Comments
Description
Transcript
6 テイラーの定理の復習と陰関数の定理
6 6.1 テイラーの定理の復習と陰関数の定理 テイラーの定理の復習 例 6.1 次の関数を点 (1, 1) において 2 次までテイラー展開しよう。 p f (x, y) = 1 + 2x2 + 3y 2 まず、テイラーの公式を 2 次までの展開と、その剰余項の形で書いてみると、 · ¸ © ∂ ∂ ª f (1 + h, 1 + k) = f (1, 1) + h +k f (1, 1) ∂x ∂y · ¸ 1 © ∂ ∂ ª2 h +k f (1, 1) + 2 ∂x ∂y · ¸ 1 © ∂ ∂ ª3 + h +k f (1 + θh, 1 + θk) 3! ∂x ∂y となる。各項を求めてみよう。 ¸ · © ∂ ∂ ª +k f = hfx (x, y) + kfy (x, y) h ∂x ∂y 2x 3y = h√ + kp 1 + 2x2 + 3x2 1 + 2x2 + 3y 2 この式に (x, y) = (1, 1) を代入して、 · ¸ © ∂ ∂ ª 2h + 3k h +k f (1, 1) = √ . ∂x ∂y 6 2 次の微分の項は · ¸ 1 © ∂ ∂ ª2 h +k f 2 ∂x ∂y ¤ 1£ 2 h fxx + 2hkfxy + k 2 fyy = 2· 1 2 2(1 + 2x2 + 3y 2 ) − (2x)2 6xy p = − 2hk p h 2 2 3 2 (1 + 2x + 3y ) (1 + 2x2 + 3y 2 )3 ¸ 3(1 + 2x2 + 3y 2 ) − (3y)2 +k 2 p (1 + 2x2 + 3y 2 )3 であり、これに x = 1, y = 1 を代入して、 · ¸ 1 © ∂ ∂ ª2 8h2 − 12hk + 9k 2 √ +k . h f (1, 1) = 2 ∂x ∂y 12 6 20 最後の剰余項はよく R という記号で表される。とにかく 3 次の微分に関する項を 計算しよう · ¸ © ∂ ∂ ª3 h +k f = h3 fxxx + 3h2 kfxxy + 3hk 2 fxyy + k 3 fyyy ∂x ∂y である。各 3 次微分は次のようになる。 fxxx fxxy fxyy fyyy = −12 p x(1 + 3y 2 ) (1 + 2x2 + 3y 2 )5 y(1 − 4x2 + 3y 2 ) = −6 p (1 + 2x2 + 3y 2 )5 x(1 + 2x2 − 6y 2 ) = −6 p (1 + 2x2 + 3y 2 )5 y(1 + 2x2 ) = −27 p (1 + 2x2 + 3y 2 )5 これらに x = 1 + θh, y = 1 + θk を代入してまとめることになるが、剰余項をこ れ以上正確に書くのは大変なのでここで省略しておく。 6.2 陰関数の定理 x と y が f (x, y) = 0 を満たしながら動いているとき、y は x の関数になって いることが多い。しかし、その形が具体的に求まるとはかぎらない。このような 関数を陰関数という。 定理 6.1 点 (x0 , y0 ) の近傍で関数 f (x, y) は C 1 -級とする。さらに、 1) f (x0 , y0 ) = 0, 2) fy (x0 , yo ) 6= 0 が成り立つならば、十分小さな a, b > 0 に対して、区間 |x − x0 | < a で定義され た関数 ϕ(x) で、この区間において • |ϕ(x) − y0 | < b, • f (x, ϕ(x)) = 0 21 を満たすものが存在する。この ϕ(x) はさらに |x − x0 | < a において微分可能で、 ϕ0 (x) = − fx (x, ϕ(x)) fy (x, ϕ(x)) となる。 定理 6.2 (多変数の場合) 点 (x0 , y0 , z0 ) の近傍で f (x, y, z) は C 1 -級とする。 1) f (x0 , y0 , z0 ) = 0, 2) fz (x0 , y0 , z0 ) 6= 0 ならば、十分小さい a, b > 0 に対して |x − x0 | < a, |y − y0 | < a で定義された関 数 ψ(x, y) が存在してこの領域で • |ψ(x, y) − z0 | < b, • f (x, y, ψ(x, y)) = 0 を満たす。さらに、ψ は連続かつ偏微分可能で、 fx (x, y, ψ(x, y)) fz (x, y, ψ(x, y)) fy (x, y, ψ(x, y)) ψy (x, y) = − fz (x, y, ψ(x, y)) ψx (x, y) = − となる。 例 6.2 f (x, y) = y − xey を考える。fy = 1 − xey なので、fy 6= 0 (y 6= − log x) となる点の近傍では f (x, y) = 0 をみたす x の陰関数 y = y(x) が存在する。この とき、 ey y y 0 (x) = −fx (x, y)/fy (x, y) = − =− y 1 − xe x(1 − y) 練習 6.1 次の方程式で表される陰関数 y = f (x) について y 0 = 1)x2 y − x3 (x + y) = 0, 3)Arcsin(xy) − (x + y)2 = 0 dy dx を求めよ。 2) log(x − y) − sin xy = 0 p √ 4) 3 x + y + x2 + y 2 − 1 = 0 宿題 6.1 次の方程式で表される陰関数 z = φ(x, y) について φx , φy を求めよ。 x2 + xy + y 2 + z 2 − 8 = 0 22