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1 ITU-T 電気通信標準化アドバイザリーグループ 電気通信標準化

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1 ITU-T 電気通信標準化アドバイザリーグループ 電気通信標準化
ITU-T
電気通信標準化アドバイザリーグループ(TSAG)
電気通信標準化アドバイザリーグループ(TSAG)
第 1 回会合出席報告
TSAG 出席者
小池 伸一(
小池 伸一(NEC) 鈴木 太平
NEC) 鈴木 太平(日立) 柴田 達雄
) 鈴木 太平(日立) 柴田 達雄(
(日立) 柴田 達雄(KDDI)
KDDI)
平松 幸男(
平松 幸男(NTT) *小川忠雄
NTT) *小川忠雄(富士通) *松尾 一紀
) *小川忠雄(富士通) *松尾 一紀(
(富士通) *松尾 一紀(TTC)
TTC)
*は IPR アドホック会合にも出席
日時 2001
日時 2001 年 3 月 19 日-23 日
(
(IPR アドホック会合は 3 月 26 日、27
日、27 日に開催)
場所 ITU
場所 ITU 本部(ジュネーブ)
本部(ジュネーブ)
出席者 33
出席者 33 カ国、約 150 名
日本 総務省通信規格課中沢課長補佐他 全 14 名が出席
1.今会期の TSAG 研究体制
今回の TSAG 会合は、昨年秋に開催された WTSA-2000 後の最初の会合であり、G. Fishman
議長(ルーセント、米国)および7名の副議長のもとで、下表の組織構成および運営体制
により今研究会期の検討を進めていくこととなった。
WP/グループ
WP1 作業方法
議長
備考
S. Alexander(英国、TSAG、
副議長)
WP2 作業計画
G. Williams(カナダ、TSAG
副議長)
WP3 EDH、プロモーショ K. Park(韓国、TSAG 副議 RG1 出版と価格ポリシー
ン、出版
長)
J. Magill(英国)
RG2 EDH 実現
S. Perschau(米国)
RG3 ITU-T プロモーション
柴田(日本)
戦略プラングループ
J.Spindler (米国)
今回の TSAG での議論の結
果、今後は戦略 WP(議長:N.
Kisrawi)と し て 活 動す る こ
とになった。
ITU リフォームグループ
N. Kisrawi(シリア、TSAG
副議長)
C&C グループ(Cooperation A. Macchioni(イタリア 、
& Coordination)
TSAG 副議長)
2.WP1
2.WP1(作業方法)会合結果 WP1(作業方法)会合結果 (小池)
(作業方法)会合結果 (小池)
1
2.1 TSAGにおける戦略および運営グループの設置
本課題は、TSAG 自身の構成・方向付け・運営に関わるものとして注目された。特に運
営グループについては、現行 TSAG WPs の構成に影響があること、
「開かれた」グループ
であること等の議論があり今会合では結論が得られなかった。
(1)本件 WTSA-2000 Resolution 22 resolves 2 に基づき、提出寄書と共に初日 TSAG
全体会合の後半で議論されたが、結局 WP1 での継続審議に委ねられた。
(2)欧州提案に米国が反対し、ドラフティング・グループ(リーダ G.Gosztony 氏)で
担務・作業方法を作成することとなった。戦略グループの設置については、現行 Strategic
Planning Group を置き換える形で、「恒久的」でかつ「開かれた」Working Party とする
ことに合意した。本戦略 WP は予算立案を含む戦略全般を見ることとし、電子的に活動し
また物理的会合を開いてもよい。議長には N.Kisrawi 氏(シリア、TSAG 副議長)が推挙
された。
(3)一方運営グループに関しては、現行議長会合を拡大した「閉じた」グループが提案
されたが合意に至らず、再度上記ドラフティング・グループで詰めることとなった。その
結果合意されなかったとしながら、議長会合とは別の Working Party として現行 WP1 と
WP2 の担務を合わせ持つ案が出されたが、WP1 は本提案を TSAG 最終全体会合で審議す
るよう提案した。しかし最終日全体会合でも結論が出ずコレスポンデンスグループ (コー
ディネータは Gosztony 氏)で継続審議することとなった。
2.2 代替承認手続(Alternative
2.2 代替承認手続(Alternative Approval Process)
(1)初日の夕方 AAP に関する TSAG 議長の Tutorial Session が開催された。また TSB
より AAP 運用の現状報告があった。いわゆる SELECTION(AAP または TAP)の変更につ
いては、決議1の8節にあるようにメンバからの提案に基づき行われ、SG のマネジメン
ト・チームだけで変えることはできない旨確認した。
(2)日本は寄書 により TSAG でさらに検討すべき AAP の改良項目(下記)を提案した
が、それらは WP1 によってノートされ、寄書が要請された。
* Review and refinement
* Maximize involvement of Sector Member in decision making
* Procedure for selecting TAP/AAP
* EDH implementation - feedback from experience
* Implementation Guide for efficient use of AAP
(3)米国は議長会合で作成された AAP におけるいくつかの期限設定ガイドライン
(CONSENT 後勧告案テキスト完成までの 8 週間等)に反対し、これを目標とすることを寄
書により提案した。WP1 はこのようなガイドラインは有用とし、当面期限の数値は維持し
AAP 運用の経験を積んで次回見直すこととした。TSB 局長は、十分な理由があれば SG 議
長と相談の上このガイドラインを柔軟に運用することを表明した。
2
(4)SG における承認手続の SELECTION 実績に依れば、多くの SG で AAP を適用し
ているが、個々の勧告案が出るまで SELECTION を決定することはできないとする懸念
が示された。これに対し決議1には SELECTION の変更手続について明確に述べられて
いることが確認された。
2.3 作業方法の改善
(1)韓国から提案された Bulletin Board 利用については、TSB が設置を計画している
こと、SSG(IMT-2000 and Beyond)では考慮中であることがノートされた。BB システム
は作業方法に影響を与えるとして TSAG でさらに検討することが合意された。
(2)ETNO から問題提起のあった作業方法改善のために SSG(および TSB)は成果物・
AAP 等についての経験を報告する件について、あらためて、SSG は TSAG 会合にそのよ
うな報告をする義務があることが確認された。
(3)英国は、TSAG でも Rapporteur Group を設けて効率よい作業を行うべきこと、20
人以上の会合では議長の補佐をつけること、各 WP が"Roadmap"(文書の番号と配布タイ
ミングのリスト)を用意することなどを提案した。複数の RG 会合が並行に行われること
に対し、途上国は全てに参加することができないとして反対した。また議長の補佐につい
てはすでに TSB が務めていることが確認された。
(4)日本は作業手順の規則(Rules of Procedure)見直しを寄書により提案し、現行の「研
究課題」設定型から「標準提案」型プロジェクト制への作業手順変更を提案した。TSAG
は本件検討を継続することとした。
(5)WP1 は作業手順に関する議長会合の合意内容をノートした。しかし 5.1 節で SG の
開始全体会合は一言語で行うことができるとした決定については、仏・西・ロシア・メキ
シコが強く反対し、議長会合に使用言語の決定権はないとして修正を求めた。
2.4 その他作業方法に関する議題
(1)日本はその寄書の中で、SG の構成を二層(SG/WG)とし、
「標準提案」に基づき WG
で標準作成を行う Project-oriented work システムを提案した。この SG リストラ案は、
Question-driven から Target-standard-driven に変えるアプローチとして、多くのメンバ
(オランダ・フィンランド・スウェーデン・ Korean Telecom ・ Alcatel 等)から支持を
得た。一方、一部 SG ではすでに Project-oriented な作業方法を取っており、また"Focus
Group"という仕掛けもあるとの指摘もあった。
WP1 は本提案をさらに検討することとし、日本には次回会合に具体案を提案するよう、
また広く寄書の提出が要請された。
(2)日本は、さらに TSAG による SG の設立/統合/廃止に関するルールの確立が必要
である旨提案したが、本件 WP1 によりノートされ寄書が要請された。
(3)また、日本は、SG の議長等の任期を最長 8 年から 4 年に短縮することを提案し、
3
これは WTSA の開催間隔とも関連するとされたが、賛(オランダ)否(レバノン)両論あ
った後 WP1 で取り上げられさらに寄書が要請された。
(4)SG15 からの報告は、勧告作成作業における Editor の役割の重要性を強調しており、
WP1 の支持を得た。各 SG は Editor の詳細を Web に公開することを考慮してよいとされ
た。他方 Editor とそのグループは勧告案に実質的な変更を加えてはならないことが確認さ
れた。
(5)米国は、ITU-T SG の議長等役職者および参加者に対する訓練プログラムの必要性
を指摘し、その目的は 1)作業手順の統一的な理解、2)リーダとしての能力向上、および 3)
訓練に関する経験など情報交換の場を作ることにあるとした。
上記 1)、2)についてはすでに TSB が準備した教材がオンラインで得られること、TSB
はさらに訓練教材作成を継続することが確認された。
3)については、最適な場は GSC(Global Standards Collaboration)で、このような訓練
教材に関する情報交換につき TSB から GSC に接触することとし、WP1 は本年11月豪・
シドニーで開催予定の GSC7 に本件インプットすることに合意した。
2.5 今後の進め方
WP1 は、次回 TSAG 会合まで FTP Area を通じてコレスポンデンスグループ (コーディ
ネータは WP1 議長)で作業方法の議論を継続し、また寄書の準備を進めることとした。
3.
WP2(作業計画)会合報告 WP2(作業計画)会合報告 (鈴木)
(作業計画)会合報告 (鈴木)
3.1 課題新設、等
下記の課題新設、統合、改訂が報告され、了承された。
(1)Q14/4とQ15/4の重複があるため統合して1課題(広帯域NWおよびATM NW要素
の情報モデリング)とする。
(2)Q14/11(信号方式のためのAPI/オブジェクトインターフェースとアーキテクチャ)
の新設。
(3)Q9/12の改訂と下記4課題の新設。
Q13/12(マルチメディアのQoS/性能条件)
Q14/12(VoIPおよび音声サービスの伝送性能に関する多重IPドメイン間の相互動
作効果)
Q15/12(QoSおよび性能に関する調整)Q16/12(音声伝送性能のサービス中非割り
込み評価)
(4)Q11/13の課題内容改訂。
(対象の拡大)
3.2 SSG
3.2 SSGの課題関連
SSGの課題関連
SSGの第1回会合で課題が見直され公表されたが、WTSA-2000の結果ではTSAGで審査
4
後正式決定となっており、手続きについて疑問が出され議論された。SSGの課題の解釈に
ついて原則を設けることでSSG検討結果を追認し、英国の寄書をもとにアドホックで議論
した結果、下記4項目のガイダンスが合意された。
・WTSAでの合意の所掌項目を、SSG提案の作業項目の関連性を調べるのに使用する。
・3GPPや関連SDOで実施の作業と重複の無いこと。
・IMT-2000を含む将来の移動通信のリードSGとしての全体作業計画策定で、他のSGと
重複の無いこと。
・SSGのWP間で重複の無いこと。
また、SSG会合報告のウェブ掲載で混乱があったが、R4はR1のパートIIに含まれている
ことが確認された。
3.3 SG
3.3 SG再構成
SG再構成
カナダ、ドイツよりASN.1の課題をSG7よりSG10に移すべきとの提案があり、両議長
を中心とした激論があった。SG7議長を抱える米国は、前会期のTSAGでは2002年1月に
SG10に移管することの合意がなされ、その旨注記が付されたが、WTSAの結果ではこれ
が削除されており、TSAGでの合意は白紙に戻されたと主張し、その他と対立した。議長
より可能な案をいくつか示すように指示され、結局両SGを統合しSG17とすることになっ
た。議長は2名で共同議長となり、名称、副議長、課題とも従来のまま加え合わさっただ
けの統合であるが、TSAG新任務の象徴的なものとなった。しかし、決議2変更の権限が
TSAGにあるか疑念が出され、リーガルな面をTSBが調査することになった。また、本件
は積極的にアナウンスすべきとして、具体的な方法はTSBに任せることとなった。
なお、統合されたSGとしての活動は9月の会合後からとなった。
3.4 グループ新設
(1)セキュリティ:フランステレコムより設立の提案あったが、日本、韓国の反対、ITU-T
におけるエキスパートの少なさへの懸念などからSG7をリードSGとする現体制を継
続することになった。
(2)ユーザ要求条件表記法(URN)FG:SG10より2000/11∼2001/9を活動期間とする新
規フォーカスグループ設立の報告があり、独立財政であることが確認された。
3.5
3.5 ITU-T作業の2グループ化
ITU-T作業の2グループ化(技術、政策・規制)
作業の2グループ化(技術、政策・規制)
カナダより、技術的課題と政策・規制的課題にグループ分けすることが提案され、外部
に対し ITU-T の姿勢を示すという観点からほぼ支持されたが、
米国を中心として TAP、
AAP
の適用区分けで充分との反対もあり、今後「リフォーム」に対する検討と整合をとりなが
ら注意深く検討していくことになった。
5
3.6 SG会合スケジュール
SG7、10、11 の会合を同時期にシーケンシャルに開催することが WTSA-2000 で要請さ
れたが、SG17 設立後も SG11 との同時期開催が必要との合意がなされた。
4.
WP3〈出版ポリシー、
WP3〈出版ポリシー、EDH
〈出版ポリシー、EDH、と
EDH、と ITU-T の普及促進〉 (柴田)
の普及促進〉 (柴田)
WP3 の所掌として、従来の出版ポリシーと EDH に、今会期から ITU-T の普及促進
(Promotion)が加わった。それぞれについてラポータグループ(RG)を構成し、ラポータ(い
ずれも暫定)を指名して審議を行った。
RG1(出版ポリシー): J. Magill (ルーセント, 英国)
RG2 (EDH 導入): S. Perschau (政府機関 NCS、米国)
RG3(ITU-T のプロモーション):
柴田(KDDI、日本)
4.1 出版ポリシー関連(
出版ポリシー関連(RG1)
RG1)
(1) ITU 勧告の無料化に向けた検討
昨年の ITU 理事会決定を受け、本年初より MS/SM の1名についてオンライン勧告の無
料化、Electronic Bookshop からの勧告ダウンロードについて一人年間 3 件までの無料化
が試行的に実施されている。これに関して、ITU の Common Service より実施状況につい
て報告があり、有料ダウンロードの件数が 1/3 減少したが、年間を通じての収入への影響
は現時点では未知であるとされた(理事会では年間 1.1M スイスフランの減収を予測)
。
WP3 としては、ITU への収入への影響には留意しつつも、完全無料化の方向を探るべ
きとした。
(2) 作業文書への外部機関からのアクセスポリシー
IETF との協力において、ITU-T の作業文書へのアクセス開放の必要性が SG15 から指
摘された件で、該当文書を特定の informal FTP エリアに置き、協力関係のある外部機関
からのアクセスを認める方法が提案された。
4.2 .2 EDH の導入(
の導入(RG2)
RG2)
(1)ペーパーレス会議関連
ITU-T におけるペーパーレス会議の実現に向けた準備を求める日本寄書は「EDH 方法」
の項目で審議されたが、電源コンセント、LAN、プロジェクター等の個々の設備等、ペー
パーレス化の前提となる設備の準備状況や今後の計画に関する情報交換に時間が費やされ、
ペーパーレスを ITU-T 会議運営の基本とするという方針的な点については議論が及ばなか
った。
ITU-T では、今研究会期より、会合登録フォームで「紙文書不要」を申し出ることが可
能となっているが、TSB から公表された資料では、完全なペーパーレスを希望した参加者
は最大で 6%程度と低く、参加者の意識改革が進んでいない模様である。ITU-T において
6
3GPP や IETF のような完全なペーパーレス化が実現するまでは多少の時間を要するもの
と思われる。
(2)無線 LAN の導入計画
上記ペーパーレス化の前提として、会合期間中に会合文書を配布する手段として各会議
室に LAN 設備が必要であるとの考えがある。ITU の新ビル(Montbrilliant)には、既に建
設時から LAN が設置されているが、ITU 旧ビル(Tower)への固定式無線 LAN の設置、お
よび CICG とジュネーブ外会合で資料可能な移動式無線 LAN の導入計画が IS(情報システ
ム)部門より示された。
ITU では、この計画実現のためにメンバーからの寄付(voluntary contribution)を求める
ていることが繰返し説明され、この寄付が得られた場合には本年中にも無線 LAN を設置
したいとされた。寄付がない場合には、予算を確保することにより 2002 年中には設置を
予定している。
(3)電子掲示板(BBS)サービス
BBS サービスの導入を求める寄書を受け、ITU-T の E メールリフレクターにアーカイ
ブ機能が付加されたことが、TSB より報告された。本機能は各 SG の EDH のページから
利用可能だが、TSAG を含む一部 SG については作業が未了である。追加機能の必要性等
についてリフレクターにより議論を継続することとした。
4.3 ITU-T のプロモーション(
のプロモーション(RG3)
RG3)
IETF 等のフォーラム活動が活性化する中で、ITU の相対的な地位の低下が指摘されて
久しいが、ITU 関係者の中にはその活動成果が電気通信業界や研究者の中で正しく評価さ
れていないという意識があり、ITU-T においてもその活動内容や成果の外部への PR 活動
が大きなテーマとして取上げられている。
TSAG においても、
ITU-T の知名度向上のための検討を行うことになり、今会期から WP3
の新たな所掌として追加された。今会合では、各国寄書に列記された Promotion 活動につ
いて SG、メンバー、TSB 等の実施主体の整理を行った。特に、SG15 や SG16 の活動を
好事例としてノートすると共に、各 SG に対して Promotion 担当者の選任を要請するリエ
ゾン文書を発出することとした。また、ITU-T の web サイトが外部の人にわかり難く、パ
スワードの不要な一般向けの情報を増やす必要性が指摘された。
今後、各 SG からのメンバーを加え、RG3 ラポータを moderator とするコレスポンデン
スグループにおいて具体的なプランの立案を行い、次回 11 月の TSAG 会合へ報告を行う
ことなった。
5.
ITU リフォームグループ (平松)
リフォームグループ (平松)
シリアの N. Kisrawi 議長の下、ITU リフォームの議論が半日 3 回行われた。主な議題は、
ITU リフォームに関する中間会合報告とパイロットフォーラムおよび WTSA のリフォー
7
ム等であった。このうち、パイロットフォーラムについては 2002 年の全権委員会前の設
立可能性を議論したが合意が得られず、ドイツの Mr. E. Lieser をコンビーナとするコレ
スポンデンスグループにより引き続き議論し、本年 11 月の次回 TSAG においてその結果
を基に再度議論することになった。また、カナダ、日本からの寄書を基に WTSA のリフォ
ームに関する議論を行い、次の項目について広い支持が得られた。
① WTSA の前後で SG 活動が継続的に行えること。
(現状以上に両者を独立化)
② WTSA においては高いレベルの戦略的な議題を中心に議論すること。
③ WTSA 会期の短縮および開催間隔の短縮を行うこと。
また、日本から提案した TSAG、SG 議長、副議長の任期の短縮についてはリフォームと
の関連はあるが、主として作業方法に関連するため WP1 にて審議された(2.4(3)
参照)
。
6.
戦略プラングループ (小川)
戦略プラングループ (小川)
戦略プラングループは J. Spindler(米国)議長のもとに会合を行った。主な議題は(1)
2003-2006 年へ向けての ITU-T 戦略プランの作成、(2)戦略、ファイナンス、運用との連
携強化、
(3)戦略に関するその他の課題であった。
6.1 ITU-T
6.1 ITU-T戦略プラン
ITU-T戦略プラン
まず、米国提案で述べられた基本認識(戦略プランのドラフトを今回のTSAGで作成す
ること、戦略プランはシンプルかつ個別問題にとらわれないハイレベルな原則を記述した
ものであること、等)を確認した。次に、戦略プランに関するWTSA2000のRes33、現行
の戦略プラン(98全権会議Res71に記述)
、ITU-T局長コメント、マルティニ会合の局長レ
ポート、TSAG副議長Nikolennko氏寄書などをもとに審議した。戦略プランの骨格として、
①ITU-Tのミッション、②そのミッションを達成するための戦略とプロセス、③ITU-Tと
他の標準化機関との関係、を定めた。特に二つのアプローチ(トップダウンとボトムアッ
プ)について議論し、ITU-Tはメンバーあるいは寄書をベースにしたボトムアップアプロ
ーチをとるべきであると結論した。以下に今回作成した戦略プランの概要を示す。
A. ITU-Tのミッション
ITU-Tは「情報社会のためのグローバル通信標準を政府と民間が協同で作成する唯一の機関で
ある」という認識のもとに;
・必要な技術分野を特定し、高品質なグローバル標準を効率よく作成すること
・政策、規制を含んだ勧告を作成すること
・発展途上国の特別な要求に配慮すること
B. 戦略とプロセス
ITU-Tは上記ミッションを達成するために;
・ボトムアップアプローチをとること
・市場のニーズを柔軟かつタイムリーに取り込むこと
・明瞭かつ透明な作業手順をとること。
・ファイナンシャル/戦略/運用の連携を強化すること
8
・必要に応じて戦絡そのものを適宜レビューすること
・関連する機関との協同作業を推進すること
・ITU-Dとの連携に特別の関心を向けること
C. 他の標準化機関との連携
・他機関で作成された標準に常に目を向け、標準の重複・矛盾の防止のため協力すること
・適当な協調機関に引き続き参画すること
・ITUの事務総局長および事務局、ITU-Rセクター、ITU-Dセクターとの連携を推進すること
6.2 戦略、ファイナンス、運用との連携強化
98全権会議Res72に準じ、米国提案、TSBの運用プランをもとに議論した。その結果、
①明瞭性と透明性を確保するために、運用プランは事前にTセクターメンバーに知らせる
こと、②運用プランには2年目の活動プランの要約も添付すること、③予算案は理事会に
提出する前にメンバーにも明らかにすること、等の要求をまとめた。
6.3 戦略に関するその他の課題
事務総局長は戦略プランの実行状況を理事会に報告する義務があり、そのためTSAG
はITU-Tの活動をモニターし事務総局長に入力する必要がある。これらの仕事はコレ
スポンデンスグループで継続することになった。
6.4 今後の戦略検討体制の変更
今回のTSAGでは前会期に引き続き戦略プラングループとして検討を行ったが、2.
1節のWP1における議論の結果に基づき、今後はWorking Partyレベル(戦略WP)の活
動として、上記6.1節の戦略プランの検討を引き継いでいくこととなった。戦略WPの
議長にはシリアのN. Kisrawi氏が選出された。
7.
Cooperation & Coordination 関係 (松尾)
関係 (松尾)
(1)ITU 勧告からの Normative 参照先として de facto 標準を加える米国提案
米国は、すでにひとつの SG において de facto 標準を参照する必要が生じていることか
ら、認める方向で検討を開始すべきであるとの提案を行った。ただし、IPR の扱いや商業
的性格については注意を払う必要がある。本会合では、de facto 標準を参照するための具
体的な手続きについて検討を開始することを合意した。
(2)勧告 A.4, A.5, A.6 の実施状況報告と勧告 A.5 の改訂
新たに MPLS Forum(A.4), ECMA(A.5&A.6), 日本 ARIB(A.5&A.6)が資格審
査をパスし、日本の JCTEA についてもその細則と IPR ポリシーが受領され次第、勧告
A.5,A.6 に基づく協調関係を確立する予定であることが報告された。
また、参照先 SDO/Forum は資格審査をパスした時点で、各 SG で作成する勧告から参
照可能となるはずであり、これらの情報は現在勧告 A.5 の Annex となっている情報と合
9
わせて C&C リフレクターで周知を行い、Web に掲載することとした。このための勧告 A.5
の改訂案が凍結された。
(3)ISO/IEC JTC1 との協調関係(勧告 A.23) の改訂
勧告 A.23 で規定されている ITU-T と ISO/IEC JTC1との協力関係のガイドを本年 11
月を目標に改訂する計画で、現在両組織で改訂版ドラフトのレビューを行っている。4年
前に作成された現バージョンからの一番大きな修正点は ITU-T における AAP の導入であ
る。今回の会議で改訂版ドラフトが凍結された。
(4)ITU-T と ISOC(IETF)との協調関係
すでに SG15 で検討を開始している IP over Optical および IP over Resilient Packet
Ring に関して IETF 側でも検討開始を宣言して、標準化作業の重複が懸念される事態が発
生している。本件については SG 議長会合において問題提起され、その結果本年8月にロ
ンドンで開催される IETF の Area Director 会合で ITU 関連 SG 議長が会合を持つこと
になった。これに加え SG15 の関連 WP 議長やラポータは作業の重複を避けるために IETF
側に働きかけを行うことになっている。
(5)W3C との協調関係の確立
韓国からの協調関係確立提案に加えて、昨年 11 月の SG 議長会合においても SG4,SG7,
SG9,SG16 が W3C(World Wide Web Consortium)の技術仕様を normative 参照として参
照する予定であることが報告された。TSB としてはこれらの要望を受けて、W3C にコン
タクトしているが、回答が得られていない。本事態を打開すべく、各 SG からの要望をま
とめた、リエゾンレターを送出することが合意された。
8.IPR
8.IPR アドホック会合 (小川)
アドホック会合 (小川)
TSB 局長主宰の IPR アドホック会合は、TSAG 会合に続いて 3 月 26、27 日の二日間ジ
ュネーブで開催された。参加者は TSB の 4 名を含めて 27 名(うち日本からは 3 名)であ
った。議長は、第 1 日の初めと第 2 日の終わりの一般的議題に関する部分合計約 2 時間を
Zhao 局長が務めたが、残りの約 1 日半のソフトウェア著作権関係は J. Magill 氏(ルーセ
ント、英国)が務めた。寄書(Working Document: WD)は 15 件で、そのうちソフトウ
ェア著作権関連が 7 件であった。
8.1 パテントステートメントについて
米国より、ITUとISO/IECの共通パテントステートメントはISO/IEC側で検討中であり
まだ承認されていないこと(2000年6月のIPRアドホック会合レポートには承認されたと
の記述あり)、両者のパテントポリシーにいくつかの違い(たとえば、reciprocity関係、パ
テント情報提供の要否)があることが指摘された。次回のTSAG(2001年11月)ごろまで
には違いの考慮を含めて共通パテントステートメントが完成するという見通しが示された。
10
8.2 ソフトウェア著作権について
日本のセクターメンバーより、標準出版に関するソフトウェア著作権に関してSDOにも
ITUと同等の権利を与えるべきという提案を行った。ITUとSDOとは全く同一な立場には
ないという議論があったが、今後作成する新ガイドライン(次項参照)に盛り込むことで
合意された。
米国より、現在作成中のソフトウェア著作権ポリシーはパテントポリシーと同じではな
く、ケースバイケースのガイドライン的性格であるべきだ、という提案があった。これに
対しいくつかの賛意が表明されたが反対はなく、結局従来の一般的なポリシーに替えて、
問題となっている特定の技術(音声符号化)に焦点を当てたガイドラインを作成すること
が合意された。第1日の残りの時間をかけて新ガイドラインのドラフティングを行い、目
次案を作成した。第2日は目次案をもとにさらにドラフティングを進め、日本からもSDO
の記述部分の作成に協力した。しかし時間切れで完成には至らず暫定ガイドラインとして
まとめられた。本ガイドラインの作成は急がれるとのTSB局長の指示に従い、今年7月9
日∼11日ジュネーブで会合を開いてさらにドラフティングを行い、11月25日に最終
確認後、11月26日からの次回TSAGに報告することになった。
8.3 その他
ITU-R の特許データベースとのアクセス手順の共通化、勧告のアペンディクスに含まれ
るパテントの扱い、要求条件の実現に不可欠だが勧告には含まれていない技術にも効力が
及ぶパテントの宣言の要否、等について議論がおこなわれたが、いずれも継続検討となっ
た。
9. まとめ
・WTSA-2000 後の最初の TSAG であったが、多くの白熱した議論が行われ、長年に
わたる懸案であった SG 再編が SG7 と SG10 の統合という思わぬ形で実現するなど
大きな成果が生まれた。
・TSAG 自身のリストラについては今回初めて話題になった。欧州提案にはなんらか
の思惑があるとの見方もあるが、議長会合の運営方法もからみいささか複雑な背景
がありそうである。
・日本からの寄書は、WTSA-2000 後 TSAG が取り上げるべき課題とその新たな方向
を示し、少なくとも刺激を与えることには成功したようである。今後のフォローが
重要である。特に、ITU-T の作業方法を Project-oriented に変更する提案、WTSA
前後で SG 活動が継続的に行えるようにする提案、WTSA で取り上げるテーマを戦
略的なものに限定する提案等は、前向きなものととらえられ、多くの賛同を得た。
・一方、
本年から利用可能となった電子的手段による AAP 勧告承認プロセスは、ITU-T
の勧告作成効率を飛躍的に高める手段として期待されている。TSAG としも AAP
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が安定的に運用されるよう、ITU 事務局と引き続き協力していく必要がある。
・前回の IPR アドホック会合までにソフトウェア著作権ポリシーの作成を進めてきて
おり、今回で完成が期待されていた。それだけに米国からの反対論にはやや当惑の
感じがあった。しかし、会合では、賛意は示されたものの反対はなく、意外とすん
なり方針変更が決まった。本グループは ITU における唯一の IPR 関連グループで
あり、ITU のみならず世界の標準化団体がその成果に期待している。今回合意され
た新しいガイドライン案に肉付けして早急にまとめることが必要である。
以上
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