...

こちら - 立命館大学

by user

on
Category: Documents
88

views

Report

Comments

Transcript

こちら - 立命館大学
コンテンツ
ZEH+ 水
3 ZEH+ 水 エネルギーと水、それら両方に関して高度に自立した住宅です。・・・・・・2
ग़ॿঝॠ‫ش‬
4 入れ子構造
5 断熱建具
空調を行うコア空間とその周囲に広がる環境調整空間・・・・・・・・・3
高断熱建具によって最重要部を守る・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
6 トリプルガラス・ハイブリッド窓
7 ウレタン遮熱工法
断熱性を高める・・・・・・・・・・・・・5
高断熱・高気密によって外乱から守る・・・・・・・・・・・・6
8 エネルギー削減効果
各種創エネ・省エネ技術の導入により ZEH 達成。・・・・・7
9 PV( 太陽光発電 ) パネル 高効率発電と最適角度・・・・・・・・・・・・・・・・8
10 蓄電池
+
家でつくったエネルギーを無駄なく使う・・・・・・・・・・・・・・・・・9
11 真空管式太陽熱集熱装置
太陽の力でお湯をつくる・・・・・・・・・・・・10
12 エネファーム ( 燃料電池 )
高効率で電気と熱をつくる・・・・・・・・・・・11
14「+ 水」のアイデア
15 浄化槽
エネルギーと水の両方で高度に自立した住宅を目指すために。・12
日本が世界に誇るコンパクト水処理技術・・・・・・・・・・・・・・・・13
16 膜モジュール
病原菌やウイルス、汚れを分離・・・・・・・・・・・・・・・・14
17 蒸散ルーバー
信楽焼技術による冷却効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
住み継ぎ
ছॖই
18 学内コンペ フレキシブルな展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
19 住み継ぎ
家族形態の変化に対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
20 住まい方
ライフスタイルの変化に対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
24 家具展示
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
オフグリッドへの展開
॔४॔
22 オフグリッドへの展開
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20−22
学生/協力企業・実施体制
26 学生メンバー紹介
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
27 協力企業・実施体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
ZEH+水
3
エネルギーと水、それら両方に関して高度に自立した住宅です。
入れ子を基本に省エネ・創エネ・+水の徹底で ZEH をつくる
採光計画
北側に大きな開口を設け採光を図ります。
また、
南側はPVパネルをルーバー状に配置し、直接の
日射を防ぎ反射光を取り入れます。
片流れの屋根で雨水を集水
自然換気
主風向を考え南北方向に経路を確保します。
吹き抜け部を利用した、温度差換気も行います。
6 トリプルガラス・ハイブリッド窓
5 断熱建具
省エネ技術
7 ウレタン遮熱工法
17 信楽焼蒸散ルーバー
寝室
11 真空管式太陽熱集熱装置
脱衣所
風呂
10 蓄電池
創エネ技術
9 PVパネル
12 エネファーム(燃料電池)
現在地
リビング
水コア
キッチン
洗濯室
16 膜モジュール
+水
トイレ
15 浄化槽
4 入れ子構造
空調を行うコア空間とその周囲に広がる環境調整空間
入れ子構造による省エネ化
入れ子構造の優位性
環境調整空間
コア
片流れの屋根で雨水を集水
リビング・寝室など家の
重要な機能を持つ場所を
中央に配置し、空調空間
とします。
光と風を選択的に取り
入れ、熱的環境を調整
する中間領域とします。
コア部分のみを空調空間とすることで、
夏期は空調負荷を 40% 削減・冬期は半
減できます。
夏
季
基準住宅
入れ子構造
本住宅
負荷を40%削減
0
0.2
0.2
0.3
0.3
空調負荷[GJ]
入れ子構造
本住宅
0
0.1
0.1
0.2
0.2
0.4
0.2
0.3
0.3
空調負荷[GJ]
0.6
自然換気
主風向を考え南北方向
に経路を確保しました。
吹き抜けを利用して温
度差換気も行います。
0.4
0.5
0.5
0.6
0.4
0.8
空調負荷[GJ]
1.0
0.4
0.5
負荷が半減
1.2
0.5
0.6
1.4
1.6
NEXT21 における環境調整
NEXT21 とは大阪市天王寺区にある大阪ガ
スの実験集合住宅です。この棟の中には、
今回のエネマネハウスでも設計されいてい
る環境調整空間を備えている住戸があり、
実際に季節に合わせて活用されています。
屋外
リビング・寝室など家のメインとなる場所をコアとして中央に配置し、その周
りを光や風を取り入れ環境を調整する中間領域としています。空調する部屋を
コア部分のみとすることで、夏期・冬期の空調負荷を大幅に削減し、省エネを
はかります。
0.4
入れ子構造
基準住宅
0
ポリカーボネイトを用
いた中空構造のシート
を使用し、断熱性と気
密性を高めています。
また開け放つことで室
内全体を一体化できま
す。
0.1
基準住宅
冬
季
断熱建具
0.1
顕熱(リビング)
顕熱(寝室)
潜熱(リビング)
潜熱(寝室)
顕熱(リビング)
顕熱(寝室)
潜熱(リビング)
潜熱(寝室)
環境調整空間
環境制御空間
外部の快適感を室内に取り入れる
春・秋
環境調整空間
屋外
屋外
環境調整空間
環境制御空間
断熱性を高め室内の温熱環境を調整する
夏・冬
環境調整空間
屋外
5 断熱建具
リビングと寝室を守る
コア部分を守る
「水 と 暮 ら し の 重 ね 箱」で
は内側のコア部分の温熱環
境 を 守 る た め、環 境 調 整 空
高断熱建具によって最重要部を守る
大学での研究実績
立命館大学では、京都の町家を断熱改修し、断熱建具が既存建具
と比較して気密性・断熱性が向上するという実測結果を出してい
ます。
室内は暖かい
間とコア部分との間仕切り
にポリカーボネート断熱高
耐候中空シートという中空
層をもつ素材を用いた断熱
建具を採用しています。
ใோ૦఻
既存建具では
૵೸૦఻
間からの冷気が流入していますが、断熱建具では
気密性の向上により室内をしっかり保温します。
温熱環境を選択する
室外には熱を逃がさない
可動式の間仕切り建具によ
って選択的に温熱環境を調
整することができ、空調時
はコア部分の空調負荷を軽
減し、非空調時は開閉によ
ใோ૦఻
૵೸૦఻
り通風・採光を確保するこ
断熱性の向上により熱損失が小さく、室外への熱の流出を防ぎ、
とができる。
空調負荷が小さくなるため省エネ効果があります。
×
6 トリプルガラス・ハイブリッド窓
窓面の高い断熱性能
×
断熱性を高める
高性能ガラスの採用
Low-E ガラス
3mm
特殊薄板ガラス
1.3mm
可視光
透過率
69%
紫外線
カット率
85%
Low-E ガラス
ハイブリッド窓 トリプルガラス
熱伝導率がアルミの 1/1000
中空構造を 2 層作ることで優
という高い断熱性を持つ樹脂
れた断熱性能を発揮し外皮負
を使用したサッシです。
荷を削減します。
中空層 ( クリプトンガス入り )
3mm
10mm
中間に厚さ 1.3mm の特殊薄板ガラスを採用
することで、軽量化を実現しています。
熱貫流率
0.61
総厚 27.3mm
W/( ㎡・K)
高性能フレーム
Low-E 膜と 2 層の中空層より、ペアガラスよりも断熱性を高めたトリプルガラスを採用し
ています。アルミと樹脂のハイブリッド窓と組み合わせることで、さらに断熱性を高めて
、外皮負荷を軽減します。
アルミと樹脂のハイブリッド窓を採用
஼ਗડ
崊嵓嵇
౴࿫
৖౫
஼৔ડ
崊嵓嵇
室内樹脂部の中空層を多層化しより高断熱化
樹脂窓と同等の断熱性能を持つハイブリッド窓は、断熱性・気密性が高く様々な使い勝手
を追求しました。
に応じた環境性能を確保できるとともに採光性に優れ、住宅内部に十分な自然光を取り込
アルミを室外側と室内側に分離し間を樹脂部
むことが出来ます。
材で繋ぐことで熱を伝えにくくします。
×
7 ウレタン遮熱工法
高断熱・高気密によって外乱から守る
高断熱と現場吹き付けによる高気密
柱
間柱
石膏ボード
横胴縁
充填断熱工法との比較実験
通気層と低放射率素材である
大学の敷地内にウレタン遮熱工
アルミ反射シートに加え、高
法と、在来工法の充填断熱工法
気密の現場発泡硬質ウレタン
を用いた実験棟を一棟ずつ屋外
フォームを組み合わせた、ウ
に建設し、比較実験を行ってい
レタン遮熱工法は一年を通じ
ます。実測ではウレタン遮熱工
て高い断熱性能と気密性能が
法棟の方が高い断熱性能を持っ
期待できます。
ている結果が得られています。
硬質ウレタン吹付
縦胴縁 (t=15mm 以上 )
( 通気層 )
外壁サイディング
充填断熱工法棟
ウレタン遮熱工法棟
夏期
冬期
॔ঝ঑ખೝ३‫ॺش‬
॔ঝ঑ખೝ३‫ॺش‬
඲ኳ᪥ᑕ㔞
䜴䝺䝍䞁Ჷᗋୖ1100mm
඘ሸ᩿⇕Ჷᗋୖ1100mm
እẼ ᗘ
஼৔ડ
લᑥ঎␗ॻ
૬ਞಽ
ໂସक़ঞॱথ฾હ
ৢਞಽ
ਗಎ१ॖॹ␽থॢ
ਗਞડ
஼৔ડ
લᑥ঎␗ॻ
૬ਞಽ
ໂସक़ঞॱথ฾હ
ৢਞಽ
ਗಎ१ॖॹ␽থॢ
ਗਞડ
ᗘ䛆Υ䛇
37
1000
35
ウレタン遮熱工法棟
33
充填断熱工法棟
800
ピーク時に 4℃の温度差
600
31
400
29
200
27
アルミ反射材による日射抑制
ウレタンによる高断熱・高気密
᪥ᑕ㔞䛆w/䟝䛇
アルミ反射シート (t=4mm)
防水反射テープ ( 上下の継手 )
0
0:00
3:00
6:00
9:00
12:00
15:00
18:00
21:00
※現行省エネ基準に基づく熱貫流率充填断熱工法棟 0.483W/K・㎡ウレタン遮熱工法棟 0.827W/K・㎡
通気層による排熱効果
アルミ反射材による輻射熱抑制
2015 年 8 月 15 日 ( 非冷房時 ) における二棟の室内温度変動
エネルギー削減効果
8
各種省エネ・創エネ技術の導入により ZEH 達成。
エネルギー消費量の大幅な削減
入れ子構造による空調負荷削減など省エネを徹底し、自然エネルギーの有効活用を図ることで、新省エネ基準相当の外皮性能を持つ一般
的な住宅と比較して 1 次エネルギー消費量を約7割削減することができます。PV パネルと燃料電池による発電分を合わせることで ZEH
を達成します。
給湯負荷
換気負荷
照明負荷
暖房負荷
冷房負荷
+水
PV発電量
EF発電量
35
家電分を除き
削減
30
25
70%
20
15
一次エネルギー消費量[GJ]
10
5
0
-5
創エネにより ZEH 達成
-10
-15
-20
-25
本
宅宅
本住住
太
熱熱
給湯
太陽陽
給湯
空調・照明の
性能の向上
機器類の向上
高断熱・
高気密化
高断熱・高気密化
基
住宅
基準準
住宅
トリプルガラス・樹脂サッシ
ウレタン遮熱工法
断熱建具
入れ子構造の最外皮を高断熱高気密化する
真空管式太陽熱集熱装置を採用することで
太陽光発電パネルを導入し、エネファーム
ことで、外皮熱貫流率を削減します。さら
年間を通して安定した温度のお湯を少量の
で電気と熱の両方をつくることで、年間約
に、コア空間を断熱建具によって間仕切る
エネルギーで確保します。これにより、大
20GJ の創エネを行い、同時に給湯負荷も削
ことで空調負荷を大幅に削減します。
幅な給湯負荷削減効果が期待できます。
減します。
※冷暖房負荷は THERB for HAM、それ以外の負荷は住宅住戸の省エネルギー性能の判定プログラムを用いて計算
PV 発電量は LIXIL の太陽光発電の導入シミュレーションを用いて計算
×
9 PV(太陽光発電)パネル
庇状に配置し、日射遮蔽すると同時に発電
高効率発電と最適角度
ECONOROOTS® ADVANCE
京セラの太陽光発電パネルは、量産化レベル
での世界最高変換効率を記録して以来、様々
な技術によりさらなる効率化を実現していま
す。
低反射ガラスの採用
最適角度で設計
低反射ガラス
充填材
電力の「見える化」
d.Blue ‹
ソーラー発電モニタによって
リアルタイムで発電状況を確
認できます。
›
ディーブルー
多結晶太陽電池セル
※イラストはイメージです。
太陽電池セル表面ガラスに、光の透過率を高
太陽光発電パネル ( 定格 3.42kW) を南側に角度をつけて庇状に配置し、ルーバーとして直
射日光を遮
する役割を担いつつ高効率発電を可能としています。また、パネルを可動式
にすることで季節やその土地に最適な条件での発電が可能となり、自然エネルギーをしっ
かり活用します。パネル下端部には反射材を用いることで間接光を取り込むことができま
す。
め、反射ロスを抑える「低反射ガラス」を用
い、高い発電効率を実現しています。また、
太陽電池セル表面にミクロン単位の微細な凹
凸層をつくり、さらなる発電効率の向上を実
現しています。
×
10 蓄電池
家でつくったエネルギーを無駄なく使う
電力消費量の平準化
不安定な電力インフラに対応
PV パネルにより太陽光発電し、使わ
停電時においても蓄電システムからの電力供給
なかった余分な電気を蓄電し電力消
に自動で切り換わるため、電力インフラが未発
費が伸びる朝・夕に使うことで発電
達で停電の多いオフグリッド地域においても安
したエネルギーの有効活用をします
定した電力供給を行うことができます。また、
。このことによって、ピーク時の購
大容量タイプを採用しているため、標準的な住
入電力量を抑えることが出来、電力
宅において最大 23 時間家電を使用できます。
の負荷曲線の平準化を達成します。
TV
一般住宅
購入電力量
照明
テレビも見られる
テレビも
見られる
PVパネル&蓄電池利用
住宅の購入電力量
冷蔵庫
携帯電話も充電で
携帯電話
携帯電話も充電できる
も充電できる
も充電で
きる
冷蔵庫の食品もいたまない
※平均的な家庭における試算値であり、保証値ではありません。
電力使用の多い時間帯に
利用し、ピークカット!
大容量蓄電池の採用
12kWh の大容量の蓄電池を採用することで電
深夜
朝
昼
昼に発電&蓄電
PVパネル発電量
夕
深夜
力の自給自足を行うことができ、系統電力への
逆潮流が難しい環境にも対応することが可能な
システム構成となっています。12kWh のサイ
ズは本住宅の PV パネルの年間総発電量に合わ
せた最適容量となっています。
×
11 真空管式太陽熱集熱装置
真空管による高い集熱力
太陽の力でお湯をつくる
真空管式の特長
国内で一般的な平板式太陽熱集熱器に比べ真
空管式太陽熱集熱器は外気温度との温度差が
大きな環境においても高効率で集熱すること
ができ、冬期や外気温と温度差がある温度で
の給湯が要求される環境においても給湯する
ことができます。
循環水
センサー
集熱管
入口 or 出口
スリーブ
分配管
保温材
集熱ボックス
真空管式太陽熱集熱装置は、外部への放熱がほとんどなく、高温で集熱できるため外気温
の影響を受けにくく冬期を含め一年中効率よく太陽熱を回収できます。熱交換式であるの
で、貯湯タンクを屋上に載せる必要がないため、すっきりとした外観となります。
最小動力による運転
U 字パイプ
CPC
伝熱
反射板
プレート
真空管ガラス
真空管式太陽熱集熱装置は、水を直接循環
パラボラ型反射板を組み込むことで、様々な
させるのではなく、密閉回路を熱媒が循環
角度からの日射に対して高い集熱力と集熱器
する熱交換式となっているため、循環に必
の軽量化の両立を図っています。また、再生
要なポンプ動力を最小限に抑えることが可
可能エネルギーを用いて給湯するため二酸化
能となっています。
炭素排出量削減にも貢献します。
×
12 エネファーム typeS
高効率で電気と熱をつくる
省エネルギーでクリーン
年間の一次エネルギー削減量は約 20GJ/ 年・戸
92.6
72.5
GJ/ 年
従来システム
約
20GJ/ 年・戸
約
22%削減
エネファーム typeS
年間の CO₂削減量は約 1.9t-CO₂/ 年・戸
約
5.75
3.87
1.9t-CO₂/ 年・戸
約
33%削減
t-CO₂/ 年
従来システム
エネファーム typeS
電気と排熱の有効利用により大きく省エネ・省 CO2 となります。
太陽光発電との連携により CO2 の排出をさらに削減できます。
安定したベース電源を確保
災害時も安心
エネルギー利用率
エネファーム
(発電)
LNG タンク
ご家庭
突然の災害による停電は私たちの
生活に大きな支障をきたします。
都市ガス
エネファームを取り入れることに
約 90%
電気 46.5%
100%
有効利用可能排熱 43.5%
利用困難排熱 10%
電気のエネルギー変換効率の高い SOFC 型燃料
電池を採用しました。高効率で環境にやさしい
エネルギーを自宅でつくることができます。
より、非常時にも家電機器や照明
を使うことができます。
SOFC 型燃料電池の仕組み
都市ガスから取り出した水素と空
気中の酸素との化学反応により発
電し、その時出た熱を給湯に有効
活用します。
+
14
「+水」のアイデア
エネルギーと水の両方で高度に自立した住宅を目指すために。
水の垂直カスケード利用と再生利用
要求される水質の順に繰り返し利用
水の垂直カスケード利用
真空管式
太陽熱集熱装置
水の再生利用
太陽熱
タンク
雨水流量調整
タンク
用途ごとに要求される水質の違いを利用し、
「風呂→洗濯→トイ
レ」の順番に水を繰り返し利用することで、上水の使用量を削
トイレ用水
タンク
減します。そして、使用されたトイレ排水以外の水は浄化槽と
UF 膜モジュールで浄化され、キッチン以外に再生水として繰り
返し利用されます。また、雨水を屋根で集水し、膜モジュール
によってろ過したのち、再生水とともにカスケード利用されま
膜モジュール
す。このように、排水も自然の雨水も余すことなく利用するこ
とで水インフラから独立した機能を持ちます。そのため、上水
の使用量を削減するだけでなく、水ストレスが高い地域や水イ
メインタンク
ンフラを持たない地域においても有効な水の利用方法となりま
す。小さなインフラを個々の住宅に設置するこの発想は、災害
に強く、巨大なインフラをつくる必要がないため自然環境への
影響が小さく、豊かな水のある暮らしと ZEH をそれらの場所に
浄化槽
展開することが可能です。また、浄化槽を用いた排水処理を行
うことで、汚水が地球環境へ及ぼす影響も小さく、水環境の保
護にもつながります。
水使用量の大幅な削減
研究で培った経験を応用
標準住宅
節水型住宅
上水利用量
雨水利用量
再生水利用
雨水利用
カスケード利用
徹底した再生利用
本住宅
立命館大学では、浄化槽の水質や運転の年間モニタリングを行
上水の使用量90%以上削減
-150
-100
-50
0
50
使用量[m3]
100
150
上水利用量
200
250
300
雨水利用量
再生水利用
350
上水利用量
雨水利用量
上水利用量
再生水利用
雨水利用量
東京都水道局平成 24 年度生活用水等実態調査のデータを用いて計算
再生水利用
雨水使用量は横浜のアメダスデータをもとに屋根面積分の集水として計算
水の垂直カスケード利用と再生利用により、通常の住宅と比較
100 して、9割以上の上水使用量を削減することができます。さら
150
200
250
300
350
200
250
300
350
に、排水の浄化により下水処理にかかる負荷も減らします。
い、水再生利用における浄化槽の適用について研究しています。
これによると、浄化槽の処理水質は再生利用可能であるとわか
りました。本住宅ではこのシステムを応用し、適用範囲の拡大
を望みます。また、さらなる水質向上ために MF 膜を導入して
います。右の写真は左から研究棟からの生活雑排水、浄化槽処
理水、MF 膜ろ過水です。MF 膜ろ過によって水中の濁りが消え、
大腸菌も検出されなくなったため、より再生利用に適した水質
となることが研究からわかりました。
×
15
浄化槽
日本が世界に誇るコンパクト水処理技術
微生物の力で水を浄化
循環水 ( エアリフトポンプ )
エアリフトポンプ
オーバーフロー
⑥
放流
⑥消毒槽
⑤処理水槽
④接触ろ床槽
③嫌気ろ床槽
②夾雑物除去槽
①流入
エアリフト
ポンプ
①
⑤
浄化フロー
「水と暮らしの重ね箱」では、浄化槽によって風呂・シャワー排水、
洗濯排水、キッチン排水を浄化し、再生利用することで上水の使
②
用量を削減します。浄化槽は微生物の力によって水を浄化する日
④
本が世界に誇るコンパクト水処理技術です。排水中に存在する汚
③
濁物質を、浄化槽内の微生物が酸化分解することで水をきれいに
フジクリーン工業 CENeco-5
パンフレットより引用
します。微生物ごとに様々な環境を各層ごとに用意し、これによっ
て多様な微生物が生活し、水の浄化に貢献してくれます。
化学物質などを利用せず、自然環境と同じ微生物の力を利用して
いるため環境にやさしい浄化方法といえます。
浄化槽の内部
×
16 膜モジュール
病原菌やウイルス、汚れを分離
用途に合わせて膜を利用
UF 膜モジュールのしくみ
「水と暮らしの重ね箱」では、膜モジュールによって水の浄化を
行います。雨水はその水質が生活排水と比較して良好なため目に
見えるような濁質や細菌を取り除く MF 膜を、再生利用のための
浄化槽処理水は水中にさらに細かい汚濁物質やウイルスなどを取
り除く UF 膜を用いるなど、利用用途に合わせて膜目の細かさを
選択することで効果的に水の浄化を行います。
MF 膜は 1 0.1μm の孔径で水中の濁りや細菌などをブロックし
ます。UF 膜は MF 膜よりさらに孔径が細かく、水に溶けている汚
濁物質からウイルスまで除去します。そのため安心で安全な再生
水利用が可能となります。
これらの膜は浄水場や下水処理場においても利用されています。
膜モジュールの種類と対象物質
×
17 蒸散ルーバー
蒸散効果によって涼しい風を家の中へ
涼しい風を
近江化学陶器㈱
信楽焼技術による冷却効果
信楽焼タイルを用いた実験と結果
蒸散効果
室内へ
室内
日射遮蔽
外部
2009年9月8日
室内へ入る日射を遮断するというルーバーの役割を果たしつつ、
快晴
蒸散効果で冷却した空気を室内に取り込みます。
また、雨水を利用することで上水に頼ることなく、夏場の温熱環
境を向上します。
学生の手で施工
信楽焼のタイルの張り付けは現場で
学生自身の手で行いました。作業を
打ち水の様子と
熱画像の変化
11:00…打水を開始
打水することで
43%削減
目標
(30%削減)
経験となりました。
11:15…打水5分後
大学の敷地内や信楽に信楽焼タイルを用い
た外壁を施工し技術紹介を行っています。
また研究として屋外実験棟を用いて、打ち
通して、職人さんからタイル張りの
技術を教えていただくなど、貴重な
11:10…打水終了
100%
0%
100%
打水なし
57%
打水あり
空調負荷の削減
水を行った際の冷却効果や省エネ性能につ
いての検証を行っています。
18 学内コンペ
フレキシブルな展開
入れ子
住宅内部の構成を入れ子状にすること
で、中心部のコア空間とその周りのフ
レキシブルな空間が様々なライフスタ
イルに適応する。また基本となる躯体
を残し、内壁や間仕切りを操作するこ
とで、空間の形態を変えることができ、
多世代への住み継ぎ、新たな住まい方
が展開できる。
多彩なアイデアは学内コンペから
水と暮らしの重ね箱
家の形は、住む人のその時々で変化するものでないか。
入れ子構造を活かした住み継ぎ・
住まい方の可能性と将来性を広げ
るため、立命館大学建築都市デザ
イン学科でアイデアコンペを実施
しました。内壁のラインや建具・
フレキシブルな形であることで、それぞれの住まい方に
寄り添うことのできる家となり、人と一緒に成長する家
になるのではないだろうか。
条件
・延べ面積 80 ㎡、高さ 6m
・外壁、水廻りコアは残す
・必要に応じて店舗空間など
新しいプログラムの提案
・コンセプト、平面図、パース
間仕切りの変更をすることで、多
数のアイデアが応募されました。
最優秀案 廻り土間のイエ
多数寄せられたコンペ案
19 住み継ぎ
家族形態の変化に対応
①若夫婦スタイル(現状)
若夫婦のための3人家族の住宅。コアとフレックス
ゾーンを使い分けていくことで多様なライフスタイル
に変化可能。ここから多様な住み継ぎが生まれる。
ኵ䚷 ጔ 㛗⏨
縁側
䠎㻲
縁側
収納
キッチン
リビング
寝室
玄関
脱衣所
洗濯室
テラス
視点
風呂
トイレ
身支度を済ませ、リビングで朝食
1F
䠍㻲
2F
②熟年夫婦スタイル
྿䛝ᢤ䛡䜢䛺䛟䛧✵㛫䜢ቑ䜔䛩
長男が独立し、2人暮らしとなり、夫婦それぞれ
のスペースを分離させ、個々の趣味の空間として
も使用する。
ኵ䚷 ጔ
視点
縁側
䠎㻲
収納
キッチン
夫の寝室
リビング
妻の寝室
脱衣所
玄関
洗濯室
テラス
風呂
トイレ
寝室で夫と妻の就寝前 1F
䠍㻲
2F
③2世帯住居スタイル
᱁Ꮚቨ䛷Ꮚ౪㒊ᒇ䜢ぢᏲ䜛
長男夫婦が家に戻り、フレキシブルな可動間仕切り
や格子壁を用いて、空間を効率よく使う。
長男
孫
嫁
ኵ䚷
ጔ
縁側
キッチン
リビング
(夫、妻の寝室)
玄関
䠎㻲
子供部屋
脱衣所
長男夫婦の寝室
洗濯室
視点
テラス
風呂
トイレ
リビングが2世帯家族の交流の場
1F
2F
䠍㻲
20 住まい方
ライフスタイルの変化に対応
㝵ẁ䛷䝥䝷䜲䝞䝅䞊䜢Ᏺ䜛
①シェアハウススタイル
A さんと B さんが住み分けるシェアハウス。
階段を2箇所に設置することで各階のプライバシー
が保たれながら生活する。
㻭䚷
㻮
䠎㻲
収納
キッチン
Bの部屋
Aの部屋
脱衣所
玄関
洗濯室
テラス
風呂
トイレ
視点
それぞれの友人を招いてパーティ
1F
䠍㻲
2F
䠎㻲 䝁䜰䜢྿䛝ᢤ䛡䛻䛩䜛
②独身一人暮らしスタイル
2階を吹き抜けにすることで、開放的で光あふれる
空間が生まれる。 㻭䚷
縁側
縁側
収納
䠎㻲
キッチン
視点
リビング
脱衣所
玄関
洗濯室
テラス
風呂
トイレ
デッキに出て、趣味の読書の時間
1F
䠍㻲
2F
ᐙ᪘ᵓᡂ
③地域をつなぐ土間スタイル
㛫௙ษ䜚䜢ື䛛䛧ᅵ㛫䜢స䜛
廻るように住居間を貫く土間は、地域の人と交流
する土間ダイニングとして活用できる。
ኵ䚷
収納
ጔ
縁側
収納
リビング
夫の寝室
䠎㻲
妻の寝室
脱衣所
視点
洗濯室
テラス
トイレ
近所の子供たちやお赤さんの集いの場
1F
2F
䠍㻲
24 家具展示
三種の変形を持つ家具
水は気体、液体、固体と三種類に状態変化します。そこに着目し、家具にも三種の変化を持
たせました。
1. 椅子 基本は椅子として活用します。
2. 机 横に倒し、2 つ組み合わせると
机になります。
3. 収納棚 別の置き方をすると、ハンガー
ラックや収納棚が生まれる。
水を体感する家具
ボールの中に水を入れ、座ることで水を体感できます。
椅子として
水を体感する
水の入ったボール
26 学生メンバー紹介
これまでの学生の取り組み
アイデアをかたちにするための取り組み
プロポーザルの段階から、中間報告を経て着工までの間、初期の提案から実現可能な
建築環境・
設備研究室
近本 智行
教授
李 明香
研究員
ラインに提案を落とし込んでいく過程で出てくる問題を解決していくための話し合い
建築計画
研究室
五明 遼平
織田 浩平
胡内 裕翔
M1
学生代表
環境・設備計画
B4
熱負荷計算
展示計画
B4
環境・設備計画
ここまで頑張ってき
ました。ゴールデン
ウィークと夏休みと
シルバーウィークが
楽しみです。
中心メンバーとして
関わってきて、つく
づく大変な事業だと
思いながら積極的に
取り組みました。
環境設備面で色々と
取り組んできまし
た。大変なことも多
かったですが良い経
験ができました。
亀山 大介
B4
水利用計算
広報活動
大変でしたが、設備
知識も身に付き、充
実した日々でした。
中華街を楽しみに頑
張ってきました。
松嶋 洸樹
小寺 雄也
B4
アジア展開
展示計画
B4
環境・設備計画
建築環境・水資源の
観点から東南アジア
への展開を考えまし
た。ZEH+水を広め
ます!
自分たちが考えた省
エネ建築が実際に建
つという素晴らしい
プロジェクトに参加
でき、感無量です!
安井 真梨
宗本 晋作
准教授
の場を設けて、各個人が案を出し合い実現可能な提案に修正していきました。
小泉 宏基
岩見 亜弥
会場までお越し頂き
ありがとうございま
す。本日みなさんの
笑顔に出会えたこと
が私の喜びです。
私たちの暮らしに最
も身近な水資源の有
効な活用の可能性に
ついて、徹底的に調
べました。
M1
意匠系統括
M1
アジア展開
専門知識を越えた学習への取り組み
実際に家を建てることについて提案を詰めていく段階で、普通に学生生活を送ってい
雪谷 亮太
棚橋 弘貴
M1
モデリング
設計
神谷 領
M1
住み継ぎ
暮らし方
中城 貴宣
B4
広報
模型製作
森 愛子
B4
ムービー制作
上坂 僚
自分達のテーマに
合った性能と、それ
を表現したデザイン
を伝えられるよう頑
張ります。
どういったデザイン
や模型が見る人に自
分たちの意図を伝え
られるかを考えて取
り組みました。
人が変わるとともに
家も住み継がれ、多
世代に好かれるよう
な設計を目指してい
ます。
模型の製作と広報に
取り組んできまし
た。立命館の良さが
全国に伝えられるよ
う頑張ります!!!
エネルギーに着眼し
た住宅の設計に携わ
り、これからもより
環境を意識した設計
をしたいです。
主にソフト面である
模型・家具などのデ
ザインや、使い心地
を考えて作成できた
と思います。
M1
モデリング
設計
都市空間
デザイン
研究室
水環境工学
研究室
中島 淳
教授
清水 聡行
研究員
B4
家具製作
模型製作
佐竹 孝
M2
水処理システム
計画
建築で忘れ去られが
ちな水の大切さを水
と暮らしの重ね箱で
皆さんに知ってもら
えればと思います。
及川 清昭
教授
B4
パース作成
住み継ぎや住まい方
の変化をわかりやす
く表現できるように
考えて、パースを書
きました。
塚崎 雄貴
B4
パース作成
パースを描くとき、
住む各家庭形態が楽
しそうなイメージを
連想して描きまし
た。
循環型社会
研究室
佐藤 早一郎
井上 怜
松井 悠
B4
内装計画
家具製作
B4
内装計画
家具製作
B4
内装計画
家具製作
完成するまで不安で
したが、実際に椅子
に座ってみると、な
んとも言えない満足
感を得られました。
立命館大学としての
プロジェクト、エネ
マネにおいて家具の
製作をすることがで
きて良かったです。
材料の選定から、設
計、製作まで自分た
ちで取り組んだこと
はとても貴重な経験
になりました。
橋本 征二
教授
大前 敦
B4
家具製作
模型製作
模型のフローリング
や屋根の仕上げ、家
具の靴箱製作に主に
取り組んできまし
た。
廣田 未紗
B4
家具製作
模型製作
1/10 の模型作りや、
家具作りなどサポー
トしました。座学で
は学べない新鮮な経
験ばかりでした。
ては学ぶことのないようなこと、積極的に施工に携わったり、より深い専門分野の知
識や専門分野の枠を超えた学習など、数多くのことを学びました。
提案を広めるための取り組み
太陽光発電
研究室
Kyaw Nyunt Maung
D2
アジア展開
ミャンマーの西部
シットウェーという
町の出身です。ZEH
+水が祖国に広まる
ことを願います。
峯元高志
教授
亀井 愛佳
M2
PV計画
普段はあまり関わる
ことのない建築系の
皆さんと一緒に作業
ができ良い経験とな
りました。
これまで、海外の学生に向けてプレゼンをしたり、模型展覧会に展示するなど、国内
外問わず多くの人に立命館大学エネマネハウスの提案を知ってもらうための取り組み
を行ってきました。
27 協力企業・実施体制
建築設計
㈱宗本晋作設計事務所
設備設計
㈱三晃テクノクリエイト
建築施工
設備施工
㈱コラボハウス
㈱タナカヤ
PVパネル提供
燃料電池提供
京セラ㈱
㈱大阪ガス
打ち水タイル提供
断熱工法協力
近江化学陶器㈱
㈱ウィンゲート
㈱和久環組
パワコン提供
新晃工業㈱
蓄電池提供
ニチコン㈱
㈱パナソニック
ガラス提供
サッシ協力
旭硝子㈱
衛生器具協力
空調協力
㈱三晃空調
㈱LIXIL
膜モジュール協力
ダイキン工業㈱
TOTO㈱
ダイセン・メンブレン
・システムズ㈱
朝日機器㈱
日製電機㈱
日本管材センター㈱
㈱フジクリーン工業
㈱森松工業
㈱テラル
その他協力企業
㈱寺田鉄工所
その他協力企業
グルンドフォスポンプ㈱
協力して頂いた企業の方々
心から感謝を申し上げます
Fly UP