...

全国の労働協約の会社の清浄

by user

on
Category: Documents
1

views

Report

Comments

Transcript

全国の労働協約の会社の清浄
苦悩 す るア メ リカの 産業
―一 その栄光 と没落・ リス トラの模索一―
1重 喜 編 著
今 日
倉J 風
社
第 3章
アメ リカ鉄鋼業 の リス トラクチ ャ リング
ーー 衰退 と転換 の プ ロセスーー
川
I
端
望
こ
Iま じ め ン
アメ リカ製造業 の競争 力 をめ ぐる種 々の議論 において ,鉄 鋼業 は衰退 の典型
例 とされ てい る。確 かに ,い くつ か の指標 か ら衰退 のは なはだ しさを うかが う
ことは容 易 で あ る。70年 代 の ピーク時 と80年 代 の ボ トム時 を比較 す る と ,粗 鋼
生産量 は50.1%減 (73∼ 82年 ),生 産能力 は30.0%減 (77∼ 88年 ),そ して雇用
1)
者数 は68.2%(74∼ 87年 )減 で あ る。 この事態 を前 に して ,多 くの研究者 が鉄鋼
業衰退 の原 因を究 明す る こ とを課題 とし,優 れ た成果 を積 みか さね て きた。 し
か し,筆 者 は ,い まや課題 のたて方 を発展 させ るべ き時期 に来 てい る と考 えて
い る。
まず ,生 産や雇 用 の激 しい縮小 が もた ら した結果 の 問題 で あ る。従 来 の研究
成果 が示 す よ うに ,こ の縮 小 は強 固な独 占体制 ,短 期利 益指 向の経営政策 ,高
い労働 コス トな ど ,ア メ リカ鉄鋼業 の構 造的特質 に 由来す る もので あ った。 し
か し,も う一 歩進 んで ,そ の構造 的特質 が激 しい縮 小 に よって解体 したのか ど
うかを 明 らか に す べ きではな い だ ろ うか。
他方 で ,鉄 鋼業 が衰退 の一 路 をた どるばか りではな く,80年 代 に大規模 な リ
ス トラクチ ャ リングを実行 してい る ことが注 目され る。生産 能力 ・雇用 の 肖1減
は ,衰 退 と同時 に徹底 した合理化 の遂行 をあ らわ してい るので あ る。業績 につ
いて も,81∼ 86年 に連続 して赤字 とな った後 ,87年 と89年 には 黒字 を計 上 して
い る。 また 日米合弁事業 に見 られ る よ うに新 たな経 営方式 が模索 され ,競 争構
造 も変化 してい る。 こ うした80年 代 の動 きは ,も はや 戦後 の衰退過程 の延長線
上 に あ る とい うよ りも ,衰 退 か ら再編成 へ と一定 の転換 を経過 しつつ あ る と見
るべ きではないだ ろ うか。
本稿 は この よ うな問題意識 の もとに ,ア メ リカ鉄鋼業 の リス トラクチ ャ リン
グを分析 す る もので あ る。 対象 を ,衰 退 と転換 を経過 した銑鋼 一 貫 メーカーに
第 3章
110
絞 り,競 争力 の生産 力的基礎 の分析 を軸 に ,市 場 連 関 ,世 界 市 場 競 争 上 の 位
第
3-1表
アメリカ鉄鋼業 の リス トラクチ ャリンク
アメ リカ合衆 国粗鋼生産 と鋼材需給
(1000ト
)。
置 ,多 角化 ,労 資 関係 の諸局面 において ,転 換 の様相 を示 してい そ
年
3
5
79957
89447
100262
4
0
輸入 の動 向 に左右 され るが ,そ の背後 には世界 的 な鉄鋼 市場 の変動 と これ をめ
61567
ぐる競争 が あ る。 ここでは鉄鋼輸 入 問題 を世界的 競争 の反 映 として ,ま た これ
に対す る一 貫 メーカーの対応 との相 互作用 と して概観す る。
73739
アメ リカ鉄鋼貿 易 が 入超 に転 じた のは1959年 で あ った。戦後急速 に復興 した
76654
日本 ・西 欧 の鉄鋼業 は ,当 初 は線材 ,棒 鋼 を ,そ して60年 代半 ば以 降 は新鋭 臨
83840
海製鉄所 で生産 された薄板類 を大量 に輸 出 し始 めたので あ る。 これ に対す るア
84981
73043
9
2
70263
2
3
9
2
3
0
(出 所 )
8
7
84100
9
6
鋼 を ダ ンピン グあ るいは政府補助 つ き と告発 して ,連 邦政府 に保護貿 易政策 を
67584
0
8
わ ち ,① 競争 力 を失 った線材 ,棒 鋼市場 な どか らの漸次撤退 で あ った。 ②輸入
9
9
88450
2
4
ア メ リカ鉄鋼業 は歴 史 的 に 国 内市場依存 度 が 高 いので ,直 接 には 国 内需要 と
メ リカー 貫 メーカーの対応 は ,正 面 か らの競争 の 回避 を基 調 と していた 。す な
1
0
83853
8
︲
アメ リカ鉄鋼業 の衰退 と輸入 問題
2
2
1
97935
3
0
91147
4
5
戦 後 ア メ リカ鉄 鋼 業 の 蓄 積 構 造 の 動 揺
輸入
輸出
9 6 0 4 8 ︲ 9 8 1 9 9 9 H 0 5 3
2 4 4
2 2 2 2 2 4 2 ︲ ︲
1
鋼材
出荷高
鋼材
見掛消費
12012
89016
14285
101078
19307
108451
21135
116648
17518
114962
15495
95247
19898
105444
16663
76388
17070
83455
26163
98922
24256
96367
20692
90026
20414
95940
20891
102662
17321
96843
17169
97847
ン)
輸入/
粗鋼生産 生産能力 操 業 度
見掛消費
135%
141%
178%
181%
152%
163%
189%
116642
53100
128000
58300
125333
60000
137031
57900
136341
55300
111835
53700
120828
54300
218%
205%
264%
252%
230%
213%
203%
74577
54000
84615
50600
92528
35300
88259
33600
81606
27000
89151
12200
99924
12000
179%
175%
97943
15900
98906
16700
762%
809%
784%
868%
878%
728%
783%
484%
562%
684%
661%
643%
795%
892%
845%
847%
鋼材出荷高 ―輸出+輸 入 =見 掛消費
jsι jσ α
ιR″ 0″
り作成。
AISI,ス ″ηzα ιS,α ι
`,varbus yearsよ
理価格 を媒 介 に ,い っそ うの価格高騰 とな ってあ らわれ た。
求 め る こ とで あ った。69∼ 71年 ,72∼ 74年 の二 次 にわた って輸 出 自主規制協定
とは い え ,60年 代 は世 界的 に も国 内的 に も鉄鋼需要 の高成長期 で あ り,70年
(VRA)が 実施 され ,輸 入 の伸 びは世界市場か らの遮 断 に よって抑 え られた。
代前半 には鉄鋼 ブー ムが生 じたため ,輸 入 の増 大 も生産縮 小 を もた らす には至
らなか った。 またそ うした市場条件 が あ ったか ら こそ前述 の対応 も効果 をあげ
③ ス トライキのたびに輸入 が増 え る こ とを考慮 して ,73年 に全 米鉄鋼 労働組 合
(USW)と
実験 的交渉協定
(ENA)を 結 び ,持 続 的賃金上昇 と引 き替 えに全 国
ス トライキを放棄 させた こ とで あ った。 これ に よ り大 規 模 ス トは な くな った
が ,労 働 コス トは 国際的 に突 出 して上 昇 した。④ これ らの措置 の有効性 を保証
た とい え る。 しか し,74∼ 75年 恐慌 を期 に世界鉄鋼業 は大規模 な再編期 に突入
した。世界鉄鋼需要 を粗鋼見掛 消費 で見 る と,74年 の 7億 7827万 トンを ピー ク
に82年 の 7億 109万 トン まで99%縮 小 し,特 に資本 主義 諸 国 では274%縮 小 し
した のは価格 の協調 的な引 き上 げ で あ った。終 戦直後 の有力 な競争者 の不在 を
た。 こ うした需要停滞 の一方 で ,高 成長 の再来 をあて こん だ 日本 ,西 欧 ,工 業
よい こ とに ,ア メ リカー 貫 メーカーは USス チ ール社 (U S SteeDを プライス
・ リーダー と して ,コ ス ト・ プラス方式 で設定 され る一 国的管理価格 の体系 を
設備 が世界
化 を急 ぐ韓 国 ,ブ ラジル な どでは製鉄所建設 が 進行 していた。過乗」
的規模 で発 生す る とともに比較優位構造 が変化 し,国 際分業 を再編す る激 しい
作 り上げ ていた 。世界市場 か ら価格 を突 出 させ る こ とを代償 に利潤 を確保 して
競争 を 引 き起 こ した 。 もとよ り低 コス トの 日本製鋼材 に加 えて ,値 崩 れ を起 こ
した EC製 鋼材 もア メ リカ市場 へ流 入 し,一 国的管理価格 に よって温 存 され て
いたので あ る。
こ うした対処療法 に頼 って い る間 に ,一 貫 メーカーは 国際的 な技 術革新 の波
に乗 り遅れ ,戦 後 の二 大技術 で あ る純酸素 上 吹 き転炉 と連続鋳造法 の導入 で遅
きた 旧式設備 を稼働不能 に追 い込 み つつ あ った。 景気 が底離 れ した77年 に見掛
消費比 でみた輸 入鋼 シ ェアが 17.8%に 増大 し (第 3-1表 ),一 貫 メ ー カ ーの
業績 が 悪化 して鉄鋼業 が 貿易摩擦 の焦点 とな った こ とは ,こ の競争条 件 の転換
[;Fん
準晨 [1首 繁 [金 曇 警栃な謄菫 [陀 i3警 言 ぁ董量讐層些 俗至 冒畠暮
を反 映 した もので あ った。
第 3章
第 3-1図
ア メ リカ鉄鋼 業 の リス トラ クチ ャ リング
113
鉄鋼業界 はい ま一度保護貿易 に訴 えた 。 輸 入急 増 は ダ ン ピン グに よる も の
で ,設 備投資環境 さえ整 えば競争力 を回復 で きる とい うキ ャンペ ー ンを展 開 し
銑鋼一貫工程 の概略
たのであ る。 カーター政権 は トリガ ー価格制度
(TPM)を もって この要求 に応
えた。 これ は 日本 の推定 生産費 に輸送費 等 を加 え た もの を トリガ ー価 格 と し
て ,こ れ を下 回 る価格 での輸入 には ダ ンピング調査 を課す とい うもので あ り
,
コール ド ス トリップ・ ミル
厖R「 ぃ
炒
き ライ ン
亜 鉛 め っき鋼 板
'っ
石灰 石
石炭
△ △
吻 鰤
焼結 機 ま た は
造 粒 機 ・焼 成 炉
¬
ぃ
炒
錫 め っきライ ン
饒
_礼
L+J
資税額控除 の拡大 ,大 気汚染防止法基準 の達成期 限 の延長 な どが実施 され た。
こ うして設備投資 のイ ンセ ンテ ィヴが与 え られ たが ,そ れ は需要 回復 を あ て こ
んだ拡張投資 をめ ざす もので あ った。従 って ,過 乗」
能力 の処理 に資 す る もので
はな く,か え って これ を困難 に したので あ る。
縫
鑓
ι電
2
技術 的基礎 の腐朽 と市場 の喪失
一 貫 メーカーの技術 的基礎 は ,鉄 鉱石 ・石炭 の採掘 ・事前処理 か ら製銑 ・製
冷牽造 管機
… ―
実 際 には一 国的管理価格 を防衛 す る機能 を果 た した。 また ,カ ーター ,レ ーガ
ン両政権 にわた って税制 改革 ・ 規制緩和 が進 め られ ,減 価償 去,期 間 の短縮 ,投
R雛 籍
鋼 ・圧延 を経 て最終製 品 へ の加 工 ,そ して販売 に至 る銑鋼 一 貫体制 で あ り,そ
の 中核 は銑鋼 一 貫製鉄所 で あ る。 アメ リカ鉄鋼業 は1901年 の USス チ ール 成
立 以来 ,こ の一 貫製鉄所 を基礎 に した独 占体制 を築 き上 げ て きた。 しか し70年
代 には ,製 鉄所群 は装置体系 の基本要件 で あ る 「規模 の経済 Jで 日本 ・ ECに
遅 れ を と り,個 々の設備 も老朽化 し,ま た 中途半端 な投資 に よって工 程 間 のバ
ランス を欠 いていた。
この うち製銑工程 では 旧式 で小型 の高炉 が 多数 残存 して いた。大型高炉建設
と能 力調整 の進 行 に もかかわ らず ,な お 平 均 生 産 量 は 日本 の 半 分 以下 で あ り
(第
3-2図 ),能 力 のば らつ き も 国産 能 力 2000ト
ン未 満 か ら8000ト ンに わ
た って いた。製鋼 工 程 では ,平 炉 か ら転炉 ・電炉 へ の転換 が80年 代初頭 に 9割
がた達成 され た ものの ,連 続鋳造 の導入 は進 まず ,日 本 ,ECは もちろ ん ,韓
国 ,ブ ラジル な どに も遅れ を とっていた (第
3-3図
)。
圧延 工 程 では旧式 ミル
の 閉鎖 に よって能力調整 が 図 られたが ,な お十分 でな く,60∼ 70年 代前半 に設
菖
鼻
赫
型I
熱 ・
ナ囃寸到」3橿輝き
カ
レ
ーム
に窒興蜃げ帯圧延機なυ
Zι τ
↑
炉
(出 F7r) NKK京
浜製鉄所 パ ンフ レ ッ ト,NKK福 」製鉄所 パ ンフ レ ッ トの 図柄 を参 考 に して ,筆 者作成 。
置 され た大型 自動制御 の ス トリ ップ・ ミル (薄 板圧延機 )と 30年 代設置 の 旧式
ミル とが混在 していた。第 一 次石油危機後 ,日 本 で急速 に導 入 され た コー クス
乾式 消火設備 な ど省 エ ネ技術 の設置 も遅れ ,ま たな され た と して も小規模 ・ 旧
式 の製鉄所 では効率 をそがれ ていた。 さらに ,日 本 では60年 代後半 以後 ,オ ー
ル ・ オ ンライ ンの コ ン ピ ュータ制御 へ の前進 が始 ま って いたが ,こ れ も能 力不
114
第 3章
第
3-2図
稼 働 高 炉 当 り銑 鉄 年 間生 産 高 の 国 際 比 較
第
115
転炉 ・ 電炉 と連続鋳造導入 の 国際比較
0
0
(100万 トン)
3-3図
アメリカ鉄鋼業の リス トラクチャリング
26
0
9
24
22
0
8
0
7
20
0
6
18
16
0
5
0
4
14
0
3
12
10
0
2
08
0
1
06
0
04
02
1973
1975
1974
1973
1975
1974
1977
1976
1979
1978
1981
1980
1983
1982
1985
1984
1987
1986
(出
合 衆国
… … 日本
一 一 西 ドイツ
ι
ピSr“ ιみ
所) Marcus et J,7ο ″
″
iε
"α
S,“
(転 炉・ 電炉)――
ーーー イギ リス
1979
1978
1981
1980
1983
1982
1985
1984
1987
1986
1989
1988
年
年
-―
1977
1976
1989
1988
合衆国
――
EC9
-― ―
日本
ー ー ー フランス
(連 続鋳造)一 ― 合衆国
Sted Stratcgに し♯17・ より作成。
均衡 がわ ざわ い して各 工 程 毎 のバ ッチ処 理 に とどまる傾 向が強 か った。一 貫体
6)
制 はそ の 中核 部分 か ら腐朽 し切 って いたので あ る。
一一 日本
―・― E C12
¨
韓
L■l
「転炉・電炉Jと は転炉比率と電炉比率の合計。
(出 所)
は 鋼統計要覧』各年版より作成。
車 を 中心 とす る 日本 車 の輸 入が急 増 し,自 動車 生産 そ の ものが78年 の1290万 台
次 に市場動 向を見 る と,鉄 鋼業 は ア メ リカ経済史 の様 々な局面 で素材産業 と
か ら80年 の801万 台 に急落 した。 そ して ビ ッグ・ス リー も対 抗 策 と して 小 型 車
して重要 な役 割 を果 た して きた が ,特 に1920年 代 以来成長 を とげ ,戦 後鉄鋼業
開発 と軽量化 に 努力 を傾注 したため ,乗 用 車一 台当 た りの鉄鋼使用量 が76年 モ
に とって最重要 の市場 とな った のは ,自 動 車 ,容 器 ,建 設 ,器 具 ・家庭電器産
デ ルの 1288.6キ ロか ら82年 モ デ ルの 1004.0キ ロヘ と低下 した。 品質 問題 も表面
業 へ の薄板類 (薄 板 ・帯鋼 とブ リキ製 品)供 給 で あ った。 アメ リカ ン・ ロー リ
化 しつつ あ り,例 えば Fordは 82年 第 1四 半期 に ,国 内 メーカーか ら仕入れ た
ン グ・ ミル (現 アーム コ 〔
Armco〕 )社 に よるス トリップ ・ ミル 実用化 は ,自 動
車産 業 ,ま た缶詰 ,家 庭電器製 品 ,金 属製家具 の各産 業 の飛躍 を素材面 か ら保
外板用及 び深絞 り用鋼板 の 9%を 返 品 した 。 また容器産業 においては ,成 長 の
著 しい飲料容器材 で アル ミユ ウ ム との競争 に敗 れ て市場 の半分 を奪 われ た。薄
証 した。 以来 ,薄 板類 の 出荷高 と全圧 延鋼材 に 占め るそ の比重 は増 大 し続 け
板類 の 出荷高 は80∼ 81年 に急落 して60年 代半 ばの水 準 に戻 って しまい ,基 幹設
73∼ 81年 平均 で4,702万 トン ,49.7%に も達 した ので ある (後 掲第
7)
3-4表
,
)。
備 で あ るホ ッ ト・ ス トリ ップ・ ミルの操業度 は80年 に57.5%ま で落 ち込 んだ。
また ス トリップ・ ミルは年 間平均生産能力 が230万 トンに もな り,一 貫 製 鉄 所
同年 の輸入鋼 シ ェアは 114%に 抑 え られ ていたか ら,薄 板類 に 限れ ば ,国 内需
での大量生産 に適合的 で あ った。 ス トリップ・ ミル に よる薄板類 の生産 は ,一
要 の停 滞 と代替素材 との競争 が停滞 の直接 の原 因 と言 え る。
貫 メーカーが いわゆ るア メ リカ的生活様式 の少 なか らぬ部面 を支 えてい る こ と
を あ らわ していた ので ある。
しか し,こ の連 関 は 弱体化 しつつ あ った。 まず 自動車産業 においては ,小 型
これ とは逆 に 、鋼管需要 は原油価格 の高騰 と国 内 の石油掘 削 ブー ムに よって
激増 していた。 しか し,生 産 が需要 に追 いつか ず に輸 入増 加 の最大要 因 に な っ
て しまい ,81年 には輸入鋼 シ ェアが 40.1%に のぼ った ので あ る。 また ,他 の製
品 の 出荷 は需要停滞 と輸入鋼 ・ ミニ ミル との競争 の複 合作用 に よって停滞 して
い
た
アメリカ鉄鋼業のリス トラクチャリング
第 3章
116
第
3-4図
鋼材 生産費 の 国際比較
。
要 す るに ,戦 後 アメ リカー 貫 メーカーの資本蓄積 の主柱 は ,ス トリップ・ ミ
,
一 国的管理価格体制 に よって費用 回収 ・ 利潤実現 を保 証す る とい うもので あ っ
た。 い まや ,こ の構造連 関 が世界 的競争 の浸透 に よって解体 され つつ あ ったの
で あ る。
とい う幻想 に とらわれ ていた 。 この ため ,一 貫 メーカーは拡 張投資 を しつつ
,
同時 に市況 の悪化 に迫 られ て工 場 閉鎖 も実 施 せ ざ るを得 な くな った。 中途 半端
TPMと 優遇税制 で温 存す る格好
にな って しま った ので あ る。そ の結果 ,生 産性 は停滞 し生産 費 は上 昇 して ,日
な投 資 が過剰設備化 をか え って促 し,こ れ を
・ 欧 との格差 は ドル 高 の作 用 も加わ って拡 大 した (第
3
3-4図
い 0
.
74∼ 75年 恐慌後 ,一 貫 メーカーは 明 らか に構造調整 を迫 られ ていた 。 に もか
かわ らず ,鉄 鋼業界 と政 府 当局 は高度成長 の再来 ,ア メ リカ国 内 での鉄鋼 自給
ト ト ト
0
∞ ∞ 4
とした容器 ,建 設 ,器 具産業 へ 薄板類 を供給す る国 内的市場連 関を と り結 び
出荷 ト ン当 リ ド ル
ル装備 の一 貫製鉄所 を核 とす る銑鋼 一 貫体制 を技術 的基礎 と し,自 動 車 を筆頭
1977
1979
1978
1981
1980
1983
1982
1985
1984
1987
1986
1989
1988
年
)。
-合
多角化 に よる原料 資源統 合体制
(出
所)
衆国
一一 日本
一 ‐西 ドイ ツ
Marcus et aL,NSD,“ Sted Strategtt♯
17・
ーーイキ リス
ーー フ ランス
よ り計算。
LTVは ,エ ネル ギ ー ,航 空 ・防衛部 門 を
この とき一 部 の一 貫 メーカーは ,石 油危機 以来高 ま りつつ あ った原 料 。資源
掌握 の優位性 に 注 目した。 まず鉄鋼 業 にお いては ,国 内の鉄鉱石 ・石炭 に重点
強化 す る とともに ,食 肉 ,レ ジ ャー等 の事業 を売却 して素材 と機 械 工 業 に集 中
的な投資 を行 い ,垂 直統合 と余 剰 分 の外販 を強化す る とともに ,不 足 す る鋼管
した。
生産設 備 の大拡 張
着手 した。 そ の一 方 で資 源関連産 業 へ の多角化 を一気 にお
隔
しすす めたので あ る。
多角化 を重 視 したのは U.S.ス チ ール ,LTV,ア ーム コ・ スチ ール ,ナ シ ョナ
ル・スチ ール (Natbnal SteeDで あ り,い ず れ も81∼ 83年 の間 に売 上 高 の30%以
上が 非鉄鋼 事 業 に 占 め られ るに至 った。 USス チ ール は マ ラ ソ ン 。オ イ ル
コング ロマ リッ トと して名 を上 げた
一 貫 メーカーの多角化 につ いては ,本 業 と無 関係 な事業 に進 出す る とい う意
味 での コ ング ロマ リ ッ ト化 で あ ったか の よ うな理 解 も見 られ る。 しか し事 実
は ,石 炭 。鉄鉱石 か ら資 源 開発 へ ,鉄 鋼業 か ら化学工業 と代替 素材 へ ,そ して
両者 と結 んだ鋼管 加 工 ・石油掘 削機器事業 へ の進 出 と強化 ・拡充 とい う,原 料
(Marathon ol)を 買収 して売 上 高 の529%(83年 )が 石油 ・ガス とな り,ま
・資源価 格 の高騰 に対応 した垂 直 ・水平 統 合 の 強 化 を基 本 とす る も の で あ っ
た。 この時期 ,石 油 メジ ャー各社 が原料 ・資源 を次 々 と買収す る動 きがみ られ
た化学部 門を石 油化学 に シフ トさせ る とと もに資源 開発 ,石 油掘 削機器 の各事
て いたが ,一 貫 メーカーの多角化 も同様 の文脈 で理 解 す べ きな ので あ る。 確 か
業 を強化 した。 ア ーム コも社 名 か らスチ ール を外 して 「エ ネ ル ギ ー会社」 を標
に経営方 針 に おいては ,ナ シ ョナル ・ スチ ールの よ うに投資利 益率重視 の方針
榜 し,石 油掘 肖」
機器 ,油 田開発 ,継 目無鋼管加工事業 を強 化 した。
この ほか ,ナ シ ョナル・ スチ ール の アル ミニ ウム ,ア ーム コの新 素材 な どの
を明言 した り,貯 蓄貸付組合保 有会社 を買収す るな ど財務主導 の傾 向は見 られ
た ものの ,そ れ らは産業 の 問題 を基礎 と して評価す べ きで あろ う。 この原料資
代替素材分野 ,各 社 が従来 か らお こな ってい る建設 ・建設資材 ,エ ンジ ニ ア リ
源統合体制 は ,次 にみ る81∼ 82年 不況 と産業構 造 の変化 に よって ,厳 しい試練
ングが ,鉄 鋼業 の停 滞 の なか で相対 的 に高収益源 とな って いた。 また60年 代 に
に さらされ るので あ る。
第 3章
第 3-2表
Ⅲ
アメリカ鉄鋼業のリス トラクチャリング
品種別鋼材需要 の変化
(1000ト ン)
戦 後 最 大 の 鉄 鋼 不 況 と一 国 的 管 理 価 格 体 制 の 崩 壊
1973∼ 81年
構成 比
1
トリガ ー価格 制度 の停止 と82∼ 83年 鉄鋼不況
アメ リカ経 済 は80年 初 頭 か ら半 ばにかけ て軽 い景気後退 を経験 し,続 いて81
年半 ばか ら82年 末 にか け て世界経済 とともに深刻 な不況 に 陥 った。 この不況 は
一 定 の タイ ム・ ラグを伴 って鉄鋼業 を巻 き込 んだ 。
まず ,80年 以降国 内需要 は頭 打 ち に な る一 方 ,EC製 鋼 材 が 値 崩 れ 状 態 と
な って流入 ,さ らに韓 国 ,ブ ラジル製 鋼材 が 加わ り,価 格下落圧 力 が強 め られ
TPMで は禾l鞘 の保証 はおぼ つか な い とみて反 ダ ン ピング
・相殺 関税提訴 に踏 み切 った。 TPMは 停 止 され ,一 度 は再 開 された もの の82
た。一 貫 メーカーは
年 1月 に再度停 止 された。そ の後 10月 には
ルー
ム, ビ
レット, スラ
ブ資
享
3岡 tt, ブ
線材
構造用形鋼 ,パ イル
厚中板
レール及び付属品
棒鋼 ,工 具鋼
鋼管
線材製品
ブ リキ製品
薄板・帯鋼
(う
ち表面処理鋼板)
圧延鋼材計
ECと の 間 に輸 出 自主規制 が成立 し
たが ,包 括的 な貿易政策 は不 在 の ままで ,そ こへ 不況 が襲 った ので あ る。
82∼ 83年 の鉄鋼不況 は ,従 来 の蓄積 の条 件 に破壊 的 に作用 す る二 つ の特徴 を
備 えて いた。
第 一 に ,需 要 の激 しい減退 と一段 低 い水準 での定着 で あ った。 国内鋼 材見掛
消費 は ,81年 の 1億 545万 トンか ら翌年 には7639万 トン と実 に276%も 縮 小 し
た (第
3-1表
)。
これ は74∼ 75年恐 慌 を しの ぐ戦後最大 の減退 で あ った。これ
に対応 して粗鋼 生産 も 1億 2083万 トンか ら7458万 トンヘ と38.8%縮 小 ,82年 の
操業度 は48.4%に 落 ち込 んだ。同時期 ,世 界全体 の需要減退率 が9.8%,生 産縮
小率 が8.8%,操 業度 (資 本主義諸 国)が 696%で あ った こ とと比 べ て も,ア メ
リカの落込 みは 際だ って いた。 そ の後需要 は回復 して87∼ 89年 には活況 を呈 し
た ものの ,82∼ 90年 平均 で9316万 トンであ り,73∼ 81年 平均 の 1億 811万 トン
に対 して 13.8%縮 小 してい る。
鋼材市場 の拡大 が停止 した こ とは アメ リカ産業構造 の転換 を反 映 していた。
73∼ 81年 と82∼ 90年 の品種別需要 を比較 した のが 第
3-2表 で あ る。 半製 品 で
あ る鋼塊等 と線材 は別 に して ,主 要 な品種 の うち著 しい需要低下 を記録 したの
は厚板 ,鋼 管 ,線 材製 品 ,ブ リキで あ り,縮 小幅 は 130∼ 390万 トン ,28∼ 41%
に及 んだ 。形鋼 と棒鋼 の需要 も停滞 した 。 この うち鋼管 につ いては後述 す る と
して ,厚 板 ,線 材製 品 ,形 鋼 ,棒 鋼 は ,お もに機械 工 業 と建設 ・建設資材 分野
の動 向を反映 していた。特 に機械 工 業 か らの需要 は 同期 間 に55.5%も 落 ち込 ん
(出 所)
1982∼ 90年
構成比
24%
31%
64%
95%
18%
3291
4725
6338
16668 154%
10825 100%
14191
2635
3362
6883
10296
1922
3248
6156
46114
(8994
30%
57%
42 7夕
83%)`
108109 1000%
73∼ 81年 か ら82∼
90年 の需要増加率
平均
平均
6414
978
35%
51%
68%
6 9タ イ
10%
152%
7297 78%
1906 20%
4405
4 79`
43615
468%
(12412
133%)
93161 1000%
249%
405%
79%
-377%
-492%
-149%
-326%
-413%
-284%
54%
(38.0%)
-138%
表面処理鋼板 とは ,通 常 ,薄 板・帯鋼 の中の亜鉛 めっき鋼板 と金属めっき鋼板 である
が ,こ こでは統計 の都合上 ,ブ リキ製品の中のターン・プ レー トとティンフ リー鋼板
も含む。
ι
ιRσ ρο″
Js"ε α
,Various yearsよ り作成。
AISI,ス π″zα ιSrα ι
だ ので あ る。 これ は ,あ る程度 は コンピ ュータ・電子部 品産業 へ 成長分野 が移
行 した こ とや機械類 の鋼材消費原単位 の低下 に よるものであ ったが ,減 退 の激
しさか ら して ,む しろ産業機械類 の競争 力喪失 ・ 生産低下 を反映 していた と考
えざ るを得 な い。産業機械 とそ の素材 の 同時的低落 とな る と ,も はや鉄鋼業 の
み の 問題 とい うよ りは ,ア メ リカ製造業 全 体 に及 ぶ病弊 の一 指標 と見 るべ きだ
ろ う。 また建設 ・建設資材 では需要 は 19.8%落 ち込 んだが ,こ れ は レーガ ン政
権下 で社会資本 の老朽化 が放置 され た こ とが影 響 していた。
ペ
薄板類 で も ,ブ リキは飲料容器材市場 で 引 き続 きアル ミニ ウムや ッ トボ ト
ルに駆逐 され る とともに ,鉄 鋼 が シ ェアを保 って いた食 品缶 の生産 が低迷 して
市場 を喪失 した。薄板 ・帯鋼 の需要 も絶対量 では250万 トン と最 大 の 落 ち込 み
を見 せた。市場縮小 は一 貫 メーカーの戦略商 品 に まで及 んだ ので あ る。
第 二 に ,石 油価格 と これ に連動 した一 時産 品価格 の下落 を伴 って い た ことで
あ った。本来原料価格 の低下 は鉄鋼部 門 には メ リ ッ トとな るはず で あ るが ,ア
メ リカ国 内中心 の半端 な垂直統 合 が災 い した。 外 国 よ リコス ト高 の 国 内炭 田・
鉱 山か ら原料 を引 き取 らざ るを得 な くな ったか らで あ る。それ で も石炭 につ い
ては競争 力 を失 うに は至 らなか った ものの ,鉄 鉱石 に いては 国 内優 良鉱石 の
ぶ
生産 ・輸送費 だけで輸 入鉱石価 格 を上 回 る有様 で あ った。 当然 なが ら ,外 販 を
第 3章
第 3-5図
主要 メーカー鋼材価格 の国際比較 (国 内公示価格)
アメ リカ鉄鋼業 の リス トラクチ ャリング
121
また ,鉄 鋼部 門 の不振 を補 うはず で あ った原料 ・資源統 合体制 も頓挫 した。
USス
チ ール だけは マ ラ ソン・オ イ ル の 巨大 な利 益 を全 社 業 績 の 下 支 え とす
る こ とがで きたが ,ほ とん どの原料 ・ 資源部 門 は もはや 戦略 事業 にな り得 な い
ト ン当 リ ド ル
こ とが暴露 され ,各 社 は事業編成 の再検討 を余儀 な くされ た。 こ うして ,鉄 鋼
事業 において も全社 的事業編成 において も ,本 格 的な リス トラクチ ャ リングが
開始 され たので あ る。
2
輸 出 自主規制協定 の締結
TPMの 停 止 と ドル 高 は輸 入鋼 の急増 を招 き ,84年 には2616万 トン ,見 掛 消
日本 ・ECか らの輸 入 が景気 回
費 の26.4%と 史 上最 高 に達 した (第 3-1表
)。
復 とともに増 加 した上 ,ブ ラジル ,メ キ シ コ,ス ペ イ ン ,韓 国な どが シ ェアを
1974
1975
1977
1976
1978
1979
1980
1981
1982
1984
1986
拡 大 して きた ので あ る。
84年 1月 ,ベ ス レヘ ム と
1988
く提 訴 を行 った。 国際貿易委員会 (ITC)│ま 大統 領 に対 して輸 入割 当等 の 救 済
年
― ― 合 衆国
一 合衆 国 (実 勢 )
USWは 鋼材輸 入抑制 を求めて通商法201条 に 基 づ
・ 一 日本 一― (西 )ド イツ ーーー イギ リス ー ¨―フランス
措置 を勧告 したが ,レ ーガ ンは直接的 な保護措置 を回避 し,輸 出抑制 につ いて
の交渉 を通商代表部 (USTR)に 指示 した。そ の結 果 ,20カ 国 との 間 に輸 出 自主規
(出 所)
MarcuS et J,WSD,“
Sted Strategヽ t♯ 17・ より計算 し作成。
制協定
(VRA)が 成 立 し,輸 入鋼 の シ ェアは 185%(半 製 品を含 めて20.2%)に
狙 った炭 田・ 鉱 山開発 も破綻 し,82年 の北米鉄鉱石 生産能 力 の操業度 はわ ず か
抑 え られ る こ ととな った。 VRAの 期 間 は 5年 間 で あ ったが ,そ の後 さ らに 2
44%に 落 ち込 んだ。 また ,石 油価格 の低下 は 国 内 の掘 削 ブ ームを終焉 させた。
年半延長 され た。 特殊 鋼 に つ いて も83年 以後 ,国 ご との関税 上 乗 せや 輸 入割 当
このため鋼管見掛 消費 は81∼ 83年 に64.3%も 減少 した。油 田開発 は もと よ り石
が実 施 され た。そ の結果輸入鋼 の シ ェアは低下 して ,89年 以後 は20%を 切 るに
油掘 削機器部 門 も打撃 を受 け ,多 角経営 の ドル 箱 か ら不採算部 門 に転落 した。
至 った (第
18)
3-1表
)。
一 貫体制 は需要面 と費用面 か ら挟撃 され た上 , ドル 高政策 の下 で輸 入 も拡大
法的 ・政治 的 な面 か らみれば ,VRAは 自由貿 易体制 の形骸化 を い っそ う進
した。 国 内 では価 格切下 げ に 耐 え る ミニ ミル が ,線 材 ,棒 鋼 市 場 で一 貫 メ ー
カーを押 しのけ て輸入鋼 と競 って いた。 もはや ,一 貫 メーカーが操業度調整 と
めた といえ る。 とい うの も ,TPM期 の訴訟 は特定 の 国 と品種 につ いて の ダ ン
コス ト・ プ ラスの価格設定 で対応す る こ とは不可能 とな った。 第
3-5図 に示
ピン グ と補助金 を 問題 に していた のに対 し,通 商法 201条 提 訴 は 輸 出倶1に 不 公
正 が あ るか 否 か にかかわ らず ,輸 出急増 に よる被 害 も し くはそ の恐れ が あ る こ
す よ うに ,公 示価 格 か らの デ ィス カ ウ ン トが 行 な わ れ て 鋼 材 実 勢 価 格 は 下 落
し,82年 に大手 7社 鉄鋼部 門 はす べ て赤字 に転落 した 。 ア メ リカ鉄鋼業 の独 占
あ る。 実施 され た
的蓄積 を実 現 して きた一 国的管 理価 格 は ,こ こに崩壊 したのであ る。それ は
し,ま た運用 の実態 も 「自主 的Jと は 言 えず ,し ば しば 輸 入 禁 止 を伴 って い
,
とを問題 に し,か つ 輸 入制 限 の対 象 を対米輸 出国す べ てに及 ぼ していたか らで
VRAも 全 品種 にわ た る輸 入 数 量 そ の も の の 規 制 で あ った
温存 され て きた過乗l設 備 が世界市場圧 力 に従 って強制 的 に整理 され る ,危 機 的
た。 もはや 「不公正 貿 易Jの 是正 とい う看板 は色 あせ ,結 果 としての輸 入縮 小
状況 の幕 を切 ってお とす ことに な った。 しか し,一 国的管理価格体制 に刻 印 さ
れ た停 滞的性格 が 失われ た こ とで ,世 界市場動 向に対応 した比較優位 分野 へ の
を求め る本音 が あ らわ にな って いた。
集約的近代化 が推進 され る可能性 もまた開 かれ たので あ る。
す る こ とには 限界 が あ った。鉄鋼不況 の激震 を経 た一 貫 メーカーは ,従 来 の よ
20)
しか し,こ の保護 主義的性格 に もかかわ らず ,VRAに よって 国 内市場 を隔離
122
第 3章
うに国 内市場独 占に安 住す る こ とが不可能 で あ る と気 づ き,過 剰生産能 力 の整
理 と集約 的近 代化 に 向か った ので あ る。
Ⅳ
アメ リカ鉄鋼業 の リス トラクチ ャ リング
123
中 で も焦 点 とな った のは表面処理鋼板市場 の動 向 で あ った。表面処 理鋼 板 の
需要 は 同期 間 に絶対量 で342万 トン,率 に して38.0%の 例外 的 な拡 大 を み せ て
いた 。そ の主要 な原 因 は 自動車産業 に あ った。 自動 車生産 は82年 に 699万 台 ま
リス トラ クチ ャ リン グ の 展 開
で低下 した後 回復 し,84年 か ら 6年 間連続 で1000万 台以上 を保 ち続 け たが ,こ
の過程 で軽量化 に加 えて耐食性 の強化 が 図 られた ので あ る。 車体 の 内板 ・外板
で亜鉛 め っき鋼板 が薄板 に とってかわ り,そ の 中 で も電気亜鉛 め っき鋼 板 や亜
1 -貫 体制 の再編 と集約 的近代化
鉛 ・ ニ ッケル 合金 め っき鋼板 な ど高度 な技術 を要す る製 品 の使用比率 が 高 ま っ
82∼ 83年 鉄鋼 不況 で過剰設備 を暴 露 され た一 貫 メーカーは ,投 資 ・ 能 力調整
を余儀 な くされ た。それ は ,① か つ てない徹底 した能力 削減 ,② 旧式設備 の廃
て い った。特 に84年 には ,フ ォー ド,ク ライ ス ラーに続 いて GMが 3岡 板 調達 の
バ イ ・ アメ リカ ン政策 を放棄 し,電 気亜 鉛 め っ き鋼 板 を 日本 か ら輸 入 す るに
棄 と生産 性 の高 い設備 へ の集 中 ,そ の結果 として川上工程か らの撤退傾 向 ,③
至 ったため ,こ れ に対応 す る こ とは急務 とな った。 また ,従 来 トタ ン と して用
川下 工 程 ,特 に薄板類 に集 中 した近 代化 の追 求 を主 な内容 と していた。
い られ て きた建設分 野 で も ,い っそ うの高級化 が 求 め られ て いた。
まず 能力 削減 と設 備 の集約化 で あ るが ,80年 に全 米 に存在 した43ヵ 所 の一 貫
需要量 とい う点だけ で な く, ミユ ミル との競争や採算 の 回復 とい う点 か らみ
製 鉄所 は ,88年 には24ヵ 所 に減少 した。削減 され た製鉄所 は ,生 産能 力400万 ト
て も ,一 貫 メーカーに とって薄板類 の高級化 は救 いで あ った。棒鋼 ,形 鋼 ,線
ン以上 の ものが 6ヵ 所 に対 して 100∼ 400万 トンの ものは 13ヵ 所 と小規模 な もの
材製 品 では設備費 ,賃 金 ,柔 軟 な生産調整等 で ミニ ミル の優位 が動 か しがた く
が 多 か った。
な る一 方 ,薄 板類 は一 貫 メーカーだけが生産 してお り,ま た 加 工 度 が 高 い もの
ほ ど利輪 が大 きか ったか らであ る。 特別深絞 り用鋼板 を効 率 的 な製鉄所 で製造
した ときの メ トリ ック・ トン当 た リマ ージ ンは ,熱 延 薄板 で88ド ル ,冷 延 薄板
工 程 に沿 ってみ る と,ま ず原料資産 の多 くが売却 された。北 アメ リカの鉄鉱
22)
(34.9%)縮 小 した。石炭 につ いて も自社
コ
ー
クス
に
鉱 は縮 小傾 向 あ る。
炉 も多 くが廃棄 され たが ,残 され た ものの更新
が進 まなか った。 生産性 の低 さもさる こ となが ら ,90年 の新 大気汚染防止法 の
石 生産能 力 は80∼ 88年 に4894万 トン
もとで汚染物質 の排 出量 削減 を迫 られ てい る。
で 110ド ル で あ るが ,溶 融亜鉛 め っき鋼 板 では 160ド ル に な る。一 貫 メーカーは
この市場 の確保 ・ 拡大 をめ ざ して集約的 な投資 を行 った ので あ る。
製 品 の形状 ・品質 に与 え る影響 は川下 工 程 に行 くは ど直接 的 で あ るため ,設
製銑 工 程 の縮 小 も激 しか った。81∼ 89年 に高炉能 力 は3942万 トン
(351%)
23)
備投資 は製 鋼工程 以降 に集 中 した。 まず 薄板類用 ス ラブ連鋳機 を中心 に連続鋳
縮 小 した。 と りわけ 旧式 で小型 の高炉 が廃棄 され ,相 対的 に大型 の高炉 に 生産
造機
が集 中 された。製 鋼 工 程 では , ミニ ミル も含 む数 字 で あ るが粗 鋼生産能 力 が38
2導
入 が急 がれ ,連 鋳比率 は88年 に全米 で613%,一 貫 メーカーでは46%と
この うち一貫 メー カーでは ,平 炉
な った。 他 の主要製鉄 国や ミニ ミル と比 べ れ ば な お 低 位 で あ るが (第 3-3
図),自 動 車 の外板 には優 先 的 に連鋳 が 用 い られ てい る。 また溶 鋼 の 清 浄 度 向
が91年 までにす べ て廃棄 か停止 され ,転 炉 ・ 電 炉 も削減 され た 。 圧 延 工 程 で
上 ・ 温度調節 を行 う取鍋精 練設備 ,低 炭 素鋼製造 のための真空脱 ガ ス設備 の設
,ホ ッ ト・ ス トリップ・ ミル能力 が 1310万 トン (16.2%)縮 小 した。 や は り
大規模 な削減 では あ るが ,製 銑 ・製 鋼 工 程 よ りは小 幅 で あ り,川 下 工 程 ほ ど設
置 が進 め られ た。
40万 トン
(24.9%)縮 小 した
(第
3-1表
)。
24)
│ま
備 が生 き残 った こ とがわ か る。
次 に設備投資 は鋼材需要 の構造変化 に対応 して行われ た。全体 的な需要縮 小
の 中 で ,薄 板 ・ 帯鋼 が全 製 品 に 占め る割合 は73∼ 81年 の427%か ら82∼ 90年 に
は46.8%に 上 昇 した (第
3-2表
)。
一 貫 メーカーは ,こ の市場 を従 来 以 上 に重
圧延 工 程 では ,厚 板 ,棒 鋼 ,形 鋼 ミル に み る べ き も のが なか った の に 対 し
て ,薄 板類 の基幹設備 で あ るホ ッ ト・ ス トリ ップ・ ミル の 改造 ,ま た コール ド
・ス トリ ップ・ ミル ,溶 融亜鉛 め っきライ ン
(CGL),電 気亜鉛 め っ き ライ ン
。
(EGL)の 新 設 改 造 に 力 が 注 がれ た (第 3-3表 )。 NUMMI(ト ヨ タ と
GMの 合弁 )と LTV,ホ ンダ とイ ン ラ ン ド・ スチ ール (Inland SteeDな ど
,
視 せ ざ るを得 な くな った ので あ る。
自動車 メーカー との技術交流 の動 きも 目立 って きてお り,個 々の トラブル の解
アメ リカ鉄鋼業 の リス トラクチ ャリング
第 3章
第 3-3表
次
1985
1986
1987
1988
〈
製鋼〉
連続鋳造
新設 × 4
新設 × ]
新設 × 1
1989
新設 × 1
改造 × 4
新設 × 1
二 次製 錬設備
新設 × ]
新設 × 1
新設 × 1
新設 × ]
〈
圧延〉
ミ
ル
ホットスト
リッ
フ‐
改造 × ]
改造 × 2
改造 × 2
改造 × ]
改造 × l
新設 × 1
改造 × l
コールドスト
リ
新設 × 4
1973-81平 均 1982-90平 均
初頭
所)
新設 × 6
新設 × 1
改造 × 5
新設 × 1
改造 × 1
改造 × 1
(出 所 )
4053
12512
16695
13354
-200%
5721
8246
44_1%
5321
7005
316%
399
1241
2109%
866
1130
666
465
1095
653
1203
889
47016
41301
-137%
305%
-302%
-404%
-261%
-122%
-291%
33784
94661
-207%
75086
497%
550%
εαιR″ ο″ variOus yearsよ
AISI,ス ″η2α ιS,α
-353%
6266
14504
47645
圧延鋼材計
薄板類/圧 延鋼材計
改造 × 1
り作 成 。
's′
改造 × 3
け のそ の他金属 め っき鋼板 は305%の 拡大 を見せ てい る。市場 の全 体 的縮小 の
新設 × 1
改造 × 2
溶融亜鉛 めっき
ライ ン
(出
ブ リキ製品
熱延薄板
冷延薄板
亜鉛めっき鋼板
(う ち溶融めっき)
(う ち電気めっき)
その他金属めっき鋼板
電気鋼板
熱延帯鋼
冷延帯鋼
薄板類計
その他 の品種計
,
新設 × 5
の増加率
品種
棒鋼
線材 ミル
電気 亜鉛 め っき
ライ ン
73-81年 か ら82-90年
年
90年 代
改造 × 2
棒鋼 ミル
形鋼 ミル
ア メ リカ合 衆 国薄 板 類 出荷 高 の 推 移
(1000ト ン)
改造 × 1
厚板 ミル
3-4表
(着 工 ベ ース)
> 替
銑 巻
製 炉
ζ三品
譴
1984
第
大手 メーカー 6社 の設備近代化 の動 向
125
中 で ,薄 板 ・帯鋼 のめ っき鋼板 へ の転換 が急速 に進 んでい るのであ る。
左近 司忠政 「米 国鉄鋼業 の現状 と課題J『 鉄鋼 界』 1990年 4月 号 ,17ペ ー ジ。
2
企業集 中 ・ 分離 ・淘 汰 に よる競争構 造 の変化
決 に あたるのみな らず ,工 程 の改善や ,新 モデルの開発 ・設計段階か らの参加
も行われ ている。そ の効果 は例 えば前述 の Fordに よる鋼板拒否率 が86年 末 に
29)
2%に 下 が った こ とに あ らわれ てい る。 しか し,な お30年 代建 設 の圧延設備 が
残存 してお り,連 鋳 と圧延 の連結 ,ゲ ー ジや 形 状 の 自動 制 御 な どは遅 れ て い
る。そ のため製 品 の 品質 を 日本製 と比 べ る と ,引 っ張 り強 さ ,深 絞 り性 ,板 厚
30)
の均一性 ,め っき面 の仕 上 が りな どに格差 が あ る こ とが報告 され てい る。後述
す る国際合弁 事業 は ,こ の事態 を技術 導入 で打 開す る ことを一 つ の重要 な狙 い
と してい る。
以上 の再編 を薄板類 出荷 高 との関わ りで み る と ,市 場 の 変 化 に 対 す る一 貫
メーカーの対 応 が 明確 に あ らわ れ てい る (第
3-4表
)。
73∼ 81年 平均 と82∼
90年 平 均 を比 べ る と,需 要 と連動 して薄板類全体 の 出荷 高 は 12.2%減 少 した も
のの ,鋼 材 出荷全体 に 占め る割合 は49.7%か ら55.0%に 上 昇 して い る。 そ し
て ,そ の 内部構成 をみ る と,ブ リキや 非 め っきの薄板 ・帯鋼 は20∼ 40%縮 小 し
てい るのに対 し,主 に 自動 車 向け の亜鉛 め っき鋼板 は441%,建 設 。自動 車 向
需要構成 の変化 と一 国的管理価格体制 の崩壊 は ,国 内企業 間 の競争 を激 し く
した。 設備 ・人員合理化 を促進 して これ を乗 り切 るべ く,大 規模 な水平 的合併
が試 み られ た。
まず83年 9月 に ,LTVの 鉄鋼子会社 ジ ョー ンズ・ア ン ド・ラ フ リン (」 ones
&Laughlin)と リパ ブ リ ック・スチ ール (Republic Steel)と の合併 に よる ,新
子会社
LTVス チ ール の設立計 画 が発表 された。 LTVは 70年 代 か ら素 材 及 び
機械 工 業 に集 中 し,78年 に ヤ ングス タ ウ ン・ シー ト・ ア ン ド・ チ ューブ (You
ngstown Sheet&Tube)を 買収 して合理化 に努 めて きた。製鉄所建設 が不 可能
な市 況 と財 務 状況 の下 で ,鉄 鋼事業 を強化す る こ とが この買収 の 目的 で あ った。
続 いて84年 2月 には ,USス チ ール に よるナ シ ョナ ル・ スチ ール 買収計画 が
明 らか に され た。 これ は ,ナ シ ョナル ・ス チ ール の 親 会 社 ナ シ ョナ ル ・ イ ン
ターグル ープ (Natbnd lntergroup。
編 を図 る
USス
以下 NII)の 脱鉄鋼政策 と,鉄 鋼事業 の再
チ ール との利 害 が か み あ った もの で あ った。 と い うの も
,
第 3章
126
USス
チ ール の製 品構成 は薄板類 以外 の鋼材 が ベ ス レヘ ムにつ いで多 い上 に
,
連鋳比率 が一 貫 メーカーの 中 で も最低 で あ った 。 そ こで工 場 閉 鎖 を加 速 しつ
つ ,薄 板類 に特化 していて連鋳比率 も高 いナ シ ョナル ・ス チ ール を買収す る こ
とで ,技 術 ・ 製 品構成 を一挙 に変革 しよ うと した ので あ る。
これ らの合併 ・ 買収計 画 は ,い ずれ も反 トラス ト法 に抵触す る と して 司法省
の反対 を受 け ,USス チ ール は買収案 を取 り下 げ た 。 しか し,LTVと リパ ブ
リ ックの件 につ いては ,業 界 のみ な らず商務 省 ,通 商代表部 ,そ して レーガ ン
大統領 も司法 省 を批判 した。 国 内市場 の経済 力集 中度 のみで判 断 せ ず ,外 国 か
らの競争 を考慮 せ よとい うので ある。結 局 二つ の製鉄所 の分離 を条 件 に合併 は
認 可 され た。 世界 的競争 を考 慮 して反 トラス ト法 を見直 した とい う点 で重大 な
事件 で あ った。
こ うした企業集 中 の一 方 で ,財 務 内容 の悪化 か ら連邦破産 法第 11章 に基 づ く
20社 にのぼ ってお り,90年 に鋼材市場 で28.7%の シ ェアを 占め るほ どであ る。
特 に ,合 併後 に全 米第 2位 の規模 とな った
LTVが 86年 に早 くも会社 更正手続
きに追 い込 まれた こ とは ,事 態 の深刻 さを示 す もので あ った。
破産 法下 の再建 過程 では ,莫 大 な債務 の処 理 と コス トの 切 り下 げ が 図 られ
た。す なわ ち ,賃 金切 り下 げ ,就 業規則 強化 ,不 良資産 の処 分 ,金 利 負担 の軽
減 な どであ り,LTVの 場合 ,こ れ らの措置 に よって冷延帯鋼 メ トリ ッ ク ・ ト
32)
ン当 た りの総 生産費 が89ド ル低下 した。特 に争点 とな った のは労働 コス トで あ
り,こ れ は賃金 ・労働規則 と未積 立 年金債務 の二 つ の 問題 か らな って いた。賃
127
工 場 の一 部 が 分離 され る場 合 は ,ル ー ジ ュ・スチ ール (Rouge SteeDや ジ ュ
ネバ ・ス チ ール (Geneva SteeDの よ うに 投 資 家 グ ル ー プ の下 で ,あ る い は
ウ ェア トン・ スチ ール (Wbrton SteeDの よ うに従業 員持株 プ ランの下 で再建
が 図 られ てい る。一定 の業績 を収 めてい るものが 多 いが ,今 の と ころ債務処 理
や労働 コス ト切下 げ に よる と ころが大 きい。
設備 を価値 的 に (破 産
以上 の技術 ・製 品 ・企業形態 にわ た る再編成 は ,過 乗」
法下 の再建 ),ま た価値 ・使用価値 の両面 において (設 備廃棄 )急 速 に整理 しつ
つ あ る。 こ うした ,い わ ば縮 小均衡 を求 め る動 きを通 じて主要 一 貫 メーカーの
粗鋼 生産 シ ェアは低下 し,そ の分 ,再 建 ミル や ミニ ミル が 上 昇 す る傾 向 に あ
る。 また生産 品種 をみ る と,各 社 で薄板類 ,そ の 中 で も表面処理鋼板 へ の集 中
が進 んでい るが ,ベ ス レヘ ムは従来 か らの技術 と顧客 を重視 してか建設用 の厚
板 ・ 形鋼 がなお相対 的 に多 く,表 面処 理鋼板 も建設用 に力 を入れ てい る。
会社更正手続 きを 申請 し,あ るいは一 貫 メーカーか ら分 離 され るな どして ,再
建 の道 を とる会社 も続 出 した。再建 ミル と呼 ばれ る この種 の会社 は79∼ 90年 で
アメリカ鉄鋼業 の リス トラクチ ャリング
3
多角化事業再編 の二 類型
原料 ・資源価格 の低落 と国 内資源 の不 良資産化 に直面 して ,一 貫 メーカー各
社 は多角化事業 の再編成 に着手 せ ざ るを得 なか った。大手 の うち で ,も とも と
多角化 に 消極 的な ベ ス レヘ ム ,イ ンラン ドを別 とすれ ば ,大 まか に言 って脱鉄
鋼 に 向か う会社 と多角化事業 を縮小 して鉄鋼 に 回帰す る会社 に分化 した。
前者 の代表 は ナ シ ョナル ・ス チ ールで あ る。既 に83年 に持株会社 NHを 設立
して各事業 グル ープを子会社 とし ,そ れ ぞれ に経営責任 を負 わせ ていた 。そ し
て ,84年 にはナ シ ョナル ・ス チ ール子会社
(NSC)株 式 の50%を
日本鋼管 (現
NKK)に 売 去日し,90年 には さらに20%を 売却 して経 営権 を手放 した 。また ,貯
難 を理 由に企 業年金基金 へ の拠 出を十分 に行わ な い こ とで あ る。 LTVの 場 合
・
蓄貸付組合 と金属流通部 門 も売 去口し,現 在 は85年 に買収 した原油流通 サ ー ビ
ス会社 と86年 に 買収 した薬 品流通会社 ,従 来 か らの アル ミユ ウ ムー 貫 生産 を事
は ,も ともと積立不足 が全 米 ワース トクラス の会社 ど うしが合 併 してで きた の
業 の柱 と して い る。
金 につ いては後述す る と して ,未 積 立年金 債 務 の 問題 とは ,企 業 が財務上 の 困
で ,倒 産 の直接 の 引 き金 とな ったほ どであ った。 当時
LTVの 年 金 支払 と健康
・ 生 命保 険 プ レ ミアム支払 は年 間 4億 7000万 ドル にのぼ って いたが ,こ れ らは
年 金 給 付保証公社 (PBGC)に 移 され た。これ に よって LTVは 時間 当た り労働
33)
コス トを3.5ド ル切 り下げた。全米 の年 金基金 解約 に よる債務 の PBGCへ の移
管 は87年 3月 現在 で31億 ドル に達 したが ,そ の 8割 が鉄 鋼 メーカーに よる もの
で あ り,PBGCの 財務 問題 は ,し ば しば話題 とな る預金保険機構 と同様 に深刻
34)
な もの とな って い る。
USス
チ ール も鉄鋼事業 か らの撤退傾 向を見せ てい る。巨大 な マ ラ ソン・ オ
イル を買収 した おかげ で ,石 油価格 の低下 の も とで も84∼ 85年 に全 社業績 は好
転 した。 この間 に ハ ス キ ー・オイル ,テ キサ ス・オ イ ル ・ ア ン ド・ ガ ス を買収
して石油会社化 を い っそ う進 め ,社 名 も USXに 変 更 し,こ れ を持株会社 と し
て USス チ ール ,マ ラ ソン・ オイル ,テ キサ ス・オ イル ,多 角化事業 をそれぞ
れ独立採算 の子会社 とした。 しか し,86年 の石油価格暴落 と労 資対決 ・ ロ ック
ア ウ トに よって 18億 3300万 ドル の赤字 に転落 ,こ の時 の株価下落 を利 用 して企
第 3章
128
ア メ リカ鉄 鋼 業 の リス トラクチ ャ リング
129
業買収家 アイ カー ンが筆頭株 主 とな り,鉄 鋼事業 の分離 。売却 を要求 した。 こ
株主 ,債 権者 との利害 の乖離 を生 じさせ ,こ の調整 が 図 られ る こ と,④ 財務危
の要求 自体 は90年 の株 主総会 で否決 されたが ,株 価低迷 に対 す る株 主 の不満 は
機 を乗 り切 る当座 の現金 入手 とい う動機 が加 わ って い る こ とは ,産 業再編過程
強 か った。 このため ,USXは 農芸化学 ,輸 送 な どの事業 を売却す る とともに
91年 に株式 を エ ネル ギ ー株 と鉄鋼株 に分離 し,そ れぞれ の業績 に応 じて配 当を
か ら派 生す る特徴 とみ るべ きだ ろ う。
,
支払 う方式 を 導入 した。全社 的 には91年 の売 上 の74.2%,利 益 のす べ てが エ ネ
4
「譲歩」 の時代 の労資 関係
ル ギ ー事業 か らの もので あ り,フ ォーチ ュ ン誌 では全米第 8位 の石油会社 に ラ
戦後 ,経 営陣 と USW中 央 は ,繁 栄 の見返 りと して 巨大企業 の正 当性 と永 続
ンキ ング され てい る。鉄鋼業 の設備 投資 ・ 合理化 はそれ と して進 め られ てはい
性 を受 け入れ るア メ リカの 「国民 的な約束 Jの 範 囲 内 で行動 して きた。 巨大企
るが ,傾 向 と しては 分離 に 向か ってい る。
業 に よる「規模 の経済」,高 価格 に よる高収益 ,そ の分け前 が 中間管理者 と生産
鉄鋼 回帰 の典型 は アーム コで あ る。82∼ 84年 の 連 続 赤 字 で 「エ ネ ル ギ ー会
社 J路 線 の再検討 を迫 られ ,85年 に鉄鋼 専 業 会 社 へ の 回 帰 を 発 表 した 。 そ し
労働者 に与 え られ ,労 働組合 は ス トライキ を避 け る等 々。比較 的労資対決 が激
て ,金 融 ,航 空 ・宇宙 ,戦 略素材 ,組 立 ・エ ン ジ ニ ア リング事業 を次 々 と売却
そ の前提 は一 国的管理価格 の安定 で あ った。
し,石 油掘 削機器 事業 も縮 小 して
USXと の合弁 会社 に移行 させ た。 航空 ・宇
宙 の よ うな高収益 事業 まで手放 した ことは ,財 務危機 へ の防衛 的対応 で あ る こ
とを うかがわせ る。
LTVは
,83年 以後航空機 ,ミ サイル ・ エ レク トロニ クスの黒字 を鉄 鋼 と エ
38)
しか った鉄鋼業 で も ,73年 の
ENAに よって この約束 は完成 したか に見 えた。
82∼ 83年 鉄鋼 不況 とともに状況 は一 変 した。経営 陣 は リス トラクチ ャ リング
を進 め るために ,労 働者 の既得権 に激 しい攻撃 を加 えた。
鉄 鋼業雇用数 の推移 は第
3-5表 の通 りであ るが ,73∼ 81年 平均 と82∼ 90年
ネ ル ギ ーが食 いつぶ す決算 が続 いたが ,破 産 法第 11章 の 申請後 もなお企業年金
平均 を比 較す る と ,実 に25万 1181人 ,55.5%の 削・
inで あ る。 また ,81∼ 90年 の
粗鋼生産能力 削減 率 と雇用 削減率 を比 べ る と ,前 者 は24.5%(第 3-1表 ),後
を含 む莫 大 な 負債 を抱 え ,91年 7月 には航空機 , ミサ イル・ エ レク トロニ クス
者 は58.1%と 雇用 削減 率 の方 が大 きい。82∼ 83年 不況 以後 の生産能 力 削減 と集
部 門 の売却 を発表す るに至 った。売却先 に つ いて ,連 邦破産裁判所 は 4億 ドル
を提示 した フ ラ ンスの トム ソンな どの企業連合 へ と裁定 を下 したが ,軍 需産業
約 的近代化 が あ い ま って ,大 量 レイオ フを引 き起 こ したので あ る。 例 えば 分塊
へ の外資 導入 を問題視す る議会 の反発 に あ い ,結 局 アメ リカの ロー ラル を 中心
影響 が 大 きい こ とが指 摘 され てい る。 また ,賃 金労働者 と給与労働者 の比率 に
とす る企 業連合 に落 ち着 いた 。 アーム コ と同様 に財務危機 へ の対応 で あ り,債
大 きな変化 が生 じて い な い こ とは ,合 理化 が 事務部 門 に も及 んでいた こ とを示
権者及 び年金 加入労働者 との 関係 に制約 され た行動 で あ る。
圧延工程 の連鋳化 は トン当 た り労働時 間 を半減 させ るので ,特 に雇用 に与 え る
39)
してい る。産 業別 に見 て も ,鉄 鋼業 は72∼ 86年 に全 米 SIC四 桁産業 分類 で最大
40)
以上 の二 類 型 は ,実 は 同一 の事態 の あ らわれ と言 って よい。 まず①82∼ 83年
の雇用数減少 を記録 していたので あ り,ア メ リカ製 造業 での失業 と再就職 をめ
鉄鋼不況 の二 つ の特徴 と密接 に 関 わ った対応 とい うこ とであ る。設備 閉鎖 や資
ぐる問題 の少 なか らぬ部分 を構成 してい る と言わね ばな らな い。 ひ とたび失業
産売 去口・再評価 は ,巨 視 的 には鉄鋼事業 と原料 ・資源関連事業 の双方 にお け る
す る と,鉄 鋼 の技能 は他産業 では通用 しに くいため ,他 の仕事 に就 けた と して
過 剰資本 の整理 を媒 介 してい る。 この過剰資本圧 力が個別 企業 の事業集約化 を
36)
二つ の方 向に分岐 させ てい るので あ る。②徹底 した合理化 。労資 関係再編 のテ
も収入 は鉄鋼業 の50∼ 75%に 低下す る とい う。
コにな って い る。 事業再編 を通 じて企業年金終 了や ,次 に見 る労 働組合 へ の譲
を外注 に 出す こ とも試 み られた。 これ は組 合員 の雇用 を奪 うとい うこ とで労資
歩要 求 が 強 め られ てい る。 この二 つ の点 か ら,一 貫 メーカーの事業再編 を基本
交渉 の争 点 とな り,結 局 ,組 合員 にで き る仕 事 は 組 合 員 に させ る こ とを原 則
的 に規定 してい るのが ,世 界 的競争 を通 じて の ア メ リカ産業構造 の変貌 とい う
に ,外 注 の範 囲 は制 限 され た。
産 業 の 論 理 で あ る こ とを 看 取 す べ き で あ る。 株 式 会 社 経 営 方 式 の 特 徴 や
M&A&D(合 併 ・ 買収 ・事業 分割 )の 投機性 ,す なわ ち ,③ 業績悪化 が会社 と
コス ト削減 と雇用調整 をね らって ,メ ンテ ナ ンス ,剪 断 ,酸 洗 い な どの業 務
職場 に残れ た者 の労働条件 も厳 し くな った。 まず 賃金 ・給付 について ,83,
86年 の労働協約 改訂交渉 で ,経 営側 は
USWに 譲歩 が い っそ うの レイオ フか と
第 3章
第 3-5表
アメ リカ合衆国鉄鋼労働者数
労働 コス ト削減 と ,技 術 発 展 に 伴 う職 務 再 編 過 程 で の 合 理 の
化 双 方 が な され て
い るの で あ る。 後 者 に つ い て は ,例 え ば コ ン ピ ュー タ
制 御 の新 鋭 設 備 導 入 の 場
合 ,要 員 が 削減 され る一 方 で ,労 働 者 は 従 来 と異 な る熟 練 を
多 能 工 的 に身 に つ
(人 )
賃金労働者 給与労働者
計
111250
453181
755%
291483
107346
398829
73 1'`
286219
104695
390914
198477
90960
289437
168852
73893
242745
732%
686%
696%
723%
725%
735%
740%
742%
736%
730%
751%
720%
170694
65308
236002
150906
57262
208168
128418
46365
174783
120865
42473
163338
125289
43608
168897
124218
44635
168853
119683
44280
163963
1973∼ 81平 均
340135
112844
452979
1982∼ 90平 均
145267
56532
201798
(出 所 )
賃金労働者比率
341931
AISI,ス ″″ αιSι α″
sι :ε
“
アメリカ鉄鋼業のリス トラクチャリング 131
1'り I[f)iな
垢曇 ][ふ 曾 [コ :々 を /二 纏
が着実 に進展 してい る こ とは ,労 働者 の構成 や 意識
た III凛
手 の変化 につ なが る もの と して注 目す べ きであ るが ,そ れ は レイォ フ
増大 ,既
得権 の縮 小 ,配 置転換 を通 じてな され ざるを得 な い状況 で あ る。
以上 の労資 関係 の変 化 は ,こ れ までの ところ経 営仮1の 攻撃局面 と
位置 づ けて
大過 な いで あろ う。 とは ぃ え ,経 営側 の 目標 で あ る労資 協調 しての
生産 性 向上
が達成 されたわ け では な い。先 任権 に基 づ く レイ ォ フ
制 度 を 維 持 した ま まで
は ,多 能 工 化 や改 善活動 の導入 は限界 に突 き当た らざ るを
得 な いか らであ る。
他方 ,USWは 86年 に USXで ロ ックァ ゥ トとた たか って外 注 の
制 限 に成 功 す
αιR′ ρο′
ι
,VaHous yea「 sよ り作成 。
42)
い う選択 を迫 った。USWは 失業 の拡 大 と組合員減 少 に直面 して反撃能 力 を欠
いてお り,譲 歩 を受 け入れた。既 に80年 労働協約 では
ENAが 事実 上 消滅 して
いたが ,83年 と86年 の労働協約 では賃金 。給 与 の 削減 ,生 計 費 調 整 条 項 (C
OLA)の 削減 ・停止 ,退 職奨励 が取 り決 め られ た。 ただ し,89年 労働協約 改訂
交 渉 で は ,業 績 の 回復 もあ って USWが 攻 勢 に 転 じ,賃 金 ・ 給 付 の 回復
COLA支 給 を実現 してい る。見過 ごせ な いのは ,経 営業績 と賃金 を リンクさせ
11[]霧 111晏 Fl曇 [:墨 1'「 』會 曇ЁttIF::ど 了 f瞥
る種 々の方法 が導入 され た こ とで あ る。86年 には経 営側 は産業別統 一 交渉 を放
棄 し,各 社 の業績 に応 じた協 約 に切 り替 えた。 LTVと ホ ィー リン グ ・ ピ ッ ツ
バ ーグ (Wheding Pitsburgh)は い ったん締結 した 協約 を破産法 第 11章 を利用
して破棄 し,い っそ うの譲歩 を実現 した 。 また 各 社 で利 益 分 配 制 度 や 能 率 給
Cncentive)が 導 入 され た。時 間給や休 日・ 休暇手 当以外 の この種 の手 当 が賃
金 に 占め る割合 は ,81年 の0.5%か ら87∼ 90年 平 均 の6.1%に 高 ま って い る。
労働時 間 は延長 され ,時 間外 労働 も強化 され た。 鉄鋼業 の週平均労働 時 間 は
50年 代後半 以来 35∼ 39時 間 の範 囲 内 に あ ったが ,87年 以後 は41時 間を超 えて い
44)
る。そ して ,89年 の年 間総実 労働時 間 は2140時 間 に も達 し,1500∼ 1900時 間台
45)
EC諸 国を大 き く上回 ったのであ る。
細 分化 され た職種 分類 も経営側 の攻 撃対 象 とな ったが ,こ れ も能 力 削減 と集
約 的近代化 に結 び つ いていた。 つ ま り,既 存設備 の範 囲 内 での職務統合 に よる
2¥獲
な くされ た と言 え る。 今後 「国民 的な約束」 にか わ る どの よ うな労
lЪ 宴菫
資 関係 が成
立 し得 るか 、 なお注 視 してい く必要 が あ るだ ろ う。
5
,
の
兵 塚 ,iヒ
,ひ い ては労働運 動 の担 い
国際合 弁事業 の 開始 と展望
1984年 の 日本 鋼管 (現 NKK)に よる NSCへ の経 営参 加
,日 新製鋼 とホ ィー
リング・ ピ ッッバ ー グの合弁会社設立 を 皮 切 りに
,日 米 鉄 鋼 業 の 合 弁 事 業 が
次 々 と旗揚 げ した 。 また ,USス チ ール と韓 国浦 項 総 合 製 との
鉄
合弁会社
USS POscoィ
ンダス トリーズ (86年 ),川 崎製鉄 とブ ラジル の
鉱業 会 社 リオ
・ ドセ (Rio Doce)の 共 同出資 に よるカ リフ ル ニ ア・ ス
ォ
チ ール・ イ ンダス ト
リーズ (Callornia Steel lndustHes。 以下 CSI。 84年
)も 設立 された (第 3-6
表 )。 CSIは アメ リカ企業 が 出資 してい な いが ,旧 カ イ ザ ー・ ス チ ール
(KJ
ser SteeDの 製鉄所 を使用 してい る。
これ らの 国際合弁 事業 の特徴 は ,① 川下工程
中心 で ,② 高級鋼材 の
化 してお り,③ 中 で も自動 車用表面処 理鋼板 の製造 を手 掛 け る ものが
うこ とで あ る。 これ は ,前 述 した一 貫 メーカ ーに よる集約
生産 に特
多 い とい
的近代化 の方 向 と合
致 してお り,独 力 で の設備 投 資 が 困難 に な ったため ,国 外 か らの技術 ・
資金導
入 に活 路
めた もの と考 え られ る。特 に EGLの 場合 ,ビ ッグ・ ス リーか
ら
=す
第 3章
第 3-6表
企
業
事 業 概 要
出資 額
50%ず つ
Steel
所
新 会 社 に よ る共 同運
営 。自 動 車 向 け 棒 鋼
パ イ プ等 牛 産 .
摯 約
― 日
1989年 5月
出資 。
,
恢ヽ
四レ
さ万
4
っ5
の‘
鈴設
里建
Ind ustrics
製鉄
酬場
俗丁
Aztec
50%す つ
133
の増産要請 に加 えて ,日 本 自動車 メー カーの在米 工 場稼 働 に よって高級化 と品
アメ リカ合衆国における国際合弁鉄鋼事業
設 立 会 社
相手先
アメ リカ鉄鋼業 の リス トラクチ ャ リング
粋 合 言
│卜 面
約 4億 ドル
投資 。
1990年 3月
質管理 の要 求 がい っそ う厳 し くな り,こ の新 たな市場 を獲得 す るためには ,日
本鉄鋼 メーカーの技術 ・ ノウハ ウが 必要 とされ たのであ る。 他方 日本鉄鋼 メー
カー も自動車産業 の対 米進 出 に対応 す る とともに ,保 護 主義 に よる締 め 出 しを
回避 しつつ アメ リカ市場 で勢 力 を拡 張 しよ うと ,直 接投資 に踏 み切 った ので あ
bU%す つ 1986■ 卜 4月
場 を 分 離 し ,近 代 化 。 出 資 。
投資額 4
冷 延 鋼 板 ,ブ リキ
亜 鉛 め っ き鋼 板 生 産
億 ドル以 上 。
トン)_
候 績 140万
る。
,
ern Steel
表 面処理工 場建 設。建
設用溶融 亜鉛 め っき鋼
板 ,ガ ル バ リウム鋼板
生産 (27万 トン)。
ENKK〕
Galvanizing
(LSE)
Galvanizing
電気亜鈴 め っき鋼板生
産 (40万 トン)。 両社 が
受注 した亜 鉛鉄 板 のめ
っき工程 を賃 カロエ .
実際 ,合 弁会社 においては ,新 設 の工 場 は言 うまで もな いが ,既 存 製鉄所 の
改造 の場合 で も最新 の生産技術 が 導 入 され て い る。 例 え ば NSCは 主 要 メ ー
億 ドル 。
発 表
50%ず つ
H`彗
「
総 工 費約 1
億 3100万 ド
ル 。住金40
%出 資。
ニ ッケ ル 亜 鉛 合 金 め
っ き鋼 板 ,複 装 鋼 板
の生産。
電 気 亜 鉛 め っ き設 備
及 び コー テ ィ ング ラ
イ ン (R67‐ トン`
億 ドル 。
50%ず つ
出資 。
鉄鋼 事業 を合弁 に移
三
イ
テ。
銑 鋼 一 貫 事 業 (粗 鋼
535万 トレう ^
NKK出
48)
カーで最初 に 100%連 鋳化 を達 成 した。 また USS POSCOで は 設 備 が 一 新 さ
れ ,コ ンピュータ制 御 の冷延 ・酸洗 い連続 ライ ン,連 続焼鈍 ・調質圧延 ライ ン
4Q)
が設置 され てい る。
労働組織 や労務管理 を含 む ,い わゆ る 「 日本 的生産 システ ム」 の移転 も試 み
られ てい る。 限 られ た情報 で あ るが ,NSC,L― SE,CSIで は ノン・ レイオ フの
方針 を とってお り,ま た各社 で職能給制度 ,プ ロフ ィ ッ ト・ シ ェア リング ,職
階数 削減 と多能 工 化 ,チ ー ム制度 ,QCサ ー クル な どの導入 ・推進 が試 み られ
_
National
N ational Steel
IIltergro―
(NSC)
up
新 日本 製
鉄
Steel
lン
/N Tek
1/N
し Oat
骰 洗 ,布 延 ,理 栃
鈍 工 場 を 設 立 。 冷 `昴
延
(90万 ト ン )生
鋼 板
1984全 8月
資
「
額 4億
3900フラドル
(709イ う^
1987年 7月
資本金約
ル 契約
1億 mm万 ド
新 日鉄 40
表 回 処 理 到呵双 工 場 足
設 。 自動 車 用 溶 融 亜
鉛 め っ き 鋼 板 (50万
トン),電 気 亜 鉛 め っ き
資本金 1
傍譲2000フラ
ドル 。
折 半 出資
2・t鉄
Armco
Steel
e
月 R
鉄c
。
mD
o
普通 鋼 部 門を分離 し 川鉄 出資
て共 同事業 に。銑鋼
額 5億
一 貫 事 業 。 粗 鋼 480 2500フラドル
万 トン ,薄 板 を 製 造 。
(50'`)。
Kaiser bteel ,逹 琢 〃T
Indust「 ies
(CSI)
の圧 延 部 門 を 継 承 。
熱延 冷延 溶融亜鉛
め っ き ,岡 板 (70万 ト
融 ア ル ミめ っ き鋼
板 お よび 溶 融 亜 総 め
っ き 鋼 板 生 産 (27万
トン )。
1谷
― PItsbu
rgh
(WN)
(出
所)
(60万 トン )
NSCの 労使協議制 な ど,日 本 と異 な る経 営参 加制度 も実施 され てお り,ア
メリ
力の労資 関係 を変 化 させ るための実験 が続 け られ てい る。 これ らの試 みに対 し
ては歓迎 ・受容 ・反発 の様 々な反応 が見 られ るが ,と りあえず 問題 の所在 を示
1989年 6月
す事例を一 つ だけあげてお く。1/N Tekで は ,労 働者 をイ ンラン ドのインデ ィ
アナ ・ハ ーバ ー製鉄所 の労働者 12,500人 の うちか ら採用す るに際 し,ペ ーパ ー
・ テス ト,現 場 シ ミュレーシ ョン,イ ンタビューを組 み合わせた試験を実施 し
1989年 5月
5儒まドル
を
資 予 定 `芝
見 直 し。
た。そ して ,1,250人 の応募者 の うち120人 のみが採用 された。その際 ,一 般的
な能力に とどまらず ,自 発的 な行動 を起 こす こと,ノ ル マを超えて行動す る こ
と,命 令 を必要 としな いこと,グ ループの人 々 と働 くことができることな どが
出資
'琢
萄同2000フラ
51)
要 求 され た ので あ る。
ル(50%)。
ド
こ うした厳 しい選別 を必要 とす る生産 シス テ ム で あれ ば ,適 用 範 囲 の 制 限
額 670万
ル(67%)。
ド
億 ドル .
1986全F4月
Steel
てい る。 また組 合忌避 の動 きがみ られ る一 方 で ,L― SEの 自主 運 営 委 員 会 や
50)
約溶
琢出
川 崎
日%
Armco
こ弟け日
′
新“
inland Stccl
10,ヨ ドル
を
資 予 定 `芝
見 直 し。
,ま
7500フラ
ド
ル。大和
一貫 メー カー 関係 に ミニ ミル最 大手 の Nucor関 係 の 件 を加 えた一 覧。
この表 に ll■ り,「 トンJは メ トリ ック トン。
栗原 和 男 「米 国鉄鋼業 の現状 と今後 の展 望 J『 鉄鋼界』1989年 7月 号 ,15頁 を参 考 に ,各 種 記事 よ り作成 。
や ,適 用 に あた って の摩擦 の発生 を考 えぎ るを得 な い。
これ らの合弁事業 に よって ,ア メ リカにお け る 自動 車用鋼板市場 をめ ぐる競
争 は ,部 品調達 問題 とも絡 み つつ新 たな局面 を迎 えて い る。 ビ ッグ・ス リーが
プ レスエ 場 当 りの鋼材 サ プ ライ ヤー数 を約 10社 か ら 5社 へ 肖」
減す る方 針 を とっ
て い る こ と ,日 系 自動車 工 場 が ,日 本 か らの輸 入 に頼 って いた 高度 な表面処 理
第3章
134
53)
アメリカ鉄鋼業のリストラクチャリング 135
鋼板 を次 第 に現地調達 へ と切 り替 え る動 きが生 じて い る こ とな どが ,競 争激化
これ を機 に再 び反 ダ ンピング提訴 を本格 化 させ つつ ある。92年 5月 には 日本
の要 因 とな って い る。 また ,ア メ リカー 貫 メーカーが ,合 弁 会社 を鉄鋼業 か ら
ス ムーズに撤退す る手段 とす る可 能性 も否定 で きな い。 NIIの 場合 がそ うで あ
イギ リス メー カーの鉄道用 レール を提訴 し,さ らに 6月 には 日本 な ど21ヵ 国 の
メーカーを相手 ど り,鋼 板類 の反 ダ ン ピ ン グ ・ 相 殺 関税 提 訴 を 行 った。 しか
NSCの 経営権 を握 った NKKは ,対 米進 出 の機会 を得 る と
し,VRA期 に輸 入鋼 シ ェアは 目標 以下 に抑 え られ ていた上 ,提 訴 時 の ア メ リ
同時 に ,経 営再建 の 困難 を背負 うこ とにな った。 いず れ に して も,傾 向的 には
カ粗 鋼生産操業度 は80%前 後 に達 していた 。 一 貫 メーカーに とっての 問題 が輸
生産 システ ムの変貌 と日系企業 の展 開 が進 む こ とは確実 で ,そ れ に伴 う種 々の
入鋼 の数量 よ りも価格 に あ る こ とは 明 白で あ り,要 す るに競争力 回復 が十分 で
摩擦 の 内容 ,展 望が詳 しく検討 されね ばな らな い だ ろ う。
な い とい うこ とであ る。93年 6月
り,予 期 に反 して
し,日 本 な ど19ヵ
V
世 界 市 場 競 争 の 中 の ア メ リカ 鉄 鋼 業
,
,商 務 省 は 価 格 に 関 す る最 終 調 査 決 定 を下
国 が ダ ンピングを し,ブ ラジル な ど12ヵ 国 が不 当 に補助金 を
支 出 してい る と認定 した。 VRAに かわ る多 国間鉄鋼協定
(MSA)締 結 のため
の交渉 は 中断 してお り,鉄 鋼貿易 は管理 貿 易 の 様 相 を 強 め つ つ あ る。 とは い
ア メ リカ鉄 鋼業 の リス トラクチ ャ リングは ,戦 後 最大 の鉄鋼不況 に よって過
え ,世 界市場 はい まだ 74∼ 75年 恐慌 以来 の 国際分業再編 の直 中 に あ り,通 商政
乗J資 本 が暴露 され ,戦 後安定蓄積 の構造 が 解体 に追 い込 まれ た こ とへ の対応 と
して 開始 された。 従 ってそれ は ,当 面 の財務危機 へ の対処 とい う受動 的側 面 を
策 のみ で競争 を抑制 す る こ とは不可 能 で あろ う。
持 た ざるを得 なか ったが ,同 時 に一 国的管 理価格体制 に亥1印 され て きた停滞性
代化 は ,川 上工 程 の縮 小 とあ い ま って ス ラブな ど半 製 品 の外 部購 入 を増 加 させ
が 強制 除去 され た こ とを うけ て ,構 造変化 を とげた市場 を確保 し,国 際競争 力
た。 国 内 の AISI加 盟会社 間 での半製 品 (線 材 を除 く)取 引 は82年 にはわ ずか
を回復 させ る設 備投資 ・ 労働再編 を行 うとい う能動 的側面 を も備 えて いた。 そ
万 6000ト ンで あ ったが ,89年 には 117万 8000ト ンに急増 した。半製 品輸 入 も73∼
して ,い まや 後者 の倶1面 が主 とな り,財 務危機 へ の対応 もむ しろテ コとな って
81年 平均 の31万 6000ト ンか ら82∼ 90年 平 均 191万 9000ト ンに増 加 し,VRAに よ
新 たな蓄積 の構造 が形成 され つつ あ る。そ の主柱 は川下 工 程 ,特 に 自動車用表
る輸 入制 限 に対 して鉄鋼 メーカー 自身 か ら苦情 が生 じるほ どであ った。 輸入先
面処 理鋼板 ライ ンを中心 と した集約的近代化投資 で あ る。 しか し,そ れ に伴 う
は ブ ラジル を筆 頭 と して ,EC諸 国 ,カ ナ ダ ,メ キ シ コ等 で あ る。
とはいえ ,川 下 工 程 へ の特化 が一 路進 ん で い るわ け で は な い 。 鉄 鋼 業 の 場
新 たな 問題 も明確 にな りつつ あ る。
第 二 に ,競 争力 の変化 と国 際分業再編成 との 関係 で あ る。 薄板類 の集約 的近
1
第一 に ,競 争力 回復 の程度 で あ る。主要 メーカーの物 的労働 生産性 は81∼ 90
合 ,一 貫 工 程 の連続性 が保 たれ る こ とに技術 的合理性 が あ り,こ れ が コス トに
年 に1.84倍 に 向上 した 。鋼材歩 留 りは84年 の780%か ら90年 には82.5%ま で上
も反 映 され るので機械 工 業 の よ うな垂直的 国際分業 が生 じに くい。 また ,最 終
54)
昇 した。鋼材 トン当 た り生産 費 は ,82年 の 620.1ド ル を頂点 に して ,89年 には
446.1ド ル と281%低 下 した (第
3-4図
製 品 の品質 を 向上 させ るには川上 に遡 った近 代化 が要 求 され る。 現 に
WNで
しか し,他 国 との比較 の 中 で考 え る と不透 明な と ころ も多 い。 89年 の生産費
はホ ィー リング・ ピ ッツバ ーグ の冷延 鋼板 の ,1/Nテ ックではイ ン ラ ン ド製
器
の熱延 鋼板 の 品質 が 問題 とな った。87年 頃 か ら各 社 で高炉 の巻替 えが行われ る
は 日本 を下 回 ってお り,EC諸 国 との格差 も縮 小 して い るが ,こ れ には85年 プ
よ うに な って い るのは ,こ うした事情 を反 映 しての こ とで あ り,一 貫 工 程 の近
ラザ 合意 以降 の ドル安 の作用 が加わ って い る。 この点 を ど う評価 す べ きかが 間
題 で あ るが ,業 績面 での動 向が一 つ の指標 とな る。87∼ 89年 には ブー ム的好況
代化 がなお追求 され てい る とみ て よいだ ろ う (第 3-3表 )。 しか し,製 銑 工 程
へ の投資 を後 回 しに して きた こ とのつ け は大 きい。」ヽ
型 高炉 の 閉鎖 に よって稼
3-1表 ),89年 に は 史
働高炉 一基 当 た りの生産 高 は81∼ 89年 に25%向 上 した ものの ,そ の 向上 ペ ース
上最 高 の利益 を あげ た。 しか し,90年 以降再 び不 況 に襲 われ ,91年 決算 では大
はイギ リスに比 べ て も遅 く,ま た 日本 の生産 高 には なおは るか に及 ばな い (第
手 8社 中 7社 ,92年 決算 では 8社 す べ てが営業損 失 を記録 してお り,業 績安定
3-2図
)。
の到来 もあ って粗鋼 生産高 が9990万 トンに も達 し (第
にはほ ど遠 い。 また92年 3月 末 を もって
VRAが 終 了 したが ,一 貫 メーカーは
)。
全面 的近代化 は 巨額 の資金 を必要 と し,採 算 上 の 困難 も大 き くな
る こ とは明 らか で あ る。現 に合弁事業 の 中 で も,一 貫工 程 に 乗 り出 した
NSC
136
第 3章
アメ リカ鉄鋼業 の リス トラクチ ャ リング
137
とア ーム コ・ スチ ール は 出資額 が 大 きい割 に経営 が 苦 し く,ア ー ム コ・スチ ー
る。 そ の こ とは 80年 代 以 降 の ア メ リカ合 衆 国 に お け る貧 困 と社 会 不 安 の 拡 大 と
ル は レイオ フを強行 ,ま た両 社 とも設 備投資 計画 の縮 小 ・延期 を余儀 な くされ
も無 縁 で は な い だ ろ う。
57)
た。 設備投資 は ,今 なお川下特化志 向 と一 貫 工 程 志 向が 交錯 しなが ら進 め られ
58)
て い る。
1)American lron and Steel lnstitute(AISI),
貿易面 では ,87年 以降 ,薄 板 ・帯鋼 の輸 出 が史上最高 の水準 に達 し,特 に熱
延 薄板 を 日本 や韓 国 に輸 出す る とい う新 しいパ タ ー ンを生み 出 してい る。 これ
は一 路川下 へ の特化 とい うだけ で説 明が つ か な い事態 で あ り,複 雑 な国際分業
関係 の形成 が進 んでい る こ とを示 してい る。
第 三 に ,表 面処 理鋼板 ライ ンの新 たな過剰傾 向 で あ る。 今後
CGLは 1250万
トン ,EGLは 年産 450万 トンまで増強 され る予定 で あ り,そ の上 ミニ ミル が薄
ス ラブ連鋳 とい う新技術 を駆 使 して薄板類 に参 入 しつつ あ る。一方 ,自 動 車産
業 は90年 か ら深刻 な不況 に見舞 われ てお り,車 体 の リサイ クル な ど環 境 問題 の
深 亥J化 を も勘 案すれ ば ,合 弁事業 の ライ ンがす べ て稼働 し得 るか ど うか は不 透
ス″″zα ιSι αι
Jsι づ
ε
αιR′pο ′
ι
, variouS
years より計算。
2)ア
メ リカ鉄鋼業 は業態別には銑鋼一貫 メーカー と ミニ ミル と呼ばれる電 炉 メーカー
に大ワUさ れ ,後 者 は70∼ 80年 代 にむ しろ成長を遂げている。本稿 では , ミニ ミル に つ
いては競争構造を理解す るために必要な限 りで触れ ることにす る。
なお ,銑 鋼一貫工程 の概略 は第 3-1図 を見 られたい。
3)行 沢健三 「日米鉄鋼業 の労働生産性比較」京都大学『 経済論叢』第 113巻 第 2・
号 ,1974年
2・ 3月
3
′稲葉陽二 「対米直接投資に関する一考察」 日本開発銀行『調査』
第44号 ,1981年 7月 等を参照。
4)鉄 鋼統計委員会『鉄鋼統計要覧』 各年版 よ り計算。 なお断 りな き限 り「 トン」 は
シ ョー ト・ トンとす る。1シ ョー ト・ トン=0.90719メ トリック・ トン。
C″ ο
ss/ο α
どS,1980,日 本鉄鋼輸出組合訳『岐路に立つ鉄鋼業』1980
ージ
年 ,64ペ
。
ο
ιαιι
5)AISI,Sι σ
ル
明な ままで あ る。
第 四に ,労 資 関係 の行方 で あ る。 い っそ うの設備 集約 ,省 力化 ,労 働 コス ト
削減 を図 る経 営側 と ,譲 歩 の時期 の賃金 削減分 を回復 し,こ れ 以上 の勢力減退
を食 い止め よ うとす る組合側 の利 害 は ,市 況悪化 の下 で正 面 か ら対立 せ ざ るを
得 な い。 国際合弁事業 での新 たな労務管 理 の 試 み も一 貫 メ ー カ ー全 体 に は 広
が ってお らず ,む しろ ノ ン・ レイオ フ経 営 が維持 され るか ど うか が危 ぶ まれ て
い る。 今 の と ころ労 資 ともに事 態 を転換 させ る決 定 的 な方 策 が な い 状 態 で あ
“
“
訳『 アメ リカの産業構造』第 6版 ,青 木書店 ,1984年 ,81ペ ージ。
8)Motor Vehicle Manufactu五 ng Associatbn of the U S(MVMA),ν ο
ナ
ο″y″ λJσ ι
′
Fα ε
,sa″ ′Fな Z′ ο
s,VariOus years
ο″74gο , February 1987,p25
9)′ ″
り,経 営側 の譲歩要求 と労働側 の抵抗 とい う構 図 が続 く模様 で あ る。
Ⅵ
6)詳 細 は拙稿 「アメ リカ鉄鋼業 の リス トラクチ ャ リング (I)J大 阪市立大学『季刊経
済研究』第 15巻 第 2号 ,1992年 9月 ,Ⅲ -1, 2を 見 られたい。
7)W Adamsed,Tた οS″ ″″σι″′●Jス π´/Jσ α″′πど stり ,6th edition,1982,金 田重喜監
10)容 器産業については Carmine Nappi,“ Metal Demand and the AmeHcan Container
and Packaging lndustry: 1970-1990'',ν αι
y, Vol 10, No 3, 1986 1こ
′
″
ゴ
αι
s απ
どSoσ ルι
お わ りに
よる。
11)以 上 ,出 荷高 ,輸 入鋼 シェアは AISI,4″ π″αιS′ αι
ゴ
sι
αιル クο″
ι
,操 業度 は Peter
Jι
アメ リカ鉄鋼業 の 中核 をなす一 貫 メーカーの蓄積構造 は ,82∼ 83年 鉄鋼不況
を もって大 き く転換 した。 この こ と 自体 は十分強調 されね ばな らな い。 この転
換 が 自覚 され な い と,多 くの 問題 が銑鋼 一 貫 体制 の強 固 さや一 国的管理価格体
制下 の停滞 な ど,過 去 の構造 的特質 の延長 上 に据 え られ て しま うか らであ り
,
ひいては ,衰 退 か らの脱 出 がただ ちに ア メ リカ産 業基盤 の強化 と国民生活 の 向
上 を もた らすか の よ うな理解 を生 み 出す か らで あ る。 い まや 問われ るべ きは
′
ο
ιDy″ απづ
σ
s,“ Steel Strategist♯ 17",1991 よ り。
12)こ こで構造調整 とは ,能 力拡張 と区別 される生産能力や工程・製品構成 の調整 ・ 合
Marcus,et al,170″ ″
S′
理化の ことをさす。
13)本 節 とⅣ-3で は ,各 社 の 動 きを νοο″y's′ πご strttι ναπ″αι,各 社 ′″″z´ ′
R′ ク
οrt,戸
“
田弘元編著『鉄鋼業』 日本経済新聞社 ,1987年 な どか らまとめた。
14)需 要 と生産 は『鉄鋼統計要覧』 1990年 版 よ り。操業度 は Marcus et J,ο ク ε
Jι
,
現在進行 して い る リス トラクチ ャ リングの 内容 と展望 で あ る。世 界市場 競争 に
対応 した リス トラクチ ャ リン グ こそが新 た な 問題 を顕 在 化 させ て い るの で あ
よ
り。
15)た だ し全 品種 についての もの。AISI,ス ″″ αιS′ αι
Jsι Jο α
ιR″ο″
ιよ り計算。次 の建設
・建設資材 も同様。
“
138
第 3章
16)D F Barnett and L Schorsch,Sι ′σι
,Cambridge,ヽ 4assachusetts,Ballinger,1983,
pp 302-303
t,“ Steel Strategist♯ 18",1992,p128
17)NIarcus et al,0ク κゴ
19)ECを 一 国 とみなす。そ の後 ,ス ペ イ ン,ポ ル トガルが ECに 加盟。な お VRAに つ
いて詳 し くは野林健 「アメ リカの鉄鋼保護貿 易 1983∼ 1991年 」 (官 里政玄 ・ 臼井久和
編著『新 国際政治経済秩 序 と日米 関係』 同文舘 ,1992年 )を 参照。
J″
E`ο ″ο″Jε s
ο′
ι
ど S′ ′
′
ιr″ α′σ
,London,Anen&Unwin,
j″
"″
1986,pp 148 151 James BOVard, 7た οFα j′
T′ α
ど′F″ απグ,
139
『 ザ・ ワー ク・オブ・ ネ ーシ ョンズ』 ダイヤ モ ン ド社 ,1991年 ,第 5章 。 た だ しライ
シ ュに よれ ば ,こ の約束 が黒人 ,女 性 ,貧 しい 国 々に拡大 され る ことはなか った。
π Fο %″
″ ιαらο″ づ
ogノ ο
39)U S Department of Labor, r力 ′ ′″´αot oJ r′ ιん″。ι
Jsι Jcα ι
R′ 夕ο
′
サ
18)AISI,ス π″zα ιStα ι
20)K Jones,Pο ι Jι s υs
アメ リカ鉄鋼業の リス トラクチ ャ リング
New York, St ヽ4artin's
Press,1991佐 藤英夫訳『 ア メ リカ貿易 は公正 か 』 日本経済新聞社 ,1992年 ,3536,
―ジ。
97-107ぺ ‐
21)Adams ed,ο p ιル ,6th ed■ ion,1982,8th ed■ ion,1990,金 田監 訳 前 掲 書 ,79ペ ー
ジ ,同 『現代 アメ リカ産業論』第 8版 ,創 風社 ,1991年 ,50ペ ージ。
ι,♯ 18,p128
22)Marcus et al,ψ σづ
診s,1985,本 山訳『 アメ リカ鉄鋼産業 におけ る技術 革新 の労働 に及ぼす影響』国
ル′ sι ″
“
・
際産業 労働研究 セ ンター ,1986年 , 8,1415ペ ージ。
ι
οο々,1989,p21
αιO“ ι
40)U S Department of Commerce,υ S′ πazs″づ
41)日 本鉄鋼連盟雇用委員会 『米国鉄鋼業 におけ る雇用管理 の 状 況 』 1990年 ,106ペ ー
ジ。
42)以 下 ,労 働協約 に つ いては ,U S ITC,ο p c",小 林英夫『現代 ア メ リカ労働史論』
『IMF
啓文社 ,1987年 ,日 本鉄鋼連盟雇用委 員会前掲書 ′
p。
ιR′ ″
ι
づ
stJε α
43)AISI,4″ ″ααιStα ι
JC金 属』等 を参照。
′
44)′♭ゴ
45)『 鉄鋼界報』 1992年 2月 1日 号 ,5ペ ー ジ。統計 上 は 日本 の2125時 間を も上 回 った の
であ るが ,日 本 では統計 と実状 が異 な る ことが予想 され る。
23)′らJ′
46)U S ITC,ο 夕 ο ,p l1/49
47)日 本鉄鋼連盟雇用委員会前掲 書 ,109ペ ージ。
Jι
24)Marcus et al,0夕
25)MVMA,ο 夕
0カ
,♯ 17
ε
Jι
48)『 鉄鋼新 聞』 1991年 1月 18日 付。
26)『 日本経済新 聞』 1984年 6月 9日 付。
27)1987年
の デ ー タ で あ る 。 Jose Guilherme de Heraclito Lima,ル
sι
g ι
zrづ ″
′
zσ ι
λ′
υ S Sι ′
′
ι′″′′sι ry, Boulder,Westview Press, 1991, p■ 15
28)Adams,"σ ゴ″,8th edibn,金
田監訳59ペ ー ジ。
30)清 的 ―郎 「曖 味 な発注 ,無 限 の要求 に よる品質 ・ 技術水準 の 向上J(中 央大学経済研
究所編『 自動車産業 の 国際化 と生産 システ ム』 中央大学 出版 部 ,1990年 ),原 口英 紀
「米 国現地 工 場 の部 品調達 と品質管理」
『 日経 メカニ カル』 1992年 2月 3日 号 な どを参
“
51)′ 夕Jグ , pp 179-180
οπノ
4g′ , February 1987, p29
52)′ ′
53)『 鉄鋼新 聞』 1990年 11月 19日 付。
54)Ⅳ Iarcus
et al′
οp σJt, ♯18, p72, 89
サ
ま AISI,ス ′ππαιStaι Jstづ σαιRο p。 ″
t,pp 140 146数 値 ヤ
55)Lima,ο p εづ
照。
31)Marcus et al,ψ
O洸
,♯ 18,pp.H-12
32)U S International Trade Commission,υ S Gιοια′Cο ″ク′ι Jυ οηιss,StO′ ιS力 ο′ι
Jι
α″
as″ ゎ ′″グ Sι 型,Washhgton,DC,1988,pp H/6869
“
Jグ , p l1/51
33)′ ♭
35)じヽ
50)日 本鉄鋼連盟雇用委員会前掲 書 ,149160ペ ージ。『鉄鋼新 聞』 1990年 11月 20日 付 。
NI Kenny and R Florida, B′ yο ″グ ルイαss P′ ο′ σιJο π, N Y, Oxford Universly
Press, 1993,Chapter 6
ο″ノ
4g′ , February 1987, p25
29)′ ″
Jど
34)′ ι
ο
イ
′
αιP′ οど%ε J″ g, June 1989, pp 22-23
49)33′ レ
, p■ 1/51-52
p。 ″
Cο ″
ι
,1991
夕,ス ″π″αι沢′
56)『 日経産業新 聞』 1989年 2月 14日 付。
57)『 日本経 済新 聞』 1991年 5月 22日 付 , 6月 5日 付。
58)USス チ ール ,ア ー ム コが電炉工場 の新設 を検 討 して い る との報 道 もあ る。 Wα ιZ
,August 5,1992『 日経産業新 聞』 1993年 4月 14日 付。
「
59)左 近 司忠政 米 国鉄鋼業 の現状 と課題J『鉄鋼界』 1990年 4月 号 ,1617ペ ージ。
″αι
ο
′
ιノοχ″
Sι ′
ιπ′,Apri1 20,1992,p139
Fο ″
“
36)松 井和夫 ・奥村 皓 一『米国 の企 業買収 ・合併』東洋経済新報社 ,1987年 ,第 1章 を参
月瞑ミ 。
37)USXの
ケースを利害調整 の立場か ら見た 」Pound,“ Beyond Takeovers",〃 ″υα″
ο
ss Rο υ
ttω ,March Api1 1992を 参照。
B“ s」 ″
たoJ Ⅳαι
ゴ
ο″s,NY,Alfred A Knopf,Inc,1991,中 谷巌訳
38)Robert B Reich,7み ′Wο ″
*
本稿 は 「アメ リカ鉄鋼業 の リス トラクチ ャ リン グーー 銑鋼 一 貫 メ ー カ ー を 中心
に一一 」 (大 阪市立大学 『季刊経 済研究』第 15巻 第 2号 ,1992年 9月 に (I)を 掲
載。 以下続稿 )に 基 づ いてい る。 詳細 はそ ち らを参照 され たい。
編著者紹介
金 田 重喜
1932年 生れ,1955年 京都大学経済学部卒 ,京 都大学大学院経済学研究科を経て
現在 ,東 北大学経済学部教授
第 1,5章 を担当
編著『経済学 と階級』梓出版社,1987年
『現代工業経済論』倉U風 社,1991年
訳書『フランス経済 と共同政府綱領』(P.ボ ッカラ)大 月書店,1974年
『マルクス主義と環境問題』 (ギ ・ビォラ)青 木書店,1976年
『アメリカの産業構造』 (第 6版 )(W.ア ダムス)青 木書店,1984年
『現代 アメリカ産業論』 (第 7版 )(W.ア ダムス)倉 J風 社,1987年
風社,1991年
『現代 アメリカ産業論』 (第 8版 )(Wア ダムス)倉 」
菅悩す るア メ リカの産業
1998年 9月 10日
1998年 0月 25日
粛 1版 第 1月 1印 刷 ◎
発行
椰 ユ版第 1用 」
喜 史
社
重 顧
風
田 田
発行所 曇嘘 創
金 千
者 者
著 行
編 発
執筆者および執筆個所紹介 (執 筆順)
富澤 修身 1954年 生れ,1979年 京都大学経済学部卒 ,東 北大学大学院経済学研究科を経て
現在 ,大 阪市立大学商学部教授
第 2章 を担当
望 1964年 生れ,1987年 東北大学経済学部卒 ,東 北大学大学院経済学研究科を経て
川端
現在 ,大 阪市立大学経済研究所講師
第 3章 を担当
橋本 輝彦 1944年 生れ,1966年 東北大学経済学部卒 ,東 北大学大学院経済学研究科を経て
現在 ,立 命館大学経営学部教授
第 4章 を担当
山田 誠治 1958年 生れ,1984年福島大学経済学部卒 ,東 北大学大学院経済学研究科を経て
現在 ,北 海学園大学経済学部助教授
第 6章 を担当
小林 健- 1952年 生れ,1974年 東北大学経済学部卒 ,東 北大学大学院経済学研究科を経て
現在 ,東 京経済大学経済学部助教授
第 7章 を担当
伊藤 光雄 1953年 生れ,1977年 東北大学経済学部卒 ,東 北大学大学院経済学研究科を経て
現在 ,島 根大学法文学部助教授
第 3章 を担当
土屋慶之助 1945年 生れ,1969年 東北大学経済学部卒 ,東 北大学大学院経済学研究科を経て
現在 ,静 岡大学法経短大部教授 ,主 事
あとがきを担当
〒113東 京都文京区本郷 4-17-9-601
電話 (OD38184161 振替 東京2129648
落丁本 ・ 乱 丁本は お取替 え します 。
ISBN4-915659-52-6
印刷・ 製 本
KMS
Fly UP