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落花生品種識別技術の開発(PDF:121KB)

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落花生品種識別技術の開発(PDF:121KB)
試験研究成果普及情報
部門
麦及び雑穀
対象
研究
課題名:落花生品種識別技術の開発
[ 要 約 ] 落 花 生 の 葉 ま た は 種 子 か ら 抽 出 し た DNA と 6 個 の DNA マ ー カ ー を 用 い て 、 千 葉
県 育 成 品 種「 お お ま さ り 」を 含 む 登 録 品 種 及 び 一 般 に 販 売 さ れ て い る 品 種 の 計 11 品 種 の
落花生を識別することができる。
フリーキーワード
落 花 生 、 DNA マ ー カ ー 、 品 種 識 別 、 新 品 種 、 品 種 育 成 者 権
実施機関名
主
査
協力機関
農林総合研究センター・生産環境部・生物工学研究室
農 林 総 合 研 究 セ ン タ ー・ 育 種 研 究 所・畑 作 物 育 種 研 究 室 落 花
生 試 験 地 、( 公 財 )か ず さ DNA 研 究 所 、( 株 )三 菱 化 学 メ デ ィ
エンス
実施期間
2013年度
[目的及び背景]
千 葉 県 育 成 品 種 に 対 す る 信 頼 性 の 確 保 と 品 種 育 成 者 権 の 保 護 の た め に 、本 県 で 育 成 し
た 落 花 生 品 種 を 正 確 に 識 別 で き る 技 術 を 開 発 す る こ と は 極 め て 重 要 で あ る こ と か ら 、新
品 種 「 お お ま さ り 」 を 含 む 登 録 品 種 に つ い て 、 DNA 情 報 を 利 用 し た 品 種 識 別 技 術 を 確 立
する。
[成果内容]
1
DNA 塩 基 配 列 情 報 等 を 活 用 し て 、 ゲ ノ ム 全 体 に わ た り 作 製 し た 3,000 個 以 上 の DNA
マ ー カ ー か ら 品 種 識 別 に 利 用 可 能 な DNA マ ー カ ー 6 個 を 選 抜 し た 。
2
落 花 生 品 種 識 別 マ ニ ュ ア ル に よ り ( 図 1 )、 葉 ま た は 種 子 か ら 抽 出 し た DNA と 6 個
の DNA マ ー カ ー を 用 い て 、そ れ ぞ れ の 遺 伝 子 型 の 違 い を 比 較 す る こ と で 、新 品 種「 お
お ま さ り 」 を 含 む 落 花 生 11 品 種 を 識 別 で き る ( 図 2 、 表 1 )。
[留意事項]
加工品等での、識別可否の確認は行っていない。
[普及対象地域]
県内全域
[行政上の措置]
[普及状況]
( 公 財 ) か ず さ DNA 研 究 所 と LSI メ デ ィ エ ン ス 株 式 会 社 ( 旧 ( 株 ) 三 菱 化 学 メ デ ィ エ
ンス)において、落花生品種識別を実施している。
[成果の概要]
1.落 花 生 植 物 体 か ら の DNA 抽 出
1) 蒸 留 水 で 洗 浄 し た 葉 ま た は 種 子 ( 0.05g) を 切 り 取 り 、 乳 鉢 で 冷 却 し な が ら 粉 砕 す る
2) 乳 鉢 に 温 め た DNeasy Plant Mini Kit(Qiagen)の AP1 バ ッ フ ァ ー を 加 え 、 2ml の チ ュ ー ブ
に粉砕した植物体ごと回収する
3) 以 下 は Kit の 手 順 に 従 い DNA を 抽 出 す る
2.PCR
1) 反 応 液 組 成
10×PCR バ ッ フ ァ ー
2 mM dNTPs
25 mM MgCl2
25
M each プ ラ イ マ ー
Taq ポ リ メ ラ ー ゼ
DNA
滅菌水
全量
使用量
1.5 l
1.5 l
1.8 l
0.24 l
0.024 l
3 l
6.936 l
1.5 l
最終濃度
1×
0.2 mM
3 mM
0.4 M
0.12 unit / well
0.2 ng / l
プ ラ イ マ ー 配 列 は 、 か ず さ DNA 研 究 所 の デ ー タ ベ ー ス 参 照
( http://marker.kazusa.or.jp/Peanut/)
2) PCR 反 応
95℃ 2:00 → [95℃ 0:30 → 55℃ 0:30 → 72℃ 1:00]×40 → 72℃ 3:00 → 4℃ ∞
3.電 気 泳 動 と 判 定
1) PCR 産 物 を 50 倍 に 希 釈 し た も の と 、 Hi-Di ホ ル ム ア ミ ド に 1/200 量 の 500 LIZ サ イ ズ マ
ー カ ー ( Life Technologies) を 加 え た も の を 、 1: 9 で 混 合 す る
2) 混 和 後 、 ス ピ ン ダ ウ ン し 、 95℃ で 5 分 間 熱 変 性 後 素 早 く 冷 却 す る
3) ABI3730DNAAnalyzer( Life Technologies) で 電 気 泳 動 を 行 い 、 付 属 の フ ラ グ メ ン ト 解 析
ソフトを用いて、増幅産物のサイズを測定する
図1
落花生品種識別マニュアル
AHGS1969
250
AHGS1571
260(bp)
AHGS1613
240(bp)
260
270(bp)
「郷の香」
「サヤカ」
「千葉半立」
図2
蛍 光 フ ラ グ メ ン ト ア ナ ラ イ ザ ー AB3730 に よ る 品 種 識 別 波 形 パ タ ー ン ( 抜 粋 )
注 ) bp で 示 さ れ て い る 数 字 は PCR 産 物 の 断 片 長
AHGS1969 で は 「 郷 の 香 」、「 サ ヤ カ 」 は 254bp の C 型 、「 千 葉 半 立 」 は 258bp の
A 型 と い う 判 定 に な る 。 同 様 に AHGS1571 で は 「 郷 の 香 」、「 千 葉 半 立 」 は 241bp
の A 型 、「 サ ヤ カ 」 は 237bp の B 型 、 AHGS1613 で は 「 郷 の 香 」 は 266bp の C 型 、
「 サ ヤ カ 」、「 千 葉 半 立 」 は 268bp の B 型 と な り 、 こ れ ら 遺 伝 子 型 の 違 い に よ っ
て互いに識別することができる。
表1
識 別 可 能 な 11 品 種 の 遺 伝 子 型 ( 品 種 識 別 用 デ ー タ ベ ー ス )
AHS1250
A:290bp
B:267bp
AHGS1969
A:258bp
B:256bp
C:254bp
D:238bp
AHGS1571
A:241bp
B:237bp
C:229bp
D:227bp
E:225bp
AHGS1613
A:270bp
B:268bp
C:266bp
AHGS2299
A:225bp
B:223bp
C:217bp
D:211bp
A
A
A
A
A
AB
AB
AB
AB
AB
AB
A
B
B
C
D
A
B
C
C
C
C
A
A
A
A
E
A
C
A
A
B
D
B
B
A
C
B
B
B
B
C
B
B
D
D
D
D
A
D
B
D
D
C
A
品種\マーカー
千葉半立
おおまさり
JenkinsJumbo
郷の香
セトノシホウ
ダイチ
ユデラッカ
ナカテユタカ
ふくまさり
サヤカ
土の香
AHGS1126
A:236bp
B:232bp
C:226bp
D:222bp
E:220bp
F:218bp
E
F
C
F
B
D
A
F
A
F
F
注 ) 表 中 の ア ル フ ァ ベ ッ ト は 遺 伝 子 型 を 示 し 、 bpで 示 さ れ て い る 数 字 は PCR産 物 の
断片長を示す
[発表及び関連文献]
内 藤 ら 、 Genetic diversity and relationship analysis of peanut germplasm using
SSR markers、 Breeding Science、 Vol.58、 2008 年
[その他]
品 種 保 護 に 向 け た DNA 品 種 識 別 技 術 実 用 化 事 業 ( 平 成 25 年 度 )
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