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講義資料11
試験はよくできましたか? どれも基本的な事項で、大部分は高等学校で学習していたはずの ことでした。 原子の構造、濃度、浸透圧、pH、酸と塩基、平衡、酸化と還元 また今後、 生体分子(アミノ酸、タンパク質、糖、核酸、脂質)を理解するのに 必要な化学 反応速度論 ⇒ 薬物動態学 を学ばなくてはいけません。 ★入試に出なかった範囲は大学でも必要ない = 全くの誤り!! 医療(技術)はそんなに単純で易しくはありません。 掲示された連絡対象者の皆さんへ ※ 中間試験の問題に対する解答を以下の要領に従い、レポートで 提出して下さい。 問題は各自が持っている問題用紙と同じですが、掲示板、 化学研究室1、化学研究室独自ホームページにも掲示します。 提出期限:平成27年7月17日(金)17:00まで [時間厳守] 提出場所:化学研究室 ★注 意:表紙を作り、学生番号と氏名を記載し、 左上をホッチキス止めすること。 (上記の基準を満たさないレポートは受理しません。) ※ 平成27年8月17日(月)3講目に第6講義室で 「学力到達度確認試験」を実施しますので、必ず受験して下さい。 出題範囲は中間試験と同じです。要求される水準も中間試験と 同様で、ごく基本的なレベルです。 アミノ酸の分子構造と物理化学的性質 ー 酸塩基平衡 - タンパク質の材料になるアミノ酸は20種 NH2 (側鎖)と呼ぶ→ R C α COOH H アミノ基(NH2)とカルボキシル基(COOH)は、同じ炭素に結合している。 α炭素 (β、γ、、、炭素もある。) 側鎖Rの違いで、固有の性質。 炭化水素鎖(非極性脂肪族); グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン 水酸基; セリン、トレオニン(スレオニン) 芳香族; チロシン(タイロシン)、トリプトファン、フェニールアラニン カルボキシル基およびそのアミド; アスパラギン酸、アスパラギン グルタミン酸、グルタミン 塩基性; リシン(リジン、ライシン)、ヒスチジン、アルギニン イオウを含むもの; システイン、メチオニン イミノ酸; プロリン (正確に言うと、アミノ酸ではない) タンパク質 タンパク質は、 COOH基とNH2基 が脱水縮合して、 ペプチド結合で連 なったもの. オリゴペプチド タンパク質(分子量>1万 システイン、S-S結合 タンパク質の立体構造 1次構造primary structure (N端末のアミノ酸残基から C端末にむかって.) アミノ酸はペプチド・ タンパク質の構成要素 (材料)⇒重要(後述) ただし、その他、 生理活性物質 ホルモン の原料でもある(右図) さらに、アミノ酸だけからなるペプチドホルモンがある。 アミノ酸の命名法と立体配置 1)アミノ酸分子の炭素原子; α、β、γ ・・・・と 記号 2)生体ではαアミノ酸のみ。 3)グアニジン基、イミダゾール基 4)不斉炭素原子の存在 (炭素原子に結合して いる4つのグループ(残基)が異なる。) 5)鏡像異性体(エナンチオマー)=光学異性体 D型(体)、L型(体)、 DL体、ラセミ型(体) ギリシア文字 数詞 アミノ酸の分子構造? ★炭素Cに4個の原子が結合した分子 ⇒ メタンCH4の立体構造? Aの構造式は一般的だが、立体的な構造を正確に表していない。 実際の構造はBに示すような“正四面体構造”である。 互いに異なる4種に置換基 W,X,Y,Zが結合した炭素を 不斉炭素といい*をつけて 表すことが多い。 不斉炭素を持った化合物 にはA,B 2種の異性体が ある。 これらは互いに右手と左手の 関係にあり、 互いに鏡像異性体である。 (=キラルな関係である。) 鏡像異性体(エナンチオマー)=光学異性体 ・実物と鏡像が重ならない関係。 キラル(chiral)である。と言い、 互いにキラリティー(chirality)を持つと言う。 chiral←χειρ(cheir=手) (ギリシャ語) achiral ⇔ chiral (アキラル) 軍手やねじ回りのように、 鏡像同士が重なり合う関係。 異性体とは? アミノ酸の中心の炭素は不斉炭素であり、鏡像異性体が存在する。 ★天然に存在するタンパク質は、極めて少数の例外を除けば、 全てL体のアミノ酸だけからできている。 その原因、理由は不明である。 When crossing the bridge (ONward), remember “L- to the left”. アミノ酸の種類 = 側鎖の違い ⇒ 側鎖によって、名称が決まる。 3文字表記、1文字表記 ⇒ 側鎖の化学的性質によって、 アミノ酸の化学的性質を分類する。 酸性、中性、塩基性 / 親水性、疎水性 Glycine は甘みに因んで付けられた名称: glyco - = sweet アミノ酸は“両性イオン(Zwitter ion)”である。 滴定曲線 グリシンを酸性溶液に溶かし、水酸化ナトリウムを添加する。 滴定曲線 滴定曲線(最初(左側)の部分(酸性部分pH2~ 6)) (Zwitter ion) ツビッター イオン 陽イオンと双性イオンのみを考えればよい。なぜなら、Ka2=9.6であるから H3N+CH2COOH この平衡は、 H3N+CH2COO- + H+ ↔ (陽イオン) (双性イオン) [ H N CH COO ][H ] [双性イオン][H ] K = = [H N CH COOH] [陽イオン] [ H N CH COO ] pH = − log[H ] = pKa + log [H N CH COOH] + 1 a − 3 + + 2 + 3 2-1 2 + + 1 3 − 2 + 3 P スケール: p[変数でも関数でもよい]とは –log[ 2 ] を意味する。 2-2 酸性条件での滴定曲線 ヘンダーソン・ハッセルバルクの式 (ヘンダーソン・ハッセルバッハ ヘンダーソン・ハッセルベルヒ) [H N CH COO ] = [H N CH COOH] − + 3 ならば 2 + 3 2 pH = pKa この近傍では、pH変化が緩やか = 緩衝作用がある Eのところでは、傾きが急である。ほん の少しのアルカリの添加で、pHが急 上昇する。すべてのCOOH がCOO-と なっているので、加えたOHがすべて 液のpH上昇に使われる。 滴定曲線の後半(右側)部分 (アルカリ性のところ) 陽イオンは極々微量だから、考えなくてもよい。Ka2のみを考える。 滴定曲線の例 pkaから、pHが前後に1の範囲で、大きく変化する。 (2pH程度が変化する領域) pKaよりもpHが1違うと、解離型または非解離型のどちらかのみであると考えてよい。 緩衝液(buffer solution) 水に酸を加えればpHは下がって酸性となり、塩基を加えればpHが 上がって塩基性となる。ところが、酸を加えようと、塩基を加えようと、 pHのほとんど変化しない溶液がある。このような溶液を緩衝液という。 -生体の体液はほとんどが緩衝液となっている。 点滴液、注射液など、医療に用いる水溶液も、 ほとんどが緩衝液となっている。 緩衝液は一般に大量の弱酸と大量のその塩、 あるいは大量の弱塩基と大量のその塩の溶液となっている。 例) 酢酸CH3COOHと酢酸ナトリウムCH3COONaからなる緩衝液 酢酸CH3COOHと酢酸ナトリウムCH3COONaからなる緩衝液 酢酸は弱酸なのでほとんど電離しない。一方、酢酸ナトリウムは 塩なので電離して酢酸イオンとナトリウムイオンになる。 このような機構によって、系に加えられたH+、OH-が消費される のでpHが変化しない。 アミノ酸とタンパク質は体内の重要な緩衝成分 pH = pKa ([H+]=Ka) のとき、緩衝能が最大 等電点(isoelectric point) 正負両荷電を化合物の電荷の総和がゼロになるpH:等電点 pI と書かれることが多い。 グリシンの場合 陽イオン、双性イオン、陰イオンの3種 双性イオンは中性だから 等電点では、 [陽イオン] = [陰イオン]が成立する。 [ H N CH COO ][H ] [H N CH COO ][H ] K ⋅K = ⋅ [H N CH COOH] [H N CH COO ] = [H ] 1 pI = ( pK + pK ) 2 + 1 a 2 a − 3 2 + 2 2 + 3 + 2 1 a + 2 2 a + - 3 − 2 等電点(isoelectric point) (続き) 側鎖に解離基のある(酸性・塩基性)アミノ酸(Glu, Asp, Lys, His, Arg)では、側鎖の解離を考える必 要がある。 等電点のpHは側鎖(R)の酸性度によって異なる。 (中性付近が等電点とはならない。) (重要) タンパク質でも等電点がある。 等電点では電気泳動しない。