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India Insights(5月)(インド市場を見る眼~現地からの報告)
HSBC投信株式会社 2016年5月24日 India Insights(5月号) (インド市場を見る眼~現地からの報告) <トピックス> 国会で破産法成立~ビジネス環境改善に寄与 モーリシャスはもはやインドの避税地(タックスヘイブン)ではない マーケットサマリー(株式・債券・為替市場) 4月は株式、債券、通貨ルピーともに比較的小動きとなった。インド準備銀行(中央銀行)の利下げ、インド気象庁に よる今年のモンスーン期(6月-9月)の降雨量が平年を上回るとの予報などが下支え要因となる一方、米国の金融政 策の正常化(追加利上げ)を巡る不透明感が引き続き不安定要因となっている。 <トピックス> 国会で破産法成立~ビジネス環境改善に寄与 国会で5月11日、重要法案の「破産法」が成立した。 米国及び英国の法令をモデルとした世界標準の「債 務超過・破産法(Insolvency and Bankruptcy Code)」 の導入は、近年では最も重要な改革の一つに位置づ けられる。 現在、インドでは企業破産に関する複数の法律・制 度が存在し、処理手続きに多くの手間と時間がか かっている。現状では、破産処理には平均4年以上 の期間を要し、さらに債務の回収率は債務1米ドル当 たり26セントと極めて低く、米国の各々1.5年、80セン トに大きく劣る。インドは現在、世界銀行の発表する 破たん処理ランキングで136位にある。 今回成立した「破産法」は、複数の法律・制度を一本 化し、新たな法的枠組みを創設するものであり、今後、 破綻した企業の清算、債務処理が円滑に進むことが 見込まれる。 「破産法」は破綻処理の期限を設定している。債務不 履行の場合、期限は180日間と定められ、それまでに 破たん処理を完了することが義務付けられている(但 し90日間の期限延長が可能)。 現在、インドの銀行は多額の不良債権を抱えており、 過去3年に不良債権額はほぼ倍増した。「破産法」の 導入は、銀行の不良債権処理を後押しするという点 で、銀行業界にとり追い風となる。 当資料の「留意点」については、巻末をご覧ください。 「破産法」は、資本を非生産的資産から生産的資産 へと振り向け、引いてはインド経済をより強固にし、 成長を促進する役割を果たすことが期待できる。ま た、外国からの直接投資を促すという点でも注目す べき動きと言える。 モーリシャスはもはやインドの避税地 (タックスヘイブン)ではない インドとモーリシャスは5月10日、投資家による租税 回避阻止を目的とした改正条約に署名した。 これまで、キャピタルゲイン課税が免除されることを 理由に、海外投資家・企業がモーリシャスを経由し てインドに投資するケースが多く見られた。これに 対し、インド政府は、2017年3月以降、モーリシャス 経由の投資に対して短期キャピタルゲインを課すこ とを発表。税率は最初の2年間は現行のインドの標 準税率(15%)の半分、2019年4月からは全額課税 される。 この条約改正により、短期的にはインドへの資金流 入に影響が及ぶ可能性があるが、長期的には、海 外からの投資の透明性が高まり、インド市場にとっ てプラスになると当社では見ている。 <マーケットサマリー> 図表2 インド10年国債利回りの推移 図表2 インド10年国債利回りの推移 (2015年1月1日~2016年4月29日) (2015年1月1日~6 月XX 日) 株式市場 底堅い展開が続く 4月のインド株式市場は底堅く推移し、SENSEX指数は 前月末比+1.0%となった。国際商品市況の上昇など から世界の投資家のリスク選好度がやや高まったこと 国内ではインド準備銀行(中央銀行)による政策金利 の引き下げなどがプラスに働いた。他方、米国の金融 政策の正常化(追加利上げ)を巡る不透明感は引き続 き不安定要因となっている。 外国人投資家は1月、2月とインド株式を売り越してい たが、3月は31.6億米ドル、4月は12.7億米ドルの買い 越しに転じている。 当社の株式運用戦略 当社では、インド株式ファンドの運用においては、イン ド経済の回復から恩恵を受ける景気敏感セクターに引 き続き重点を置いている。中でも健全な財務体質を持 ち、景気好転の流れに素早く対応できる企業に注目し ている。一方、景気動向の影響を受けにくい生活必需 品やヘルスケアはアンダーウエイトに維持しているが 最近の株価下落で割安感が強まっている銘柄につい ては組入れを増やす好機と見ている。 図表1 SENSEX指数の推移 8.1 8.0 7.9 7.8 7.7 7.6 7.5 7.4 7.3 7.2 (%) 出所:ブルームバーグのデータをもとにHSBC投信が作成 (年/月) 当社の債券運用戦略 当社では、インド債券ファンドの運用においては、引き 続きルピー建インド国債を有望視している。今後、10 年を超える同国債の発行量は多くなる見通しであり、 10年超の長期債券は金利上昇圧力を受けやすいこと から、残存期間が5年から10年の債券を選好している。 為替市場 ルピーは底堅い推移を予想 4月のインドルピーは、対米ドルでほぼ横ばい、対円 では下落した。 当面は、引き続きインドルピーは対米ドルで他のアジ ア通貨と同様の動きを示すと当社では予想する。 (2015 年1月1日~2016年4月29日) (ポイント) 中期的にはルピーは底堅い推移を予想している。米 国とインドのインフレ格差に縮小傾向が見られるため、 ルピー安による競争力維持を図る必要性は低下する と見られる。潤沢な外貨準備、経常赤字の縮小が引 き続きルピー相場の下支え要因となろう。 31,000 30,000 29,000 28,000 27,000 26,000 25,000 24,000 23,000 22,000 図表3 インドルピーの推移 (2015年1月1日~2016年4月29日) 15/1 15/3 15/5 15/7 15/9 15/11 16/1 16/3 (年/月) 出所:ブルームバーグのデータをもとにHSBC投信が作成 債券市場 金融緩和継続観測がプラス要因 4月のインド債券市場は、10年物国債利回りが0.03% 低下(価格は上昇)し7.44%となった。中央銀行が利下 げを決定するとともに、「金融緩和スタンスを継続する」 としたことがプラス要因となっている。また、今年のモン スーン期の降雨量が平年を上回るとのインド気象庁の 予報は、インフレ見通しを改善させ、特に債券市場にプ ラスに働いている。 当資料の「留意点」については、巻末をご覧ください。 (ルピー/円) 2.00 1.95 1.90 1.85 1.80 1.75 1.70 1.65 1.60 1.55 (米ドル/ルピー、逆目盛) 対円(左軸) 対米ドル(右軸) 15/1 15/4 15/7 15/10 16/1 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 ル ピ ー 高 16/4 出所:ブルームバーグのデータをもとにHSBC投信が作成 (年/月) 2 ル ピ ー 安 留意点 投資信託に係わるリスクについて 投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象としており、当該資産の市場に おける取引価格の変動や為替の変動等により基準価額が変動し損失が生じる可能性があります。従いまして、 投資元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金または保険契約ではなく、預金保険機構 または保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。また、登録金融機関でご購入の投資信託は投資 者保護基金の保護の対象ではありません。購入の申込みにあたりましては「投資信託説明書(交付目論見 書)」および「契約締結前交付書面(目論見書補完書面等)」を販売会社からお受け取りの上、十分にその内 容をご確認頂きご自身でご判断ください。 投資信託に係わる費用について 購入時に直接ご負担いただく費用 購入時手数料 上限3.78%(税込) 換金時に直接ご負担いただく費用 信託財産留保額 上限0.5% 投資信託の保有期間中に間接的に ご負担いただく費用 運用管理費用(信託報酬) 上限年2.16%(税込) その他費用 上記以外に保有期間等に応じてご負担頂く費用があります。 「投資信託説明書(交付目論見書)」、「契約締結前交付書面(目論 見書補完書面等)」等でご確認ください。 ※上記に記載のリスクや費用につきましては、一般的な投資信託を想定しております。 ※費用の料率につきましては、HSBC投信株式会社が運用するすべての投資信託のうち、ご負担いただく それぞれの費用における最高の料率を記載しております。 ※投資信託に係るリスクや費用はそれぞれの投資信託により異なりますので、ご投資される際には、かならず 「投資信託説明書(交付目論見書)」をご覧ください。 HSBC投信株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第308号 加入協会 一般社団法人投資信託協会/一般社団法人日本投資顧問業協会 ホームページ www.assetmanagement.hsbc.com/jp 電話番号 03-3548-5690 (受付時間は営業日の午前9時~午後5時) 【当資料に関する留意点】 当資料は、HSBC投信株式会社(以下、当社)が投資者の皆さまへの情報提供を目的として作成したものであり、特定の金 融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。 当資料は信頼に足ると判断した情報に基づき作成していますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。また、 データ等は過去の実績あるいは予想を示したものであり、将来の成果を示唆するものではありません。 当資料の記載内容等は作成時点のものであり、今後変更されることがあります。 当社は、当資料に含まれている情報について更新する義務を一切負いません。 3