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フリーアクセス方式

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フリーアクセス方式
R
フリーアクセス
分岐管
R&D
&
D
ホ
ッ
ト
コ
ー
ナ
ー
リサイクル管路防護台
IP系サービス提供に即応した地下配線管路技術
(フリーアクセス方式)
NTTアクセスサービスシステム研究所
やまぐち しげる
山口
茂 /油谷 康弘 /奥村 賢志 あぶらたに や す ひ ろ お く む ら
け ん し
お客さまビル等への引き込み管路,引き上げ管路にすでにメタルケーブルが布設
され,光ケーブルを追加布設できない場合に即応するため,地下配線管路の任意の
個所から新たな引き込み管路を分岐し,光ケーブル入線空間を確保するフリーアク
セス方式を開発しました.この方式により,既設設備の有効活用が図れ,建設コス
トを削減することができます.
開発の背景と取り組み
今回のフリーアクセス方式については,
に対応するため,配線管路の任意の個
1 管 1 条 布 設 のS U D ( S u b s c r i b e r
所から新たな引き込み管路等を分岐さ
Underground
Distribution:加入
せる方式です.既設配線管路を有効活
IP系サービスはBフレッツに代表される
者地下引き込み)1方式により構築さ
用することにより,ハンドホールから分
ように年々拡大する傾向です.
れた配線管路を適用対象としています.
岐個所までの管路増設コストを抑制す
近年の情報通信需要の多様化に伴い,
一方,情報通信分野における競争は
なお,西日本主要都市で調査を実施
激化し,通信インフラの整備においても
したところ,既設の配線管路は,その
経済的な構築技術が必要となり,既設
ほとんどがφ50 mm,φ75 mmの管路
設備の有効活用,徹底活用技術の開発
です.また管の種類では硬質ビニル管が
膨大なストックを有効活用していくた
が要望されています.
約5割を占めますが,金属管も約4割と
めには,配線管路の種類にかかわらず幅
比較的多いことが分かりました(図2)
.
広く適用できることが必要です.フリー
NT Tアクセスサービスシステム研究所
では,IP系サービスに即応する地下配
線管路技術として,以下の開発テーマ
に取り組んでいます.
①
同一管路内に復元性のあるパイ
ることができます(図3).
適用条件
アクセス方式を適用する既設管路を表
フリーアクセス方式の概要
1に示します.防食鋼管を除くほとん
フリーアクセス方式は,お客さま引き
込み管路,引き上げ管路の行き詰まり
どの管路を対象としています.
また主な既設ケーブルと新たに布設す
プを挿入し,ケーブル収容空間を
確保する方式
②
既設配線管路の途中から分岐管
を用いて,引き込み管等を分岐,
歩道
構築する方式
③
既設管に隣接し経済的に管を増
設する方式
ここでは,②の既設設備を有効活用
する地下配線管路技術(フリーアクセス
方式)について紹介します.
地下配線管路の現状
地下配線管路の形態は,工事コスト
の削減,サービスへの即応性などの観
点から過去幾度か見直され,現状では
フリーアクセス方式
適用管路
既設ハンドホール
引き込み管路
(φ50またはφ25 mm)
SUD
分岐管
引き込み管路
φ100または
φ150
配線管路
φ50
配線管路
(φ75またはφ50 mm)
1管1条布設
引き込み管路だけ多条布設
(SUD1方式)
(SUD2方式,1995年∼)
配線管路
引き込み管路
φ150 mm管
(配線管路,
引き込み管路)
SUD分岐管
引き込み
ケーブル
配線
ケーブル
フリーアクセス(単管)方式
(2000年∼)
図1 地下配線管路形態
3つの形態が混在しています(図1).
NTT技術ジャーナル 2004.6
49
φ100,150(0%)
φ75(30%)
既設引き込み管路
φ50(70%)
既設ハンドホール
新設管路
(a) 管径別割合
長尺可とう管(5%)
金属管(41%)
既設配線管路
硬質ビニル管
(54%)
既設配線管路
の有効活用
ケーブル
分岐管
新設管路
既設ハンドホール
新設光ケーブル
既設配線管路(φ50またはφ75 mm)
(b) 管種別割合
既設メタリックケーブル
ケーブル分岐管
図2 配線管路の割合
(西日本主要都市25ビル)
図3 フリーアクセス方式の概要
表1 フリーアクセス方式を適用する管路の種類
表2 多条布設ケーブルの組み合わせ
適用管路の種類
硬質ビニル管
塗覆装鋼管
金属管
ジュート巻鋼管
鋳鉄管
長尺可とう管
管径(mm)
φ50,φ75
新設ケーブル
既設ケーブル
φ50,φ75
φ75
光ケーブル
心線数
対数
外径(mm)
100対
18.5
200対
400対
8
40
100
200
8
10.5
12.5
16
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メタルケーブル
(φ50の規格なし)
φ50
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◎
◎
24
◎
◎
◎
◎
33
◎
◎
○
○
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◎:φ50 mm,φ75 mm管路に適用可
○:φ75 mm管路だけに適用可
:φ75 mm管路だけに光ケーブル2条布設可
(φ75の規格なし)
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表3 保証する性能
ることができる光ケーブルの組み合わせ
を表2に示します.すでに収容済みの
ケーブルの外径により,新たに布設する
光ケーブルの心線数に適用上の制限が
あります.例えば,φ50 mmの配線管
路に400対のメタルケーブルが収容され
保証する性能
ケーブル布設性
耐荷性
耐衝撃性
耐震性
ケーブルが継手部や分岐管の曲管部を円滑に通過する
土砂等の死荷重,T-25 *相当の自動車荷重に対して破壊しない
掘削機などによる予期せぬ衝撃に対して破壊しない(金属管適用の場合)
接続部が地震等の影響により離脱しない(金属管適用の場合 )
*道路,橋梁などの設計に用いられる自動車荷重で,車両総重量25 tf(250 kN)の大型車の荷重を表します.
ている場合,新たに100心 の光ケーブル
は物理的に布設できません.
よって,本方式の適用にあたっては,
既設ケーブルの諸元等事前調査を十分
に行う必要があります.地下配線管路
は都市部商店街等に多く,比較的ケー
ブル布設距離が短いため,人力による
布設が一般的です.
ケーブルが100対以下であれば,光ケー
行SUD2方式としてすでに標準化され
ブルは2条まで追加布設することができ
ているφ150 mm 管からの分岐技術を
ます.
応用しています(図4).
分岐構造
また金属管用の分岐部は,すでに確
立されている割り管,切り管の施工技術
分岐部は,既設の配線管路にケーブ
を応用し,金属管の一部を撤去し,割
ルが収容されている場合に,新たに布設
り分岐管を接着接合後,割り継手で接
そこで,人力によるケーブル布設けん
するケーブルの布設性能を損なうことな
続する構造としました(図5).長尺可
引力(約196 N以下)を考慮し,ハン
く,また既設ケーブルに損傷を与えるこ
とう管用の分岐部については,継手構造
ドホール相互を結ぶ配線管路1条につ
とのない安全な施工が可能な構造とし
が異なりますが,接続方式は金属管と
いて,分岐個所数は,配線管路の径が
ました.分岐構造の開発にあたり考慮し
同様です.
φ50 mm の場合は1個所,φ75 mm
た性能(保証する性能)を表3に示し
の場合は2個所以下を設計条件として
ます.
います.φ75 mmの管路の場合,既設
50
NTT技術ジャーナル 2004.6
硬質ビニル管への取付け構造は,現
分岐部の防護
地下配線管路区間では,埋設物が輻
R
済化に寄与するものと考えています.
今後は,本技術の標準化を図ってい
く予定です.
分岐管(曲管部φ50)
なお,この分岐管技術については,引
き込み管等 の行き詰まり対応だけでは
分岐管(サドル部)
なく支障移転工程の縮小などの用途で
も活用いただけます.検討の際には,お
気軽にご相談ください.
硬質ビニル管(φ50またはφ75 mm)
■参考文献
図4 硬質ビニル管用分岐構造
(1) 玉井・瀬川・玉松:“廃光ファイバケーブル
のNTT基盤設備へのリサイクル適応,”NTT
技術ジャーナル,Vol.15,No.6,pp.42-45,
2003.
分岐管(曲管部φ50)
割り継手
割り分岐管
金属管(φ50またはφ75 mm)
図5 金属管用分岐構造
割り分岐管用開口部
割り継手切り欠き部
図6 分岐管路用リサイクル防護台
(左から)油谷 康弘/ 山口
奥村 賢志
輳し所定の埋設深さが確保できない場
護台(分岐管路用リサイクル防護台)
合,あるいは頻繁に行われる他企業近
を使用します(図6).
接工事に起因し,バックホウなど掘削機
により予期せぬ衝撃を受けるおそれがあ
る場合など金属管を用いることが標準
となっています.
金属管に分岐部を設ける場合,その
部分の強度が低下することから,これを
補うため防護を行い,耐衝撃性を確保
することとしました.防護は,光ファイ
バケーブルのリサイクル製品 *である防
今後の展開
茂/
NTT基盤設備の有効活用技術,そして今
後主流となり得る維持管理技術に関する研
究開発を推進し,事業会社に貢献できるよ
う努力しています.
メタルケーブル主体の既存電話網か
ら光ケーブル主体のIP 網へとシフトする
中,本技術は光サービスの即応化,経
* 光ファイバケーブルのリサイクル製品:ポリエ
チレン化合物に,廃光ファイバケーブルの外被
(ポリエチレン),スロットロッド(ポリエチレ
ン)
,アルミラップ(アルミ)を細断混練りした
もの(1).
◆問い合わせ先
NTTアクセスサービスシステム研究所
第二推進プロジェクト
シビルシステム推進DP
TEL 029-868-6220
FAX 029-868-6260
E-mail [email protected]
NTT技術ジャーナル 2004.6
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コ
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ナ
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