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当日配布資料(1.50MB)
歯科用接着剤の製造方法 国立大学法人九州工業大学大学 若手研究者フロンティア研究アカデミー 准教授 金子 大作 1 従来の歯科用接着剤の問題点 既に実用化されている歯科用接着剤は、 ・使用時に前処理が必要 ・環境ホルモンであるビスフェノールAの流出 等の問題があり、この問題を解決する新しい接 着剤の登場が望まれている。 そこで我々は、全て天然物由来材料を原料として用い、 ワンポット・ツーステップの非常にシンプルかつ、環境・ 人体へ優しい接着剤を創製した。 2 歯科用接着剤の合成スキーム 使用するポリフェノール性モノマー 3,4-Dihydroxyhydrocinnamic acid HO 3-(3-Hydroxyphenyl)propionic acid DHHCA COOH 3HPPA HO COOH HO シナモンに含まれる ベリー類に含まれる Kim et al.,Diabetologia, 58, 3927 (2006) Koli et al., J. Agric. Food Chem, 58, 3927 (2010) DHHCA 3HPPA COOH HO HO + COOH HO Ac2O /Ca2HPO4 Ac O 150 ℃/2 h Ac O Ac O COOH COOH + カテコール基 OH OH O O O O O HO HO O O O O HO OH O O O O O O O O O OH OH HO O O O OH O O O O O O O O O HO O O O O HO O O O O O O O O O O O HO O O H O 180 ℃ / 20 h O O O O O OH O OH O O O OH O O O O O O O O O OH O O O O O HO O O O O O O O O O O OH O O O O O OH HO O O O O O O OH O O OH O OH O O O HO O O O OH O O O O O O HO O O O O O O O OH O O OH O H O 無溶媒アシドリシス反応 n O O O O O OH O OH O O m OH O O HO HO 予想される高分岐高分子 3 歯科用接着剤の外観と接着強度 粉末状の接着剤 ずり剥離強度(ホットメルト) Conventional Instant Super Glue Poly(DHCA-co-4HCA) Poly(DHHCA-co-3HPPA) Epoxy resin シート状の接着剤 溶媒に溶かした接着剤 Shear Stress [MPa] 35 30 25 20 15 10 5 0 Glass Carbon Steel 溶媒接着だと、約半分の値に減少する 4 細胞毒性試験 24時間後 培養液のみ 歯髄細胞 培養液+Bio-adhesive 培養液+Glass-inomer 200μm 200μm 200μm ミトコンドリアの活性 2 1.8 歯髄細胞に対しても 全く毒性を示さなかった。 1.6 1.4 1.2 1 0.8 0.6 生体親和性が高い 0.4 0.2 0 1 Hour 3 Hours 6 Hours 24 Hours 48 Hours 72 Hours 5 アルカリフォスファターゼ試験 ・細胞の分化には全く影響しないと言える *東京医科歯科大・平石典子先生 6 溶媒溶解性試験結果 Poly(DHHCA-co-3HPPA) Solvent DHHCA/3HPPA (mol %) 100/0 40/60 25/75 20/80 15/85 10/90 5/95 0/100 H2O - - - - - - - - Aceton + + ± + + ± + ± THF + + ± + + ± + + NMP + + ± + + ± + + DMSO + + ± + + ± + + DMAc + + ± + + ± + + DMF + + ± + + ± + + TFA + + ± + + ± + + EtOH - - - - - - - - MeOH - - - - - - - - CHCl3 + + ± + + ± + + Hexane - - - - - - - - ※ + soluble, - insoluble, ± soluble by heating (エタノール溶解性接着剤も完成しました) 7 様々なものの溶媒接着 牛歯の接着 ポリプロピレン(約7MPa) 15MPaで牛歯の破壊 ポリエチレン(約7MPa) 8 新技術の特徴・従来技術との比較 • 従来技術の問題点であった、口腔内での毒性 の高い物質の流出を改良することに成功した。 • 天然の長鎖アルキル基の導入により、耐水性 を制御(分解性)できる事に成功した。 • 本技術の接着剤の使用方法はホットメルトで の使用に限られていたが、エタノール溶解性 を付与した事で、使用勝手が向上した。 • バイオプロセスによる本接着剤のモノマー生 産により、2~3年以内にコストが1/10~1/100 程度まで削減されることが期待される。 9 耐水性の制御と評価 天然疎水基の導入スキーム DHHCA COOH HO ステアリン酸 3HPPA HO + COOH ラウリン酸 + HO Ac2O /CaHPO4 O 180 H3C ℃ /O20 h 10 O O デカン酸 O O O H O H O O n HO O OH 10 OH O OOH O H3C CH3 O m n + O O n 鉄 m O 10 恒温槽 カーボン Decreasing Ratio [%] ガラス O m Ca5(PO4)3OH 9 37.0℃ OH O Poly(DHHCA-co-3HPPA)+Lauric acid 100 ラウリン酸導入80%を維持 80 60 40 接着剤のみ30%まで減少 Poly(DHHCA-co-3HPPA) 20 0 0 20 40 60 Time [day] 80 100 10 想定される用途 • 本技術で創製される接着剤は、全て天然物由 来材料で製造できるメリットが大きいので、生 体親和性が高く、歯科用接着剤として利用で きる。 • 上記以外に、触媒に骨の主成分であるアパタ イトを用いる事が出来、世界初の接骨用接着 剤として利用できる。 • また、バイオプロセスを用いたコスト削減に成 功すると、建築・エレクトロニクス・自動車工業 分野など、様々な用途に展開することも可能 だと思われる。 11 世界初の接骨用接着剤 これまでは、PMMAのその場重合(反応熱80℃以上)、 歯科用骨セメントが代替されてきた。 骨と(人工)骨との接着剤はまだ無い 骨欠損 頭蓋骨欠損 長期間の体内安定性 単純骨折 アパタイト 短期間での代謝(分解)性 12 実用化に向けた課題 • 現在、溶媒接着はホットメルト接着より接着強 度が約半分になっている。 • 今後、実験データを取得し、適用な濃度を探 索して行く。 • 接着剤の合成は高真空が求められるグラム スケールである。 13 企業への期待 • キログラムスケールでの重合技術を持つ、企 業との共同研究を希望。 • また、スーパーエンジニアプラスチック開発中 の企業、繊維強化プラスチック分野への展開 を考えている企業には、本技術の導入が有効 と思われる。 14 本技術に関する知的財産権1 • 発明の名称 :ポリエステル組成物及びこれを 用いた接着剤 • 出願番号 :PCT/JP2012/051108 • 出願人 :九州工業大学 :金子大作、金子達雄、島田智仁 • 発明者 15 本技術に関する知的財産権2 • • • • 発明の名称 :歯科用接着剤の製造方法 出願番号 :出願番号2013-101798 出願人 :九州工業大学 発明者 :金子大作 16 産学連携の経歴 • • • • • 2010年-2011年 2011年-2015年 2012年-2014年 2012年-2013年 2012年-2013年 XX社へ技術有償提供 NEDO若手グラント事業に採択 YY社と共同研究契約締結 ZZ社とMTA契約締結 JST A-STEP(探索タイプ)事業に採択 17 お問い合わせ先 国立大学法人九州工業大学大学 URAコーディネーター 助教 田中 有理 TEL 093-884 - 3565 FAX 093-884 - 3565 e-mail tanaka-y@ccr.kyutech.ac.jp 18