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辻善光選手湘南シクロクロス平塚大会レースレポート

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辻善光選手湘南シクロクロス平塚大会レースレポート
湘南ベルマーレシクロクロス 平塚競輪場大会 2014年12月20日
Team Zenko
善光
11月23日の関西シクロクロス マキノ大会で落車をしてしまい、親指を骨折。完全に分離した骨
折であったため、以降の野辺山シクロクロスをキャンセル。自転車に乗って練習することもできなく
なってしまい、筋力トレーニングやランニングをし筋力低下と体重増加をしないように心がけた。
今大会前に病院で検査するもほとんど繋がっていないということだったので欠場も考えたが、2年間
お世話になった湘南ベルマーレが主催の大会であるため、出場を決めた。
大会当日、朝からコースを試走。大きな段差や腕力を使うようなポイントは少なく、タイヤのグリッ
プとスピードが必要なコースだったので怪我への負担は比較的少ないものだと感じた。
雨が降ったり止んだりする状況で他のレースを見ていると路面がかなりぬかるんでいるようだった。
タイヤ選択と空気圧が非常に重要となってくる。泥用のタイヤと空気圧は1.4気圧。自分の中ではか
なり攻めたセッティングにした。
寒いレースではウォーミングアップがレースの半分を決める。ダウンジャケットを着て、ビニールシ
ートをかぶり、ストーブに灯を点し、一定ペースでローラーを漕ぐ。一切ペースを変えず淡々と踏む
と心拍数だけ上下する。けだるさが抜けるまではキツい。ジワジワ心拍数が上がり、ある瞬間から下
がっていく。その瞬間をきっかけに身体が軽くなり、暑くなり、集中力が上がる。どんどん踏めるよ
うになるが疲れないように一定ペースのまま汗が出るまで漕いだ。
着替えてスタートラインに行くと寒い寒いと言っている選手の横で冷たい風が心地よいと感じる。コ
ースプロフィールからスリックタイヤを選択している選手も見られた。
スタートダッシュは得意で自分だけのスタート方法がある。ペダルさえ入れば絶対に負けない。でも
入らなかった。冷静にライン取りを意識して先頭で第1コーナーに侵入。ここで先頭であれば無理に
ペースを上げる必要がない。
パワータップから飛んでくるパワーデータが大きくならないように遅すぎるくらいのペースで走る。
すぐに3人の集団になった。相当遅いペースだと感じたが、タイヤのセッティングの差がタイム差に
直結しているようだった。先頭3人は曲がれている。踏まなくても少しずつリードが広がる。しばら
く3番手で走るも後続がセッティングを変えたバイクに乗り換えてペースを上げてくる可能性があっ
たため、差を広げておくために先頭に立つ。
ポラールの心拍計を見ると180も出ていたがパワーデータは低い。心拍が高いのにパワーが出てい
ない状態が自分には合っている。高回転エンジンになった気分になれる。いつでも加速できるように
エンジンを高回転でキープしたまま周回を重ねる。
ラップタイムはプラスマイナス1秒という完璧な一定ペースで走る。先頭集団は2人になり良い状況
のままだったので自分を落ち着かせて走る。何度か自分が単独先頭になったと思って後ろを確認し
た。すると真後ろに池本選手がいた。タイヤが当たるくらい近くを走っているのに音がしない。ブレ
ーキの音も変速の音も息づかいも。
レースが半分を過ぎたころに少しコーナーリングに余裕が出てきたので攻めて曲がってみた。すると
何の抵抗もできないうちに転倒してしまった。すぐに立ち上がりバイクのダメージを確認。バイクは
問題なく、指も悪化していない。ただ順位が2位に落ちた。先頭に立った池本選手は素晴らしいテク
ニックでスイスイ曲がっていく。10秒の差を20分以内に詰めないと勝ち目がない。
追いつくまでがレースだと思い全力で追う。パワーで走る自分とテクニックで走る池本選手。綺麗な
ウエアで無駄なく走る姿を目で追いながら泥だらけのウエアで強引に突き進む。丸2周かけて追いつ
くも疲労と集中力の欠如を感じたのでしばらく後ろで勉強をさせていただく。本当にブレーキをして
いない。変速もしていない。なのに僕とスピードが変わらなかった。
なんとなくやり方はわかった。あとはそれをどう実行するかを考え、一気にアタックをかけた。一気
に差を広げ、それをキープするのが最善だと信じて全力で加速し、変速をせず、ハイペースを作る。
ブレーキをしないことは僕には難しい。それでも池本選手をイメージしながら走る。
15秒のリードを作ることができ、あとはそのリードを守る。苦しくなってきて差が減っていく。ラ
スト2周でもう一度自分のスタイルに戻し、タイム差を保とうとチャレンジしたときに大きくスリッ
プ。地面を蹴って立て直すことができたが衝撃で両足が攣ってしまった。大きくペースダウン。ほぼ
片手で走っていたため手の感覚もなくなっていた。厳しい状態でラスト1周に入る。ラップタイムを
5秒落としても勝てるが落車したら10秒ロスする。
上がらないペースを上げようとするより、転けないようにイメージしながらゴールを目指す。差は詰
まってくるも残り半周で勝利を確信。
ゴールライン手前で湘南ベルマーレのフラッグを受け取り、ベルマーレグリーンをなびかせながらト
ップチェッカーを切ることができた。
ロードレースから引退して、単独になったことで自分の存在感が消えていくように感じたり、どんど
ん弱くなっていくのではないかと不安になっているときに骨折をしてしまい、レースに出場すること
に怖さを感じていたがこのようにまた走ることができ、さらには表彰台のてっぺんに立つことがで
き、走ることの楽しさを再認識できる機会となった。
多くのサポーターやスポンサーの皆様に支えられてスタートラインに立つことが出来ていることに感
謝しています。心臓の手術や腰痛の後遺症、今回の骨折などボロボロな身体ですが変わらず応援して
いただきありがとうございます。また表彰台に立てるようにストイックに頑張っていこうと思いま
す。
写真・CycloWired, Momiko Tanne
使用機材
フレーム GIANT TCX ADVANCED SL
ホイール POWERTAP オリジナルホイール
ハンドル Onebyesu ジェイカーボン
ステム Dixna ハングステム
クランク Dixna ラ・クランク
ブレーキ Dixna カウンターカンティブレーキ
パワーメーター POWERTAP G3
心拍計 POLAR V800
ケミカル ホルメンコール ルーベエクストリーム
補給食 ハニープラス ここでジョミ
ハニープラス マヌカ・エネルギーセル
ウエア サンボルトプロフィットジャージ
シューズ SPIUK RC16
ヘルメット SPIUK Dharma
サングラス スワンズ ガルウイング
ソックス フットマックス FXB009
バイクキャリア inno タイヤホールド
入浴剤 バスクリン きき湯 ファインヒート
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