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外国につながりのある児童生徒 への指導・支援の手引き

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外国につながりのある児童生徒 への指導・支援の手引き
外国につながりのある
外国につながりのある児童生徒
につながりのある児童生徒
への指導
への指導・
指導・支援の
支援の手引き
手引き
平成24年6月
神奈川県教育委員会教育局
支援教育部子ども教育支援課
目次
■ はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■ かながわ教育ビジョンから ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
2
・
①教育をめぐる現状と課題
②教育目標(めざすべき人間力像)
③取組みの方向
■ 神奈川県の国際教育の指針
■ 外国籍児童生徒の増加
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6
■ 外国につながりのある児童生徒の多様な背景
・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
■ 神奈川県内の国際教室・国際教育について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
■ 神奈川県内の学校の実践から・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
□大和市立渋谷中学校の取組み
■ 担当教員の役割Ⅰ -連携について-・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
13
①学級担任との連携
②他の教職員等との情報共有
③家庭との連携・共通理解
④教育委員会との連携
⑤地域との関係づくリ
■ 担当教員の役割Ⅱ -日本語指導について-・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
①児童生徒の「言葉の力」とその把握方法について
②生活言語能力と学習言語能力について
■ 日本語指導の実践例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
17
(1)「まいごさがし-大切なことを落とさずに聞こう-」
(話すこと・聞くこと)
(2)「手紙を書こう-運動会に来てね-」(書くこと)
■ 異文化理解のための授業実践例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
22
○ブロックゲーム~世界の多言語を知ろう~
○ みんな同じ、みんな違う
■ 実践研究報告Ⅰ -藤沢市-
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
■ 実践研究報告Ⅱ -相模原市-
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
26
29
は じ め に
平成2年の「出入国管理及び難民認定法」の改正以降、本県では、
外国籍県民の増加と定住化が一層進むなど地域の国際化が進んでいま
す。県内の外国人登録者数は、平成17年以降およそ16万人から17.5万
人の間で推移していますが、この数は25年前のものと比べるとおよそ3.
5倍となります。また、県内の外国籍児童生徒数は、平成19年度以降6
千人を超えて推移しており、全国的にみても国際色豊かな学校が多い
県となっています。
一方、地域や学校により、外国籍児童生徒の在籍数に大きな違いが
あることも、本県の特徴となっています。しかし、近年の国際交流の
活発化や社会経済のグローバル化・ボーダレス化から外国籍児童生徒
数は今後も一定数で推移することが予想されることから、外国籍児童
生徒への指導や支援は、県教育委員会としても大きな教育課題として
捉えています。
外国籍児童生徒への指導や支援が大きな教育課題となる一因として、
児童生徒の置かれている環境が多様化していることを見逃すわけには
いきません。本冊子の標題を、「外国籍児童生徒」ではなく、「外国に
つながりのある児童生徒」としたのも、日本国籍でありながら日本語
の指導を必要としている子どもたちや、外国籍でありながら日本で生
まれ育っている子どもたちなど、児童生徒それぞれが異なった外国と
のかかわり方をしており、様々な指導や支援を必要としていることを
伝えたかったからに他なりません。
本冊子は、県内の国際教育にかかわる全ての方々にご活用いただけ
れば幸いですが、とりわけ経験や情報が少ないことから、日々の授業
に悩んでいる先生方の一助になることを願って作成しました。
そこで、本冊子を作成するにあたり、まず、神奈川県の国際教育の
概要を掲載し、本県の国際教育の現状を理解いただき、次いで、国際
教室の基本的な運営方針を立てるうえでの参考となる資料を掲載する
ことで、現在作成している指導計画等を見直すきっかけとし、最後に、
具体的な実践例を通して、授業の基本的な組み立て方を知る構成とし
ています。
最後に、一人ひとりの子どものニーズに応じた教育を実践すること
の難しさを理解しつつ、国際色が豊かなことにより、すべての子ども
たちにとって学びの幅が広がり、かけがえのない体験ができる学校が
これからも増え続けていくことを願ってやみません。
神奈川県教育委員会教育局支援教育部
子ども教育支援課長 笠原 陽子
-1-
■ かながわ教育
かながわ教育ビジョン
教育ビジョンから
ビジョンから
神奈川県において「外国につながりのある児童生徒への指導・支援」を考える際には、
平成19年に策定された、「かながわ教育ビジョン」を振り返ることが大切です。
教育をめぐる
教育をめぐる現状
をめぐる現状と
現状と課題
◆子どもの思
どもの思いと育
いと育ちの姿
ちの姿
子どもたちは、いつの時代にあっても、
常に大きな可能性に満ちた存在です。自
分に自信がもてれば、新たなことに興味
・関心を抱き、積極的に周囲にはたらき
かけ、多くのことを吸収し、自分のもの
にしていくことができます。これは、ま
わりの大人のかかわり方や社会のあり様
から、大きな影響を受けやすい存在とい
うことでもあります。
平成17年度の神奈川県教育委員会「教
育に関する学校関係者向け意識調査」に
よると、大人から見た子どもの印象と、
子どもが自分自身をどう思うかについて
は、その意識に大きな差があります。た
とえば、「ねばり強さがある」や「社会
に役立とうとする心や公共心がある」な
どの項目では、大人が感じている以上に、
子どもたちは前向きな思いを抱いています。
子どもたちの表面的な言動に、ともすると大人は目を向けがちですが、子ど
もの内面にある思いや願いへの理解をもっと深める必要があります。
また、子どもたちは、乳幼児から小・中・高校生と成長していくに従い、ま
わりの人たちや社会とのかかわりを通して、自分づくりをしていきます。その
過程で、多くの課題に直面し、様々な悩みをもちながら、自らを見つめ直して
いくものです。
こうした過程は、子どもたちにとって自然なことであり、それを乗り越えて、
自分らしく生きる力を培うことに対する支援が、周囲の大人には求められてい
るのです。*1
振り返って、今の子どもたちを見ると、自己肯定感をもてなかったり、友だ
ちなどと人間関係が上手く築けなかったりする子がいます。また、将来や友だ
ちのことなどで、様々な悩みやストレスを抱えている子や、学習意欲を失って
いる子などもいます。
さらに、不登校やいじめなどは減らず、人格や生命の尊厳を傷つける程まで
に深刻化するものもあり、事態は極めて厳しい状況にあります。また、学校生
活になじめず、中途退学をする者もいます。
-2-
一方、子どもたちの体力や運動能力は低下傾向にあり、食生活の乱れや肥満
傾向にある子どもも増えています。
人づくりを考えるうえでは、このような子どもの深刻な状況にも適切に対応
していくことが求められています。*2
◆様々なニーズヘの対応が求められる学校
学校では、社会状況の変化や、子どもたちの様々な育ちを背景に、一人ひと
りの個性や教育的ニーズに応じた適切な指導・支援を行うとともに、家庭や地
域からの多様化するニーズに迅速かつ的確に応えていく必要があります。
そのため、教職員には、これまで以上に高い自覚と責任、専門性などが求め
られています。
教職員はそうしたことに意欲的に取り組んでいますが、このような様々なニ
ーズに対応することに追われ、子どもたち一人ひとりに向き合うことや、教材
研究、自己研さんを積むことに十分な時間を確保できにくくなっている面もあ
ります。
さらに、発達障害など、多様な支援を必要とする子どもも以前より増えてお
り、このような視点からの対応も求められています。*3
教育目標(めざすべき人間力像
めざすべき人間力像)
人間力像)
[思いやる力]
他者を尊重し、多様性
を認め合う、思いやる
力を育てる
自己肯定感
[たくましく生きる力]
[社会とかかわる力]
自立した一人の人間と
して、社会をたくまし
く生き抜くことのでき
る力を育てる
社会とのかかわりの
中で、自己を成長させ、
社会に貢献する力を育
てる
この3つの教育目標では、人が家庭の中に生まれ、多くの人に見守られなが
ら成長していく過程で、自己肯定感を基盤とし、人を尊重し、多様性を認める
思いやる力を身に付けるとともに、社会とのかかわりの中で豊かな経験を積み、
学び続けることで人間的な成長を遂げ、自分らしく自立してたくましく生き抜
くことのできる力と、学んだことを生かして社会に貢献する力の育成をめざし
ています。*4
-3-
こうした課題や目標を踏まえて、県としてどのような展開を図っていくか、その方向
が「かながわ教育ビジョン」に示されています。*5
基本方針
子ども一人ひとりが学習の大切さを実感し、共に励み合って学ぶことの
できる教育に取り組みます
-取組みの
取組みの方向
みの方向-
方向-
◇子ども一人
ども一人ひとりを
一人ひとりを大切
ひとりを大切にはぐくむ
大切にはぐくむ教育
にはぐくむ教育の
教育の充実
子ども一人ひとりの「育ち」を的確にとらえ、生きることや働くことの大切
さを考える機会の充実と、確かな学力の向上を図ります。また、子どもの心に
寄り添い、不登校、いじめや暴力行為などへの対応を図るとともに、障害の有
無にかかわらず、多様な教育的ニーズに対して必要なサポートを行うことで、
その資質や能力を十分に伸ばすことができる教育の充実に取り組みます。
○確かな学力向上の推進
○自分の生き方や働くことの大切さを考える教育(キャリア教育)の推進
○小・中・高等学校における支援教育の充実
○特別支援学校における専門的な教育などの充実
○特別支援学校における進路指導の充実
○不登校、いじめ、暴力行為への対応
○教育相談体制の充実
○人権教育・男女平等教育の充実
◇豊かな人間性
かな人間性や
人間性や社会性をはぐくむ
社会性をはぐくむ教育
をはぐくむ教育の
教育の推進
自然や人とのふれあいなどの体験による学びを通して、生命を尊重する心や
人への思いやり、社会人となるための責任感や規範意識、さらには、食育をは
じめ健康な生活を送るための習慣や態度など、豊かな人間性や社会性をはぐく
む教育の推進に取り組みます。
○豊かな心をはぐくむ教育の推進
○学校の部活動の活性化
○地域貢献活動・ボランティア活動の充実
○食育・健康教育の充実
◇時代や
時代や社会の
社会の変化に
変化に対応できる
対応できる教育
できる教育の
教育の推進
国際化や情報化の急速な進展、環境問題の新たな展開など、時代や社会の様
々な変化に対して、主体的に行動し、対応することのできる豊かな知性を、身
に付けることができる教育の充実に取り組みます。
○国際化に対応した教育の推進
○総合的な環境教育の推進
○科学技術・情報通信技術の進展に対応した教育の推進
○これからの社会に応じた産業教育の推進
-4-
■ 神奈川県の
神奈川県の国際教育の
国際教育の指針
(神奈川県教育委員会)
「平成24年度学校教育の重点」より「国際教育の重点」について
神奈川県の「在日外国人(主として韓国・朝鮮人)にかかわる教育の基本方針」を
踏まえ、指導資料等を活用しながら、外国につながりのある子どもたちの受け入れ体
制の整備や、適応指導、日本語指導、進路指導及び教育相談等の支援の充実に努める
ことが大切です。
また、児童生徒一人ひとりが国際社会の一員として国際平和の実現と福祉の向上に
貢献し、世界の人々と心を開いて交流できる人間に育つよう、「国際教育」の積極的
な推進を図ることが重要です。
「学校教育の重点」は毎年度の学校教育の中で取り組む重点について示したもので、
国際教育については、その中の一つとして上のように示しています。
県教育委員会では「一人
母国語別児童生徒数-
都道府県別-
図1:母国語別児童生徒数
-都道府県別
-
ひとりの教育的ニーズに応
え、共に育ち合う支援教育」
を推し進めています。一人
ひとりの教育的ニーズに応
えるとは、自らの力だけで
は解決することが難しい課
題(教育的ニーズ)を抱え
る子どもたちには、周囲の
適切な支援が必要であるこ
とを認識し、教職員が子ど
もたち一人ひとりの気持ち
に寄り添い、個別の教育課
題を把握するとともに、課
題解決に向けて取り組むこ
ととしています。
実際の指導の場面におい
て配慮を要する点は、多く
の課題に対して、適切な支
援をしていくためには、担
任などが一人で抱え込むこ
となく、
① 学校全体で子どもた
ちを支援する体制を整える
(出典)全国都道府県教育委員会連合会
「全国都道府県教育データ集2010」
-5-
② 必要に応じて学校内外の人や機関と連携し、解決の手立てを考える
③ 教育相談コーディネーターを中心に支援体制を確認し、分担して取り組む
という手順により、一人ひとりの教育的ニーズについて、学校全体で共通理解しなが
ら取り組むことです。
県の国際教育の指針の源流をたどると、平成3・4年度神奈川県義務教育研究協議会
のまとめ「外国人児童生徒教育の在り方」にたどりつきます。まとめの中では「国際教
育の目指すものは、日本と諸外国との文化や国籍の違いを超えた人間の尊厳について深
く理解し、国際平和の実現と人類の福祉の向上に貢献するととともに、世界の人々と心
を開いて交流することのできる人間を育成することです。その根底に流れるものは、
『他
者の存在とその理解』『協調、協力の精神』です。」や「神奈川県は、これまで推進して
きた『ふれあい教育』の中で、人種や民族に対する偏見や差別を排除し、国籍や文化、
宗教・思想の違いを超えて、基本的人権を尊重する態度を養うとともに、『 個性・共生
・共育』の実現に努めてきました。」と記されています。
■ 外国籍児童生徒の
外国籍児童生徒の増加
図2:神奈川県の
神奈川県の外国籍児童生徒数の
外国籍児童生徒数の推移
(人)
8,000
7,000
6,000
5,000
5,740
5,843
1,739
1,710
6,070
1,779
6,222
1,928
6,438
6,081
2,122
2,100
4,000
中学校
小学校
3,000
2,000
4,001
4,133
4,291
4,294
4,316
3,981
1,000
0
平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成23年度
(出典)神奈川県教育委員会支援教育部子ども教育支援課
平成23年「公立小・中学校における外国籍児童・生徒の国籍別在籍状況調査のまとめ」
県内の外国籍児童生徒の在籍者数は、平成23年度、小学校 3,981人、中学校 2,100人、
総計で6,081人となっています(図
図2)。
こうした外国籍児童生徒のすべてが、日本の学校に就学するに当たって、日本語や母
国との生活習慣の違いに対して特別な配慮を必要とするわけではありません。保護者の
-6-
世代から長期間にわたって日本に在住し、日本語や日本文化に理解を示している場合に
は、日本語指導、学校や社会に適応するための指導、母語や母文化に配慮した指導など
の必要性は低いといえます。
また、日本語指導が必要な児童生徒は外国籍者に限られるわけでもありません。近年
では、国際結婚の家庭の子ども、日本国籍者であっても、長期の海外生活を経て帰国し
た子どもなどに対し、日本語指導を行っているケースも少なくないからです。このよう
に、外国籍児童生徒と日本語指導が必要な児童生徒が全くの同義であるとは言えないと
いう点に留意しておくことが大切です。*6
全国的には平成2年(1990年)の「出入国管理及び難民認定法」の改正、翌3年の施行
以来、外国籍者が飛躍的に増加しました。神奈川県は近隣都県と比べても日本語指導が
必要な外国籍児童生徒の在籍者数が多い地域となっています(図
図1・図3)。こうした
状況の中、「外国につながりのある児童生徒」への指導や支援は、県の重要な教育課題
の一つとなっています。
図3:神奈川県の
神奈川県の日本語指導を
日本語指導を必要とする
必要とする外国籍児童生徒数
とする外国籍児童生徒数の
外国籍児童生徒数の推移
人
( )
3,000
2,500
2,405
2,390
691
702
2,285
2,177
2,055
2,000
1,732
1,500
600
638
572
480
中学校
小学校
1,000
1,483
1,577
1,647
1,714
1,688
1,252
500
0
平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成23年度
(出典)神奈川県教育委員会支援教育部子ども教育支援課
平成23年「公立小・中学校における外国籍児童・生徒の国籍別在籍状況調査のまとめ」
-7-
■ 外国につながりのある
外国につながりのある児童生徒
につながりのある児童生徒の
児童生徒の多様な
多様な背景
県内には小学校に54ヵ国、中学校に42ヵ国、総計で58ヵ国の国籍をもつ児童生徒が
在籍し、同様に児童生徒の母語についても多様化しています。(図
図4,5)
外国につながりのある児童生徒を指導・支援する際は、こうした国籍や出身地の違い
について、保護者とコミュニケーションを図ることなどにより、指導者が理解すること
が重要になります。とりわけ、児童生徒の母語については配慮を必要とし、同じ国内で
も公用語と民族語、地域による言語の差異など、多様な言語が存在します。母語はその
国籍だけでは判断できないことを指導者は心に止めておくことが大切です。
図4:平成23
平成23年度
23年度 神奈川県国籍別児童生徒数
その他
中国
17.2%
22.2%
ペルー
韓国・朝鮮
12.3%
11.7%
ブラジル
12.2%
フィリピン
ベトナム
10.3%
14.1%
(出典)神奈川県教育委員会支援教育部子ども教育支援課
「公立小・中学校における外国籍児童・生徒の国籍別在籍
状況調査のまとめ」 平成23年
図5:平成22
平成22年度
22年度 母語別児童生徒数(
母語別児童生徒数(神奈川県)
神奈川県)
英語
小学校
中学校
合計
韓国・ スペ イン
朝鮮語 語
92
17
109
70
18
88
385
116
501
中国語
フ ィリピ ベ トナム ポルト ガ
ノ語※
350
306
656
228
96
324
語
ル語
243
76
319
242
103
345
その他
194
60
254
合計
1,804
792
2,596
※ フィリピノ語はタガログ語を含む
※ 母語とは当該外国人児童生徒の第1言語(日本語を除く)を指します
(出典)文部科学省
平成22年日本語指導が必要な外国人児童生徒の受入れ状況
母語別児童生徒数
さらに、指導者は来日前の就学、学習経験についても把握する必要があります。国や
地域により学校教育の在り方、学校文化は異なります。日本の学校は、教科の学習から
生活指導、食事や余暇の過ごし方まで広範に指導することが特色です。しかし、国や地
-8-
域によっては、学校の役割が日本と比べて限定的であることも多く、来日した子どもに
とっては、音楽や体育などの教科が初めての経験となることもあります。さらに、児童
生徒によっては何らかの理由で就学経験がなかったり、学校への就学が限られた時間、
期間であったりすることも見受けられます。
なお、現在では、日本で生まれ、日本で育った外国籍の子どもたちも多くなっていま
す。こうした子どもたちと、新たに来日した子どもたちへの支援、指導上の配慮は異な
ります。日本で育った子どもの場合には、外国籍であったり、家庭での言語、文化の背
景などが異なっていたりしても、日本での生活のみの経験者であり、日本語を使う機会
が多く、一見すると日本語や日本の文化に適応できているように見えることが多いよう
です。しかし、生活の中で日本語に接する機会が限られ、日本語を習得する場が家庭や
近隣での生活にない場合には、学習に耐えうる日本語の力が培われていないこともあり
ます。一見して配慮を必要としないように見えるかもしれませんが、まずはしっかりと
子どもの実態を把握し、そのうえで指導することが大切です。*7
■
神奈川県内
県内の
県内の国際教室・
国際教室・国際教育について
国際教育について
-国際教室設置校数の
国際教室設置校数の推移-
推移-
(校)
平成18
年度
平成19
年度
平成20
年度
平成21
年度
平成22
年度
平成23
年度
小学校
93
92
95
101
103
107
中学校
33
37
40
43
44
45
計
126
129
135
144
147
152
※ 数値は、「国際教室が設置されている学校の中で、当該の児童生徒数の条件を満た
したのち、教員が加配された学校数」をもとに算出している。
-日本語指導等協力者の
日本語指導等協力者の派遣-
派遣-
※ 日本語指導等協力者は、派遣先の小・中学校において外国籍児童生徒を指導する
教員を言語面から援助します。さらに、児童生徒の生活面や学習面の適応に関する
教育相談、翻訳や通訳及び日本語指導等を行うことにより、外国籍等児童・生徒、
保護者及び教員等に対する相談体制の充実を図ってます。
派遣している市町村数
派遣していない市町村数
23
-派遣の概要(実施している言語と協力者の人数)-
スペイン語
118
ベトナム語
中国語
105
韓国・朝鮮語
ポルトガル語
77
ラオス語
英語
73
カンボジア語
タガログ語
56
その他
-9-
10
47
20
15
12
29
■ 神奈川県内
県内の
県内の学校の
学校の実践から
実践から
□大和市立渋谷中学校の
大和市立渋谷中学校の取組み
取組み
渋谷中学校は県内でも国際教育に先進的に取り組んでいる学校です。一人ひとりの将
来を見据えた個別指導を心がけ、それぞれの学習状況に合わせた指導が行われています。
また、全職員がこうした考えを共有していることを、地域や保護者へ広く示しています。
ここに提示した資料は、平成23年度の国際教室運営の指針です。
- 10 -
渋谷中学校では、多くの先生方が国際教室の指導に直接かかわっています。中でも個
別指導の時間では、教科の枠を越えた指導が行われています。
次の資料は、生徒に日本語の指導をする際の共通理解事項として、すべての教員に周
知されているものです。
- 11 -
次の資料は、渋谷中学校の国際教室で学ぶ生徒の学習カリキュラムです。カリキュラ
ムは、生徒の在日年数や日本語の習得状況をもとに、いくつかのパターンが用意されて
います。
- 12 -
■ 担当教員の
担当教員の役割Ⅰ
役割Ⅰ -連携について
連携について-
について-
*8
国際教室の担当者等は、個に応じた指導を充実するために、校内の職員をはじめとし
て外部の関係機関とも連携しながら効果的な指導をすることが大切です。
連携する際には、①活用できるリソース(関係機関等の資源または情報資源のこと)
を知る。②どのような情報や協力を得ることができるかなど、リソースごとの活用方法
を知る。③児童生徒のニーズに応じて、適切なリソースを活用することなどが大切です。
後の(
資料1
(資料
1)には、国際教育等担当教員の基本的な役割を示していますが、内容に
よっては、リソースを上手に活用することにより、さらに効果的な教育活動を行うこと
ができるようになります。
①学級担任との
学級担任との連携
との連携
在籍学級と日本語教室や国際教室など、それぞれにおける生活・学習の様子などにつ
いて、学級担任と情報交換を行い、対象となる外国人児童生徒の教育内容や方針につい
て相談しましょう。連携を図ることで、学習面では、内容を関連付けたり連続性を持た
せたりすることができます。生活面でも、在籍学級の担任と日本語指導担当教員の間で、
一貫した教育的対応をすることが可能になります。
②他の教職員等との
教職員等との情報共有
との情報共有
学校内で外国人児童生徒に接する教職員などと、児童生徒の様子を伝え合いましょう。
外国人児童生徒を支援するには、日本語習得や他の教科の学習の状況、家庭の様子、ま
た背景の言語文化について把握していることが重要です。児童生徒を多面的に捉えるこ
とは、より教育的な対応方法を考えるヒントになります。また、日本人の児童生徒とは
どのような点で異なるのかを認識することが大切です。
③家庭との
家庭との連携
との連携・
連携・共通理解
外国人児童生徒自身は、毎日の生活を通して、日本の学校について徐々に理解し、活
動にも参加できるようになります。しかし、その保護者は、自分が経験した出身国・地
域の学校教育のイメージしかもたないため、日本の学校生活について理解できない場合
が多いです。そのため、丁寧に説明して理解を求めていくことが重要です。日本の学校
教育のシステムと保護者がもつ学校の概念や教育観との違いなどについて話し合い、共
通理解が持てるようにしましょう。
外国人の保護者は、日本語がよく分からない、日本の学校の様子をよく知らないなど
の理由で、子どもの教育に関心があっても学校に足を運びにくいという状況があります。
そのような保護者にも、学校の教育活動に積極的に参加してもらえるような機会を設け
ることが大切です。保護者が参加する教育活動では、通訳者を配置するなどして参加し
やすい環境をつくりましょう。また、日頃から日本人保護者との接点をつくることも重
要です。保護者の横のつながりがあれば、情報の交流も頻繁になりますし、日本語が多
少分からなくても、知り合いの保護者がいることで安心して学校に来ることができるで
しょう。
- 13 -
資料1
資料1:国際教育等担当教員の
国際教育等担当教員の役割
神奈川県教育委員会支援教育部子ども教育支援課 作成
- 14 -
④教育委員会との
教育委員会との連携
との連携
基本的に、教育委員会担当者などとの連絡窓口は管理職ですが、外国人児童生徒教育
に関して経験が少ない場合は、担当教員がその役割を担うケースもあります。例えば、
外国人児童生徒に対する日本語指導の要否や日本語指導の終了時期の判断、教育委員会
への日本語指導協力者や通訳者などの派遣依頼やその計画立案などのような仕事です。
ただし、最終的な決定は管理職が行うこととなりますので、連絡や相談、調整を図るこ
とを忘れてはなりません。
⑤地域との
地域との関係
との関係づく
関係づくリ
づくリ
児童生徒は、学校のみではなく、地域の様々な場面で学び、育っています。児童生徒
の生活の場である地域社会と学校が連携することで、外国人児童生徒の学習はより充実
したものになります。地域において、ボランティアの日本語教室や学習支援教室などが
運営されている場合がありますが、学校はそのような教室と協力することが大切です。
このことにより、子どもたちを学校と社会の両方で見守ることができるようになり、学
習内容に連続性をもたせやすくなります。
地域に連携や協力ができるような団体がない場合は、地域住民と学校との連絡会など
で、外国人住民とその子どもたちの教育について話題にし、共に考える場をつくってみ
てはどうでしょう。地域内の外国人住民との関係づくりという点でも、良い効果が期待
できます。学校が、地域の教育体制づくりの契機を提供し、拠点となることは、外国人
児童生徒のみならず、日本人の児童生徒にとっても、地域に住むすべての児童生徒にと
っても、より良い生活環境の整備につながります。
■ 担当教員の
担当教員の役割Ⅱ
役割Ⅱ -日本語指導について
日本語指導について-
について-
*9
国際教室の担当者等は、児童生徒の学習の状況、適応状況、学習への姿勢などを把握
したうえで、一人ひとりに応じた方法で日本語を指導する事が大切です。
日本語を指導する際には、①児童生徒の発達段階 ②これまでの学習歴 ③基礎的な学
力 ④現在の日本語の習得状況 ⑤家庭での学習環境などについて把握しながら、指導計
画を作成・修正していくことが大切です。
①児童生徒の
児童生徒の「言葉の
言葉の力」とその把握方法
とその把握方法について
把握方法について
日本語指導に当たっては、児童生徒の「言葉の力」をどう把握するかが大きな問題とな
ります。転入してきた児童生徒が、どの程度の日本語の力をもっているのかを把握した
うえで日本語指導の計画を立てる必要がありますし、一定期間教えたら、どの程度の日
本語の力が身に付いているのかを知り、指導計画を修正することも重要です。
外国人児童生徒の日本語の力を測るために、これまでにも、専門家によっていくつか
の評価方法や評価尺度が提案されています。しかし、いずれの測定方法も、測れるのは
一部の力だということを認識しておきましょう。例えば、筆記テストで測定できるのは、
文法力や語彙力、文字表記の力、読解力、短い文を書く力など、日本語の力の一部です。
児童生徒の言葉の力をトータルで捉えるには、児童生徒の授業中の観察、発表やスピー
チ、作文などの成果物など様々な点から評価をして、把握するようにしましょう。
- 15 -
②生活言語能力と
生活言語能力と学習言語能力について
学習言語能力について
長年日本語指導を担当し、多くの外国人児童生徒を観察してきた教員から「日常会話
は出来ても、授業などの学習に参加できない子どもが多い。日常会話の力と、学習で求
められる力は違う。」という声をよく耳にします。
この2つの能力は、一般には「生活言語能力」と「学習言語能力」と呼ばれています。前
者は、1対 1 の場面での日常的で具体的な会話をする口頭能力であり、後者は、教科等
の学習場面で求められる情報を入手・処理し、それを分析・考察した結果を伝えるよう
な思考を支える言語の力です。「生活言語能力」については、ある程度は、普段の生活の
中で自然に身に付きますが、教員による支援も必要です。一方、「学習言語能力」につい
ては、生活の中で身に付くことはあまり期待できません。日本語指導担当教員が中心と
なった計画的な支援が必要になります。
- 16 -
■ 日本語指導の
日本語指導の実践例
*10
(1)
「まいごさがし-
まいごさがし-大切なことを
大切なことを落
なことを落とさずに聞
とさずに聞こう-」
こう-」
○領域
「話すこと・聞くこと」
○指導時間数
全5時間
○指導のポイント
◆児童生徒に「聞くこと」の大切さとおもしろさを理解させる。
◆日本語を聞き取るうえで、ポイントとなる部分を意識させる。
◆場面や目的に応じた聞き取り方を工夫させる。
○単元の設定理由とねらい
聞く能力は、態度、聞き方、聞く内容から捉えられる。態度、聞き方については、
「話し手の方を見ながら」「うなずきながら」「最後まで」などが挙げられる。特に
本単元では、耳を澄まし集中して最後まで聞く態度を身に付けさせたい。
次に、聞く内容についてである。学年に応じて、順序を考えながら聞き取る、要
点を押さえながら聞き取るなどの目標が挙げられる。また、聞く目的によっても聞
き方は、おのずと変わるものである。一言一句をもらさずに聞き取る場合もあれば、
メモを取って大まかに話の概要を聞き取る場合もある。また、聞き取ったことを次
にどう生かすかによっても聞き取るときの留意点や操作活動は変わってくる。さま
ざまな場面に応じて、その目的に合った聞き方ができるようになってほしい。
本単元では、大切なことを落とさずに聞き取ることを目標とする。「まいごさが
し」の単元で、聞き取る内容として大切なことは、まいごとなっている人の特徴で
ある。特徴を聞き取り、それを具体的に正確にイメージしていく聞き方が大切にな
る。まいごをさがすという目的のためには必要でない情報を省き、大切なことだけ
を落とさずに聞くことができるようにさせたい。
また、まいごをさがすことが最終的な目標になってしまわないように、応用編と
して、大切なことを聞き取ってまいご以外のものをさがす言語活動を計画したい。
今回は、「わたしはだれ(何)でしょう」「先生を捜せ!」「スリーヒントゲーム」
の3つの言語活動を考えた。この中から「先生を捜せ!」ゲームについて説明する。
デジタルカメラで教師・指導者一人につき数枚の写真を撮っておき、その中から
服装や持ち物、特徴を聞いて本物の先生を捜すゲームである。写真は似ているほど
間違いやすく、注意深く細かな違いを聞き取らなければならなくなるのでおもしろ
い。児童の集中力も高くなる。自校の教師・指導者を題材に扱うことによって、聞
きたいという児童の興味関心を引き出すことができる教材である。
方法としては、ゲーム的な活動を通して、楽しみながら体験的に学習できるよう
にしたい。ゲームを楽しみながら大切なことを正確に聞き取るための工夫や注意に
気付かせ、ただ何となく聞くのではなく目的に応じて意識して聞く力が付くように
させていきたい。
- 17 -
○学習活動過程(全5時間)
学習活動(具体的な言語活動) 各局面における伸ばす
次・時間
べき国語力・日本語力
学習支援・指導と学習材
【一次 1時】
1 学習の見通しをもつ。
○学習の見通しをもち大 ○聞き取りメモの代わりに、
2 まいごのアナウンスを聞
切なことを落とさない
洋服や靴、帽子などの絵を
いて、具体的な人物像を考
ようにしながら興味を
用意し、聞き取った絵を選
える。
もって聞くことができ
ばせる。
(着せ替えカード)
3 文字言語と耳で聞く音声
る。
○音声言語は消えてなくなっ
言語の違いを考える。
てしまい、文字言語のよう
4 まいごさがしをするため
に後に残らないことに気付
に気を付けなければならな
かせる。
いことは何かを考え、話し
○集中して聞く態度と、聞き
合う。
取るポイントを考える必要
5 まいごのアナウンスを聞
があることに気付かせる。
いてまいごをさがしてみる
6 自己評価をする。分かっ
たことややりたいことをま
とめる。
【二次 2~4時】
7 「まいごさがし」から必 ○耳で聞きながら、人物 ○繰り返し数人、「まいごさ
要なことを聞き取り、まい
の特徴をとらえ、具体
がし」を行う。
ごをさがす。
的な人物像を描くこと ○何を聞き逃したのか、何か
8 まいごがさがせなかった
ができる。
よけいなことはなかったか
り、違う人物を選んでしま
を考えさせる。
ったりしたことから、気を
○正確に聞き取るための工夫
付けなければならないこと
はどうすればいいか考えさ
を考える。
せる。
9 グループでまいごの問題
○書くことの負担を考え、聞
をつくり、お互いに出題し
き取ったことを3択で選
合う。
び、○を付けるメモを用意
10 自己評価をする。聞き取
する。
るときに気を付けなければ
○母語によるメモを取っても
ならないことをまとめる。
よいことにする。
【三次 5時】
11 選択制で大切なことを落 ○今まで学習したことを ○クラスの人物を班で一人決
とさないで聞き取るゲーム
生かして、様々な問題
めて問題をつくり、だれな
を行う。
から大切なことを落と
のかを当てさせる。(教室
○先生を捜せゲーム
さずに聞き取ることが
の中のものを質問から当て
できる。
る。)
- 18 -
○同一人物で4~5枚の写真
を用意し、細かな違いに気
付かせる。
○「像です」「赤い服を着て
います」「歯を磨いていま
す」などの3つのヒントか
ら、どのかるたのことなの
かを当てる。
(動物カード)
○単元の指導目標
・ゲームを楽しみながら、集中して最後まで聞くことができる。
・活動の目的に応じて大切なことを落とさずに聞くことができる。
・聞いたことを忘れない工夫として、選択して○を付けるメモや母語によるメモな
どを使いこなすことができる。
○支援・指導と学習材(リソース)
本単元では、聞く力の実態に合わせた個別支援を大切にして、学習材を活用して
いく。
(1)各種聞き取りメモ(着せ替え人形のように絵を選ぶもの、選択してを○付け
るメモ、母語を使ったメモ)
(2) アナウンス原稿
原稿例
・まいごのお知らせです。
・5才ぐらいの(男・女)の子がまいごになっています。
・名前はまゆみちゃんです。
・まゆみちゃんは(赤い・青い)シャツを着ています。
・(水玉の・花柄の)スカートをはいています。
・(白・黒)色のくつをはいています。
・手にはふうせんを(2つ、3つ)もっています。
・くりかえします。…
(3)「本物の先生を捜せ」ゲーム用デジカメ写真と問題、くじなど
○「○○先生をさがせ」ゲームの問題例
◇服装や手に持っているものを替えた写真を数枚用意する。
・○○先生を捜せ!
・○○先生は、白いブラウスを着ています。赤い花柄のスカートをはいています。
・赤いズックぐつをはいています。めがねをかけています。
・赤いボールを持っています。
・もう一度繰り返します。…
・さて、本物の○○先生はどれでしょう。
- 19 -
(2)
「手紙を
)
手紙を書こう-
こう-運動会に
運動会に来てね-
てね-」
○領域 「書くこと」(手紙文)
○指導時間数 全6時間
○指導のポイント
◆児童生徒に「書くこと」の大切さとおもしろさを理解させる。
◆学習の段階に合わせて、教材・教具に工夫を加える。
◆読み手を意識した文を書かせる。
○単元の設定理由とねらい
書くことを覚えた子どもたちにとって、「手紙」は書いたことが有効に働くこと
を実感できる、身近な活動である。実際に遊びの中でも、休み時間の相談や下校後
の約束をやり取りしているお手紙ごっこの場面をときどき見かけることがある。
学習活動としては、少し改まった状況を設定することによって、相手意識や書く
目的・内容を明らかにしたり、文の書き方や文字に気を付けたりすることができる
と考えられる。具体的には、家族に運動会の招待状を書く場を取り上げる。
運動会は、日本の学校生活では代表的な行事であるが、日本語を母語としない子
どもたちやその家族にとっては、あまり経験のないものでもある。時には、競技に
全員が参加することに驚いたり、徒競走では全員が力いっぱい走り競うことに戸惑
ったりすることもある。運動会の招待状を書く活動を通して、不思議に思うことや
感じたことを表現したり、それを教師・指導者や友だちに聞いたりできるよさもあ
る。また保護者にも、ただ目の前の運動会の様子だけではなく、練習の過程や子ど
もたちの気持ちを知ることによって安心して参観することができるだろう。
日本語の学習としては、自分の出場する競技の説明の中で、順序を表す言葉を使
ったり、がんばったことや見てほしいところなどの気持ちを表す言葉を使ったりす
ることをねらっている。また、自分が伝えたいことだけではなく、招待される家族
にとって必要な情報は何かを考えさせることによって相手意識をもたせた学習を行
うようにしたい。
○学習活動過程(全6時間)
学習活動(具体的な言語活動) 各局面における伸ばす
次・時間
べき国語力・日本語力
【一次 1~2時】
1 導入・学習課題を把握さ
せる。
○これまでに、手紙を出した
りもらったりしたことはあ
るか。
○手紙を出すときにはどんな
ことに気を付けたらいい
か。
2 家の人に運動会の招待状
を書くことを知らせ、必要
なことは何か話し合わせ
る。
○招待状に書くことを書き手
の立場、読み手の立場、両
方から考えさせる。
【二次 3~5時】
3 下書きを書く。
○下書きをし、教師が目を通
してから清書するという手
順をふませる。文字や文章
表現のあやまりを直すとと
もに、その子どもらしさの
でるものになるよう、内容
面でもアドバイスする。
学習支援・指導と学習材
○手紙のよさ、特徴に気 ○今までもらった手紙やもら
が付く。
った経験。
○大事なことを正確に落 ○学校からの配付物。
と さ ず に 書 こ う と す ○電話と比べる。
る。(いつ、だれが、 <必要と思われること>
どこで、なにをする)
運動会の日時、種目の順番
○読む人の身になって書
(児童が出る種目の順番や
く。
競技位置)、種目の説明、
○文末表現や文字を丁寧
家族の出る種目の説明、集
に書こうとする(です、 合場所など、その他、説明
します、ください、な
図、挿絵などレイアウトの
ど。読みやすい文字で) 工夫。
○順序を考えて書く。
○基本的な文型の形を示した
・まず
ワークシートを用いたり、
・つぎに
黒板に書かれたものをなぞ
・さいごに
って書いたり、白い紙に自
○文と文のつながりを考
分でレイアウトして書いた
えて書く。
り、すでにあるプログラム
○書いたものを、読む人
に付け足す形で書いたり
の立場になって、分か
と、個々の子どもや学級の
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4 清書する。
○ 複数 で 学 習し て い る場 合
は、清書の前に互いに交換
して読み合い、校正したり、
互いのよさを認め合い、ま
ねしたいところは取り入れ
させたりしてもよい。
三次【 6時】
(運動会終了後に行う)
5 お礼状を書く。
りやすいか、心がこも
実態に応じた形で取り組ま
っているか読み直す習
せる。
慣を付ける。
<筆記用具の工夫>
○フエルトペン、色鉛筆など
○前書き・本文・あとが ○ここでは形ではなく気持ち
き
を伝えることを重視する。
○単元の指導目標
・相手に必要な情報を整理して書くことができる。
・正しい文体で、丁寧な文字を書くことができる。
・気持ちと事実を分けて書くことができる。
○支援・指導と学習材
・基本的な文型と文例
(1)<招待状>
○月○日○よう日に、うんどう会があります。
かい会式は○時から、はじまります。
ぼくは、せんしゅせんせいを6年生のおねえさんといっしょにすることになり
ました。大きな声でがんばります。
うんどう会は、あかぐみ、しろぐみにわかれてたたかいます。
ぼくは、○○ぐみです。あかぐみのおうえんせきは、らくだ山のまえです。
ぼく(わたし)がはじめにでるのは、ときょうそうです。○○レースの○○コ
ースを走ります。50メートルを力いっぱい走ります。よこうれんしゅうでは、う
しろから2ばんめでした。でも、さいごまでいっしょうけんめい走るのでおうえ
んしてください。
次に出るのはおおだまころがしです。
4人でおおきなたまをころがします。ぼくはうしろから、おすかかりです。カ
ーブのところがむずかしいけれど、たくさんれんしゅうしたのでみていてくださ
い。
さいごは、ダンスです。おさかなてんごくの歌にあわせておどります。これは
じしんがあります。2ばんから、ぼくが前のれつでおどるのでよくみていてくだ
さい。
おひるは、家の人といっしょにおべんとうをこうていで食べるそうです。おか
あさんのおいしいおべんとうがたのしみです。できたら、おむすびとたまごやき
がいいな。
おばあちゃんやおじいちゃん、みんなできてください。
おうえん、よろしくおねがいします。
(2)<お礼状>
前書き
おかあさん、このあいだは、うんどう会のおうえん、どうもありがとう。
本文
(こころにのこったきょうぎやたのしかったことなど、じぶんのきもちをかく。)
あとがき
ぼくは、ずいぶん、にほんのがっこうにもなれてきました。ともだちも、たく
さんできました。おかあさんも、からだにきをつけて、これからもぼくをおうえ
んしていてください。
○月○日
○○○ ○○
○○○ ○○さま
(たてがきのときはあてなはさいごにかくが、よこがきのときはいちばん上にか
く)
- 21 -
■ 異文化理解のための
異文化理解のための授業実践例
のための授業実践例
- 22 -
*9
- 23 -
- 24 -
- 25 -
■ 実践研究報告Ⅰ
実践研究報告Ⅰ -藤沢市-
藤沢市-
○研究成果のポイント
◆藤沢市としての国際教育のカリキュラムづくり
◆コーディネーターの活用
◆外国籍児童と日本人児童における自他の理解の促進
国際教育推進プラン
国際教育推進プラン(
プラン(平成18
平成18年度
18年度~
年度~20年度
20年度)
年度)
■ 平成20
平成20年度
20年度の
年度の実践活動
(1)活動テーマ
活動テーマ
「多文化社会の中で、互いに認め合い育ち合う子供たちの育成を目指して」
(2)活動の
活動の取組み
取組み状況
①「宇宙船地球号カリキュラム」の開発
中核校の湘南台小学校では、1992年に日本語指導教室を設置した当時から、外国
籍児童生徒の国や言葉を理解し、多様な価値観を認め合おうという取組みが行われ
た。当初から学習支援活動をしていた慶應義塾大学のボランティア団体JUMPの学生
が、2001年からは、担任と協働して一般教室における国際教育の授業に加わった。
本研究初年度の2006年からは、文教大学のボランティア団体HOPの学生も交え、総
合的な学習の時間を中心にして、国際教育の学習指導案や教材を作成し、授業実践
している。
2007年度は、カリキュラムコーディネーターの協力を得て、国語・社会・音楽・
家庭科等の教科と関連づけたカリキュラム開発を行った。さらに、どの学年で展開
するのが適切かという視点から、これまで実践した教材やアクティビティを整理し
た。特に、外国籍等児童が授業の中で活躍する場面を設定し、児童が単に支援の対
象としてだけではなく、豊かな異文化を与える存在として尊重されるよう、また共
生について考える契機となるよう、内容を工夫した授業を行った。
2008年度は、全校で国際教育の授業実践に取り組み、系統性のあるカリキュラム
開発を進めた。校内で毎月研究会を持ち、授業実践と検討を重ねたことによって、
授業のねらい・児童の変容を確認することができた。研究の最終年度にあたり、研
究の実績を「宇宙船地球号カリキュラム」としてまとめることができた。
②外国の学校との交流
2004年から、総合的な学習の時間の中でペルーの日系人学校ラ・ウニオン校との
交流が始まり、2005年5月には同校の児童が来日し、湘南台地区でのホームステイ
や授業を体験した。その後も、ビデオレターや手紙の交換などによって、交流を続
けている。さらに、このラ・ウニオン校との交流を発展させ、同じペルー日系人学
校のヒデヨノグチ校、及びビクトリア校とも交流している。
2008年6月に、ヒデヨノグチ校の児童生徒15名が来日し、湘南台小学校各学年の
児童が主体的に計画したプログラムに沿って交流が行われた。この日のために、総
合的な学習の時間では、ペルー国籍の児童を中心にした授業や、保護者・ボランテ
ィアをゲストティーチャーに迎えて、ペルーの文化や生活、スペイン語についての
学習を深める授業を展開した。準備期間として1年以上もかけた児童の活動ぶりを
- 26 -
含めて、この交流が児童にもたらした成果は大きい。
また、ヒデヨノグチ校が日本滞在中は湘南台地区でホームステイ体験もすること
になっていたため、地域や保護者の方々に対するスペイン語講習会を開催したり、
PTAに「ペルー委員会」を設置するなど、準備を進めた。その結果、学校での子ど
も同士の交流を含め、地域を巻き込んだ広がりのある交流が実現し、実のある国際
交流を図ることができた。
③日本の学校紹介ビデオの制作
日本の学校生活を外国籍等児童生徒と保護者に理解してもらうために、学校行事
や学校生活の一日の様子についてビデオ制作に取り組んだ。ビデオ制作コーディネ
ーターが中心となって、教職員との内容検討、台本の作成、撮影の手配、業者との
打ち合わせ、撮影、編集を行った。スペイン語とポルトガル語の吹き替え版があり、
入学説明会や懇談会等で活用できるよう市内すべての小・中学校に配付する予定で
ある。
④外国籍等児童生徒のための日本語教材の開発
教材作成コーディネーターが週1回、日本語指導教室で直接指導する中で、一人
ひとりに適した教材開発を行った。様々な教材を取り上げ、対話文方式や音読・暗
唱など多様な切り口で指導してきた貴重な実践記録である。
⑤地域や学校間の連携
湘南台周辺地域では、ブラジルやペルーの伝統的な踊りを取り入れた地域や商店
街の行事の実施や、外国人と日本人が交流できる場の提供など、地域の外国人との
共生について考えてきている。また、前述のように、国際教育の授業に地域の人々
が参加したり、外国籍保護者と日本人の保護者がPTAや地域の行事を通して交流す
るなど、学校と地域の連携が一層深まってきている。
2007・2008年度には、湘南台小学校で地域コーディネーターの協力を得て、サマ
ースクール及びウインタースクールを開催した。外国籍児童生徒やその保護者など
多くの参加があり、学校を交流の場とした活動が広がってきている。
また、2008年5月には、本研究と学校・地域との具体的関わり、また「多文化共
生のまちづくり」活動を広く知っていただく目的で、地域コーディネーター・協力
校コーディネーターが中心となり、「ミントモ コンサート」を開催した。多くの
参加者があり、有意義な時間を過ごすことができた。
小・中・高の連携については、協力校コーディネーターが各学校を訪問し、話し
合いを重ね、アンケートを実施するなど、今後の方向性を探りながら連携を深めて
いった。
(3)成果
中核校で「宇宙船地球号カリキュラム」を作成するにあたっては、次の3つのね
らいを設定した。①自他及び自国や他国の文化や価値を尊重する態度の育成を図る。
②共生のための実践的行動力の基礎を培う。③セルフエスティームの向上を図る。
このねらいを全教師が意識して実践に取り組んだことにより、児童の意識に徐々
に変化が見られた。それは、ヒデヨノグチ校の児童生徒が来日した時に見せた「他
の国の文化を受け入れようとする態度・行動」
「進んでかかわりを持とうとする積極
性」などに現れていた。また、日常生活の中でも、同じ教室の中にいる外国籍児童を
理解し、認める姿が見られ、外国籍児童生徒にとっては自分を認めてもらえることで
セルフエスティームが高まることとなった。中核校が目指す「みんな違って みんな
- 27 -
輝いて」という児童の姿に一歩近づいたといえる。
教師にとっても、三年間継続して取り組んだことにより、小学校六年間を見通し
た系統性のある取組みを進めることができた。ここに「宇宙船地球号」事例集として
一冊にまとめることができたのは大きな成果である。
次に成果としてあげられるのは、コーディネーターの存在である。研究当初は活
動目的や内容について模索の時期があったが、日本語指導教材作成・協力校・地域
・ビデオ作成・カリキュラム作成という5分野においてそれぞれの活動が明確化さ
れ、自主的な活動が進められるようになった。各コーディネーターの意欲的な活動
があったからこそ、本研究が充実したものとなった、といっても過言ではない。
■ 平成18
平成18年度
18年度から
年度から20
から20年度
20年度までの
年度までの事業
までの事業の
事業の成果及び
成果及び今後の
今後の計画
3年間の取組みを通して、藤沢市らしい「国際教育推進プラン」の実践ができた
と考えている。ひとつは、地域の特性を生かした国際教育のカリキュラムづくりで
ある。本市には外国籍児童が多く在籍していることから、日本人児童と外国籍児童
相互の学び合いができるような「宇宙船地球号カリキュラム」づくりは、これから
の藤沢市の国際教育の大きな礎となった。今回は、各学校の実態に合わせた展開が
できるように事例集としてまとめた。今後は、実践を検証し、発達段階に即した目
標の再設定と指導計画・評価計画の作成に取りかかり、より良いものを目指したい。
本プランにおいて、各コーディネーターはその活動を通して、学校および地域の
多文化共生に大きな役割を果たした。今後の課題としては、ここまで進めてきたコ
ーディネーターの位置づけ、活動の精査などがある。学校が抱える問題、学校に対
する社会の要望・地域の願いが多様化する中、コーディネーターという存在が果た
す役割は大きいと考える。学校に必要なコーディネーターはどのような人で何をす
るのかを見極め、位置づけ、活動してもらうプロセス・環境作りが必要になると考え
る。
最後に、地域との連携である。「宇宙船地球号カリキュラム」の実践にあたって
は、外国籍児童の保護者をゲストティーチャーに迎えたり、地域の大学の学生ボラ
ンティアと協働の授業を展開するなどをしてきた。また、「国際教育推進プラン」
推進のメンバーには、多くの地域の方に入っていただき、それぞれの立場から貴重
なご意見をいただいた。さらに、コーディネーターの方々のご尽力により、学校・
地域・社会のつながりが、近く・太くなったことは大きな成果である。
藤沢市教育委員会として今後は、この研究成果を広く市内の小・中学校に広め、
各学校の実態に合わせた展開・活用ができるよう支援していきたい。
現在、国際教育担当者会や研修会を通して、藤沢市の外国籍市民の現状や国際教
育についての理解を深めているが、今後は本研究を受けて、さらに具体的な授業実
践や指導法の提案など、担当者会・研修の充実を図っていきたい。また、効果的な
指導のためには教材の充実・整備を図る必要があると考えている。
学校と地域の連携については、それぞれの学校の実状の把握に努め、行政・地域
の関係諸機関と情報を交換しながらよりよい方向を探っていきたい。
この3年間の研究・実践は、本市の教育活動を一層充実したものとし、「国際教
育推進プラン」がめざす「国際社会で、地球的視野に立って、主体的に行動できる
人材の育成」に向けて大きく寄与するものであったと確信している。
- 28 -
■ 実践研究報告Ⅱ
実践研究報告Ⅱ -相模原市-
相模原市-
○研究成果のポイント
◆「外国人児童・生徒の手引き」を6カ国版作成 「初期日本語指導用単語集」を
12言語作成
◆センター校を中心とした各校への情報発信
◆関係機関との連携や指導補助者を活用した外国人児童・生徒の支援
平成20
平成20年度帰国
20年度帰国・
年度帰国・外国人児童生徒受入促進事業
■ 取組みの
取組みの内容及
みの内容及び
内容及び成果と
成果と課題
(1)研究事項(
研究事項(テーマ)
テーマ)
『帰国及び外国人児童生徒と保護者、学校、関係機関を含めた総合的な教育体制
の確立』~帰国及び外国人児童生徒への日本語指導活動と就学支援活動の更なる充
実を図る~
(2)事業の
事業の実施体制(
実施体制(地域連絡協議会の
地域連絡協議会の構成員等)
構成員等)
別添参照
(3)研究内容 〈具体の
具体の取組み
取組み内容〉
内容〉
①地域連絡協議会
本事業の統括的な役割をもたせることで研究の方向性を定め、より効果的な外
国人児童生徒支援教育の構築をめざす。(年間3回)
○地域連絡協議会で企画・検討した研修会等
国際教室担当者会(年3回)・国際教育担当者研修会(年2回)
授業研究会(年6回)
②就学支援
○「外国人児童生徒の手引き」(10言語)の作成。
<19年度作成 4言語>
タガログ語、中国語、スペイン語、韓国・朝鮮語
<20年度作成 6言語>
ポルトガル語、タイ語、ベトナム語、カンボジア語、ラオス語、英語
○「言語別初期日本語指導用単語集」(12言語)を作成
タガログ語、中国語、スペイン語、韓国・朝鮮語、ポルトガル語、タイ語
ベトナム語、カンボジア語、ラオス語、英語、ロシア語、インドネシア語
③受入体制の整備
市内2校の小学校に、それぞれ1名の日本語指導教員を通年で配置することで、
国際教室の支援体制の充実を図る。
④指導補助者
市内4校の小学校に、国際教室担当教員を補佐することを目的に、バイリンガル
の指導補助者を計5名配置し、充実した支援体制づくりをめざす。
○大島小学校<外国人児童在籍数18名>
・カンボジア籍の指導補助者を1名派遣 H20年度実績:100回派遣
○光が丘小学校<外国人児童在籍数14名>
- 29 -
・カンボジア籍の指導補助者を1名派遣 H20年度実績:111回派遣
○清新小学校<外国人児童在籍数14名>
・中国籍の指導補助者を1名派遣 H20年度実績:149回派遣
・スペイン語の堪能な指導補助者を1名派遣 H20年度実績:14回派遣
○富士見小学校<外国人児童在籍数11名>
・中国籍の指導補助者を1名派遣 H20年度実績:108回派遣
※派遣回数は、H21年1月31日現在までのもの
(4)成果と
成果と課題
①地域連絡協議会では、NPO団体をはじめとする関係諸機関と協議を重ねた
ことにより、外国人児童生徒の受入体制や、本 研究 の方向性 等に係 わる有 用な
情報 を 交 換 す る こ と が で き た 。
②日本語巡回指導講師、日本語指導等協力者から代表コーディネーターとして地域連絡
協議会に参加いただいたが、それぞれの組織内で協議内容等が十分周知するまでに至らなか
った。
③市内に小学校1校、中学校1校のセンター校を設置したことで、指導教材や受入体制
等の情報を各校に発信することができた。また、日本語巡回指導講師、日本語指導等協力者、
国際教室担当教員を対象に、授業研究会を開催し指導技術の向上に取り組むことができ
た。
④本年度「外国人児童生徒の手引き」6カ国版を作成し、昨年度作成分を含め
10言語揃えることができた。
⑤外国人児童生徒が在籍する各校の教員向けに、「初期日本語指導用単語集」
を12言語作成することができた。
⑥指導補助者が学校に長期間派遣されていることで、常に子どもたちに支援の手が差しの
べられ、結果として子どもの自尊感情も高まり、意欲的に学ぶようになった。
⑦指導補助者が学校に常駐することで、日常の日本語支援以外に、学校便り・あゆみ等
の翻訳作業等にも関わることができ、保護者への支援に寄与することができた。
⑧国際教室を併設しない学校に指導補助者を派遣するためには、一人ひとりの
個に応じた指導内容や指導時間帯等をコーディネートするための役割を担う職
員が必要である。
(5)その他
その他(今後の
今後の取組み
取組み等)
①国際教室に在籍する児童生徒の保護者が、子育てや学校教育に係る情報を自
由に交換できる場づくりの検討。
②これまで作成してきた「外国人児童生徒の手引き」及び「初期日本語指導用単
語集」を、紙媒体だけでなく学校間ネットワーク上に掲載するなど、より実用的な
情報提供方法について検討。
③一人ひとりの児童の実態の把握と情報を共有していくための、担任を中心とした関
係者との綿密な連携のあり方。
④各校に派遣している日本語巡回指導講師及び日本語指導等協力者を対象とし
た、より充実した研修会の開催と情報交換会の設定。
⑤地域連絡協議会に代わる、NPO団体等を交えた協議会の創設について検討。
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- 引用・
引用・参考文献 -
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*5
*6
*7
*8
*9
*10
かながわ教育ビジョン 2007 P8
かながわ教育ビジョン 2007 P9
かながわ教育ビジョン 2007 P12
かながわ教育ビジョン 2007 P17
かながわ教育ビジョン 2007 P47
外国人児童生徒受入れの手引き
文部科学省初等中等教育局国際教育課
外国人児童生徒受入れの手引き
文部科学省初等中等教育局国際教育課
外国人児童生徒受入れの手引き
文部科学省初等中等教育局国際教育課
外国人児童生徒受入れの手引き
文部科学省初等中等教育局国際教育課
2011
P4
2011
P7
2011
P22
2011
P23 - P25
文部科学省
「学校教育におけるJSLカリキュラムの開発について」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/003/001/008/009.htm
*11
藤沢市による「国際教育推進プラン」の実践から
※ 「外国籍(
外国籍(人)児童生徒」
児童生徒」と「外国につながりのある
外国につながりのある児童生徒
につながりのある児童生徒」
児童生徒」について
「外国籍(人)児童生徒」と「外国につながりのある児童生徒」についての表記が混
在していることに関しては、次のように整理をして使用しております。
平成19年に県が策定した「かながわ教育ビジョン」に則り、文部科学省等が使用し
ている「外国籍(人)児童生徒」という言葉を「外国につながりのある児童生徒」とい
う言い方に変えました。現在、日本国籍を持ちながら、日本
語の学習に課題を持つ児童生徒が増加しており、外国籍児童
生徒だけでなく、国際化の中で支援が必要な児童生徒に配慮
し、人権的な見地から「外国につながりのある児童生徒」と
しました。
平成24年6月発行
〒231-8509
問い合わせ先
神奈川県教育委員会教育局支援教育部子ども教育支援課
横浜市中区日本大通33
- 32 -
電話(045) 210-1111
内線(8225)
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