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ITU-T 電気通信標準化アドバイザリーグループ(TSAG) 第5回会合出席報告

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ITU-T 電気通信標準化アドバイザリーグループ(TSAG) 第5回会合出席報告
ITU-T
電気通信標準化アドバイザリーグループ(TSAG)
第5回会合出席報告
1
TSAG 出席者
日時 2003 年 11 月 10 日-14 日
(IPR アドホック会合は 11 月 7 日∼8 日に開催)
場所 ITU 本部(ジュネーブ)
出席者32カ国、4国際機関から125名出席 (日本 総務省通信規格課野崎標準化推進官
他全 12 名が出席)
1.まえがき
今回の TSAG 会合は、2003 年 2 月に続く今会期第5回目の会合であり、G. Fishman 議長(ル
ーセント、米国)および6名の副議長のもとで、下表の組織構成および運営体制により検討が
進められた。
WP/グループ
WP1 作業方法
議長
備考
S. Alexander(英国、
TSAG、副議長)
WP2 作業計画
J. Boulvin(仏)
WP3 EDH、プロモーション、 Park 氏(韓国、TSAG 議 長 欠 席 の た め 、 K. Strandberg
出版
副議長不在のため)
(ETSI)
が議長代行
RG1 EDH と ITU-T 出版ポリシー
柴田 (日本 KDDI)
RG2 ITU-T プロモーション
R. Hapeman(米国 T1 委員会)
WP4 戦略プラン
N. Kisrawi(シリア、
TSAG 副議長)
C&C グループ(Cooperation & A. Macchioni(イタリ
Coordination)
ア、TSAG 副議長)
財政アドホック会合
E.Lieser(独)
1
浦野 義頼(早稲田大学) 平野 友貴*(総務省) 宮坂 公雄(日本 ITU 協会) 岡村 治男 (SCAT)
小池 伸一(NEC) 櫻井 義人(日立) 柴田 達雄(KDDI) 日比 慶一(シャープ) 平松 幸男*(NTT)
小川 忠雄*(富士通) 佐々木 和雄*(TTC)
*は IPR アドホック会合にも出席
主な成果および進捗
1.1 決議と勧告の見直し
WTSA-2004 に向けた WTSA 決議及び A シリーズ勧告の見直しについて検討した。
(1)決議1に関し日本は以下の提案を行ったが、③の内容について合意を見た他は継続検討
となった。
① 新規研究課題の設定について2ヶ月前に提案すれば、1回のSG会合で承認する手続き
について提案(通常は2回のSG会合での審議(18ヶ月)を要していた)
。
② 2回続けてSG会合に寄書が出なかった場合に当該課題のサポータに課題削除あるいは
修正を求め、実施されなかった場合等には当該課題を削除する手続きについて提案。
③ 課題の設定、修正、削除について、通例はSG会合で承認し、例外的に WTSA で承認する
ことを決議1に記述することの提案(現在の決議では、通例は WTSA、例外的にSGによ
る承認という記述)
。
(2)決議2は、SG再編の議論進捗に合わせて検討、決議29と決議41の修正/削除につ
いては、SG3に検討を委ねることとした。
(3)決議22に関し other groups の設置権限を、WTSA と WTSA の間は TSAG に与える旨決議
事項を追加する日本の提案は支持され追加文章の合意を見た。
(4)決議33、39は PP02 決議でカバーされて不要となった可能性があることが指摘され
た。
(5)決議17に関するベトナム提案は支持され同改定案が作成された。同案は次回 TSAG に
おいてさらに検討することになった。
(6)決議18、20、26、38および40については当面維持するが多少の修正が予想さ
れる。
(7)決議31では Associates について明確化をはかることが提案された。
(8)決議37は概ね役目は終わったので削除を考慮する可能性があることが合意された。
(9)決議32、36、39、勧告 A.11 及び勧告 A.12 見直しが求められている。
(10)勧告 A.1 に関し日本は以下の提案を行ったが、①は合意されず②は検討が継続されるこ
ととなった。
① ”Joint Coordination Group” の削除提案。
② 2ヶ月前までに提出するホワイト寄書と7作業日前までに提出する遅延寄書を一本化
し、全ての寄書を2週間前までに提出することの提案。
(11)勧告 A.7、A.9、A.11 および A.13 は当面改版の必要性はないこと、勧告 A.8 は若干の変
更を要することが確認された。
(12)A.4、A.5、A.6、A.23 及び A シリーズ勧告の Supplement 3 についてはこれまでのところ
具体的提案がないとの報告に留めた。また、A シリーズ勧告の Supplement 1 を、削除する
ことに合意した。
1.2 PG(Project Group)導入に関する日本提案について
各国の反響を呼び、多くの支持を得たが、具体化方策について特に、他の決議や勧告との整
合性、SGとの連携方策、作業手順等への指摘があり、これらを検討するための特別コレスポ
ンデンスグループを設置して進めることとした。審議終了に際し日本から、今後高まると予想
される途上国を含めた市場と行政のニーズを確実に把握しながら標準化を進める仕組みを考え
ることの重要性をアピールした。
1.3 セクターメンバーの理事会へのオブザーバ参加を試行的に先着順で実施することを理
事会WGに回答することとした。
1.4 ユーザガイドは、ITU-T の作業を遅らせない・余計な負担をかけない・作業手順を複
雑にしないなどを条件にコレスポンデンスグループで作成を継続することで合意した。
1.5 SGの再編成については今後の議論のベースとなる、ブロック及び機能別のグルーピ
ングがまとめられた(TD312 Annex 2)
。今後コレスポンデンスグループで継続検討。また、来
年4月5日∼7日には、カナダ・オタワで本件に関する face to face 会合を開催することとし
た。
1.6 ITU-T 作業の visibility 向上のために提出寄書の公開を試行的に行うカナダの提案に
ついてコレスポンデンスグループで継続検討することとした。
1.7 ASN.1 モジュールが登録されているDBを多言語(SDL, TTCN, MSC, XML, IDL, SNMP
MIB 等)に拡張するとともに Web services の提供を行うことを求めるフランステレコムによる
提案を了承。
1.8 学生向けに勧告の無料ダウンロード枠を増やし、ITU の将来を担う学生に ITU 活動に
関心を持ってもらおうとする日本 ITU 協会からの提案については、ITU の収入減の懸念等によ
り支持されなかった。
1.9 TSAG の WP3 を廃止し、EDH 関連議題は WP1(作業方法)へ、Promotion 関連議題は C&C
(外部機関との協力と協調)へ統合する日本提案はは合意を得られなかった。
1.10 TSB から 2004 ITU-T 戦略について説明があった(TD264)
。次回 TSAG において、本
計画改訂版に対する寄書を各メンバーが提出することとなった。
1.11 フィンランドから課題の枠組みの見直し、新たな成果物の定義、リードSGに代わ
る作業方法等、従来、日本が提案してきた事項と概ね整合する提案がなされ、日本は支持を表
明。課題の枠組みの見直し以外は今後WP1/TSAGが扱う事項として整理された。
1.12 カナダ提案の WTSA2004 に併せてハイレベルの Cyber Security Event を開催する提
案については、来年1月までにカナダがリードしてコレスポンデンスグループで議論継続。
1.13 2004-2005 年の予算案を了承。Tセクターへの予算配分が 02-03 期に比べて 04-05
期は約 CHF3M削減(1CHF≒85 円)され、総額は CHF25.8M。Tセクターへのセクターメンバ
ーからの出資が CHF4M減った一方、アソシエイトから CHF1.1M増加した。
1.14 TSAG 会合が 2004-2005 年の間に3回行われる可能性があり、その会合分の予算は
WTSA 地域コンサルティング活動予算からスライドされることになった。
(後者は Zhao 局長が
WTSA の前に各地域で行いたいとの意向により確保されている予算)
1.15 IETF と ITU-T でシングル・ドキュメントの作成を進めるため、調整を行う小グルー
プの設立について、SGに意見と検討テーマの候補を問い合わせるリエゾンを承認した。
1.16 「ITU-T/Forum 間の協調ガイドライン」の作成のためのコレスポンデンスグループ
の設置を承認した。
1.17 商標権の取扱いガイドラインについて検討するため、米 ANSI の Amy Marasco 女史
がラポータに指名され、また、検討のベースとなる文書が作成された。
1.18 パテント宣言様式の変更案が作成された。変更が広範囲かつ本質的なので、各国持
ち帰り次回までに検討することになった。
2.WP1 (作業方法)会合
WP1 は議長 S.Alexander 氏(英国 BT)の下 11 月 10 日、11 日、12 日および 13 日に各半日開
催された。主要な議題は、改訂勧告案 A.9 の最終ドラフティング・セクターメンバーの理事会
へのオブザーバ参加・課題テキストの書き方・決議とAシリーズ勧告の見直し・新たな作業方
法(ユーザガイド、プロジェクトグループ)等である。
2.1 主な議論と結果
以下 WP1 の議事の順番に従って主要な議論とその結論を述べる。
2.1.1 改訂勧告案A.9(SSGの作業手続き)
(1)前回 TSAG 会合(2003 年 2 月)にて「凍結」(determine)された首記勧告案は、TAP を経て
今回 TSAG 会合で承認の運びとなり、最終の編集を行った。いくつかの編集上の修正のほか、5
章(e-meeting の手続き)と関連の付録を削除し ITU-T のウェブに掲載する提案があった。ド
ラフティンググループで議論の結果、提案された編集上の修正を反映し、5章は他のSGにも
有用なのでウェブにも載せるよう TSB に要請した。ただし5章と関連の付録の削除は編集上の
修正を超えていると判断され、また内容に問題はないので残すこととした(最終クリーンテキ
ストは TD300)
。改訂勧告案 A.9 は最終日の TSAG 全体会合で承認された。
(2)オーストラリアは、勧告 A.9 は全てのSGに適用できるので SSGへの参照を変更して
今回の TSAG 会合で「凍結」することを提案した。議論の結果、勧告 A.9 を全てのSGに適用す
ると決議1や勧告 A.1 に影響が出るので、むしろ勧告 A.9 の内容を決議1と勧告 A.1 に取り込
む方が望ましいとされ、
オーストラリアは本件その方向で次回 TSAG 会合に寄書を提出すると約
した。
(3)
Q.8/SSGの削除に関して、
オーストラリアから TSAG が適切な助言をするよう求めたが、
本課題は MS Consultation を経て既に削除されている(日本とオーストラリアは反対した)
。議
論の結果、Q.8/SSGの削除は決議1により SSGの責任であるが、決議2では SSGは TSAG
に勧告案 A.9 の修正を「勧告」することになっている。結局本件は SSGの判断に任せること
とした。SSGの議長は、WTSA-2004 に勧告案 A.9 と Q.8/SSGの議論の結果を詳細に報告する
ことを確認した。
2.1.2 作業方法全般
(1)コレスポンデンスグループの活動
前回 TSAG 会合で設置された作業方法のコレスポンデンスグループ(CG)
(コンビーナは WP1
議長)の報告があった。CG では、寄書の一本化と提出期限・課題の削除等が議論された。
(2)セクターメンバーの理事会へのオブザーバ参加
2002年のマラケシュ全権委員会議(PP-02)決議 109 の実施にあたり、
理事会の下に作られ
た WG on Observers 議長(Doran 女史、カナダ)から、
「セクターメンバー代表の選出基準」に
ついて TSAG の意見を求められた。セクターメンバーの小グループで議論の結果、
「試行ベース
で個々のセクターメンバーが先着順で理事会参加を申し込む」ことを提案したが、各国のタイ
ムゾーンによる問題や希望者の数が多いときの参加者の選定に TSAG が関与すべきでないなど
を反映して本提案を TSAG 全体会合に提出することとした。TSAG は、本助言を TSB 局長を通じ
て WG に送ることを承認した。
(3)GoS(Group of Specialists)の勧告
PP-02 の決定7により理事会が任命した GoS の勧告につき TSAG の意見が求められていた。短
期勧告3における ITU-T 作業方法の優先事項として、TAP および AAP による勧告の TSB による
取扱いと承認プロセス・WP/SGでの勧告作成作業における TSB の文書取扱い方法・勧告の紙で
の発行継続への要求について合意した。その他、文書の電子的配布・文書数の低減への協力・
文書の印刷政策の見直し等をノートした。また通訳や翻訳については、参加者の実際の要求に
合わせて6カ国語への翻訳を制限することに合意した。
(4)課題テキストの書き方
カナダが提案した課題テキストの書き方に関するガイドラインは、そのレイアウトや詳細さ
の度合いをSG間で合わせようとするもので、ドラフティンググループで修正しウェブに掲載
すると同時に、各SGにリエゾン文書を送ることとした(Annex 1 to TD305Rev1)。なお日本か
ら口頭で課題を支持する組織のリストを課題テキストそのものに含める提案を行ったが、課題
を承認したSG会合の報告に含まれるので不要とされ合意されなかった。
(5)ITU−T議長会合報告
TSAG 会合に先立って2日半開催された首記会合の報告がなされ、Lead Study Group と日本提
案 の Project Groups が 議 論 さ れ た こ と が ノ ー ト さ れ た 。 こ れ に 関 連 し て 日 本 寄 書
D.157(Project Groups の提案)の趣旨説明が行われた。
(6)
「運営グループ」(Operational Group)関連
Operational Group では Associates の権利(決議31)の問題が取上げられ、AAP の Last Call
における Associates のコメントは MS や SM のそれと同様に扱われるべきとされ WP1 はこれに合
意した。しかし、Associates はラポータには任命されることができるものの、ラポータ任命の
SG承認には参加できないことが確認された。
2.1.3 決議と勧告の見直し
WP1 の責任範囲は、決議 1、18、20、22、26、31、35、37、38 および 40 ならびに勧告 A.1、
A.7、A.8、A.9 および A.13 である。これらについて修正の要否・改訂および削除の是非を検討
し WTSA-2004 に提案する必要がある。
(1)決議1
日本寄書 D.156 は課題(Question)の承認や削除に関して次の3件の提案を行った。
(a)新課題の別承認手続きとして、これまで承認まで2回のSG会合を要していたのを1回
の会合で承認できる手続きを提案した。これには課題提案の寄書が2か月前までに提出されて
いることが条件である。現在も「緊急承認法」(7.1.8 urgent approval)はあるが、これを多用
しないように本承認法を提案したものである。勧告 A.9 にも同様の承認手続きがあることが指
摘され、日本はさらにテキストを検討するとともに、広く寄書が要請された。
(b)不活発な課題削除のための基準として、2回のSG会合に寄書がない場合3回目には課
題を支持するメンバに課題削除または大幅変更の提案をするよう要請し、それもない場合はS
Gは削除を決定することを提案した。課題の「自動」削除そのものに相変わらず賛否の議論が
あって、WP1 は提案の原則をノートし広くテキストの提案を要請した。
(c)従来課題の承認は WTSA が原則で、SGにおける承認は例外となっていたのに対し、ITU-T
を取巻く環境への迅速な対応のために、
これを逆にすることを修正テキストとともに提案した。
この提案は合意され、提案のテキストをさらにチェックすることとした。
決議1の残りの部分について、SGの統合(SG17)に伴う課題の統合方法の明確化が求めら
れた。当面決議1の他の要修正個所は指摘されなかったが次回までに寄書が要請された。また
第8節について、
各SGに対し承認手続きの選択(TAP または AAP)の実行を確認するよう要請さ
れた。
(2)決議22
日本寄書 D.156 は、
2002年の全権委員会議で採択された条約第13条(WTSA)への追加
(課
題・勧告を採択しない other groups の設置権限)に関連して、WTSA と WTSA の間は TSAG にこ
の権限を与える旨決議事項を追加する提案を行った。これは日本が提案しているプロジェクト
グループの TSAG による設置・廃止に根拠を与えるのが目的である。本提案は支持を得て、次の
resolves 1 d)への追加が合意された。
“…, and in particular establish and terminate other groups for standardization
work.”
また RAG や TDAG のように、TSAG にも決議の修正や新決議の作成権限を決議22で与える必
要があることが合意された。さらに resolves 2 は削除あるいは修正できるかも知れないことが
指摘され寄書が要請された。
(3)決議35
米国は、現在副議長の入れ替わりの度合いは十分高くまた議長・副議長間の連続性が重要と
して、副議長の任期の撤廃を提案した。この提案に対して、合理性がない・2000年以降適
用されていないので問題かどうか不明であるなどの強い反対があり、合意されなかった。
(4)勧告A.1
日本寄書 D.156 は次の2件の提案を行った。
(a)”Joint Coordination Group” (JCG)は現在存在しないし、日本提案のプロジェクトグ
ループがあれば不要であることから削除を提案したが、JCG はこれまでも有用であったし今後
とも有用であるとして本提案は合意されなかった。
(b)現在ある通常寄書・遅延寄書を一本化して一種類の寄書とし、最終提出期限を会合開始
前 14 暦日とすることを提案した。議論の中で、単一シリーズの寄書であっても提出時期で別の
扱いができること、例えばタイムスタンプを打つなどが指摘された。しかし本提案は完全な合
意には至らず、単一寄書の利点を TSB も含めさらに検討することとした。一方提出期限延伸の
提案については賛否両論あり、当面現行2種の寄書の期限は変えないものの、その効果や影響
についてさらに寄書が要請された。
その外、寄書や Temporary Document を一般に公開する問題・単一言語(例えば西語のみ)に
よる遅延寄書提出の問題が議論された。
(5)WP1が担当する他の決議と勧告
決議 18、20、26、38 および 40 については当面維持するが多少の修正が予想される。決議 31
では Associates について明確化をはかることが提案された(2.1.2(6)参照)
。決議 37
(AAP)は概ね役目は終わったので削除を考慮する可能性があることが合意された。
いずれも次回
TSAG 会合までに寄書が要請された。
勧告 A.7、
A.9 および A.13 は当面改版の必要性はないこと、
勧告 A.8 は若干の変更を要することが確認された。
2.1.4 新たな作業方法
(1)ユーザガイド
前回の TSAG 会合で、
エンドユーザの要望をSGの標準作成活動に反映するためのガイドの作
成を目的としてコレスポンデンスグループが設置された(コンビーナは Box 氏、オーストラリ
ア)
。本コレスポンデンスグループの中間報告では、エンドユーザを標準化に「参加」させるこ
とに多くの支持があり、TSAG の承認を得てこのような「ユーザガイド」を作成する意思が表明
された。このガイドは専門家でない一般のユーザや障害のあるユーザなどの要求を標準に反映
することを意図しているが、エンドユーザの定義について若干の議論があった。ITU-T では既
に市場ニーズに則して標準化を行っており、各国とも障害者を考慮した規制をおこなっている
との意見もあった。結局そのようなガイドは、ITU-T の作業を遅らせない・余計な負担をかけ
ない・作業手順を複雑にしないなどを条件にコレスポンデンスグループで作成を継続すること
で合意した。
(2)プロジェクトグループ
先に趣旨説明された Project Groups(PG)提案の日本寄書 D.157 について、付録の決議案が紹
介された。議論の中で、PG の提案は決議1や勧告 A.1 に影響が出ること・”Project Group”
の名称は必ずしも最善ではないこと・提案の PG の作業手順は完全ではないこと(特に resolves
6 の出力承認方法)
・Lead Study Group の役割との関係・PG の出力(Supplement)の関連SGへ
の伝え方(文書だけか「対話」を要するか)
・TSAG との関係等々が指摘され、本提案は直ちに
合意には至らなかったが、コレスポンデンスグループ(コンビーナは WP1 議長)を設置して検
討を継続するとともに寄書が要請された。このコレスポンデンスグループが考慮すべき文書に
フィンランドの寄書 D.130(ITU-T の改革案)が入った。
2.2 今後の活動
今回継続が決定されたユーザガイドのコレスポンデンスグループ、
新たに設置された PG のコ
レスポンデンスグループに加えて、WP1 担当の決議と勧告を検討する作業方法コレスポンデン
スグループが活動を継続することが合意された。
次回 TSAG 会合では WTSA-2004 に提案する最終
案を作成する必要がある。
(小池)
3. WP2(作業計画)会合
WP2 は議長 J.Boulvin 氏
(仏国)
の議事進行の下、
11 月 10 日の午前1コマと午後1コマ及び、
11 日、12 日、13 日のそれぞれ午前に開催された。主要な議題は、研究グループ(SG)の再構
成、セキュリティ・非常時通信等を含むSGの進捗状況の確認、研究課題の新設/改訂等であ
ったが、殆どの時間はSG再編の議論に費やされた。
更に 10 日、11 日、12 日の夜には、SG再編に関する合意形成に向けて、小グループによる
議論が行われた(11 日夜の小グループは、正式なアナウンスがなかったため、非公式の位置付
けとされた)
。
3.1 主な議論と結果
3.1.1 SGの再構成
(1) パリ会合結果の扱いとSG再編提案
前回会合で設置されたSG再編グループのレポート(TD247)及び、10 月の face to face パリ
会合のレポート(D129)が報告された。
SG再編グループへ提案された具体的なSG再編案は、ノーテル、アルカテル、仏テレコム、
BT、スイス、イタリア、ルーセント、シーメンス、日本の合計9つがあり、パリ会合以降の修
正案がそれぞれ説明された。寄書が提出されていたのは、BT (D138)、ルーセント (D152)、日
本 (D158)の3件であり、その他はSG再編グループのレポートに記載されている。日本からは
寄書 D158 に基づき、SG再編の考え方と具体的なSG構成と共に、NGN やユビキタスなどのS
G横断的な課題については、プロジェクトグループを設置して検討すべきことを強調した。
パリ会合にて作業が進められた既存SGの作業項目のブロック分けについて再度議論があり、
パリ会合の結果を TSAG としてエンドースすべきとのカナダ寄書 D134 に対して、イタリアから
SGからのフィードバックが反映されていない、シリアからは途上国の意見が反映されていな
い、などの反対意見があり合意されなかった。カナダ、BT、Swisscom、日本などからは、パリ
会合での議論を再現するべきではなく、結果を受け入れ、新SG構成の作業を進捗させること
が重要との意見があった。10 日夜の小グループでブロック分け案をアップデートし、WP2 全体
会合で再度議論した結果、今後の作業を進めるためのベースとすることに合意し、WP2 レポー
ト(TD312) Annex 2 にまとめられた。
(2) SG再編の原則、収束提案、その他
SG再編の原則を示した UK 寄書 D128、イタリア寄書 D146、米国寄書 D147、BT 寄書 D155 が
説明され、加えて、Swisscom からは、SG再編案を提案した文書の中にも原則論が含まれてお
り、それらも参照すべきとの指摘があった。さらに、議長会合のレポート(TD277)、再編に対す
る各SGの見解などが紹介された。収束に向けた妥協案を示したノーテル寄書 D137、同寄書へ
のサポートを表明した豪州寄書 D144 などが説明され、SG再編の原則論、必要性などについて
議論が展開されたが進捗は見られなかった。
11 日夜には、SG再編案の合意形成を図るべく小グループが開かれたが、公式にアナウンス
されていなかったため、イタリア、シリア、SG17 議長が不満、反対を表明し、小グループの
結果(TD290Rev.1)は非公式文書(Working Document)の扱いとすることとなった。再度 12 日夜に
小グループが開かれて、ブロックを機能別にグルーピングする作業が進められ、承認はされな
かったが、グルーピング案は WP2 レポート Annex 3 に記述されて、これらを修正/微調整しな
がら組み合わせてSGを構成することで、今後の作業進捗のベースとすることに合意した。
シリアは、既存SG3 を独立SGとして現状のまま継続することについて、リザベーション
を表明した。
(3) 今後の進め方
今後の進め方を提案したノーテル寄書 D136 などに基づき、
SG再編のコレスポンダンスグル
ープは、次回 TSAG 会合までに合意を図るべく活動を継続することとなり、12 日夜の小グルー
プで作成した Terms of Reference に合意した。中間の face to face 会合について日程調整の
結果、来年4月5日∼7日には、カナダ・オタワで face to face 会合を開催予定となった。
また各SGに対して、
引き続きSG再編グループの作業への協力を求めるリエゾン(WP2レポ
ート Annex 5)を送付することとした。
米国は、最終プレナリにおいて、現在のSG構成には何の問題も感じておらず、再編は進め
るべきではないとの立場を宣言し、会合レポートへの記載を求めた。シリアは、財政削減のた
めにもSG数を減らすべきだが、課金原則、番号計画など規制に関わる分野に関して、SG再
編案には途上国の意見が反映されていないとの反論を述べた。
3.1.2 課題の新設と改訂
SG11 のNGN 関連3新規課題(TD231)、
SG16 のe-Health に関する新規課題Q.J/16(TD218)、
SG17 の新規 18 課題のリスト(TD253)をエンドースした。
SG17 のセキュリティ関連新規課題
に関して、
カナダは寄書 D132 で支持を表明、
日本はセキュリティの新規課題を支持することと、
より広範な標準化ニーズに応えるためにセキュリティに関するプロジェクトグループの設置を
検討すべきとの発言を行った。シリアより、途上国にとってセキュリティは規制に関わる問題
であり、SG再編にも関連して「既存SG3 以外に、番号計画、セキュリティ、TDR、QoS など
の規制に関わる事項を集めたSGの設置を検討すべき」旨のステートメントが述べられ、レポ
ートに記載された。
SGで承認済みであるSG4 の課題改定(TD269)、SG15 の新規課題(Annex 5 to TD257)をノ
ートした。
3.1.3 SGの進捗状況、セキュリティと TDR の状況報告
SSG (TD242)、SG2 でのセキュリティ、TDR、IP、NGN 関連 (TD260)、SG4 (TD270,TD272)、
SG12 (TD233)、SG13 (TD234)、SG15 (TD257)、SG16 (TD265)の進捗状況が、それぞれ
報告された。
シ リ ア よ り 、 S S G に 関 し て 、 テ レ コ ム ワ ー ル ド 2003 に お い て も 、 mobility と
interoperability の重要性が強調されており、検討対象として取り上げるべき、とのコメント
があり、ノーテル、U.K.が支持を表明した。SG16 での Accessibility の検討に関し、他のS
Gでも同様な技術的要求条件を考慮するよう呼びかけられた。SG17 でのセキュリティの検討
状況が報告(TD252)され、勧告 X.805 について、ネットワークのエンド・エンドでの一般的なセ
キュリティ構成要素を規定した最初の勧告として重要であることが強調された。
3.1.4 勧告、supplement などの抹消
SG11 での勧告Q.10xx シリーズ(TD227)、
SG4 での勧告B.11(TD271)、
SG15 での勧告G.167
(TD257 Annex 4)の抹消が報告され、TSAG に勧告抹消の承認権限はないため、ノートした。
勧告 Z.450 の承認が報告されたため(TD245)、前回 TSAG 会合での合意に従い、勧告 Z.450 の
翻訳版出版後に内容が重複している A シリーズ勧告の Supplement 1 を、削除することに合意し
た。
3.1.5 WTSA-2004 に向けた WP2 が担当する決議の改定など
決議2(Study Group responsibility and mandates)は、
SG再編の議論進捗に合わせて検討、
決議29と決議41の修正/削除については、SG3 に検討を委ねることとした。
3.1.6 その他
2003 年の Workshops 開催 (TD239)、2004 年の Workshops とセミナーの計画(TD264)、戦略、
財政、運用計画のリンク(TD226)、SG会合出席者数、承認勧告数、寄書数などの統計量(TD254,
TD254 Add.1)、SG13 と ICG-SAT (TD224)、理事会決議に基づく専門化のグループ (TD237)を
ノートした。
SG9 からの要求(TD209)に従い、作業計画データベースの標準化エリアに Cable (hybrid
coaxial-fiber)access network, IP Cablecom, Cable services を、ドメインに Conditional
access, Objective video quality measurement を追加することを承認した。
3.2 今後の作業
SG再編について、コレスポンダンスグループ及び4月 face to face 会合において、合意に
向けた検討が進められる。
WTSA2004 に向けた決議の修正、削除の検討が行われる。
(日比)
4. WP3(EDH と ITU-T 出版ポリシー、ITU-T の普及促進)会合
今回の WP3 は、韓国 ETRI の Park 議長(TSAG 副議長)が出席できなかったため、ETSI の
Strandberg 氏が WP 議長を代行した。前回2月会合と同様に次の2つのラポータグループ(RG)
を編成し、審議を行った。
RG1(EDH と ITU-T 出版ポリシー)
: KDDI 柴田
RG2(ITU-T の普及促進):R.Hapeman 氏(米国 Telecordia; T1 委員会委員長)
4.1
主な議論と結果
4.1.1
WP3全体会合
前回会合で、これまで別々のラポータグループに分かれていた EDH(旧 RG1)と出版ポリシー
(旧 RG2)について、双方に跨る案件が多いことを理由に新 RG1 として統合を図り、審議の効率
化を進めた。しかし、ITU-T のプロモーションを図る目的のために、手段として EDH や出版ポ
リシーの見直しが必要な案件等、新 RG1 と新 RG2 の双方に係わる議題があることから、両方の
RG で重複審議することを避け、全体会合で効率的に一括審議を行った。
(1) 寄書の試行的開示
ITU-T の標準化活動のプロモーションと他 SDO との協調作業の円滑化等を目的として、寄書
を Web で6 か月間試行的に開示し、その効果をみて継続の可否を決めることがカナダより提案された。
著作権等の法的問題が生じる可能性、入力文書である寄書のみが公開され、結果であるレポートが開示
されないことによる誤解の可能性、試行期間の不足等が指摘された。法的問題を十分に検討した上で、
トライアルとして最低1 年間以上実施する方向で具体的な方法を検討するようTSB に対して要請した。
なお、WP1 の審議では、本件について否定的な意見を集約しており、最終日の全体会合での調整の結果、
継続検討することとされた。
(2)学生向け無料ダウンロード枠の拡大
学生に対して ITU の成果物である勧告へのアクセスを容易にし、将来的に ITU 活動への参加
を触発することを目的として、通常年 3 件となっている無料ダウンロード枠を増やすことが日
本ITU協会より提案された。提案目的は理解と共感を得たが、不正使用の増大と収入減に対
する強い懸念が ITU の Common Services 部門より示され、会場からも充分な支持は得られなかっ
た。なお、本件は、財政アドホックグループでも審議されフィンランドから支持を得たが、WP3 と同様の
理由を背景とする反対意見が大勢を占めた。
(3)TSAG の再構成提案
日本から提出された TSAG 構成の見直しに関する寄書では、WP3 を廃止し、EDH 関連議題は WP1
(作業方法)へ、Promotion 関連議題は C&C(外部機関との協力と協調)へ統合することが提案
された。EDH がもはや特殊な手段ではなく、日常の作業方法の一部となったことを考慮すべき
とのコメントが一部支持されたが、他の WP に統合された場合、議題の最後に置かれ、十分な審
議が尽くされないとの懸念と共に、EDH のような専門的な課題は、専門家が集中して議論すべ
きとの意見が示された。これら意見を元に、WP3 の立場として、今後も独立した WP として継続
することが望ましいとする意見を集約した。
(4)勧告のサマリと目次の Web 掲載の進捗報告
前回 2003 年 2 月の会合で、最新勧告を中心に実施済の勧告サマリと目次の HTML 形式による
無料掲載を、全ての勧告について実施するよう日本ITU協会より提案したが、TSB より進捗
の報告があった。それによれば、サマリ・目次が存在する 6 千余の勧告について掲載作業が完
了し、サマリのない古い勧告についは担当SGに対して対処方法を照会中であるとのことであ
った。
4.1.2
EDH と出版ポリシー関連(RG1)
(1) EDH に関する最新状況
TSB における前回会合以降の EDH の改善状況、利用状況等が TSB より報告された。新たな頁
としては、"Topic Locator"で、従来より機能が強化されたサーチ機能が利用できる。その他、
AAP の状況、EDH ガイド他の最新版等の紹介があった。また、寄書の提出方法として、現在、①
ウェブ経由、②FTP Drop Box、③E-mail への添付の 3 通りあるが、確実に届くようにとの配慮
からこれらが複数同時に使われる事例が多く、TSB における処理時に混乱が生じることがある。
このため、上記 3 手段のうち、どれか 1 つの方法を選択するよう、要望された。
SG15 からは、EDH 機能等に関して多数の要望と改善提案が寄せられた。既に対応済みの機
能もあったが、寄書提出時の自動番号付与、文書テンプレートの改善、会合参加オンライン登
録の確認メイルの改善等については、継続して改善や対応策の検討が必要とされた。
(2)SG満足度調査
前回会合で統計データが示されたSGの満足度調査について、記述式コメントの内容が報告
された。三大苦情は、①検索機能、②プリンタ設備の保守、③長いファイル名。一方、好評な
ものは、④会合文書の紙および電子的配布、⑤CICG を含む会議室への無線 LAN の設置、⑥TSB
他によるサポートであった。苦情のうち、①については上述の Topic Locator により対処済み
で更に高度な検索機能を検討中であること、②は故障修理を行ったこと、③は短いファイル名
に変換するツールを開発したことが併せて報告された。
(3)AAP 通知メールの改善
シーメンス(独)より、AAP 通知メールの改善案が提案された。内容は、通知メールのサブジ
ェクト行に AAP 番号、関連するSGと Last Call の開始日と終了日を、本文に AAP 対象勧告案
へのリンクと表自体を記載するというもの。これに対して、TSB より、現在の通知メールと併
用する形で何らかの情報拡充を検討するが、より本格的な対応は AAP プロセス全体が
DMS(Document Management System)に移行された時点で可能になる旨回答があった。
(4) Electronic Forum Service の改善提案
9 月に WP3 が実施した電子会議の経験を元に、スレッドモード他の機能追加が韓国より要望
された。TSB と IS 部門は、既に改善に着手したことを報告すると共に、メンバーに対して本シ
ステムを積極利用し、改善項目等のフィードバックを行うよう要請した。なお、本 EFS のツー
ルとして、前回会合で WP3 が TSB が正式導入することを支持した"Jive"(商品名)と呼ばれる
ソフトウェアが使用されている。
(5) 会合文書の配布
現在、ITU-T 会合への参加者は、会合登録時に遅延寄書と暫定文書(TD)のいずれか、もしく
は双方について、紙文書として配布を受けることを選択できる。文書配布コストの更なる削減
のため、
会合の何日か前までに掲示された TD 文書の配布非希望を選択可能とすべきことが韓国
より提案された。前回の WP3 会合では、この特定のカットオフ日を設定することは困難である
との結論であったが、TSB では再度、その可能性を検討することとなった。なお、本件は財政
アドホックでも審議され、同様な結論となった。
(6) 言語データベース
ITU-T の ASN.1 データベースには、現在、200 余勧告から抜粋された 500 余が登録されている
が、登録の対象を SDL, TTCN, MSC, XML, IDL, SNMP MIB 等の言語に拡張すると共に、データベ
ースへのアクセスを Web サービスとして提供することがフランステレコム等より提案された。
日本は、本プロジェクトの有意性について他SGの意見を求めるべきとし、場外で関係者と調
整した結果、標準利用者を中心に一定の利用があることが判明したため、本プロジェクトの推
進が支持された。
(7)DVD による勧告集の提供
勧告集の提供媒体として、
1 枚に全勧告が収容でき多彩な機能付加が可能な DVD の導入が TSB
より提案された。従来の CD による提供も継続する。
4.1.3
ITU-T の普及促進(RG2)
(1)SG正副議長への ITU-T ロゴ入名刺の配布
SG正副議長の日常の様々な活動の中で ITU-T を PR してもらうことを目的に、正副議長に
ITU-T ロゴ入り名刺を配布することが韓国より提案された。T1 委員会委員長であるRG2議長
より、T1 委員会では数年前より成功裏に実施している旨の言及があり、WP3 で本提案は支持さ
れた。一方、最終日全体会合では、Zhao 局長より、ITU-T の一存でできることではなく ITU 全
体での調整が必要とのコメントがあった。
(2)プロモーション活動報告
前回会合(2003 年 2 月)の TSAG 会合以降の、ワークショップやプレスリリース等の活動状況
が報告された。
なお、これまで一括りで「ワークショップ」と呼んでいたものを、今後、その目的や想定す
る参加者の属性などによりワークショップ、セミナー、フォーラム、サミットの4種類に分け
て実施することが TSB より提案されている。
4.2 今後の作業
WTSA-2004 に向けて、以下の決議・勧告の見直しが求められている。
○ 決議 32 (ITU-T の作業における EDH の利用強化)
○ 勧告 A.11 (ITU-T 勧告の出版)
○ 勧告 A.12(ITU-T 勧告の番号付与と書式)
(柴田)
5.WP4(戦略)会合
WP4は11月12日午後、Kisrawi 議長のもとで開催された。
5.1 セクターの戦略計画とリンク
ATUおよびカメルーンによりWTSA地域準備会合の重要性が提起され支持された。今後、適切な
メカニズムの確立の可能性を含むWTSA決議案をKisrawi議長とTSBにより準備し次回TSAGにて審
議することになった。
理事会の勧告3(TD.237)に含まれるセクター活動の優先度に関連して、財政アドホックが
WP2/TSAGに対してITU-T作業計画の見直しを求めていることが報告された。また、これらの理事
会勧告を導入する場合の影響に関する寄書が求められた。
TSBの戦略案(TD.264)に含まれるワークショップ活動を現状の予算内で進めることを支持し
た。TSBは本戦略案の改訂版を次回TSAGの充分前に作成・配布し寄書を求めることになった。
5.2 ITU-T の将来の役割
フィンランド数社合同提案寄書
(D.130)
は、
①活動分野の重点化と外部団体との適切な協調、
②課題の枠組みの弊害とWPを基本とした作業の見直しの必要性、③リードSGに代わるプロジ
ェクトを基本とした作業方法、
④技術仕様書の提案に含まれる利点を生かすためAAPより軽い手
続きにより合意される新たな成果物(例、中間勧告、初期勧告)の定義に向けた検討、⑤ITU-T
の外部に対するプロモーションの必要性を提案した。これらはいずれも従来、日本が提案して
きた事項と概ね整合する。特に、提案③は日本のプロジェクトグループと密接に関わることか
ら日本は本提案に対する支持表明を行ったが本寄書には既存作業方法等に対する具体的な修正
提案がなかったので合意には至らず、提案②(課題の枠組みの見直し)以外は今後WP1/TSAGが
扱うべきと整理された。
5.3 途上国に対するガイドの作成
ベトナム寄書(D.159)はPP02決議123の導入に向けたアクションとして途上国がITU-T活動に
取り組むためのガイド文書を作成すること、これに向けた検討のためTSAGのコレスポンデンス
グループを設立することを提案した。この提案は支持され、今後ベトナムのリードでコレスポ
ンデンスにより検討することになった。カメルーン、インド、モロッコ、シリア、トーゴが協
力を表明した。
5.4 WTSA-2004 の準備
カナダ寄書(D.135)が提案した、WTSA-2004におけるサイバーセキュリティ関連のハイレベ
ルイベントの開催が支持された。ただし、予算が準備されることが前提とされた。
既存決議(TD.287)の(廃止を含めた)見直しに関する寄書が求められた。特に、WTSA決議33、
39はPP02決議でカバーされて不要となった可能性があることが指摘された。見直しの対象とし
て認識された決議は、PP02決議71(2004-2007戦略計画)
、WTSA決議17(電気通信標準化におけ
る開発途上国の利益)
、同33(ITU-T戦略計画ガイドライン)
、同36(ITUリフォーム)
、同39(変
化するWTSAの役割)である。なお、カナダはPP02決議122、123も考慮対象とするべきと主張し
認められた。
ベトナム寄書(D.161)はWTSA決議17(途上国の利益に関わる電気通信標準化)に対して次の
ような拡張を提案した。①ITU-Tハンドブック、ガイド等の途上国およびLDCに対する無償コピ
ーの提供、②途上国がITU-T活動に効果的に参加するための先進国による技術移転、③途上国の
利益を考慮した勧告内容の促進を提案した。この提案は支持され、WTSA決議17の改訂案が作成
され次回TSAGにおいてさらに検討することになった。
5.5 その他
議長より WSIS2003 結果(宣言と作業計画)が ITU-T 戦略に与える可能性が指摘され、この観
点からの寄書が求められた。
(平松)
6.財政アドホック会合報告
財政アドホックは議長E. Lieser(独)の下、11月11日、12日および13日に各半日(13日は2
時間程度)開催され、財政に関する寄書・TSB からの提案等について審議を行った。
主な議論と結果
6.1 2004-05 年の予算案
2004-05 年の予算案(TD251)について TSB から説明があった。主な説明は以下の4点:①T
セクターへの予算配分が 2002-03 期に比べ 2004-05 期は約 CHF3M 削減した。
(総額 CHF25.8M)
②セクターメンバーからアソシエイトメンバーへの変更増加等の理由により、T セクターへの
セクターメンバーからの出資が CHF4M 減った一方、アソシエイトメンバーからの出資が飛躍的
に増加している。③コストリカバリは全体として減少しているが、支出自体が減っているため
である。④TSAG 会合を追加(2 回から 3 回に)することが必要な場合、WTSA 地域コンサル活動
費からスライドすることが理事会で承認されている。TSAG 会合の 3 回目開催は理事会の承認が
あるので可能であり、2004 年の理事会で剰余資金の柔軟な活用が承認されれば、セクションを
超える資金のスライドが可能となる。
また、PP02 決議 115 により 2005 年 1 月から文書(勧告)が 6 ヶ国語に翻訳される予定なの
で、2004-05 年の翻訳の予算額が 2002-03 年に比べ、約 2 倍の予算となった。6 ヶ国語は既存の
英語、フランス語、スペイン語に加え、アラビア語、中国語、ロシア語の3つの言語が新たに
加える予定である。翻訳された勧告が販売に結びついているかどうかを TSB は詳細に把握する
必要があるとの指摘をフランスから受けたが、翻訳については非常にデリケートな問題として
扱われ、活発に議論されなかった。
6.2 ITU の戦略・財政・運用計画の連携
戦略・財政・運用計画の連携に関するコレポングループの結果報告(TD279)が行われた。CG
は機能しなかったが、TSAGは今後CGを通して理事会の財政規則グループ及び外部委託のコンサ
ルタントの活動を把握し、戦略計画・財政・運用計画の関係をより明確にすることの必要性が
指摘された。また、この関係の明確化はITU−Tに限らず全てのセクターに適応されることの必
要性が指摘された。2005年の運用計画の見直しを進めるためには2004年の秋には作業を開始す
る必要があるため、CGと理事会財政規則グループの合同電子会合を行うことになった。
また、戦略・財政・運用の相互スケジュールを踏まえた作業線表(TD304)について TSB から
説明があった。ITU の全権会議や理事会の開催スケジュールに対して TSAG による 2005-08 年の
運営計画と 2006-07 年の予算計画策定をメインとする作業線表について議論された。WTSA2004
前後の複雑で多数な要素が相互に関連しているため、議長が参加者からのコメントを踏まえて
改訂案を提出することになった。
6.3 経費節約等
(1)勧告を紙印刷して得られる収入(TD259)
TSBより勧告の印刷数の減少と共に損失額の減少が報告された。
かつては印刷による利益が報
告されていたが、これは経費がその他一般費用に隠れていたためであった。法的手続のために
紙文書が必要とされることや、現在の電子媒体(HD、CD、DVD等)では長い年数に渡って安全確
実に保存できる保証がないことを理由に、印刷を全て止める案はルーセント、アルカテルとい
った大手からの反対があった。TSBは引き続き電子媒体による保存の可能性を調査すると共に、
紙文書を必要とする購入状況を調査し、WTSAへの報告を審議する予定の次回TSAG会合へ報告す
ることになった。
(2)会合でのプリントコスト軽減(D142)
会合での寄書の紙印刷によるプリントコストを減らすために、ある日付けより後の寄書のみを
配布すればよい、という提案が韓国からあり、WP3に加えて財政アドホックでも審議された。デ
ンマーク等の各国からサポートされたが、何日前かの適切な期限の設定には参加者の条件が異
なり困難を伴うため、次回TSAG会合までTSBが検討することとした。
(3)勧告の無料ダウンロード数(D145)
日本 ITU 協会から提案されたこの寄書は WP3 で説明を行ったが、勧告の無料ダウンロードだ
と財政に関係することとされ、財政アドホックでも取り上げられた。学生が何人かのグループ
で集まれば現状の無料ダウンロード数 3 件でも大丈夫である、それ以上の件数の勧告ダウンロ
ードの負担費は当然である、等の意見により否決された。しかし、ITU で学生をはじめとする
若い人がもっと参加すべきであるという点については賛同が得られた。
6.4 GoSの勧告の実施
PP02 決議 7 により各国から地域毎に選ばれた代表を構成員とした、GoS (Group of
Specialists)から策定された勧告のうち、理事会にて承認を得た勧告(D237)が TSB より報告
された。Near-term の行動として ITU 活動の優先順位付けが報告されたことに伴い、活動の優
先順位による予算配分への議論になった。TSAG WP2 で優先順位を付けるのが本筋であるといっ
た意見や財政アドホックでも行える範囲がある(例えばSGの活動は第一優先であって
Workshop は二の次である等)といった意見があった。基本的には運用計画と連携させることに
なり、各活動の優先性を評価するメカニズムの必要性も指摘された。翻訳経費他の支出のいく
つかの想定に基づく予測データの提出を TSB に求め、コレポングループや次会合で継続検討を
行うことになった。
(平野)
7.C & C (協力と調整)
C&C は Macchioni 氏(伊)C&C 議長ののもと議題 TD280Rev.1 によって議事が進められた。会
合は 11 月 11 日午後及び 13 日午前と2回開かれたが、審議の実質は 11 日の半日で終了、13 日
は TSAG への報告の確認に当てられた。出席者は 20 名程度。以下主要な議論とその結果につい
て述べる。
7.1 C&C 関連決議、勧告等の見直し
TSAG 議長からの要請(TD229Rev.1)を受け、WTSA-2004 に向けた C&C 関連の決議(決議 7、
11)及び勧告(A.4、A.5、A.6、A.23 及び A シリーズ勧告の Supplement 3)の見直しについて
検討。決議についてはそのまま維持することとしたが、A シリーズ勧告については ITU-T と他
、これまでのと
機関との間の作業方法をより具体的にすべきであるとの指摘があるが(D.130)
ころ具体的提案がないとの報告に留めた。
7.2 勧告 A.4, A.5, A6 の実施状況報告
2003 年 7 月に A.4 関連で申請のあった 4G-Society(米)について、現在 TSB で審査中である
こと、また、MPLS Forum と Frame Relay Forum が合併した新組織である MPLS/Frame Relay
Alliance については引き続き、
A.4、
A.5 関連の SDO として 5 月 27 日に資格が付与されたこと、
更に CEA(Consumer Electronics Association:米)に対し A.6 関連の団体として資格が付与
されたことが TSB より報告された。
以上に加え TD272 により、TMF(TeleManagement Forum) が開発した eTOM(Enhanced Telecom
Operations Map)と ITU-T の M.3400 勧告との連携を検討するために、両者間で A.7 に基づくフ
ォーカス・グループを 2003 年 8 月に設立したとの報告がSG4 議長からなされた。
7.3 Internet Society(ISOC)との関係
ITU-T と IETF との間でシングル・ドキュメントを持つための検討の必要性が前回会合で認め
られ、その為の CG が構成されたが活動が無かった。本件を進めるリード役の TSAG 議長と、IETF
の ITU-T リエゾン担当者から新たに TD243 が提出され、それに基づき TSAG 議長がシングル・ド
キュメントの開発を進めるため、小グループ(DCDC:Document Coordination Discussion
Committee)を設立し、特定のテーマ(MPLS Inter-working、SIP など)で試行的に運用するこ
と等を提案。しかしながら DCDC の設立は更に吟味する必要があるとし、シングル・ドキュメン
トを持つことの進め方について各SGの意見およびテーマ候補等を問うリエゾン文書を C&C か
ら送付することとした。
7.4 GSC 関係
2003 年 4 月∼5 月にオタワで開催された GSC-8 についての報告(TD250)
。また、Hapeman 氏
から、当日(11 日昼)ITU 本部局舎で GSC 準備会合(電話会議)を開いたことが報告された。
GSC9 は来年 5 月 9 日∼14 日にソウルにて行われる予定。
7.5 ISO/IEC JTC1 関係
ISO の Auber 女史から TD281 で JTC1 の活動の報告があった。約 1 年前に設立された JTC1 の
バイオメトリクスに関する小委員会(SC37)の活動の紹介があった。同委員会は ITU-T SG17
とも連携している。
JTC1 の Technology Watch 特別委員会は新しい標準化テーマを探す役割があるが、最近 Linux
と Web Service を標準化テーマとして取り上げている。特に Web Service の標準化を扱う研究
グループの設立を JTC1 に求める方向であることが紹介された。
7.6 World Standard Cooperation(WSC)
TSB より WSC に関する活動報告があった(TD241§2.6)
。2003 年 10 月 14 日(World Telecom
開催中)に第 34 回 World Standards Day を「Global Standards for the Global Information
Society」のテーマで祝したことの報告。C&C として WSC に関する情報は今後も重要としながら
も CG は活動が無いことから閉鎖することとした。
7.7 その他の機関との C&C
IFS(Informal Forum Summit)に関する報告(TD222)で、
「ITU-T and Forums」Web ページ
の改善、「一般的な ITU-T/Forum 協調ガイドライン」作成への参加、などが述べられた。
ITU-T/Forum 協調ガイドラインの検討を進めるため IFS CG を設置することとした(イタリア
の Bigi 氏がリード役を務める)
。
2003 年 9 月にウガンダで開催されたセミナー「Impact on Electromagnetic Field Emissions
(EMF) on humans and environment」に関する報告があった(TD238)
。このセミナーでは、ITU-T
SG5 と密接に連携して EMF に関わることを ATU レベルに挙げる役割も担う「African EMF
Working Group」の設置を求めていることが伝えられ、C&C はSG5 に対しリエゾン文書を送付
することとした。
(佐々木)
8.IPR アドホック会合
TSB 局長主宰の IPR アドホック会合
(TSB Director’s Ad hoc Group on Intellectual Property
Rights)は、TSAG 会合に先立って、2003 年 11 月 7 日(金)と 8 日(土)の二日間、ジュネー
ブの ITU 本部で開催された。8 ヶ国から 20 名、日本からは、総務省、TTC、NTT、富士通から 4
名が参加した。
会合は TSB 局長ザオ氏の議長のもとで進められた。冒頭、今夏急死した Jhon Magil 氏(ソ
フトウェア著作権ガイドラインのラポータ)に対し、哀悼の意が捧げられた。
8.1 商標権(トレードマーク)関連
SG議長から、ITU 勧告で使用されている略語が商標権を犯しているとのクレームが ITU
に寄せられたこと、同じく略語を商標として登録したいとの要望が出されたこと、などが報
告された。ETSI から、商標権の取扱いに関する事例が提供された。この中で重要な略語につ
いては商標権を得ることが必要であること、勧告に使用されている略語が試験・認証のロゴ
等で表示されるのは問題であること、などが指摘された。TSB から、WIPO における商標権の
一般的な扱いが紹介された。現在、ITU-T には商標権の扱いを規定する文書がないことから、
商標権の取扱いガイドラインについて当会合で検討することになった。
米 ANSI の Amy Marasco
女史がラポータに指名され、検討のベースとなる文書が作成された。
8.2 ソフトウェア著作権関連
適合試験に使われるソフトウェアに関して議論があった、ITU がそのソフトウェアの著作権
を有していない場合は、競争条件を歪めることになるので該当ソフトウェアを勧告に含める
べきでないとの指摘があり、審議されたが、ガイドラインの記述の変更は次回へ持ち越しと
なった。
8.3 パテントポリシー関連
8.3.1 勧告の規範部分(normative part)以外へのパテントポリシーの適用について
本件は過去数回の会合でも議論され結論が出ていないが、今回も同様な議論があった。規
範部分以外へはポリシーを適用するべきでないという意見(SG15 議長、ANSI)と規範部分
以 外 に も 適 用 す る べ き と い う 意 見 ( シ ー メ ン ス 、 NTT ) が 対 立 し た 。 ま た 用 語
(normative/informative, essential/non-essential, main part/appendix )の定義を明確
にするべきという意見もあった。結局、本件は更に検討を続けることとした。
8.3.2 パテント宣言様式について
Reciprocity の定義をより明確に記載するための修正案、royalty free という表現を単に
free とすべきであるとの指摘、相手が無償許諾に応じない場合に RAND に変更可能な無償許諾
宣言として 1.5 号選択を追加することの提案(審議の結果 1bis となった)
、 などが審議さ
れ、これらを踏まえてパテント宣言様式の変更案が作成された。変更が広範囲かつ本質的な
ので、各国持ち帰り次回までに検討することになった。
8.3.3 複雑な IPR 問題について
2003 年 7 月に行われた ITU-T 非公式フォーラムサミットで、IPR と標準化に関する発表に
多くの関心が寄せられたことが報告された。同発表は、現行の複雑化する IPR の問題と進展
する市場化の流れの中で、現在標準化機関が採用している IPR ポリシーでは対応ができない
とし、RAND 宣言する特許数の制限、無償を基本として RAND をオプションとする宣言を可能と
すること、などを提案している。本件の重要性が認識され、法律専門家を含めて継続検討す
ることになった。
8.3.4 ITU 文書保存期間について
IPR 問題への対処のために、ITU の文書(寄書、ラポータ会合文書、会合出席者リスト、な
ど)の長期保存が必要との指摘があった。電子化が進んでいる今日では対応は困難ではないと
し、関連する文書全てを恒久的に保存すべきであるとの要望を TSAG に出すことになった。
8.4 その他
8.4.1 本会合への寄書について
寄書を一種類(現在は正式寄書と遅延寄書がある)にし簡素化を図ることとした。統一後の
寄書は会合開催の7 working days 前までに提出することになった。
これまで Working Document
としていた文書を Temporally Document と呼ぶことになった。
8.4.2 ソフトウェア著作権に関するラポータについて
Jhon Magil 氏に代わるラポータとして、Keith Chu 氏が指名された。
(小川)
9.所感
前回から今回の TSAG 会合にかけて議論は「SG再編」一色で、WP1 ではあまり大きな提案が
なく(前会期は AAP があった)盛上がりに欠けると予想していた。しかし決議や勧告の修正提
案は殆ど日本からだけであったため、予想を上回って議論に十分な時間が割かれた。Project
Group の日本提案は当初 WP2 で議論する方針であったところ、今回 WP1 に割り振られたが結果
的にはより参加者の興味を引き時間をかけた議論を起こすことができ、コレスポンデンスグル
ープも設置されて先ずは成功と言える。このコレスポンデンスグループのコンビーナまで WP1
議長が引受けたのは少し驚きであった。
カナダが今回課題テキストのフォーマットを提案した。元来 ITU-T の活動は課題(Question)
設定を大前提としていて、課題がなければ何も始まらないといってもよい。にもかかわらず今
頃このような課題の書き方の統一フォーマットを作らねばならないというのは理解に苦しむ。
悪く言えば、いかにいい加減にあるいは恣意的に仕事をしていたかということで、フィンラン
ドも寄書 D.130 で指摘しているように”Question”に依存する作業手順には欠陥があると言わ
ざるを得ない。やはり日本がかねてから提案しているボトムアップ型の Proposal-driven の作
業方法に変えるべきことを痛感する。
(小池)
今回の WP2 では、殆どの時間がSG再編に費やされ、他の事項は駆け足で審議され、各国が
SG再編に高い関心を持っている様子がうかがわれた。SG再編は現実的かつ具体的な問題で
あり、各国とも提案、議論が行い易いことも背景になっていると考えられるが、現状維持の保
守的な立場と、大幅な改革を目指す革新的な意見とが対立しており、合意にはまだ時間がかか
ると考えられる。パリ会合でのグループ分けから、今会合での機能別グルーピングに議論が進
んだことは一歩前進であるが、本来、SG再編はこのようなボトムアップではなく、全体の枠
組みを先に決定するようなトップダウンのアプローチが望ましいとも考えられ、このままでは
根本的な改革は望めないかもしれないことが懸念される。
日本から提案しているプロジェクトグループに関しては、検討主体が WP1 に移されたが、WP2
でのSG再編の議論においても、プロジェクトグループの必要性、有効性について広く理解さ
れるようになり、多くの支持を集めることができたことは成果であると思う。特にシリアなど
の途上国や、保守派と考えられるルーセントなどからも支持を表明する発言があったことは、
大きな前進であり、これまでの日本の努力が報われつつあると思う。
グローバルな国際標準化機関である ITU の活性化を図り、効果的かつ効率的な作業と、メン
バーにとって魅力ある組織の実現を目指して、SG再編を実現させるべく、今後も動向に注意
しながら努力していきたい。
(日比)
数年前に比べ、ITU-T の EDH 機能や設備の拡充、そして TSB によるサポートの充実には目を
見張るものがある。この状態に多くの参加者が満足しているのはSGの満足度調査の結果でも
明らかだが、皮肉なことに WP3 への寄書や出席者の減少という点でも現れている。そのような
中、日本から、TSAG 再編案の一部として、WP3 の解消と、既存課題の他 WP への統合が提案され
た。これに対して、EDH のような特殊な事項はそれ専門のグループで議論を尽くすべきという
意見があったが、電子的な手段について、いつまでも物理的な会合で解決を図るという考え自
体が矛盾しているようにも感じられる。
(柴田)
フィンランド数社の提案は日本の従来の主張とほぼ整合しており、プロジェクトグループの
みならず現在検討が停滞している新たな成果物および課題の枠組みの見直しを含めて今後の協
調が考えられる。
今会期の WP4 の作業はほとんど具体的な成果をもたらしておらず、
他の WP に比べて存在価値
が著しく低いと言わざるを得ない。この観点から日本は本 TSAG に対して財政アドホックを WP
とし戦略をアドホックにする提案をして継続検討となった。次会合においても引き続き WP4 の
改変を提案する必要がある。
(平松)
前回会合(2 月)では、IETF との間のシングル・ドキュメントを巡って活発な議論がなされ、
IETF との調整をスムースに行うための方策を検討するためのコレスポンデンスグループが設
置されたが、同グループの活動は結果として無かった。また、今回の C&C への出席者は 20 名以
下、且つ議論も低調であった。C&C の必要性が強く意識された初期の活発な活動を経て枠組み
やメカニズムの開発において若干安定した時期を迎えているのかもしれない。しかし、標準化
活動の市場原理化が進む中で、関係者の関心が ITU-T から離れた立場で外部の標準化活動に注
目する状況になっていることを示唆しているとしたら大きな問題であろう。市場原理化の動き
に翻弄されるのではなく、これを進めているのも各国政府の政策であることを見据え、トップ
ダウンで行うべきこととボトムアップで対応すべきことを明確に区別し、ITU-T 活動の、外部
の標準化活動との差別化が図られることが何よりも望まれているのではないか。C&C で、ITU-T
は GSC に 1 つの SDO として参加しているのかとのビジー(イタリア)からの質問が強く印象に
残った。
(佐々木)
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