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第6回 保険業務における先進的アナリティクスの活用

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第6回 保険業務における先進的アナリティクスの活用
保険業界のデジタル革新技術SMAC
保険業務における
先進的アナリティクスの活用
られることが多くなって
上させるか)について語
ドとの関係性をいかに向
(顧客体験や自社ブラン
「ヒューマンデータ」
タ 」 に 取 っ て 代 わ り、
会合では、「ビッグデー
る。国際的なビジネスの
がシフトしたことを示し
ーマンデータ」へと焦点
ッグデータ」から「ヒュ
いる。これらは全て「ビ
ーニング」が挙げられて
マニズム」「マシン・ラ
ス」「デジタル・ヒュー
よる先進的アナリティク
・サービス・デリバリに
資源活用における非効率
適化できるか。これらの
限られた人的資源や技
術資源の活用をいかに最
えている。
理職はまた別の課題を考
一方、情報システム部
門、財務部、人事部の管
るようである。
要なものになってきてい
れが長い道のりになるこ
先進的アナリティクス
の活用を決めたなら、こ
いだろうか。
まずは何から始めたらい
れるかもしれない。では
始めることが多い。図の
は、この成熟度評価から
ことが重要である。
やるべきことを推進する
ることを信じて、着実に
米国系調査会社ガート
ナー社の定義によると、
用的なビジネスインサイ
り、膨大なデータから実
つ統計学的方法論であ
スとは科学的、数学的か
ば、先進的アナリティク
されている。言い換えれ
コンテンツ診断」と定義
2010 年代初頭、グ
ローバルビジネス界にお
いる。
す役割は次第に高まって
的アナリティクスの果た
が減っていく一方、先進
ータ」の担ってきた役割
世界において「ビッグデ
近年、グローバルビジ
ネスやマーケティングの
え方に変わってきてい
の関連性であるという考
らには顧客のビジネスと
スインサイトであり、さ
出される実用的なビジネ
ではなく、そこから導き
重要なのはデータの規模
収束しつつあるようだ。
ノロジーとして「セルフ
ではその他の重要なテク
年度版
には「ビッグデータ」の
2)を見ると、図表の中
ポート2015年版(注
している。さらに、同レ
に過ぎたことを顕著に表
タ」の“流行期”がすで
に お い て「 ビ ッ グ デ ー
うだ。
討していることが多いよ
どは次のようなことを検
当部長や経営企画幹部な
ある。マーケティング担
を分析することが必要で
こから得られるメリット
で解決できる課題と、そ
合、そのソリューション
先進的アナリティクス
導入の必要性を考える場
基づく意思決定を正確か
より多くの詳細な情報に
のステークホルダーが、
だろう。多種多様な業界
ィクスが提供してくれる
これらの疑問に対する
答えは、先進的アナリテ
めていけるか。
ニタリングし、改善を進
財務実績をどのようにモ
し 維 持 で き る か。 そ し
人材をいかにして探し出
それを達成できる優秀な
に特定・改善できるか。
性の根本原因をどのよう
営陣の覚悟があるかどう
今後の活用についての経
題はない。その代わり、
活用されていなくても問
ているか。現時点で全く
またどのように活用され
うに管理されているか。
いる各種データはどのよ
価する。自社が保有して
(1)自社におけるア
ナリティクス成熟度を評
である。
すべきは次に挙げる3点
導入を検討する際、考慮
ある。それを踏まえて、
とを理解しておく必要が
成熟度の評価をすること
自社がどの程度データ
を活用しているかを軸に
る。
ューションが適用でき
リティクスといったソリ
リティクス、規範的アナ
リティクス、予測的アナ
がるにつれ、記述的アナ
が存在する。成熟度が上
て、適用可能なアナリテ
する。各成熟度に合わせ
ルの成熟度を用いて評価
み上がった3種類のレベ
ようにピラミッド状に積
ティクスを導入する際に
れが企業に先進的アナリ
したものである。われわ
図は、アナリティクス
成熟度を簡単な図式で表
いる。
ている。
先進的アナリティクスと
トを創出することだ。テ
ける流行語は「ビッグデ
3. 先 進 的 ア ナ
リティクスの成
熟度評価
こういった傾向は、ガ
ートナー社の「先進テク
は「より深遠な洞察を見
クノロジーの高度化とデ
ータ」だった。しかしな
技術が進んでおり、昨日のそれとはまったく別物である。破壊的イノベーションが消費者の心を捉え
るや否や、新たな業界リーダーが生まれ、過去のリーダーは葬られていく。デジタル情報時代におい
て、消費者ニーズや競合他社のオファリングを見て見ぬふりをする企業は、最終的には恐竜のように
ル」レポート2014年
版(注1)の中に明確な
形で見て取れる。同レポ
ートは、ハイプサイクル
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絶滅という結果になるだろう。先進的アナリティクスとは、このように不本意な絶滅を回避するため
のソリューションを提供してくれるものである。
(注2)
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た手法やツールを用いた
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をどのように特定する
て適切な顧客・見込み客
る。第二に、自社にとっ
を上げることが可能にな
を改善することで採算性
スやマーケティング活動
るのだ。
ビジネスにおけるリー
ダーたちは、業務プロセ
つ迅速に図ることができ
模のプロジェクトを組成
的効果が確認しやすい規
功体験がない場合、比較
同種のプロジェクトの成
ェクトを実施する。もし
(2)小規模な先進的
アナリティクス・プロジ
かが大事である。
した強いリーダーシップ
クトを、経営陣を中心と
い道のりになるプロジェ
となり、前述のように長
陣なら危機を感じること
なる。そこで賢明な経営
用していないかが明確に
くのデータ資産を有効活
で、いかに自社がせっか
払情報を多角的に分析し
と業務の改善、保険金支
基づくCRM効果の測定
バウンドコールデータに
客・見込み客へのアウト
保険業界においては、顧
ションを提供している。
して多くの関連ソリュー
内外のクライアントに対
ティクス業務に従事。国
企業にて、先進的アナリ
外資系金融機関、国内
デジタルマーケティング
伴う顧客管理活動へどの
うこともあるし、それに
ように測定するか、とい
ネルの投資対効果をどの
ーケティング部の各チャ
言うと、経営企画部やマ
とである。経営者目線で
ば提供できるかというこ
らが望む製品をどうすれ
会やチャネルを通して彼
お付き合いくださる読者
を秘めている。本記事に
係性を構築できる可能性
従業員との間に確かな関
ランドを通じて、顧客や
スは、最終的には企業ブ
る。先進的アナリティク
ることができるようにな
やサービスを適時提供す
客に、より望まれる商品
する。将来を見据えた有
可能性があることに留意
達成には長期間を要する
度に依存するため、目標
業のアナリティクス成熟
りであると同時に、各企
ィクスの推進は長い道の
(3)長期的目標を設
定する。先進的アナリテ
ていくことが望ましい。
きるかということであ
第一は、いかにして優
良顧客を獲得し、維持で
か。また、最適な販売機
る。そして顧客や見込み
し、その後規模を拡大し
の下で進めることが可能
ように適切に予算を割り
の中にも、これらの課題
用なソリューションであ
(つづく)
◇
( 注 1)
を取得。マーケティング
ー大学にて経済学博士号
にて修士号、バッファロ
不正検知の精度向上支援
になる。
当てるべきか、というこ
に向かっている方もおら
監訳:高橋正敏
などを実施。デリー大学
とも検討課題としては重
執筆:クラシミル・コ
ストフ
氏のプロフィル】
【クラシミル・コストフ
◇
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各種レポート、探索的データ解析、
根本原因分析、ダッシュボード
文字すらない。
記述的
1. 先 進 的 ア ナ
リティクスとは
何か
ノロジーのハイプサイク
いだす、または提言を生
ータの爆発的増大によ
ナリティクス作業を行うことで見えてくる特性について説明する。今日のビジネス界は、日進月歩で
み出すためのデータ診
り、先進的アナリティク
顧客創造価値、顧客維持、
クロスセル/アップセル、
需要予測、従業員雇用、維持
2. な ぜ 企 業 は
先進的アナリテ
ィクスを導入す
べきなのか
断。従来のビジネスイン
がら、ここにきて過剰な
予測的
アナリティクス成熟度
予算配分、
キャンペーン、
セールス、
マーケティング
ィクス・ソリューション
テリジェンスを越えた自
スの範囲や活用率は大幅
「ビッグデータ」騒ぎは
コグニザントジャパン
アナリティクス・情報管理部門
マネージャー
クラシミル・コストフ
高
15
規範的
低
コグニザントジャパン
金融事業部ディレクター
データサイエンスの国際
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高橋 正敏
図 先進的アナリティクスの成熟度評価
て、それらの基礎となる
律型または半自律型のソ
に伸びている。
前回の連載記事では、先進的アナリティクスに関する保険会社の期待、ビジネスにおける重要性、
またアナリティクスが先進的とされる基礎的要件について述べた。今回は、専門的見地から実際にア
【第6回】
リューション。洗練され
2 0 1 6 年(平成 2 8 年)7 月 2 5 日(月曜日) ( 4 )
(第 3 種郵便物認可)
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的組織I―COM(アイ
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コム)のボードメンバー
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を務める。
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