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JBICI便り
JBICI便り 開発金融研究所総務課 1.刊行物のご案内 ・国際協力便覧2 0 0 3の発刊 本書は、日本の経済協力の実績、世界の援助実績、開発途上国・地域の経済・社会・インフラに関す る統計や、開発途上国の分類に関する資料、日本および先進国の対外投融資・保険・援助機関に関する 資料、本行の業務方針など、国際協力銀行の業務に関連する各種基本データを満載したハンドブックで す。また本便覧は日本および世界の主要な経済協力関係機関の資料(各機関の概要、住所・電話番号・ ホームページアドレス)も掲載しており、情報収集の出発点としても活用できます。ご希望の方は、開 2 1 8―9 7 2 0)までご連絡下さい。 発金融研究所総務課(Tel:0 3―5 なお本便覧は、国際協力銀行HP(http://www.jbic.go.jp/japanese/research/handbook/index.php) からもダウンロード可能です。 ・JBICI Research Paper No.2 2「高等教育支援のありかた―大学間・産学連携―」の発刊 内閣府 市場開放問題苦情処理対策室 政策企画専門官(前 開発金融研究所 開発政策支援班 調査役) 金児 真由美 氏 国際協力銀行 マニラ駐在員事務所 駐在員 (前 開発金融研究所 開発政策支援班 副調査役) 木村 出 近年、東南アジア諸国では、経済発展、国際分業進展に伴い、付加価値の高い産業を支える高度な人 材育成が不可欠となっており、日本の東南アジア進出企業からも現地での優秀な人材の採用・活躍への 要請が高まっています。 こうした背景を踏まえ、日本がこれまで取組んできた産業界と大学との連携(産学連携)強化や、国 内・国外の大学との研究ネットワーク(大学間連携)の強化といった成果を東南アジア諸国に広げてい けば、より高度な人材育成に資するとの認識から、主要な円借款受入国であり、高等教育進学熱が高 まっているマレーシア、タイ、ベトナムの3カ国を対象に、本行による支援(主として円借款)をはじ めとする日本の新たな高等教育支援のあり方を検討し、その施策実現に向けた日本とこれら3カ国の課 題につき提言を行いました。 2_j0 1.pdf URL:http://www.jbic.go.jp/japanese/research/report/paper/pdf/rp2 ・JBICI Research Paper No.2 3「中米諸国の開発戦略」の発刊 開発金融研究所 開発政策支援班 主任研究員 藤田 安男 在パナマ日本大使館二等書記官(前 開発金融研究所 開発政策支援班 調査役) 川添 一司 氏 中部電力株式会社土木建築部技術・企画グループ(前 開発金融研究所 開発政策支援班 副調査役) 川口 雅哉 氏 中米は、北米と南米を結ぶ細長い地峡に位置し、小規模経済国が密集する地域です。これまでの歴史 の中で、外資誘致やエコツーリズム等で経済発展しつつあるコスタリカと、それ以外の国々との間に経 済的格差が生じています。他方、2 0 0 1年にはメキシコと中米を一体とした開発構想(プラン・プエブ ラ・パナマ:PPP)が発表され、米州自由貿易圏(FTAA)の20 0 5年の発足が現実性を帯びてくるなど、 中米を取り巻く国際環境が大きく変化しつつあります。 116 開発金融研究所報 本調査は、主にコスタリカ・エルサルバドル・グアテマラの3カ国を対象に、中米諸国間に経済的格 差が生じた歴史的経緯と開発戦略の整理、中米統合・FTAAの動向と意義の検討、PPPのレビューを行 い、中米諸国の開発戦略と開発援助機関の役割等について提言しました。提言にあたっては、アジアの 成長モデルの特徴、上記3カ国ヘ進出した外国企業へのアンケート調査も参考にしました。 3_j0 1.pdf URL:http://www.jbic.go.jp/japanese/research/report/paper/pdf/rp2 ・JBICI Research Paper No. 24「紛争と開発:JBICの役割」 (スリランカの開発政策と復興支援)の 発刊 開発金融研究所 開発政策支援班 主任研究員 開発金融研究所 開発政策支援班 藤田 安男 金丸 素子 2 0 0 2年2月の停戦合意以来、スリランカでは、過去2 0年間の紛争に終止符を打つべく政府と反政府組 織タミール・イーラム解放の虎(LTTE)との間で和平交渉が行われています。本稿では紛争の要因お よび過去の和平交渉の失敗原因を分析、紛争緩和および解決のための開発援助機関・NGOの過去の支 援を評価して教訓を抽出し、現在の復興支援ニーズおよび和平への不確定要素を明らかにした上で、ス リランカの平和構築と復興のための開発援助戦略についての基本方針・ガイドライン・リスク分析と対 処メカニズムを提案し、日本およびJBICが果たしうる役割について提言を行いました。 4_j0 1.pdf URL:http://www.jbic.go.jp/japanese/research/report/paper/pdf/rp2 ・JBICI Working Paper No.9 「Rethinking Privatization and Economic Development: A Sampling of Evidence」の発刊 開発金融研究所 開発政策支援班 副調査役 飯味 淳 1 9 7 0年代以降、先進国、途上国を問わず、公共セクターにおける民活・民営化の動きが広がりまし た。本稿では、民営化の効果について、公共セクターのそもそもの存在意義、それらを民営化する技術 的必要性といった各論点ごとに、近年の学術的実証分析を整理したものです。それによると、民営化に よる効果は必ずしも一様でないことが分かります。特に、通信セクターの民営化について実証してみる と、低所得国では正の効果が見受けられるものの、中所得国以上では民営化の効果が殆ど無いことが判 明しました。 9_e.pdf URL:http://www.jbic.go.jp/japanese/research/report/working/pdf/wp0 ・JBICI Working Paper No. 10「An Empirical Note: Privatization Transaction and Macroeconomy in Developing Countries」の発刊 開発金融研究所 開発政策支援班 副調査役 飯味 淳 国有企業の民営化の主な目的は、経営効率の改善による経済成長の促進と、国有企業への補助金の削 減による政府財政負担の軽減ですが、それらの因果関係は一概には言えません。本稿は、世界銀行の PPIデータベースを使い、途上国の民営化とマクロ経済の関係について分析したもので、中南米諸国で は民営化が財政赤字の補填として使われている一方、アジア諸国にはその傾向がないことを実証しまし た。また、実証結果は、経済開放度が民営化の進展に正の効果を持つということも示しています。 0_e.pdf URL:http://www.jbic.go.jp/japanese/research/report/working/pdf/wp1 ・JBICI Working Paper No.1 1「Economies of Scale in Power Generation, Transmission and Distribution: Integration or Unbundling?」の発刊 開発金融研究所 開発政策支援班 副調査役 飯味 淳 電力セクターでは、多くの国で、国有の独占企業が発電・送電・配電分野の全てを一貫して運営して 2003年9月 第17号 117 きましたが、近年の発電・送電技術の発展に伴い、発電・送電・配電を分離し、発電分野には民間企業 を主体とした市場競争を導入すべきであるという議論が主流になりつつあります。しかし、電力はエネ ルギーの流れであるという性質上、競争メカニズムの下で、各分野間での電力の受け渡しが円滑に行わ れ得るかという疑問が残ります。実際、既存の学術研究では、電力セクターを垂直統合することのメ リットを実証するものが少なくありません。本稿では、電力セクター改革に取り組むベトナムを事例 に、既存の技術条件では、発電、配電それぞれに規模の経済性が存在し、したがって、二重の独占利益 を回避するという観点から、両分野を一貫して一つの事業体が運営することが望ましいという実証結果 を得ました。 1_e.pdf URL:http://www.jbic.go.jp/japanese/research/report/working/pdf/wp1 ・JBICIリサーチペーパー№1 6(和文版)の発刊 詳細は、開発金融研究所報第1 2号のJBICI便りをご参照下さい。 ・JBICIリサーチペーパー№2 0(英文版)の発刊 詳細は、開発金融研究所報第1 4号のJBICI便りをご参照下さい。 2.セミナー・ワークショップ開催報告 ●国際開発学会第4回春季大会 2 0 0 3年6月1 4日(土) 、JBIC開発金融研究所は国際開発学会との共催により、 「国際開発学会第4回 春季大会」を学術総合センター(東京)において開催しました。この大会は開発研究の議論に関する政 策形成と学術研究の橋渡しを目的としたもので、当日は学会員を中心として学識経験者、援助機関、官 庁、国際機関などから2 3 2名の参加がありました。 JBICからも多くのセッションで報告・発表を行いました。JBIC特別セッションの「アフリカへの対 応と日本」 (座長:徳久開発金融研究所副所長)では橘田アフリカ地域担当外事審議役が、わが国のア フリカ支援のあり方として選択と集中の重要性、住民参加型による農業インフラ支援の重要性について 報告を行いました。また、最後の共通論題「国際開発における知のネットワーク:学問研究と実務」で は丹呉開発金融研究所長が、援助の知識集約化を背景として実務者・研究者に求められていること、ま た政策研究の重要性を報告しました。 ●アフリカ開発セミナー 2 0 0 3年6月2 7日(金)、セネガル(ダカール)にて「貧困削減における雇用創出と経済成長の重要性: アジアの経験から学ぶアフリカへの示唆」と題する上記セミナーを開催しました。本セミナーは、現地 日本大使館、JICA事務所からも参加・支援を得て、セネガル政府関係者を中心に、現地ドナー(世銀 等)を含め約5 0名の参加がありました。 開発金融研究所ではJETROアジア経済研究所の協力のもと、2 0 02年4月より「アジアにおけるPro― Poor Growthとアフリカへの応用」と題した調査を実施しています。本調査では「東アジアの奇跡」と 称された経済成長がいかに貧困削減にも貢献していたかを理論的・実証的に分析しています(本調査の 結果については本号に掲載されています) 。 本セミナーでは、同調査の成果と本行のアジアにおける円借款の経験を中心に、アジアにおける貧困 削減の経験から得られた教訓等をもとにアフリカ開発の課題についてセネガル政府政策実務者・研究者 等と活発な議論が展開されました。 また、本行が本年3月に業務協力協定を締結したフランス開発援助庁(AFD)の職員に対しても、 2 0 0 3年6月2 5日(水)パリにて同内容の紹介を行い、今後のアフリカへの取り組みについて意見交換が 118 開発金融研究所報 行われました。 ●開発途上国在京大使館職員向けセミナー 2 0 0 3年7月1 5日(火) 、開発途上国の在京大使館職員を主な対象とするセミナーを初めて開催し、本 行の機能、業務方針の概要を紹介する他、在京大使館職員の関心が高いと思われる日本の経済協力政策 や、日本の経済・財政についても外務省・財務省の協力を得て講義を行いました。 本行では、海外受入研修セミナーを年に数回実施していますが、これらセミナー開催にあたり、在京 大使館や参加した研修生から、在京大使館を対象とした同種のセミナーを開催してほしいとの声を多数 頂いていました。 今回のセミナー開催は、こうした声を踏まえた初の試みでしたが、開発途上国在京大使館職員を中心 に約7 0カ国・機関から総勢約1 2 0名の参加がありました。質疑応答と意見交換では、 「ODA大綱の見直 しに伴う『要請主義』の見直しと受益国のオーナーシップとの関係」 、「アジア各国の経済開発のアフリ カへの適用可能性」等、様々な観点から活発な質問や意見が出され、日本の資金協力に対する参加各国 の関心と期待の高さが示されました。 ●シンガポールセミナー 2 0 0 3年7月2 8日(月) 、シンガポール日本商工会議所貿易部会にて、「アジアにおけるFTA(Free Trade Agreement:自由貿易協定)」及び「JSEPA(日本・シンガポール経済連携協定)とUSSFTA (米・シンガポール自由貿易協定)の相違」について講演を行いました。この講演では、FTAに関し て国際協力銀行が作成した参考資料を基に説明を行いました。 3.GDN(Global Development Network)日本ネットワーク(GDN―Japan)ウェ ブサイト全面改訂のお知らせ GDNは途上国・先進国の研究者共同研究活動を通じ、途上国の政策に密着した調査研究活動のキャ パシティビルディングネットワークを形成し、情報交換・知識の共有を行うことを目的に、1 9 9 9年に設 立されたネットワークです。本行開発金融研究所はGDNの地域ネットワークの一つである日本ネット ワーク(GDN―Japan)のハブ機関としての役割を担っています。 GDN―Japanのウェブサイトでは従来、日本国内機関による開発関連の調査・研究情報を検索する検 索エンジンの運営を行っていましたが、今般その内容を全面的に改訂し、GDNやGDN―Japanの活動内 容紹介を充実させたほか、20 0 3年1月にカイロで「グローバル化と公平性」をテーマとして開催された 第4回GDN年次会合(カイロ会合) (注)の模様についても詳細に掲載しました。 詳細は、国際協力銀行HPからアクセスできるGDN―Japanウェブサイト(http://www.gdn-japan.jbic. go.jp/japanese/index.html)をご覧下さい。 (注) 概要は開発金融研究所報第1 5号をご覧下さい。また、会議録も発行していますのでご希望の方 2 1 8―9 8 3 4)までご連絡下さい。 は、開発金融研究所国際交流班(Tel:03―5 上記に関するお問い合わせは、開発金融研究所総務課まで宜しくお願い申し上げます。以下連絡先を ご参照下さい。 E-mail:jdf@jbic.go.jp 2 1 8―9 7 2 0 Tel. 0 3―5 2 1 8―9 8 4 6 Fax. 0 3―5 Website:http://www.jbic.go.jp 2003年9月 第17号 119 120 開発金融研究所報