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第3章 九州地域におけるオフロード法にかかる実態調査結果(PDF:279KB)
第3章 九州地域におけるオフロード法にかかる実態調査結果 3-1 実態調査の概要 オフロード車に関する情報伝達の現状と車両保有状況の把握などを目的に、アンケート調査とヒ アリング調査により実態調査を行った。アンケート調査の実施概要を表 3-1-1 に示す。使用者に 関しては経済産業省所管業種の製造業を中心として、平成 24 年 9 月から 12 月にかけて、2,688 件の事業所に対して調査を実施した。製造業については、九州地域における事業所数の上位 3 業種である「食品製造業(他省庁所管も含む)」「金属製品製造業」「窯業・土石製品製造業」を対 象として調査した。なお、窯業・土石製品製造業については生コン、砕石の 2 つの業種を対象に調 査した。 販売店に関しては、主だったオフロード車メーカーの営業所及び営業拠点を網羅する形で調査 先を選定した。 整備業者やリース・レンタル業者については、オフロード車メーカーの系列または業務委託を受 けている事業所に関しては販売店と似通った情報伝達体制下にあると予想されたので、これらに ついてはメーカー系列の会社を分かる範囲で事前に除外した。整備業者については、名称やホー ムページ情報等から建設機械の整備を行っている可能性が高い事業者に絞り込んで選定した。 表 3-1-1 アンケート調査の実施概要 項目 実施時期 内容 ・製造業 平成 24 年 9 月下旬∼10 月中旬 ・整備、リース、レンタル 平成 24 年 11 月上旬∼12 月中旬 対象者及び件数 製造業(食品、金属、生コン、砕石、鉱山) 販売店 252 件 リース・レンタル 調査項目 60 件 整備 176 件 合計 2,688 件 ①オフロード法の認知状況 ②オフロード特殊自動車の使用状況 ③オフロード特殊自動車の保有内訳 ④オフロード特殊自動車の更新周期及び更新予定 ⑤オフロード車に対する環境対策の取り組み ⑥業務上必要な情報の入手 実施方法 2,200 件 アンケート調査票の配布、郵便・FAX 等による返信 16 アンケート調査対象数及び回答数を表 3-1-2 に示す。販売店、リース・レンタル業者、整備業 者、使用者から合計 845 件の回答を得た。 表 3-1-2 アンケート調査対象数及び回答数 (単位:件) 対象 対象数 販売店 車両保有 55 − 60 13 − 176 34 − 食品 1,200 352 188 金属 500 123 82 生コン 325 172 136 砕石 163 72 67 鉱山 12 12 8 その他 ※ 12 7 2,688 845 整備業者 合計 うち 252 リース・レンタル業者 使用者 回答数 − ※食品・金属・生コン・砕石の母数に含まれる 整備業者、リース・レンタル業者についてはオフロード車メーカーの系列であるかどうかについて も確認した。内訳は図 3-1-1 及び図 3-1-2 の通りであり、整備業者、リース・レンタル業者につい ては一部を除きメーカー系列でない独立系の事業者からの回答となった。 17 8%(1) 15%(2) メーカー資本である メーカー資本でない 77%(10) 未回答 (n=13) 図 3-1-1 回答のあったリース・レンタル業者におけるメーカー系列の内訳 0%(0) メーカー資本である 26%(9) メーカー資本でない 未回答 74%(25) (n=34) 図 3-1-2 回答のあった整備業者におけるメーカー系列の内訳 18 3-2 アンケート調査 3-2-1 オフロード法の認知状況 オフロード法の認知状況を図 3-2-1 に示す。販売店での認知度が最も高く「よく知っている」が 82%に達しているが、使用者では「よく知っている」は 5%にとどまった。オフロード法は依然として使 用者にはほとんど知られていないことがわかった。 販売 (n=55) リース・レンタル (n=13) 82% 18% 0% 50% 整備 (n=34) 33% 21% 使用者 5% (n=488) 0% 17% 68% よく知っている 名前を聞いたことがある 知らない 12% 38% 56% 20% 40% 60% 80% 100% 図 3-2-1 オフロード法の認知現状 オフロード法に関して「よく知っている」「名前を聞いたことがある」と回答した事業者に対して、ど の関係者からオフロード法の情報を入手したかを確認したところ、図 3-2-2 に示すように「オフロー ド車販売会社」「オフロード車メーカー」「業界団体(同業種)」「整備業者」「同業者」などが主な入 手経路であることがわかった。 48 オフロード車販売会社 37 オフロード車メーカー 32 業界団体(同業種) 29 整備業者 26 同業者 17 業界団体(その他) 14 行政 11 業界団体(労基関係) 9 リース・レンタル会社 8 親会社 4 顧客 12 その他 0 10 20 30 40 50 (件) 60 (n=160 複数回答あり) (回答のあった事業所数) 図 3-2-2 オフロード法の情報を入手した関係者(複数選択) 19 3-2-2 情報伝達体制 (1)情報の受け渡しの関係 販売店、リース・レンタル業者、整備業者、使用者との互いの情報の受け渡しの関係について、 使用者への説明の実施状況と、相互の情報伝達のやり取りの状況を確認した。 販売店、リース・レンタル業者、整備業者から使用者へのオフロード法の説明状況を図 3-2-3 に示す。販売店では 80%を超える事業者でなんらかの説明が行われており、リース・レンタル、整 備の順に説明される割合が下がってくることがわかった。 29% (10) 46%(6) 18% (10) ある ある ない ない ある ない 71% (24) 82% (45) 54%(7) (n=55) 販売店 (n=13) (n=34) リース・レンタル 整備 図 3-2-3 販売店、リース・レンタル、整備から使用者へのオフロード法の説明現状 次に、販売店、リース・レンタル業者、整備業者が、オフロード法に関する情報についてどのよう にやり取りしているか確認した。販売店における使用者以外とのオフロード法の情報伝達の現状を 表 3-2-1 に示す。販売店ではオフロード車メーカーからオフロード法に関する情報を受け、リー ス・レンタル業者、整備業者へ情報を提供する傾向がみられた。 表 3-2-1 販売店における使用者以外とのオフロード法の情報伝達の現状 (単位:件) 項目 オフロード車メーカーと の情報交換 リース・レンタル業者と の情報交換 整備業者との情報交換 主に情報 主に情報を 情報交換はし を受ける 提供する ていない 34 8 13 2 26 25 1 26 27 (n=55) 20 リース・レンタル業者における使用者以外とのオフロード法の情報伝達の現状を表 3-2-2 に示 す。リース・レンタル業者では販売店だけでなく、リース・レンタル業者、整備業者からも情報を受け る関係にあるが、情報の提供はいずれの関係者に対してもほぼ実施されていないことがわかった。 表 3-2-2 リース・レンタル業者における使用者以外とのオフロード法の情報伝達の現状 (単位:件) 項目 オフロード車メーカーと の情報交換 リース・レンタル業者と の情報交換 整備業者との情報交換 主に情報 主に情報を 情報交換はし を受ける 提供する ていない 10 1 2 4 3 5 5 0 7 (n=13) 整備業者における使用者以外とのオフロード法の情報伝達の現状を表 3-2-3 に示す。整備業 者では、オフロード車メーカーまたは整備業者から情報を受けているが、いずれの関係者につい ても情報交換が行われないケースが最も多くなっており、リース・レンタル業者と似た傾向にあるこ とがわかった。 表 3-2-3 整備業者における使用者以外とのオフロード法の情報伝達の現状 (単位:件) 項目 オフロード車メーカーと の情報交換 リース・レンタル業者と の情報交換 整備業者との情報交換 主に情報 主に情報を 情報交換はし を受ける 提供する ていない 16 0 14 6 2 22 8 0 22 (n=34) オフロード法に係る情報伝達のやり取りの実態を整理した結果を図 3-2-4 に示す。メーカー・販 売店がオフロード法の情報の発信源となっており、直接またはリース・レンタル業者、整備業者を経 て使用者へ伝えられる傾向が強いことがわかった。 21 メーカー・ 販売店 情報伝達程度 リース・ レンタル 高 整備 中 低 使用者 僅 図 3-2-4 オフロード法に係る情報伝達の現状 (2)使用者への情報伝達のタイミング 販売店、リース・レンタル業者、整備業者における使用者への情報伝達のタイミングをアンケート 調査の記述回答から整理した。販売店における使用者への情報伝達のタイミングについては、 図 3-2-5 に示すとおりであり、ユーザーへの製品の提案や導入の提案をするときや、客先を営業 活動で訪問するときが圧倒的に多いことがわかった。 43 ユーザーへ製品の提案や導入の提案をするとき 36 客先を営業活動で訪問するとき 1 顧客向けに案内状などの文書を送るとき 3 その他 (件) 0 10 20 30 40 50 (n=55 複数回答あり) 図 3-2-5 販売店における使用者への情報伝達のタイミング 22 リース・レンタル業者における使用者への情報伝達のタイミングについては図 3-2-6 に示すとお りであり、傾向として判断するに足る母数には達していないものの、ユーザーからリース・レンタルの 相談を受けるときが最も多いことがわかった。 4 ユーザーからリース・レンタルの相談を受けるとき 2 リース・レンタルのため車両を引き渡すとき 3 顧客向けの案内文書を送るとき 1 その他 (件) 0 5 10 15 20 (n=13 複数回答あり) 図 3-2-6 リース・レンタル業者における使用者への情報伝達のタイミング 整備業者における使用者への情報伝達のタイミングについては図 3-2-7 に示すとおりであり、 ユーザーから整備車両を受け入れるときや、ユーザーからの問い合わせ時(整備車両受け入れ時 以外)が多く、販売店同様に直接的な営業活動の中で情報伝達していることがわかった。 ユーザーから整備車両を受け入れる時 11 ユーザーからの問い合わせ時(整備車両受け入 れ時以外で) 11 1 ユーザー向けに案内の文書等を送るとき 3 その他 0 5 10 (件) 15 20 (n=34 複数回答あり) 図 3-2-7 整備業者における使用者への情報伝達のタイミング 整備業者について、使用者へ何らかの情報伝達をしていると回答した事業者は 34 件中 10 件 (図 3-2-3 参照)であったが、図 3-2-7 において、それ以上の回答数があることから、整備業者に ついては不定期のタイミングでオフロード法に関連する内容の問い合わせを使用者から受けてい 23 ることが伺える結果となった。 販売店、リース・レンタル業者や、整備業者における使用者への情報伝達のタイミングを整理し た結果を表 3-2-4 に示す。リース・レンタル業者については母数が少なく参考程度であるが、傾向 としてはいずれの業種でもオフロード車の導入を提案するときや、顧客(使用者)を訪問した場合な ど、営業活動を通した伝達が行われていることがわかった。 表 3-2-4 販売店、リース・レンタル業者、整備業者における使用者への情報伝達のタイミング カテゴリ 情報伝達のタイミング 販売店 ユーザーへの説明・導入提案、顧客訪問時 リース・レンタル ユーザーからリース・レンタルの相談を受けるとき、リース・レンタルのため車両 を引き渡すとき 整備 ユーザーから整備車両を受け入れる時、ユーザーからの問い合わせ時(整備 車両受け入れ時以外で) 3-2-3 オフロード車に関する使用者の関心及び導入の動機 オフロード車に関する使用者の関心及び導入の動機について、販売店向けアンケート調査の 「使用者による販売店への問い合わせ内容」と「使用者の購入に至った動機」をもとに評価した。 オフロード車に関する使用者の販売店への問い合わせ内容を図 3-2-8 に示す。「価格」、「ラン ニングコスト」、「環境性能」の順に問い合わせが多く、購入検討時点の使用者の関心がコスト面ま たは環境性能にあることがわかる。一方、「従業員の安全面」については低い水準にとどまってい た。 43 価格 27 ランニングコスト 23 環境性能(排ガス関係) 14 メンテナンス方法 13 購入時の控除や補助に関する情報 7 控除や補助に関する情報 3 従業員の安全面 6 その他 0 10 20 30 40 (件) 50 (n=55 複数回答あり) 図 3-2-8 オフロード車に関する使用者の販売店への問い合わせ内容 24 使用者がオフロード車を購入するに至った動機については、上位となるものを 3 つまで回答して もらう形で確認した。確認した結果を表 3-2-5 に示す。 更新の直接の動機として一番目に挙げられたのは「老朽更新による」「業務発注元、調達先等か らの指示(受注対応)」の順であった。これに対し「金額・性能等メリット」や「社の環境対策の計画に 基づく更新」などは 2 番目、3 番目の動機であり、車両が必要になったため導入する、という使用者 の意識がうかがえる結果となった。 表 3-2-5 使用者がオフロード車を購入するに至った動機 (単位:件) 項目 一番目 二番目 三番目 老朽更新による 27 16 4 業務発注元、調達先等からの指示(受注対応) 13 9 9 金額・性能等メリット 7 13 11 社の環境対策の計画に基づく更新 4 10 17 従業員の健康・安全への配慮 2 3 4 その他 2 2 2 (n=55) 3-2-4 オフロード車保有状況 (1) 保有車種類及び適合車の導入状況 アンケート調査では、使用者及びリース・レンタル業者が保有するオフロード車を「建設機械」「産 業機械」「農業機械」の内訳により確認した。結果を表 3-2-6 に示す。「食品」「金属」では産業機 械、「砕石」では建設機械が主体であるなど、業種により保有状況が異なることがわかる。 リース・レンタル業者については、オフロード車メーカーの系列下にあるかどうかの違いによりそれ ぞれ確認したところ、オフロード車メーカーの系列の事業所では産業機械が多く、オフロード車メー カーの系列でない事業所では建設機械が中心であり、系列の違いにより保有状況が異なることが わかった。 25 表 3-2-6 オフロード車保有台数内訳 (単位:台) 製造業 業種 建設機械 食品 32 961 87 金属 26 414 0 生コン 275 142 0 砕石 786 21 1 鉱山 190 76 1 22 222 0 816 2,160 0 2,041 21 5 その他 リース・レンタル メーカー系列 メーカー系列以外 産業機械 農業機械 (製造業 n=488、リース・レンタル業者 n=52) 次に、保有するオフロード車について、適合車両や電動車両への更新がどの程度進んでいる かを確認した。オフロード法適合車両及び電動車両等(電動車両とハイブリッド車)の導入状況を 図 3-2-9 に示す。適合車両の導入率は製造業(図 3-2-9 の「砕石」∼「その他」が該当)では 16%、電動車両等との合計で 43%であった。 「食品」「金属」では、電動車両等との合計では 50%を超えていた。これらの業種では産業機械 が中心であり、フォークリフトの電動車両化が進んでいることがわかった。「リース・レンタル業者」で は適合車の割合が製造業よりも高く、特に内訳のほとんどが建設機械である「リース・レンタル」で は適合車の割合が 60%近くに達している。建設機械におけるオフロード法適合車両への更新には、 リース・レンタル業者の影響が大きいことがわかった。 26 砕石 24% 24% 鉱山 23% 25% 19% 金属 52% 13% 13% 生コン 12% 食品 適合車割合 59% 適合車+電動等合計 1% その他 91% 16% 製造業合計 43% 59% 60% リース・レンタル 55% リース・レンタル[販売会社] 0% 20% 40% 60% 91% 80% 100% 図 3-2-9 保有車両に対するオフロード法適合車両及び電動車両等導入状況 (2) 保有・運用形態 製造業におけるオフロード車の保有・運用形態を「自社保有」「リース・レンタル」「外注委託」の 3 区分で確認した結果を表 3-2-7 に示す。いずれの業種についても自社保有の割合が最も高く、 66.1%(食品)∼95.2%(生コン)に達している。なお、表 3-2-6 と台数の合計には差があるのは、車 種別保有台数と保有・運用形態による保有台数を別の質問で確認した関係による。 リース・レンタルについての導入割合は食品で 28.0%と最も高く、保有車両の内訳が建設機械中 心である生コン、砕石では砕石のほうが、リース・レンタルの導入割合が高かった。雇車等による外 注委託の割合はどの業種でも低いことがわかった。 表 3-2-7 製造業におけるオフロード車の保有・運用形態 (単位:台) 自社保有 リース・レンタル 外注委託 合計 食品 金属 生コン 砕石 合計 685 370 399 680 2,134 (66.1%) (83.5%) (95.2%) (89.1%) (80.2%) 291 61 20 71 443 (28.0%) (13.7%) (4.8%) (9.3%) (16.6%) 60 12 0 12 84 (5.7%) (2.7%) (0.0%) (1.5%) (3.2%) 1,036 443 419 763 2,661 (n=473) 27 (3) 更新の時期・頻度 製造業におけるオフロード車の平均更新年数を確認した。平均年数の計算は以下の計算式を 用いた。表 3-2-8 に示すように、製造業における平均更新年数は 10 年を超過し、生コンでは平均 年数で 15 年を超えるとみられることがわかった。 ≪計算式≫ 平均更新年数=延べ年数(事業所が回答した更新年数の合計)÷事業所数 表 3-2-8 製造業におけるオフロード車の平均更新年数 (単位:年) 業種 回答 延べ 平均 事業所数(件) 年数(年) 年数(年) 食品 150 1,671 11.14 金属 61 770 12.62 生コン 107 1,731 16.17 砕石 56 599 10.69 (更新年数の記載のあった事業所数、年数で幅のある回答は最長の年数で計算) (n=374) 3-2-5 使用者におけるオフロード車に係る環境対策及び必要と考える支援 使用者におけるオフロード車に係る環境対策への取り組みの現状を図 3-2-10 に示す。使用者 における取組は「適正燃料の利用」「アイドリングストップ」「作業者の教育」が中心であった。「効果 的な作業計画の立案」に取り組む事業者はこれらの事業者の半数程度であり、「工場内部のレイア ウトの改善」に取組む事業者は少ないことがわかった。また、「特に実施していない」も多かった。 28 アイドリングストップ 食品 適正燃料の利用 金属 生コン 砕石 作業者の教育 特に実施していない 鉱山 その他 効果的な作業計画の立案 工場内部のレイアウトの改善 0 50 100 150 200 (件) 250 (n=488 複数回答あり) 図 3-2-10 使用者におけるオフロード車に係る環境対策への取り組みの現状 環境対策としてオフロード車両の維持・更新計画を立てているかを確認した結果を図 3-2-11 に示す。鉱山を除いたいずれの業種でも計画を立てている事業者は少数(10%∼20%程度)である が、その中では鉱山及び砕石と食品で作業計画の立案が行われる割合が高かった。食品は屋内 で使用していること、鉱山及び砕石では事業所 1 ヶ所あたりの稼動台数の多さが影響していること がうかがえた。 鉱山 4 4 13 砕石 食品 その他 52 26 150 1 6 金属 6 75 生コン 10 126 立てている 立てていない (件) 0% 20% 40% 60% 80% 100% (n=473) 図 3-2-11 オフロード車の環境対策としての車両の維持・更新計画の有無 オフロード車普及のために使用者が必要であると考える支援の内容を図 3-2-12 に示す。「オフ ロード車向け補助金」が最多であったが、販売会社からのサービス・助言等も多いことがわかった。 また、「セミナー・講習会」と「官庁からのマニュアル」はほぼ同程度の水準であり、同じ程度のニー ズがあることがわかった。 29 オフロード車向け補助金 販売会社のサービス・助言等 食品 金属 生コン 企業運転資金 砕石 鉱山 その他 セミナー・講習会 官庁からのマニュアル コンサルタント・指導員 0 50 100 150 200 250 300 350 (件) (n=488 複数回答あり) 図 3-2-12 オフロード車普及のために使用者が必要と考える支援 3-2-6 通常業務で利用している情報の入手経路・入手形態 オフロード法に限らず通常業務で利用している情報の入手経路について、製造業(食品、金属、 生コン、砕石、鉱山、その他)と製造業以外の業種(販売店、リース・レンタル、整備)に分けて確認 した。 製造業における通常業務で利用している情報の入手経路の内訳を図 3-2-13 に示す。製造業 では全般的に「取引先」「業界団体」が最も活用されており、次いで「同業者」「行政」からの経路が 使われていることがわかった。 取引先 業界団体 食品 同業者 金属 生コン 行政 親会社 砕石 マスコミ 鉱山 その他 顧客 その他 0 50 100 150 200 250 (件) 300 (n=488 複数回答あり) 図 3-2-13 通常業務で利用している情報の入手経路の内訳[製造業] 30 販売店、リース・レンタル、整備の各業種における、通常業務で利用している情報の入手経路に ついては、図 3-2-14 に示すように販売店とリース・レンタル、整備との間で大きな違いがあることが わかった。販売店では「業界団体」「親会社」からの経路が最も活用されているが、リース・レンタル 業者・整備業者では「業界団体」「同業者」「取引先」からの経路が最も活用されている。製造業 (図 3-2-13)との比較では、販売店は製造業と全く異なる傾向であるが、リース・レンタル、整備は 製造業と似通った傾向となっている。 業界団体 親会社 販売 同業者 リース・レンタル 取引先 整備 行政 顧客 その他 マスコミ 0 10 20 30 40 50 (件) 60 (n=102 複数回答あり) 図 3-2-14 通常業務で利用している情報の入手経路の内訳[販売店、リース・レンタル、整備] 次に、通常業務で利用している情報の入手形態を確認した。確認の考え方は以下の通りとし た。 ≪確認の考え方≫ ・ 通知・説明に関してはどのような関係者から入手する傾向が強いか ・ どのような情報媒体が使われているか 製造業において通常業務で利用している情報の入手形態を整理した結果を図 3-2-15 に示す。 通知・説明によるものが最も多かった。「通知・説明」の内訳については「業界団体」「顧客・取引 先」「行政」からのものが多く、「本社・親会社」や「商工会議所・商工会」は少なかった。 通知・説明以外では、「新聞(一般紙・専門紙)」「講習会」「ホームページ」が多く使われていた。 31 通知・説明[業界団体」 通知・説明[顧客・取引先] 食品 通知・説明[行政] 新聞(一般紙、専門紙) 金属 通知・説明[本社・親会社] 生コン 講習会 ホームページ 砕石 通知・説明[商工会議所・商工会」 テレビ、ラジオ 鉱山 FAX その他 電子メール 郵便・宅急便 その他 0 50 100 150 200 250 300 350 (件) (n=488 複数回答あり) 図 3-2-15 通常業務において利用している情報の入手形態の内訳[製造業] 販売店、リース・レンタル、整備の各業者における、通常業務で利用している情報の入手形態を 図 3-2-16 に示す。情報の入手経路について確認した結果(図 3-2-14)と同様に、販売店とリー ス・レンタル、整備では傾向に違いがあった。 販売店では、通知・説明として「本社・親会社」「業界団体」の順に多く、通知・説明以外では「ホ ームページ」「新聞(一般紙・専門誌)「講習会」が多かった。 一方、リース・レンタル及び整備では、通知・説明は「業界団体」「顧客・取引先」からのものが多く、 通知・説明以外では「講習会」「新聞(一般紙・専門紙)」「ホームページ」の順であった。 販売店と製造業との間では傾向が異なるが、リース・レンタル及び整備と製造業との間では傾向 が似通っていることがわかった。 32 通知・説明[本社・親会社] 通知・説明[業界団体」 通知・説明[顧客・取引先] 販売 ホームページ 通知・説明[行政] リース・レンタル 講習会 整備 新聞(一般紙、専門紙) テレビ、ラジオ 電子メール 通知・説明[商工会議所・商工会」 FAX 郵便・宅急便 その他 (件) 0 10 20 30 40 50 60 70 (n=102 複数回答あり) 図 3-2-16 通常業務において利用している情報の入手形態の内訳 [販売店、リース・レンタル、整備] 3-2-7 アンケート調査のまとめ アンケート調査では「オフロード法の認知」「情報伝達体制」「使用者の関心・導入の動機」「オフ ロード車保有状況」「使用者におけるオフロード車に係る環境対策」「通常業務で利用している情 報の入手経路・入手形態」について調査した。アンケート調査のまとめを表 3-2-9 に示す。 33 表 3-2-9 アンケート調査 まとめ 項目 オフロード法の認知 まとめ オフロード車を供給する側(販売店やリース・レンタル業者など)での認 知度が高く、使用者側ではほとんど内容が知られていない 情報伝達体制 オフロード車メーカー及び販売店が情報発信の拠点として機能 情報の流れは販売店を起点とする一方通行 販売店等の営業活動の中で情報伝達される体制 使用者のオフロード車 価格やランニングコストを最も重視、環境性能はこれらに次ぐ関心事項 への関心及び導入の 導入の動機は「老朽更新」が主であり、「環境対策」や「社の導入方針」 動機 は「老朽更新」に次ぐ位置づけ オフロード車保有状況 製造業では基本的には自社保有 リース・レンタル業者では使用者より適合車両の導入される割合が高い 産業機械主体(食品・金属)、建設機械主体(生コン)など保有する車両 の構成に違い、業種ごとの対応の必要性を確認 使用者におけるオフロ アイドリングストップや適正燃料の使用などを主に実施 ード車に係る環境対策 作業レイアウトの変更、車両導入計画による対策はあまり実施されず 通常業務で利用してい 入手経路は、販売店では「オフロード車メーカー」が主、製造業、リース・ る情報の入手経路と入 レンタル、整備では「取引先」「業界団体」「同業者」が主 手形態 入手形態は、通達が主 (1) オフロード法の認知 販売店での認知が進んでいる一方で、使用者ではオフロード法の存在がほとんど知られていな い。使用者においては「よく知っている」が 5%に留まっており、まずオフロード法という法律の存在 自体を知らせていくべき段階に留まっている。 (2) 情報伝達体制 オフロード法の情報は、オフロード車の販売店を起点に、営業活動の一環としてオフロード法の 情報が伝えられる傾向が強く、また、関係者による双方向の情報交換も少なく、明確な情報伝達体 制は構築されていない。 (3) 使用者のオフロード車への関心及び導入の動機 使用者はオフロード車を導入する際には、価格やランニングコストを最も重視しており、それに次 ぐ条件としてオフロード車の環境性能を意識している。また、直接的な導入の動機として最も強いも のは老朽更新であるが、環境対策(ISO14001、EA21、CSR)や受注対応などの社の導入方針など もある程度は影響している。 34 (4) オフロード車保有状況 今回調査した製造業においては、オフロード車の保有形態は基本的には自社保有であることが 多い。また、リース・レンタル業者と比べて製造業では適合車の比率が低く、この傾向は産業機械 (フォークリフト)より建設機械(油圧ショベル、ブルドーザ、ホイールローダ等)でより目立つ傾向が ある。 (5) 使用者におけるオフロード車に係る環境対策 使用者におけるオフロード車に係る環境対策は、アイドリングストップや適正燃料使用などが中心 であり、作業レイアウトの変更や車両導入計画に基づく対策などはあまり実施されていない。 (6) 業務上の情報を入手する関係者と情報入手の形態 販売店と販売店以外(製造業、リース・レンタル、整備)の関係者では情報入手の形態が異なり、 販売店はオフロード車メーカーからの情報伝達が中心であるが、販売店以外では、取引先や業界 団体、同業者などの情報を主に活用している。 情報は基本的に通達の形で受けていることが多く、その他の方法では講習会や新聞、ホームペ ージを主な情報源としている。 3-3 ヒアリング調査 オフロード法の認知に関する現状や取組実態の詳細などを把握するために、メーカーを含め販 売店、使用者、リース・レンタル業者などに対してヒアリング調査を行った。ヒアリング調査では、ア ンケート調査で回答のあった事業者から、オフロード車に係る環境対策に関して何らかの取り組み をしていると思われた事業者を抜粋してヒアリングを行った。 3-3-1 オフロード法の認知経緯 使用者のオフロード法の認知経緯に関するヒアリング結果を表 3-3-1 に示す。販売会社からの 連絡以外に、講習会や社内会議、ISO 講習などがきっかけとなっている例を確認した。また、情報 媒体については官庁ホームページや新聞を活用した例を確認した。また、オフロード法について 「名前を聞いたことがある」と回答した事業者の中には、本アンケート調査で初めて知ったとする事 業者もおり、オフロード法の認知があまり進んでいないことがうかがえる結果となった。 35 表 3-3-1 使用者のオフロード法の認知経緯 事業者 事業内容 従業員数 情報を知った経緯 食品 a 焼酎製造 35 中小企業中央会の講習会の場。 食品 b 醤油製造 140 インターネットで調べて知った。ディーラーからの情報を受 けたことはないと思う。 食品 c 食肉加工 830 今回のアンケートで知った(アンケートの回答は「聞いたこと がある」)。インターネットで内容を確認した。 食品 d 食品製造・販 125 新聞で知ったが時期や内容などは覚えていない。 売業、冷凍冷 蔵倉庫業 金属 a 機器製造 96 初めて知った(アンケートの回答は「聞いたことがある」) 砕石 a 砕石業 9 社内の安全会議でオフロード法に関する案内がありはじめ て知った。 砕石 b 砕石業 28 富士経済の開催した ISO 講習の中でオフロード法が取り上 げられていた。使用されていたのは官庁の HP 資料がほと んど。 次に、整備業者のオフロード法の認知経緯に関するヒアリング結果を表 3-3-2 に示す。顧客か らの問い合わせにより認知できたケースもあり、実態としては法律を意識する機会が少ないことが 伺える結果となった。 表 3-3-2 整備業者のオフロード法の認知経緯 事業者 事業内容 従業員数 情報を知った経緯 整備 a 自動車整備、 16 基本的には今回のアンケートで知った。ただし、以前にもア 販売業 ンケートの主旨でこの法律の情報が送られてきたことはあ る。 整備 b 自動車整備 9 確か、お客さんが県の事業を受注するために、この車で大 丈夫かと聞かれたので販売会社に確認した。資料ではなく 口頭。 実情としては、オフロード車を受け入れる台数が少ないの で、あまり仕事の中でこの法律を意識する機会がない。 36 3-3-2 オフロード法の情報伝達の実態 オフロード法の認知経緯に関する回答(表 3-3-1 参照)に示すように、販売店や整備業者など のアンケート調査でも確認されたルート以外に、業界団体の講習会や社内会議、ISO 講習などが 役立っていることがわかった。また、表中には記載していないが、使用者の一部では販売店から情 報を受けていないという事業者もあり、販売店のルートではカバーできない事業者がいることも伺え た。 3-3-3 使用者におけるオフロード法の情報の活用状況 使用者におけるオフロード法の情報の活用状況に関する回答を表 3-3-3 に示す。「どういう時期 にどのような適用があるか」や「規制の内容や開始時期」など、法律の規制や適用範囲などの法対 応の観点で情報を活用しているという回答が多かった。また、活用に関連して、社内提案向けに取 組むことのメリットを資料に書いているとわかりやすいとする回答もあった。 表 3-3-3 使用者におけるオフロード法の情報の活用状況に関する回答 事業者 食品 a 事業内容 焼酎製造 従業員数 活用についての回答 35 どういう時期にどのような適用があるかを正確に知ることによ り、工事業務の審査に反映することができる。 食品 b 醤油製造 140 自社の車両が該当するかどうかを確認することにより法令遵守 への対応をとることができる。 食品 c 食肉加工 830 社内や工場向けの環境対策等の提案を行う際に、取り組むこ とのメリットが整理された資料があると社内向けに提案しやす い。 金属 a 機器製造 96 規制の内容や開始時期を確認し法令遵守に対応する。 砕石 a 砕石業 9 法律の規制に対応するため、法律の規則や対応する製品の情 報を確認する。 砕石 b 砕石業 28 官公庁(国土交通省など)による報道発表などを確認してい る。オフロード法だけを特別にチェックしているわけではない が、産廃関係の法律は頻繁に変更があり、車両関係の排出規 制も関わることから、オフロード法もその一つとして適宜チェック している。 このほか、製造業以外の意見として、自動車整備販売業の事業者(従業員数 16 名)から、「触媒 やマフラーに異常があった場合に適切な処置をさせていただくよう使用者にお願いをしている」と いう回答があった。 37 3-3-4 オフロード車からの排ガス対策の取り組み 使 用者にお けるオ フロード 車か らの排 出ガス対 策の取組 内容や 考え方に関 する回答 を 表 3-3-4 に示す。オフロード車の取り組みについて、作業環境の安全を図る観点での従業員や 協力会社を指導する例や、燃費削減の運転に取り組む例などが確認された。 表 3-3-4 使用者におけるオフロード車からの排出ガス対策の取組内容や考え方に関する回答 事業者 食品 b 事業内容 醤油製造 従業員数 その他意見 140 燃料の使用量を減らすという観点から、極力車両を使う 時間を短縮する、あるいは短縮するような意識をもって現 場で取り組んでいる。(CO2 等の排出量を減らすという観 点が主目的ではない)。 食品 d 食品製造・販 125 主に倉庫業を行っているので、商品の配置を変更するこ 売業、冷凍冷 とにより、燃料費などを削減することが目的。 蔵倉庫業 また、バッテリー車の充電作業は、ガソリン車で燃料を入 れる手間を考えると、より楽なので作業性も向上する。 食品 e 牛乳・乳製品 232 製造 金属 a 機器製造 食品を製造するので、排ガスを出す車両は工場建屋の 中に入れないルールになっている。 96 一般的な内容であり、特別ではないが作業環境の安全 や燃料の不完全燃焼の防止、従業員の健康への長期的 な影響を取り除くべく行っている。法定の点検は購入した 会社で行っている。 オフロード車をバッテリー車へ更新するメリットは、ガソリン 代が高値であり、電気であればコストを下げられること、目 に見えない部分だが従業員の健康を確保することにもつ ながる点があげられる。 砕石 a 砕石業 9 適正燃料の使用、今後の排出ガス規制の遵守などにつ いて、社内で会議を実施し、内容を所員に指導してい る。伝える。また社内のほかに、所内で業務に従事する 下請け会社の車両や出入りの業者にも伝えている。 砕石 b 砕石業 28 車両の更新に関しては、燃費の向上がメリットであるが、 コスト面が課題。徐々に進めていくという考え方。 38 オフロード車からの排出ガス対策に関する製造業以外における取組内容や考え方に関する回答 を表 3-3-5 に示す。整備業者では使用者に対してメーカー提供の資料を使った説明を行ってい ること、またリース・レンタル業者では使用者に対して不適正燃料の使用による故障等については 修理代を請求する旨の話を行っていることなどについて回答があった。 表 3-3-5 取組内容や考え方に関する回答[製造業以外] 事業者 整備 c 事業内容 従業員数 その他意見 建設機械整 11 オフロード車メーカーが提供した資料を使い、内容等を 備、大型特殊 ユーザーへ説明している。 車車検整備 リース・レンタ レンタル業 ルa 3 オフロード法の適合車両は原動機の燃焼がデリケートで あり不適正燃料によるトラブルが頻発している。これによ る故障の場合には修理代を請求する旨を説明している。 ただし、それでもユーザー側はほとんど守らないのが現 状である。 3-3-5 オフロード車に係る環境対策により使用者が期待するメリット 燃料費の節減と作業環境の安全性や長期的な健康配慮を、オフロード車の排出ガス対策のメリ ットとして位置付けている事業者が多かった(表 3-3-4 参照)。特に、燃費の節減を第一とする傾 向が強く、排ガス削減や CO2 排出量削減という考え方よりも優先される傾向があった。 表 3-3-4 に挙げた回答以外の意見としては、「室内使用や使用台数が多い点が取組の熱心さと 関係するという意見もある(使用者)」や「オフロード車に係る環境対策の浸透が修理経費削減など のメリットと直結する(リース・レンタル業者)」などの意見があった。 3-3-6 ヒアリング調査のまとめ ヒアリング調査では、オフロード法の認知、情報伝達の実態、使用者におけるオフロード法の情 報の活用状況、オフロード車からの排出ガス対策の取り組み、オフロード車に係る環境対策により 使用者が期待するメリットについて調査した。 39 表 3-3-6 ヒアリング調査のまとめ 項目 結果 使用者のオフロード法の 販売店からの情報伝達の他に、講習会や ISO 講習などの場がオフロ 認知経緯 ード法の情報伝達に役立っている。 法の認知状況はアンケートで把握した以上に低いことがうかがえる。 オフロード法の情報伝達 販売店ルートなどの既存ルートがうまく活用されていないケースがあ の実態 る。 使用者におけるオフロー 企業のコンプライアンス(法令遵守)の観点から法律がチェックされて ド法の情報の活用状況 いる。 社内の改善提案で活用されるケースもある。 使用者におけるオフロー 燃料の節減、作業環境対策に基づく安全指導などが行われている。 ド車からの排出ガス対策 の取り組み オフロード車に係る環境 燃料の節減、作業環境の安全性確保など。 対 策 に よ り使 用 者 が期 待するメリット (1) 使用者のオフロード法の認知経緯 アンケート調査でも確認された販売店経由のネットワーク以外では、所属する業界団体の講習会 や、ISO 講習などの場で情報を収集しているケースを確認した。また、本調査により初めてオフロー ド法のことを知ったケースも確認しており、オフロード法の周知がアンケート結果で把握した認知割 合(約 5%)よりも低い可能性があることがうかがえた。 (2) オフロード法の情報伝達の実態 使用者からは販売店からの情報が十分に伝えられていないことを指摘する意見もあり、日頃から の販売店との付き合いのない、いわゆる販売店のネットワークから外れた事業者が情報不足に陥 っていることがうかがえた。 (3) 使用者におけるオフロード法の情報の活用状況 使用者において、自らが使用するオフロード車をいつ更新する必要があるかという観点で情報を 収集するケースが多いことを確認し、具体的には法律の適用時期や対象車種などに関心があるこ とがわかった。一方で、オフロード法に関係する自主的な取り組みを行うためには、効果を明示し た情報があると活用しやすいという使用者の意見もあった。 40 (4) 使用者におけるオフロード車からの排出ガス対策の取り組み 使用者は、基本的には燃料節減対策や作業環境安全に伴う指導を通じて、排出ガス低減対策 を行っていることが多い。具体的には車両の運転手に対する燃料節減の心がけや、工場敷地内に おける安全指導の一部にオフロード車の運転対策を取り込むなどの形で行われている。 (5) オフロード車に係る環境対策により使用者が期待するメリット 使用者の多くは、燃料の節減や作業環境の安全性の確保をメリットとして挙げている。オフロード 法の目的はオフロード車からの排出ガス削減であるが、使用者側で受け取られているメリットは法 律を執行する側の考え方と異なっている。 3-3-7 オフロード法の認知・対策実施状況のまとめ 本調査では、アンケート調査とヒアリング調査によりオフロード法の認知状況や情報伝達網などの 実態調査を実施した。アンケート調査及びヒアリング調査を元に表 3-3-7 のようにオフロード法の 認知状況や対策実施状況を整理した。 41 表 3-3-7 アンケート調査・ヒアリング調査のまとめ 項目 オフロード法の認知 調査結果 ・ 法の認知は販売店など車両供給側で高いが(販売店 80%)、使用者 側では殆ど知られていない 情報伝達体制 ・ 販売店を拠点とする販売網が主要ネットワークとして機能 −オフロード車メーカー及び販売店が情報発信の拠点として機能 −販売店等の営業活動の中で情報伝達される体制 ・ 業界団体の経路や、ISO のプロセスにおける教育・訓練などの活用 例もあり 使用者のオフロード車 への関心 ・ 使用者はコスト面を最も重視 −燃料費やその他ランニングコストのメリットを重視 ・ 排ガス削減の効果は作業環境の安全を測るという観点で取り組む ・ 基本的には法令遵守の観点で情報を活用 オフロード車保有状況 ・ 製造業では自社保有主体(本調査で 80%)、適合車率は 20%程度 ・ リース・レンタル業者では製造業より適合車への更新が早く進む オフロード車更新の考 ・ 老朽更新が第一の動機 え方 ・ 環境対策や CSR などをはじめとした社の導入方針による更新は、老 朽更新の次の動機としての位置づけ 使用者におけるオフロ ・ 燃料の節減のための車両運用対策と作業環境安全対策としての取り ード車に係る環境対策 組みが中心であり、排出ガス対策よりも燃料節減という考え方 通常業務で利用してい ・ 販売店と製造業、リース・レンタル、整備で異なる情報入手経路 る情報の入手経路と入 − 販売店・・・・「オフロード車メーカー」 手形態 − 製造業、リース・レンタル、整備 ・・・・「取引先」「業界団体」「同業者」 ・ 通達・通知類を使う傾向が強い ・ 通達・通知類以外では、新聞、ホームページ、講習会を主に使用 42 3-4 九州地域におけるオフロード車の使用実態及び台数推計 3-4-1 推計の対象と方法 本調査では、オフロード車の保有台数について「九州地域の全業種」「九州地域の製造業」「九 州地域の製造業中、事業所数の多い 3 業種(食品、金属、窯業・土石)」の 3 種類の推計を行っ た。 オフロード法の対象となるオフロード車は、建設機械、産業機械、農業機械に大別される。本調 査では製造業に関する推計を行ったので、農業機械は可能な範囲で除外して推計した。 九州地域におけるオフロード車の推計方法を図 3-4-1 に示す。 ① 九州地域の「全業種」の保有台数 a. 建設機械 平成21年度建設機械動向調査による管理台数 平成23年度特定自主検査の実施台数 突合せ b. 産業機械 × 電動車両比率 × 平成23年度特定自主検査の実施台数 推計台数 エンジン式車両中の オフロード法適合車両 の比率 推計台数 ② 九州地域の「製造業」の保有台数 a. 建設機械 ①の保有台数(建機) × 建設機械動向調査「主要建設機械の補正 係数を用いた推定保有台数」に基づく製 造業比率(九州地域) 推計台数 × 委員会助言に基づく製造業比率 推計台数 b. 産業機械 ①の保有台数(産機) ③ 九州地域の製造業中、事業所数の多い「3業種」の保有台数 当該業種の従業員数 (経済センサス平成21年度版) アンケートで把握した保有台数 × 推計台数 アンケート従業員数 図 3-4-1 九州地域におけるオフロード車の推計方法 3-4-2 九州地域の全業種及び製造業の保有台数の推計 (1) 建設機械 1) 推計対象と方法 平成 21 年度建設機械動向調査の管理台数による推計と、建設荷役車両安全技術協会が公開 する特定自主検査の実施台数による推計を行い、両方の結果を比較して最終的な推計台数を算 出した。推計に用いるデータ及び推計の範囲を表 3-4-1 の通りとした。 43 表 3-4-1 建設機械の推計に用いたデータ及び推計の範囲 項目 推計に用いたデータ 内容 平成 21 年度建設機械動向調査 平成 23 年度特定自主検査 推計の範囲 全業種、製造業 2)推計結果 ① 建設機械動向調査による全業種の保有台数推計 九州地域の主要建設機械の管理台数「建設機械動向調査(平成 21 年度)」より、建設機械動向 調査による九州地域の主要建設機械の「管理台数」を確認した。主要機械の管理台数については、 81,449 台であった(表 3-4-2)。 *「建設機械動向調査」における主要建設機械管理台数 建設機械を製造・販売している製造業者及び国産機械又は輸入機械を販売している商社等が、アフターサービ スなどのために管理している機械の台数を最終需要者が保有するとみなした台数が建設機械管理台数である。 44 表 3-4-2 平成 21 年度 九州地域の主要建設機械の管理台数 管理台数(回答ベース) 機 械 名 規 格 区 8.6% 10∼20t未満 511 8.4% 20t以上 406 7.3% 3,294 8.4% 0.2 ㎥未満 33,123 11.0% 0.2 ㎥~0.6 ㎥未満 18,236 9.9% 0.6 ㎥以上 12,572 12.5% 63,931 10.9% 343 5.8% 0.6 ㎥未満 8,006 12.3% 0.6 ㎥~3.6 ㎥未満 5,246 6.6% 629 10.7% 13,881 9.2% 81,449 10.4% (ハンドガイドを除く) 計 油圧式ショベル系掘削機 平積容量 (ハンドガイドを除く) 計 履帯式トラクタショベル 標準バケット 車輪式トラクタショベル 山積容量 対全国比% 2,377 整備重量 標準バケット 台数 3∼10t未満 ブレード付 履帯式ブルドーザ 分 (ホイールローダ) 3.6 ㎥以上 計 合計 注) ※印は厚生労働省移動式クレーン設置台数を引用(参考値) 出典:経済産業省・国土交通省「平成 21 年度建設機械動向調査」 現在の管理台数を予測するため、「主要建設機械の推定保有台数の推移」と「主要建設機械の 国内販売金額」を用い、平成21年度から現在にいたる建設機械管理台数の増減の傾向について、 把握を行った。主要建設機械の推定保有台数は平成11年度から減少傾向であり、直近の平成19 年度から平成21年度にかけての減少幅は8%である(図 3-4-2)。 45 台数 1,400,000 油圧ショベル ミニショベル 1,200,000 車輪式トラクタショベル ブルドーザ 履帯式トラクタショベル 1,000,000 油圧式トラッククレーン ラフテレーンクレーン 機械式トラッククレーン 800,000 600,000 400,000 200,000 0 56 58 60 62 1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 年度 図 3-4-2 主要建設機械の推定保有台数の推移 [全国] 出典:経済産業省・国土交通省「平成21年度建設機械動向調査」 同時期の主要建設機械の国内・輸出出荷金額の年度別傾向については、平成15年度から平 成19年度は増加傾向、平成19年度∼平成21年度にかけては57%の減少、その後は増加傾向にあ る(図 3-4-3)。 46 (百万円) 1,800,000 1,600,000 1,400,000 1,200,000 出 荷 1,000,000 金 額 800,000 国内 輸出 600,000 400,000 200,000 0 平成15 平成16 平成17 平成18 平成19 平成20 平成21 平成22 平成23 (年度) 図 3-4-3 主要建設機械の国内・輸出出荷金額 出典:日本建設機械工業会 建設機械出荷金額統計 主要建設機械の推定保有台数(図 3-4-2)と主要建設機械の国内・輸出出荷金額(図 3-4-3) を比較した結果を表 3-4-3に示す。平成21年までの推定保有台数は出荷金額に関わらず減少傾 向にあることと、平成21年以降の出荷金額が増加傾向にあるが平成20年以前の水準に回復してい ないことから、平成21年以降の管理台数は「やや減少傾向」にあると推定した。 表 3-4-3 主要建設機械の在籍または稼動台数と国内・国外出荷金額の年度別傾向 年度 傾向 在籍・稼動台数 出荷金額 平成15∼平成19 減少 増加 平成19∼平成21 減少 減少 (データなし) 増加 平成21以降 以上の動向から、九州地域の主要建設機械の管理台数に基づく、九州地域の建機の保有台数 については、平成21年度の81,000台からやや減少の傾向を示していることから、約80,000台と推 計した。 47 ② 特定自主検査実施状況による全業種保有台数の推計 九州 7 県の平成 23 年度特定自主検査の実施台数(大臣登録・局長登録分)は合計 54,550 台 であった(表 3-4-4 参照)。 *特定自主検査 建設機械、産業機械の実質的な年次検査にあたり、実質的に稼働する同車両の台数の傾向 を反映している。特定自主検査には、使用者が自社で使用する機械を自社内の資格を持つ検査者により検査する 「事業内検査」と、使用者が登録検査業者(厚生労働大臣または都道府県労働局に登録した検査業者)に検査を 依頼する「検査業者検査」がある。登録検査業者は、厚生労働大臣へ登録し複数の県にまたがり検査ができる、い わゆる「大臣登録業者」と、都道府県労働局へ登録した「局長登録業者」がある。 表 3-4-4 特定自主検査実施状況(平成 23 年度 大臣登録・局長登録) 車両系建設 県名 不整地運 搬車 機械(整地・ 車両系建設 車両系建設 車両系建設 運搬・積込 機械(基礎工 機械(締固め 機械(コンクリ み用・掘削 事用) 用) ート打設用) 高所 フォーク 作業車 リフト 用・解体用) 福岡県 105 8,276 554 640 81 1,895 23,102 佐賀県 54 2,564 104 289 17 259 4,601 長崎県 55 4,654 94 567 40 715 4,692 熊本県 93 5,764 144 405 6 673 7,176 大分県 121 4,901 50 575 10 747 4,930 宮崎県 104 6,573 48 892 13 430 5,337 鹿児島県 103 9,600 226 1,297 48 764 6,869 合計 54,550 56,707 出典:公益社団法人建設荷役車両安全技術協会 特定自主検査の実施台数を算出するためには、表 3-4-4 の登録検査業者により実施された台 数のほかに、事業内検査として実施された台数を加える必要があるので、事業内検査の台数につ いて特定自主検査済標章の頒布状況を目安にした。平成 19 年、平成 20 年の実績では、事業内 用標章の検査業者用標章の割合は約 50%であった(表 3-4-5)。 48 表 3-4-5 特定自主検査済標章頒布状況(九州 7 県、平成 19 年及び平成 20 年) 検査業者用標章(A)(枚) 事業者内用標章(B)(枚) H19 112,174 57,364 51.1 H20 111,624 55,838 50.0 B/A(%) 出典:建設荷役車両安全技術協会「特定自主検査済標章等頒布状況(平成20年)」 そこで、事業内検査の台数を、登録検査業者による台数の半数であると推定し、特定自主検査 の実施台数を計算した。計算式は以下の通りである。 ≪計算式≫ 特定自主検査台数[大臣登録・局長登録]×(1(登録業者検査)+0.5(事業内検査))= 特定自主検査台数[総数] 計算式により、特定自主検査台数に基づく、九州地域の建設機械の保有台数は約82,000台と推 計した(54,550×1.5=81,825)。 ③ 九州地域の建設機械の台数の推計 九州地域の建設機械の台数についての推計結果を表 3-4-6に示す。 表 3-4-6 九州地域の建設機械の推計台数 推計方法 結果 九州地域の主要建設機械の管理台数に基づく推計 約80,000台 特定自主検査による推計 約82,000台 これらから、九州地域の建設機械の台数は、約80,000台∼82,000台であると推計した。 49 ④ 製造業における建設機械の保有台数の推計 建設機械の保有台数のうち、製造業が保有する割合については、建設機械動向調査の「主要 建設機械の補正係数を用いた推定保有台数」を用いて推計した。「主要建設機械の補正係数を 用いた推定保有台数[九州地域](土工機械)による業種別推定保有台数」を図 3-4-4に示す。 9%(9,506) 33%(33,610) 15%(14,884) 建設業 建設機械器具賃貸業等 1%(1,149) 官公庁等 その他 不明のもの 42%(42,885) 図 3-4-4 主要建設機械の補正係数を用いた推定保有台数[九州地域](土工機械) による業種 別推定保有台数 出典:「建設機械動向調査報告書(平成 21 年度版)」より作成 建設機械動向調査では、図 3-4-4のうち「その他」の一部に、製造業で使用中の建設機械が含 まれているとの説明がある。本調査では、「その他」に該当する建設機械のうち製造業で保有する 割合について、以下の考え方により「その他」15%のうち10%が製造業であるとした。なお、この推計 ではアンケート調査の対象である窯業・土石製品製造業の事業者中に一部含まれている「採石業、 砂・砂利・玉石採取業」も推計の対象としている。 ≪製造業で保有する割合に関する考え方≫ ・ 「その他」に含まれる製造業の割合 オフロード車の販売店へのヒアリング調査の結果、製造業向けの販売台数が運輸業向けの販 売台数を上回るとみられたので「その他」15%のうち10%が製造業であると推定。これを「製造業 保有率」とした。 50 この「製造業保有率」を用いて、九州の建設機械の保有台数から、製造業における保有台数を 推計した。推計には次の計算式を用いた。 ≪計算式≫ [九州地域の建設機械の保有台数]×[製造業保有率]=九州地域の製造業の建設機械の保有台数 計算の結果、表 3-4-7に示すとおり、九州地域の製造業において保有される建設機械の台数 は約8,000台∼約8,200台の範囲にあると推計した。 表 3-4-7 九州地域の製造業で保有される建設機械の台数の推計結果 区分 (2) 計算式 結果(台) 最大 82,000台[保有台数]×0.10[製造業保有率] 8,200 最小 80,000台[保有台数]×0.10[製造業保有率] 8,000 産業機械 1) 推計対象と方法 産業機械については、フォークリフトについて推計を行った。 推計にあたっては、特定自主検査の検査台数に基づく台数に、(社)日本産業車両協会が公開 するフォークリフトの生産台数・国内販売台数に占める電動フォークリフトの割合と、主要メーカーヒ アリングに基づく製造業向け販売台数の割合を用いて、製造業におけるオフロード法対象のフォ ークリフトの台数を推計した。 推計に用いるデータ及び推計の範囲を表 3-4-8 の通りとした。 表 3-4-8 産業機械の推計に用いたデータ及び推計の範囲 項目 推計に用いたデータ 内容 特定自主検査の検査台数 フォークリフトの生産・国内販売台数 推計の範囲 全業種、製造業 2) 推計結果 ① 特定自主検査の検査台数に基づく全業種の保有台数の推計 平成 23 年度のフォークリフトの特定自主検査の実施台数(大臣登録、局長登録)は 56,707 台で あった(表 3-4-4(48 ページ)参照)。九州地域の全台数の推計については、建設機械の推計と同 様に、登録検査業者による検査台数に事業内検査による検査台数の上乗せ計算を、次の計算式 により行った。 51 ≪計算式≫ 特定自主検査台数[大臣登録・局長登録]×(1(登録業者台数)+0.5(事業内検査台数))= 特定自主検査台数(総数) 計算式により、特定自主検査台数に基づく、九州地域のフォークリフトの保有台数を約 85,000 台 と推計した(56,707×1.5=85,060)。 ② バッテリーフォークリフトの割合の推計 (社)日本産業車両協会が公開するフォークリフトの暦年国内販売台数の全国統計から、当該年 におけるバッテリーフォークリフトの割合を推計した。 推計にあたっては、販売されたフォークリフトは更新時期まで使用され、使用中の台数に対する バッテリーフォークリフトの割合に影響することを考慮して、更新周期に相当する年数分の販売台 数の合計から、フォークリフトの台数の比率を計算する方法をとった。 フォークリフトの更新周期については、本調査のアンケート結果や委員会助言より 10 年∼12 年 程度とした。そして、以下の計算によりバッテリーフォークリフトの割合を推計した。(なお、推計にお いては販売台数 10 年分の合計により計算した。) ≪計算方法≫ ① 当該年における当該年を含む 10 年分の販売台数総計を計算 ② ①におけるバッテリーフォークリフトの割合を計算 (台) 900,000 0.60 800,000 700,000 600,000 台 数 500,000 0.34 0.35 0.37 0.38 0.39 0.40 0.42 0.43 0.45 0.46 0.47 0.48 0.490.50 0.40 0.30 400,000 ディーゼル ガソリン バッテリー バッテリー割合 0.20 300,000 200,000 0.10 100,000 0 0.00 平成11 平成12 平成13 平成14 平成15 平成16 平成17 平成18 平成19 平成20 平成21 平成22 平成23 図 3-4-5 フォークリフトの当該年を含む過去 10 年間の販売台数合計と バッテリーフォークリフトの割合 出典:社団法人日本産業車両協会 フォークリフト国内販売実績より作成 52 フォークリフトの当該年を含む過去 10 年間の販売台数合計とバッテリーフォークリフトの割合を 図 3-4-5 に示す。これにより、フォークリフト全体に対するバッテリーフォークリフトの割合を平成 12 年から平成 23 年におけるバッテリーフォークリフトの割合から 0.35∼0.49 と推計した。 ③ 九州地域のオフロード法対象のフォークリフトの台数 九州地域のオフロード法対象のフォークリフト台数については、エンジン式フォークリフトに対す るオフロード法適合車両の割合から、オフロード法台数を算定することとした。 エンジン式フォークリフトに占める、オフロード法適合車両の割合については、次の計算式により 0.5∼0.6と推計した。 ≪計算式≫ オフロード法施行(平成18年)以降の年数(6年)÷フォークリフトの更新周期(10年∼12年)= エンジン式フォークリフトに占めるオフロード法適合車両の割合 そして、以下の計算式により、オフロード法対象のフォークリフトの台数を算出した。 ≪計算式≫ 九州地域のフォークリフト保有台数×[1-バッテリーフォークリフト割合(0.35∼0.49)]× [エンジン式フォークリフトに占めるオフロード法適合車両の割合(0.5∼0.6)] =九州地域のオフロード法対象のフォークリフトの台数 計算の結果、表 3-4-9 に示すように、約 85,000 台中、約 22,000 台∼33,000 台がオフロード法 の対象となるフォークリフトであると推計した。 表 3-4-9 オフロード法の対象となるフォークリフトの推計台数 区分 計算式 最大 85,000 台[保有台数]×0.65[エンジン式フォークリフト割合]×0.6[オフ 結果(台) 33,150 ロード法対象者の比率] 最小 85,000 台[保有台数]×0.51[エンジン式フォークリフト割合]×0.5[オフ ロード法対象者の比率] 53 21,675 ④ 製造業における保有台数の推計 フォークリフトに関する販売先別の統計は公開されていないため、九州内の産業機械のうち製造 業が保有する割合を、委員会による助言に基づき推計する方法をとった。委員会助言に基づき主 要メーカーに確認した結果により、フォークリフトの保有台数のうち製造業の占める割合が 30%であ ると推定し、製造業における全フォークリフト保有台数を 25,500 台、オフロード法対象となるフォー クリフト保有台数を 6,500 台∼9,900 台と推計した。 3-4-3 九州地域の製造業主要三業種におけるオフロード車保有台数の推計 九州地域の主要三業種(食品、金属、窯業・土石)におけるオフロード車の保有台数について、 アンケート結果から推計を試みた。 なお、以下の推計は、アンケートのサンプルのばらつきによる影響を大きく受けるので、試算の 1 つの例との位置づけで実施した。 (1) 推計方法 保有台数と従業員数、資本金、売上高による回帰分析を行った結果、従業員数、資本金、売上 高による重回帰分析でも相関でも相関係数は同等であるなどの理由により、従業員数のみが保有 台数に何らかの関連があると考えられたので、保有台数と従業員数により推計を行った。計算式は 以下の通りである。 ≪計算式≫ 保有台数[アンケート]×従業員数[九州全体]÷従業員数[アンケート]=保有台数[九州全体] 本調査アンケートにおける、オフロード車保有台数の一覧を表 3-4-10 に示す。推計はこのデ ータを使い実施した。 表 3-4-10 本調査アンケートにおけるオフロード車保有台数一覧 従業員数 建設機械 産業機械 農業機械 食品 32 961 87 352 188 30,832 金属 26 414 0 123 82 6,172 生コン 275 142 0 172 138 2,815 砕石 786 21 1 72 67 1,336 鉱山 190 76 1 12 8 2,254 その他 22 222 0 12 7 1,242 1,331 1,836 89 743 490 44,651 合計 54 事業所数 保有事業 業種 所数 推計に先立ち、食品に「農業機械」「建設機械」が、生コンの「産業機械」が含まれる理由をヒアリ ング調査により確認した(表 3-4-11)。この結果、食品の「農業機械」は事業内容に農業が含まれ る場合のみ使われているため計算の対象から除外し、一方、食品の「建設機械」及び生コンの「産 業機械」は製造業で使われているので計算対象とした。 表 3-4-11 食品・生コン関係の車両保有状況の確認結果 区分 食品 生コン 理由 農業機械 事業内容に農業関係の事業が含まれる 建設機械 食肉、畜産などと関係がある事業者で肥料調整や残さ運搬で使用 産業機械 2 次製品を生産(複数保有事業者) 機械修理用、型枠移動など不定期用途で保有(1 台または 2 台保有) 当該業種の全事業所数及び事業者数は、経済センサス平成 21 年度版より「産業(小),経営組 織(2)別事業所数,従業者数−都道府県」を用いた。計算対象とした産業区分は表 3-4-13 の通り である。 表 3-4-12 計算対象とした産業分類 業種 食料品製造業 日本標準産業分類 090∼098 (食料品製造業より産業分類 099「その他の食料品製造業」を除いたもの) 金属製品製造業 244 建設用・建築用金属製品製造業(製缶板金業を含む) 245 金属素形材製品製造業 246 金属被覆・彫刻業、熱処理業(ほうろう鉄器を除く) 247 金属線製品製造業(ねじ類を除く) 248 ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業 窯業・土石製品製造業 212 骨材・石工品等製造業 218 セメント・同製品製造業 産業区分に基づく当該業種の事業所数及び従業員数は表 3-4-13 の通りである。 55 表 3-4-13 当該業種の事業所数一覧 区分 食料品 金属製品 製造業 製造業 窯業・土石製品 製 造 業 事業所数 4,540 2,862 1456 従業員数 105,953 37,286 21,370 出典 経済センサス 平成 21 年度版 基礎調査 (2) 推計結果 試算した結果を表 3-4-14 に示す(窯業・土石製品製造業については生コンを用いて計算して いる)。 表 3-4-14 試算結果 業種 車種 食品 建機 32(台)×105,953(人)÷30,832(人) 産機 961(台)×105,953(人)÷30,832(人) 建機 26(台)×37,286(人)÷6,172(人) 産機 414(台)×37,286(人)÷6,172(人) 2,501 建機 275(台)×21,370(人)÷2,815(人) 2,087 産機 142(台)×21,370(人)÷2,815(人) 1,077 金属製品 窯業・土石 計算式 結果(台) 109 3,302 157 3-4-4 推計結果のまとめ 本調査では、九州地域の全業種及び製造業からの文献による推計と、九州地域主要三業種の アンケートによるオフロード車台数の推計を行った。全業種及び製造業におけるオフロード車保有 状況推計結果を表 3-4-15 に示す。 表 3-4-15 全業種及び製造業におけるオフロード車保有状況推計結果 業種 全業種 車種 建設機械 80,000∼82,000 産業機械 85,000 (うちオフロード法対象分) 製造業 台数(台) 22,000∼33,000 建設機械 8,000∼8,200 産業機械 25,500 (うちオフロード法対象分) 56 6,500∼9,900 製造業主要三業種におけるオフロード車保有状況推計結果を表 3-4-16 に示す。 表 3-4-16 製造業主要三業種におけるオフロード車保有状況推計結果 業種 車種 食品 建設機械 109 産業機械 3,302 建設機械 157 産業機械 2,501 建設機械 2,087 産業機械 1,077 金属製品 窯業・土石 台数(台) 対象業種 日本標準産業分類 090∼098 日本標準産業分類 244∼248 日本標準産業分類 212 この結果、製造業主要三業種におけるオフロード車の推定保有台数は、建設機械は 2,353 台、 産業機械は 6,880 台であった。 57