Comments
Description
Transcript
「人・もの・こと」との豊かなかかわりを通して
目 次 目次・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 1 研究主題について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 (1) 研 究 主 題 (2) 研 究 主 題 設 定 の 理 由 2 目指す児童像 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 3 研究仮説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 4 研究仮説を具現化するための方策 ・・・・・・・・・・・・・・・3 5 研究構想図 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 6 研究の実際 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 (1) か か わ り を 通 し た 、 実 感 を 伴 う 学 び の た め の 指 導 過 程 の 工 夫 ・ ・ 5 (2) 体 験 的 な 活 動 と の 関 連 を 図 っ た 学 習 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 8 (3) 地 域 の 人 々 や 地 域 の 特 性 を 生 か し た 学 習 ・・・・・・・・ 11 (4) 「 生 き た 教 材 」 で あ る 給 食 と 各 教 科 と の 関 連 を 図 っ た 学 習 ・14 (5) 学 校 栄 養 職 員 や 養 護 教 諭 等 の 専 門 性 を 生 か し た 指 導 ・・・・18 (6) 交 流 活 動 の 推 進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 (7) 家 庭 と の 連 携 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 7 研究のまとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28 (1) 課 題 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 8 (2) 成 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 2 9 おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 はじめに 本 校 は 、「『 徳 ・ 知 ・ 体 』 調 和 の と れ た 子 ど も の 育 成 」 を 教 育 目 標 と し て 、 そ の 具 現 化 を 図るために健康教育活動を推進している。 「 食 」は 生 き る 力 の 源 で あ り 、 「豊かな心の育成」 「 確 か な 学 力 の 育 成 」「 健 や か な 身 体 の 育 成 」 を 支 え る も の で あ る 。 食生活の3分の2は家庭生活で行われるということを考えると、家庭や地域との連携を 大切にして、実感を伴った学習や活動を組みたてていくことが重要である。 江津湖の近く で、校区の方の協力を得られるという恵まれた地域性を生かした体験的な活動にも、数年 前 か ら 取 り 組 み 、 追 究 活 動 と 関 連 さ せ な が ら 、「 食 」 に 関 す る 学 び を 進 め て き た 。 また、今年度、熊本県学校給食会の学校賞を受賞し、学校給食の充実に努めているとこ ろ で あ る 。年 間 計 画 の 見 直 し を 行 い 、 「 生 き た 教 材 」で あ る 学 校 給 食 と の 関 連 を 図 っ た 学 習 など、計画的・系統的に食育に取り組んでいる。 1 1 研究主題について (1) 研 究 主 題 か か わり を 通 して 、「 食 」に 関 心 を持 ち 、 より よ い 食生 活 を 目指 す 子 ど もの 育 成 (2) 研 究 主 題 設 定 の 理 由 ① 「食」をめぐる現状と課題から 「食」をめぐる現状と課題として、内閣府では次の7つを挙げている。 ア 肥満や生活習慣病の増加 イ 栄養バランスの偏った食事や不規則な食事の増加 ウ 「食」の安全上の問題の発生 エ 過度の痩身志向 オ 「食」を大切にする心の欠如 カ 「食」の海外への依存 キ 伝統ある食文化の喪失 こ の よ う な「 食 」を め ぐ る 現 状 や 課 題 に 対 処 し て 施 行 さ れ た 食 育 基 本 法 の 前 文 で は 、 食育を生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきも のとし、 様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生 活を実践することができる人間を育てることと位置付けている。 子どもたちを取り巻く様々な「食」に関する問題の中でも、人間関係が希薄化して いることは、 「 食 」を 大 切 に す る 心 や 感 謝 の 心 、伝 統 あ る 食 文 化 が 失 わ れ て い る こ と に つ な が っ て い る 。こ の よ う な 現 状 を 解 決 す る た め に は 、か か わ り を 通 し て 、 「 食 」に 関 する活動を楽しみ、 「 食 」に 関 す る 関 心 を 高 め て い く こ と が 大 切 で あ る 。ま た 、心 身 の 成長段階にある子どもが、 「 食 」に つ い て 正 し い 知 識 を 身 に 付 け 、よ り よ い 食 生 活 を 目 指すことは、健康な生活を送るための基礎となるものである。将来にわたって健康な 生活をおくるために、自らよりよい食生活を実践できるような子どもを育成したいと 考え、本主題を設定した。 ② 本校の研究主題から 本校の研究主題は、 「 笑 顔 が 輝 く 学 校 づ く り ~「 人・も の・こ と 」と の 豊 か な か か わ り を 通 し て ~ 」 で あ る 。 授 業 に お い て 、「 人 ・ も の ・ こ と 」 と の 豊 か な か か わ り を 通 し て 、「 人 と の 出 会 い や 交 流 の 喜 び 」、「 心 に 残 る 体 験 活 動 の 良 さ の 体 感 」、「 目 標達成への充実感」などの実感を大切にすることで、一人一人のセルフエスティー ムを高めることをねらいとしている。更に、実践化・日常化する姿を「つい動きた くなる姿」として捉え、教育的環境づくりに取り組むことにより、心身ともに健全 な子どもの育成を目指している。 食育部では、この研究テーマを受けて、給食時間や授業を中心とした学校教育全 体 の 中 で 、「 人 ・ も の ・ こ と 」 と の か か わ り を 大 切 に し 、 実 感 を 伴 う 学 習 や 様 々 な 2 活 動 を 行 っ て き た 。「 わ か る 」、「 で き る 」、「 楽 し い 」、「 や っ て み よ う 」 と 実 感 す る ことができる学びや環境を工夫していくことで、 子どもたちが自ら「食」の大切さ に気づき、よりよい食生活をおくる実践的な態度 が育っていくと考える。 ③ 児童の実態・保護者の願いから 1 9 年 度 に 実 施 し た ア ン ケ ー ト の 結 果 か ら 、「 給 食 を 残 さ な い 」 と 答 え た 子 ど も が66%、家で料理をよく、又は時々作ると答えた子どもは51%にとどまった。 給食を残す理由としては、嫌いなものがある40%、量が多い27%、食欲がない 20%などが挙げられる。学校外で栽培活動を行っている子どもは、ごくわずかで ある。 また、保護者へのアンケートでは、食生活で気をつけている項目の中から栄養の バ ラ ン ス を 選 ん だ 家 庭 は 、 約 2 7 % で あ っ た 。「 食 」 に 関 し て 学 校 で 学 ん で ほ し い こととしては、多い順から、感謝の気持ち、好き嫌いをしない、基本的なマナー、 栄養や働きという結果が得られた。生活スタイルが多様化して、家庭での「食」に 関する指導がなかなか難しく、学校教育への食に関する指導の期待も大きくなって きている。 このような本校の実態から、子どもたちの「食」に関する学習と体験的な活動を 関 連 さ せ な が ら 、 学 校 教 育 の 中 で 食 に 関 す る 指 導 を 計 画 的 ・ 系 統 的 に 行 い 、「 食 」 に対する関心を高め、よりよい食生活をめざす子どもの育成が必要であると考えた。 2 目 指す児童像 研究主題をより具体化するために、次の3つを目指す児童像として設定した。 (1) 「 食 」 に 関 心 を 持 ち 、「 食 」 の 大 切 さ を 実 感 で き る 子 ど も (2) 「 食 」 に 関 す る 知 識 を 身 に 付 け 、「 食 」 に 関 し て 自 ら 判 断 で き る 子 ど も (3) 「 食 」 に 感 謝 を し 、 地 域 の よ さ に 気 づ く 子 ど も 3 研究仮説 「 人・ も の ・こ と 」と の か か わ り を 大 切 に し 、実 感 を 伴 っ た 活 動 や 指 導 を 工 夫 し て い け ば 、「 食 」 に 対 す る 関 心 が 高 ま り 、 よ り よ い 食 生 活 を 目 指 そ う と す る 子 ど も が育つであろう。 4 研究仮説 を具現化するための方策 研究仮説を具現化し、子どもたちの「食」に関する学びが、より実践化・日常化に つながるために、次の7つの方策を立てた。 (1) か か わ り を 通 し た 、 実 感 を 伴 う 学 び の た め の 指 導 過 程 の 工 夫 (2) 体 験 的 な 活 動 と の 関 連 を 図 っ た 学 習 (3) 地 域 の 人 々 や 地 域 の 特 性 を 生 か し た 学 習 (4) 「 生 き た 教 材 」 で あ る 給 食 と の 関 連 を 図 っ た 学 習 (5) 学 校 栄 養 職 員 や 養 護 教 諭 等 の 専 門 性 を 生 か し た 効 果 的 な 指 導 (6) 交 流 活 動 の 推 進 (7) 家 庭 と の 連 携 3 5 研究構想図 4 6 研究の実 際 (1) か か わ り を 通 し た 、 実 感 を 伴 う 学 び の た め の 指 導 過 程 の 工 夫 「人・もの・こと」と豊かにかかわ めあての実 践 化 ・日 常 化 り合うことで、 「 食 」の 大 切 さ や 感 謝 の 気持ち、地域のよさなどを実感し、よ りよい食生活の実践化・日常化につな 【生かす】 が る と 考 え た 。そ し て 、指 導 過 程 を「 つ か む 」・「 求 め る 」・「 生 か す 」 の 3 段 階 として、それぞれの段階で子どもたち が 、「 わ か る 」、「 で き る 」、「 楽 し い 」、 ○今後の食生活のめあての設定 ○学習カードや継続カード ○友達・保護者・地域への発信 学校保健 委員会 「やってみよう」と実感できる学びや 環 境 を 工 夫 し た 。( 図 1 ) ① 「人・もの・こと」との豊かなか 【求める】 ○課題の解決に向けての学び合い かわりについて 「人とのかかわり」としては、栽 調べ学習、体験的な活動、話し合い活動 ○食に関する正しい知識の習得 培活動などを支援して下さる地域の 方や食生活改善推進員の方、ゲスト 【つかむ】 ティーチャー、保護者、職員そして 異学年を含めた友達などが挙げられ ○食生活の実態の把握 食事日記、アンケート、思い起こし、 る。 資料(グラフ・写真・記事など) ま た 、「 も の と の か か わ り 」 で は 、 食材や学びに使う資料や教材・学習 ○ 課 題 の 確 認図 1 「 指 導 過 程 」 シート・用具など様々なものが挙げ られる。 朝食 昼食 夕食 そ し て 、「 こ と と の か か わ り 」 は 、 栽 培 活 動・調 理・食 べ る こ と な ど「 食 」 時刻 に直接関係の深い活動だけではな だれと く、調べたり、話し合ったり、伝え たりするための様々な活動などが考 献立 えられる。 ② 各段階での指導について 【つかむ段階】 食品 子どもたちが主体的に学習を進め ていくためには、まず、自らの食生 活についての課題意識をもつことが 気づき 必要だと考える。そのための方法と 感想 して、食事日記(図2)やアンケー 反省 ト、自分の食生活についての思い起 図 2「 食 事 日 記 」 こしなどを行った。食事日記は、1 5 おやつ 日分のシートだけではなく、学習によっては1週間分のシートを使用する。アンケートで は、学級全体の実態を示し、課題を共有化して話し合いをさせたり、めあてを設定すると きに使用したりする。また、グラフや写真・記事などの資料を提示することによって、課 題を知らせる方法も取り入れた。そして、一人一人に課題意識を持たせて、全体で本時の 学習のめあての確認をしてから、次の求める段階に入るようにした。 【求める段階】 ここでは、 「 食 」に 関 す る 正 し い 知 識 の 習 得 と 、課 題 の 解 決 に 向 け て の 学 び 合 い を 関 連 させることで、より実感を伴った学びを深めることができるようにしていった。 ア 「食」に関する正しい知識の習得 担任だけではなく、学校栄養職員や養護教諭などの専門性を生かした指導を取り入 れた。栽培活動を支援して下さる方や食生活改善推進員の方など地域の方からも、食 文化に関すること、栄養や食事に関することなどについて、教えていただいている。 ま た 、「 生 き た 教 材 」 で あ る 給 食 と の 関 連 を 図 る こ と で 、 理 解 が 深 ま っ て い る 。 イ 課題の解決に向けての学び合い 調べ学習、体験的な活動、話し合い活動な どを通して気付いたことや感想、分かったこ となどを交流させ、お互いに学び合いながら、 課題を解決するようにしている。また。地域 の方や家庭の協力を得ながら、支援していく ことが必要である。特に、総合的な学習の時 間や生活科では、大単元の長期にわたった活 動になるので、見通しをもって活動を行わせ ると共に、様々な教科や活動と関連させなが 図3「ブレーンストーミングを ら「食」に関する学びが深まるようにした。 取り入れた朝食に関する話し合い」 話し合い活動においては、国語科を中心にはぐく んでいるコミュニケーション力を 生かし、ブレーンストーミング等の手法を取り入れながら、全員が積極的に課題解決 に つ い て 考 え る こ と が で き る よ う に し て い る 。( 図 3 ) 【生かす段階】 ア 今後の食生活のめあて作成 課題意識を持って学習に向かい、課題を解決するために正しい知識を理解したり、 学び合いを行ったりしながら、自分の食生活を振り返り、自分が取り組めることが できそうなめあてを立てている。めあてを立てることで、 食生活の中で生かしてみ ようという実践化・日常化へつながっていくと考える。その際に、めあてを発表し 合うことで、お互いの学びを認め合い、共有意識を持って取り組めるような活動を 取り入れた。 イ 学習カードや継続カードの活用 学習して分かったことや気づいたこと、感想などを学習カードに書くことで、学 びや今後の食生活に生かそうとする気持ちを確認することができた。家の人への手紙 の形式で書き、家の人からの返事をもらうことで 、更に実践への意欲の高まりも見ら れた。 6 また、継続カード(図4)を活用 食事の マナ ーを 見直 そう ② して、めあてに対する実践ができて いるかを振り返る活動を取り入れた。 実践の意欲を継続するのに、効果的 4年 ) ★ 自 分 の マ ナ ー ア ッ プ の た め に 、目 標 を た て て がんばってみましょう。 であった。 ウ 組( 友達・保護者・地域への発信 学んだことを他へ伝えることで、 学 び が 深 ま る と 共 に 、「 食 」 の 大 切 さ ◎よくできた◎ 項 が周りに広がっていく。これはとり 目 できなかった× / / / / / ①正しい箸使いと食器の持ち もなおさず、食育を推進することに 方ができましたか。 もつながっていく。 ②正しい姿勢と一口分の量で 例えば、5年生では、総合的な学 食べることができましたか。 習の時間の「大豆作りから広げよう、 ③食事中にふさわしい話題 『食』の大切さ」の学習で学んだこ で話せましたか? とを3年生に伝える活動を行う。自 ④その他 分たちが育てて調べた実感を伴った 学びを伝えることで、3年生は、国 できた○ ★1 週間の取り組みをふりかえりましょう。 語の「すがたをかえる大豆」の学習 【自分のはんせい】 の中で、より身近に大豆について感 【家の人から】 じることができるであろう。 【先生から】 また、4・5・6年生や職員、学 校医、保護者、地域の方などが出席 図 4「 継 続 カ ー ド 」 する学校保健委員会では、大豆につ いての調べ学習から発展した食生活 についての提案をポスターセッションの形式で 発 表 し た 。( 図 5 ) 日 本 型 の 食 生 活 、 大 豆 製 品 のよさ、自給率、遺伝子組換え、旬、熊本の郷 土 食 や 雑 煮 な ど 、「 食 」 に 関 す る 6 つ の 視 点 の 内容の全てに関して発信することができた。参 加した人たちからのコメントをもらうことで、 学びの充実感や達成感を一層感じ、食生活や自 分の生き方にも生かしていこうと意欲を高める 姿が見られた。 図5「学校保健委員会での ポスターセッション」 〈保護者の感想〉 「 食 」に 関 す る 発 表 会 を 見 て 、子 ど も た ち の 成 長 を 感 じ ま し た 。日 本 人 と 大 豆 の 関 わ り は 、本 当 に 深 い も の だ と 再 認 識 さ れ 、こ の 食 文 化 を 大 人 が も っ と 大 切 に す る べ き だ と 反 省 さ せ ら れ ま し た 。子 ど も 達 が こ の よ う に「 食 」に 興 味 を 持 ち 、自 分 の こ と と し て 考 えるようになれたことに学習の本質を見た気がします。 7 (2) 体 験 的 な 活 動 と の 関 連 を 図 っ た 学 習 野菜の栽培活動を行い、更に収穫したものを調理したり味わったりすることで、生産 者の苦労や思いを知るとともに、自然の恵みや命の大切さに気づき、感謝の心を育てる ことができると考えた。授業においては、思い起こしや意欲付けのために食べる活動な どを取り入れることで、より課題意識を持つことができると考えた。また、食に関する 正しい知識を習得するために、実験などを取り入れることで、実感を伴った理解につな がると考えた。 ① 取組の実際 ア 2年 ○ 生活科「野菜を育てよう」~すごいぞ さつまいも~ ねらい さつまいもを育てて収穫する活動を通して、生命を尊重し自然に親しむ心情を 育 て る 。 さ ら に 、「 お い も パ ー テ ィ ー 」 を 開 く こ と で 、 さ つ ま い も の 栄 養 や 調 理 法について知るとともに、収穫の喜びを感じ、作物や人に感謝する心を育てる。 ○ 栽培と収穫 学 校 か ら 徒 歩 5 分 の と こ ろ に あ る 畑 を 借 り て 、さ つ ま いもを栽培した。5 月に、畑の準備をして苗を植えた。 そ の 後 、 草 取 り や つ る 返 し 等 の 世 話 を 行 い ( 図 6 )、 11 月に収穫した。 ( 図 7 )収 穫 し た さ つ ま い も は 、家 庭 に も 少 し ず つ 持 ち 帰 っ た り 、給 食 に 使 っ て い た だ い た り し た 。 さつまいもの苗植えはほとんどの子が初めてで、説明 図6「草取りの様子」 を真剣な表情で聞き、丁寧に植えていた。さつまいもが 育っていく過程を間近に観察することにより、私たちが 食べているものは、命あるものだということを実感でき たようである。また、育てる苦労とともに、太陽、雨、 生命力という自然の恵みにも気づき、感謝の心を言葉や 手紙に表していた。収穫の際には、たくさんの笑顔を見 図7「いもほりの様子」 ることができた。 〈児童の感想〉 ・おいしいいもになってねと思いながらうえました。 ・草をとる時、あせじゅっくりでした。つるをおらないように気をつけました。 ・つるがえしをしたとき、つるの長さをはかったら、わたしより大きかったです。 ・おおきいいもがほれました。いっしょうけんめいほりました。 ・ ○ 食べる活動を入れた授業の実際 まず、さつまいもの成長の様子や今までの活動を写真 で 振 り 返 っ た 後 、茹 で た さ つ ま い も を 一 切 れ ず つ 食 べ た 。 次に、さつまいもの栄養やよさについて学校栄養職員か ら説明を聞いた。そして、家で食べたことのあるさつま いも料理や給食で出されたメニューについて発表し合い 図8「作り方を説明する 学校栄養職員」 8 その中から簡単に作れるさつまいも料理を7つ選んだ。 学 校 栄 養 職 員 か ら 作 り 方 の 説 明 を 受 け( 図 8 )、実 際 に 茶巾しぼりを作ってみた。 ( 図 9 )最 後 に 、お い も パ ー ティーで作る料理を、班ごとに話し合って決めた。 次の時間、具体的な調理計画を立てた。 食べる活動を入れたことで、収穫の時の喜びや持ち 帰って食べたときのことを思い出すことができ、工夫 図 9「 茶 巾 し ぼ り を 作 る 様 子 」 してさらにおいしく食べようという意欲につながった。 また、調理の一部を体験したことで、調理についてもイメージでき、活発な話し 合い活動をすることができた。 〈児童の感想〉 ・さつまいもりょうりはたくさんあるなあと思った。 ・おいしいさつまいもサラダを作って、楽しいおいもパーティーにしたい。 ○ 調理、食べる活動 「おいもパーティー」 班ごとに立てた計画を基に調理を行っ た 。( 図 10) 安 全 面 に 配 慮 し て 、 火 や 包 丁を使う場面は、学習ボランティアの保 護者の方に手伝っていただいた。 料理が初めてという子も多かったが、 保護者の協力もあって計画通り進める ことができた。どの子も、笑顔で、つぶ す、丸める、混ぜるという作業を楽しん でおり、調理への関心を持つことができ た 。( 図 11) ま た 、 お 世 話 に な っ た 人 を 図 10「 い き な り だ ん ご の 調 理 計 画 」 パーティーに招待したり、お礼の手紙を 書いて料理とともに届けたりすることで、 感謝の気持ちを表すことができた。 〈児童の感想〉 ・ めあてをぜんぶまもれたから楽しくできました。 ・ ほ か の は ん の 人 に い も ご は ん と サ ラ ダ を も ら い ま し た 。わ た し の は ん も 、き な こ だ ん ご を あ げ ま し た 。み ん な で 食 べ ておいしかったです。今度はお家で作って食べたいです。 図 11「 き な こ 団 子 を 作る様子」 イ 5年 ○ 総合的な学習の時間「大豆作りから広げよう『食』の大切さ」 ねらい 大豆や水前寺もやしの栽培、収穫、豆腐作りや雑煮作り等の調理、食べる活動 を体験することで、より実感を伴った学びを深め、自分の食生活を見直し、健康 と向き合うことができると考える。栽培、収穫、調理、食べる活動については、 詳しくは次の項目で述べる。 9 ○ 食 べ る 活 動 を 取 り 入 れ た 授 業 の 実 際( 豆 腐 の 作 り 方 ) 初めに、手作り豆腐へ関心を持たせるため、教師が 手 作 り し た 豆 腐 を 試 食 し た 。( 図 12) 次 に 、 豆 腐 作 り の過程について説明を聞いた。ここでは、写真だけで なく、実際に使用する材料や道具、実演を見たり、大 豆をミキサーにかけたり、豆乳を搾ったりする作業を 体験した。また、豆腐を作る過程でできる豆乳やおか 図 12「 豆 腐 を ら 、固 め る の に 使 う に が り の 試 食 、試 飲 も お こ な っ た 。 試食する様子」 豆腐を食べる活動を入れたことで、おいしい手作り豆腐を作ろうという意欲を 持たせることができた。 〈児童の感想〉 ウ ・ にがりは、したがビリビリして、名前の通り苦いと思った。 ・ とうふのつくり方がよくわかった。おいしいとうふをつくってみたい。 3年 総合的な学習の時間「おやつのとり方」~さとうコース~ ○ ねらい 実験を行うことで、おやつに含まれる砂糖の量に気づかせ、おやつの役目との ぞましいおやつのとり方が分かり、砂糖のとりすぎに気をつけて、お やつをとろ うとする意欲を持つことができる。 ○ 授業の実際 初めに、おやつには甘い物が多いことに気づかせる ため、自分がいつも食べているおやつについて振り返 った。次に、普段よく飲んでいる清涼飲料水に含まれ ている砂糖の量を予想した後、炭酸水の入った紙コッ プに少しずつ砂糖を加えていき、本物の清涼飲料水に 近 い 炭 酸 水 を 作 っ た 。( 図 13) 一 日 の 砂 糖 の 摂 取 量 や とりすぎたときの体への影響を知り、砂糖のとりすぎ 図 13「 砂 糖 の 実 験 の 様子」 に気をつけたおやつのとり方について話し合った。 実験により、清涼飲料水の中には予想以上に多量の砂糖が入っていることに気 づいた。砂糖の量を見て、味わって確認したことで、より驚きを持って実感とし てとらえていたように思う。話し合いでも、自分のこととして活発に意見を出し 合い、めあてを立てることができた。 〈児童の感想〉 図⑧ ・今ま で は 、毎 日 ジ ュー ス を 飲ん で いま し た 。こ ん な にた く さん の 砂 糖が 入 っ てい た ので びっくりしました。これからは牛乳や麦茶などを飲んで、砂糖を減らしたいです。 ② 考察 野菜の栽培活動を長期間にわたり行い、自然や人と向き合う中で、多くのことに気 づき、感動する場面がみられた。収穫、調理、食べる活動でも、笑顔がたくさん見ら れた。また、1 時間の授業の中にも体験活動を入れることで、児童の意欲の高まりや 実感を伴った理解につながり、大変有効であったといえる 。 10 (3) 地 域 の 人 々 や 地 域 の 特 性 を 生 か し た 学 習 本校区は豊かな自然をたたえた江津湖に隣接しており、そこでは湧き水を利用した伝 統的な水前寺もやしが栽培されている。また校区の南には田畑が広がり、大豆や水前寺 もやし、さつまいもの栽培活動等において地域の生産農家の方々の協力を得ることがで きる。さらに、地域には食生活改善推進員の方々がいらっしゃるので、栄養指導や豆腐 作り等の調理活動において、協力を求めることができる。このような恵まれた環境の中 で、次のような取組を行っていけば、食文化や地域のよさに気づき、感謝の気持ちを持 つ こ と が で き る と 考 え る 。ま た 、子 ど も た ち は よ り 実 感 を 伴 っ た 学 び を 深 め 、自 分 の「 食 」 について見直し、よりよい食生活を目指していくことが期待できると考える。 ① 取組の実際 ア 地域の生産農家の方々による指導 a さつまいもの栽培活動授業例 2年 ○ 生活科「やさいをそだてよう」~すごいぞ、さつまいも~ ねらい 生産農家の方にさつまいもの苗植えの仕方を教えていただき、一緒に苗植 えをすることで、自然の恵みや人への感謝の気持ちを持つことができるよう にする。 ○ 活動の実際 畑を貸して下さった生産農家の方に事前 に畑の耕し、畝作りまでしていただいてお き、当日はまず苗の植え方について、くわ し く 教 え て い た だ い た 。( 図 14) そ の 後 一 緒 に苗植えを行った。この単元の終わりには 収穫したさつまいもで「おいもパーティー」 を行い、いろいろなさつまいも料理を作り、 お世話になった生産農家の方にお礼の手紙 図 14「 さ つ ま い も の 苗 植 え 」 を添えて食べていただいた。苗植えの仕方を教えていただいて終わりではな く、収穫を一緒に喜び、また生産農家の方に返すということで「人」との豊 かなかかわりをもつことができた。 b 大豆や水前寺もやしの栽培活動授業例 5年 ○ 総合的な学習「大豆作りから広げよう『食』の大切さ」 ねらい 大豆や江津湖の近隣ならではの水前寺も やしの栽培を通して、地域の食文化や地域 のよさに気づかせる。 ○ 活動の実際 7月に大豆(豆腐用と水前寺もやし用の 2種類)の種まきを行い、草取り、土寄せ、 消 每 、 収 穫 ( 図 15)、 脱 穀 、 種 大 豆 の 選 別 等を行っていった。各活動で生産農家の方 11 図 15「 大 豆 の 収 穫 」 に指導していただいた。 また、1月には江津湖の芭蕉苑で水前寺もやし の 種 大 豆 を ま い た 。( 図 16) そ の 2 週 間 後 に 収 穫 した水前寺もやしは、各自新聞紙に包んで持ち帰 ったり、翌日の給食で食材として使っていただい たりして、家庭と学校をあげて収穫を喜んだ。 ( 図 17) また、これまでお世話になった生産農家の方を 図 16「 水 前 寺 も や し の 種 ま き 」 「 雑 煮 会 」 に 招 待 し 、( 図 18) 水 前 寺 も や し を 入 れた雑煮を食べていただくことで感謝の気持ちを表した。そして後日、大豆の種ま きから雑煮会までのことを振り返りお礼の手紙も書いて渡した。 図 17「 水 前 寺 も や し の 収 穫 」 図 18「 雑 煮 会 」 〈生産農家の方へお礼の手紙〉 ・・・・早速収穫した日にスープに入れて食べました。とてもおいしか ったで す。自分たちで作ったものはおいしくなるんだなあと思いました。学校で水前 寺もやしを作れる学校はここしかないんだよと言われ、本当に貴重な体験をし たんだなあと思いました。こんな経験ができたのは○○さんのおかげだと思い 感謝しています。 イ 食生活改善推進員の方々による指導 a 栄養指導:3年学級活動「うんちの話」 ○ ねらい 食生活改善推進員の方々に消化吸収の仕組み について劇を通して指導していただき、いろい ろな食べ物を食べようとする意欲をもつことが できるようにする。 ○ 活動の実際 図 19「 う ん ち の 話 に つ い て 校区の食生活改善推進員の方々がエプロンシ の指導」 アター、ペープサート等工夫を凝らして人間の消 化吸収の仕組みについての劇「う ん ち の 話 」 を 行 っ て 下 さ っ た 。( 図 19) 布 で 作 っ た 実 物 大 の 腸 を は じ め 、 視 覚 に 訴 えるいろいろな資料を提示しての劇で、子どもたちは目を輝かせてその劇に見入っ ていた。牛と人間との消化吸収の違いから、いろいろな食べ物を食べようとする意 12 欲づけができた。 b 豆 腐 作 り の 指 導:5 年 総 合 的 な 学 習 の 時 間「 大 豆 作 り か ら 広 げ よ う『 食 』の 大 切 さ 」 ○ ねらい 食についての専門的な知識や技能を持つ食生活改善推進員の方をゲストティーチ ャーに迎え、指導していただくことにより、豆腐作りへの実践意欲を高める。 ○ 活動の実際 まず、収穫した大豆で作った豆腐を提示、試食 させ、大豆から豆腐への変身の秘密をさぐろうと いうことでめあての確認を行った。その後、食生 活改善推進員の方をゲストティーチャーとしてお 迎えし豆腐作りの過程についてポイントを押さえ る形で指導していただいた。 ( 図 20) “豆腐作りの 名人さん”ということで紹介していたので、子ど 図 20「 大 豆 か ら 豆 腐 へ の もたちは真剣な眼差しで説明を聞き、ゲストティ 変身」 ーチャーとの意見交換会においても活発に質問や感想等の発言が見られた。 〈児童の感想〉 ○ ○ さ ん に も 来 て い た だ い て 作 り 方 の 説 明 を し て 下 さ い ま し た 。○ ○ さ ん のおかげで豆腐を作る大変さや豆腐の作り方がわかりよかったです。 実際の手作り豆腐の調理活動においては、各班に 一人ずつ食生活改善推進員の方々に“豆腐作りの先 生”ということで入っていただいた。各班、挨拶、 自己紹介からスタート。子どもたちは事前に大豆か ら豆腐への変身の秘密について学習していたので、 不安、心配なところを確認しながら進めていくこと が で き た 。( 図 21) 調 理 、 試 食 後 は 、 各 班 、 そ し て 全 体 で の 感 想 交 流 を 行 う 時 間 を 設 け た 。 後 日 、 お 世 図 21「 豆 腐 作 り に チ ャ レ ン ジ 」 話になった食生活改善推進員の方々にお礼の手紙を書き、自分たちの学習を支援し て下さった方々に感謝の気持ちを伝えることができた。 ② 考察 さつまいもや大豆、江津湖の近隣ならではの水前寺もやし(もの)の栽培活動に おいて、地域の生産農家の方(人)に協力していただくことは、地域のよ さや自分 たちが多くの方に支えられていることに気づかせるために効果的であったと思う。 さらに地域で作られてきた作物や食文化を大切にしていこうとする気持ち、感謝の 気持ちも高めることができたのではないかと思う。また、食についての専門的な知 識、技能を持つ食生活改善推進員の方々(人)と、栄養指導や豆腐作り(こと)に おいてかかわることは、よりよい食生活への実践意欲を高める手 立てとなった。今 後もさらに地域の人々とのかかわりを大切にし、この地域ならではの特性を生かし た取組を行い、よりよい食生活を目指していこうとする子どもを育てていきたいと 考える。 13 (4)「 生 き た 教 材 」 で あ る 給 食 と 各 教 科 と の 関 連 を 図 っ た 学 習 ① 取組の実際 ア 給食の食材を使った指導 a 1年学級活動「とうもろこしはかせになろう」 ○ ねらい とうもろこしの栄養、実の付き方、とうもろ こしを原料とする食品を知り、ていねいに皮を むくことができるようにする。 ○ 図 22「 実 物 の と う も ろ こ し 授業の実際 を使っての指導」 根・実 の つ い た と う も ろ こ し( 図 22)を 用 意 し、クイズを通しながら栄養・実の付き方・と うもろこしを原料とする食品を学習した。また 給食に使用する食べ物なので、衛生面にも充分 注意し丁寧に扱うことを伝えた。上手な皮のむ き方を実演してみせ、各教室にもどり、皮むき 活 動 を 行 っ た 。( 図 23) 早速その日の給食に調理し、全校児童に放送 図 23「 と う も ろ こ し の 皮むき」 で紹介したことで野菜に対する興味や関心が高 まり、苦手な物でも食べようとする意欲が見られた。さらに、生産者や食事を 作ってくれる人の苦労がわかり、給食への感謝の気持ちが高まった。 b 2年学級活動「春の味、グリンピースをむこう」 ○ ねらい 季節感のあるグリンピースのさやむき体験 を通して、五感を使い感性豊かに旬のグリン ピースのかおり、色、手触り、豆の付き方な どを確認し、旬の素材のすばらしさに気づく ようにする。 ○ 図 24「 豆 の 付 き 方 、 に お い 、 授業の実際 グリンピースの生のものは旬の今しか手に 手触りなどしっかり観察」 入らないこと、ピースごはんには生のむきた てのもを使うことで、甘さ・おいしさを思う存分感じることができることを 知らせた。また、さやの中には豆がどのように入っているかを予想させ、む き方についても実演してみせた。その後、丁寧ににおい、手触り、むく音等 に も 注 意 を は ら い な が ら む い て い っ た 。( 図 24) さ や の 中 に 豆 が 何 個 は い っ ていたか、どんなに並んでいたかを絵に描くことで、より素材を実感し学び を深めることができた。給食作りに自分が関わったことでグリンピースに興 味・関心をもち、作る楽しさを感じることができた。さらに、他の学年の人 にも喜んでもらいたいという気持ちも生まれた。 14 <子どもの感想> ・ 春のにおいがしました。はじめてだったのできんちょうしました。いきなりまめ が と び だ し て む ず か し か っ た で す 。給 食 の 先 生 、ご は ん を た の し み に し て い ま す 。 ・ わくわくです。むくとき、つめがいたかったけどたのしかったです。おかあさん にもおしえてあげたいです。 給食時間の放送では2年生がむいてくれたこと、みんなの口に届くまでの過程や 作り手の思いを伝え、感謝してありがたくいただくことの大切さを知らせた。放送 の 後 、「 先 生 、 は じ め て 食 べ る こ と が で き た よ 。」「 お か わ り し ま し た 。 め っ ち ゃ お い し か っ た 。」「 先 生 、 つ め を 見 て く だ さ い 。 す じ が か た く て い た か っ た け ど 、 お い し か っ た あ 。」「 グ リ ン ピ ー ス っ て あ ま い ね 。 ま た 作 っ て く だ さ い 。」 等 た く さ ん の 声が聞かれ、このことをきっかけに嫌いだったグリンピースを食べ ることができる ようになった子どもも多く見られた。 イ 給食の献立を食事モデルとして活用した学習 給 食 は 、理 想 的 な 食 事 の モ デ ル で あ る 。給 食 に 使 わ れ て い る 食 材 に 目 を 向 け る こ と で 、 学びをより身近なものとして感じることができる。 b 1年「なんでもたべてげんきになろう」 ○ ねらい よりよい食習慣を身につけることは、自分自身 を大切にする第一歩である。自分の身体を作る食 べ物に関心を持ち、元気に過ごすためには好き嫌 いをせずに何でも食べることが大切であることを 理解し、自分自身のめあてを立てる。 ○ 図 25「 今 日 の 給 食 を 3 つ の 授業の実際 食べ物は大きく分けて3つの働きがあることを 色に仲間分け」 知 ら せ 、献 立 表 と 今 日 の 給 食 の 拡 大 写 真 を 使 い な が ら 3 つ の 色 の 仲 間 に 分 け( 図 25) て、給食には、いろいろな食品がバランスよく使われていることを確かめた。さら に、毎日のいろいろな食べ物の中で、苦手な物を食べることができるようになった 体験などの意見を出し合い、自分がこれから頑張りたいことを書かせ、みんなに発 表することで、好き嫌いせず何でも食べようとする意欲を高めた。何で も食べることでよりよい生き方ができるということを大事にした。 <子どもの感想> ・ ぼくは、ピーマンがきらいです。でもこれから、すきなものといっしょにがん ばって食べたいです。 ・ きょうのきゅうしょくに、17しゅるいがはいっていてびっくりしました。い ままでのこしたことはないけれど、これからもえいようまんてんのきゅうしょ くをたべます。 ウ 給食の献立の中から選んだ弁当バイキング 卒業前のお祝い給食と家庭科・学級活動の学習を関連させた弁当バイキングは6年生 15 にとって大変嬉しく楽しいものとなっている。家庭科の「楽しい食事を工夫しよう」で、 食 事 を 作 る と き の 視 点 に つ い て 学 習 し た 。主 食 、主 菜 、副 菜 、汁 も の な ど が 入 っ て い る か 、 食品の偏りなくバランスよく入っているか等について学習し、学級活動の 「弁当バイキン グにチャレンジ!」へ発展させ、給食時間の弁当バイキングを実施した。 3 月 の 送 別 遠 足「 弁 当 の 日 」で は 、学 習 し た こ と を 生 か し て 、弁 当 作 り に チ ャ レ ン ジ し 、 弁当を全部一人で作った子どももたくさんいた。 授業例:6年学級活動「弁当バイキングにチャレンジ!」 ○ ねらい よい弁当の条件について知り、主食・主菜・副菜の量 バランス比3:1:2で、給食の弁当バイキングのおか ずを選んで、弁当の設計図を作ることができる。 ○ 授業の実際 まず、主食はごはんとし、用意した弁当箱を使って弁 当をつくるとしたらどんな弁当にするか絵に描いていた も の ( 図 26) を お 互 い に 紹 介 し 合 っ た 。 図 26「 わ た し の じまん弁当」 次に、家庭科の学習を思い出させ、主食・主菜・副菜 の働きについて確認し、一食分の食事としての弁当にするための条件も提示して、自 分の考えた弁当の課題を出し合わせ、考え直させた。 <弁 当 作 り の 条 件 > 主 菜1 主食3 ・ 量 の バ ラ ン ス … 主 食 3 : 主 菜 1 : 副 菜 2 ( 図 27) ・色のバランス…赤・黄・緑・茶・黒 副菜2 ・味のバランス…甘・辛・酸 ・すき間のないようにしっかり詰めること そして、おかずの主菜2つ、副菜4つを選び、おかず 図 27「 弁 当 箱 の 表面積比」 の 予 約 表( 図 28)に 記 入 し 、バ イ キ ン グ 当 日 の 盛 り 付 け設計図を作成した。 ○ 主食3:主菜1:副 給食時間の弁当バイ キング 菜2」 バ イ キ ン グ 当 日 、給 食 室 では、通常食と平行しなが ら、各個人が予約したおか ずを主菜、副菜ごとに、グ ループ単位でセットする。 ( 図 29) 子どもたちは、盛り付 図 29「 予 約 し た お か ず を グ ループごとにセット 図 28「 給 食 で 選 べ する給食室の様子」 るおかずの予約表」 16 け設計図を見ながら、自 分が選んだおかずを弁当 箱に詰めていく。 好きなおかずばかりでなく、調理法や味付け、色彩等を考 え な が ら 、 真 剣 に 弁 当 を つ め る 姿 が 見 ら れ た 。( 図 30) バ ラ エ テ イ に 富 ん だ 弁 当 が で き( 図 31)お 互 い の 弁 当 の よ さ に つ いて認め合い、完成した喜びを味わいながら楽しく食べる姿 が見られた。 弁当作りをしたことにより、日頃弁当を作ってくれる家の 人 の 工 夫 に 気 づ き 、 感 謝 の 気 持 ち を 持 つ こ と が で き た 。、 図 30「 盛 り 付 け 設 計 図 を 見ながらの弁当つくり」 <子 どもの感 想 > ぼ く は 、弁 当 つ く り な ん て 、ち ょ ち ょ い の ち ょ い 、と 思 っ て い た が 、実 際 に 弁 当 を 作 っ た り 、こ の 弁 当 バ イ キ ン グ を 通 し て と て も 大 変 と い う こ と が わ か っ た 。バ ラ ン ス 、味 、 盛 り つ け 、全 部 を 考 え な き ゃ 行 け な い か ら だ 。こ の こ と が わ か っ て 、今 ま で 弁 当 を 作 っ て き た お 母 さ ん に「 あ り が と う」と言いたい。 <保護者の感想> ・き れ い に 盛 り つ け ら れ て い る と 思 い ま す 。肉 類 や 野 菜 な ど 、よ く バ ラ ン ス が と れ て い る と 思 い ま す 。こ の 調 子 で 遠足のお弁当作りも頑張って欲しいです。 ・い つ も お い し く 食 べ て も ら え る よ う に 、ま た 栄 養 も 考 え て 野 菜 を 入 れ る よ う に 心 が け て い ま す 。大 変 さ が わ か っ てくれてうれしいです。これからも頑張って作るから 図 31「 完 成 し た 弁 当 」 ね。 ② 考察 低学年の生活科では、 「 や さ い を そ だ て よ う 」の 単 元 を 軸 に 学 校 給 食 の 食 材 に か か わ り 、 給食作りにも部分的に関わることで 、野菜に関しての興味関心が高まり、野菜が苦手だ った子どもも食べようとする意欲が見られるようになった。 高学年の家庭科・学活・給食での弁当バイキングへの発展では、一食分の食事を、弁 当箱という限られた箱の中に量的にもバランスよく取り入れるという学習を通 して食事 の重要性や作り手の苦労、思いを知ることができた。 学校給食は、年間190回ほど繰り返し行われる。給食に使われる食材を使った学習 や 給 食 の 時 間 を 活 用 し た 学 習 を 行 い 、学 ん だ こ と を 給 食 で 確 認 す る 等 、 「 生 き た 教 材 」と して活用したことで、より身近な実感を伴った学びとなっている。今後もさらに活用の 仕方などを模索していきたい。 17 (5) 学校栄養職員や養護教諭等の専門性を生かした指導 学校栄養職員や養護教諭等の専門性を生かした効果的な指導を行っていけば、 「 食 」に 関する関心が高まり、 「 食 」に 関 す る 理 解 が 深 ま る で あ ろ う と 考 え 、昨 年 度 か ら こ の 取 組 を行っている。一日の中で、学校栄養職員は給食に携わる時間が、養護教諭は児童のけ がや病気に対応する時間が多くなる。限られた時間の中で、効率的・効果的に児童にか かわり、専門性が十分発揮されなければならない。そこで、今年度は特に、効率的・効 果的に指導を行うために、どの場面でどのような専門性を発揮するのかを明確にして取 り組んだ。 ① 取組の視点 <視点1>専門的な知識を生かした指導者としてかかわることで、児童の食に関 す る 関 心 や 知 識 ・ 理 解 を 深 め る 。【 身 体 測 定 時 、 給 食 の 時 間 、 授 業 時 】 <視点2>評価者としてかかわることで、児童の食に対する意欲を喚起させる。 【授業時】 <視点3>給食における工夫や苦労などの情報提供者としてかかわ ることで、自 分の生活にいかすための実践力をつける。 ② 【授業時】 取組の実際 ア <視点1>専門的な知識を生かした指導者としてのかかわり 授業例:全学年 ○ 身体測定時の保健指導「おやつについて考えよう」 ねらい 手作りのおやつのよさについて知り、体のことを考えたおやつの選び方がで きるようにする。 ○ 授業の実際 子どもたちは、見た目の美しさや値段 な ど で お や つ を 選 ぶ こ と が 多 い 。そ こ で 、 おかしをティッシュの上にのせて色の出 方を見たり、含まれる油分の多さに気づ かせたりして、体のことを考えたおやつ の 選 び 方 に つ い て 考 え さ せ た 。( 図 32) さらに、おやつの役割について話し、果 物や手作りのおやつのよさについても知 ら せ た 。体 に 必 要 な 栄 養 分 を 補 給 し た り 、 図 32「 お や つ に つ い て 保 健 指 導 を 疲れをとったりする役割をもつおやつに 行う養護教諭」 ついて学習することにより、これからのおやつの選び方について見直そうとす る姿が見られた。 <児 童 の 感 想 ) 今まで安くて 色のきれ いなおか しを 買っていまし た。今日の 授業で、テ ィ ッ シ ュ に 色 が べ っ と り つ い て い た の で び っ く り し ま し た 。果 物 や 手 作 り の お やつのほうが 体にいい ので、今度から は、おやつ を手作り したり 、選ぶとき は表示をよく見て買ったりしようと思いました。 18 授業例:全学年 ○ 給食時の指導 もりもりタイム「食べ物のはたらきを知ろう」 ねらい 給食時の指導「もりもりタイム」を通して、食に関する関心を高めたり、知 識・理解を深めたりする。 ○ 授業の実際 給食時間に「もりもりタイム」と称 して、毎月テーマを決めて食に関する 指 導 を 行 っ て い る 。 こ れ は 、「 バ ラ ン スのよい食事をしよう」という9月の と き の 様 子 で あ る 。( 図 33) 同 じ テ ー マ で も 、「 低 学 年 : 赤 黄 緑 の 食 べ 物 を 知 ろ う 」「 中 学 年 : 食 べ 物 の は た ら き について知り、体によい食べ方をしよ 図 33「 給 食 時 に 、食 べ 物 の は た ら き について指導する学校栄養職員」 う 」「 高 学 年 : 生 活 習 慣 病 と 食 事 の 関 係 に つ い て 知 り 、 食 品 の 組 み 合 わ せ や 栄 養バランスを考えて食べよう」というように、学年があがるにつれ少しずつ指 導内容が深まる工夫をしている。また、食べながらでもパッと見て分かるよう に、図や写真を掲示する形で指導するという工夫もしている 。子どもは、楽し く給食をとりながら、食に関する知識を深めていっている。 <子どもの感想> ・給食には、赤黄緑の食べ物がみんな入っているんだなあと思いました。 <低学年> ・給食には、赤黄緑がバランスよく入っているけれど、家で食べる食事は、 バ ラ ン ス が と れ て い な い こ と が あ る の で 、自 分 で も 気 を つ け て い こ う と 思 います。<中学年> ・食事の栄養バラン スに気を つけるこ とで、生活 習慣病に かかりに くくなる ことがわかり ました 。好き嫌 いをなく すだけでなく 、6つ の食品群 からバ ランスよくとっていこうと思いました。<高学年> 授業例:6年 ○ 学級活動「和食のよさ、大発見!」~食生活改善に向けて~ ねらい 学校栄養職員の専門性を生かし、 「まごはやさしい」という子どもにわ かりやすい言葉を使って和食のよさに ついて学ぶことで、よりよい食生活に していこうとするめあてを立てること ができる。 ○ 授業の実際 低カロリーで脂肪分が少なく、栄養 のバランスのよい和食のよさに目を向 図 34「 専 門 的 な 知 識 を 生 か し 、和 食 のよさについて語る学校栄養職員」 けさせたいと思い、本授業を設定した。毎日の給食は、子ども にとって「実際 19 に食べる体験をしながら学ぶことができる場」である。そこで、学校栄養職員 が専門的な知識を生かして、和食のよさについて話をした 。また、その際和食 の キ ー ワ ー ド で あ る「 ま( 豆 類 )ご( ご ま )は( わ か め な ど 海 藻 類 )や( 野 菜 ) さ ( 魚 ) し ( し い た け な ど キ ノ コ 類 ) い ( イ モ 類 )」 で 食 材 の 確 認 も 児 童 と 一 緒 に 行 っ た 。( 図 34) ○ 子どもや保護者の感想 <子どもの感想> ・我が家では、毎朝ご飯とみそ汁が出ます。夕食も和食が多いので、これか ら も「 ま ご は や さ し い 」を 意 識 し て 、健 康 的 な 生 活 を 送 っ て い き た い で す 。 <保護者の感想> ・今日の授業参観で「まごはやさしい」を初めて聞きました。和食のすばら しさがわかって大変勉強になりました。 イ <視点2>意欲喚起のための評価者としてのかかわり 授業例:4年 ○ 学級活動「朝食で一日をスタートしよう」 ねらい 朝食メニュー作りの際、学校栄養職員が給食で気をつけている「栄養のバラ ンス」について話し、子どもたちの立てた朝食メニューにアドバイスや評価を することで、赤・黄・緑のバランスの 大切さに気づかせ、朝食作りへの意欲 づけとする。 ○ 授業の実際 本授業では、専門的な豊かな知識を も っ て い る 学 校 栄 養 職 員 が 、「 班 で 考 えた朝食メニューづくり」や「自分の 朝食メニューの見直し」の場面で、 ① 栄養のバランス②食べられる量③簡 図 35「 班 で 作 っ た 朝 食 メ ニ ュ ー を 評価する学校栄養職員」 単にできるの3つについて評価した。 ( 図 35)担 任 も 評 価 者 と し て 机 間 指 導 を し な が ら 子 ど も に 声 を か け て い っ た の だ が 、「 先 生 、 見 て く だ さ い 。」 と 学 校 栄 養 職 員 に さ ら に 声 を か け 、 自 分 の メ ニ ューについて評価してもらおうとする姿が見られた。専門的な知識が豊富な 学 校栄養職員が評価することで、子どもたちはよりいっそう意欲的に朝食メニュ ーづくり取り組むことができた。 ま た 、授 業 時 の 感 想 や 、授 業 後 取 り 組 ん だ「 元 気 ア ッ プ 朝 食 を た べ よ う 」 「元 気 ア ッ プ 朝 食 づ く り 」の 実 践 の 様 子 か ら も 、子 ど も の 意 欲 の 高 ま り が 見 ら れ た 。 <児童の感想> 今までの朝食は、シリアルやパンだけでした。でも、授業のあとからは、赤・黄・ 緑をそろえよ うと心が けました 。そ したら 、今までよ り体が元 気になっ て、早起きも できるように なりまし た。3 つのポイ ントを考えて 、土日 の朝食作 りにもチ ャレンジ したいと思います。 20 ウ <視点3>給食における工夫や苦労などの情報提供者としてのかかわり 授業例:6年 ○ 学級活動「考えよう、食の安全」 ねらい 学校栄養職員から、給食における食品の安全性についての話を聞くことによ り、自分自身でも安全な食生活をしていくためにできることをしようとする実 践力を高める。 ○ 授業の実際 子どもに自分の食生活における課 題に気づかせ、自ら安全で健康な食 生活をめざそうとする実践的な態度 を育てたいと思い、本授業を設定し た。資料による説明や食品添加物の 実験を担任が行った後、給食ではど のようなことに気をつけて食材を選 んでいるのかについて、学校栄養職 員から話を聞いた。加工食品は期日 指定注文を行っていることや、安全 図 36「 食 材 選 び で 気 を つ け て い る ことについて話す学校栄養職員」 な食材を購入するために物資購入委員会を開いていることを学校栄養職員から 聞くことにより、自らも安全な食品を選んでいこうとする姿勢が見られた。 ( 図 36) <子どもの感想> 今まで、賞味期限や消費期限はよく見ていました。給食室の先生方が 食品添加物などについて気を配っていらっしゃることを知り、自分でも 表示をしっかり見て、安全な食べ物を選んでいこうと思いました。 ③ 考察 今年度は、どの場面で、どのような専門性を発揮するのかを十分検討し、指導の焦 点化を図ってきた。 専門的な知識を生かした指導者・児童の意欲喚起のための評価者・ 給食における工 夫や苦労などの情報提供者の3つの立場で指導にあたってきたことにより、学習内容 に深まりが見られた。また、子ども の表情にも、新たな発見をしたときの驚きや、知 識の広がりを得たときの喜び、できなかったことができるようになった成就感など、 笑顔を見せる場面がはるかに増えたと感じる。さらに、授業後、日常生活の中でも学 習したことを実践していこうとする意欲も見られ、専門性を生かした指導が効果的で あったといえる。 21 (6) 交流活動の推進 先生や友達、地域の方との交流活動を行えば、人との出会いや交流を通して、作ることや、食べる ことの喜びを感じたり、また、正しい食事のマナーを身につけたりして社会性が育ち、よりよい 食生活をおくる実践的な態度が育っていくと考える。 ① 取組の実際 ア わくわくクッキング 食材を自分の目で見て、手で触り、自分で作ったものを味わうことで、「食」への関心が高ま っていくものと考えられる。料理を楽しみながら「食」の大切さを学ぶ体験として、本校では平 成18年度から夏休みと冬休みに希望者を募り、 (図 37) 「わくわくクッキング」を実施している。 1年生から6年生までの異なる学年の子どもたちで班を作り、各班についた職員の指導のもと 協力して調理にチャレンジした。また、1年生はじめ全員が、ガスの安全なつけ方や消し方、包 丁使いも経験して、ハラハラドキドキしながらも一生懸命取り組み、高学年の子どもが低学年の 子どもに教える場面も見られた。(図 38) 図 37「わくわくクッキングお知らせ」 〈子どもの感想〉 ・今日は、初めて皿洗いをやりました。今日からやりたいです。 ・ほうちょうは、ねこの手で切れなかったから、今度からは、 ほうちょうを上手にもちたいです。 ・フルーツたっぷりゼリーを作るのは初めてだったので、家族 のみんなに話して作ってみたいです。 ・もっといろいろできるようになって、自分だけで料理を作れ るようになりたいです。 ・みんなで協力して、なかよく作れたから、とても楽しくでき たと思います。 22 図 38「わくわくクッキング調理」 お家の方から 家でも早速作りまし た。おいしかったで す!!団子の作り方を上 手に私たちに教えてくれ ました。食への興味を持 ち続け、すききらいをな くし、食べることの楽し さを感じて欲しいです。 イ 校内での交流給食 a わくわく給食 6月 入学してきた1年生と6年生が、お互いのパートナーとなり、1年間様々な活動を通して交 流していく。6月には、 「わくわく給食」を行い、1年生と6年生のパートナー同士が、体育 館で会食をした。6年生は、体育館に1年生と6年生の分の食器と給食を運び配膳し、ビニー ルシートを敷いて、1年生と一緒にピクニックのように楽しく会食し交流を深めた。 (図 39) 〈子どもの感想〉 ・パートナーと一緒に食べられてうれしかった。 ・6年生のように、何でもたくさん食べられるようにな りたいと思いました。 ・6年生と一緒に食べたので、残さず最後まで食べられ ました。 図 39「わくわく給食」 b なかよし給食 7月 全学年において、クラスを数グループに分け、それぞれの グループが各学年の中で教室を移動し、同学年の他のクラス の友達と一緒に会食する。同学年であってもクラスが違うと あまり話す機会のない子どもたちであるが、違うクラスの友 達や、違うクラスの担任とも楽しく話をしながら会食し、交 流することができた。 (図 40) 図 40 「なかよし給食」 c スマイル給食 12月~2月 卒業を控えた6年生全児童が、12月から2月にかけて6~7人ずつ校長室を訪れ、校長先 生といろいろな話をしながら楽しく会食を行う。6年生は、このスマイル給食をとても楽しみ にしている。 (図 41) 〈子どもの感想〉 ・はじめは緊張しましたが、卒業前に校長先生と たくさん話す機会があって良かったです。私も ちゃんとした夢を持とうと思いました。 ・いつもとは違う雰囲気で、とても明るく楽しい 給食になったと思う。話もとぎれることがなく、 みんな笑顔になり、今までで一番思い出に残る 給食だった。 図 41 「スマイル給食」 d 招待給食 1月 給食記念週間中に、担任外の職員を給食時間に教室に招 き、会食をする。普段はあまり話をする機会がない職員と もいろいろな話をして交流し、みんなで食事をすることの楽 しさを感じている。(図 42) 図 42「招待給食」 23 ウ 地域の方との交流給食 a 夏休みさわやか給食会 7月 夏休みに、いつもお世話になっている地域の方への感謝の意味をこめ、また、学校給食等に 対する理解を深めてもらうために、自治会長、評議員、民生委員等の方々を招待し、 「夏休み さわやか給食会」を行う。給食試食の前には、音楽部の発表を聞いてもらい、学校栄養職員か らの給食についての説明の後、試食を行う。(図 43) 〈地域の方の感想〉 ・栄養、味ともに、手作りならではの温かい配慮に 嬉しく思いました。子どもさんたちも、市販品で はなく確かな味を覚えて成長してくれることと思 います。 ・子どもたちの歌声で、心も体もリフレッシュでき ました。給食も大変おいしくいただきました。あ りがとうございました。 図 43「夏休みさわやか給食会」 b ふれあい給食 10月 老人会や交通指導員の方を招いて、 「昔遊びの会」と、 「ふれあい給食」を実施している。 午前中は、1年生の子どもに、竹馬・こままわし・はねつきや剣玉・お手玉・おはじき等を教 えていただき、お昼は、2年生の子どもと一緒に教室で給食を食べていただく。会食をしなが ら、老人会等の方が子どものころによく遊んでいた遊びや、子どものころの思い出などを話し てくださり、とても楽しい給食時間となり、地域の方とのふれあいができた。 (図 44) 〈子どもの感想〉 ・おじいちゃんやおばあちゃんから、子 どものころに遊んでいた遊びや、おや つの話を聞きながら、一緒に給食を食 べて楽しかったです。 ・給食の後に、歌や踊りを見てもらい、 ほめてもらいました。 ・お友達のおばあちゃんや、交通指導員 の方と一緒に給食を食べてうれしか ったです。 図 44「昔遊びとふれあい給食」 ○ 考察 わくわくクッキングへの参加により、学んだことを実践化しようとする姿が見られ、調理へ の関心が高まった。また、交流給食は、マナーを考え、楽しく会食することのよさを実感でき るよい機会となっている。特に、地域の方との交流では、地域の方の学校給食への理解を深め て頂くことができている。 24 (7) 家 庭 と の 連 携 学校での「食」に関する学びが、家庭での実践につながるためには、家庭との連携が欠 かせないと考える。そこで、家庭への啓発の一つとして、給食試食会やPTA総会で学校 栄養職員による講話を聞いていただいたり、給食委員会の発表などを見ていただいたりし ている。また、食育だよりや学年・学級通信を出したり、弁当の日を設けて子どもたちが 実際に取り組むようにしている。 ① 取組の実際 ア 給食試食会 保護者に学校給食への関心をもっていただく 機会をもつことをねらいとして、学校栄養職員 から、栄養のバランスのこと、衛生面のこと、 たくさんの方々の努力で作られていることなど の 話 を 聞 い た 後 ( 図 45)、 試 食 を し て い た だ く 。 ( 図 46) 図 45「 栄 養 の バ ラ ン ス な ど を 説明する学校栄養職員」 <保護者の感想> ・子どもから「今日の給食と同じ物をつくっ て!!」と 言われます ので、簡単なレ シピを のせてほしいです。 ・材料選び から素材 の味を大 切にされ てい るこ と 、安 全 対 策 の お 話 し に も 興 味 を 持 っ て う か がい、驚きとともにとても安心しました。 ・子どもは 牛乳と納 豆嫌いで したが給 食が始ま ってから大丈夫になりました。 ・説明して いただい たことを 家でも話 をしたい 図 46「 試 食 を す る 保 護 者 の 方 々 」 と思います。 ・栄養のバ ランスも 考えてあ るのがよ くわかる メニューで参 考になり ます。家でも味 付けに 気をつけます。 イ PTA総会 学校給食の理解を深めていただくために 学校栄養職員の講話を聞き、給食委員会の 発表を行っている。 給食委員会の発表では、朝食の大切さを 伝 え た り 栄 養 の 歌 を 歌 っ た り し た 。( 図 47) <保護者の感想> 図 47「 P T A 総 会 の と き に 発 表 する給食委員会の子どもたち」 発表 ・朝食の大切さを改めて思った。 ・成長期の子どもにとっては、食べると食べないでは学習の集中力にも影響がある と知った。 ・これまで以上に朝ごはんをしっかり食べさせて、学校に送り出したいと思った。 25 ウ 食育便りや学年通信、学級通信の発行 食 育 便 り( 図 48)で は 食 育 の 月 目 標に関連する話題や専門性を生かした 情報、各学年の食への取組(栽培活動 やみかん狩り、パン工場、牧場などの 見学旅行の様子)などを家庭に紹介し ている。裏面には子どもたちに募集し た お す す め 弁 当 レ シ ピ 集 (学 年 ご と 、 盛り付け例、おやつになりそうなもの 49 ) な ど に 分 け て ) を 載 せ て い る 。( 図 ○ 学年・学級通信では食に関する授業 や取組の紹介、子どもたちが家庭でも 図 48「 食 育 便 り 」 「食」に関われるように、保護者にお 願いしている。 エ 弁当の日 弁当の日の取り組みでは、保護者に 子どもと一緒に弁当を作っていただく 事により、子どもたちに食事を作って くれている家族への感謝の気持ちを感 じ取ってほしいことをねらいとしてい る。子どもたちはお弁当つくりの経験 を重ねることで「遠足の時以外にも作 ってみよう」 「次は彩りや栄養のバラ ン スにも気をつけてみよう」など楽しん で食にかかわっている。勿論、保護者 図 49「 弁 当 レ シ ピ 集 」 には食育便り等で協力を依頼している。 子どもの実態にあわせて、家の人と一緒に買 い物に行ったり、おにぎりを作って弁当箱に詰 めたりと保護者の見守りの中、子どもたちはい ろいろなことに楽しんでチャレンジする姿が出 てきている。 2学期からは学校栄養職員が給食の時間にラ ップを使っておにぎりを作る指導を行った。 (図 50) 形 は 、 ま ん 丸 、 三 角 、 俵 型 い ろ い ろ で 、 回 を重ねるごとに上手になる。学年によって、1 年はおにぎり作り。2,3年はおにぎり作り+ 図 50「 ラ ッ プ お に ぎ り 作 り 」 おかずつめ。4年はおにぎり作り+簡単なおか ず作り 1 品 。5,6年はお にぎり作 り+簡単なお かず作り と増えて いく。 6年生では 、一 人 で お 弁 当 全 部 を 作 る 子 ど も も 増 え て き た 。( 図 51・ 52 ) 26 <保護者の反応> ・子 ど も は 調 理 へ の 関 心 が 高 ま り 、 「 お 母 さ ん と 作 る の が 楽 し い 。」 「いつもご飯を作って く れ て あ り が と う 。」 と 感 謝 の 気 持 ち を 言 っ て く れ て う れ し か っ た 。 ・調理だけでなくいろいろなお手伝いも増えてきました。 ・最初は、私一人で作ったほうが早いと思っていましたが、子どもも一生懸命で一緒に 楽しんで作ることができました。 <子どもの反応> ・ 初 め は 、お に ぎ り を 指 で つ ぶ し ち ゃ っ た け ど 、後 で は 上 手 に で き ま し た 。 味 は グ ー で した。おいしかったです。 ・最初なのでスクランブルエッグにしました。母に上手といわれ、嬉しかったです。 ・玉子焼きを作りました。初めてだったので、食べたときにちょっとパサパサでした。 もっと練習して、上手になりたいです。 三角おにぎりのカク ンとなっている所が 難 し く て 、時 間 が か か り ま し た 。お 母 さ ん が 「丸のおにぎりが上 手 だ ね 。」 「詰めるのも 図 51 「ぼくが作った おにぎり」 う ま い ね 。」 と 言 っ て くれました。 図 52「 全 部 、自 分 で 作 っ た よ 」 オ「 い保ろ 護ん 者な と形 のが 交で 流き た よ保」護 者 に は 子 ど も た ち の 授 業 の 活 動 の 中 で 、 特 に 2 年 生 の さ つ ま い も で は 、 草 取 り ( 図 53)や 収 穫 、お い も パ ー テ ィ の 時( 図 54)に 、学 習 ボ ラ ン テ ィ ア と し て 協 力 を お 願 い し て い る 。 保 護 者 と 一 緒 に 「 草 が い っ ぱ い 生 え て い る ね 。」 「 大 き い お い も が あ っ た よ 」 と 汗 を 流 し た り 、「 蒸 し あ が っ た よ 。」「 暖 か い う ち に つ ぶ そ う 。」 と 調理をしたりするこ とで子どもたちの 喜びも倍増した。 図 53「 学 習 ボ ラ ン テ ィ ア の ② 考察 お母さんと草取り」 図 54「 学 習 ボ ラ ン テ ィ ア の お 母 さんとさつまいもを調理したよ」 学校での食の学びが、家庭との連携を図ることで、子どもたちの食 に対する意欲が高 ま り 、実 践 化 に つ な が っ て い る 。ま た 、保 護 者 の 食 生 活 に 関 す る 興 味・関 心 も 高 ま っ て きた。 27 7 研究のまとめ 「『 人 ・ も の ・ こ と 』 と の か か わ り を 大 切 に し 、 実 感 を 伴 っ た 活 動 や 指 導 を 工 夫 し ていけば、 「 食 」に 関 す る 関 心 が 高 ま り 、よ り よ い 食 生 活 を 目 指 そ う と す る 子 ど も が 育 つ で あ ろ う 。」 と い う 研 究 の 仮 説 に 基 づ い た 実 践 に つ い て の 考 察 を 行 っ た 。 (1)成果 ① かかわりを通した、実感を伴う学びのための指導過程の工夫 か か わ り を 大 切 に し た 実 感 を 伴 う 指 導 過 程 を 工 夫 し た こ と で 、子 ど も た ち が 課 題 意 識 を 持 っ て 学 習 に 取 り 組 み 、め あ て を 立 て る こ と で 、学 ん だ こ と を 今 後 の 自 分 の 食 生 活 に 生 か そ う と す る 実 践 へ の 意 欲 の 高 ま り が 感 じ ら れ た 。ま た 、分 か っ た と き の 喜 び や で き た と き の 充 実 感 な ど 、授 業 の 中 で 、今 ま で 以 上 に 子 ど も た ち の 笑 顔 が 見 ら れ る ようになった。 ま た 、「 生 か す 段 階 」 の 発 信 は 、 保 護 者 へ の 啓 発 に つ な が っ て い る 。「『 食 』 の 大 切 さ に つ い て 改 め て 考 え 直 す 機 会 と な っ た 。」、「 家 庭 で 『 食 』 に 関 す る 話 題 が 増 え た 。」 という保護者からの嬉しい声も聞かれる。 ② 体験的な活動との関連を図った学習 長 期 に わ た る 栽 培 活 動 と「 食 」に 関 す る 知 識 の 習 得 や 調 べ 学 習 な ど を 関 連 さ せ な が ら 学 習 を 進 め た こ と で 、よ り 実 感 を 伴 っ た 学 び と な っ た 。体 験 し た こ と を 思 い 出 し な が ら 、自 然 の 恵 み や 感 謝 の 気 持 ち を 授 業 の 中 で さ ら に 確 認 し た り 、授 業 で 調 べ た り 学 んだりしたことを思い出しながら、栽培活動を意欲的に行ったりする姿が見られた。 ま た 、1 時 間 の 授 業 の 中 に も 体 験 活 動 を 取 り 入 れ た こ と で 、子 ど も た ち が 笑 顔 で い きいきと活動する姿が見られ、学習意欲を高めるのに大変効果的であった。 さ ら に 、野 菜 の 栽 培 や 給 食 に 使 用 す る 野 菜 の 皮 む き な ど の 体 験 的 な 活 動 と「 食 」に 関 す る 指 導 を 関 連 さ せ た こ と に よ り 、嫌 い だ っ た 野 菜 を 食 べ よ う と す る 姿 な ど が 見 ら れ る よ う に な り 、給 食 も 残 さ ず に 食 べ よ う と す る 態 度 に つ な が っ て い る 。給 食 を 残 さ ず 食 べ て い る と 答 え た 子 ど も は 、1 9 年 度 に は 6 6 % だ っ た の に 対 し 、2 0 年 度 に は 85.6%と増えてきている。 ③ 地域の人々や地域の特性を生かした学習 地 域 の 生 産 農 家 の 方 々 や 食 生 活 改 善 推 進 員 の 方 々 の 協 力 の お か げ で 、地 域 で 作 ら れ て い る も の や 食 文 化 を 始 め と す る 地 域 の 人・も の・こ と の よ さ に 気 づ き 、地 域 を 大切にする心や感謝の気持ちを育てることができた。 ④ 「生きた教材」である給食と教科等との関連を図った学習 学 校 給 食 の 食 材 を 使 っ て 体 験 活 動 や 指 導 を 行 う こ と は 、子 ど も た ち に と っ て 身 近 な も の で 大 変 分 か り や す く 、実 感 を 伴 っ た 学 び と な っ て い る 。ま た 、学 ん だ こ と を 給食で実践し、学びの振り返りや確認がしやすいという効果もあった。 ⑤ 学校栄養職員や養護教諭の専門 性を生かした指導 ど の 場 面 で 、ど の よ う な 専 門 性 を 発 揮 す る の か を 検 討 し 、指 導 の 焦 点 化 を 図 っ た こ と に よ り 、指 導 の 内 容 を 精 選 し て 効 率 的 に 指 導 を 行 う こ と が で き た 。ま た 、専 門 的 な 知 識 や 情 報 を 得 た と き の な る ほ ど と い う 子 ど も の 真 剣 な 表 情 、専 門 家 か ら ア ド バイスを受けてできるようになったという嬉しそうな表情を見られる場面がはる 28 か に 増 え て き た 。授 業 の 中 で 、充 実 感 や 達 成 感 を 感 じ 、子 ど も た ち の 笑 顔 が 多 く 見 ら れ 、子 ど も た ち の 授 業 に 対 す る 意 欲 が 高 ま っ て き て お り 、専 門 性 を 生 か し た 指 導 の効果が上がっている。 ⑥ 交流活動の推進 わ く わ く ク ッ キ ン グ や 交 流 給 食 な ど 様 々 な 活 動 を 実 施 す る こ と で 、調 理 や 会 食 の 楽 し さ を 感 じ 、ま た 実 施 し て ほ し い と 楽 し み に 待 っ て い る 子 ど も た ち も 多 い 。社 会 性 を 身につけるよい機会ともなっている交流活動をこれからも推進していきたい。 ⑦ 給 食 試 食 会 や P T A 総 会 な ど で の 学 校 栄 養 職 員 に よ る 講 話 、毎 月 の 食 育 便 り 、学 級 通 信 等 で の「 食 」に 関 す る 授 業 や 取 り 組 み の 紹 介 、授 業 参 観 で の 食 育 の 授 業 な ど 保 護 者 へ の 啓 発 に 取 り 組 ん で き た こ と で 、保 護 者 の 食 生 活 に 関 す る 意 識 の 高 ま り が 見 ら れ た。家庭で「食」に関する話題が増えたという声も多く聞かれた。 【 家 庭 で 子 ど も に よ く 言 っ て い る こ と( 保 護 者 へ の ア ン ケ ー ト よ り )】19 年 度 → 20 年 度 ・好き嫌いをしない 43.2% → 69.4% ・衛生 ・基本的な食事のマナー 44.0% → 65.8% ・ 感 謝 の 気 持 ち 21.1%→ 45.4% ⑧ 42.8% → 66.5% 家で料理をよく又は時々作ると答えた子どもが、19年度には51.2%だったの に 対 し 、 2 0 年 度 に は 7 1 . 8 % と 増 え て い る 。「 食 」 に 関 す る 授 業 を 系 統 的 に 行 い 、 弁当の日など家庭との連携を図ることにより、調理への関心が高まったものと思われ る。 (2)課題 仮説を具現化するための方策を立てて取り組んできたことにより、 「 食 」に 対 す る 関 心 や 実 践 へ の 意 欲 が 高 ま っ て き て い る 。し か し 、冒 頭 で も 述 べ た よ う に 、 食 生 活 の 3 分 の 2 が 家庭生活によるものだということを考えた場合、どうしてもそれぞれ の家庭の事情などが 関係してくる。学んだことの日常化、そしてよりよい食習慣へとさらに発展させるために は、家庭との連携を今以上に進めるのは勿論のこと、中学校との連携を深めていくことの 必要性も感じている。 また、地域の方の協力が、大きな学びにつながっていることを考えると、地域の人・も の・ことについて私たちがさらに調べて、そのよさを活用していくことも大切であろう。 専門性を生かした指導については、学校栄養職員や養護教諭とのTTを中心に進めてき たが、理科専科等 や学年で の指導を 含 めた 3 人以上 のTT等、様 々なスタ イルの指導体 制 を工夫していきたいと考える。TTやゲストティーチャーとの指導体制をとる場合には、 打ち合わせが大切になってくるが、 どのようにその時間を確保していくか、効率的・効果 的な方法を考えていくこともこれからの課題である。 29 おわりに 収穫が終わってしばらく経った農園を自分たちで耕し、家で育てた苗を持って来て植え て育て、収穫を楽しんでいる子どもたちの姿が見られる。全て、自分たちで考え て行った ことである。また、長期休業の課題として、高学年は実践したことや調べたことなどをま とめる食新聞に取り組んでいる。この冬休みの食新聞に、七草粥について調べ、苦労して 探して見つけた春の七草や七草粥を写真に撮ったものを載せていた子どもがいた。ま た、 しいたけが嫌いな弟のために、材料の中に細かく刻んで入れて作ったところ、おいしそう に 食 べ て く れ た 。 と い う 実 践 を 紹 介 し て い た 子 ど も も い た 。 そ の 子 ど も は 、「『 食 』 に 関 し て 学 ん だ こ と で 、感 謝 の 気 持 ち を 持 つ こ と が で き る よ う に な っ た 。そ し て 、 『 食 』に つ い て 学 ん だ こ と を こ れ か ら の 生 活 に 生 か し て い こ う と 思 っ て い る 。」と 小 学 校 最 後 の 食 新 聞 の ま と め に 書 い て い た 。 本 研 究 を 進 め て き た こ と に よ っ て 、「 食 」 に 関 す る 活 動 を 楽 し ん だ り 、 学 ん だ こ と を 実 践 し た り す る 姿 が 見 ら れ る よ う に な っ て き た の は 、大 変 嬉 し い こ と で あ る 。 学校における食育は、今後益々重要な役割を担ってくると考えられる。従って、よりよ い食生活、そして健康な生活を目指す子どもを育成するために、計画的・系統的かつ長期 に渡って取り組むことが必要である。食育部を中心として協力して研究を進めてきたが、 今後、職員・家庭・地域の協力体制の在り方をさらに探っていきながら、子どもたちそし て職員が、笑顔で「食」の大切さを実感できるような研究を継続していくことが何よりも 大切であると考えている。 最後になったが、本研究にあたり、多くの先生方や地域の方、保護者の皆様にご支援や ご示唆をいただいたことに深く感謝申し上げる。 【参考文献】 ○ 食に関する指導の手引き(文部科学省) ○ 平 成 18 年 度 食 育 推 進 事 業 「 食 に 関 す る 実 態 調 査 」 結 果 ・「 体 験 活 動 研 究 推 進 校 」 実践報告書(熊本県教育委員会) ○ 第 58 回 全 国 学 校 給 食 研 究 協 議 大 会 冊 子 ( 協 議 大 会 愛 媛 県 実 行 委 員 会 ) 【 研 究 同 人 ( 食 育 部 員 )】 中村みどり・桝本朝霧・赤塚宏子・福田麻里・吉岡徳子・林京子・淵田由美 30