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オーパス・ワン

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オーパス・ワン
HT-2007-067
HIRO & IWANO
CORPORATION
オーパス・ワン
RC 外断熱通気工法
HTシステムについて
1.HTシステム(RC 外断熱通気工法)の価値
2.外断熱工法の構造性能に関する検証
3.外断熱工法の熱環境性能に関する検証
4.外断熱工法の施工性に関する検証
5.外断熱工法の普及に関する調査
株式会社
岩
野
ヒロ コーポレーション
物
産
株
式
会
社
1.
HTシステム(RC 外断熱通気工法)の価値
建物全体の断熱性能を向上させて省エネを行う手法として、建物外側に断熱材を施し、建物全体に断
熱効果を持たせる外断熱工法が注目されている。
近年、特に、
「安全性」に対する技術の向上が各企業において進められている。我が国では地震や台風
などの自然環境が厳しいことから、安全性を確保するために大地震等にも十分に耐える外断熱工法を適
用することが必須である。さらに、外断熱工法を全国的に普及させるためには、①建築現場における実
際の施工時の容易性、及び
②施工時の不具合の低減、を図り、品質を一定に維持することができる設
計及び工法、とすることが重要である。
図1にHTシステム工法(以下本工法)及び外断熱の概要を示す。本資料においては、本工法の構造
性能、熱環境性能、施工法を示す。
具体的には、構造性能として、タイル張りを外装仕上げとする本工法の各部材許容耐力と地震時の建
物変形に対する安全性(外装材の剥離剥落がない等)の確認を行う。熱環境性能については、建物全体
として断熱性能を確保することを目的とし、要素モデル実験による断熱性能およびバルコニー部などの
熱橋の影響を確認する。さらに、実際の施工実施を通して、施工時の容易性や品質のばらつきが生じに
くい施工法であることの確認を行う。
【本システム工法の概要】
【熱環境性能:住環境の快適性】
断熱材
RC躯体
取付金物(シャフト)
セパレーター(使用例)
HTPディスク
HTディスク
ハット型胴縁
外部からの影響
外装下地材(サイディング)
外装材(タイル)
内部
外部
【外壁の安全性】
自然外力
(常時、地震、強風、湿気等)
図1
HTシステム及び外断熱の概要
1
2.
外断熱工法の構造性能に関する検証
本工法は、取付金物(シャフト)* を使用して外装材をコンクリート躯体に取り付ける工法である。
したがってシャフトは外装材を保持する重要な部品であり、特にその取付部分(コンクリート躯体との
接合部分)においては充分な安全性を有しなければならない。
載荷時にはシャフト部及びセパレーター痕(以下:セパ孔)近傍のコンクリート部分に過大な支圧応
力が生じることが考えられるので面内方向性能実験による検証を実施した。さらに、風圧力などの面外
方向外力や地震時の建物変形に対する安全性、破壊機構を確認するため、面外方向性能実験、層間変形
追従性実験も実施した。
*:シャフト
・本工法
:①HT-B シャフト(セパ取付タイプ)、②HT-BR シャフト
・従来工法
:ストレートアンカー
セパレーター
2.1
シャフト面内方向性能実験
2.1.1
座金
接着剤
実験概要
図2に実験で使用したシャフトの形状を、図3に
実験装置を示す。シャフトの種類は、(a)セパ孔を利
シャフト
(a) HT-B シャフト
用したタイプ(HT-B シャフト)、(b)後施工アンカーで
特殊な皿付きのシャフトを取り付けたもの(HT-BR
充填モルタル
シャフト)、および(c)従来の後施工アンカーをその
ままシャフトとしたもの(ストレートアンカー)、の 3
タイプとした。実験はシャフトの形状、シャフト径、
後施工アンカー
シャフト
(b) HT-BR シャフト
張出長さおよびコンクリート躯体強度をパラメー
ターに設定した。シャフトの形状については上記の
3 タイプ、ボルト径については M12、M16 を、張出
長さ(コンクリート面から載荷点までの距離)につ
アンカーボルト
(c) 従来ストレートアンカー
いては、40、60、110mm を、コンクリート躯体強
図2
度については、18、24、30N/mm2 とした。
シャフト形状
センターホール油圧ジャッキ
ロードセル
変位計
シャフト
ワイヤーストレインゲージ
図3
2
面内方向性能実験装置
2.1.2
実験結果
図4にセパ孔取付タイプシャフト(HT-B シャフト)の荷重変形曲線を、図5にシャフト形状の違いによ
る荷重変形曲線を、写真1に最終破壊形状を示す。
図4(HT-B シャフト)から、張出長さが 60mm の場合は、鉛直変位 1mm の時点にて M12 では約 1kN
であるのに対し、M16 では約 3kN と約3倍の値であることがわかった。
図5から、支持部材のボルト径が M16、張出長さが 60mm の場合の比較において、従来ストレート
アンカーに比べ HT-B シャフト及び HT-BR シャフトが、変形量に対して載荷荷重が大きく、面内変形に
対する抵抗力があることが確認できた。従来ストレートアンカータイプでは、載荷荷重の初期の段階か
ら局部的にコンクリートが支圧力を受け圧縮破壊が進行し、支持部品には曲げ引張りひずみがほとんど
生じていない。それに対し、HT-BR シャフトタイプは充填材(モルタル)を介して支持部材が面的に荷
重をコンクリート躯体に作用されていることから面内変形に対する抵抗力が増加したものと考えられ
る。
写真1からシャフト径 M12 では、シャフトが変形し、コンクリートは破壊していない。一方、シャ
フト径 M16 の場合、シャフトの曲がりも観察されるが、それよりもコンクリートの損傷が激しいこと
が分かる。
7
セパ孔取付タイプ
2
躯体強度:24N/mm
載荷荷重 [kN]
6
HT-B シャフト
5
4
M16、60mm
3
M12,40mm
2
M16,110mm
1
M12,60mm
0
0
(a)
HT-B シャフト
(b) HT-B シャフト
(シャフト径:M12)
(シャフト径:M16)
1
2
3
4
鉛直変位量 [mm]
5
6
図中:シャフト径、張出長さ
図4
HT-B シャフトタイプ荷重変形曲線
7
張出長さ:60mm
シャフト径:M16
2
躯体強度:18N/mm
載荷荷重 [kN]
6
(c)
HT-BR シャフト
写真1
(d) ストレートアンカー-
新アンカータイプ
HT-BR シャフト
5
4
HT-B シャフト
セパ孔取付タイプ
躯体強度24N/mm2
3
2
旧アンカータイプ
ストレートアンカー
1
最終破壊状況(張出長さ 60mm)
0
0
1
図5
3
2
3
4
鉛直変位量 [mm]
5
シャフト形状別荷重変形曲線
6
2.2
シャフト面外方向性能実験
2.2.1
実験概要
セパレーター
(グリース塗布) 定着端:座金
接着剤有無
図6に実験で使用したシャフトの形状を、図7に
シャフト
実験装置を示す。
定着端:
座金+ナット
HT-B シャフトタイプでは、施工時に接着剤を使用
することを原則としているが、本実験では、長期間
(a)HT-B シャフト
使用後の性能を確認するため、接着剤を使用しない
ものを基準に実施した。また、既存及び新築建築物
シャフト
定着端:
締付け方式
金属系アンカー
を対象として HT-BR シャフトタイプ(後施工アンカ
ーに締付け方式金属系アンカーを使用)と従来スト
セメントモルタル充填
レートアンカー(後施工アンカーにコーンアンカー
(b) HT-BR シャフト
を使用)の 2 種類のシャフト形状をパラメーターと
全ネジボルト
して実験を行った。
定着端:
コーンアンカー
なお、HT-B シャフトタイプに使用するセパレータ
ーにはグリースを塗布し、コンクリートとの付着が
生じないようにした。HT-BR シャフトタイプには、
(c) ストレートアンカー
削孔した部分の空隙をなくすために、セメントモル
図6
タルを使用し、モルタル充填の 3 日後に実験を実施
シャフト形状
ロードセル
センターホール
油圧ジャッキ
した。なお、実験時のコンクリートの圧縮強度は、
24.1N/mm2 であった。
2.2.2
フレキシブル
ジョイント
実験結果
図8に HT-B シャフトタイプの荷重変形曲線を、
変位形
図9にシャフト形状別荷重変形曲線を、写真2に最
シャフト
終破壊形状を示す。
図8および写真2から室内側端部定着方法が座
金のみと座金+ナットでは、立ち上がりの勾配は等
しいが、降伏荷重は座金+ナットの場合が大きい。
図7
これは最終破壊がシャフトおよびセパレーターの
30
母材破壊ではなく、ネジ部の破断であることから、
25
ものと考えられる。また、シャフトの接着剤塗布に
よる影響はなかった。
セパ孔取付タイプ
載荷荷重 [kN]
ネジ山の数が多くなったことによる影響が大きい
M16,座金のみ
M12,座金のみ
M12,座金のみ、
接着剤塗布
15
10
5
状による影響ではなく、定着端の機構(座金、ナッ
0
0
図8
4
M12,座金+ナット
20
図9および写真2から、降伏荷重は、シャフト形
ト、アンカー種類)の影響が大きい。
面外方向性能実験装置
2
4
6
鉛直変位量 [mm]
8
HT-B シャフトタイプ荷重変形曲線
10
30
シャフト径:M12
セパ孔取付タイプ,座金+ナット
HT-B シャフト
旧アンカータイプ
ストレートアンカー
載荷荷重 [kN]
25
(a)
HT-B シャフト
定着端:座金のみ
(b)
HT-B シャフト
20
新アンカータイプ
HT-BR シャフト
アンカー:M8
15
10
5
定着端:座金+ナット
セパ孔取付タイプ、座金のみ
HT-B シャフト
0
0
2
図9
(c)
HT-BR シャフト
定着端:金属系アンカー
写真2
2.3
4
6
鉛直変位量 [mm]
8
10
シャフト形状別荷重変形曲線
(d) ストレートアンカー
定着端:コーンアンカー
最終破壊形状
外装材の層間変形追従性実験
2.3.1
実験概要
図10に実験装置を示す。試験体は、実験装置の
仮想躯体に HT-B シャフトタイプのシャフトを取付
加力方向
正
負
け、外装下地材および外装材(サイディング+タイ
ル張り)を取付けた。実験では、層間変形角に対す
50ton 串型ジャッキ
る正負交番繰返し載荷を行い、各サイクル毎の外装
2400
材の損傷を目視および写真撮影により記録した。
2.3.2
仮想躯体
実験結果
写真3∼4に最大変形時(層間変形角 R=+1/25)
の試験体の損傷・変形状況を示す。実験の結果、本
工法は地震などにより建物が変形した場合、シャフ
図10
層間変形追従性実験装置
トや HT ディスク、ハット型胴縁の変形等により外
装材の損傷を緩和させることにより、外装材の剥
離・剥落がないことが確認できた。
タイルのずれ
(a)
外装タイル
コンクリートの圧壊
(b)
下地材の変形
(c)
写真3
最大変形時試験体状況
外装下地
写真4
5
仮想躯体
ビスの抜け
(d)
サイディング
使用部材の最終損傷・変形状況
3.外断熱工法の熱環境性能に関する検証
RC造建築物の外断熱工法では、建物外皮の熱抵抗が内断熱工法と同一でも、熱容量の大きいコンク
リート躯体が室内側にあり、躯体が蓄熱体として作用する。このため、内断熱工法では室内の壁表面温
度が室内気温変動によって変動するのに比べて、外断熱工法では壁表面温度が躯体の蓄熱作用によって
安定しているため室内気温変動が緩和され、室温変動の小さい快適な熱環境が期待できる。
また、熱橋による表面温度低下が極めて小さく、結露やそれに伴うカビ発生の危険性もほとんどないこ
とから健康面や、省エネルギーの観点からも効果が期待できる。
これらの期待される効果を検証するため、熱橋の影響を要素実験と解析により確認し、本工法の断熱
性能を把握した。また、通気層巾の違いによる遮熱効果に関する実験室実験および実大実験を行い、遮
熱効果の観点から合理的な通気層巾を見出した。
本項では、本工法による断熱性能や省エネルギー性能確認のために行った上記の実験や解析の結果を
示す。
3.1
熱橋部分の断熱性能への影響に関する実験検証
3.1.1
実験の概要
図11に示す外壁、床スラブ、バルコニーの一
180
部分を想定した試験体を人工気象室内に設置し
[室 内側]
1000
(写真5)、定常状態での各部温度および室内側の
[屋外 側]
表面熱流を測定した。試験体Aはグラスウール
180
バルコニー
2180
床 スラブ
50mm、試験体Bはフェノールフォーム 25mm に
床 スラブ
外装 材
サイディング1 2㎜
10 00
て外壁部を断熱した。試験体の一般部(シャフト取
付位置以外の部分)の計算上の熱貫流率は各々、
通気層 40㎜
0.630W/(m2・K)、0.657W/(m2・K)である。屋外側
断熱材
GW24K・50㎜
の気温および室内側の気温、湿度設定は次世代省
2 75
450
820
275
エネ基準のⅣ地域の冬季条件を基本とし、屋外側
1000
を-5℃、室内側を 20℃、40%RH とした(外気温
- 立面 図(室内 側) -
180
800
1 800
図11
- 断 面図 試験体の形状
条件として、バルコニーの断熱が無い場合(以下、
バルコニー
断熱なしと記述)は外気温を 0℃,−5℃,−10℃,
−15℃,−20℃の 5 パターン、下面断熱、上下面
断熱なし
断熱や全面断熱の場合は、外気温を−5℃,−20℃
の各 2 パターン)。バルコニー部の断熱範囲は4
下面 断熱
図12
上 下面断 熱
全面 断熱
バルコニー部の断熱範囲
種類で、図12にバルコニー部の断熱範囲のケー
スを示す。バルコニー部の断熱はウレタンフォー
ム 25mm とし、壁、床の小口部分は断熱条件とす
るため押出発泡ポリスチレンフォーム 100mm の
断熱を施した。
写真5
3.1.2
シャフト取付部の熱橋の結果
図13∼14に、壁断面の温度分布を外気温別に
6
試験体設置状況(左:室外側 右:室内側)
-5℃
-10℃
-15℃
0℃
-20℃
-5℃
20.0
20.0
15.0
15.0
10.0
10.0
5.0
距離 [㎜]
0.0
-5.0 0
100
200
300
400
500
温度 [℃ ]
温度[℃ ]
0℃
-20℃
距離 [㎜]
0.0
-5.0 0
-10.0
-15.0
-15.0
-20.0
-20.0
一般部分の断面温度(断熱なし)
-15℃
5.0
-10.0
図13
-10℃
図14
100
200
300
400
500
シャフト取付部の断面温度(断熱なし)
示す。バルコニー部の断熱がない場合(外気温
−5℃)の室内側壁表面温度の赤外線画像を図15
に示す。図中○印の部分は外部に外装材支持金物が
取り付いたシャフト取付部である。熱容量の大きい
コンクリートが室内側にあることによって、一般部
に比べてシャフト取付部の室内側表面温度の低下
は非常に小さく、顕著な温度低下はほとんど見られ
ない。また、外気温を−20℃に設定した場合でも
図15
同様であった。
測定結果から得られたシャフト取付部以外の熱
入り隅からの距離[cm]
貫流率は 0.56 W/(m2・K)であり、シャフト取付部分
の影響は 0.07%程度の増加で、断熱性能の低下、
および結露発生の危険性は非常に小さい。HT-BR シ
ャフトの場合、シャフトは躯体を貫通していないた
め断熱性能の低下はさらに小さい。
3.1.3
バルコニー部の断熱範囲の違いによる
室内側表面の熱画像(右は可視画像)
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
断熱なし
下面断熱
上下面断熱
全面断熱
14
15
16
表面温度と損失熱量の結果
図16は壁部中央の高さ方向の室内側表面温度
図16
17
18
壁表面温度[℃]
19
20
壁部中央の室内側表面温度分布
分布を断熱範囲別に示したものである。熱橋となる
バルコニー部の影響範囲は断熱範囲の違いによら
21
床表面温度 [℃]
ず、床から約 50cm 高さの範囲で認められる。断熱
なしの場合では、壁床の入り隅部は約 15.5℃まで
低下しているが、一般的な居住状況では結露の危険
性は非常に小さい。
図17に床スラブ上面の表面温度分布を示す。バ
20
19
断熱なし
下面断熱
上下面断熱
全面断熱
18
17
16
15
0
ルコニー部の熱橋の影響範囲は断熱範囲の違いに
10
より若干の違いが見られるものの概ね 50∼60cm
と考えられる。バルコニー部の断熱範囲による壁、
7
図17
20
30
40
50
入り隅からの距離[cm]
60
床スラブ上面の表面温度分布
70
床の入り隅部表面温度の違いは、壁部と同様の傾
30
向を示している。
25
熱流値[W/㎡]
図18は壁、床の入り隅より 50cm の範囲の壁、
および 60cm の範囲の床から外部への熱損失量を
比較したものである。断熱なしと下面断熱の熱損
壁
床
20
15
10
失量はほぼ同程度、上下面断熱と全面断熱の熱損
5
失量がほぼ同程度である。バルコニー部の上下面
0
および全面の断熱による熱損失量は断熱なしの場
補強なし
下面断熱
上下面断熱
全面断熱
図18
熱橋影響範囲の熱損失量
合の約 70%で、熱橋の影響範囲における熱損失低減効
果は 30%程度と考えられる。
3.1.4
外断熱工法と内断熱工法の熱橋部における熱損失量の比較
前節の外断熱試験体と同程度の熱貫流率を有す
K=0.657[W/㎡K]
[室内]
る内断熱工法の試験体を製作し、図19に示す断
[屋外]
450
熱補強パターンを対象にバルコニー部からの熱損
失量を比較した。
補強なし
外壁の見付巾 1m あたりの熱損失量をバルコニー
90
80
70
断熱工法はバルコニー部の放熱の影響が壁に及ぶ
ため、内断熱工法よりも壁隅部の熱損失が大きい。
一方、内断熱工法は断熱材が室内側にあるため壁隅
部の熱損失は小さいが、床隅部に熱流が集中し、こ
熱損失 量[W/㎡]
示す(外断熱の断熱範囲については図12参照)。外
ウレタン
フォーム
25mm
上下補強
内断熱試験体の断熱補強ケース
壁一般部
床隅部
壁隅部
天井隅部
60
50
40
30
外断 熱
スが約 8%小さくなることがわかった。
図20
上下補強
下面補強
補強 な し
全面断熱
強なし」に比べて外断熱工法の「断熱なし」のケー
上下断熱
この結果、外壁全体の熱損失は、内断熱工法の「補
下面断熱
断熱 な し
20
10
0
の部分の熱損失が外断熱工法に比べて大きくなる。
3.2
450
下面補強
図19
断熱・補強のケースごとに比較したものを図20に
フェノール
フォーム
25m m
内 断熱
バルコニー部からの熱損失比較
熱橋部分の断熱性能への影響に関する解析検証
3.2.1
20
シャフト取付部の解析
15
前節の試験体と同様のモデルで数値解析を行い、シ
図21は解析により求めたシャフトを含む断面及び
一般部断面の温度分布を、外気温が−5℃と−20℃の場
10
温度 [℃]
ャフト取付部の熱橋の状況を解析した。
5
0
-5 0
合の各温度について示した(図中アンカーはシャフト
-10
の意味)。
-15
外気温が異なってもシャフト温度は断熱材からコンク
-20
リート内部ではほぼ同程度となり、外気温度による影
響はみられない。また、シャフト取付部の室内側壁表
面温度は、シャフトのない一般部の表面温度と差は小
8
72.5
145
217.5
ア ンカー中心 部(− 5℃)
一 般部( −5℃ )
ア ンカー中心 部(−2 0℃)
一 般部( −20℃ )
内壁面からの距離[㎜]
図21
壁断面内の温度分布
29 0
さく、室内側壁表面にシャフトによる熱橋の影響は現
れていない等、実験結果と良く対応している。
床の表面温度分布の解析結果を外気
温別に示す。熱橋となるバルコニー部
ず、壁面では床から 50cm 程度の高さ
室内側壁表面の温度分布(左:断熱なし、右:全面断熱)
で認められる。また、内部床面へのバ
の、概ね隅部から 50∼60cm 程度であ
20
19
18
17
16
15
14
13
12
温度 [ ℃ ]
の違いによる温度差は見られるもの
り、温度分布も壁部と同様の傾向を示
0℃
−5℃
−20℃
0
した。これらの結果は実験結果と同様
10 20 30 40 50
20
19
18
17
16
15
14
13
12
0℃
−5℃
−2 0℃
0
60 70
10
入り 隅からの距離[㎝]
20 30 40 50 60 70
入り隅からの 距離[㎝]
床表面の温度分布(左:断熱なし、右:全面断熱)
の結果を示した。
3.2.3
0℃
−5℃
−20℃
12 13 14 15 16 1 7 18 1 9 20
温 度[℃ ]
1 2 13 14 1 5 1 6 17 18 19 20
温度 [℃ ]
の影響範囲は、断熱方法の違いに因ら
ルコニー部の熱橋の影響は、断熱方法
70
60
50
40
30
20
10
0
入り隅 から の 距離 [㎝ ]
ルコニー部分を対象にした壁および
0℃
− 5℃
− 20℃
60
50
40
30
20
10
0
温 度 [℃]
図22に断熱なしと全面断熱のバ
入 り隅 から の 距 離[㎝ ]
70
3.2.2 バルコニー部分の表面温度解析
非定常状態における温度解析
図22
バルコニー部の温度分布
図23に周期定常状態における各表面温度
内壁表面( 実験値)
室内側入り 隅( 実験値)
屋外側入り 隅よ り 1 0㎝( 実験値)
外壁表面( 解析値)
屋外側入り 隅( 解析値)
の時間的な変化の実験結果と解析結果を比較
し た 温度 変化 を示 す。 外気 温の 時間 変動 は
SMASH データの前橋の最寒日データ(最低気
20
温−5℃、最高気温 2℃)を使用し、室内気温は
15
外壁表面(実験値)
屋外側入り隅( 実験値)
内壁表面(解析値)
室内側入り隅( 解析値)
屋外側入り隅よ り1 0 ㎝(解析値)
リート)の実験値と解析値に約 1.5℃の差が生
じている(初期温度設定値の影響)ことを除け
温 度[℃ ]
20℃一定とした。屋外側入り隅(外壁側コンク
10
5
ば、この結果は実験結果とよく対応しており、
0
熱伝導解析を用いて実験結果をシミュレート
0
2
4
6
8
10
-5
できることが示された。
図23
図24に外気温が最低に
12
14
16
18
20
22
各部表面温度の実験値と解析値比較
なる時の壁、床の温度分布を
違いによらず、床から 50cm
程度の高さの範囲で認めら
れる。壁面上部と入隅部の温
度差は、断熱無しの場合で約
2.5℃、全面断熱の場合では
60
50
40
30
断熱無し
下面断熱
上下面断熱
全面断熱
温 度[℃]
部の影響範囲は、断熱方法の
70
入り隅 からの距離 [㎝]
示す。熱橋となるバルコニー
20
10
0
12 13 14 15 16 17 18 19 20
温度[℃]
壁表面温度の分布
1.0℃程度であり、全面断熱
図24
と上下面断熱はほぼ同等の
9
24
時 間[h]
20
19
18
17
16
15
14
13
12
断 熱無し
下 面断 熱
上 下面 断 熱
全 面断 熱
0
1 0 2 0 30 40 5 0 6 0 70 80
入 り隅 から の距離 [㎝ ]
床表面温度の分布
壁と床の温度分布
効果を示す。
熱伝導
室内
屋外
また、室内床面に対するバルコニー部の熱橋の影響は、断
熱方法の違いによる温度差は見られるものの、概ね隅部か
ら 50∼60cm 程度であり、温度分布も壁部と同様の傾向を
対流
温 度測 定
断熱材
示している。これらの結果は、定常状態と同様に非定常状
態の場合においても実験結果とほぼ同様である。また、外
加熱60℃
気温が最低の時の室内側表面温度は、最低気温を設定した
輻射
定常状態の温度とほぼ同様である。
3.3
通気層の遮熱性能(参考)
3.3.1
屋外側銅板
シミュレーションの概要
図25
本工法は外装材の裏面に通気層を持つ断熱工法である。
室内側銅板
シミュレーションモデル
40
遮熱性能に関して最適な通気層厚さを見出すために数値
面を図25に示す。加熱面は夏季の日射による外装材の温
度上昇を想定し 60℃、壁の高さは実験による検証を考慮
し 1.2m とした。
3.3.2
壁面平均温度 (℃)
シミュレーションを行った。シミュレーションモデルの断
通気孔
閉鎖時
開放時
通気口
30
シミュレーション結果
断熱材の厚さを 20mm として通気層厚さを変化させた
場合の室内側壁表面の温度変化を図26に示す。通気層厚
20
さが 30mm 付近から断熱効果に差がなくなることから、
流路長 1.2m のモデルにおいて、通気層厚さとして 30∼
0
図26
20
40
60
通気層厚さ(mm)
通気孔厚さ (mm)
80
室内側平均温度の変化
40mm 程度が望ましい寸法であることが明らかになった。
一方、通気口閉鎖時は開放時よりも室内側の壁面平均温
40
度が高くなることから、日射が強く外壁が高温になる夏季
は通気口を開放することにより、室内に伝わる熱を低減さ
より熱損失を抑制することが可能であることが明らかに
なった。
3.3.3
30
温度 (℃)
せて室温の上昇を防ぎ、冬季には通気口を閉鎖することに
20
実験結果
数値シミュレーション
シミュレーションの検証
10
外気温 27.4℃
シミュレーションモデルと同形状の模型実験によりシ
ミュレーションの妥当性を検討した。図27に室内側壁表
0
0
面温度の実験値と計算値の比較を示す。Z 方向の高さは壁
の高さである。両者は良好な一致を示しており、数値シミ
400
800
1200
z方向長さ (mm)
図27
実験値と計算値の比較
ュレーションが妥当であることがわかる。
3.3.4
実大実験による遮熱効果の検討
既存建物の外壁の一部に図28に示す本工法を施工し、実気象条件下における実大試験体による通気
層の遮熱効果を把握した(通気層厚さは 30mm)。外装材裏面および断熱材の通気層側表面の温度、熱
流からみかけの熱抵抗を算出して比較した。夏季条件では通気層の上下を開放した場合は閉鎖した場合
10
に比べて、2∼3 倍の熱抵抗になると推定される。
冬季については主に室内から
ア ルミ笠木
通 気出口
巾 20mm
室外に向かう熱流になるため、
通気層の見かけの熱抵抗 (9/17 14:30)
6
H=5. 2m
通気しない方が断熱性能的に
測定高さ m
は有利である。通気層の出入り
口を開閉することにより、躯体
への熱流量を制御できる可能
H=5. 4m
H=2. 7m
5
通気層常時開
通気口常時開
4
通気口常時閉
通気層常時閉
3
2
性がある。
1
通気層
厚30mm
0
0
0.1
0.2
0.3
0.4
熱抵抗 ㎡K/W
0.5
0.6
0.7
H=0. 2m
図29
図28
3.4
見かけの熱抵抗比較
実大試験体断面
断熱仕様の提案と省エネルギー性能の解析検証(参考)
3.4.1
断熱仕様の提案
3.1∼3.3から、①シャフト取付部の熱損失はほとんど無視できること、②バルコニー等外部に
突出した部分による熱橋の範囲は室内の入隅から 50∼60mm であること、③熱橋の影響範囲における熱
損失は内断熱に比べて外断熱の方が小さいこと、④本工法の通気層厚さは遮熱性能上、適正な厚さで施
工が可能であることなどがわかった。これらの結果を踏まえ、次世代省エネルギー基準におけるⅠ∼Ⅴ
地域を対象に 3 グレードの断熱仕様を設定した。各地域の断熱仕様を表1に示す。なお、表中には後述
する省エネルギー性能比較のための内断熱工法の仕様も併記している。
表1
推奨仕様
東急・ヒロ式外断熱工法
天井
Ⅰ地 域 壁
窓
断熱 補 強
天井
Ⅱ地 域 壁
窓
断熱 補 強
天井
Ⅲ地 域 壁
窓
断熱 補 強
天井
Ⅳ地 域 壁
窓
断熱 補 強
天井
Ⅴ地 域 壁
窓
断熱 補 強
松
PF−Ⅲ
175 mm
GW2 4K
150 mm
P Wー LPG
あり
PF- Ⅲ
175 mm
GW2 4K
150 mm
P Wー LPG
あり
PF- Ⅲ
130 mm
GW2 4K
130 mm
P Wー LPG
あり
PF- Ⅲ
120 mm
GW2 4K
110 mm
P Wー LPG
なし
PF- Ⅲ
120 mm
GW2 4K
100 mm
P Wー LPG
なし
現在の断熱基準
各地域のグレード別断熱仕様
竹
P F-Ⅲ
1 20m m
G W24 K
1 10m m
PW ーL PG
あり
P F-Ⅲ
1 20m m
G W24 K
1 00m m
PW ーL PG
あり
P F-Ⅲ
90m m
G W24 K
90m m
P WーPG
あり
P F-Ⅲ
90m m
G W24 K
75m m
A DW- PG
なし
P F-Ⅲ
90m m
G W24 K
75m m
A DW- PG
なし
外断熱工法
梅
P F-Ⅲ
9 0mm
G W24 K
7 0mm
PW ーLP G
あり
P F-Ⅲ
6 5mm
G W24 K
6 0mm
PW ーLP G
あり
P F-Ⅲ
6 0mm
G W24 K
3 5mm
PW ーPG
あり
P F-Ⅲ
6 0mm
G W24 K
3 5mm
AD W-P G
なし
P F-Ⅲ
6 0mm
G W24 K
3 5mm
AD W-P G
なし
PF- Ⅲ: ポ リス チレ ン フォ ー ムⅢ種
PW- LPG :P VCサ ッシ +Lo w-e ペア ガ ラス
ADW -PG :ア ル ミ熱遮 断構 造 サッ シ+ ペア ガラ ス
AW- PG: ア ルミ サッ シ+ ペア ガ ラス
次世 代 省エネ 基 準
PF -Ⅲ
85 mm
GW 24K
70 mm
PWー LPG
あり
PF -Ⅲ
65 mm
GW 24K
60 mm
PWー LPG
あり
PF -Ⅲ
60 mm
GW 24K
35 mm
PWーP G
あり
PF -Ⅲ
60 mm
GW 24K
35 mm
AW -PG
あり
PF -Ⅲ
60 mm
GW 24K
35 mm
AW -PG
あり
内断熱工法
新省 エ ネ基準
P F-Ⅲ
8 5mm
現 場発 泡ウレ タン
4 5mm
PW ーLP G
なし
P F-Ⅲ
5 0mm
現 場発 泡ウレ タン
2 5mm
PW ーPG
なし
P F-Ⅲ
3 5mm
現 場発 泡ウレ タン
2 5mm
A W-P G
なし
P F-Ⅲ
3 5mm
現 場発 泡ウレ タン
2 5mm
A W-S G
なし
P F-Ⅲ
3 5mm
現 場発 泡ウレ タン
1 5mm
A W-S G
なし
GW : グ ラス ウー ル
PW -PG :PV Cサ ッシ+ ペ アガ ラス
AW -SG :ア ルミ サ ッシ+ 単 板ガ ラス
11
旧 省エ ネ基 準
PF- Ⅲ
50m m
現 場 発泡ウ レタン
25m m
P WーPG
なし
PF- Ⅲ
30m m
現 場 発泡ウ レタン
15m m
P WーPG
なし
PF- Ⅲ
30m m
現 場 発泡ウ レタン
15m m
AW- SG
なし
PF- Ⅲ
30m m
現 場 発泡ウ レタン
10m m
AW- SG
なし
PF- Ⅲ
20m m
AW- SG
なし
表2
冷暖房運転スケジュール
時
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10 11 1 2 13 14 15 16 1 7 18 19 20 21 2 2 23 24
L DK
和室
洋 室1, 2
3.4.2
1200×1000
シミュレーションの概要
集合住宅の1住棟対象とした各断熱仕様の省
1200×1000
エネルギー性能を比較する。住棟内のモデル住戸
1600×1000
洋1
2400×2000
LDK
N
6800
は床面積約 70m2 の 3LDK の住戸で、図30に妻
1800×2000
側住戸の平面図を示す。中間住戸の場合は妻壁は
洗面
便所
和室
1200×1000
洋2
戸境壁になるため窓はないプランである。シミュ
浴室
1300
レーションには 住宅用熱負荷 計算プログ ラム
1800
10350
SMASH を用いた。居室の冷暖房使用スケジュー
図30
住戸平面
ルを表2に示す。家族構成は 4 人を想定し、冷房
温度 26℃、暖房温度 20℃に設定した。なお、住
Ⅰ地域
棟の規模は 8 住戸/階×5 階で合計 40 戸を想定し
た。
3.4.3
Ⅱ地域
省エネルギー性能の比較
Ⅲ地域
図31に各地域、各仕様グレード別の熱負荷の
結果を示す。また、表3に新省エネルギー基準仕
Ⅳ地域
様を基準とした各断熱グレードの削減率を示す。
Ⅴ地域
新省エネルギー基準および旧省エネルギー基準
の断熱工法はいずれも内断熱である。
MJ/年・棟
0
新省エネルギー基準に対する削減率はいずれ
500
外 断熱 −松
のグレードも 20%を上回り目標を達成できるも
外 断熱 −竹
図31
1000
外断 熱− 梅
1500
新省 エネ 基準 (内 )
旧省 エネ 基準 (内 )
年間冷暖房負荷の比較
のと考えられる。
表3
なお、冷暖房運転停止時の室内気温変動は、外
外断熱−松
外断熱−竹
外断熱−梅
Ⅰ地域
39.7%
37.0%
32.0%
Ⅱ地域
48.8%
45.9%
40.0%
断熱では小さく、内断熱に比べて環境的には向上
する。室内環境の違いは熱負荷には反映されてい
ないことに注意する必要がある。これを考慮し、
新省エネ基準に対する削減率
Ⅲ地域
52.5%
42.5%
32.9%
外断熱では設定室温を変更しても同様の熱環境
Ⅳ地域
39.4%
29.9%
24.4%
が得られる可能性が大きく、削減率のさらなる向
Ⅴ地域
38.1%
29.4%
24.5%
上が期待できる。
Ave.
43.7%
36.9%
30.8%
12
4.
外断熱工法の施工性に関する検証
4.1
施工確認
4.1.1
施工確認概要
写真6に施工確認で使用した実建物の外観を示
す。施工確認では、施工手順と各所納まり(開口部
廻り、外壁の出隅入隅部)について施工性の確認を (a) HT-BR シャフトタイプ
行った。
4.1.2
写真6
(b)
HT-B シャフトタイプ
施工確認で使用した建物外観
施工確認結果
本工法による施工手順を図32に示す。また、写真7に施工時の施工状況を示す。施工の結果、HT-B
シャフトタイプおよび HT-BR シャフトタイプの施工手順および施工性能を確認することができた。
(1) 断熱材の現場加工
断熱材の取付け工程においては、断熱材の切断等の加工がなく一発でシャフトへの取付けができ
た。このことは、繊維系断熱材の切断による断熱性能の低下を防げること、及び、作業現場におけ
る繊維系断熱材の切断粉飛散が無いこと作業現場環境の改善となる(現場作業者の負担軽減)。
(2) 不陸調整及び品質
不陸調整は HT ディスクの使用により容易であり、施工性は極めて良好であった。さらに、作業
内容は単純であり実際の作業者の個人差に依存せずに品質が一定の施工結果となった。
(3)開口部
建物に不可欠な開口部(ドア、サッシ)周りや壁の出隅入隅部の外装を取付ける下地の納まりに
ついて実際に施工し、施工性および品質を確保できることを確認できた。
(4)その他(鉄筋との干渉)
実機の作業においては、RC 躯体の鉄筋とアンカーが干渉すること(ぶつかること)が少なから
ず発生する。本工法に用いる HT-BR シャフトは、鉄筋部において細径(アンカー部:M8 )になっ
ており、例えば、従来のストレートアンカー(M16 使用の場合)に比べて大幅に干渉を低減でき
る(面積比:1/4)。
HT-BR シャ
フト取付
図32
本工法の施工手順
写真7
本工法の施工状況
13
完了
躯体にシャフト
取付穴空け
各部納まり施工
新築用
改修用
外装材取付
HT-B シャフ
ト取付
胴縁取付
躯体工事時セパ
レーター取付位
置の指定
断熱材取付
新築用
5.
5.1
外断熱工法の普及に関する調査
外断熱工法に関するマーケッティングリサーチ
既存の外断熱工法の調査として、各社メーカーの外断熱工法の技術資料および実積について調査し、
それぞれの特長について検討を行なった。また、諸外国での外断熱工法の動向と問題点などを現地調査
するために技術員を派遣した。
5.1.1
外断熱工法の動向調査
国内の既存の外断熱工法を調査した結果、図33に示すように RC 造に採用することができる外断熱
工法は、躯体への取付方法によって、通気層工法、密着工法、二重壁工法に分類され、乾式通気層工法、
乾式密着工法、湿式密着工法が大部分を占めていることがわかった。また、スウェーデン・ドイツ欧州
視察と北米視察を実施し、海外の外断熱市場および施工状況を確認した。欧州では、地震が少ない点か
らかレンガ積みの外断熱工法や通気層のない湿式外断熱工法が主流であった。北米では、これまで通気
層のない外断熱工法がコスト面からも主流であったが、外装部分での内部結露などによる事故例により
建物の補償問題となり、現在では通気層のある外断熱工法が主流となってきている。また、断熱と調湿・
防水に対する基準を設けていた。
A-1 PCa 板
A-2 金属パネル
A.通気層工法 (11)
A-3 組積 (3)
A-4 乾式 (7)
A-5 湿式 (1)
外断熱工法 (32)
B-1-1 乾式 (8)
B-1 密着 (18)
B-1-2 湿式 (10)
B.非通気層工法 (18)
B-2-1 乾式
B-2
密閉 空気 層
B-2-2 湿式
C.二重壁工法 (3)
図33
写真8
括弧内の数字は、調査した外断熱工法の数を示す。
国内外断熱工法調査結果
海外の外断熱視察
14
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