査・ 債権流動化の目的には、第1に資産 (融資)・証券発行・資金集約がその仕掛 譲渡によるオフバランス化での財務指 いずれの方式であれ変換体に求めら けの中で分割されている。 標の改善、第2にノンバンクや中小企 れる要件には課税透過性、会計上の非 (一部の例外はある)など種々の不備が ある。 しかし今国会に上程されている金融 を受け取る方式である。 関連法案でかなりの分は整備されるこ とになろう。 ただ、今後金融関連業務は従来の官 第2は社債やCPなど債券とは異なり 業、ベンチャーなどへの資金調達手段 連結性、原債権者との倒産隔離がある。 の規制のもとに行動する規範から、実 発行者の信用リスクではなく、資産の の提供、第3にアセット譲渡による資 実務上の仕掛けとしてはこれらの複合 際の市場の要請に従って行動し、官に 信用リスクに依存している点である。 金調達の資本の効率運用、第4に原債 方式が多く見られる。 働きかけ新しい規律の制定を促すこと したがって、流動化債権発行対象企 業は大幅に拡大することになる。 背景には、「金融の証券化」「資本の 効率性重視」「自己資本比率の達成」「新 務者の信用リスクの分散によるリスク なお現時点では、商法上の株式会社 分散、第5に原債務者の信用リスクに 流動化の実務作業と事務管理 よる資金調達コストの低減、第6に新 しい投資商品の創設がある。 たな資金調達手段および投資商品の提 が必要となろう。 ①債権プールの選定・抽出システム 流動化の実務作業には、第1に原債 原債権の選定・抽出とパフォーマン 権の選定・抽出、第2は販売商品の組 債権流動化の全体 成・分析、その内訳にキャシュフロー ス・レコードの蓄積・分析がある。 分析、信用補完の設定、格付けの取得 ②組成・分析システム 債権流動化のプレーヤとその役割を ⑤証券引受機関とはSPVの発行した証 がある。第3は法務、税務、会計面の調 抽出債権プールからキャシュフロー 図1に示す。簡単にプレーヤの役割を以 券を引受販売する者で通常銀行、証 査と当局との許認可等確認、第4は販 分析や信用補完などの商品組成を行う 下に説明する。 券会社が行う。ただ、特債法では小 売方法の設定、第5は回収、利払・償還 もので、システムとしてはキャシュフ ①原債務者は流動化対象の債権の債務 口債権販売業者または銀行、信託銀 者の決定、第6は各事務管理の構築・実 ロー分析が主となる。 行となっている。 施がある。 者であり、その地位に影響はない。 原債務者からの元利払が流動化商品 (図1参照) ⑥証券化アレンジャとは原債権者に本 実務作業の中で特にコンピュータ・ の元利払の源泉となる。 ③証券引受・販売システム 通常の社債・株式の引受・販売システ スキーム全体もしくは一部実施の指 システムが絡む作業を主眼においての ムに同じ。 ②原債権者は本スキームによる資金調 導、アドバイス、実行を行う者であ 流れを図2に示す。 ④回収・管理事務システム 達者であり、所有債権(原債権)を証 る。通常、投資銀行、証券会社など 券発行専門体に譲渡し資金を得る。 が行うことが多い。 通常は発行専門体から原債権の回収事 産管理(リース)、SPVへの報告がある ⑦信用補完者は流動化商品のキャシュ 原債権の選定・抽出、組成・分析、商品 ⑤証券の利払・償還システム フローの信用補完をする。通常格付 引受・販売の初期作業と原債権の回収 原債権の回収金の受入、再運用、証 けの高い金融機関などがなる。 および発行債券の利払・償還の作業が 券の利払、償還と異例償還などがある。 あり、需要者側からは、投資・運用が ⑥投資・運用管理システム 務を受託する事務管理者となる。 ③証券発行専門体は原債権者から債権 を譲り受け投資家にそれを担保に証 ⑧格付け会社は証券化商品の格付けを 券を発行し元利償還する主体であ する。投資家にとっては流動化商品 る。形態としてはSPC(特別目的会 は仕組みが複雑なため今後の市場拡 社)、信託、組合がある。 大を考えると必須となろう。 有価証券の投資・運用管理システム ある。 ⑨専門家集団とは債権の譲渡、SPVの 発行・流通市場ともに未発達のため、 委託を受け原債権の回収、管理を行 設立、対抗要件具備、また会計上の 販売・情報提供機能は限定されている。 う者をいう。 計上方法、課税主体、課税対象など、 務システムの構築、維持 資産譲渡 譲渡代金 元利払い 証券化 ⑥ アレンジャ 証 券 引 受 機 ⑤関 ③体 信用⑦ 補完者 証券販売 購入代金 元利払 投 資 家 体的には弁護士、会計士、 組 成 販 売 時 格付付与 格付 会社⑧ 原債権 選定 抽出 ① 組成・分析 ② アレンジャ オリジネータ オリジネータ 税理士、システム・エンジ 引受・販売 ③ 信託銀行/証券 会社 供給者側 組み、プレーヤなど複雑に なるが、それぞれの機能別 回 収 償 還 時 原 債 務 者 サービサ (オリジネータ) 回収・管理 事務 ④ S P V が必要となるシス 販売 回収代金 発行・流通市場 ⑦ ニアなどである。 以上述べてきたように仕 保証 上記システムの 中でオリジネータ ・ 指導,アドバイス などに携わる者をいう。具 ︵証 変券 換 体発 S行 P専 V ︶門 新発債、既発債などの情報提供シス テムで今後の分野である。 図2 流動化の目的と調達目標 ・ 事務管理者(サービサ)④ ︵ オ原 リ ジ債 ネ権 ー者 タ② ︶ ⑦情報提供システム さらに各主体における事 図1 債権流動化の全体 元 利 支 払 に同じ。 またその中間に販売と情報提供の作 業が存在する。ただし、現時点では、 ④事務管理者(サービサ)とはSPVから 原 債 務 者 ① 原債権の回収、延滞督促、原債権資 債権流動化の生成から消滅までを事 務作業から見ると、供給者側にはまず SPC/信託 (信託 銀行、オリジネ ータ、その他) 利払・償還事務 ⑤ 投 資 家 ︵ 需 要 家 側 ︶ ⑥ テムは①、②、④、 ⑤と⑥がある。特 に①④は必須とな るが現行の勘定系 システムへの影響 が相当見込まれ る。 に独立した分野になり得る。 専門家集団:弁護士、会計士、税理士、システム・エンジニア⑨ 今後の対応 流動化業務は銀行関係ではここ数年 流動化の手法 資産圧縮目的で始まったばかりであ の自由化の進展とともに飛躍的に拡大 していくものと考えられる。 流動化とは原債権のキャシュフロー る。原債権者は所有原債権をSPCに譲 り、ビジネスとしてはこれから本格的 したがって金融機関などはそのシス を何らかの変換体を通して投資家へ販 り渡しその譲渡代金を受領、SPCは譲 に取り組みが始まろうとしている。ま テム基盤構築の準備を進めることが肝 売するものであるが、その変換体の方 受債権を担保に証券を発行し、投資家 たノンバンクでは特債法の下でやはり 要となろう。日本ユニシスでは、流動 式には大きく3つの形態がある。 に販売する。 ここ数年始まったのが現状である。し 化システム基盤の構築をお手伝いでき かし米国の例に習って我が国でも金融 るよう整備を進めている。 第1はSPC(特別目的会社)方式であ 第2は信託方式である。原債権を信託 UN 11 IT 最前線 サーバの動向 全国酒販協同組合連合会(全酒協) 「NXWebCOMS」導入による基幹業務のWeb化 全国酒販協同組合連合会 情報システム課 課長 日本ユニシス株式会社 プラットフォームビジネス部 4GLソフトウェア室 担当部長 全国酒販協同組合連合会(全酒協)は清酒券・ビール共通券を都道府県連合会・地区 組合を通して組合員である酒販店に販売しており、その受発注業務を4GL「LINC」 で開発し、CLEARPATHサーバ「HMP NX4600」により運用している。 吉田 和則氏 山科 順一 けを行う。 *HTML変換ツール LINC画面情報から、 従来、電話またはFAXで受け付けていた商品券受注業務をHMPソフトウェアの COMS連携CGIライブラリで 1つである「NXWebCOMS」を利用し、各県連とWebによるオンライン受発注シス 使用するメッセージ書式情 テムを稼働させ、事務効率・精度の向上を目指している。また、他業務処理も順次 報ファイル、LINCからのデ Web化を図り、各県連および地区組合を情報処理面から支援すべく予定している。 ータを表示する中間HTML ファイルを自動的に作成す る。 情報基盤構築に向けて 全酒協においては次の観点から今回 ●NXWebCOMSの特徴 互換PC、ダイヤルアップ・ルータ(ヤ *クライアント数の拡大 オンライン受発注 システム画面例 のシステム化を検討した。 マハ製RT102i)およびブラウザとして 専用端末やエミュレータ ①全酒協の事務手続きの変更を伴わな Internet Explorer3.02を推奨し、推奨品 がない環境からでも、Web いようにするため、既存の全酒協の またはそれに準じる「標準商品」の採用 ブラウザを使用することで、 商品券処理を利用する。 を依頼する。 より多くの利用者が既存業務システム ることにより、既存業務システムを変 ②同様に、都道府県連の作業負荷面お ネットワーク面では金券情報を扱う のトランザクション処理を行うことが 更することなく利用できる。 よび業務プログラムの保守面から、 ため、機密保護を考慮し、イントラネ できる。 *表現力豊かな操作環境の実現 都道府県連に業務プログラムを置く ットとした。 *クライアントの運用管理不要 C/SS型とはしない。 自動変換後のHTMLをカスタマイズ また、各都道府県連の通信費用の公 Webブラウザを使うことにより、従 し、Webブラウザが持つマルチメディ ③各都道府県連においては独自にシス 平を図るため、日本ユニシス情報シス 来のC/SSに見られる煩雑なクライア ア機能を利用することにより、より豊 テム化を進めているところもあるた テム(株)および日本高速通信(株)との ントの運用管理は不要。 かな表現力を持った操作環境が実現で め、混乱を避けるため各都道府県連 タイアップによる通話料全国一律時間 *既存業務システムの変更不要 きる。 側では、ユニシス固有の商品ではな 課金のINSネットワークを採用した。 く、「業界標準」の商品 全国酒販イントラネット網 のみで構成する。 そこで、全酒協ではイ ンターネット技術を利用 各都道府県酒販協同組合連合会 し、既存業務プログラム 日本ユニシス 情報システム(株) 赤坂センター 全国酒販協同組合連合会 ネットワーク監視 NX4600 を変更することなく、ブ ラウザを入力画面として 128Kデジタル 256Kデジタル 専用線 専用線 リアルタイム・トランザ クション処理を可能とす る「NXWebCOMS」を採 用した。 テレウェイ INS網 (全国一律料金) 23回線 日本高速通信(株) 松戸センター 既存業務画面のHTMLへの自動変 以上により、NXWebCOMSは既存 換、セッション管理による複数画面の 業務システムを変更することなく、簡 論理的トランザクション対応、そして 便にイントラネット/エクストラネッ 従来からの端末エミュレータとWebブ トを実現できる。 ラウザのクライアントの混在を実現す 適用と効果 今回、全酒協内にて稼働していたシ ら2カ月あまりでWeb化テストおよびネ ステムを、各都道府県連を対象とした ットワーク接続テストを終了し、 予定 外部向けにするために、4GL「LINC」に どおり本格運用を迎えることができた。 より開発された業務システムはユーザ NXWebCOMSのLINC連携処理機能 コード/パスワードによる機密保護機 を使った結果、 各都道府県連にはAT 能のみを追加し、その後で、Web化作 ①LINCで開発した既存システムをそ NXWebCOMSの概要 業を行った。 ●NXWebCOMSとは 既存のLINCシステムの90画面のう のまま使うため、従来と同様の業務 システムの保守性を維持できる。 境下で稼働するCOMS(MCP環境上の ちWeb化の対象となったのは16画面 ②エミュレータを使わずブラウザを端 NXWebCOMSとは、NX/Webサーバ トランザクション・モニタ)連携CGIラ で、各都道府県連からの発注処理、買 末として使うため、ユニシスのシス (HMP NXシリーズのMCP/AS環境で イブラリ、メッセージ転送システムお 掛照会および顧客登録処理がその対象 テムを未経験のオペレータ、または 稼働するWebサーバ、HTTP1.0に準拠) よびクライアント環境下で稼働する となった。 PC操作の初心者に対しても操作教 のCGIライブラリ・インタフェースを HTML変換ツールから成る。 Web化作業の内、そのほとんどは自 利用し、トランザクション処理をWeb *COMS連携CGIライブラリ 動生成後のHTMLの操作性をより向上 ③ブラウザの画面からは処理できる業 育が容易。 ブラウザ(例えば、Internet Explorerや NX/Webサーバと後述するメッセー させる作業およびHTML変更によるブ 務を制限しているために、全酒協の Netscape)からアクセスできるように ジ転送システムとのインタフェースを ラウザ画面から処理可能な業務を制限 処理とエンドユーザ処理を区分で する連携基盤ソフトウェアである。 とる常駐型CGIライブラリで、LINCシ させるためのカスタマイズ作業に費や き、LINC業務プログラムの変更な NXWebCOMSを利用することによ ステムから戻されたデータの中間 され、その標準化を2週間かけて作成 しに機密保護機能強化および誤操作 り、ハイパーテキスト・リンク、画像、 HTMLファイルへの埋め込み機能、 した。その例としては、 音声情報との連携が可能となり、既存 Webブラウザからの送信データの編集 ①画面の動きを操作する指示は画面の の業務システムを変更することなく、 機能およびログオンからログオフまで 短期間に、そして容易にイントラネッ のセッション管理機能を持つ。 ト/エクストラネットで利用すること *メッセージ転送システム 上部に集中させる。 ②操作性を考え、ラジオボタンによる 操作を多く取り入れる。 が可能である。リリース1.0では、4GL COMS連携CGIライブラリと連携し 「LINC」で作成された業務システムを て、COMSの仮想端末管理と論理的セ などを決めた。HTMLのカスタマイズ 対象としており、3GLへの対応版は今 ッション管理を行う。COMS連携CGI 作業は1人週で終えることができ、予 秋リリースの予定である。 ライブラリの要求により、仮想端末の 想していたよりも短期間で終了するこ ●ソフトウェアの構造と機能 割り当てと解放、仮想の端末IDの管理、 とができた。 NXWebCOMSは、HMP NXサーバ環 12 1998年5月1日第445号 入出力メッセージと仮想端末の対応付 防止が容易に実現できた。 など当初期待した結果が確認された。UN ③業務ごとに背景色を変える。 このため、Web化作業を開始してか ■全国酒販協同組合連合会 ◆組合員(小売酒販店)向けのボランタリ ー事業を展開している事業協同組合。 地方に各都道府県協同組合連合会(46 カ所)、地区組合(463カ所)がある。 ◆所在地=東京都目黒区中目黒2-1-27 ◆代表者=沢田 義也会長 ◆組合員数=約12万人 「HMP NX ◆使用機種=CLEARPATHサーバ 4600」 ほか ユニシス・ニュース 1998年5月1日第445号 IT 最前線 21世紀の情報システム開発とTEAMmethod 日本ユニシス株式会社 インフォメーションサービス事業推進部 TEAMmethod統括室長 21世紀を睨んで日本市場の一層の国際化、グローバライゼーションの必要性は 日々高まっている。 TEAMprogram)から構成される。 庭山 宣幸 にビジネスの現場で使用する実践的な TEAMmethodは、過去に積み上げて 方法論である。今後も継続的な改善・ このような日本市場の動きは、それを支援し推進する新しい情報システムの需 きた専門技術・知識と世の中で実証さ 洗練を図り、成長していく方法論にす 要を産み、新たな情報システムの開発が日本企業にとって課題になりつつあると れた専門技術・知識を集大成し、実際 る予定である。 (図2) 考えられる。必要とされる情報システムを計画どおりの期間で、決められた予算 内で、そして当初の仕様どおりに開発することは、開発を担当する日本ユニシス のみならずお客様にとっても重要な課題と考えられる。 情報システム開発の現状 米国の調査会社であるStandish Groupの報告では、米国において1994 日本ユニシスの考える21世紀のシステム開発コンセプト お客様の広範なニーズに応えるため することで、仕事のやり方を発展させ に日本ユニシスは、21世紀のシステム て柔軟性と拡張性を持たせることも可 開発のコンセプトを次のように考えて 能となる。この結果、日本ユニシスの 能に対して平均3分の2程度しか完了で いる。 カスタマライズのアプローチ(お客様 きなかったと報告している。 ①システム開発に関わるビジネス領域 のお客様にフォーカスしてお客様の課 年の1年間で約17万5,000件の情報シス 一般に、情報システムの開発プロジ と中核技術の両方をフォーカスする 題の解決を図る)を通して、お客様に テムの開発プロジェクトが実行に移さ ェクトが成功しない原因は、技術的な ②システム開発における方法論として 一層の高付加価値サービスを提供でき れ、2,500億ドルが投資されたとして 困難さを別にすると、①プロジェクト いる。 計画とその管理のまずさがあり、②さ TEAMmethodを採用する るようになる。 ③専門家を中心とする柔軟なプロジェ TEAMmethodは、お客様に販売する しかしながら、計画どおりに完成し らにプロジェクトに参加するメンバー クト編成を可能とする 商品ではない。しかしながら、 たのが全体の16.2%であり、31.1%は の問題の2つに集約されると考えられ このコンセプトを実現するための各 TEAMmethodをベースとしたサービス 終了前にキャンセルされ、52.7%がプ る。このことは、プロジェクトの管 種の施策を現在、推進している。 を日本ユニシスが提供することでお客 ロジェクト計画に比較して予算オーバ 理・運営を行うプロジェクト・マネジメ TEAMmethodに関しては、すでに全社 様の利益の最大化を図れると考える。 ー、納期遅延、機能が不十分などの問 ント技術と呼ばれる技術の重要性を強 教育3カ年計画を推進中であり、本年 また、お客様もチームの一員として参 題が発生したとしている。 く示唆するとともに、プロジェクト参 度は同計画の2年目にあたる。また、 加していただき、 ご一緒にTEAMmethod 予算オーバー、納期遅延となったプ 加メンバーの選択とメンバーが共有で 本年度の組織において、問題解決型の を使用して同じゴールを目指すことも ロジェクトは、平均して当初予定の約 きる知識や経験の存在が重要であると プロジェクト・セントリックな組織体 可能である。今後の日本ユニシスの展 3倍を記録し、さらに当初仕様の全機 考えられる。 を目指した改編を実施している。 開にご期待いただきたい。 UN TEAMmethodの適用により、日本ユ ニシスの全社員が共通の統一された手 TEAMmethodとは 順と方法、技法や支援ツールの適用が TEAMmethodは、インフォメーショ なるものといえる。 可能となり、質の高い均質なサービス ン・サービスに携わる日本ユニシスの TEAMmethodは、単なるシステム開 が提供できるようになる。また、社員 専門家を支援するために開発された方 発技法でもシステム開発方法論でもな の一人ひとりが方法論を思慮深く適用 法論であり、情報システム開発のビジ い。また、非常に実践的な、洗練され ネス・ライフサイクル全体(ビジネスの たプロジェクト管理技法を含んだプロ 上流から下流まで)を通して、お客様 ジェクト管理方法論を含むが、それだ を含めた“チーム”による問題解決を けでもない。 支援するものである。 (図1) この開発プロジェクトへの参加者を プローチ”こそがTEAMmethodの第1 るプロセスやガイドラインをも連携さ の特徴といえる。 せた総合的なビジネス方法論といえ ー全員の共通の知識・経験のベースと お客様の マネジメント ジェクトの成果物である“システム” の品質を保証するための活動を支援す すなわち、プロジェクト参加メンバ 図1 TEAMmethodとは TEAMmethodは、インフォメーション・サービスに携わるユニシス の専門家を支援するために開発された方法論で、ビジネス・ライフサ イクル全体を通して、チームによる問題解決を支援する これらのすべてを含むと同時にプロ 1つのチームとして捉えた“チーム・ア [注] *TEAMprogramは、世界標準である PMI(Project Management Institute)の PMBOK(Project Management Body of Knowledge−プロジェクト・マネジメン ト知識体系)に準拠している。 ユニシスの 専門家 お客様の エンドユーザ TEAMmethod る。このことがTEAMmethodの第2の 特徴となる。 お客様の 情報技術担当 協力会社 TEAMmethodの設計思想 TEAMmethodの開発は、 “システム 開発プロジェクトを予算内で、納期ど /TEAMprocess)を含む。 また、大規模から小規模まで、汎用 図2 TEAMmethodの構成 TEAMprocess おりに、当初の仕様で完了させるのは、 機システムからオープン系のクライア お客様と日本ユニシスの共通のゴール ント/サーバ・システムまで、すべての である”という認識から出発している。 システム開発プロジェクトに適用できる その共通のゴールの達成を可能にする ように考慮され、特定のツール(CASE 情報化 計画 ビジネス方法論としてTEAMmethodを など)に拘束されない柔軟性に富んだ TEAMplan 開発してきた。 システム開発方法論(コンポーネント TEAMmethodは、チームを基本に顧 名:TEAMdesign/TEAMimplement)を 客のビジネス上あるいはシステム上の 含む。そして、これらのビジネス・プ 課題を解決していくためのプロセスを ロセスの管理を一貫して支援する世界 支援するコンサルティング・ビジネス 標準*に準拠したプロジェクト・マネジ 方法論(コンポーネント名:TEAMplan メント方法論(コンポーネント名: ビジネス プロセス 個別 ビジネス 案件 プロジェクト の 定義 情報 システム 設計 情報 システム 構築 TEAMdesign TEAMimplement TEAMprogram プロジェクト・マネジメント 13 IT最前線 What's EC/CALS ( ? 12) エレクトロニック・コマースの新展開 構造改革へのシナリオ 世界情報通信サミット EC部会オンライン会議報告 日本ユニシス株式会社 新事業企画開発部 市場開発室 部長 去る3月10日、東京・大手町で「世界情報通信サミット」が開かれました。これは 来るべきサイバー社会の諸課題を世界各地の有識者がインターネット上で議論し、 そのまとめとして開催されたものです。運営に当たっては、日本経済新聞社が主 催し、世界情報通信基盤委員会(GIIC)が後援、日本ユニシスを含む民間企業16社で 組織する世界情報通信サミット推進フォーラムが特別協賛しました。 ECの質的変化と「顧客イン タラクション」 サイバー・スペースにおける経 済行為は、19世紀以来のビジネス 基調講演に立った米大統領上級顧問アイラ・マガジナー氏は、クリントン、ゴア の流れを基本的に変えることにな 正副大統領のメッセージを伝えるとともに、昨年7月1日、米政府が発表した「グロ る。従来の売り手と買い手の取引 ーバルECフレームワーク」は21世紀に世界の産業界が直面するであろう新たな取 形態から、顧客相互間のやり取り 引形態を世界規模で規定するものであることを説明。その上で、「民」主導で動き が重視され、その中から購入決定 やすい環境作りを支援することが「官」の役割であるとし、インターネット上での がなされたり、製品評価が流布さ EC関税「ゼロ」はその1つであると強調しました。 れたり、企業の評価が広まったり オンライン会議の方は、21世紀に向け本格化するサイバー・スペースの広がりの 森 洋一 する。この「顧客間インタラクション」 パネル・ディスカッション風景 発展するかどうかである。 中で、 は今までになかった概念である。顧客 米国の調査では、1件当たりの取引 ①サイバー・スペース時代が及ぼすアジア地域への影響を分析する「アジア部会」 同士の関わり(インタラクション)に企 コストがインターネットでは1セント、 ②到来するネットワーク社会への円滑 業がどうやって関与できるかがポイン 電話で54セント、店頭では1ドル7セン トになる。 トとホームバンキングのコストの優位 な移行を議論する「ネット社会部会」 ③期待されるECビジネス推進の課題 徹底した顧客主権、パーソナルタッ を検討する「EC部会」 性が際立っている。 チ、もっと極端にいえば1人ひとりに 日本ではどうかというと、証券に限 の3部会に分かれ、日本語会議と英語 違うものを売る「マスカスタマイズ・受 ってみれば「eTrade」を行うには、売買 会議が並行して、約2カ月以上にわた 注生産」などが重要視された新たな質 手数料の自由化、企業決算の四半期化、 り150名を超えるメンバーで繰り広げ 的変化が起こる。 企業/アナリスト/株価関連ニュースの られました。 期待されるB to B市場 以下、EC部会の議論の要旨を紹介 します。 アイラ・マガジナー氏 日本において従来から行われている 極めてクローズドな企業間データ通信 B to Cにおける日米の実質市場 規模差は5分の1 特に狙われる傾向にあるという。 がおおざっぱに1割程度と仮定し、こ 提供など整備課題が多く、ざっくり1 割の市場と見ても1千億円単位のマー ケットが考えられるが、このままでは 立ち上がりにくいと思われる。 オンライン・バンキング分野では、 このことは、技術的な問題だけでな のような事前契約型の「クローズドな ホーム・バンキング(振込・振替・残高照 く、各国政府が発行する通貨と同様に、 EC」から、事前契約のない完全「オー 会)にショッピング決済サービスをパ まず日本における正確な数字がな サイバー・スペースで行われる電子取 プンなEC」にどうやって進展させるか ッケージにした形が主流になるのでは で議論が白熱した。 ないかとの意見が出された。特に口座 く、B to C の日本の市場規模を97年 引の「信用」という問題をどうすべきか 度336億円、2000年で2,000億円と試算 ということでもある。公共信用機関の 特に大企業はともかく、中小企業は 振込の発達した日本ではショッピング し、米国市場はIDC調査値の39億ドル 制定、プロバイダの役割、国際的な取 インターネット化そのものが遅れてお 決済の提供が突破口になる可能性が高 と284億ドルを当てはめると、日米の 締ルール、優良店制度など予防的な方 り、EC化の推進が懸念されること、 く、これがまた電子マネーの普及の道 市場規模差は10分の1、人口比率が1対 法や民間による多面的な試みが必要で 貿易取引については国際的視野で論じ 筋になる可能性もある。 2なので、1人当たりでみると5分の1と ある。 *1 なければならないこと、EDIは一部の しかしながら、電子マネーは、一方 推測される。一方でこの数字は「日本 さらに、早期に試行錯誤を繰り返し 領域で物流・商流・決済などのサプラ で注文と同時に代金受領となるため、 の特殊商慣習が災いし大きすぎる」と 結論を導くためにはボランティアの協 イ・チェーンから見た視点が重要であ 返品時の逆伝票にかかるコスト高を克 する意見と、「既存店などからの販売 力や活動が重要との認識が主力を占め るなどの指摘が相次いだ。 服しなければならない。 方法が変わり意外と進むのではない た。 さらにB to B の実現過程は、イン *2 ECと「信頼のネットワーク」 特に信用の前提になる条件整備が米 ターネットから、イントラネット/エ 市場規模の増加要因として、米国で 国の「情報開示と監査、そして自己責 クストラネット、そして産業界全体の 最後に、ECの発展のために絶対不 は通信販売からの移行が大きいが、日 任」と浸透しているのに対し、日本の ネットワーク化をイメージしたワイヤ 可欠なもの、それは「信頼」である。物 本ではその8割が女性で、しかも友達 「長期的関係重視」だけでは問題が多 ード・カンパニー化に向かい、その過 理的なネットワークは技術の進展に伴 同士の商品情報交換や共同購入などの い。いわゆる「自主ルール」への取り組 程ではオブジェクト技術の普及が鍵と い、全世界を高速で安価にカバーする エンタテイメント重視の文化が確立さ みが重要である。自主ルールは法的強 の意見が示された。 であろうが、問題は「信頼のネットワ れており、この部分からの増加は難し 制力を伴わないが、実社会ではさまざ また一方でプロトコルに関する問題 いのではないか。それとは別にパソコ まなルールに従って市民生活をしてい も大きい。EDIではEDIFACTへの統合 もともと行われていたクローズドな ン通信による商品販売実績はかなりの る。 が進む欧米と日本のCII。さらに米国 取引は、このトラスト(信頼)な関係を ではより広範な取引のためにOBI、 維持するためのものであった。 か」との意見に分かれた。 ーク」がどう築かれるかである。 ものであり、さらに正確な数字はとも しかしながらインターネットをめぐ かくアダルト系の売上げもかなりのも る法的な問題点の最大の課題は、国家 OTP、ICE、SCORなどが次々に開発 これらがオープン化された時、その のがある。 主権の限界を超えている点にある。法 され、日米間での大きなギャップにな 任にあったような経済システムに取っ 律による取り決めはその国家単位でし りつつあることが懸念された。 て代わるべきものを作らなければなら 詐欺と事故時の責任はどうか 市場規模の拡大に伴い懸念される詐 か強制力がないがインターネットの場 合はそれでは済まされない。 ECと「ホ―ム・トレーディング」 金融商品を想定したECはどうか。 欺的行為はどうすればいいだろうか。 ドイツなど独自の規制をすでに実施 注文をして代金を払ったが仮想店舗 している国もあるが、グローバルな単 金融機関同士のロットの大きいもの が消えてしまった事件は後を断たな 位でのルールやコンセンサス作りが急 は別とすると、リテール向けの証券取 い。国際的にセキュリティの弱い国は 務である。 引やホーム・バンキングが米国並みに 14 1998年5月1日第445号 ない。「信頼のネットワーク」作り、そ れが21世紀に向けた我々の最大の課題 である。 [注] *1 B to C:Business to Consumer *2 B to B:Business to Business UN ユニシス・ニュース 1998年5月1日第445号 NUS フ ェ ア ’ 98 主 催 : 日 本 ユ ニ シ ス・サ プ ラ イ( 株 ) 日 時 : 5 月 2 6( 火 )・ 2 7( 水 ) 1 0 : 0 0 ∼ 1 7 : 0 0 場 所 : 日 本 ユ ニ シ ス 本 社 内 「 ユ ニ シ ス・プ ラ ザ 」 展 示 内 容 : 各 種 偽 造 防 止 用 紙 な ど 印 刷 関 連 製 品 、 自動封入封かん装置など セ ミ ナ ー :「 ビジネスフォームにおけるプライバシー 保 護 」 他 お 問 合 先 : T E L . ( 0 3 ) 3 4 3 9- 7 8 0 0 ユニシス研究会「平成10年度春季全国大会」 6月4日(木)・5日(金)/都ホテル大阪で開催 ユニシス研究会は「平成10年度春季 全国大会」を、来る6月4日(木)、5日 を打ち出しその中核商品となる 新・住 Transaction Service(仮称)、日立製作所 宅設計PC CAD「DigiD(デジド)」を発表 のTPBroker、富士通のINTERSTAGE した。 (ObjectDirector)で、クライアントとサ 「DigiD」はWindows環境で稼働する ーバで異なるトランザクション製品を 築事例」((株)公文教育研究会 中江 信 住宅設計CADシステムで、営業初期段 使い、正常系および異常系合わせて8 一郎氏) 階から工場での部材加工段階までを一 パターン検証した。 (金)の両日、大阪の都ホテル大阪で開 *「今求められる企業変革と情報戦 貫してサポートするモジュール化した IIOPレベルの各社製品の相互運用性 催する。本全国大会では次のような多 略−新しい情報軸を考える」((株)ニ ソフトウェアで構成されており、業務 については数多く実例があるがトラン 彩なプログラムが展開される。 チレイ 浦野 光人氏) 形態に則した目的ごとに最適なモジュ ザクションレベルの製品間の相互運用 ールの組み合わせを選択できる。 性としては世界初の成功例になる。 ●6月4日(木):13時半開始 ◎総会 *「我が社における新人教育−ネット ワーク教育の強化」(日本流通システ 主な特徴は次のとおり。 今後は今回の実証実験の成果を ①営業支援システムは、順次入力部材 OMGにフィードバックしたり、Java ◎分科会発表 を案内するナビゲーション機能など を使ったシステムへの適用など実証実 現代に伝える貴重な担い手」(冷泉家25 *(2200シリーズ分科会)「ISO9000の考 人にやさしいGUIを徹底追求。また 験の機能範囲を拡大するとともに、日 代当主、大手前女子大学教授 冷泉 為 え方を利用したソフトウェアの品質 営業初期段階で作成のプランは再入 本ユニシスのSYSTEMν[nju:](ニュー) 人氏) 管理−チェックリストによる上流工 力することなく詳細な設計プランへ など広くトランザクション製品との相 ◎優秀論文発表 程の品質改善」(第百システムサービ 引き継がれるので全体を通して設計 *「『製造規格管理システム』の開 ス(株) 速水 智恵美氏) スピードの大幅アップが図れる。 ◎基調講演 「冷泉家の歴史と文化−公家文化を ム(株) 雁畑 いずみ氏) *(A&NXシリーズ分科会)「グループウ ②意匠設計支援システムは、入力の重 ェア連携によるAシリーズ及び 複を避けるための設計チェック機能 *「グループウェアを活用した効果的 HMP/NXシリーズの活用−PCから を重視したほか、屋根入力における な品質システムの構築−ISO9001品 のホストデータのシームレスな公 自由性を最大限に高めた。 発−食品製造における部品展開」(伊 藤ハム(株) 藤井 洋氏) 質システムの構築」(日本フイッツ 開」(伊藤ハム(株) 徳丸 裕晃氏) ③構造設計支援システムは、統合構造 *(生産システム分科会)「顧客指向時 設計環境として構造計算システムと *「並列処理システム(XTPA)における 代における生産システムのあり方− の連動やパネル作成に至る全段階を 大規模オンラインシステムの負荷バ マスカスタマイゼーション」((株)コ ランスの最適化について」((株)コン ーセー 山口 宏氏) (株) 山口 勝弘氏) ピュータ・テクノロジー・インテグレ *(LINC/MAPPER分科会)「MAPPERに イタ 堤 篤史氏/中部電力(株)谷端 よるWebアプリケーション・システ 芳之氏) 日本ユニシスのソフトウェア開発部 新世代システム開発室は、企業情報基 ムの構築−オンライン・ショッピン 一方、住宅業総合支援コンセプトは 盤ミドルウェア「SYTEMν[nju:](シス グ・システムに見るその利用価値」 住宅メーカー、工務店、設計事務所な テム・ニュー)」の開発・保守に関して国 構築について」 ((株)昭和システムエンジニアリン どの各業態に応じたビジネス・モデル 際標準化機構の品質保証規格 「クライアント/サーバ・システムに グ 荒井 健氏/(株)ナカヨ通信機 滝川 を分析・体系化し、各種のサービス項 「ISO9001」の認証を取得した。 (写真下) よる処理分散化のための組織づく 典彦氏) 目の中からユーザの要件に応じたITサ 「ISO9000」は国際標準化機構の定める り」(ダイハツ工業(株) 白川 尊章氏) ● 部材データやテーブル類は一元管理 企業情報基盤ミドルウェア 「SYSTEM ν [nju:] 」 の開発・ 保守に関し 「ISO9001」の認証取得 が可能で、データの維持管理が容易。 *「クライアント/サーバ・システムの ● フルサポートする。 ④統合部材データベースの採用により、 互接続実証実験を予定している。 [注] *分散オブジェクト推進協議会 現在、日本ユニシスなど12社のメンバー で構成されており、CORBA(Common Object Request Broker Architecture)仕様に準拠した関 連商品間の相互接続性やアプリケーション移 植性などを追求している。 *(教育分科会)「知恵(智慧)の獲得を目 ービス・メニューを提供する。 企業の品質保証システムに関する規格 「より速く、 安く、 正確な物流を目指 指した遠隔教育システムへの提言」 「DigiD」の予定価格は「2次元間取り で、高品質の製品やサービスを提供す して」(ダイハツ工業(株) 朝田 卓麿氏) ((財)ファッション産業人材育成機 システム」20万円、「営業支援用図面作 るための品質保証体制が企業内に確立 構 恵美 和昭氏) 成・見積パッケージ」120万円。 し有効なシステムとして機能している *「お客さま申込工事支援システムの 構築について(携帯端末と移動体通 ◎特別講演 信を利用したモバイルコンピューテ *「グローバル情報ネットワークと産 ィングの実践)」(中部電力(株) 田中 業社会」(関西大学総合情報学部教授 康弘氏/林 博仁氏) ●6月5日(金):9時15分開始 ◎日本ユニシス講演 日本ユニシスから最新の情報技術動 向など5つの技術講演が行われる。 ◎分科会、会員事例、優秀論文発表 *(2200シリーズ分科会)「既存システ ム資産を活かした段階的なシステム 野口 宏氏) *「ビジネスマンの健康を支える食生 ことを国際的に証明するもの。 世界初の分散オブジェクト 製品(ORB)間のトランザクシ ョン相互接続実証実験に成功 子短期大学教授 河野 友美氏) *「一つのことに一流になれ」(京都大 昨年10月の設立以来、分散オブジェク 学アメリカンフットボール部監督 ト技術(主としてCORBA)の普及促進と 水野 彌一氏) 関連製品の相互接続性の実証を主な目 ★参加申し込み・問い合わせはユニシ 的として、各種活動を進めている。 相互運用分科会の活動成果として昨 テム(株) 小林 誠司氏/(株)日本トラ Tel:(03)5546-7366 年12月に発表したIIOP(Internet Inter- フィックコンピューターセンター http://www.u-netsurf.ne.jp/juua/ ORB Protocol)レベルの相互接続実証実 ターLAN構築と新営業店システムの 新住宅設計PC CAD 「DigiD(デジド)」発表 導入」((株)秋田銀行 松渕 秀和氏/ 佐々木 勝憲氏) *「システム21による人事システム構 た品質保証システム。 分散オブジェクト推進協議会*では、 ス研究会事務局へ 小倉 尚史氏) 据え付け、付帯サービスの管理を含め 活」(河野食品研究所長・大阪薫英女 再構築」(新日本コンピューターシス *「新ホストシステム稼働、事務セン 今回、日本ユニシスが認証を取得し た「ISO9001」は、設計、開発、製造、 験に引き続き、このたびトランザクシ ョン分科会において、第1回トランザ クション相互接続の実証実験に世界で 初めて成功した。 日本ユニシスは、住宅業界向けに情 今回検証を行ったトランザクション 報技術を活用した総合支援コンセプト 製品は、日本電気のObjectSpinner 15 ②機能証明書/ベンチマーク・テス 社会公共情報システム ト結果の評価 概要仕様をもとに各項目にわ たって評価ポイントを決め、機 能証明書、ベンチマーク・テスト 結果をもとに最終的な落札社を 決定することとした。 この結果、日本ユニシスが入 札において提案したCLEARPATHサ 国際化のさらなる進展に備え 情報システムを再構築 ーバ「HMP NX4600」が総合評価得 点で最高点をマークし、採用さ れた。 CLEARPATHサーバ サーバ機の充実を図り「HMP NX4600」を導入 評価できることとして、次のような 達情報のシステムは幅広いユーザに活 点を挙げている。 用されており、業務用サーバは重要な *ベンチマーク・テストをクリアし、 役割を果たすものである」と語ってい る。 *従来型の汎用機としてシステム的に 急激に進展する国際化に対応するために情報・通信基盤の再整備を進めて いる日本貿易振興会(JETRO)では、情報システムをクライアント/サーバ型に 再構築した。これに合わせてデータベース処理、大量バッチ処理を担うサー バ機の更新を図り、これまでの汎用機に替えてユニシスのCLEARPATHサーバ 「HMP NX4600」を導入した。 この選定に当たってJETROでは、政府調達手続による入札方式で厳正な評 価を行い、最高点をマークした、日本ユニシスの提案システムに最終決定し たものである。 ■日本貿易振興会(JETRO) ◆財団法人海外市場調査会を前身とし て、諸外国との調和のとれた貿易の発 展を図るために、1958年、政府全額 出資の特殊法人として設立された。世 界各国および日本各地の事務所ネット ワークを通じてそれぞれの時代の要請 に対応しつつ、諸外国との貿易・経済 交流の促進にまい進している。 さらに進めていく。貿易統計、政府調 コスト・パフォーマンスが最も高い JETRO JETROに設置された「HMP NX4600」 安定的に利用でき、信頼性、拡張性 に優れている *ネットワーク、データベースに関わ る最新のオープン・システムの利用 が可能 オープン時代のCLEARPATHサーバ 「HMP NX4600」 JETROでは新業務用サーバの導入に 当たり安定性、信頼性、拡張性、さら *端末を含め、提供製品がすべて UNISYS製品で、一元的な対応がで きるため安心して利用できる にオープンシステム対応を要件として 掲げた。 「HMP NX4600」は、次のような先進 技術によって対応している。 ◆本部所在地=東京都港区虎ノ門2-2-5 ◆代表者=豊島 格理事長 ◆事務所数=国内33、海外56カ国・1地 域79 ◆従業員数=約1,300人(国内約600人/海 外約700人) ◆使用機種=CLEARPATHサーバ「HMP NX 4600」 データベース処理/大量バッチ処理 に「HMP NX4600」の高機能を活用 *無停止連続処理支援機能による信頼 性の確保 コンピュータ資源、ネットワークを HMP NX4600の当面の適用業務は貿 二重化し、障害の検知と回復を自動的 易統計サービス、国別経済貿易情報シ に行う機能を備え、データベースのバ ステム、政府調達情報サービスなどに ックアップ、資源の有効活用を実現し 関わるバッチ処理である。 ている。 活用できるように 貿易統計サービスは、毎月約6,000 また、アプリケーション異常の自動 するために国際標 品目について日本、米国、EC各国の 回復、バックアップ・データベースに 準、業界標準に準 相手国別の輸出入状況をデータベース よる処理の実行、データベース再編成 近年の国際化、ボーダレス化の進展 拠するオープン・ 化し、オンラインで提供するサービス 時間の短縮、ディスク・ミラーリング に伴い国際取引におけるJETROの役割 システムを実現で である。 など障害に幅広く対応できる支援ファ が高まる中、情報の共有、迅速な情報 きるシステムでな 伝達、情報提供基盤の強化を狙いに、 ければならない。 世界101カ国・地域の経済、貿易、投資 さらにディスク障害の発生にも、ミ 1995年に新情報システムの基本計画を そこで、こうした 関係の情報を国別・項目別に構成した ラー構成メンバーの障害に対し、予備 策定し、再構築を進めてきた。 要件を満たすもの データベースである。 ディスクを使ってミラーディスクを自 集中型から分散型へ オープンC/SSの利点を追求 まず、クライアント/サーバ・システ ムを導入し、汎用機による集中システ また、国別経済貿易情報システムは 森 詩郎氏 の中から業務用サーバを選定すること とした」と語っている。 ムから分散システムへの移行を進め、 同時にネットワークの整備、インター ネット/イントラネット技術の導入な ど、基盤整備を進めてきた。 検索系システムはクライアント/サ 公開入札による総合評価で 「HMP NX4600」を選定 業務用サーバの選定に当たり、 また、政府調達情報サービスは、毎 障害性を一層向上している。 ライン・サービスである。 *最新のオープンシステム技術 業務用サーバは、これらのサービス HMP NX4600は、オープン系アプリ に必要な膨大なデータをロード用デー ケーションを稼働させる「WindowsNT タへと加工し、クライアント/サーバ・ 環境」と、汎用機アプリケーションを システムに送り込む役割を持つ。 稼働させる「MCP/AS環境」を連携して JETROでは、政府調達手続による入札 また、貿易統計で未加工の原データ タベース処理およびバッチ処理には安 方式とし、入札は総合評価方式で次の は時系列化して業務用サーバに蓄積す 定性、信頼性、拡張性の面で汎用機が ようなプロセスで、総合評価点/入札 る。この貿易統計は量が膨大であり、 優ると判断し、オープン・システムに 価格の最も高い提案社をを落札社とし データの保全に信頼性が要求されるた 対応できる業務用(汎用機)サーバを導 た。 め、HMP NX4600に置くことにした 入することとした。 ①概要仕様の検討 まず、汎用機・周辺装置および搭載 動的に再編成するなど、システムの耐 日、官報に掲載される調達情報のオン ーバ・システムに移行する一方、デー 情報システム室長 森 詩郎氏は、 シリティを完備している。 HMP NX4600は、本年1月から稼働 稼働するシステムである。 また、PCクライアントとの間での アプリケーション連携が可能である。 さらにHMP NX4600の環境下にある ディスクやCD-ROMをWindowsNT環 境の共有資源として使用したり、 を開始しており、順次本番運用に入る Windows環境のファイルやプログラム 予定である。 をHMP NX4600のディスクに保存する 「貿易統計、政府調達情報などに関わ されるソフトウェア、さらに搬入・据 るバッチ処理のためには、高い信頼性 え付け、運用支援に至るまで、各社か とスループットが要求される。またエ 提出された詳細な概要仕様を検討し、 中で国際取引に役立つ情報提供のため ンドユーザがネットワークを介して蓄 また提案企業からの意見も参考にしな に、インターネット/イントラネット 積された情報を柔軟に引き出し、有効 がら、最終的な概要仕様を決定した。 などの最新技術を駆使して基盤強化を 森 詩郎氏は、「国際化が加速する ことができる。 UN 発行 日本ユニシス株式会社 広報部 広報室 〒135-8560 東京都江東区豊洲1-1-1 (03)5546-4111 発行人 山下 宗久 編集人 武井 浩 制作 ピー・アールセブン 発行日 1998年5月1日 ISSN 0915-051X 16 1998年5月1日 第445号 ◆社外からの寄稿や発言内容は、必ずしも弊社の見解を表明しているわけではありません。